位置座標取得プログラム
【課題】 半導体集積回路や回路基板のパターンレイアウトデータを画面上に表示するツールにおいて、図形上の基準線分に関連する目標点の位置座標を、簡便且つ高精度に取得することが可能な位置座標取得プログラムを提供すること
【解決手段】 図形表示された画面上の位置座標を取得するにあたり、図形を構成する基準線分を画面上で選択する(S2)。また、目標点についての基準線分との関連性を示す関連属性を選択し(S3)、関連属性に応じて必要とされる付随情報を入力する(S5)。選択された関連情報に応じた位置座標の算出手順が選択され(S6)、選択された算出手順にしたがい、入力された付随情報に基づいて、基準線分に関連した目標点の位置座標が取得される。
【解決手段】 図形表示された画面上の位置座標を取得するにあたり、図形を構成する基準線分を画面上で選択する(S2)。また、目標点についての基準線分との関連性を示す関連属性を選択し(S3)、関連属性に応じて必要とされる付随情報を入力する(S5)。選択された関連情報に応じた位置座標の算出手順が選択され(S6)、選択された算出手順にしたがい、入力された付随情報に基づいて、基準線分に関連した目標点の位置座標が取得される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得プログラムに関するものであり、特に、半導体集積回路や回路基板などの図形パターンレイアウトデータを画面上に表示する際、表示された図形パターンの線分に関連した位置座標を取得する位置座標取得プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体集積回路や回路基板の図形パターンレイアウトデータを表示または/および編集するツールにおいては、使用者により図形パターンレイアウト上の位置座標が必要される場合が多々ある。例えば、図形上の2点間の距離を測長する場合には、始点と終点との位置座標を正確に選択しなければならない。また、図形編集の際にも、所定の位置に図形を配置しなければならないことから正確な位置座標を取得することが必要である。このような場合に必要となる位置座標は、下記に示す幾つかの方法により取得されている。
【0003】
第1の方法は、マウス等のポインティングデバイスにより位置座標を取得する方法である。取得したい位置座標にポインティングデバイスを移動してクリック操作をすることにより取得を行なうものである。
【0004】
第2の方法は、キーボードやタッチパネルなどの入力デバイスを利用する方法である。取得したい位置座標を直接入力するものである。
【0005】
第3の方法は、ポインティングデバイスや、キーボード、タッチパネル等により暫定的な位置座標を設定し、その暫定位置から最近接距離のグリッド座標を取得する方法である。
【0006】
尚、上記の関連技術として特許文献1および2が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−254666号公報
【特許文献2】特開2000−148149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の背景技術においては、位置座標の選択作業が煩雑であり正確に位置座標の取得のために必要とされる使用者への負担が無視できないものであり、操作性に問題がある。
【0009】
例えば、第1の方法では、ポインティングデバイスを正確な位置に移動させることは、使用者に操作上の負担を強いることになり、誤って不正確な位置座標を取得してしまう操作上のミスの混入を排除できないという問題である。また、位置座標の取得精度を向上させるためには、取得すべき位置座標の付近を拡大すれば可能ではあるが、図形を画面上で拡大してしまうと、図形全体の位置関係を視認することができなくなってしまう。取得すべき位置座標の正確な位置情報と図形全体の位置関係に関する情報とは、トレードオフの関係にある。使用者は、画面表示内容を切り替えながら作業せざるを得ず、作業負担が多大であると共に、図形全体の位置関係を直観的に把握できなくなると共に、操作上のミスも混入しやすくなってしまい問題である。
【0010】
第2の方法では、取得すべき位置座標を直接入力するので、選択の正確さは確保されるものの、取得すべき位置座標の図形上の位置を画面上において直観的に把握することができず、必要となる位置座標を使用者の側で計算せざるを得ない等の作業上の煩雑さ、計算ミスや入力ミス等の把握の困難さも考えられ問題である。
【0011】
第3の方法では、第1または第2の方法により入力された暫定位置から最近接の距離にあるグリッド座標が選択されるものの、取得された位置座標は必ずしも取得すべき位置座標であるとは限らず問題である。画面上に表示されている図形が十分に拡大されていれば、目的となる位置座標の近傍に暫定位置を設定してやることにより、目的の位置座標を取得することは可能ではある。しかしながら、画面上の図形の拡大が不十分である場合には、暫定位置の設定が不十分となり、暫定位置に近接する距離にあるグリッド座標は、必ずしも目的とする位置座標であるとは限らないからである。
【0012】
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、半導体集積回路や回路基板の図形パターンレイアウトデータを画面上に表示するツールにおいて、図形上の基準線分に関連する目標点の位置座標を、簡便且つ高精度に取得することが可能な位置座標取得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明に係る位置座標取得プログラムは、図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得プログラムであって、画面上で図形を構成する基準線分を選択するステップと、位置座標を取得すべき目標点の、基準線分との関連属性を選択するステップと、関連属性に応じた付随情報を入力するステップと、関連属性の選択ステップにより選択された関連属性に応じた位置座標の計算手順を選択するステップとを有し、計算手順の選択ステップにより選択された計算手順にしたがい、入力のステップにより取得された付随情報に基づいて、基準線分に関連した目標点の位置座標が取得されることを特徴とする。
【0014】
本発明の位置座標取得プログラムでは、図形表示された画面上の位置座標を取得するにあたり、図形を構成する基準線分を画面上で選択する。また、目標点についての基準線分との関連性を示す関連属性を選択し、関連属性に応じて必要とされる付随情報を入力する。選択された関連情報に応じた位置座標の計算手順が選択され、選択された計算手順にしたがい、入力された付随情報に基づいて、基準線分に関連した目標点の位置座標が取得される。
【0015】
これにより、画面上で基準線分を選択し、選択された基準線分との関連性を有する目標点の関連属性を選択すると共に、基準線分との関連属性に応じて目標点の位置座標を取得するために必要である付随情報を入力してやれば、基準線分に関連する目標点の位置座標を取得することができる。目標点の位置座標を、図形上で選択する基準線分と関連付けて取得することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体集積回路や回路基板の図形パターンレイアウトデータを画面上に表示するツールにおいて、図形上で選択する基準線分に関連する目標点の位置座標を、目標点の、選択された基準線分との関連属性とに応じて、簡便且つ高精度に取得することが可能な位置座標取得プログラムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の位置座標取得プログラムについて具体化した実施形態を図1乃至図19に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1は、実施形態の位置座標取得システム1を示す概念図である。位置座標取得システム1では、演算手段11と、演算手段11に対する入力手段として、キーボードデバイス12およびマウスデバイス13が例示されている。後述するように、画面上に表示された基準線分、位置座標を取得したい目標点の基準線分との関連属性、および関連属性に応じた付随情報を、選択または/および入力する入力するデバイスである。例示のキーボードデバイス12およびマウスデバイス13の他、演算手段11に対して各種の選択や入力が可能なデバイスであればよい。例えば、タッチパネルデバイス等が考えられる。更に、位置座標を取得したい目標点を含む図形データ、位置座標取得のために必要となる各種の情報の入力要求の表示、演算の結果得られる候補座標の表示、その他位置座標取得の処理に応じた各種の情報等が表示される表示手段として表示ディスプレイ14が例示されている。尚、表示手段の一例として表示ディスプレイ14を例示したが、表示ディスプレイ14に代えて、または表示ディスプレイ14と共に、プリンタデバイスやその他の確認手段を備えていてもよい。特に、取得された位置座標は表示ディスプレイ14に表示されることの他、位置座標情報を印刷出力したり、位置座標情報ファイルに格納したり、その他の図形表示、図形編集、図形演算等の図形処理に渡してもよい。
【0019】
図2は、位置座標取得システム1で実行される位置座標取得プログラムである。実施形態における位置座標取得方法のフローを示す。演算手段11において位置座標取得プログラムが起動されると、表示ディスプレイ14に入力要求が表示される(S1)。この要求は、基準線分の選択と、位置座標を取得したい目標点の基準線分との関連属性の選択とを促すものである。基準線分が選択(S2)では、キーボードデバイス12やマウスデバイス13等により、画面上に表示されている図形を確認しながら図形を構成する各辺から基準線分を選択する。基準線分の選択方法としては、位置座標を直接入力することにより行なうこともできるが、ここでは、キーボードデバイス12やマウスデバイス13等の操作により、画面上に移動可能に表示されるカーソル位置の座標(カーソル座標)で選択する方法を後述する。これにより、画面上の図形を確認しながら、基準線分を選択するためのカーソル位置を直観的に指定することができる。
【0020】
基準線分との関連属性とは、目標点が基準線分とどういった関連性を有するかという属性を示すものである。したがって、基準線分との関連属性の選択の時点では、目標点の図形上での正確な位置までは特定する必要はない。基準線分との関連属性として、<座標選択の種類>が選択される(S3)。例えば、表示ディスプレイ14上にリストアップされた<座標選択の種類>の一覧から選択する等の簡易な手段により選択が行われる。
【0021】
次に、選択された<座標選択の種類>に応じて付随情報の入力が要求され(S4)、入力要求にしたがって付随情報が入力される(S5)。付随情報とは、基準線分との関連性を示す<座標選択の種類>に基づいて、具体的な目標点の位置座標を計算する際に必要となる情報である。付随情報が確定することにより、基準線分と関連する<座標選択の種類>の目標点について、具体的な位置座標が確定される。付随情報の入力は、キーボードデバイス12やマウスデバイス13等により行なわれる。
【0022】
図3に、<座標選択の種類>と付随情報との一例を一覧表に示す。5種類の<座標選択の種類>が例示されている。<座標選択の種類:最近接点>は、カーソル座標に最も近い基準線分上の点であって、所定ピッチを有して配置されているグリッド点の座標が選択される。付随情報として、カーソル座標、グリッド座標系が必要とされる。<座標選択の種類:直角接続点>は、カーソル座標に最も近い基準線分上の点が選択される。付随情報として、カーソル座標が必要とされる。<座標選択の種類:端点からのシフト>は、基準線分の端点(始点または終点)から基準線分の中点に向かって指定された距離(0を含む)だけ移動した座標が選択される。付随情報として、端点種別、移動量、グリッド座標系が必要とされる。<座標選択の種類:中点からのシフト>は、基準線分の中点から基準線分の端点(始点または終点)に向かって指定された距離(0を含む)だけ移動した座標が選択される。付随情報として、端点種別、移動量、グリッド座標系が必要とされる。<座標選択の種類:直角を作る終点>は、基準線分上の設定点と直交する垂線上にあってカーソル座標と水平座標または垂直座標の何れか一方が同一の点のうちカーソル座標に近い点が選択される。付随情報として、設定点座標、カーソル座標が必要とされる。
【0023】
選択された基準線分(S2)、<座標選択の種類>(S3)、および入力された付随情報(S5)に基づいて、目標点の候補座標が計算される(S6)。具体的な計算処理のフローは<座標選択の種類>に応じて異なる。選択された<座標選択の種類>に応じた計算手順のフローが選択される。
【0024】
計算された候補座標が提示され(S7)、所望の候補座標を目標点の位置座標として選択する(S8)。ここで、提示とは、表示ディスプレイ14の画面上に表示されることのほか、プリンタデバイス等に印字出力されること、データファイルとして格納されること、その他の処理に渡されること等であってもよい。
【0025】
ここで、表示ディスプレイ14で確認しながら、キーボードデバイス12または/およびマウスデバイス13により行なわれる基準線分の選択の処理(S2)が第1選択部に相当する。また、必要に応じて表示ディスプレイ14で確認しながら、キーボードデバイス12または/およびマウスデバイス13により行われる<座標選択の種類>の選択の処理(S3)が第2選択部に相当する。更に、キーボードデバイス12または/およびマウスデバイス13により行なわれる<座標選択の種類>に応じた付随情報の入力の処理(S5)が入力部に相当する。また、選択された<座標選択の種類>に応じて適格な候補座標の計算の処理(S6)を選択することが第3選択部に相当する。
【0026】
以下では、図2に示した位置座標取得フローのうち、基準線分の選択(S2)、および候補座標の計算(S6)について、その詳細フローを示す。候補座標の計算(S6)については、図3に示した<座標選択の種類>ごとに計算処理のフローを示す。
【0027】
図4は、基準線分の選択フローである。カーソル座標の位置に応じて、図形を構成する辺の中から基準線分を選択するフローである。カーソル座標の近傍にある辺から基準線分を決定する処理を行なう。右方円内の概念図を参照しながら説明する。カーソル座標CPが入力されると(S11)、カーソル座標CPの所属する格子状領域GA0を特定する(S12)。
【0028】
ここで、格子状領域とは、図形が配置されている座標系において、所定ピッチごとに縦横に区画された矩形領域をいう。例えば、所定ピッチごとのグリッド点を座標位置とするグリッド座標系を考える場合、グリッド点で囲まれる矩形領域である。円内図に示すように、カーソル座標CPの存在する格子状領域GA0は、8つの格子状領域GA1が隣接することとなる。
【0029】
次に、空の辺リストD11を生成する(S13)。辺リストD11とは、後段の選択処理に応じて候補となる辺の情報を順次格納するために確保されるデータファイルである。図形データベース内の辺の情報をアクセスするためのアクセスキーと、カーソル座標CPと辺との最短距離とを、セットとして格納される。
【0030】
以上の準備が完了した後、3重の処理ループにより、候補となる辺を順次リストアップして基準線分が選択される。第1の処理ループR11では、カーソル座標CPの所属する格子状領域GA0とその周囲の格子状領域GA1について順次処理を行なう。第2の処理ループR12では、各格子状領域GA0、GA1に所属するすべての図形について順次処理を行なう。第3の処理ループR13では、各図形を構成するすべての辺について順次処理を行なう。ここで、処理ループR11乃至R13は、図中、一対のR11乃至R13の符号で囲まれた範囲内の処理を繰り返して行なう。したがって、各処理ループR11乃至R13により、順次処理対象が変更されながら、カーソル座標CPと辺との最短距離を計 算して、図形データベースアクセスキーと距離とを辺リストD11に登録する(S14)。ここで、図形データベースアクセスキーとは、図形データベース内の線分の情報を読み出すためのキーである。
【0031】
各辺に対してカーソル座標CPからの最短距離が計算されたら、辺リストD11に格納されている情報を、距離の昇順に整列する(S15)。そして処理ループR14により、辺リストD11内のすべての辺について次の処理を行なう。すなわち、基準線分として採用するとの判断がされるまで(S16:Y)、順次辺を変えながら判断する。採用との判断により、辺リストD11から採用された辺の図形データベースアクセスキーを読み出し(S17)、処理ループR14から抜ける。その後、辺リストD11を消去する(S18)。基準線分が決定された場合には(S19:Y)正常に図2のフローに復帰し、基準線分が決定されない場合には(S19:N)エラー復帰する。
【0032】
次に、候補座標の計算(S6)の処理について説明する。図5、図6は、<座標選択の種類:最近接点>の処理である。図5は、最近接点を示す概念図であり、図6に処理フローを示す。図5の概念図を参照しながら図6の処理フローを説明する。
【0033】
<座標選択の種類:最近接点>の処理が開始されると、選択された基準線分RLの始点(XS、YS)、終点(XE、YE)を図形データベースから読み出し(S21)、基準線分RLの傾きa、Y切片bを計算する(S22、S23)。これにより、基準線分RLの式が求まる(y=ax+b)。
【0034】
次に、処理ループR21により、カーソル座標CPの確定操作が行なわれるまで、キーボードデバイス12やマウスデバイ13等によるカーソル座標CPの移動に応じて、候補座標が逐次提示されることとなる。
【0035】
処理ループR21においては、先ず、カーソル座標CPを取得する(S24)。次に、処理ループR22が開始される。基準線分RL上のすべてのグリッド座標(図5においてはG1乃至G3)について、以下の処理を行なう。すなわち、基準線分RLのグリッド座標を一つ取得する(S25)。そのグリッド座標が初めて取得した座標であれば(S26:Y)、取得したグリッド座標を最短距離の座標と判定し、グリッド座標と距離とを、最短グリッド座標記憶領域D21に更新登録する(S29)。
【0036】
取得したグリッド座標が初めて取得した座標でなければ(S26:N)、グリッド座標とカーソル座標CPとの距離を求め(S27)、最短グリッド座標記憶領域D21に既に記憶されたグリッド座標より近いか否かが判定される(S28)。近ければ(S28:Y)、処理(S29)を行なう。これらの処理をすべてのグリッド座標について行なう。
【0037】
処理ループR22によりすべてのグリッド座標について距離の判定が完了したら、最短グリッド座標記憶領域D21から最短距離のグリッド座標を読み出して候補座標とする(S30)。候補座標を画面上に表示する(S31)。
【0038】
図5に示すように、基準線分RL上の各グリッド座標G1乃至G3が順次選択され、カーソル座標CPとの距離D1乃至D3が計算される。距離D2が最短距離であると判定されグリッド座標G2が目標点座標TPと判定されて、候補座標とされる。
【0039】
図7、図8は、<座標選択の種類:直角接続点>の処理である。図7は、直角接続点を示す概念図であり、図8に処理フローを示す。図7の概念図を参照しながら図8の処理フローを説明する。
【0040】
<座標選択の種類:最近接点>の処理が開始されることにより行われる、処理(S21)乃至(S23)は、図6の<座標選択の種類:最近接点>の処理フローと同様であるので、ここでの説明は省略する。この処理により、基準線分RLの式が求まる(y=ax+b)。
【0041】
次に、処理ループR41により、カーソル座標CPの確定操作が行なわれるまで、キーボードデバイス12やマウスデバイ13等によるカーソル座標CPの移動に応じて、候補座標が逐次提示されることとなる。
【0042】
先ず、カーソル座標CPを取得する(S24)。次に、カーソル座標CPを通り、基準線分RLと直交する直線の基準線分RLとの交点を計算する(S41)。ここで、基準線分RLと直交する直線は、基準線分RLの式(y=ax+b)およびカーソル座標CPより求めることができる。
【0043】
交点を基準線分RL上の点に限定する場合(S42:Y)、交点が基準線分RL上にあるか否かが判断される(S43)。基準線分RL上にあれば(S43:Y)、交点を候補座標とする(S44)。基準線分RL上になければ(S43:N)、直角接続点は存在せず候補座標は未確定であるとの判断をする(S45)。交点を基準線分RL上の点に限定しない場合(S42:N)、交点を候補座標とする(S44)。交点を候補座標とした後(S44)、候補座標を画面上に表示する(S46)。
【0044】
図7に示すように、カーソル座標CPから基準線分RLに下した垂線が、基準線分RLと交差する交点が目標点座標TPと判定されて、候補座標とされる。
【0045】
図9、図10は、<座標選択の種類:端点からのシフト>の処理である。図9は、端点からのシフトを示す概念図であり、図10に処理フローを示す。図9の概念図を参照しながら図10の処理フローを説明する。
【0046】
<座標選択の種類:端点からのシフト>の処理が開始されることにより行われる、処理(S21)乃至(S23)は、図6の<座標選択の種類:最近接点>の処理フローと同様であるので、ここでの説明は省略する。この処理により、基準線分RLの式が求まる(y=ax+b)。
【0047】
次に、端点からの単位移動量L(S51)、および移動回数Ln(S52)を取得する。そして、対象とする端点が始点であるか終点であるかの判断を行なう(S53)。
【0048】
始点が選択されていれば(S53:Y)始点からのシフト座標を求め(S54)、終点が選択されていれば(S53:N)終点からのシフト座標を求める(S55)。端点からの移動量は、単位移動量Lと移動回数Lnとを乗じた距離である。
【0049】
シフト座標を求めた後、求める位置座標はグリッド座標に丸める設定であるか否かを判断する(S56)。グリッド座標に丸める設定であれば(S56:Y)、<座標選択の種類:最近接点>の処理フローを実行する(S57)。ここで、処理(S54)または(S55)で求めたシフト座標をカーソル座標として与えることにより、基準線分RLにある最近接のグリッド座標を求めることができる。このグリッド座標を候補座標とする(S58)。グリッド座標に丸めない設定であれば(S56:N)、処理(S54)または(S55)で求められたシフト座標を候補座標とする(S58)。
【0050】
図9に示すように、基準線分RLの端点(図9では始点を例示)から、移動回数Ln(図9の場合は2回)の単位移動量Lを行なったシフト座標が目標点座標TPと判定され候補座標とされる。
【0051】
図11、図12は、<座標選択の種類:中点からのシフト>の処理である。図11は、中点からのシフトを示す概念図であり、図12に処理フローを示す。図11の概念図を参照しながら図12の処理フローを説明する。
【0052】
<座標選択の種類:中点からのシフト>の処理が開始されることにより行われる、処理(S21)乃至(S23)、および処理(S51)、(S52)は、図10の<座標選択の種類:端点からのシフト>の処理フローと同様であるので、ここでの説明は省略する。処理(S21)乃至(S23)により、基準線分RLの式が求まる(y=ax+b)。また、処理(S51)、(S52)により、単位移動量L,移動回数Lnを取得する。
【0053】
次に、基準線分RLの始点(XS、YS)と終点(XE、YE)とから中点座標を求め(S61)、中点からのシフト座標を求める(S62)。
【0054】
この後、求める位置座標をグリッド座標に丸める設定であるか否かに応じて候補座標を求めていく処理は、図10の<座標選択の種類:端点からのシフト>の処理フローにおける、処理(S56)乃至(S58)の処理と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0055】
図11に示すように、基準線分RLの中点から、移動回数Ln(図11の場合は2回)の単位移動量Lを移動したシフト座標が目標点座標TPと判定され候補座標とされる。
【0056】
図13、図14は、<座標選択の種類:直角を作る終点>の処理である。図13は、直角を作る終点を示す概念図であり、図14に処理フローを示す。図13の概念図を参照しながら図14の処理フローを説明する。
【0057】
<座標選択の種類:直角を作る終点>の処理が開始されると、先ず、基準線分RL上の設定点座標SPを求める(S71)。次に、設定点座標SPを通り、基準線分RLに直交する直線VLを求める(S72)。
【0058】
その後、処理ループR71を行なう。処理ループR71により、カーソル座標CPの確定操作が行なわれるまで、キーボードデバイス12やマウスデバイ13等によるカーソル座標CPの移動に応じて、候補座標が逐次提示されることとなる。
【0059】
カーソル座標CPを取得した後(S24)、カーソル座標CPを通る垂直線YLと直線VLとの交点座標P1を求め(S74)、カーソル座標CPを通る水平線XLと直線VLとの交点座標P2を求める(S75)。
【0060】
交点座標P1、P2とカーソル座標CPとの距離を比較し、交点座標P2とカーソル座標CPとの距離が、交点座標P1とカーソル座標CPとの距離より近い場合(S76:Y)、交点座標P2を候補座標とし(S77)、遠い場合(S76:N)、交点座標P1を候補座標として(S78)。候補座標を画面上に表示する(S79)。
【0061】
図13に示すように、基準線分RL上の設定点座標SPを通る基準線分RLに直交する直線VLを求める。次に、カーソル座標CPを通る垂直線YL、水平線XLが、直線VLと交差する交点座標P1、P2を求める。交点座標P1とカーソル座標CPとの距離、および交点座標P2とカーソル座標CPとの距離とを比較し、カーソル座標CPにより近い交点座標P1が目標点座標TPと判定され候補座標とされる。
【0062】
以上詳細に説明したとおり、本実施形態に係る位置座標取得プログラムによれば、取得したい目標点座標TPに関連する基準線分RLを画面上に表示された図形情報から選択すると共に(S2)、目標点座標TPの有する基準線分RLとの関連属性である<座標選択の種類>を選択し(S3)、<座標選択の種類>に応じて目標点座標TPの位置座標を取得するために必要である付随情報を入力することにより(S5)、基準線分RLに関連する目標点座標TPの位置座標を候補座標として取得することができる。図形上の目標点座標TPの位置座標を基準線分RLと関連付けて取得することができる。
【0063】
位置座標の取得の際に、画面上の図形を確認しながら直観的に捉え易い項目を簡便な方法で選択または入力することで、精度よく目標点座標TPを含む候補座標を取得することができる。座標位置の計算に必要な位置の特定や角度の指定等を煩雑で精度を欠く作業で入力する作業が不要となり、作業者の作業負担の軽減を図りながら、操作上のミスや不正確な位置指定等が排除された正確な位置座標の取得を行なうことができる。
【0064】
また、個々の<座標選択の種類>に関して目標点座標TPの候補座標を取得することにより、以下のような効果を奏することができる。<座標選択の種類:最近接点>による位置座標の取得処理によれば、図15に示すように、既存の任意の角度に回転等された図形Aに接続する新たな図形Bを入力する際に、図形Aとの接続点座標JP1、JP2を容易に取得することができる。
【0065】
また、<座標選択の種類:直角接続点>による位置座標の取得処理によれば、図16に示すように、ルーラー機能等を使用して異なる角度で配置されている図形A、Bの間の距離を測る場合、一方の図形Bの頂点をカーソル座標CPとして、他方の図形Aまでの最短距離を測定することができる。辺上の点の決定を容易に行なうことができる。この場合、図形Bの頂点は、<座標選択の種類:端点からのシフト>において、単位移動量Lを“0”、または移動回数Lnを“0”に設定することにより求めることができる。
【0066】
また、<座標選択の種類:端点からのシフト>および<座標選択の種類:中点からのシフト>による位置座標の取得処理によれば、図17、図18に示すように、図形Aの端点または中点からの所定距離のシフト座標を求めることができる。これにより、半導体製造における露光工程において、端点からの露光強度の測定点を設定する場合、設定座標を容易に得ることができる。
【0067】
また、<座標選択の種類:直角を作る終点>による位置座標の取得処理によれば、図19に示すように、任意の回転角の矩形図形や多角形図形を、各頂点座標を指定する入力方式であるバウンダリ方式で作図する場合、頂点の指定を容易にすることができる。
【0068】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態においては、目標点座標TPが基準線分RL上に存在する場合を中心に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。基準線分RLの延長線上に存在する場合を含むこともできる。
また、基準線分との関連属性として、<座標選択の種類>として図3に示した5種類の関連属性を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。基準線分との間で所定の関連属性を有する目標点であれば、図3の<座標選択の種類>以外にも設定することができる。例えば、<座標選択の種類>として、基準線分の3等分点の位置座標のような関連属性を定義することもできる。
更に、本発明では、基準線分との関連属性を有する目標点の位置座標を取得する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。多角形図形や閉曲面図形等の図形との関連属性を有する目標点の位置座標を取得することも考えられる。例えば、図形の重心点座標や、円の中心点座標等といった位置座標について、図形との関連属性を定義することも可能である。
【0069】
ここで、本発明の技術思想により、背景技術における課題を解決するための手段を以下に列記する。
(付記1) 図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得プログラムであって、
画面上で前記図形を構成する基準線分を選択するステップと、
前記位置座標を取得すべき目標点の、前記基準線分との関連属性を選択するステップと、
前記関連属性に応じた付随情報を入力するステップと、
前記関連属性の選択ステップにより選択された前記関連属性に応じた前記位置座標の計算手順を選択するステップとを有し、
前記計算手順の選択ステップにより選択された前記計算手順にしたがい、前記入力のステップにより取得された前記付随情報に基づいて、前記基準線分に関連した前記目標点の前記位置座標が取得されることを特徴とする位置座標取得プログラム。
(付記2) 前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分上であって前記基準線分外の基準点から最近接距離に存在することであり、
前記付随情報とは、前記基準点の位置座標であることを特徴とする付記1に記載の位置座標取得プログラム。
(付記3) 前記付随情報として、所定ピッチで縦横に並ぶグリッド点を座標位置とするグリッド座標系を更に含み、
前記目標点は、前記グリッド点であることを特徴とする付記2に記載の位置座標取得プログラム。
(付記4) 前記目標点は、前記基準点から前記基準線分に下された垂線と前記基準線分との交点であることを特徴とする付記2に記載の位置座標取得プログラム。
(付記5) 前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分の端点から0を含む所定距離離れて前記基準線分あるいは前記基準線分の延長線上に存在することであり、
前記付随情報とは、前記端点の選択、および前記所定距離であることを特徴とする付記1に記載の位置座標取得プログラム。
(付記6) 前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分の中点から0を含む所定距離離れて前記基準線分あるいは前記基準線分の延長線上に存在することであり、
前記付随情報とは、前記中点から前記目標点の存在する方向、および前記所定距離であることを特徴とする付記1に記載の位置座標取得プログラム。
(付記7) 前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分上の設定点で該基準線分と直交する垂線上であって水平または垂直位置座標において前記基準線分外の基準点と同一の位置座標を有すると共に、前記基準点に近接する位置に存在することであり、
前記付随情報とは、前記設定点、および前記基準点の位置座標であることを特徴とする付記1に記載の位置座標取得プログラム。
(付記8) 前記付随情報として、所定ピッチで縦横に並ぶグリッド点を座標位置とするグリッド座標系を更に含み、
前記目標点は、前記グリッド点であることを特徴とする付記5乃至7の少なくとも何れか一項に記載の位置座標取得プログラム。
(付記9) 図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得方法であって、
画面上で前記図形を構成する基準線分を選択するステップと、
前記位置座標を取得すべき目標点の、前記基準線分との関連属性を選択するステップと、
前記関連属性に応じた付随情報を入力するステップと、
前記関連属性の選択ステップにより選択された前記関連属性に応じた前記位置座標の計算手順を選択するステップとを有し、
前記計算手順の選択ステップにより選択された前記計算手順にしたがい、前記入力のステップにより取得された前記付随情報に基づいて、前記基準線分に関連した前記目標点の前記位置座標が取得されることを特徴とする位置座標取得方法。
(付記10) 図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得システムであって、
画面上で前記図形を構成する基準線分を選択する第1選択部と、
前記位置座標を取得すべき目標点の、前記基準線分との関連属性を選択する第2選択部と、
前記関連属性に応じた付随情報を入力する入力部と、
前記第2選択部により選択された前記関連属性に応じた前記位置座標の計算手順を選択する第3選択部とを有し、
前記第3選択部により選択された前記計算手順にしたがい、前記入力部により取得された前記付随情報に基づいて、前記基準線分に関連した前記目標点の前記位置座標が取得されることを特徴とする位置座標取得システム。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】位置座標取得システムを例示する図である。
【図2】位置座標取得プログラムを例示するフロー図である。
【図3】<座標選択の種類>の一覧を例示する図である。
【図4】基準線分の選択フローを示す図である。
【図5】<座標選択の種類:最近接点>を説明する図である。
【図6】<座標選択の種類:最近接点>取得のフロー図である。
【図7】<座標選択の種類:直角接続点>を説明する図である。
【図8】<座標選択の種類:直角接続点>取得のフロー図である。
【図9】<座標選択の種類:端点からのシフト>を説明する図である。
【図10】<座標選択の種類:端点からのシフト>取得のフロー図である。
【図11】<座標選択の種類:中点からのシフト>を説明する図である。
【図12】<座標選択の種類:中点からのシフト>取得のフロー図である。
【図13】<座標選択の種類:直角を作る終点>を説明する図である。
【図14】<座標選択の種類:直角を作る終点>取得のフロー図である。
【図15】<座標選択の種類:最近接点>の効果を示す図である。
【図16】<座標選択の種類:直角接続点>の効果を示す図である。
【図17】<座標選択の種類:端点からのシフト>の効果を示す図である。
【図18】<座標選択の種類:中点からのシフト>の効果を示す図である。
【図19】<座標選択の種類:直角を作る終点>の効果を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 位置座標取得システム
11 演算手段
12 キーボードデバイス
13 マウスデバイス
14 表示ディスプレイ
D11 辺リスト
D21 最短グリッド座標記憶領域
CP カーソル座標
RL 基準線分
SP 設定点座標
TP 目標点座標
【技術分野】
【0001】
本発明は、図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得プログラムに関するものであり、特に、半導体集積回路や回路基板などの図形パターンレイアウトデータを画面上に表示する際、表示された図形パターンの線分に関連した位置座標を取得する位置座標取得プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体集積回路や回路基板の図形パターンレイアウトデータを表示または/および編集するツールにおいては、使用者により図形パターンレイアウト上の位置座標が必要される場合が多々ある。例えば、図形上の2点間の距離を測長する場合には、始点と終点との位置座標を正確に選択しなければならない。また、図形編集の際にも、所定の位置に図形を配置しなければならないことから正確な位置座標を取得することが必要である。このような場合に必要となる位置座標は、下記に示す幾つかの方法により取得されている。
【0003】
第1の方法は、マウス等のポインティングデバイスにより位置座標を取得する方法である。取得したい位置座標にポインティングデバイスを移動してクリック操作をすることにより取得を行なうものである。
【0004】
第2の方法は、キーボードやタッチパネルなどの入力デバイスを利用する方法である。取得したい位置座標を直接入力するものである。
【0005】
第3の方法は、ポインティングデバイスや、キーボード、タッチパネル等により暫定的な位置座標を設定し、その暫定位置から最近接距離のグリッド座標を取得する方法である。
【0006】
尚、上記の関連技術として特許文献1および2が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−254666号公報
【特許文献2】特開2000−148149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の背景技術においては、位置座標の選択作業が煩雑であり正確に位置座標の取得のために必要とされる使用者への負担が無視できないものであり、操作性に問題がある。
【0009】
例えば、第1の方法では、ポインティングデバイスを正確な位置に移動させることは、使用者に操作上の負担を強いることになり、誤って不正確な位置座標を取得してしまう操作上のミスの混入を排除できないという問題である。また、位置座標の取得精度を向上させるためには、取得すべき位置座標の付近を拡大すれば可能ではあるが、図形を画面上で拡大してしまうと、図形全体の位置関係を視認することができなくなってしまう。取得すべき位置座標の正確な位置情報と図形全体の位置関係に関する情報とは、トレードオフの関係にある。使用者は、画面表示内容を切り替えながら作業せざるを得ず、作業負担が多大であると共に、図形全体の位置関係を直観的に把握できなくなると共に、操作上のミスも混入しやすくなってしまい問題である。
【0010】
第2の方法では、取得すべき位置座標を直接入力するので、選択の正確さは確保されるものの、取得すべき位置座標の図形上の位置を画面上において直観的に把握することができず、必要となる位置座標を使用者の側で計算せざるを得ない等の作業上の煩雑さ、計算ミスや入力ミス等の把握の困難さも考えられ問題である。
【0011】
第3の方法では、第1または第2の方法により入力された暫定位置から最近接の距離にあるグリッド座標が選択されるものの、取得された位置座標は必ずしも取得すべき位置座標であるとは限らず問題である。画面上に表示されている図形が十分に拡大されていれば、目的となる位置座標の近傍に暫定位置を設定してやることにより、目的の位置座標を取得することは可能ではある。しかしながら、画面上の図形の拡大が不十分である場合には、暫定位置の設定が不十分となり、暫定位置に近接する距離にあるグリッド座標は、必ずしも目的とする位置座標であるとは限らないからである。
【0012】
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、半導体集積回路や回路基板の図形パターンレイアウトデータを画面上に表示するツールにおいて、図形上の基準線分に関連する目標点の位置座標を、簡便且つ高精度に取得することが可能な位置座標取得プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明に係る位置座標取得プログラムは、図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得プログラムであって、画面上で図形を構成する基準線分を選択するステップと、位置座標を取得すべき目標点の、基準線分との関連属性を選択するステップと、関連属性に応じた付随情報を入力するステップと、関連属性の選択ステップにより選択された関連属性に応じた位置座標の計算手順を選択するステップとを有し、計算手順の選択ステップにより選択された計算手順にしたがい、入力のステップにより取得された付随情報に基づいて、基準線分に関連した目標点の位置座標が取得されることを特徴とする。
【0014】
本発明の位置座標取得プログラムでは、図形表示された画面上の位置座標を取得するにあたり、図形を構成する基準線分を画面上で選択する。また、目標点についての基準線分との関連性を示す関連属性を選択し、関連属性に応じて必要とされる付随情報を入力する。選択された関連情報に応じた位置座標の計算手順が選択され、選択された計算手順にしたがい、入力された付随情報に基づいて、基準線分に関連した目標点の位置座標が取得される。
【0015】
これにより、画面上で基準線分を選択し、選択された基準線分との関連性を有する目標点の関連属性を選択すると共に、基準線分との関連属性に応じて目標点の位置座標を取得するために必要である付随情報を入力してやれば、基準線分に関連する目標点の位置座標を取得することができる。目標点の位置座標を、図形上で選択する基準線分と関連付けて取得することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、半導体集積回路や回路基板の図形パターンレイアウトデータを画面上に表示するツールにおいて、図形上で選択する基準線分に関連する目標点の位置座標を、目標点の、選択された基準線分との関連属性とに応じて、簡便且つ高精度に取得することが可能な位置座標取得プログラムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の位置座標取得プログラムについて具体化した実施形態を図1乃至図19に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
図1は、実施形態の位置座標取得システム1を示す概念図である。位置座標取得システム1では、演算手段11と、演算手段11に対する入力手段として、キーボードデバイス12およびマウスデバイス13が例示されている。後述するように、画面上に表示された基準線分、位置座標を取得したい目標点の基準線分との関連属性、および関連属性に応じた付随情報を、選択または/および入力する入力するデバイスである。例示のキーボードデバイス12およびマウスデバイス13の他、演算手段11に対して各種の選択や入力が可能なデバイスであればよい。例えば、タッチパネルデバイス等が考えられる。更に、位置座標を取得したい目標点を含む図形データ、位置座標取得のために必要となる各種の情報の入力要求の表示、演算の結果得られる候補座標の表示、その他位置座標取得の処理に応じた各種の情報等が表示される表示手段として表示ディスプレイ14が例示されている。尚、表示手段の一例として表示ディスプレイ14を例示したが、表示ディスプレイ14に代えて、または表示ディスプレイ14と共に、プリンタデバイスやその他の確認手段を備えていてもよい。特に、取得された位置座標は表示ディスプレイ14に表示されることの他、位置座標情報を印刷出力したり、位置座標情報ファイルに格納したり、その他の図形表示、図形編集、図形演算等の図形処理に渡してもよい。
【0019】
図2は、位置座標取得システム1で実行される位置座標取得プログラムである。実施形態における位置座標取得方法のフローを示す。演算手段11において位置座標取得プログラムが起動されると、表示ディスプレイ14に入力要求が表示される(S1)。この要求は、基準線分の選択と、位置座標を取得したい目標点の基準線分との関連属性の選択とを促すものである。基準線分が選択(S2)では、キーボードデバイス12やマウスデバイス13等により、画面上に表示されている図形を確認しながら図形を構成する各辺から基準線分を選択する。基準線分の選択方法としては、位置座標を直接入力することにより行なうこともできるが、ここでは、キーボードデバイス12やマウスデバイス13等の操作により、画面上に移動可能に表示されるカーソル位置の座標(カーソル座標)で選択する方法を後述する。これにより、画面上の図形を確認しながら、基準線分を選択するためのカーソル位置を直観的に指定することができる。
【0020】
基準線分との関連属性とは、目標点が基準線分とどういった関連性を有するかという属性を示すものである。したがって、基準線分との関連属性の選択の時点では、目標点の図形上での正確な位置までは特定する必要はない。基準線分との関連属性として、<座標選択の種類>が選択される(S3)。例えば、表示ディスプレイ14上にリストアップされた<座標選択の種類>の一覧から選択する等の簡易な手段により選択が行われる。
【0021】
次に、選択された<座標選択の種類>に応じて付随情報の入力が要求され(S4)、入力要求にしたがって付随情報が入力される(S5)。付随情報とは、基準線分との関連性を示す<座標選択の種類>に基づいて、具体的な目標点の位置座標を計算する際に必要となる情報である。付随情報が確定することにより、基準線分と関連する<座標選択の種類>の目標点について、具体的な位置座標が確定される。付随情報の入力は、キーボードデバイス12やマウスデバイス13等により行なわれる。
【0022】
図3に、<座標選択の種類>と付随情報との一例を一覧表に示す。5種類の<座標選択の種類>が例示されている。<座標選択の種類:最近接点>は、カーソル座標に最も近い基準線分上の点であって、所定ピッチを有して配置されているグリッド点の座標が選択される。付随情報として、カーソル座標、グリッド座標系が必要とされる。<座標選択の種類:直角接続点>は、カーソル座標に最も近い基準線分上の点が選択される。付随情報として、カーソル座標が必要とされる。<座標選択の種類:端点からのシフト>は、基準線分の端点(始点または終点)から基準線分の中点に向かって指定された距離(0を含む)だけ移動した座標が選択される。付随情報として、端点種別、移動量、グリッド座標系が必要とされる。<座標選択の種類:中点からのシフト>は、基準線分の中点から基準線分の端点(始点または終点)に向かって指定された距離(0を含む)だけ移動した座標が選択される。付随情報として、端点種別、移動量、グリッド座標系が必要とされる。<座標選択の種類:直角を作る終点>は、基準線分上の設定点と直交する垂線上にあってカーソル座標と水平座標または垂直座標の何れか一方が同一の点のうちカーソル座標に近い点が選択される。付随情報として、設定点座標、カーソル座標が必要とされる。
【0023】
選択された基準線分(S2)、<座標選択の種類>(S3)、および入力された付随情報(S5)に基づいて、目標点の候補座標が計算される(S6)。具体的な計算処理のフローは<座標選択の種類>に応じて異なる。選択された<座標選択の種類>に応じた計算手順のフローが選択される。
【0024】
計算された候補座標が提示され(S7)、所望の候補座標を目標点の位置座標として選択する(S8)。ここで、提示とは、表示ディスプレイ14の画面上に表示されることのほか、プリンタデバイス等に印字出力されること、データファイルとして格納されること、その他の処理に渡されること等であってもよい。
【0025】
ここで、表示ディスプレイ14で確認しながら、キーボードデバイス12または/およびマウスデバイス13により行なわれる基準線分の選択の処理(S2)が第1選択部に相当する。また、必要に応じて表示ディスプレイ14で確認しながら、キーボードデバイス12または/およびマウスデバイス13により行われる<座標選択の種類>の選択の処理(S3)が第2選択部に相当する。更に、キーボードデバイス12または/およびマウスデバイス13により行なわれる<座標選択の種類>に応じた付随情報の入力の処理(S5)が入力部に相当する。また、選択された<座標選択の種類>に応じて適格な候補座標の計算の処理(S6)を選択することが第3選択部に相当する。
【0026】
以下では、図2に示した位置座標取得フローのうち、基準線分の選択(S2)、および候補座標の計算(S6)について、その詳細フローを示す。候補座標の計算(S6)については、図3に示した<座標選択の種類>ごとに計算処理のフローを示す。
【0027】
図4は、基準線分の選択フローである。カーソル座標の位置に応じて、図形を構成する辺の中から基準線分を選択するフローである。カーソル座標の近傍にある辺から基準線分を決定する処理を行なう。右方円内の概念図を参照しながら説明する。カーソル座標CPが入力されると(S11)、カーソル座標CPの所属する格子状領域GA0を特定する(S12)。
【0028】
ここで、格子状領域とは、図形が配置されている座標系において、所定ピッチごとに縦横に区画された矩形領域をいう。例えば、所定ピッチごとのグリッド点を座標位置とするグリッド座標系を考える場合、グリッド点で囲まれる矩形領域である。円内図に示すように、カーソル座標CPの存在する格子状領域GA0は、8つの格子状領域GA1が隣接することとなる。
【0029】
次に、空の辺リストD11を生成する(S13)。辺リストD11とは、後段の選択処理に応じて候補となる辺の情報を順次格納するために確保されるデータファイルである。図形データベース内の辺の情報をアクセスするためのアクセスキーと、カーソル座標CPと辺との最短距離とを、セットとして格納される。
【0030】
以上の準備が完了した後、3重の処理ループにより、候補となる辺を順次リストアップして基準線分が選択される。第1の処理ループR11では、カーソル座標CPの所属する格子状領域GA0とその周囲の格子状領域GA1について順次処理を行なう。第2の処理ループR12では、各格子状領域GA0、GA1に所属するすべての図形について順次処理を行なう。第3の処理ループR13では、各図形を構成するすべての辺について順次処理を行なう。ここで、処理ループR11乃至R13は、図中、一対のR11乃至R13の符号で囲まれた範囲内の処理を繰り返して行なう。したがって、各処理ループR11乃至R13により、順次処理対象が変更されながら、カーソル座標CPと辺との最短距離を計 算して、図形データベースアクセスキーと距離とを辺リストD11に登録する(S14)。ここで、図形データベースアクセスキーとは、図形データベース内の線分の情報を読み出すためのキーである。
【0031】
各辺に対してカーソル座標CPからの最短距離が計算されたら、辺リストD11に格納されている情報を、距離の昇順に整列する(S15)。そして処理ループR14により、辺リストD11内のすべての辺について次の処理を行なう。すなわち、基準線分として採用するとの判断がされるまで(S16:Y)、順次辺を変えながら判断する。採用との判断により、辺リストD11から採用された辺の図形データベースアクセスキーを読み出し(S17)、処理ループR14から抜ける。その後、辺リストD11を消去する(S18)。基準線分が決定された場合には(S19:Y)正常に図2のフローに復帰し、基準線分が決定されない場合には(S19:N)エラー復帰する。
【0032】
次に、候補座標の計算(S6)の処理について説明する。図5、図6は、<座標選択の種類:最近接点>の処理である。図5は、最近接点を示す概念図であり、図6に処理フローを示す。図5の概念図を参照しながら図6の処理フローを説明する。
【0033】
<座標選択の種類:最近接点>の処理が開始されると、選択された基準線分RLの始点(XS、YS)、終点(XE、YE)を図形データベースから読み出し(S21)、基準線分RLの傾きa、Y切片bを計算する(S22、S23)。これにより、基準線分RLの式が求まる(y=ax+b)。
【0034】
次に、処理ループR21により、カーソル座標CPの確定操作が行なわれるまで、キーボードデバイス12やマウスデバイ13等によるカーソル座標CPの移動に応じて、候補座標が逐次提示されることとなる。
【0035】
処理ループR21においては、先ず、カーソル座標CPを取得する(S24)。次に、処理ループR22が開始される。基準線分RL上のすべてのグリッド座標(図5においてはG1乃至G3)について、以下の処理を行なう。すなわち、基準線分RLのグリッド座標を一つ取得する(S25)。そのグリッド座標が初めて取得した座標であれば(S26:Y)、取得したグリッド座標を最短距離の座標と判定し、グリッド座標と距離とを、最短グリッド座標記憶領域D21に更新登録する(S29)。
【0036】
取得したグリッド座標が初めて取得した座標でなければ(S26:N)、グリッド座標とカーソル座標CPとの距離を求め(S27)、最短グリッド座標記憶領域D21に既に記憶されたグリッド座標より近いか否かが判定される(S28)。近ければ(S28:Y)、処理(S29)を行なう。これらの処理をすべてのグリッド座標について行なう。
【0037】
処理ループR22によりすべてのグリッド座標について距離の判定が完了したら、最短グリッド座標記憶領域D21から最短距離のグリッド座標を読み出して候補座標とする(S30)。候補座標を画面上に表示する(S31)。
【0038】
図5に示すように、基準線分RL上の各グリッド座標G1乃至G3が順次選択され、カーソル座標CPとの距離D1乃至D3が計算される。距離D2が最短距離であると判定されグリッド座標G2が目標点座標TPと判定されて、候補座標とされる。
【0039】
図7、図8は、<座標選択の種類:直角接続点>の処理である。図7は、直角接続点を示す概念図であり、図8に処理フローを示す。図7の概念図を参照しながら図8の処理フローを説明する。
【0040】
<座標選択の種類:最近接点>の処理が開始されることにより行われる、処理(S21)乃至(S23)は、図6の<座標選択の種類:最近接点>の処理フローと同様であるので、ここでの説明は省略する。この処理により、基準線分RLの式が求まる(y=ax+b)。
【0041】
次に、処理ループR41により、カーソル座標CPの確定操作が行なわれるまで、キーボードデバイス12やマウスデバイ13等によるカーソル座標CPの移動に応じて、候補座標が逐次提示されることとなる。
【0042】
先ず、カーソル座標CPを取得する(S24)。次に、カーソル座標CPを通り、基準線分RLと直交する直線の基準線分RLとの交点を計算する(S41)。ここで、基準線分RLと直交する直線は、基準線分RLの式(y=ax+b)およびカーソル座標CPより求めることができる。
【0043】
交点を基準線分RL上の点に限定する場合(S42:Y)、交点が基準線分RL上にあるか否かが判断される(S43)。基準線分RL上にあれば(S43:Y)、交点を候補座標とする(S44)。基準線分RL上になければ(S43:N)、直角接続点は存在せず候補座標は未確定であるとの判断をする(S45)。交点を基準線分RL上の点に限定しない場合(S42:N)、交点を候補座標とする(S44)。交点を候補座標とした後(S44)、候補座標を画面上に表示する(S46)。
【0044】
図7に示すように、カーソル座標CPから基準線分RLに下した垂線が、基準線分RLと交差する交点が目標点座標TPと判定されて、候補座標とされる。
【0045】
図9、図10は、<座標選択の種類:端点からのシフト>の処理である。図9は、端点からのシフトを示す概念図であり、図10に処理フローを示す。図9の概念図を参照しながら図10の処理フローを説明する。
【0046】
<座標選択の種類:端点からのシフト>の処理が開始されることにより行われる、処理(S21)乃至(S23)は、図6の<座標選択の種類:最近接点>の処理フローと同様であるので、ここでの説明は省略する。この処理により、基準線分RLの式が求まる(y=ax+b)。
【0047】
次に、端点からの単位移動量L(S51)、および移動回数Ln(S52)を取得する。そして、対象とする端点が始点であるか終点であるかの判断を行なう(S53)。
【0048】
始点が選択されていれば(S53:Y)始点からのシフト座標を求め(S54)、終点が選択されていれば(S53:N)終点からのシフト座標を求める(S55)。端点からの移動量は、単位移動量Lと移動回数Lnとを乗じた距離である。
【0049】
シフト座標を求めた後、求める位置座標はグリッド座標に丸める設定であるか否かを判断する(S56)。グリッド座標に丸める設定であれば(S56:Y)、<座標選択の種類:最近接点>の処理フローを実行する(S57)。ここで、処理(S54)または(S55)で求めたシフト座標をカーソル座標として与えることにより、基準線分RLにある最近接のグリッド座標を求めることができる。このグリッド座標を候補座標とする(S58)。グリッド座標に丸めない設定であれば(S56:N)、処理(S54)または(S55)で求められたシフト座標を候補座標とする(S58)。
【0050】
図9に示すように、基準線分RLの端点(図9では始点を例示)から、移動回数Ln(図9の場合は2回)の単位移動量Lを行なったシフト座標が目標点座標TPと判定され候補座標とされる。
【0051】
図11、図12は、<座標選択の種類:中点からのシフト>の処理である。図11は、中点からのシフトを示す概念図であり、図12に処理フローを示す。図11の概念図を参照しながら図12の処理フローを説明する。
【0052】
<座標選択の種類:中点からのシフト>の処理が開始されることにより行われる、処理(S21)乃至(S23)、および処理(S51)、(S52)は、図10の<座標選択の種類:端点からのシフト>の処理フローと同様であるので、ここでの説明は省略する。処理(S21)乃至(S23)により、基準線分RLの式が求まる(y=ax+b)。また、処理(S51)、(S52)により、単位移動量L,移動回数Lnを取得する。
【0053】
次に、基準線分RLの始点(XS、YS)と終点(XE、YE)とから中点座標を求め(S61)、中点からのシフト座標を求める(S62)。
【0054】
この後、求める位置座標をグリッド座標に丸める設定であるか否かに応じて候補座標を求めていく処理は、図10の<座標選択の種類:端点からのシフト>の処理フローにおける、処理(S56)乃至(S58)の処理と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0055】
図11に示すように、基準線分RLの中点から、移動回数Ln(図11の場合は2回)の単位移動量Lを移動したシフト座標が目標点座標TPと判定され候補座標とされる。
【0056】
図13、図14は、<座標選択の種類:直角を作る終点>の処理である。図13は、直角を作る終点を示す概念図であり、図14に処理フローを示す。図13の概念図を参照しながら図14の処理フローを説明する。
【0057】
<座標選択の種類:直角を作る終点>の処理が開始されると、先ず、基準線分RL上の設定点座標SPを求める(S71)。次に、設定点座標SPを通り、基準線分RLに直交する直線VLを求める(S72)。
【0058】
その後、処理ループR71を行なう。処理ループR71により、カーソル座標CPの確定操作が行なわれるまで、キーボードデバイス12やマウスデバイ13等によるカーソル座標CPの移動に応じて、候補座標が逐次提示されることとなる。
【0059】
カーソル座標CPを取得した後(S24)、カーソル座標CPを通る垂直線YLと直線VLとの交点座標P1を求め(S74)、カーソル座標CPを通る水平線XLと直線VLとの交点座標P2を求める(S75)。
【0060】
交点座標P1、P2とカーソル座標CPとの距離を比較し、交点座標P2とカーソル座標CPとの距離が、交点座標P1とカーソル座標CPとの距離より近い場合(S76:Y)、交点座標P2を候補座標とし(S77)、遠い場合(S76:N)、交点座標P1を候補座標として(S78)。候補座標を画面上に表示する(S79)。
【0061】
図13に示すように、基準線分RL上の設定点座標SPを通る基準線分RLに直交する直線VLを求める。次に、カーソル座標CPを通る垂直線YL、水平線XLが、直線VLと交差する交点座標P1、P2を求める。交点座標P1とカーソル座標CPとの距離、および交点座標P2とカーソル座標CPとの距離とを比較し、カーソル座標CPにより近い交点座標P1が目標点座標TPと判定され候補座標とされる。
【0062】
以上詳細に説明したとおり、本実施形態に係る位置座標取得プログラムによれば、取得したい目標点座標TPに関連する基準線分RLを画面上に表示された図形情報から選択すると共に(S2)、目標点座標TPの有する基準線分RLとの関連属性である<座標選択の種類>を選択し(S3)、<座標選択の種類>に応じて目標点座標TPの位置座標を取得するために必要である付随情報を入力することにより(S5)、基準線分RLに関連する目標点座標TPの位置座標を候補座標として取得することができる。図形上の目標点座標TPの位置座標を基準線分RLと関連付けて取得することができる。
【0063】
位置座標の取得の際に、画面上の図形を確認しながら直観的に捉え易い項目を簡便な方法で選択または入力することで、精度よく目標点座標TPを含む候補座標を取得することができる。座標位置の計算に必要な位置の特定や角度の指定等を煩雑で精度を欠く作業で入力する作業が不要となり、作業者の作業負担の軽減を図りながら、操作上のミスや不正確な位置指定等が排除された正確な位置座標の取得を行なうことができる。
【0064】
また、個々の<座標選択の種類>に関して目標点座標TPの候補座標を取得することにより、以下のような効果を奏することができる。<座標選択の種類:最近接点>による位置座標の取得処理によれば、図15に示すように、既存の任意の角度に回転等された図形Aに接続する新たな図形Bを入力する際に、図形Aとの接続点座標JP1、JP2を容易に取得することができる。
【0065】
また、<座標選択の種類:直角接続点>による位置座標の取得処理によれば、図16に示すように、ルーラー機能等を使用して異なる角度で配置されている図形A、Bの間の距離を測る場合、一方の図形Bの頂点をカーソル座標CPとして、他方の図形Aまでの最短距離を測定することができる。辺上の点の決定を容易に行なうことができる。この場合、図形Bの頂点は、<座標選択の種類:端点からのシフト>において、単位移動量Lを“0”、または移動回数Lnを“0”に設定することにより求めることができる。
【0066】
また、<座標選択の種類:端点からのシフト>および<座標選択の種類:中点からのシフト>による位置座標の取得処理によれば、図17、図18に示すように、図形Aの端点または中点からの所定距離のシフト座標を求めることができる。これにより、半導体製造における露光工程において、端点からの露光強度の測定点を設定する場合、設定座標を容易に得ることができる。
【0067】
また、<座標選択の種類:直角を作る終点>による位置座標の取得処理によれば、図19に示すように、任意の回転角の矩形図形や多角形図形を、各頂点座標を指定する入力方式であるバウンダリ方式で作図する場合、頂点の指定を容易にすることができる。
【0068】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態においては、目標点座標TPが基準線分RL上に存在する場合を中心に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。基準線分RLの延長線上に存在する場合を含むこともできる。
また、基準線分との関連属性として、<座標選択の種類>として図3に示した5種類の関連属性を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。基準線分との間で所定の関連属性を有する目標点であれば、図3の<座標選択の種類>以外にも設定することができる。例えば、<座標選択の種類>として、基準線分の3等分点の位置座標のような関連属性を定義することもできる。
更に、本発明では、基準線分との関連属性を有する目標点の位置座標を取得する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。多角形図形や閉曲面図形等の図形との関連属性を有する目標点の位置座標を取得することも考えられる。例えば、図形の重心点座標や、円の中心点座標等といった位置座標について、図形との関連属性を定義することも可能である。
【0069】
ここで、本発明の技術思想により、背景技術における課題を解決するための手段を以下に列記する。
(付記1) 図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得プログラムであって、
画面上で前記図形を構成する基準線分を選択するステップと、
前記位置座標を取得すべき目標点の、前記基準線分との関連属性を選択するステップと、
前記関連属性に応じた付随情報を入力するステップと、
前記関連属性の選択ステップにより選択された前記関連属性に応じた前記位置座標の計算手順を選択するステップとを有し、
前記計算手順の選択ステップにより選択された前記計算手順にしたがい、前記入力のステップにより取得された前記付随情報に基づいて、前記基準線分に関連した前記目標点の前記位置座標が取得されることを特徴とする位置座標取得プログラム。
(付記2) 前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分上であって前記基準線分外の基準点から最近接距離に存在することであり、
前記付随情報とは、前記基準点の位置座標であることを特徴とする付記1に記載の位置座標取得プログラム。
(付記3) 前記付随情報として、所定ピッチで縦横に並ぶグリッド点を座標位置とするグリッド座標系を更に含み、
前記目標点は、前記グリッド点であることを特徴とする付記2に記載の位置座標取得プログラム。
(付記4) 前記目標点は、前記基準点から前記基準線分に下された垂線と前記基準線分との交点であることを特徴とする付記2に記載の位置座標取得プログラム。
(付記5) 前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分の端点から0を含む所定距離離れて前記基準線分あるいは前記基準線分の延長線上に存在することであり、
前記付随情報とは、前記端点の選択、および前記所定距離であることを特徴とする付記1に記載の位置座標取得プログラム。
(付記6) 前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分の中点から0を含む所定距離離れて前記基準線分あるいは前記基準線分の延長線上に存在することであり、
前記付随情報とは、前記中点から前記目標点の存在する方向、および前記所定距離であることを特徴とする付記1に記載の位置座標取得プログラム。
(付記7) 前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分上の設定点で該基準線分と直交する垂線上であって水平または垂直位置座標において前記基準線分外の基準点と同一の位置座標を有すると共に、前記基準点に近接する位置に存在することであり、
前記付随情報とは、前記設定点、および前記基準点の位置座標であることを特徴とする付記1に記載の位置座標取得プログラム。
(付記8) 前記付随情報として、所定ピッチで縦横に並ぶグリッド点を座標位置とするグリッド座標系を更に含み、
前記目標点は、前記グリッド点であることを特徴とする付記5乃至7の少なくとも何れか一項に記載の位置座標取得プログラム。
(付記9) 図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得方法であって、
画面上で前記図形を構成する基準線分を選択するステップと、
前記位置座標を取得すべき目標点の、前記基準線分との関連属性を選択するステップと、
前記関連属性に応じた付随情報を入力するステップと、
前記関連属性の選択ステップにより選択された前記関連属性に応じた前記位置座標の計算手順を選択するステップとを有し、
前記計算手順の選択ステップにより選択された前記計算手順にしたがい、前記入力のステップにより取得された前記付随情報に基づいて、前記基準線分に関連した前記目標点の前記位置座標が取得されることを特徴とする位置座標取得方法。
(付記10) 図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得システムであって、
画面上で前記図形を構成する基準線分を選択する第1選択部と、
前記位置座標を取得すべき目標点の、前記基準線分との関連属性を選択する第2選択部と、
前記関連属性に応じた付随情報を入力する入力部と、
前記第2選択部により選択された前記関連属性に応じた前記位置座標の計算手順を選択する第3選択部とを有し、
前記第3選択部により選択された前記計算手順にしたがい、前記入力部により取得された前記付随情報に基づいて、前記基準線分に関連した前記目標点の前記位置座標が取得されることを特徴とする位置座標取得システム。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】位置座標取得システムを例示する図である。
【図2】位置座標取得プログラムを例示するフロー図である。
【図3】<座標選択の種類>の一覧を例示する図である。
【図4】基準線分の選択フローを示す図である。
【図5】<座標選択の種類:最近接点>を説明する図である。
【図6】<座標選択の種類:最近接点>取得のフロー図である。
【図7】<座標選択の種類:直角接続点>を説明する図である。
【図8】<座標選択の種類:直角接続点>取得のフロー図である。
【図9】<座標選択の種類:端点からのシフト>を説明する図である。
【図10】<座標選択の種類:端点からのシフト>取得のフロー図である。
【図11】<座標選択の種類:中点からのシフト>を説明する図である。
【図12】<座標選択の種類:中点からのシフト>取得のフロー図である。
【図13】<座標選択の種類:直角を作る終点>を説明する図である。
【図14】<座標選択の種類:直角を作る終点>取得のフロー図である。
【図15】<座標選択の種類:最近接点>の効果を示す図である。
【図16】<座標選択の種類:直角接続点>の効果を示す図である。
【図17】<座標選択の種類:端点からのシフト>の効果を示す図である。
【図18】<座標選択の種類:中点からのシフト>の効果を示す図である。
【図19】<座標選択の種類:直角を作る終点>の効果を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1 位置座標取得システム
11 演算手段
12 キーボードデバイス
13 マウスデバイス
14 表示ディスプレイ
D11 辺リスト
D21 最短グリッド座標記憶領域
CP カーソル座標
RL 基準線分
SP 設定点座標
TP 目標点座標
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得プログラムであって、
画面上で前記図形を構成する基準線分を選択するステップと、
前記位置座標を取得すべき目標点の、前記基準線分との関連属性を選択するステップと、
前記関連属性に応じた付随情報を入力するステップと、
前記関連属性の選択ステップにより選択された前記関連属性に応じた前記位置座標の計算手順を選択するステップとを有し、
前記計算手順の選択ステップにより選択された前記計算手順にしたがい、前記入力のステップにより取得された前記付随情報に基づいて、前記基準線分に関連した前記目標点の前記位置座標が取得されることを特徴とする位置座標取得プログラム。
【請求項2】
前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分上であって前記基準線分外の基準点から最近接距離に存在することであり、
前記付随情報とは、前記基準点の位置座標であることを特徴とする請求項1に記載の位置座標取得プログラム。
【請求項3】
前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分の端点から0を含む所定距離離れて前記基準線分あるいは前記基準線分の延長線上に存在することであり、
前記付随情報とは、前記端点の選択、および前記所定距離であることを特徴とする請求項1に記載の位置座標取得プログラム。
【請求項4】
前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分の中点から0を含む所定距離離れて前記基準線分あるいは前記基準線分の延長線上に存在することであり、
前記付随情報とは、前記中点から前記目標点の存在する方向、および前記所定距離であることを特徴とする請求項1に記載の位置座標取得プログラム。
【請求項5】
前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分上の設定点で該基準線分と直交する垂線上であって水平または垂直位置座標において前記基準線分外の基準点と同一の位置座標を有すると共に、前記基準点に近接する位置に存在することであり、
前記付随情報とは、前記設定点、および前記基準点の位置座標であることを特徴とする請求項1に記載の位置座標取得プログラム。
【請求項1】
図形表示された画面上の位置座標を取得する位置座標取得プログラムであって、
画面上で前記図形を構成する基準線分を選択するステップと、
前記位置座標を取得すべき目標点の、前記基準線分との関連属性を選択するステップと、
前記関連属性に応じた付随情報を入力するステップと、
前記関連属性の選択ステップにより選択された前記関連属性に応じた前記位置座標の計算手順を選択するステップとを有し、
前記計算手順の選択ステップにより選択された前記計算手順にしたがい、前記入力のステップにより取得された前記付随情報に基づいて、前記基準線分に関連した前記目標点の前記位置座標が取得されることを特徴とする位置座標取得プログラム。
【請求項2】
前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分上であって前記基準線分外の基準点から最近接距離に存在することであり、
前記付随情報とは、前記基準点の位置座標であることを特徴とする請求項1に記載の位置座標取得プログラム。
【請求項3】
前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分の端点から0を含む所定距離離れて前記基準線分あるいは前記基準線分の延長線上に存在することであり、
前記付随情報とは、前記端点の選択、および前記所定距離であることを特徴とする請求項1に記載の位置座標取得プログラム。
【請求項4】
前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分の中点から0を含む所定距離離れて前記基準線分あるいは前記基準線分の延長線上に存在することであり、
前記付随情報とは、前記中点から前記目標点の存在する方向、および前記所定距離であることを特徴とする請求項1に記載の位置座標取得プログラム。
【請求項5】
前記関連属性とは、前記目標点が、前記基準線分上の設定点で該基準線分と直交する垂線上であって水平または垂直位置座標において前記基準線分外の基準点と同一の位置座標を有すると共に、前記基準点に近接する位置に存在することであり、
前記付随情報とは、前記設定点、および前記基準点の位置座標であることを特徴とする請求項1に記載の位置座標取得プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−257093(P2007−257093A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77881(P2006−77881)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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