説明

位置情報処理システム

【課題】位置情報を,位置情報送信機,または位置情報受信機側に過大な負荷を与えることなく,その位置において要求される精度または範囲で提供する。
【解決手段】屋内において位置情報を提供する位置情報送信機と,当該位置情報を受信する位置情報受信機とからなる位置情報処理システムであって,前記位置情報送信機が送信する位置情報を,位置情報の精度に応じて分割した上で非同期に送信し,前記位置情報受信機において当該分割された情報を組み立てて,または組み立てることなく,当該位置情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,位置情報処理システム,位置情報送信機または位置情報受信機に係わり,特に衛星からの電波受信だけでは必要な位置情報の取得が困難な場合に適した位置情報受信機位置情報処理システム,位置情報送信機または位置情報受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
位置情報の取得に,GPSが利用されることが多くなっている。GPSとは,Global Positioning Systemの略で,衛星を使った測位システムの一つである。地上約2万キロメートルの所を飛んでいる衛星からの電波に載せられた時刻情報を受信し計算することで,地球上における受信した場所の位置(緯度,経度,高さ)を知ることができるシステムであり,米国で開発されたものである。
【0003】
この測位システムの一般名称は,GNSS(Global Navigation Satelite System,「全地球測位システム」と訳される)であり,GPS以外にロシア連邦のグローナス(GLONASS),欧州連合のガリレオ(Galileo),日本の準天頂衛星システムといった測位システムも予定されているが,本明細書においては,これらを総称してGPSと呼称することとする。
【0004】
GPSによる測位は,GPS衛星から送信される時刻情報を受信することが必要なので,トンネル,地下,屋内など,時刻情報を乗せた電波を必要な強度で受信できない環境(屋内と総称する)では,必要な精度の位置情報の取得が困難な場合がある。屋内でGPSを利用する対策としては,時刻情報を乗せた電波を受信・増幅して再放射させる方法と,超高感度の位置情報受信機を用いる方法がある。
【0005】
前者においては,時刻情報を乗せた電波を屋内に引き込む為に,屋内に電波を伝送させる有線ケーブルの敷設工事が必要となり,特に地下深くに位置情報を提供する為には,相当コストが必要になる。また後者においては,高感度である分ノイズの影響を受け易く,測位に誤差が生じやすいことが問題となっている。
【0006】
GPSを利用しない,屋内での位置情報の提供方法としては,無線LANを用いる方法(例えば非特許文献1参照)を始め,近距離無線通信,UWB(超広帯域無線),可視光通信・赤外線通信などを用いる方法がある。例えば,非特許文献1に示すシステムは,測位専用のデバイスを必要とせず,無線LANの基地局が定期的に発信しているビーコン波に含まれる情報を,位置の特定に用いる。
【0007】
一方,特許文献1には,これらの測位方法に頼らず,現存のGPSによる電波を受信する装置(以下,位置情報受信機という)によって,GPSの電波が到達しない場所においても,位置情報を提供する方法が提案されている。
【0008】
当該文献には,測位のための信号を発信する衛星からの電波の受信が困難な場所においても精度を低下させることなく位置情報を提供することが可能とする技術が記載されている。具体的には,屋内位置情報送信機が,位置情報を送信し,位置情報受信機が当該情報を受信するというものである。
【0009】
【非特許文献1】「Place engine」,Koozyt, Inc., Tokyo, Japan,[online]インターネット,[平成20年4月7日検索],<URL:http://www.placeengine.com/en>
【特許文献1】特開2007−278756号公報(段落0033,0096,0100,図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
非特許文献1に示す方法では,被測位側の端末には,通信に無線LANを使う必要がない場合であっても,位置を特定するだけの為に無線LANの通信デバイスを具備しなければならない。また,無線LAN基地局が存在しない場所では,測位ができない。
【0011】
特許文献1に示す方法は,位置の表現形式として固定のビット列を用いている。このような固定長のビットを用いた場合,提供できるのは特定の精度の位置情報になるので,屋内特有の用途では精度が十分でない場合がある。例えば,小売店の陳列棚における商品の検索や,商品管理では,位置の精度は数センチ程度が必要とされ,一方,航空機の内部で利用するような場合には,高度10000メートルを越える精度の表現が必要とされる。
【0012】
また,特許文献1に示す方法において,現存するGPSが提供する位置情報の精度(数メートルから10メートル程度の誤差)を実現しようとすると,高さ方向に9ビット(誤差1メートル程度),緯度方向に23ビット(誤差2.5メートル程度),経度方向に24ビット(誤差2.5メートル程度)が必要になり,それらの情報を現存のGPSの情報転送方法を用いて転送すると,転送速度は50ビット毎秒となるので,必要な制御情報を添付した場合,最良の状態でも1.8秒の転送時間が必要となる。位置情報送信機による位置情報の提供範囲(以下,セルと称す)の半径を例えば10m程度と想定した場合,100km/時の移動速度だと0.74秒程度で通過することになり,高速で移動する移動体に対して,有効に位置情報を提供できないことになる。
【0013】
すなわち,従来技術では,GPS衛星から送信される時刻情報の受信が困難な場所での位置情報の提供や利用にコストがかかったり,また,必要な精度の位置情報を短時間で提供できなかったりする,という課題があり改善が望まれていた。
【0014】
さらに,従来技術には,位置情報送信機の設置方法や,保守方法についても開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明が提供する位置情報処理システムは,位置情報を,位置情報送信機,または位置情報受信機に過大な負荷を与えることなく,その位置において要求される精度または範囲で提供する。
【0016】
さらに,本発明が提供する位置情報処理システムは,上記セルを通過する時間が短い場合においても,高速な情報転送レートを用いることなく,必要な精度の位置情報を提供する。
【0017】
また,本発明が提供する位置情報処理システムは,GPS衛星から送信される時刻情報を受信することが困難な場所において,位置情報送信機が提供すべき位置情報を,当該装置に簡便に設定する技術を提供する。
【0018】
また,本発明が提供する位置情報処理システムは,位置情報送信機への位置情報の設定方法や,その故障情報や,保守情報を,保守を管理する保守センタの装置等に転送する方法を提供する。
【0019】
具体的な,本発明の一態様は,
位置情報を送信する一つ以上の位置情報送信機と当該位置情報を受信する位置情報受信機とを含んで構成される位置情報処理システムであって,
当該位置情報処理システムが位置情報受信機に提供する位置情報は,緯度,経度,高度のいずれか一種類以上を含み,各種類の位置情報それぞれが,1ビット以上からなる複数の部分位置情報に分割され,
各々の位置情報送信機には,いずれか一つ以上の種類,および/または,各種類ごとにいずれか一つ以上の部分位置情報が設定されており,設定されている部分位置情報を他の位置情報送信機の送信とは独立した送信スケジュールにしたがって送信し,
位置情報受信機は,位置情報送信機が送信した部分位置情報を受信し,
取得した種類またはパートが異なる複数の部分位置情報を組み合わせ,当該位置情報受信機が必要とする精度の位置情報を算出することを特徴とする。
【0020】
また,一つの位置情報送信機は,設定されている,いずれか一つ以上の種類,および/または,各種類ごとにいずれか一つ以上の部分位置情報を,互いに独立した送信スケジュールにしたがって送信するものであってもよい。
【0021】
また,位置情報受信機は,複数の時刻情報を受信して当該時刻情報に基づき位置情報を算出する手段を備え,
組み合わせる複数の部分位置情報の一つとして,時刻情報に基づき算出した位置情報を用いるものであってもよい。
【0022】
また,組み合わせる複数の部分位置情報として,位置情報送信機が送信する,異なる部分位置情報を複数用いるものであってもよい。
【0023】
また,位置情報受信機は,
過去算出した位置情報を時系列で記録しておき,
新たに位置情報を算出する際に,記録されている位置情報を参照して,当該位置情報受信機の移動方向,および/または移動速度を算出して妥当性を検証し,
新たに算出する位置情報を補正するものであってもよい。
【0024】
また,位置情報受信機が取得する部分位置情報は,当該位置情報受信機が必要とする精度の位置情報の算出に利用しない部分位置情報を含むものであってもよい。
【0025】
本発明の他の態様は,
さらに,位置情報送信機に位置情報を設定する位置情報設定装置と,を含んで構成される位置情報処理システムであって,
位置情報設定装置と位置情報送信機は,共通の媒体を利用する媒体利用手段を備え,
位置情報設定装置は,確定した位置情報を複数含むデジタル化された地図情報に基づき,位置情報送信機に設定する位置情報を算出し,
媒体利用手段を介して,算出した位置情報を,出力し,
位置情報送信機は,媒体利用手段を介して,位置情報を受け入れ,設定することを特徴とする。
【0026】
なお,上記媒体とは,メモリカードなどの記憶媒体であるか,または,無線LANなどの通信媒体であってもよいし,媒体利用手段とは,メモリカードなどの記憶媒体の読み書き装置であるか,または,無線通信装置であってもよい。
【0027】
本発明の他の態様は,
さらに,位置情報送信機を管理するセンタ装置を含んで構成される位置情報処理システムであって,
位置情報受信機と,センタ装置とは,共通の媒体を利用する媒体利用手段を備え,
位置情報送信機は,保守情報を送信し,
位置情報受信機は,保守情報を受信し,媒体利用手段を介して,受信した保守情報を,センタ装置に送信することを特徴とする。
【0028】
上記態様によれば,位置情報は分割により,広い範囲を粗く(低い精度で)表現する上位の部分位置情報と,狭い範囲を高い精度で表現する下位の部分位置情報と,の少なくとも二つに分けられる。位置情報送信機上位の部分位置情報は広い範囲で受信される必要があるため,位置情報送信機は少数で良いが,送信出力は高くなり,下位の部分位置情報は狭い範囲で受信できればよいため,位置情報送信機は多数必要だが,送信出力は低くて良い。また,位置情報受信機は,上位の部分位置情報がカバーする範囲が広いため受信頻度は低くて良く,下位の部分位置情報がカバーする範囲が狭いため受信頻度は高くなる。
【0029】
高速で移動するときは,高い頻度で位置情報を取得する必要があるが,本発明では,全体ではなく下位の部分位置情報を受信すれば良いため,受信に必要な時間も短くて済み,位置情報受信機の高速移動にも追従が可能になる。
【0030】
上記態様によれば,時刻情報から算出できる位置情報と同じ精度の位置情報を算出できる部分位置情報を送信することで,時刻情報が受信できない環境においても位置情報を利用することが可能になる。
【0031】
さらに,上記態様によれば,時刻情報から算出できる位置情報より精度の高い(下位の)部分位置情報を,位置情報送信機に設定し送信させ,位置情報受信機に受信させることにより,さらに高い精度の位置情報を提供することが可能になる。
【0032】
また,屋外において提供されうる位置情報処理システムから得られた位置情報を,当該位置情報を受信する位置情報受信機内部に記憶しておき,屋内に設置された位置情報送信機が送信する位置情報を,屋外で取得した位置情報と組み合わせて,必要な位置情報を取得してもよい。
【0033】
すなわち,位置情報受信機はすでに屋外で取得済みの位置情報を格納しておき,上記1または2以上の屋内位置情報送信機によって提供される断片的な情報だけを置き替えることによって,その位置において必要とされる精度または範囲の位置情報を提供され得る。また,短い時間で転送可能であることにより,上記と同じ効果が得られる。
【0034】
また,上記の位置情報を組み立てる際に,位置情報受信機において過去における当該位置情報送信機の位置,移動方向,または移動速度を参酌して,当該位置情報送信機の位置情報を算出し,当該情報の妥当性を算出してもよい。すなわち,上記1以上の屋内に設置された位置情報送信機によって提供される部分位置情報だけを置き替える場合において,単なる置き換えでは,所望の位置情報を得られず,その置き換えに加えて,すでに位置情報送信機内部に格納されている他の部分位置情報の補正を行う必要が生じる場合がある。例えば,情報ビットの桁上がりを考慮する必要がある場合などが考えられる。このような場合,当該位置情報送信機の過去の移動速度等に基づき,移動速度,移動方向などを推定することにより,妥当性のある補正方法を決定し,補正処理を施すことで,位置情報の信頼性を向上させ得る。
【0035】
上記の各態様によれば,時刻情報に基づき位置情報が算出できない,あるいは,算出する位置情報の精度が不十分な場合であっても,位置情報受信機が必要とする精度の位置情報を提供することが可能になる。
【0036】
また,記憶媒体のプログラムを実施可能な情報処理装置を用いて,地図上の任意の場所の位置情報を算出し,当該算出した位置情報を当該記憶媒体に記録し,当該記憶媒体の内容を当該位置情報送信機に設定してもよい。すなわち,位置情報の得られない場所において,地図と地図上で確認されている既知の位置情報を用いて数値変換を行い,地図上の任意の場所の位置情報を算出し,設定することにより,位置情報送信機への正確な部分位置情報の設定が容易になる。
【0037】
また,位置情報送信機において保守または故障情報を検知し,当該検知した情報を,位置情報受信機,サービスプロバイダ(ASP)を介して,当該位置情報送信機を管理するセンタに転送してもよい。すなわち,位置情報送信機は,セルの範囲を対象として位置情報を送信する装置であるが,当該位置情報以外の情報もセル範囲に転送し,その情報を受信した位置情報受信機から当該位置情報受信機の通信機能を介して,当該情報をリモートにあるセンタに転送することにより,位置情報送信機の保守,管理が容易になる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば,位置情報受信機は,受信場所および/または移動速度の影響を受けにくくなり,必要な精度の位置情報を,より確実に取得可能になる。
【0039】
また,本発明によれば,位置情報送信機への位置情報の設定や,保守が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明の実施の形態について説明を行う。
【実施例1】
【0041】
図1は位置情報処理システム1の全体像を示す図である。
【0042】
建物100は,住宅・ビルなどの建造物であり,人がその建造物の中で生活したり,仕事をしたり,ショッピングしたりする空間を有する。1階建て住宅,複数階建て住宅,高層ビル,地下街などの建造物が含まれる。建物100には,出入り口101があり,例えば,人が建物100に出入りすることができる。
【0043】
位置情報処理システム1は,例えば,位置情報送信機123,位置情報受信機130とを含んで構成され,位置情報受信機130は,位置情報送信機123や,複数の人工衛星110が送信する時刻情報を受信する。
【0044】
人工衛星110は,GPSを構成する衛星である。人工衛星110は,電波や光,赤外線などを送信媒体として時刻情報を送信する。
【0045】
同様に,位置情報送信機123は,電波や光,赤外線などを送信媒体として位置情報を含む無線信号を送信する。無線信号は,例えば,L1信号と呼ばれる1.57542GHzや,また,L2信号,L3信号であるとする。位置情報送信機123は,例えば,BPSK変調方法によりデジタルデータ化されたデジタルデータを,無線信号により送信する。また,デジタルデータはC/Aコードと呼ばれるスペクトラム拡散符号でコード化される。GPSにおいては,C/Aコードをその衛星番号を示すものとしても使用し,これをPRN(Pseudo Random Noisecode)番号と呼ぶ。
【0046】
デジタルデータは例えば,1ミリ秒に1ビットずつ送信され,30ビットで1サブフレームのメッセージを構成し,単一または複数のサブフレームによってフレームを構成する。さらに,単一または複数のフレームによってNAVIデータを構成する。NAVIデータは,繰り返し送信される。
【0047】
人工衛星110と,位置情報送信機123とが送信するNAVIデータのメッセージ構造は異なる。人工衛星のNAVIデータは,例えば,ICD−GPS仕様(ICD−GPS−200C)に基づくものである。位置情報送信機123のNAVIデータは,位置情報メッセージと呼び,例えば,高さ情報,緯度情報,経度情報を含んで構成される。さらに,例えば,屋内フラグ情報,周辺チャンネル,センサ情報のいずれか一つ以上を含んでも良い。
【0048】
図2は,位置情報送信機123の構成を例示する図である。
【0049】
位置情報送信機123は,位置情報メッセージを無線信号によって送信する装置であり,アナログ処理部201,デジタル処理部202,クロック部206,電源207,シリアルI/F208,設定・表示インターフェース210を含んで構成されている。
【0050】
アナログ処理部201はデジタル処理部202から出力されたビット列を用いて,例えば1.57542GHzの搬送波を変調して送信信号を生成してアンテナ205に送出する。アナログ処理部201は,搬送波生成部217,変調回路203,D/A変換器204を含んで構成されており,アンテナ205と接続されている。搬送波生成部217は,クロック部206から得られた基準周波数,例えば10.23MHzを使用して,1.57542GHzの搬送波を生成するものである。
【0051】
デジタル処理部202は送信する無線信号のNAVIメッセージのデジタル信号を生成するものであり,CPU211,RAM212,不揮発メモリ213を含んで構成されており,D/A変換器204と接続されている。
【0052】
変調回路203は,例えばD/A変換器204から得られたデータにBPSKの変調を行うものであり,D/A変換器204はデジタルデータをアナログに変換するものであり,デジタル処理部202と接続されている。アンテナ205はアナログ処理部201からのアナログ信号を電波変換して,空中に無線信号を飛ばすものであり,アナログ処理部201と接続されている。クロック部206はCPU211に対して,動作の指針となるクロック,例えば10.23MHzの基準周波数を与える部品であり,CPU211,搬送波生成部217と接続されている。
【0053】
シリアルI/F208はCPU211との間のデータのやり取りを行うためのI/Fであり,データを一度に1ビットずつ転送する通信チャンネルを利用する。例えば,RS232C,UARTである。なお,シリアルI/F208の代わりにパラレルI/FやUSB I/Fなどを使用しても良い。
【0054】
設定・表示インターフェース210は,ボタンやディップスイッチなどによりCPUに値を設定する入力インターフェース,および/または,ディスプレイやLEDなどのユーザの入力結果などをユーザに認識させるための表示インターフェースである。
【0055】
CPU211は機器の動作に関する計算処理や制御を,主にROMやRAM212に格納されるプログラムを実行することにより実現する演算処理装置であり,不揮発メモリ213,クロック部206,RAM212,シリアルI/F208,設定・表示インターフェース210と接続されている。RAM212はCPU211が実行するプログラムが静的または動的に必要とする,変数やメッセージデータなどの可変データを記憶するメモリである。不揮発メモリ213はCPU211が実行する位置情報送信プログラム215と,当該プログラムが利用する位置情報管理テーブル214を記憶している
図3は,位置情報受信機130のハードウェア構成を例示する図である。
【0056】
位置情報受信機130は,ネットワーク接続コントローラ704,CPU720,メモリ722,キー入力インターフェース708を制御するキー入力コントーラ706,マイク714,スピーカ712を制御する音声入出力コントローラ710,モニタコントローラ716,GPSレシーバ726から位置情報を取得する,GPSレシーバモジュール724が,バスなどの内部信号線702によって接続される構成を有している。
【0057】
図4に,位置情報受信機130のメモリ722に格納されるソフトウェアの構成を例示する図である。
【0058】
位置情報受信機130のソフトウェア構成は,携帯電話等のネットワークとの間でメッセージの送受信を実施するネットワーク制御ドライバ772と通信管理モジュール770,送受信メッセージの一時的な格納を実施する送信キュー766,および受信キュー768,位置情報受信機130においてモニタ,キーボード等との情報交換を実施するための,入出力装置制御ドライバ750,音声制御処理モジュール754,GPS信号処理モジュール756,キー入力処理モジュール758,モニタ制御処理モジュール760,リモートログインモジュール762,受信した位置情報が格納される位置情報記録エリア752(後述する)を含んで構成される。リモートログインモジュール762は,後述するアプリケーションンサービスプロバイダ(以下,ASPと称す)の装置であるASPサーバ140とメッセージを交換する為のコネクション,セッションの確立を行う。
【0059】
図2,図4に示す各ソフトウェアを,各装置上でCPU211または720が実行することにより,所定の機能が実現される。ただし,以下の説明では,便宜上,各プログラム(モジュール)を実行主体として説明することがある。また,各ソフトウェアは,あらかじめ,上記メモリ213または722内に格納されていても良いし,必要なときに,当該装置が利用可能な,着脱可能な記憶媒体または通信媒体(すなわち通信回線または通信回線上のデジタル信号や搬送波)を介して,メモリ213または722にインストールされてもよい。
【0060】
図5に,図3に示すメモリ722に格納されている,本実施例で扱う位置情報に含まれる緯度,経度,高度,およびこれら情報を取得した時刻を格納する位置情報記憶エリア(752−1〜752−6)の構成を示す。本実施例では,位置情報は,緯度,経度,高度の3種類で構成され,緯度,経度,高度はそれぞれ8ビット長の,パート0からパート3の4つの部分位置情報を含んで構成されるもの,と定義する。位置情報記憶エリア752は,パート0〜3の部分位置情報を格納する32ビット長のメモリ領域であって,さらに当該情報を取得または更新した時刻が,そのメモリ領域の先頭に記載される。位置情報記憶エリア(752−1〜752−3)には,一つ前に取得した位置情報が格納され,位置情報記憶エリア(752−4〜752−6)には,最新の位置情報が格納される。
【0061】
なお,緯度については32ビット中のパート1からパート3の部分位置情報24ビットで基本的な位置を表現する。単位はdegとし,符号付きであって,LSB は000011degであり,マイナス90degからプラス90deg を表現するものとする。これは,南北方向で約1.2m に相当する。経度については,32ビット中のパート1からパート3の部分位置情報24ビットで基本的な位置を表現する。単位はdeg とし,符号付きであって,LSB は000021degであり,マイナス180degからプラス180deg を表現するものとする。これは,赤道上において東西方向で約2.4m に相当する。高度については,32ビット中のパート1からパート3の部分位置情報24ビットで基本的な位置を表現する。単位はメートルとし,符号付きであって,マイナス8388608mからプラス8388608mを表現するものとする。なお,パート0には初期状態では0が書き込まれている。
【0062】
図6は,位置情報送信機123が送信する位置情報が格納される情報パケット1231の構成を示している。当該パケットは,30ビットで構成され,上述のNAVIデータを構成する1つのサブフレームのメッセージに相当する。具体的には,第1〜8ビットでプリアンブルを,第9〜10ビットでメッセージタイプ,第15〜22ビットでデータを示す。メッセージタイプは,当該メッセージの内容を示すものであり,位置情報,または,後述する保守情報を区別するものであり,位置情報の場合は,9ビット目,10ビット目ともに1が挿入され,保守情報の場合はともに0が挿入される,ものとする。以後,2ビットの値の組を表現する場合には,(下位ビット値,上位ビット値)という表記を用いる。
【0063】
第11〜12ビットは,位置情報の種類を表現するビットとする。位置情報の種類には,緯度,経度,高度の3種類があり,それぞれ(01)(10)(11)と表現する。第13〜14ビットは,位置情報記録エリア752−1の格納する位置を示し,(00)の場合は第25〜32ビットに,(01)の場合は,第17〜24ビットに,(10)の場合は,第9〜16ビットに,(11)の場合は,第1〜8ビットに,それぞれデータを格納する。
【0064】
以上の割り当てにより,たとえば,第11〜12ビットが(01),第13〜14ビットが(00)の場合,このデータは,緯度情報として,位置情報送信機の位置情報記録エリア752−1の25〜32ビットに,格納されることになる。同様に,第第11〜12ビットが(01),第13〜14ビットが(01)の場合は位置情報記録エリア752−1の第15〜24ビットに,(10)の場合は第7〜16ビットに,(11)の場合は第1〜8ビットに,第17〜24ビットの8ビットの情報が格納される。なお,当該送信パケットの形式は一例に過ぎず,本実施例のものに限定する必要はない。
【0065】
上述のように,本実施例における位置情報には,緯度,経度,高度の3種類があって,それぞれは,パート0〜3の4種類から構成されている。本実施例の位置情報送信機123は,自装置に設定されている位置情報を,位置情報管理テーブル214に格納しており,位置情報送信プログラム215などに予め設定された送信スケジュールに従って,指定された種類,指定されたパートの部分位置情報に基づき,上記情報パケット1231を構成して送信する。
【0066】
予め設定された送信スケジュールは,すべてを同じ頻度で送信するものであってもよいし,後述する実施形態を実現するように,利用状況に合わせて位置情報の種類別に送信頻度を変えて送信するものであってもよい。すなわち,一つの位置情報送信機123は,設定されている,いずれか一つ以上の種類,および/または,各種類ごとにいずれか一つ以上の部分位置情報を,互いに独立した送信スケジュールにしたがって送信してもよい。また,指定されたいずれか一つ以上の種類,および/または,指定されたいずれか一つ以上のパートだけを送信するものであっても良い。さらに,一つの位置情報送信機123は,他の位置情報送信機123の送信とは独立した送信スケジュールにしたがって送信してもよい。
【0067】
利用状況にあわせた種類,パートの情報を,利用状況にあわせた頻度で送信することにより,必要な位置情報を,効率よく提供,または,取得することが可能になる。
【0068】
図7は,本実施例における位置情報受信機130の位置情報の処理を示すフロー図であり,GPS信号モジュール756を実行することにより実現される。
【0069】
位置情報受信機130が,屋外にあるときは,人工衛星110から受信した時刻情報に基づき算出した,緯度,経度,高度の位置情報を,メモリ722の位置情報記憶エリア752−1,752−2,752−3に記憶する。屋内に入った時,位置情報受信機130は,位置情報送信機123−0,123−1,123−2,123−3から,それぞれ情報パケット1231の受け取りを開始する。
【0070】
位置情報受信機130が屋外にあるのか屋内にあるかについての判定は,たとえば,位置情報送信機123からの電波の受信の有無,または信号レベルの比較によって行う。位置情報送信機123が,デジタルデータをC/Aコードと呼ばれるスペクトラム拡散符号でコード化し,PRN番号と呼ばれる番号に基づいてコード化して送信するとすれば,位置情報送信機123からの電波の受信の有無については,PRN番号で判断することができる。
【0071】
位置情報受信機130のGPS信号モジュール756は,GPSレシーバ726とGPSレシーバモジュール724を介して,受信した電波からデジタル信号を取り出し(ステップ1000),当該信号からPRN番号を抽出する。このPRN番号が位置情報送信機を示す(たとえば,PRN番号173〜182)ものである場合(ステップ1002でYES)には,位置情報送信機からのデータ取り出しを行う。具体的には前述したように,メッセージ,位置情報のデータを取り出す(ステップ1006)。この位置情報のデータは,前回に取得,あるいは計算した位置情報とマージする。具体的には,受信した情報パケット1231から位置データ8ビットを取り出し,緯度,経度,高度のいずれであるかを示す第11,12ビットと,格納位置を示す第13,14ビットとを参照して,対象となる情報のいずれかのパートに上書きする。
【0072】
一方,PRN番号が位置情報送信機を示すものではない場合(ステップ1002でNO),GPS信号モジュール756は,既存のGPS信号の処理によって位置情報を算出する(ステップ1004)。なお,ステップ1004,または,ステップ1006において算出され,または構成された位置情報は,この段階では,メモリ領域(752−1,752−2,752−3)には格納せず,メモリ領域(752−4,752−5,752−6)に一時的に格納し,メモリ領域(752−1,752−2,752−3)に格納された前回の位置情報と比較する(ステップ1008)。
【0073】
本実施例では,「速度」の概念を使って比較する場合について説明する。メモリ領域752−7〜9は,前記屋外または屋内において取得された位置情報と取得時刻を利用して,その速度を算出した値が,遡って三回分残されており,メモリ領域752−10〜12には,位置情報受信機130の起動時から現段階までの,その速度の最大,最小値,平均値が格納されている。
【0074】
ステップ1008において,一時的に配置された位置情報(752−4〜6)と,前回取得した位置情報(752−1〜3)を使って,新しい速度を算出する。速度は,緯度,経度,高度の差分情報二乗和の平方根の値を,時刻差分の商算を行うことで得られる。但し,図7のアルゴリズムでは,ステップ1000でGPS電波の受信をする度に,ステップ1008で計算を行うので,緯度,経度,高度の差分のいずれかが0になることもあり,正確な速度の取得ができないことがあるが,ステップ1008の目的は,あまりに異常な位置情報受信機の移動を検知するというものであるから,正確な速度を計測する必要はない。
【0075】
ステップ1010において,上記算出した速度と,メモリ領域752−7〜9またはメモリ領域752−10〜12に記録されている速度情報を参照して,位置情報の妥当性を検討する。例えば,それまで時速3km程度で歩行していた人が,数秒の間に1kmも移動するような移動をしたと判断されるような場合,この取得した位置情報には妥当性がないと考えるべきである。
【0076】
上記の結果を踏まえ,ステップ1012でさらに位置情報の補正が必要か否かを判断し,必要に応じて補正する。以下に本ステップの内容を説明する。
【0077】
パート1の8ビットの情報は,概算で南北方向で約250メートル,東西方向で約500メートル程度を表現しうるが,しかし,場所によっては9ビット目の情報が切り替わる場所が存在する。この場合であっても,位置情報記録エリア752−1のパート2の情報を送信する位置情報送信機123を,その切り替わる場所に設置しておけば問題を回避することができるが,パート2の情報を送信する位置情報送信機123がない場合であったとしても,位置情報受信機130のGPS信号処理モジュール756において,9ビット目以上の上位のビットの情報が切り替わったことを推測するアルゴリズムを実行することで対応可能となる。
【0078】
例えば,パート1の情報を送信する位置情報送信機123−1の情報パケット1231の8ビットのデータの,予め定めた上位数ビットが″1″となっていた場合に,これらがある時点において,″0″となる位置情報を受信した場合には,これは9ビット目に桁が上ったと考えてよい。移動中の歩行者または車両が,瞬時に8ビット分の位置の移動を行うことは不合理であるからである。このような場合には,位置情報受信機130は,位置情報送信機123からパート2の位置情報を得ることなく,位置情報記録エリア752−1の9ビット目以上の上位ビットの情報を,自己のアルゴリズムに基づいて変更する。
【0079】
また,当該アルゴリズムにより,当該位置情報記録エリア752−1から位置情報を取り出して,一定時間毎の位置情報を格納し,当該位置情報送信機123の利用者の移動速度を推測することもできる。この推測した移動速度を用いて,位置情報記録エリア752−1の9ビット目以上の上位ビットの情報を,自己のアルゴリズムに基づいて修正しても良い。例えば,時速4kmの速度の移動対象が,その中間的な速度を経ることなく,いきなり時速100km程度の移動を開始したような場合や,その逆の場合が該当する。このような場合には,例えば図5の752−4〜6のいずれかのパート2の情報を送信する位置情報送信機123からの情報を受信できなかったと判断し,修正することで,問題を解決し得る。
【0080】
上述のアルゴリズムにおけるステップ1006〜1012の詳細を以下に記載する。
【0081】
ステップ1006において,
(Step.1) 位置情報送信機123から情報パケット1231を取得する。
(Step.2) 情報パケット1231を解析して,緯度,経度,高度の何れの種類か,または0〜3の何れのパートかを判別した後,当該情報パケット1231の8ビットのデータを取り出す。
(Step.3)緯度,経度,高度の何れかに該当する位置情報記録エリア752−4〜6に記録されている情報を取り出し,位置情報記録エリア752−1〜3に格納した後,(Step.2)で取り出した8ビットのデータを,該当するパートに上書きをする。
【0082】
ステップ1008において,
(Step.4)当該上書きをしたビット列の情報と,位置情報記録エリア752−1〜3のいずれかに記録されている同じ種類の情報を比較して,その差異を距離として算出する。
(Step.5)算出した距離を,さらに今回と前回の取得した時刻情報との差分で商算することで,緯度,経度,高度の何れかに該当する移動速度成分を算出する。緯度,経度,高度のそれぞれの移動速度成分の算出結果は,メモリ752上のさらに別の記憶エリアに格納されているものとし,これらの情報を組み合わせて,位置情報受信機130の移動速度および/または移動方向を算出する。
【0083】
ステップ1010〜ステップ1012において,
(Step.6)過去の移動速度および/または移動方向は,メモリ752上のさらに別の記憶エリアに,位置情報を取得した時刻と共に,一定の時間分格納されているものとし,あたらしい算出結果が,過去の情報と比較される。比較した結果,これまでの情報と比較して異常と考えられるような値,例えば,速度が前回に比べて数倍以上も上昇している,又は,逆方向に移動を始めているような場合には,(Step.1)で受信したパートのデータに含まれない上位ビットが変化している可能性についてチェックする。具体的には,当該上位ビットが反転していると想定して,(Step.4)からの処理を再度実行する。
(Step.7)当該上位ビットが反転していない場合と,反転している場合の両方を比較して,合理的な速度である方を採用し,必要に応じて,当該上位ビットの修正を行う。
【0084】
ステップ1014において,上記のような補正を行ったとしても,妥当性のある位置情報を得られなかった場合に,当該位置情報を廃棄して,ステップ1000に戻る。
【0085】
ステップ1016で,位置情報記録エリア752−4〜6に記録されている位置情報が当初から妥当なものである場合,または補正によって妥当なものになったと判断される場合に,当該情報を取得した位置情報として登録する。
【0086】
上記処理は,位置情報を構成する緯度,経度,高度のうち,ステップ1006において受信した種類の情報について行う。図7のステップを繰り返すことにより,他の種類の位置情報についても更新や登録が行われる。
【0087】
図9は,本実施形態の位置情報送信機123の配置に係わる態様を示す図である。
【0088】
位置情報送信機123−0は位置情報記録エリア752−4〜6の上位(例えば,パート3とパート2)の位置情報を送信する。送信すべき情報は,一つ以上のパートについて,緯度,経度,高度の3種類なので,位置情報送信機123が3つの送信モジュールを有している場合には,これらを並行して送信しても良いが,送信モジュールが一つまたは二つの場合には,これらを切り替えながら送信しても良い。また,異なるパートの位置情報は,対象とする範囲も異なるので,送信出力を変えて送信することが望ましい。位置情報送信機123−1〜3は,それぞれの位置情報送信機の配置された場所の下位(たとえば,パート1)の位置情報を送信する。送信方法は,上位の位置情報の送信時と同様であってよい。
【0089】
位置情報送信機123−1の近くに存在する,ユーザ1の位置情報送信機130は,2つの位置情報送信機123−0,123−1から,交互に情報パケット1231を受信することによって,パートや種類が異なる部分位置情報を受信し,これらに基づき所望の位置情報を取得することが可能となる。ユーザ2,3においても同様である。
【0090】
位置情報受信機130が複数の受信モジュールを有する時には,複数の位置情報送信機123から情報パケット1231を並行して受信しても良い。
【0091】
図9に示すように,位置情報送信機123−0が送信する位置情報が対象とする範囲は広く,位置情報送信機123−1〜3が送信する位置情報の対象範囲を含むので,ユーザが位置情報送信機123−1〜3にカバーされるエリアを移動している間であれば,位置情報送信機123−0が送信する位置情報は一度だけ受信すれば足りることになる。勿論,何度受信しても構わない。
【0092】
その他,例えば,その場所において,地下街のように高低差が少ないような場所においては,高度情報があまり有意な情報でないので,位置情報送信機123は,高度情報の送信頻度を小さくしても良い。逆に高層ビルのように高度が重要な意味を持つ場合には,位置情報送信機123は,高度情報の送信頻度を高くすることによって,有意な情報である高度情報を確実に転送することが可能となる。
【0093】
なお,位置情報送信機123−0と位置情報送信機123−1〜3による,送信する位置情報のパートの分担は,上記には限定されず,位置情報送信機123−0がパート1〜3の情報を送信し,位置情報送信機123−1〜3が,詳細な位置情報であるパート0の情報を送信してもよい。例えば,パート0の情報によって,緯度においては,約4.6ミリメートル,経度においては9.2ミリメートルまで表現が可能となる。このような情報表現を利用することによって,特別な位置情報検知デバイスを搭載することなく,店舗の陳列棚における商品や,書架における本の位置等を知り得る手段を提供することになる。また,パート0の情報は,狭い範囲をカバーするものなので,その送信には,微弱なGPS電波を利用することが可能になる。
【0094】
さらに,図9に示すように2階層に分けるのではなく,さらに,3階層以上に分けて,それぞれを異なる位置情報送信機123が送信しても良い。
【0095】
また,人工衛星110から受信した時刻情報に基づき得られた位置情報を,位置情報受信機130が記憶しておけば,位置情報送信機123−0が不要になる場合もある。また,人工衛星から受信した時刻情報に基づきパート1〜3に相当する位置情報を得ることが可能な場合に,パート0の情報を送信する位置情報送信機123だけを設置すれば,位置情報の精度を上げることも可能になる。
【0096】
また,本実施例によれば,各パート別に異なる位置情報送信機から位置情報を送信するので,必要な部分位置情報を少ない送信パケットで取得することが可能となり,高速の位置情報取得が可能となる。
【0097】
図9に,本実施例による位置情報送信機を,トンネルにおけるカーナビベーションシステムに利用することを考える。
【0098】
既に述べたように,従来技術により高度,緯度,経度の24ビットの情報を受信する場合は,最良の状態で1.8秒必要となる。セルの半径を10mと想定すると,歩行によってセルを通過する時間は15秒程度(80m/分)であるが,高速道路のトンネル等を想定した場合,0.74秒程度(100km/時)で通過することになり,必要な位置情報を取得することが困難である。しかしながら,本実施例によれば,1ワードの部分位置情報を0.6秒で取得できるので,このような状況においても,位置情報の取得が可能になる。
【0099】
例えば,トンネルに入る前までは,人工衛星から受信した時刻情報に基づき位置情報を取得し,GPS信号処理モジュール756が,当該位置情報を,メモリ722の位置情報記憶エリア752の752−4〜6に格納する。なお752−4の緯度情報,752−5の経度情報,752−6の高度情報は,人工衛星から受信した時刻情報に基づき取得した情報,または,位置情報送信機から取得した情報のいずれかが新たに取得された場合に,それぞれ,位置情報記憶エリア752−1,752−2,752−3に待避される。従って,トンネルに入ったあと,位置情報受信機130は,位置情報送信機123−1,2から受信した情報パケット1231のメッセージタイプ,緯度・経度・高度のタイプ,位置情報の格納位置を示すタイプを判断した後,メモリ722の位置情報記憶エリア752−4,752−5,752−6のいずれかの,更にいずれかのパートに,情報パケットのデータを上書きする。
【0100】
屋外の複数の人工衛星110から得られた位置情報は,位置情報受信機130の位置情報記録エリア(752−1〜6)に残るので,図9に示す位置情報送信機123−0がなくても,トンネルの中のエリアだけを表現し得る位置情報送信機123−1,123−2を準備するだけで,本実施形態の目的を逹成することができる。
【0101】
さらに,位置情報送信機123を使った他の態様として,大型旅客船を使った場合について説明する。
【0102】
大型旅客船において,レストランやプールなどのサービス施設を対象としたナビゲーションサービスを行う場合においては,当該大型旅客船が公海上のどの場所に位置し,さらに自分が地球上の何処に存在しているかは,有効な情報ではない。
【0103】
このような場合には,船舶のある一点を中心として,その相対的な場所を,送信することのほうが望ましい。このようなサービスの位置態様としては,例えば,当該大型旅客船のディレクトリサービスを行うASPに対して,例えば,REST形式で以下のような情報を送付することで,当該大型旅客船内の情報を基本として自分のいる位置と,その周辺のサービス施設等の情報が取得できる。
http://www.大型旅客船.com/directly.cgi?id=0011......001
ただし,上記URLに例示されているビット列は,図6の情報パケット1231のビット列(30ビット)をそのまま使っても良い。なお,本実施例の大型旅客船の場合には,人工衛星110を利用する必要はない。
【実施例2】
【0104】
実施形態1における位置情報送信機123は,位置情報を送信する装置であるので,当該送信する位置情報は正確である必要がある。しかし,当該位置情報送信機123は,GPSによる測位が困難な地下街など,位置情報の取得が困難な場所に設置されることがあるから,送信する正確な位置情報を位置情報送信機123に設定する方法が必要である。
【0105】
本実施例では,パソコン等情報処理装置を位置情報設定装置として用いて,位置情報送信機123に当該位置情報を設定する方法について以下に述べる。
【0106】
先ず,当該位置情報を設定する者(以下,設定者と称す)は,位置情報送信機123を設置する場所またはその近隣に到着すると,パソコン,PDA,その他の情報機器(以下パソコン等と称す)から,位置情報設定プログラムを起動し,メモリカードに格納された地図情報をロードする。当該メモリカードは,図2の外部記憶媒体208−2としても機能する。
【0107】
図10は,パソコン等に表示されたある地下街を示す地図である。当該地図情報は当初から電子化されていなくても,例えばスキャナやデジタルカメラ等で撮影されたものでも構わない。
【0108】
設置者は,位置情報設定プログラムの実行により,位置情報送信機123の設置場所の位置を地図上で特定し,同様に,測位可能な場所など,位置情報の取得が可能な場所を当該地図上で2箇所以上特定して,位置情報設定プログラムは,特定された場所の位置情報を取得し,取得した位置情報に基づき,位置情報送信機123に設定する位置情報を算出する。
【0109】
位置情報の算出に用いる場所の位置情報は,測位によらなくても,例えば,他の情報から得られたもの(例えば,位置情報が分っている柱の位置,あるいは電話ボックスの場所等)があれば,それを利用しても良いし,または,地上への出口等であって,地上においてGPSを使って測位できるような場所であれば,その測位結果を用いても良い。これら位置情報の算出に用いる場所は,なるべく位置情報送信機123の設置場所を囲むような場所であることが望ましく,さらには多いほうが好ましい。
【0110】
位置情報設定プログラムは,位置情報の算出過程において,誤差が許容範囲内であれば,適当な補正を行うような処理を行い,位置情報を提供し,誤差が許容範囲を超えるようであれば,入力値や対応付けを見直す様,設置者にメッセージを出しても良い。また,当該プログラムは,登録精度を上げる為に地図の拡大,縮小を行うGUIボタンも表示可能であることが望ましい。
【0111】
位置情報設定プログラムは,図10に示すような2次元座標上に展開された電子化された地図はパソコンに,また,算出した,設定する位置情報は記憶媒体に,それぞれ格納させる。当該記憶媒体としては,たとえばメモリカードを用いる。
【0112】
設置者は,当該メモリカードをパソコン等から取り外して位置情報送信機123に装着し,位置情報送信機123を,その設置場所に設置する。位置情報送信機123は,メモリカードに格納された当該位置情報を送信できる状態になる。
【0113】
メモリカードには,上記の電子化された地図と設定する位置情報と,それ以外に,当該地図を表示するプログラムも格納されていてもよい。このプログラムは,メモリカードを挿入したパソコン等で利用可能なものであり,パソコン等に当該プログラムをインストールしていなくても,利用可能な状態となるように仮想マシンのオペレーティグシステムも搭載されているものとする。
【0114】
設置者は,パソコン等を持参して,位置情報送信機123を設置する場所に行き,当該場所から周りを観察して,位置情報設定プログラムを介して,文字情報(例えば,「○○ビル,2階,洋菓子屋の前の通路」)をメモリカードに登録しても良い。
【0115】
次に,位置情報送信機123の位置を現在の場所から移動する場合についての実施の態様について説明する。移動する位置情報送信機123からメモリカードを外し,パソコン等に装着することによって,同じように位置情報,文字情報を変更した後,移動後の位置情報送信機123に戻せばよい。この場合,上述したように,メモリカードに地図情報やプログラムが搭載されていれば,パソコン等の装置側には特別なプログラムを準備する必要なく,上記の処理を行い得る。
【0116】
本実施例において,Webブラウザを使用する場合などの場合には,メモリカードには,Webブラウザのコンテンツと必要なプログラム等が搭載されていれば,Webブラウザまたはそれに相当するプログラムがなくても同様の処理を行い得る。
【0117】
また,本実施例ではメモリカードを媒体として用いる説明を行っているが,上記と同様の処理を行い得るのであれば,当該記憶媒体経由に限定する必要はなく,無線LANなどの通信を用いても良い。
【0118】
本実施形態には,無線通信モジュール等のデバイスを持たないメモリカードを利用することにより,製造上または運用上のコストダウンが図れるという効果がある。そのほか,位置情報送信機123にパソコン等との通信機能を持たせ,上記と同様の処理をリモートから行うことも可能である。この方法は,高い天井等に位置情報送信機123が設置されているような場合にメリットがある。
【実施例3】
【0119】
位置情報送信機123は,上記実施形態にて設定された位置情報等を,当該送信機123の電波の到達する範囲に送信し得るが,それ以外に,例えば,当該位置情報送信機123が電池で駆動しているような場合,電圧量の低下を当該位置情報送信機123が検知した場合に,それを外部に報せる機能を備えることが望ましい。
【0120】
たとえば,装置に備えたLED等を点滅させたり,または音による通知をしたりする機能を備えることは,家屋や管理管轄が明確なアパートやマンション等においては有効である。
【0121】
そのほか,位置情報送信機123は,不特定多数の人間が往来する地下街等や,その逆に人の往来が期待できないトンネル等に,設置されることが予想されるので,そのような状況に対応可能な,位置情報送信機123をASPの協力を得て保守の方法について,以下,説明する。
【0122】
図11は,位置情報送信機123の故障,保守等の情報を,ASPサーバ140を経由して,当該情報を収集する位置情報送信機123の保守センタ(以下,センタと称す)のセンタサーバ150に転送する方法について概説する図である。
【0123】
図12を参照して,ASPサーバ140,センタサーバ150のハードウェア構成について説明する。
【0124】
それぞれの装置は,ネットワーク接続コントローラ2204,CPU2206,メモリ2208,及びキーボード2216,マウス2218,マイク2220,スピーカ2222といった入出力デバイスを制御する入出力コントローラ2214,並びにハードディスクドライブ等の記憶デバイス2211を接続する外部デバイスコントローラ2210,及びモニタ2224を制御するモニタコントローラ2212が,バスなどの内部通信線2202によって接続される構成を備える。
【0125】
CPU2206が,メモリ2208に格納されているプログラムにしたがって,キーボード2216等の入力デバイスからのデータ,記憶デバイス2211に格納されているデータの処理を行う。またCPU2206は,ネットワーク接続コントローラ2204を介してネットワーク10上の他の情報処理装置とデータの送受信を行う。
【0126】
位置情報送信機123は,周期的に,または必要に応じて,上記の保守情報を位置情報のフォーマットの一部を使って送信を行う。
【0127】
図13に示すように,位置情報送信機123は,送信する情報パケット1231の第9〜10ビットのメッセージタイプに(00)を用いて,保守情報を送信する。ここで(00)は,本実施形態における保守情報を送信するメッセージのタイプを示すものとし,第11〜14ビットは保守対象のタイプを示すものとし,例えば(0000)は電池残量を示すものとする。第15〜24ビットの10ビット分には保守対象に関するデータを格納する。保守対象のタイプが電池残量だとすると,10ビットの全部または一部を用いて,電池残量を示す。例えば,″0000000011″の場合は,電池残量が十分にあることを示し,下位2ビットが(10)(01)(00)と変化するにつれ,電池残量が減っていることを示す。
【0128】
メッセージタイプに(00)が設定された情報パケット1231を受信した位置情報受信機130は,受信した情報パケット1231に格納された情報を位置情報送信機123内部のアプリケーションの為だけに使っている場合,または,当該保守情報の送信を受けつけないASPと通信を行っている場合には当該パケットを廃棄する。
【0129】
図14に,情報パケット1231を受信した位置情報受信機130の処理フローを示す。当該処理を実現するプログラムは,予め,位置情報受信機130が具備しているメモリに格納されていても良いし,ASPサーバ140が,位置情報送信機130にプログラムとして提供しても良い。
【0130】
位置情報受信機130は,受信した情報パケット1231の9〜10ビットのメッセージタイプから,位置情報送信機123から受信した情報を判別する(ステップ1100)。受信した情報が位置情報であると判断した場合には,上述した実施形態に従った処理を行い,処理結果を自装置内で利用するか,あるいは,処理結果をASPサーバ140に送信する。上記実施形態に沿った処理を行わずに,受信した当該位置情報を位置情報用フォームに変換して,ASPサーバ140に転送してもよい(ステップ1101)。ASPサーバ140への送信方法の一実現方法としては,以下のようなREST形式を使う転送方法が考え得るが,この方法に限定する必要はない。
http://www.ASP.com/directly.cgi?id=N35.03.26.865+E135.46.21.432
一方,ステップ1100において,受信した情報が保守情報であると判断した場合には,現在,位置情報送信機が利用しているサービスを提供しているASPが,保守情報を受けつけることができるASPであれば(ステップ1102でYES),当該保守情報を,当該ASPサーバ140に転送する(ステップ1104)。この転送の方法の一実現方法としては,以下のようなREST形式の転送方法が考え得るが,この方法に限定する必要はない。
http://www.ASP.com/maintenance_info.cgi?imes_id=112401&remaining_battery_leve=11&text_message=″送信モジュールに故障を推認″
ここに,imes_idとは,位置情報送信機123のユニークな個体番号を,remaining_battery_leveとは電池残量を,text_messageとは保守情報を文字メッセージで表現したものである。
【0131】
現在,位置情報送信機が利用しているサービスを提供しているASPが,保守情報を受けつけることができないASPであれば(ステップ1102でNO),当該保守情報を廃棄する(ステップ1106)。
【0132】
図15に,ASPサーバ140の処理を述べる。なお,センタサーバ150とASPサーバ140は,保守情報に関するメッセージの取り決めを行っているものとする。取り決めとは,ASPサーバ140からセンタサーバ150に対して,保守情報を転送するネットワーク回線種別,プロトコル,データ形式,送信のタイミング等に係わる,一般的にネットワーク通信を行う際に必要なものをいう。
【0133】
ASPサーバ140が,位置情報受信機130から情報を受信すると,その情報の内容を確認し,保守情報か位置情報かを判別する。この判別方法としては,使用されたREST形式の種別(上記の場合”directly.cgi”,”maintenance_info.cgi”)で行い得る(ステップ1200)。
【0134】
位置情報を受信した場合には,サービスプログラムに当該位置情報を入力することで(ステップ1204),当該位置情報に応じたサービスを実施する。具体的には,その位置に応じた地図情報や広告情報を位置情報受信機130に転送する処理が該当する。
【0135】
一方,受信した情報が上記の保守情報である場合には,当該保守情報を,センタサーバ150に転送する(ステップ1202)。当該保守情報を転送するに際して,ASPサーバ140は前述したREST形式の転送方法を使用するという手段を取り得るが,この方法に限定する必要はない。
【0136】
この保守情報配信に対して,ASPサーバ140はセンタサーバ150から対価を受け取っても良い。対価の算出方法としては,一括契約によるものや,保守情報をセンタに転送した回数による方法であっても良い。
【0137】
図16は,センタサーバ150のHDD記憶領域2211に格納されている,位置情報送信機130の保守用の管理テーブルを示す図である。フィールド1300は位置情報送信機123のIDを示し,フィールド1302は当該位置情報送信機の設置された位置(緯度,経度,高度)を示す。フィールド1304は,保守情報が到達した最新の時刻が記載される。例えば,20080402183735であれば,2008年4月2日18時37分35秒を示す。フィールド1306は,保守情報が,どのASPを経由して送信されたかを記載する。フィールド1308は,当該位置情報送信機123の状態を示す。この状態の値は,前述した電池残量を示す。
【0138】
フィールド1308の送信機状態が(00)の場合,この位置情報送信機は早急に電池を交換することが必要であることが判り,またフィールド1304の時刻が,現在の時刻より相当に古い場合には,故障または電池切れで位置情報送信機が停止している状態にあることを推認し得る。
【0139】
当該管理テーブルの情報は,センタサーバ150のメモリにロードされて,適当なプログラム処理によって表示されても良い。HDD記憶領域2211に格納されている地図情報と連動して,キーボード2216,マウス2218等で操作され,モニタ2224で表示させることもできる。
【0140】
このように位置情報送信機123がある一定間隔で送信している保守情報は,一定の確度によってセンタサーバ150に到着することになり,保守員に全ての位置情報送信機123の状態を確認させることなく,保守情報を取得することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】位置情報処理システム1の全体像を例示する図である。
【図2】位置情報送信機123の構成を例示する図である。
【図3】位置情報受信機130のハードウェア構成を例示する図である。
【図4】位置情報受信機130のソフトウェア構成を例示する図である。
【図5】位置情報および当該情報を取得した時刻を格納するメモリ領域の構成を例示する図である。
【図6】位置情報送信機から送信される情報パケットの構成を例示する図である。
【図7】位置情報受信機130の位置情報の処理を例示するフロー図である。
【図8】本実施形態の位置情報送信機の一使用態様を例示する図である。
【図9】本実施形態の位置情報送信機の他の使用態様を例示する図である。
【図10】パソコン等に表示された地下街を例示する地図である。
【図11】保守センタに送信される保守等の情報の流れについて説明する図である。
【図12】ASPサーバ,センタサーバのハードウェア構成を例示する図である。
【図13】位置情報送信機から送信される情報パケットの構成を例示する図である。
【図14】送信器のプログラムのアルゴリズムを例示する図である。
【図15】ASPサーバのプログラムのアルゴリズムを例示する図である。
【図16】位置情報送信機130の保守用の管理テーブルを例示する図である。
【符号の説明】
【0142】
123:位置情報送信機,201:アナログ処理部,202:デジタル処理部,217:搬送波生成部,203:変調回路,204:D/A変換器,205:アンテナ,206:クロック部,207:電源,208:シリアルI/F,210:設定・表示インターフェース,211:CPU,212:RAM,213:不揮発メモリ,214:位置情報管理テーブル,215:位置情報送信プログラム,752:位置情報記録エリア,1231:情報パケット,140:ASP,150:センタ,2204:ネットワーク接続コントローラ,2206:CPU,2208:メモリ,2216:キーボード,2218:マウス,2220:マイク,2222:スピーカ,2214:入出力コントローラ,2211:記憶デバイス,2210:外部デバイスコントローラ,2224:モニタ,2212:モニタコントローラ:,2202:バスなどの内部通信線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を送信する一つ以上の位置情報送信機と当該位置情報を受信する位置情報受信機とを含んで構成される位置情報処理システムであって,
当該位置情報処理システムが前記位置情報受信機に提供する位置情報は,緯度,経度,高度のいずれか一種類以上を含み,各種類の位置情報それぞれが,1ビット以上からなる複数の部分位置情報に分割され,
各々の前記位置情報送信機には,いずれか一つ以上の種類,および/または,各種類ごとにいずれか一つ以上の部分位置情報が設定されており,設定されている前記部分位置情報を他の前記位置情報送信機の送信とは独立した送信スケジュールにしたがって送信し,
前記位置情報受信機は,前記位置情報送信機が送信した前記部分位置情報を受信し,
取得した種類またはパートが異なる複数の部分位置情報を組み合わせ,当該位置情報受信機が必要とする精度の位置情報を算出する
ことを特徴とする位置情報処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の位置情報処理システムであって,
一つの前記位置情報送信機は,設定されている,いずれか一つ以上の種類,および/または,各種類ごとにいずれか一つ以上の部分位置情報を,互いに独立した送信スケジュールにしたがって送信する
ことを特徴とする位置情報処理システム。
【請求項3】
請求項1記載の位置情報処理システムであって,
前記位置情報受信機は,複数の時刻情報を受信して当該時刻情報に基づき位置情報を算出する手段を備え,
前記組み合わせる複数の部分位置情報の一つとして,前記時刻情報に基づき算出した位置情報を用いる
ことを特徴とする位置情報処理システム。
【請求項4】
請求項1記載の位置情報処理システムであって,
前記組み合わせる複数の部分位置情報として,前記位置情報送信機が送信する,異なる前記部分位置情報を複数用いる
ことを特徴とする位置情報処理システム。
【請求項5】
請求項1記載の位置情報処理システムであって,
前記位置情報受信機は,
過去算出した前記位置情報を時系列で記録しておき,
新たに位置情報を算出する際に,記録されている位置情報を参照して,当該位置情報受信機の移動方向,および/または移動速度を算出して妥当性を検証し,
前記新たに算出する位置情報を補正する
ことを特徴とする位置情報処理システム。
【請求項6】
請求項1記載の位置情報処理システムであって,
前記位置情報受信機が取得する前記部分位置情報は,当該位置情報受信機が必要とする精度の位置情報の算出に利用しない前記部分位置情報を含む
ことを特徴とする位置情報処理システム。
【請求項7】
請求項1記載の位置情報処理システムであって,
さらに,前記位置情報送信機に位置情報を設定する位置情報設定装置を備え,
前記位置情報設定装置と前記位置情報送信機は,共通の媒体を利用する媒体利用手段を備え,
前記位置情報設定装置は,確定した位置情報を複数含むデジタル化された地図情報に基づき,前記位置情報送信機に設定する前記位置情報を算出し,
前記媒体利用手段を介して,算出した前記位置情報を,出力し,
前記位置情報送信機は,前記媒体利用手段を介して,前記位置情報を受け入れ,設定する
ことを特徴とする位置情報処理システム。
【請求項8】
請求項7記載の位置情報処理システムであって,
媒体とは,メモリカードなどの記憶媒体であるか,または,無線LANなどの通信媒体であり,
媒体利用手段とは,メモリカードなどの記憶媒体の読み書き装置であるか,または,無線通信装置である
ことを特徴とする位置情報処理システム。
【請求項9】
請求項1記載の位置情報処理システムであって,
前記位置情報送信機を管理するセンタ装置を備え,
前記位置情報受信機と,前記センタ装置とは,共通の媒体を利用する媒体利用手段を備え,
前記位置情報送信機は,保守情報を送信し,
前記位置情報受信機は,前記保守情報を受信し,
前記媒体利用手段を介して,受信した前記保守情報を,前記センタ装置に送信する
ことを特徴とする位置情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−38850(P2010−38850A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205006(P2008−205006)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】