説明

位置教示機能使用制限システム、位置教示機能使用制限方法及び位置教示制限機能付き携帯端末

【課題】携帯端末に位置教示機能を搭載しても、第三者によって位置教示機能により物品位置が勝手に割り出されて物品が不正使用されてしまう状況を生じ難くすることができる位置教示機能使用制限システム、位置教示機能使用制限方法及び位置教示制限機能付き携帯端末を提供する。
【解決手段】車両1には、電子キー2のカーファインダボタン26が操作されたときに、車両1と電子キー2とが通信し合い、車両の位置を電子キー2に表示することにより車両位置をユーザに教示するカーファインダシステム21が設けられている。このカーファインダ機能を備えた電子キー2に、衝撃センサ31を搭載する。この衝撃センサ31で電子キー2の落下を検出した際、カーファインダシステム21を使用制限状態に入らせ、カーファインダ機能の使用に制限をかける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば物品(対象物)の位置を見失ったユーザに、携帯端末により物品位置を教示する位置教示機能に係り、詳しくはその使用を制限することが可能な位置教示機能使用制限システム、位置教示機能使用制限方法及び位置教示制限機能付き携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各地において郊外型の大型ショッピング施設が多く建設され、このような郊外型の大型ショッピング施設では、多数の客が訪れる関係上、非常に広大な敷地面積の駐車場を完備しているところが多い。よって、このショッピング施設に車両で訪れた客の中には、買い物を終えて帰宅の途に付く際に、駐車場に駐車しておいた車両の位置を忘れてしまう人もいる。よって、このような状況になっても簡単に車両を見つけ出せるようにするために、駐車車両の位置の発見を手助けするシステムとして、今日ではカーファインダシステムというものが開発されている。このカーファインダシステムの一例は、例えば特許文献1,2等に開示されている。
【0003】
これら文献に開示される一般的なカーファインダシステムでは、ユーザが所持する携帯端末として車両キーや携帯電話等が使用される。そして、カーファインダシステムを動作させる操作が携帯端末で行われると、その操作に対応した操作信号が携帯端末から車両に無線発信され、車両がこの操作信号を受信すると、車両と携帯端末との間の位置関係を割り出し、携帯端末に車両の駐車位置を表示させる。よって、ユーザは携帯端末の表示位置を見れば車両の駐車位置が確認可能となるので、広大な敷地面積の駐車場において自車両の位置が分からなくなっても、携帯端末の案内によって自車両を簡単に発見することが可能となる。
【特許文献1】特開2006−347291号公報
【特許文献2】特開2007−241472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このカーファインダ機能を備え持つ携帯端末をユーザが何かの不意で気付かずに落としてしまい、落としたこの携帯端末が第三者に拾われる場合も想定される。このとき、携帯端末を拾った第三者は、カーファインダ機能を使用すれば、拾った携帯端末がどの車両のものかを簡単に割り出すことが可能である。よって、携帯端末を拾った第三者に車両を探され、この第三者によって車両が盗難に遭う可能性も否めないことから、車両−車両キーの間にこの種のカーファインダシステムを搭載しても、車両盗難に対する高いセキュリティ性を備える技術開発が要望されていた。
【0005】
本発明の目的は、携帯端末に位置教示機能を搭載しても、第三者によって位置教示機能により物品位置が勝手に割り出されて物品が不正使用されてしまう状況を生じ難くすることができる位置教示機能使用制限システム、位置教示機能使用制限方法及び位置教示制限機能付き携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能を持った位置教示機能使用制限システムにおいて、前記携帯端末に付与される衝撃を検出する衝撃検出手段と、前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段で検出した際、前記位置教示機能の使用に制限をかける制限手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、ユーザが物品の配置位置を忘れてしまった場合には、携帯端末に備え付けられた位置教示機能により物品位置を確認するために、ユーザは位置教示機能を実行させる要求操作を携帯端末で行う。このとき、携帯端末が物品と無線通信を開始し、この通信の過程において携帯端末が物品との位置関係を割り出して、携帯端末上に物品の配置位置を通知する。これにより、ユーザは携帯端末により物品の配置位置を確認可能となることから、ユーザはもし仮に物品の配置位置を忘れてしまった場合でも、位置教示機能を使用すれば物品位置を知ることが可能となる。
【0008】
ところで、ユーザは所持している携帯端末を何かの弾みで不意に何処かで落としてしまう場合も想定される。このとき、落とした携帯端末が第三者に拾われ、携帯端末を拾った第三者が携帯端末の位置教示機能を使用して物品を探し出し、物品に危害を加えたり、或いは物品に盗難行為を働いたりするなどの状況が発生することも否めない。よって、携帯端末に位置教示機能を搭載した場合は、物品位置を忘れたユーザにその位置を教示可能となるという利便性は持たせられるものの、携帯端末を不注意で落としたときには、携帯端末を拾った第三者に物品位置を簡単に割り出され、物品に不正な行為が加えられてしまう欠点がある。
【0009】
しかし、本構成では、携帯端末に付与される衝撃を衝撃検出手段で監視し、この衝撃検出手段で衝撃が検出された際には、携帯端末が落下、つまりユーザが携帯端末を落としてしまったと認識して、制限手段により位置教示機能に使用制限をかける。よって、ユーザが落としてしまった携帯端末が第三者に拾われ、この第三者が携帯端末の位置教示機能で物品の位置を確認しようとしても、このときは位置教示機能が働かないので、第三者は物品位置を知ることができない。このため、携帯端末に位置教示機能を搭載しても、第三者によって位置教示機能により物品位置が勝手に割り出されて物品が不正使用されてしまう状況を生じ難くすることが可能となる。
【0010】
本発明では、前記携帯端末が落下して動かなくなってからの経過時間を計時する計時手段を備え、前記制限手段は、落下した前記携帯端末が一定時間の間、動かずに拾われないことを前記計時手段により確認した後、前記位置教示機能の使用に制限をかけることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、衝撃検出手段が携帯端末に付与された衝撃を検出した際、その衝撃を検出した時点から携帯端末が一定時間の間において動かないときに、ユーザが携帯端末を落としたと判定する。よって、ユーザが携帯端末を落としたときにこれに気付いて直ぐに拾い上げたときには、この端末拾い上げの際に発生する揺れを衝撃検出手段が検出することを以て、このときに携帯端末に付与された衝撃が携帯端末の落下と認識されない。このため、ユーザが携帯端末を気付かずに落としたか否かの判定を、より精度よく行うことが可能となる。
【0012】
本発明では、前記制限手段よりかけられた前記位置教示機能の制限状態を解除する制限解除手段を備えたことを要旨とする。
この構成によれば、例えばユーザが誤って位置教示機能を制限状態に入らせてしまっても、制限解除手段により元の通常状態に復帰させることが可能となる。
【0013】
本発明では、前記制限手段は、前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段で検出した際、前記携帯端末において前記位置教示機能が働かないようにすることにより、前記位置教示機能の使用に制限をかけることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、携帯端末側で位置教示機能に使用制限をかけるので、物品及び携帯端末に位置教示機能の使用制限機能を組み込む際には、携帯端末側のみの設計変更で済む。このため、物品及び携帯端末に位置教示機能の使用制限機能を組み込むに際して、変更に係る手間を少なく抑えられ、また構造の複雑化も招かない。
【0015】
本発明では、前記制限手段は、前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段で検出した際、前記位置教示機能を動作させない動作制限要求を前記携帯端末から無線通信により前記物品に発信させ、前記動作制限要求を前記物品に受け取らせ、前記物品において前記位置教示機能が働かないようにすることにより、前記位置教示機能の使用に制限をかけることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、車両側で位置教示機能に使用制限をかけるので、例えばもし仮に不正携帯端末から位置教示機能の実行要求が送信されてきても、物品はこれに応答して位置情報等の各種情報を返信してしまう動作をとらない。よって、位置教示機能に使用制限をかけるに際して、これを精度よく行うことが可能となる。
【0017】
本発明では、物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能で使用される位置教示機能使用制限方法において、前記携帯端末に付与される衝撃を衝撃検出手段で監視し、前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段が検出した際、制限手段により前記位置教示機能の使用に制限をかけることを要旨とする。
【0018】
本発明では、物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能を持った位置教示制限機能付き携帯端末において、前記携帯端末に付与される衝撃を検出する衝撃検出手段と、前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段で検出した際、前記位置教示機能の使用に制限をかける制限手段とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、携帯端末に位置教示機能を搭載しても、第三者によって位置教示機能により物品位置が勝手に割り出されて物品が不正使用されてしまう状況を生じ難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した位置教示機能使用制限システム、位置教示機能使用制限方法及び位置教示制限機能付き携帯端末の第1実施形態を図1〜図9に従って説明する。
【0021】
図1に示すように、車両1には、車両キーとして使用される電子キー2との間でキー照合を行う電子キーシステム3と、車両ドア(座席ドア及びラッゲージドアも含む)のドアロックを施解錠するドアロックシステム4と、エンジンの動作状態を管理するエンジンシステム5とが設けられている。なお、電子キー2は、車両1との間で狭域無線通信が可能であって、電子キー2が固有に持つIDコードを無線通信により車両1に発信して車両1にキー照合を行わせるキーである。また、車両1が物品に相当し、電子キー2が携帯端末(位置教示制限機能付き携帯端末)に相当する。
【0022】
電子キーシステム3には、電子キー2がIDコードを発信するときに個別のキー操作が不要であるキー操作フリーシステム6がある。キー操作フリーシステム6には、ドアロック施解錠操作の際にキー操作を必要としない機能としてスマートエントリーシステムがある。このスマートエントリーシステムでは、車両1に、電子キー2との間でキー照合(ID照合)を行う照合ECU7が設けられている。照合ECU7には、車外にLF帯(約130KHz)の信号を発信する車外LF発信機8と、車内に同じLF帯の信号を発信する車内LF発信機9と、低RF帯(約312MHz)の信号を受信可能なRF受信機10とが接続されている。また、照合ECU7は、車内の一ネットワークである車内LAN11を介してドアロックシステム4及びエンジンシステム5に接続されている。
【0023】
また、電子キー2には、電子キー2の各種動作を統括制御する通信制御部12が設けられている。この通信制御部12は、CPU13やメモリ14等の各種デバイスを持ち、電子キー2が持つ固有のキーコードとしてIDコードがメモリ14に登録されている。通信制御部12には、LF帯の無線信号を受信可能なLF受信機15と、低RF帯(約312MHz)の無線信号を発信可能なRF発信機16とが接続されている。通信制御部12は、LF受信機15でどの種の無線信号を受け付けたか否かを逐次監視するとともに、RF発信機16からの信号発信の動作を管理する。
【0024】
車両1が駐車状態の際、照合ECU7は、車外LF発信機8からLF帯のリクエスト信号Srqを断続的に発信させ、車両周辺にリクエスト信号Srqの車外通信エリアを形成して、狭域無線通信(以降、スマート通信と記す)の成立を試みる。電子キー2がこの車外通信エリアに入り込んでリクエスト信号Srqを受信すると、電子キー2はリクエスト信号Srqに応答する形で、自身のメモリ14に登録されたIDコードを乗せたID信号Sidを低RF帯の信号で返信する。照合ECU7は、RF受信機10でID信号Sidを受信してスマート通信が確立すると、自身のメモリ17に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車外照合)を行う。照合ECU7は、この車外照合が成立したことを確認すると、ドアロックシステム4によるドアロック施解錠動作を許可又は実行する。
【0025】
また、キー操作フリーシステム6には、エンジン始動停止操作の際に実際の車両キー操作を必要とせずに単なるスイッチ操作のみでエンジン(図示略)の始動停止操作を行うことが可能な機能としてワンプッシュエンジンスタートシステムがある。このワンプッシュエンジンスタートシステムでは、例えばカーテシスイッチ(図示略)により運転者の車内への乗車が確認されると、照合ECU7はそれまでの車外LF発信機8からではなく、今度は車内LF発信機9からリクエスト信号Sr qを発信して、車内全域に車内通信エリアを形成する。照合ECU7は、電子キー2がこの車内通信エリアに入り込んで返信してきたID信号SidをRF受信機10で受信すると、自身に登録されたIDコードと電子キー2のIDコードとを照らし合わせてID照合、いわゆるスマート照合(車内照合)を行う。照合ECU7は、この車内照合が成立したことを確認すると、エンジンシステム5によるエンジン始動動作を許可する。
【0026】
電子キーシステム3には、ドアロック施解錠を電子キー2のボタン操作により行うワイヤレスキーシステム18がある。このワイヤレスキーシステム18では、電子キー2に設けられたロックボタン19やアンロックボタン20が操作されると、各操作ボタンに応じた信号内容を持つワイヤレス信号Swlが狭域無線通信(ワイヤレス通信)によりRF発信機16から車両1に向かって低RF帯の信号で発信される。このワイヤレス信号Swlには、電子キー2のキーコードであるIDコードと、車両1への要求がドアロックの施錠及び解錠のどちらであるのかを指示する機能コードとが含まれている。
【0027】
電子キー2でアンロックボタン20が操作されると、電子キー2からワイヤレス信号Swlとして解錠要求が低RF帯の信号で発信される。照合ECU7は、この解錠要求をRF受信機10で受信すると、解錠要求内のIDコードが正しければ、同じ解錠要求内に含まれる解錠を指示する機能コードに従い、ドアロックシステム4にドアロックを解錠させる。また、電子キー2でロックボタン19が操作されると、電子キー2からワイヤレス信号Swlとして施錠要求が低RF帯の信号で発信される。照合ECU7は、この施錠要求をRF受信機10で受信すると、施錠要求内のIDコードが正しければ、同じ施錠要求内に含まれる施錠を指示する機能コードに従い、ドアロックシステム4にドアロックを施錠させる。
【0028】
車両1には、電子キー2を持つ車両ユーザに車両1の位置(駐車位置)を教示するシステムとしてカーファインダシステム21が設けられている。このカーファインダシステム21では、車両1に、カーファインダシステム21のコントロールユニットとしてカーファインダECU22が設けられている。このカーファインダECU22は、車内LAN11を介して照合ECU7等の他ECUに接続され、これらECUとデータやり取りが可能となっている。また、カーファインダECU22には、高RF帯(約数GHz)の信号を受信可能なRF受信機23と、高RF帯(約数GHz)の信号を発信可能なRF発信機24とが接続されている。車両1には、車両1の進行向きを割り出す車両用コンパス25が搭載されている。車両用コンパス25は、車両1がその都度とる方位に関連する情報としてコンパス情報をカーファインダECU22に出力する。
【0029】
一方、電子キー2には、カーファインダシステム21のカーファインダ機能を動作させるときに操作するカーファインダボタン26が設けられている。カーファインダボタン26は、プッシュモーメンタリ式のボタンからなり、電気配線を介して通信制御部12に接続されている。電子キー2には、高RF帯(約数GHz)の信号を送受信可能なRF送受信機27が通信制御部12に接続された状態で設けられている。また、電子キー2には、電子キー2の方位を検出するキー用コンパス28が搭載されている。キー用コンパス28は、電子キー2がその都度とる方位に関連する情報をコンパス情報として通信制御部12に出力する。電子キー2には、車両1の位置をユーザに通知する表示系として表示部29が設けられている。表示部29は、通信制御部12によって表示が管理され、電子キー2から見た車両1の位置(方向や距離)を画面表示する。なお、カーファインダ機能が位置教示機能に相当し、カーファインダ機能の実行が位置教示に相当し、カーファインダボタン26の操作が要求操作に相当する。
【0030】
通信制御部12は、カーファインダボタン26が操作されたことを検出すると、カーファインダボタン26が操作されたことを車両1に伝える通知としてカーファインダ機能トリガ電波ScfをRF送受信機27から高RF帯の信号で発信させる。なお、RF送受信機27は、カーファインダシステム21用の高いRF電波を発信可能な高周波数電波発信回路と、同じくカーファインダシステム21用の高いRF電波を受信可能な高周波数電波受信回路との両方が組み込まれ、通信制御部12からの指令により、選択的に送受信の一方の動作が可能となっている。また、図2に示すように、カーファインダ機能トリガ電波Scfには、電子キー2のIDコードと、カーファインダ機能を実行させることを要求する機能コードとしてカーファインダ機能実行要求と、車両1が電子キー2の位置を推定するときに使用する位置推定信号とが含まれている。なお、位置推定信号は、特に決められたデータ内容を持つものではなく、車両1が電子キー2の位置推定を行うときに使用するための電波である。カーファインダ機能で使用する車両1及び電子キー2の間の無線通信網の通信エリアは、スマート通信やワイヤレス通信よりも広い例えば数十メートルの狭域通信となっている。
【0031】
車両1は、このカーファインダ機能トリガ電波Scfの受信機がカーファインダECU22のRF受信機23となっているので、カーファインダ機能トリガ電波ScfをRF受信機23で受信する。カーファインダECU22は、RF受信機23でこのカーファインダ機能トリガ電波Scfを受信すると、まずはこのトリガ電波Scfに含まれるIDコードを、車内LAN11を介して照合ECU7に転送する。照合ECU7は、カーファインダECU22からIDコードを受け付けると、このIDコードに関してID照合を行い、このID照合が成立することを確認すると、ID照合成立の確認結果を、車内LAN11を介してカーファインダECU22に出力する。
【0032】
カーファインダECU22は、照合ECU7からID照合成立の確認結果を受け付けると、同じ位置推定要求内に含まれるカーファインダ機能実行要求を指令として、カーファインダ機能の実行を開始する。このとき、カーファインダECU22は、RF受信機23で受信するトリガ電波Scfにおいて位置推定信号の取り込み動作に入り、車両1から見た電子キー2の位置を割り出すキー位置算出を開始する。
【0033】
このキー位置算出として、まずカーファインダECU22は、RF受信機23で受信した位置推定信号を基に、カーファインダ機能トリガ電波Scfの電波到来方向、即ち車両1から見た東西南北が対応付けられていない電子キー2の方向(相対方向)を演算する。なお、この絶対位置方向演算は、カーファインダシステム21の電波受信機であるRF受信機23としてアダプティブアレイアンテナを使用する方式(アダプティブアレイアンテナ方式)が採用されている。アダプティブアレイアンテナ方式は、複数のアンテナ素子が配列されたアレーアンテナを用い、各々のアンテナ素子で受信した受信電波の振幅と位相の差により、受信電波の電波到来方向を割り出す方式である。この演算には、例えばビームフォーマ法、Capon法、線形予測法、最小ノルム法、MUSIC法、ESPRIT法等がある。
【0034】
カーファインダECU22は、このようにして電子キー2の相対方向を割り出すと、電子キー2の相対方向情報と、車両用コンパス25から取得する方位情報とを基に、車両1から見た東西南北が対応付けられた電子キー2の方向(絶対方向)を算出する。また、カーファインダECU22は、RF受信機23で受け付けた位置推定信号を基に、車両1及び電子キー2との間の距離も演算する。この距離演算は、アダプティブアレイアンテナで受信した受信電波を逆フーリエ変換することによって割り出す演算方式が採用されている。カーファインダECU22は、先のキー位置算出として、このようにして電子キー2の絶対方向と、車両1及び電子キー2間の距離との算出を実行する。
【0035】
カーファインダECU22は、このようにして電子キー2の絶対方向と、車両1及び電子キー2間の距離とを割り出すと、これら絶対方向及び距離を電子キー2に伝える通知として推定結果通知SpsをRF発信機24から車両1に向けて発信する。図3に示すように、推定結果通知Spsには、車両1に登録された電子キー2に対応したIDコードと、絶対方向及び距離に関連する情報としてキー位置関連情報とが含まれている。この推定結果通知Spsは、例えば約数GHzの高RF帯の信号により、RF発信機24から電子キー2に向けて発信される。また、キー位置関連情報には、絶対方向に関連する情報として絶対方向情報と、距離に関連する情報として距離情報とが含まれている。
【0036】
通信制御部12は、RF発信機24から発信された推定結果通知SpsをRF送受信機27で受信すると、まずはこの推定結果通知Spsに含まれるIDコードについてID照合を行う。通信制御部12は、このID照合が成立したことを認識すると、続いてはこの推定結果通知Sps内に含まれるキー位置関連情報の読み取りに移行する。このとき、通信制御部12は、推定結果通知Spsのキー位置関連情報に含まれる絶対方向情報を基に、電子キー2から見た東西南北が対応付けられた車両1の方向(相対方向)を算出する。なお、電子キー2から見た車両1の方向は、車両1から見た電子キー2の絶対方向の180度逆向きの値で算出される。
【0037】
通信制御部12は、電子キー2から見た車両1の相対方向を算出すると、この相対方向を表示部29に矢印で表示する。また、通信制御部12は、キー位置関連情報の読み取りの際、推定結果通知Spsのキー位置関連情報に含まれる距離情報を基に、車両1及び電子キー2の間の距離も確認し、この距離も表示部29に数字で表示する。これにより、表示部29には、図1に示すように、電子キー2から見た車両1の方向と、車両1及び電子キー2の間の距離とが表示されることから、ユーザは車両1の位置を見失っても、表示部29の案内により所有車両1を簡単に見つけることが可能となる。
【0038】
また、図1及び図4に示すように、カーファインダシステム21には、電子キー2の落下を検出した際にカーファインダ機能の使用に制限をかける落下検知式カーファインダ機能使用制限システム(カーファインダ使用制限機能)30が設けられている。この場合、電子キー2には、電子キー2に付与される衝撃、つまり電子キー2の落下を検出する衝撃センサ31が設けられている。また、電子キー2の通信制御部12には、カーファインダ機能の使用可否を管理するカーファインダ使用制限設定部32が設けられている。さらに、通信制御部12には、衝撃センサ31が落下を検出してからの経過時間を計時するタイマ33が設けられている。なお、衝撃センサ31が衝撃検出手段に相当し、カーファインダ使用制限設定部32が制限手段を構成し、タイマ33が計時手段に相当する。
【0039】
カーファインダ使用制限設定部32は、衝撃センサ31が出力する検出信号を逐次監視し、例えばこの検出信号が閾値を超えて電子キー2の落下を確認すると、その時点からの経過時間をタイマ33に計時させる。このとき、カーファインダ使用制限設定部32は、タイマ33がタイムアップする前に、衝撃センサ31でキーの揺れを再度検出しないと、落下した電子キー2がユーザにより直ぐに拾われなかったと認識する。カーファインダ使用制限設定部32は、このようにして電子キー2の落下を検出すると、カーファインダシステム21を停止させて、カーファインダ機能の使用に制限をかける。なお、カーファインダ使用制限設定部32は、カーファインダボタン26が操作されてもカーファインダ機能トリガ電波Scfの発信を禁止することにより、カーファインダ機能の使用に制限をかける。
【0040】
次に、本例の落下検知式カーファインダ機能使用制限システム30の動作を説明する。
例えば、図5に示すように、ユーザが電子キー2を衣服のポケット等に入れて歩いているときに、何かの弾みで電子キー2がポケットから落ち、ユーザが電子キー2の落下に気付かずに歩き去ってしまう場合がある。このとき、カーファインダ使用制限設定部32は、衝撃センサ31の検出信号(電圧値)が閾値を超えたことを確認すると、電子キー2が落下して地面に衝突したと認識する。カーファインダ使用制限設定部32は、このように電子キー2の落下を認識すると、電子キー2の落下を検出してからの経過時間をタイマ33により計時させる動作に入る。
【0041】
ここで、例えばユーザが電子キー2を落としたことに気付いていれば、落とした電子キー2が直ぐに拾われて、その拾い過程で発生する電子キー2の揺れを衝撃センサ31で検出できるはずである。しかし、これとは逆に、ユーザが電子キー2を落としたことを気付かない場合には、落とした電子キー2がそのまま放置される訳であるから、タイマ33の制限時間内に、電子キー2を直ぐに拾い上げるときに電子キー2に生じる揺れを衝撃センサ31で検出できない。よって、カーファインダ使用制限設定部32は、タイマ33の制限時間内に衝撃センサ31でキー揺れを再度検出できれば、落とした電子キー2がユーザにより拾われたと認識し、制限時間内にキー揺れを検出できなければ、落とした電子キー2はそのまま放置されたと認識する。
【0042】
カーファインダ使用制限設定部32は、落とされた電子キー2がそのまま放置されたことを認識した際、メモリ14に制限実行フラグを立てて、カーファインダシステム21の動作状態を、キー2側において同システム21の使用が禁止された使用制限状態に入らせる。本例のカーファインダシステム21は、電子キー2のカーファインダボタン26が操作されてもこれに応答せずに、電子キー2からはカーファインダ機能トリガ電波Scfが発信されない状態をとることを以て使用制限状態をとる。即ち、電子キー2のカーファインダボタン26が操作されても、電子キー2からはカーファインダ機能トリガ電波Scfが発信されず、カーファインダ機能を使っての車両位置の割り出しを行うことができなくなる。
【0043】
ところで、ユーザが気付かずに落としてしまった電子キー2を見ず知らずの第三者に拾われた際、この電子キー2を拾った第三者が車両盗難を目的として、電子キー2のカーファインダ機能を使用して車両1を探し当て、車両1を盗み取る行為を企てる可能性も否めない。しかし、本例の場合は、電子キー2の落下が検出されると、カーファインダシステム21が使用制限状態に入るので、電子キー2を拾った第三者にカーファインダ機能を使用させずに済む。このため、カーファインダ機能備え付け電子キー2を不注意で落とした場合であっても、電子キー2を拾われた第三者に、カーファインダ機能により車両1が特定されてしまう状況が発生しないので、車両1が盗難に遭う可能性を低く抑えることが可能となる。
【0044】
また、落下検知式カーファインダ機能使用制限システム30には、使用制限状態に入ったカーファインダシステム21を、制限がかかっていない元の通常状態に復帰させる通常状態復帰機能(制限状態解除機能)が設けられている。この復帰機能の一例には、図6に示すように、スマート通信成立を条件とするスマート通信成立式がある。このスマート通信成立式の場合、照合ECU7は、スマート通信が成立すると、スマート通信成立通知(IDコード含む)SaをLF発信機8,9から電子キー2に向けてLF帯の信号で発信させる。電子キー2は、このスマート通信成立通知SaをLF受信機15で受信すると、メモリ14に立ち上げた制限設定フラグをクリアし、使用制限状態を解除する。
【0045】
また、他の通常状態復帰機能の例には、図7に示すように、生体認証(例えば指紋や声紋等)の成立を条件とする生体認証成立式がある。ここで、例えば電子キー2で生体認証を行う場合には、電子キー2に例えば指紋センサ等の生体情報検出センサ34が設けられる。そして、通信制御部12は、生体情報検出センサ34で取得した生体情報が正しいものであることを確認すると、メモリ14に立ち上げた制限設定フラグをクリアし、使用制限状態を解除する。なお、この生体認証機能は例えば車両1(例えば車両ドアや車内等)に設けてもよく、車両1側で生体認証が成立すると、車両1のLF発信機8,9から復帰要求(IDコード含む)が電子キー2に発信されて、電子キー2の使用制限状態が解除される。
【0046】
さらに、他の通常状態復帰機能の例には、図8に示すように、メカニカルキー35によるドア解錠操作やエンジン始動操作を条件とするメカニカルキー操作式がある。この場合、車両1は、メカニカルキー35をキーシリンダ36に挿し込んでこれを回すことによるドア解錠操作やエンジン始動操作が行われたことを確認すると、メカニカルキー操作通知(IDコード含む)SbをLF発信機8,9から電子キー2に向けてLF帯の信号で発信させる。電子キー2は、このメカニカルキー操作通知をLF受信機15で受信すると、メモリ14に立ち上げた制限設定フラグをクリアし、使用制限状態を解除する。
【0047】
また、他の通常状態復帰機能の例には、図9に示すように、電子キー2の各種ボタン19,20,26を正規手順に沿って操作するボタン操作式がある。この場合、例えばロックボタン19及びアンロックボタン20を同時長押しして、電子キー2(通信制御部12)を制限解除モードに入らせる。この状態で、各種ボタン19,20,26を所定順序及び回数で操作させ、このときの操作順序、操作回数が正規手順に沿うことを確認すると、通信制御部12はメモリ14に立ち上げた制限設定フラグをクリアして、電子キー2の使用制限状態を解除する。なお、この通常状態復帰機能が制限解除手段に相当する。
【0048】
よって、本例の場合は、落下検知式カーファインダ機能使用制限システム30に通常状態復帰機能を設けたので、カーファインダシステム21を制限状態とした後、ユーザはこの通常復帰機能を実行することにより、自由に制限状態を解除することが可能となる。このため、例えば衣服のポケットに電子キー2を入れた状態で、ユーザがスポーツをして体を激しく動くなどして、電子キー2(カーファインダシステム21)がユーザの意志に反して制限状態に入ってしまった場合でも、通常状態復帰機能によって直ぐに元の通常状態に戻すことが可能となる。
【0049】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)電子キー2に衝撃センサ31を搭載し、この衝撃センサ31で衝撃が検出された際には、電子キー2が落下、つまりユーザが電子キー2を気付かずに落としてしまったと判定し、電子キー2からカーファインダ機能トリガ電波Scfが発信できないようにして、カーファインダシステム21に使用制限をかける。よって、ユーザが落としてしまった電子キー2が見ず知らずの第三者に拾われた際、この第三者が電子キー2のカーファインダ機能で車両1の位置を探し出そうとしても、このときはカーファインダ機能が働かないので、第三者は車両1の位置を特定できない。このため、電子キー2にカーファインダ機能を搭載しても、落とした電子キー2を拾った第三者によって同キー2のカーファインダ機能により車両位置を特定される状況が生じないので、この第三者によって車両1に危害が加えられたり或いは盗難に遭ってしまったりする状況を生じ難くすることができる。
【0050】
(2)電子キー2に付与された衝撃を衝撃センサ31が検出した際、その衝撃を検出した時点から電子キー2が一定時間の間において動かないときに、ユーザが電子キー2を気付かずに落としてしまったと判定する。よって、ユーザが電子キー2を落とした際に、これに気付いて直ぐに拾い上げたときには、このキー拾い上げ時に発生する揺れを衝撃センサ31が検出することを以て、このときに衝撃センサ31が検出した衝撃を、電子キー2の落下と認識しないようにする。このため、ユーザが電子キー2を気付かずに落としたか否かの判定を、より精度よく行うことができる。
【0051】
(3)落下検知式カーファインダ機能使用制限システム30に通常状態復帰機能を設けたので、もし仮にユーザがカーファインダシステム21を誤って制限状態に入らせてしまっても、問題なく元の通常状態に復帰させることができる。
【0052】
(4)カーファインダ機能は、電子キー2からカーファインダ機能トリガ電波Scfが発信されない状態をとることで使用制限状態に入る。よって、本例の場合は、電子キー2側でカーファインダ機能に使用制限がかけられるので、カーファインダシステム21にこの種の使用制限機能を組み込むに際して、電子キー2側のみの設計変更で済む。このため、システム変更に係る手間を少なく抑えることができ、しかも構造の複雑化も招くことがない。
【0053】
(5)カーファインダ機能は、アダプティブアレイアンテナ式RF受信機23、車両用コンパス25及びキー用コンパス28を用い、これら部品群から取得する各種情報を基に、電子キー2から見た車両1の方向や距離を割り出す方式である。ところで、車両1や電子キー2の位置算出は例えばGPS(Global Positioning System)を使用して割り出すことも可能であるが、GPSではビルなどの大きな建造物に影響を受け易いという欠点があるので、細かな位置算出精度を確保できない問題がある。しかし、本例のような割り出し方式を用いれば、この種のコンパス式はGPS式に比べて高い位置算出精度を持つ特性があるので、電子キー2から見た車両1の方向や距離を精度よく算出することができる。
【0054】
(6)カーファインダ機能トリガ電波Scfと推定結果通知Spsとは、約数GHzの同じ周波数の信号で発信されるので、例えば車両1が位置推定は実行できたものの、その推定結果を電子キー2に伝えることができないという状況を生じ難くすることができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図10に従って説明する。なお、第2実施形態は、落下検知式カーファインダ機能使用制限システム30によるカーファインダ機能の使用制限のかけ方が第1実施形態と異なっており、他の基本的な構成は第1実施形態と同様である。よって、第2実施形態は、第1実施形態と同様の部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0056】
図10に示すように、本例の落下検知式カーファインダ機能使用制限システム30は、電子キー2が衝撃センサ31で電子キー2の落下を検出した際、カーファインダ機能の使用に制限をかける要求としてキー落下検出通知Sotを車両1に発信して、車両1にカーファインダ機能の使用が制限された状態をとらせることにより、カーファインダ機能に使用制限をかけるシステムである。また、通信制御部12には、衝撃センサ31から取得する検出信号を基に電子キー2に対する落下の有無を監視する落下有無監視部41と、この落下有無監視部41が電子キー2の落下を確認した際に先のキー落下検出通知Sotを無線通信により車両1に発信する通知発信部42とが設けられている。なお、キー落下検出通知Sotが動作制限要求に相当する。
【0057】
一方、カーファインダECU22には、電子キー2から受信するキー落下検出通知Sotに基づきカーファインダ機能の使用可否を車両1側において設定する車両側制限設定部43が設けられている。また、カーファインダECU22には、カーファインダシステム21を使用制限状態とする際に立てる制限実行フラグの書き込み先としてメモリ44が設けられている。車両側制限設定部43は、カーファインダECU22のRF受信機23でキー落下検出通知Sotを受信すると、この通知Sotにより動作してメモリ44に制限実行フラグを立てることにより、カーファインダシステム21を使用制限状態に設定する。なお、落下有無監視部41、通知発信部42及び車両側制限設定部43が制限手段を構成する。
【0058】
さて、ユーザが電子キー2を落として、電子キー2が地面に衝突した場合を想定する。このとき、落下有無監視部41は、衝撃センサ31の検出信号(電圧値)が閾値を超えたことを確認すると、電子キー2が落下して地面に衝突したと認識し、その旨を通知発信部42に通知する。通知発信部42は、落下有無監視部41からキー落下有りの通知を受け付けると、キー落下検出通知Sotを高RF送受信機27から高RF帯の信号で発信させる。このキー落下検出通知Sotには、電子キー2のIDコードと、カーファインダ機能を実行させることを要求する機能コードとしてカーファインダ機能実行要求と、キー落下有りの通知である落下検出フラグとが含まれている。即ち、このキー落下検出通知Sotは、先のカーファインダ機能トリガ電波Scfにおいて、推定位置信号の変わりに落下検出フラグを持った通知となっている。
【0059】
車両1は、このキー落下検出通知Sotを、カーファインダECU22のRF受信機23で受信する。カーファインダECU22は、RF受信機23でキー落下検出通知Sotを受け付けると、まずはこのトリガ電波Scfに含まれるIDコードを、車内LAN11を介して照合ECU7に転送する。照合ECU7は、カーファインダECU22からIDコードを受け付けると、このIDコードに関してID照合を行い、このID照合が成立することを確認すると、ID照合成立の確認結果を、車内LAN11を介してカーファインダECU22に出力する。
【0060】
カーファインダECU22は、照合ECU7からID照合成立の確認結果を受け付けると、RF受信機23で受信するキー落下検出通知Sotに含まれるカーファインダ機能実行要求に基づいて起動状態に移り、一旦は動作状態に入る。即ち、カーファインダECU22は、カーファインダ機能実行要求をトリガとして、それまでの待機状態から起動状態に遷移し、キー落下検出通知Sotに含まれる残りのデータ群を読み取る動作に移行する。このとき、カーファインダECU22には、キー落下検出通知Sotに含まれる落下検出フラグにより、車両側制限設定部43が立ち上がる。即ち、カーファインダECU22は、キー落下検出通知Sotに含まれる落下検出フラグを読み取って動作することにより、自身に車両側制限設定部43を生成する。
【0061】
このようにして立ち上がった車両側制限設定部43は、メモリ44に制限実行フラグを立てて、カーファインダシステム21の動作状態を、同システム21の使用が禁止された使用制限状態に入らせる。本例のカーファインダシステム21は、車両1が電子キー2からカーファインダ機能トリガ電波Scfを受け付けても、これに応答せずに停止する状態を維持することを以て使用制限状態をとる。これにより、カーファインダ機能備え付け電子キー2を不注意で落とした場合であっても、電子キー2を拾われた第三者に、カーファインダ機能により車両1が特定されてしまう状況が発生しないので、車両1が盗難に遭う可能性を低く抑えることが可能となる。
【0062】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(3),(5),(6)に記載の効果に加え、以下に記載の効果も得ることができる。
(7)カーファインダ機能は、車両1をカーファインダ機能トリガ電波Scfに応答しない状態、つまり車両1がカーファインダ機能を実行しない停止状態をとることで使用制限状態に入る。よって、例えばもし仮に不正電子キーから発信されたカーファインダ機能トリガ電波Scfを受信しても、車両1はこれに応答して推定結果通知Spsを不正電子キーに返信してしまう動作をとることがない。よって、カーファインダ機能に使用制限をかけるに際して、これを精度よく行うことができる。
【0063】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ カーファインダ機能の使用制限は、必ずしもカーファインダ機能の全機能の使用を制限する使用禁止に限定されない。即ち、使用制限は、カーファインダ機能の少なくとも一部の使用ができないようになるものであればよい。
【0064】
・ カーファインダ機能の使用制限は、メモリ14に制限実行フラグを立ててシステム30を使用禁止状態に入らせるというように、ソフトウェア的に制限かけることに限定されない。例えば、カーファインダボタン26のスイッチ可動接点と固定接点との間に、これら接点接続を禁止するシャッタが飛び出すようにすることで、メカニカル的に使用制限をかけるものでもよい。
【0065】
・ 衝撃センサ31は、例えば加速度センサや振動センサ等の種々のセンサを採用可能である。
・ キー落下検出は、衝撃センサ31の検出信号が閾値を超えるか否かを見ることにより行うことに限定されない。例えば、電子キー2を地面に落としたときには、電子キー2が地面に対して何度か弾む動きをとることから、その衝撃発生回数を見ることにより、キー落下有無を判定してもよい。
【0066】
・ カーファインダ機能は、アダプティブアレイアンテナ式RF受信機23、車両用コンパス25及びキー用コンパス28を用い、これら部品群から取得する各種情報を基に、電子キー2から見た車両1の方向や距離を割り出す方式に限定されない。例えば、車両1にGPSが搭載されていれば、このGPSから取得する車両位置情報を基に、車両1及び電子キー2の位置関係を割り出すものでもよい。
【0067】
・ カーファインダ機能は、車両GPSを使用するものの場合、例えば車両GPS情報(車両位置情報)を降車時(例えばエンジンオフ時)に電子キー2に登録し、同キー2で位置教示要求操作があったときに、この情報をキー上で表示する方式を使用してもよい。
【0068】
・ 電子キー2の車両1の位置表示は、必ずしも矢印に限定されない。例えば、車両1は電子キー2の位置(方向及び距離)を算出するとともに、車両1の現在位置を車載GPS等から算出しつつ、車両1及び電子キー2の位置関係を表したマップデータを作成する。そして、車両1がこのマップデータを電子キー2に発信し、このマップデータ基づく地図が電子キー2の表示部29に表示されるものでもよい。
【0069】
・ 電子キー2は、例えばGPSを搭載していれば、キー位置情報を車両1に送って、キー位置を車両1に通知する形式のものでもよい。
・ 電子キーシステム3のRF受信機10と、カーファインダシステム21のRF受信機23とは、1つに統合されてもよい。
【0070】
・ 電子キーシステム3とカーファインダシステム21との通信エリアは、各々異なることに限定されず、これらが同じ領域をとっていてもよい。また、信号周波数は、種々の周波数を使用できることは言うまでもない。
【0071】
・ カーファインダシステム21は、電子キーシステム3に属する一機能をとることに限定されず、例えば電子キーシステム3から独立したシステムとなっていてもよい。
・ 位置推定(アダプティブアレイアンテナ方式に準ずる位置算出)は、必ずしも車両1側で行われることに限定されず、電子キー2側で行ってもよい。即ち、電子キー2にアダプティブアレイアンテナを組み込み、車両1から受け付けた電波を基に車両1の位置を推定して、この推定結果を矢印等でユーザに教示するものでもよい。
【0072】
・ 位置推定は、必ずしも位置推定信号で行うことに限定されず、IDコードや機能コードの電波で行ってもよい。
・ 携帯端末は、電子キー2(要はキー部品)であることに限定されず、例えば携帯電話や携帯型パーソナルコンピュータを用いてもよい。
【0073】
・ 車両位置の教示形式は、必ずしも単なる矢印に限らず、例えば地図画面により車両位置を表すものでもよい。
・ 表示部29における車両位置の表示(矢印及び距離表示)は、例えば一定時間において表示が行われた後に自動で消去されるものでもよいし、或いは例えばカーファインダボタン26が押されるなどの所定操作が行われると消去されるものでもよい。
【0074】
・ 位置教示は、必ずしも方向及び距離の両方を表示することに限らず、一方のみが表示されればよい。また、位置教示は、必ずしも画面表示をとることに限定されず、例えば音声報知を採用してもよい。
【0075】
・ カーファインダシステム21は、必ずしも車両1に適用されることに限らず、使用時において照合を必要とする各種機器や装置に適用可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0076】
(1)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記携帯端末は、物品に対するキー位置付けの端末である。この構成によれば、物品を使用する際に必要となるキーと、位置教示機能用の端末とで別々の部品を用意せずに済むので、部品点数を削減することが可能となる。
【0077】
(2)請求項1〜5、前記技術的思想(1)のいずれかにおいて、前記位置教示機能は、前記物品及び前記携帯端末の一方がこれらの他方から受信する高周波数の信号(電波やデータを含む)を用いて当該他方の位置を推定することにより互いの前記位置関係を割り出す。この構成によれば、位置推定に使用する無線信号に高周波の信号を使用したので、多くのデータ量を送信することが可能となる。
【0078】
(3)請求項1〜5、前記技術的思想(1),(2)のいずれかにおいて、前記位置教示機能は、前記物品及び前記携帯端末のうち信号受信側に受信機として複数のアンテナ素子が設けられ、前記携帯端末から発信された高周波電波を複数の前記アンテナ素子で受信すると、これら当該アンテナ素子で受信した各々の前記高周波電波が持つ受信パラメータを基に、前記携帯端末の位置推定を推定して当該位置を割り出す。
【0079】
(4)請求項1〜5、前記技術的思想(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記位置教示機能は、前記物品が前記携帯端末から受信する無線信号を基にして、前記物品から見た前記携帯端末の位置を推定するとともに、その推定結果を前記携帯端末に送り、前記携帯端末が当該推定結果を基に当該携帯端末から見た前記物品の位置を求めることにより、当該物品との間の位置関係を割り出す。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1実施形態におけるカーファインダシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】カーファインダ機能トリガ電波のデータ構造を示すデータ概念図。
【図3】推定結果通知のデータ構造を示すデータ概念図。
【図4】カーファインダ機能を持つ電子キーの概略構成を示すブロック図。
【図5】カーファインダ機能が使用制限状態に入った際の電子キーを示すブロック図。
【図6】通常状態復帰機能の一例を示す使用制限システムの概念図。
【図7】通常状態復帰機能の他の例を示す電子キーのブロック図。
【図8】通常状態復帰機能の他の例を示す使用制限システムの概念図。
【図9】通常状態復帰機能の他の例を示す電子キーの操作状態の概念図。
【図10】第2実施形態におけるカーファインダシステムの概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0081】
1…物品としての車両、2…携帯端末(位置教示制限機能付き携帯端末)としての電子キー、31…衝撃検出手段としての衝撃センサ、32…制限手段を構成するカーファインダ使用資源設定部、33…計時手段としてのタイマ、41…制限手段を構成する落下有無監視部、42…制限手段を構成する通知発信部、43…制限手段を構成する車両側制限設定部、Sot…動作制限要求としてのキー落下検出通知、Scf…位置教示要求としてのカーファインダ機能トリガ電波。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能を持った位置教示機能使用制限システムにおいて、
前記携帯端末に付与される衝撃を検出する衝撃検出手段と、
前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段で検出した際、前記位置教示機能の使用に制限をかける制限手段と
を備えたことを特徴とする位置教示機能使用制限システム。
【請求項2】
前記携帯端末が落下して動かなくなってからの経過時間を計時する計時手段を備え、
前記制限手段は、落下した前記携帯端末が一定時間の間、動かずに拾われないことを前記計時手段により確認した後、前記位置教示機能の使用に制限をかけることを特徴とする請求項1に記載の位置教示機能使用制限システム。
【請求項3】
前記制限手段よりかけられた前記位置教示機能の制限状態を解除する制限解除手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置教示機能使用制限システム。
【請求項4】
前記制限手段は、前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段で検出した際、前記携帯端末において前記位置教示機能が働かないようにすることにより、前記位置教示機能の使用に制限をかけることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の位置教示機能使用制限システム。
【請求項5】
前記制限手段は、前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段で検出した際、前記位置教示機能を動作させない動作制限要求を前記携帯端末から無線通信により前記物品に発信させ、前記動作制限要求を前記物品に受け取らせ、前記物品において前記位置教示機能が働かないようにすることにより、前記位置教示機能の使用に制限をかけることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の位置教示機能使用制限システム。
【請求項6】
物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能で使用される位置教示機能使用制限方法において、
前記携帯端末に付与される衝撃を衝撃検出手段で監視し、前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段が検出した際、制限手段により前記位置教示機能の使用に制限をかけることを特徴とする位置教示機能使用制限方法。
【請求項7】
物品に位置教示を要求する要求操作が携帯端末で実行された際、当該携帯端末と前記物品との間の位置関係を割り出し、前記携帯端末上でユーザに物品位置を教示する位置教示機能を持った位置教示制限機能付き携帯端末において、
前記携帯端末に付与される衝撃を検出する衝撃検出手段と、
前記携帯端末の落下を前記衝撃検出手段で検出した際、前記位置教示機能の使用に制限をかける制限手段と
を備えたことを特徴とする位置教示制限機能付き携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−39774(P2010−39774A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202115(P2008−202115)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】