説明

位置検出システム、医療装置誘導システムおよび位置検出方法

【課題】外部からの電力供給により交番磁界を発生する一のマーカと、該交番磁界の周波数と同一またはその近傍に共振周波数を有する共振回路を備えた他のマーカとが共に存在した場合であっても、一のマーカの位置または方向を正確に検出する。
【解決手段】外部からの電力供給により第1の位置算出用周波数を有する第1の交番磁界を発生する第1のマーカ4と、位置算出用周波数と同一の共振周波数を有する磁気誘導コイル5を搭載した第2のマーカ3と、該第2のマーカ3の作動範囲の外部に配置され、第1の位置算出用周波数において磁界を検出する磁界検出部13と、検出された磁界から、第1の位置算出用周波数を有するとともに第1の交番磁界と同一の位相を有する第1の検出磁界成分を抽出する抽出部24と、抽出された第1の検出磁界成分の強度に基づいて第1のマーカ4の位置および方向の少なくとも一方を算出する位置方向解析部22とを備える位置検出システム1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出システム、医療装置誘導システムおよび位置検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部からの電力供給により交番磁界を発生するマーカを体腔内に挿入し、該マーカの発生した交番磁界を体外において検出することにより、体腔内におけるマーカの位置を検出する位置検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
また、外部からの位置検出用の磁界を作用させ、被検者の体内に投入されたカプセル型医療装置内に配置される磁気誘導コイルにおいて発生した誘導磁界の絶対値強度を検出することにより、カプセル型医療装置の位置および方向を検出するカプセル型医療装置の位置検出システムも知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−81303号公報
【非特許文献1】徳永他7名,「LC共振型磁気マーカを用いた高精度位置検出システム」,日本応用磁気学会誌,Vol.29,No.2,2005,p153〜156
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外部からの電力供給により交番磁界を発生する一のマーカと、該交番磁界の周波数の近傍に共振周波数を有する共振回路を備えた他のマーカとが共に存在した場合、一のマーカが発生した交番磁界により、他のマーカの共振回路から誘導磁界が発生する。これにより、該交番磁界の周波数において単に磁界の絶対値強度を検出したのでは、誘導磁界も同時に検出することになるため、検出される磁界強度が、交番磁界のみを検出した場合とは相違する。その結果、一のマーカの位置または方向を正確に算出することが困難であった。
【0005】
本発明は、外部からの電力供給により交番磁界を発生する一のマーカと、該交番磁界の周波数と同一またはその近傍に共振周波数を有する共振回路を備えた他のマーカとが共に存在した場合であっても、一のマーカの位置または方向を正確に検出することができる位置検出システム、医療装置誘導システムおよび位置検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、外部からの電力供給により第1の位置算出用周波数を有する第1の交番磁界を発生する第1のマーカと、前記位置算出用周波数と同一の共振周波数を有する磁気誘導コイルを搭載した第2のマーカと、該第2のマーカの作動範囲の外部に配置され、前記第1の位置算出用周波数において磁界を検出する磁界検出部と、該磁界検出部で検出された磁界から、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに前記第1の交番磁界と同一の位相を有する第1の検出磁界成分を抽出する抽出部と、該抽出部により抽出された前記第1の検出磁界成分の強度に基づいて前記第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する位置方向解析部とを備える位置検出システムを提供する。
【0007】
本発明によれば、第1のマーカが、外部からの電力供給により第1の位置算出用周波数を有する第1の交番磁界を発生する。第2のマーカに搭載された磁気誘導コイルは、第1のマーカから発生した第1の交番磁界を受ける。磁気誘導コイルを含む回路の共振周波数が、第1の位置算出用周波数と同一であるため、磁気誘導コイルは第1の交番磁界を受けて誘導磁界を発生する。そして、磁界検出部は、第1の位置算出用周波数において、第1の交番磁界と誘導磁界とが混合した磁界を検出する。
【0008】
抽出部は、磁界検出部で検出された磁界から、第1の位置算出用周波数を有するとともに第1の交番磁界と同一の位相を有する第1の検出磁界成分を抽出する。位置方向解析部は、抽出部により抽出された第1の検出磁界成分の強度に基づいて、第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する。
【0009】
ここで、第1の交番磁界を受けて磁気誘導コイルから発生した誘導磁界は、第1の位置算出用周波数を有するとともに第1の交番磁界に対してπ/2ずれた位相を有する。一方、第1の検出磁界成分は、第1の交番磁界と同一の周波数および同一の位相を有する磁界成分である。
【0010】
そのため、第1の検出磁界成分は、検出された磁界のうち、誘導磁界に係る情報を含まず、第1の交番磁界に係る情報のみを含む。よって、抽出部は、磁界検出部で検出された磁界から、第1の交番磁界に係る情報のみを抽出できる。これにより、位置方向解析部は、第1のマーカから発生した第1の交番磁界に係る強度の情報のみを用いて、第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出することができる。
【0011】
その結果、外部からの電力供給により磁界を発生する第1のマーカと、磁気誘導コイルを有する第2のマーカとが共存した場合においても、誘導磁界に影響されることなく、第1のマーカの位置または方向を精度よく算出することができる。
【0012】
上記発明においては、前記抽出部が、前記磁界検出部で検出された磁界から、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに前記第1の交番磁界の位相に対してπ/2ずれた位相を有する第2の検出磁界成分を抽出し、前記位置方向解析部が、さらに前記第2の検出磁界成分の強度に基づいて前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出することとしてもよい。
【0013】
このようにすることで、抽出部は、磁界検出部で検出された磁界から、第1の検出磁界成分と第2の検出磁界成分とを抽出する。位置方向解析部は、抽出部により抽出された第1の検出磁界成分の強度に基づいて、第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出するとともに、抽出部により抽出された第2の検出磁界成分の強度に基づいて、第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する。
【0014】
ここで、第1の交番磁界を受けて磁気誘導コイルから発生した誘導磁界は、第1の交番磁界に対して、同一の周波数を有するとともに、π/2ずれた位相を有する。また、第2の検出磁界成分も、第1の交番磁界に対して、同一の周波数を有するとともに、π/2ずれた位相を有する磁界成分である。そのため、第2の検出磁界成分は、第1の交番磁界の情報を含まず、誘導磁界の情報のみを含む。よって、抽出部は、磁界検出部で検出された磁界から、誘導磁界の情報のみを抽出できる。
【0015】
これにより、位置方向解析部は、第2のマーカから発生した誘導磁界の強度情報のみを用いて、第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出することができる。
その結果、外部からの電力供給により磁界を発生する第1のマーカと、磁気誘導コイルを有する第2のマーカとが共存した場合においても、第1のマーカおよび第2のマーカの両方について、位置および方向の少なくとも一方を同時に精度よく算出することができる。
【0016】
また、上記発明においては、前記第2のマーカの作動範囲の外部に配置され、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに、前記第1の交番磁界と同一の位相を有する第2の交番磁界を発生する磁界発生部を備え、前記位置方向解析部が、前記第1の交番磁界の発生時に抽出された前記第1の検出磁界成分の強度と前記第1の交番磁界の発生前に抽出された前記第1の検出磁界成分の強度との差分に基づいて前記第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出することとしてもよい。
【0017】
このようにすることで、第2のマーカの作動範囲の外部に配置された磁界発生部が、第2の交番磁界を発生する。第1の交番磁界および第2の交番磁界は、周波数および位相ともに同一であるため、磁気誘導コイルは、第1の交番磁界および第2の交番磁界を受けて誘導磁界を発生する。磁界検出部は、第1の位置算出用周波数において、第1の交番磁界と第2の交番磁界と誘導磁界とが混合した磁界を検出する。
【0018】
第1の交番磁界の発生時における第1の検出磁界成分は、第1の交番磁界および第2の交番磁界の情報を含む。一方、第1の交番磁界の発生前に抽出された第1の検出磁界成分は、第2の交番磁界の情報のみを含む。したがって、位置方向解析部の作動により、これらの差分を演算することにより、第1の交番磁界の強度の情報のみが得られる。
【0019】
第2の検出磁界成分は、上述した理由と同様の理由から、第1の交番磁界および第2の交番磁界の情報を含まず、誘導磁界の情報のみを含む。よって、抽出部は、磁界検出部で検出された磁界から、誘導磁界の情報のみを抽出できる。これにより、位置方向解析部は、第1の交番磁界の強度の情報のみを用いて、第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出し、第2のマーカから発生した誘導磁界の強度情報のみを用いて、第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出することができる。
【0020】
その結果、外部からの電力供給により磁界を発生する第1のマーカと、磁気誘導コイルを有する第2のマーカとが共存した場合においても、第1のマーカおよび第2のマーカの両方について、位置および方向の少なくとも一方を同時に精度よく算出することができる。また、第1の交番磁界に加えて第2の交番磁界も、第2のマーカから誘導磁界を発生させているので、誘導磁界の強度を大きくすることができる。
【0021】
また、上記発明においては、前記第2のマーカの作動範囲の外部に配置され、前記第1の位置算出用周波数の近傍であって、前記第1の位置算出用周波数を挟み該第1の位置算出用周波数に対して所定の周波数だけ離れた少なくとも一組の第2の位置算出用周波数を有する第2の交番磁界を発生する磁界発生部を備え、前記磁界検出部が、さらに前記第2の位置算出用周波数において磁界を検出し、前記抽出部が、前記磁界検出部で検出された磁界から、前記一組の第2の位置算出用周波数を有する少なくとも一組の第2の検出磁界成分の強度の差分を抽出し、前記位置方向解析部が、さらに抽出された前記差分に基づいて前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出することとしてもよい。
【0022】
第2のマーカの作動範囲の外部に配置された磁界発生部は、第2の交番磁界を発生する。磁気誘導コイルは、第1の交番磁界を受けて第1の位置算出用周波数を有する誘導磁界を発生し、第2の交番磁界を受けて第2の位置算出用周波数を有する誘導磁界を発生する。磁界検出部は、第1の位置算出用周波数において、第1の交番磁界と、第1の交番磁界により発生した誘導磁界とが混合した磁界を検出し、第2の位置算出用周波数において、第2の交番磁界と、第2の交番磁界により発生した誘導磁界とが混合した磁界を検出する。
【0023】
抽出部は、磁界検出部で検出された磁界から、第1の検出磁界成分の強度と、少なくとも一組の第2の検出磁界成分の強度の差分とを抽出する。位置方向解析部は、抽出部により抽出された第1の検出磁界成分の強度に基づいて、第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出するとともに、さらに抽出された少なくとも一組の第2の検出磁界成分の強度の差分に基づいて、第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する。
【0024】
ここで、第2の交番磁界を受けて磁気誘導コイルから発生した誘導磁界は、一組の第2の位置算出用周波数を有するとともに、それぞれの周波数において第2の交番磁界に対する強度の大小が互いに異なっている。一方、第2の検出磁界成分は、第2の位置算出用周波数を有する磁界成分であるため、第2の交番磁界と同一の周波数を有している。
【0025】
そのため、第2の検出磁界成分は、第1の交番磁界の情報を含まず、第2の交番磁界と第2の交番磁界により発生した誘導磁界(以後、第2の交番磁界に係る誘導磁界とする)の情報のみを含む。よって、抽出部は、一組の第2の検出磁界成分の強度の差分を演算することにより、磁界検出部で検出された磁界から、第2の交番磁界の強度の情報を減じて第2の交番磁界に係る誘導磁界の強度の情報を多く抽出できる。
【0026】
これにより、位置方向解析部は、第2の交番磁界に係る誘導磁界の強度の情報を用いて、第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出することができる。その結果、外部からの電力供給により磁界を発生する第1のマーカと、磁気誘導コイルを有する第2のマーカとが共存した場合においても、第1のマーカおよび第2のマーカの両方について、位置および方向の少なくとも一方を同時に精度よく算出することができる。
【0027】
また、上記発明においては、前記第2の検出磁界成分の強度が絶対値強度であることとしてもよい。
第2の検出磁界成分の絶対値強度は、第2の交番磁界と第2の交番磁界に係る誘導磁界の情報のみを含む。よって、抽出部は、一組の第2の検出磁界成分の強度の差分を演算することにより、磁界検出部で検出された磁界から、第2の交番磁界の強度の情報を減じて第2の交番磁界に係る誘導磁界の強度の情報を多く抽出できる。
【0028】
また、上記発明においては、前記第2のマーカがカプセル医療装置に設けられていることとしてもよい。
また、上記発明においては、前記第1のマーカが内視鏡の先端部に設けられていることとしてもよい。
【0029】
また、本発明は、上記いずれかの位置検出システムを備え、前記第2のマーカが、さらに磁界作用部を備え、該磁界作用部に作用させる推進用磁界を発生させる推進用磁界発生部と、前記位置方向解析部により算出された前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方に基づいて、前記推進用磁界の強度および方向を制御する推進用磁界制御部とを備える医療装置誘導システムを提供する。
【0030】
本発明によれば、推進用磁界発生部は、第2のマーカの磁界作用部に作用させる推進用磁界を発生させる。推進用磁界制御部は、位置方向解析部により算出された第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方に基づいて、推進用磁界発生部を制御して、推進用磁界の強度および方向を制御する。その結果、第2のマーカの位置または方向に基づいて、第2のマーカの推進を制御することができる。
【0031】
また、本発明は、外部からの電力供給により第1のマーカが第1の位置算出用周波数を有する第1の交番磁界を発生する磁界発生ステップと、磁気誘導コイルを搭載した第2のマーカが前記第1の交番磁界を受けて誘導磁界を発生する誘導磁界発生ステップと、前記第1の位置算出用周波数において磁界を検出する磁界検出ステップと、検出された磁界から、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに前記第1の位置算出用周波数において第1の交番磁界と同一の位相を有する第1の検出磁界成分を抽出する抽出ステップと、抽出された前記第1の検出磁界成分の強度に基づいて前記第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する位置方向解析ステップとを有する位置検出方法を提供する。
【0032】
上記発明においては、前記抽出ステップが、検出された磁界から、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに前記第1の交番磁界の位相に対してπ/2ずれた位相を有する第2の検出磁界成分を抽出するステップを有し、前記位置方向解析ステップが、さらに抽出された前記第2の検出磁界成分の強度に基づいて前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出するステップを有することとしてもよい。
【0033】
また、上記発明においては、前記磁界発生ステップが、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに、前記第1の交番磁界と同一の位相を有する第2の交番磁界を発生するステップを有し、前記誘導磁界発生ステップが、前記第2のマーカが前記第2の交番磁界を受けて誘導磁界を発生するステップを有し、前記位置方向解析ステップが、前記第1の交番磁界の発生時に抽出された前記第1の検出磁界成分の強度と前記第1の交番磁界の発生前に抽出された前記第1の検出磁界成分の強度との差分に基づいて前記第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出するステップであることとしてもよい。
【0034】
また、上記発明においては、前記磁界発生ステップが、前記第1の位置算出用周波数の近傍であって、前記第1の位置算出用周波数を挟み該第1の位置算出用周波数に対して所定の周波数だけ離れた少なくとも一組の第2の位置算出用周波数を有する第2の交番磁界を発生するステップを有し、前記誘導磁界発生ステップが、前記第2のマーカが前記第2の交番磁界を受けて誘導磁界を発生するステップを有し、前記磁界検出ステップが、前記第2の位置算出用周波数において磁界を検出するステップを有し、前記抽出ステップが、検出された磁界から、前記一組の第2の位置算出用周波数を有する少なくとも一組の第2の検出磁界成分の強度の差分を抽出するステップを有し、前記位置方向解析ステップが、さらに抽出された前記差分に基づいて前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出するステップを有することとしてもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、外部からの電力供給により交番磁界を発生する一のマーカと、該交番磁界の周波数と同一またはその近傍に共振周波数を有する共振回路を備えた他のマーカとが共に存在した場合であっても、一のマーカの位置または方向を正確に検出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る位置検出システム1について、図1〜図3を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る位置検出システム1は、体腔内に挿入される挿入部2aを有する内視鏡装置2と、体腔内に投入されるカプセル医療装置3とを含む医療装置誘導システムに備えられるシステムであって、内視鏡装置2の挿入部2aの先端位置に備えられるマーカコイル(第1のマーカ)4と、カプセル医療装置3に備えられる磁気誘導コイル(第2のマーカ)5と、マーカコイル4の位置を検出する位置検出装置6と、これらを制御する制御部7と、位置検出装置6による検出結果を表示する表示装置8とを備えている。
【0037】
内視鏡装置2には、図2に示されるように、制御部7からの指示信号を受けて、マーカコイル4に第1の交番磁界を発生させるマーカ駆動回路9が設けられている。マーカ駆動回路9は、マーカコイル4により発生する第1の交番磁界の磁界波形を記憶する波形データメモリ10、D/A変換器11および増幅器12を備えている。
前記マーカコイル4は、マーカ駆動回路9により駆動されることにより、第1の位置算出用周波数fを有する第1の交番磁界を発生するようになっている。
【0038】
カプセル医療装置3には、前記磁気誘導コイル5を含み、第1の位置算出用周波数fを共振周波数とする共振回路が備えられている。磁気誘導コイル5は、外部からの交番磁界を受けて誘導磁界を発生するようになっている。
【0039】
前記位置検出装置6は、内視鏡装置2およびカプセル医療装置3が挿入される被検者の体外に配置され、マーカコイル4および磁気誘導コイル5から発生される磁界を検出する磁界検出部13と、磁界検出部13により検出された磁界に基づいて内視鏡装置2およびカプセル医療装置3の位置および方向を算出する位置計算部14とを備えている。
【0040】
前記磁界検出部13は、複数のセンスコイル13aと、各センスコイル13aからの出力信号を受信する受信回路13bとを備えている。
センスコイル13aは、空芯コイルであり、内視鏡装置2の挿入部2a先端およびカプセル医療装置3の作動空間に面して、9個1組が正方配列されている。
【0041】
受信回路13bは、内視鏡装置2の位置情報を含む交流電圧に含まれる高周波成分を取り除くローパスフィルタ(LPF)15、高周波成分を取り除かれた交流電圧を増幅するアンプ(AMP)16と、増幅された交流電圧の所定周波数帯域のみを通過させるバンドパスフィルタ(BPF)17と、バンドパスフィルタ17を通過した交流電圧をデジタル信号に変換するA/D変換器18とを備えている。これにより、磁界検出部13において検出された磁界は、デジタル信号からなる磁界信号として出力されるようになっている。
【0042】
前記位置計算部14は、磁界検出部13の受信回路13bから出力された磁界信号を記憶する第1のメモリ19と、該磁界信号を周波数解析処理するFFT処理回路20と、磁界信号の周波数解析処理結果から所定の磁界情報を抽出する抽出部21と、抽出された磁界情報に基づいて内視鏡装置2およびカプセル医療装置3の位置および方向を算出する位置方向解析部22と、算出された内視鏡装置2およびカプセル医療装置3の位置および方向を記憶する第2のメモリ23とを備えている。
【0043】
前記抽出部21は、マーカ駆動回路9が発生した信号の周波数成分である第1の位置算出用周波数fを制御部7から受けて、磁界信号の周波数解析処理により得られた磁界情報のうち、第1の位置算出用周波数fを有する磁界情報を抽出する周波数選択部24と、該周波数選択部24により抽出された第1の位置算出用周波数fにおける磁界情報を記憶する第3のメモリ25とを備えている。
【0044】
ここで、第1の位置算出用周波数fにおける磁界情報とは、第1の位置算出用周波数fにおける磁界の絶対値、実数部(第1の検出磁界成分)および虚数部(第2の検出磁界成分)である。実数部は、第1の位置算出用周波数fを有しかつ前記第1の交番磁界と同一の位相を有する磁界成分であり、虚数部は、第1の位置算出用周波数fを有しかつ第1の交番磁界の位相に対してπ/2ずれた位相を有する磁界成分である。
【0045】
前記位置方向解析部22は、第3のメモリ25に記憶されている磁界情報のうち、全てのセンスコイル13aにおいて検出された磁界の虚数部に基づいて、カプセル医療装置3の位置および方向を算出し、全てのセンスコイル13aにおいて検出された磁界の実数部およびキャリブレーション値に基づいて、内視鏡装置2先端の位置および方向を算出するようになっている。
【0046】
前記制御部7は、各種入力を行う入力装置26と、該入力装置26により入力された磁気誘導コイル5の共振周波数に基づいてマーカコイル4から発生する磁界波形を計算する波形データ生成器27と、入力された共振周波数を波形データ生成器27へ転送する制御回路28とを備えている。また、制御部7には、所定のクロック信号を発生するクロック29と、クロック信号に基づいて周波数解析に用いる磁界信号の読出しタイミングを位置計算部14のFFT処理回路20に指示する読出しタイミング生成器30と、クロック信号に基づいてトリガ信号を発生するトリガ発生器31とが備えられている。
【0047】
制御回路28は、トリガ発生器31に対し、読出しタイミング生成器30およびマーカ駆動回路9へのトリガ信号を発生させるようになっている。また、前記波形データ生成器27は、生成した磁界波形をマーカ駆動回路9の波形データメモリ10に転送するようになっている。
【0048】
このように構成された本実施形態に係る位置検出システム1を用い内視鏡装置2の先端およびカプセル医療装置3の位置検出方法について、以下に説明する。
本実施形態に係る位置検出システム1により内視鏡装置2の先端およびカプセル医療装置3の位置および方向を検出するには、内視鏡装置2の先端のマーカコイル4およびカプセル医療装置3内の磁気誘導コイル5の位置および方向を検出する。
【0049】
まず、マーカコイル4から発生する磁界波形を生成し、マーカ駆動回路9の波形データメモリ10内に記憶する。次いで、各センスコイル13aについてキャリブレーションを行い、キャリブレーション値の取得と読出しタイミングの設定を行う。その後、取得されたキャリブレーション値および設定された読出しタイミングに基づいてマーカコイル4および磁気誘導コイル5の位置および方向を算出する実測定を行う。
【0050】
磁界波形の生成は、図3に示されるように、入力装置26から磁気誘導コイル5の共振周波数を入力し(ステップS1)、制御回路28が入力された共振周波数を波形データ生成器27へ転送する(ステップS2)ことにより開始される。波形データ生成器27においては、送られてきた磁気誘導コイル5の共振周波数に基づいてマーカコイル4から発生する磁界波形が算出され(ステップS3)、算出された波形データがマーカ駆動回路9の波形データメモリ10内に記憶される(ステップS4)。
【0051】
キャリブレーションは、図4および図5に示されるように、内視鏡装置2の挿入部2a先端が体腔内に挿入され、カプセル医療装置3が体腔内に投入されていない状態で、入力装置26からキャリブレーションの指示が入力されることにより開始される(ステップS11)。制御回路28は、マーカ駆動回路9および読出しタイミング生成器30に対してトリガ信号を発生するようにトリガ発生器31に指示を与える。これによりトリガ発生器31からトリガ信号が発せられる(ステップS12)。
【0052】
トリガ信号を受けたマーカ駆動回路9は、波形データメモリ10内に記憶されている波形データに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック29からのクロック信号に同期して順次生成し、マーカコイル4に出力する。マーカコイル4は入力された磁界発生駆動信号により第1の交番磁界を発生する(ステップS13)。
【0053】
受信回路13bは、各センスコイル13aで検出したマーカコイル4からの第1の交番磁界に係る磁界信号を受信して、ローパスフィルタ15によるローパスフィルタ処理、増幅器16による増幅処理およびバンドパスフィルタ17によるバンドパスフィルタ処理を行った後に、クロック信号に同期してA/D変換を行う(ステップS14)。
【0054】
A/D変換された磁界信号は、位置計算部14の第1のメモリ19に記憶される(ステップS15)。そして、周波数解析処理を行うのに必要なデータ数が第1のメモリ19内に蓄積されたか否かが判断され、蓄積された場合にはFFT処理回路20により周波数解析処理が行われる(ステップS16)。
【0055】
周波数解析処理の結果に基づいて、周波数選択部24は、マーカコイル4から発生させた第1の交番磁界の周波数である第1の位置算出用周波数fにおける磁界情報のみを抽出して第3のメモリ25に記憶する(ステップS17)。
制御回路28は第3のメモリ25に記憶された磁界情報を読み出し、虚数部の値を内部メモリ(図示略)に記憶する(ステップS18)。
【0056】
そして、制御回路28は、読出しタイミング生成器30で生成する読出しタイミングを1クロック分遅らせる指示を読出しタイミング生成器30へ送る(ステップS19)。
その後、ステップS12〜S19を繰り返しながら、制御回路28は、第3のメモリ25に記憶された磁界情報の虚数部と、内部メモリに記憶されている虚数部とを比較する。そして、制御回路28は、ステップS18で記憶する周波数解析処理結果の虚数部の値が最もゼロに近くなる読出しタイミングを実測定に使用する読出しタイミングとして読出しタイミング生成器30に設定する(ステップS20)。
【0057】
このようにして、周波数解析処理結果の虚数部の値が最もゼロに近くなる読出しタイミングが読出しタイミング生成器30に設定された状態で、キャリブレーション値の測定が行われる。
具体的には、制御回路28がトリガ発生器31にマーカ駆動回路9と読出しタイミング生成器30へのトリガ信号の発生を指示する(ステップS21)。そして、マーカ駆動回路9が波形データメモリ10に記憶されている波形データに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック信号に同期して順次発生し、マーカコイル4に出力する。マーカコイル4は、入力された磁界発生駆動信号により第1の交番磁界を発生する(ステップS22)。
【0058】
次いで、受信回路13bが、全てのセンスコイル13aで受信したマーカコイル4からの磁界信号をローパスフィルタ処理、増幅処理およびバンドパスフィルタ処理し、クロック信号に同期してA/D変換を行う(ステップS23)。A/D変換された磁界信号は位置計算部14の第1のメモリ19に蓄えられる(ステップS24)。
【0059】
そして、FFT処理回路20が、全てのセンスコイル13aにより検出された磁界信号について、上記読出しタイミングで磁界信号を第1のメモリ19から読み出し、周波数解析処理を行う(ステップS25)。周波数解析処理の結果、得られた磁界情報のうち、第1の位置算出用周波数fにおける磁界強度の実数部、虚数部および絶対値のそれぞれの値を周波数選択部24が抽出し(ステップS26)、抽出された値をそれぞれのセンスコイル13aに対応したキャリブレーション値として第3のメモリ25に記憶する(ステップS27)。これによりキャリブレーション処理が終了し、この後に実測定が行われる。
【0060】
次に、実測定は、図6〜図8に示されるように、体腔内に内視鏡装置2およびカプセル医療装置3が挿入配置された状態で(ステップS31)、入力装置26において実測定の開始が指示されることにより開始される(ステップS32)。
制御回路28は、トリガ発生器31にマーカ駆動回路9および読出しタイミング生成器30へのトリガ信号の発生を指示し、トリガ発生器31がトリガ信号を発生する(ステップS33)。
【0061】
マーカ駆動回路9は、波形データメモリ10内に記憶されている波形データに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック信号に同期しながら順次生成し、マーカコイル4に出力する。マーカコイル4は入力された磁界発生駆動信号により第1の交番磁界を発生させる(ステップS34)。
【0062】
受信回路13bは、各センスコイル13aで検出したマーカコイル4からの第1の交番磁界に係る磁界信号をローパスフィルタ15によるローパスフィルタ処理、増幅器16による増幅処理およびバンドパスフィルタ17によるバンドパスフィルタ処理を行った後に、クロック信号に同期してA/D変換を行う(ステップS35)。
【0063】
A/D変換された磁界信号は、位置計算部14の第1のメモリ19に記憶される(ステップS36)。そして、周波数解析処理を行うのに必要なデータ数が第1のメモリ19内に蓄積されたか否かが判断され、蓄積された場合にはFFT処理回路20により周波数解析処理が行われる(ステップS37)。その後、この周波数解析処理が全てのセンスコイル13aからのデータに対して行われたか否かが判断され(ステップS38)、全てのセンスコイル13aからのデータが処理されていない場合にはステップS32〜S37が繰り返される。
【0064】
全てのセンスコイル13aからのデータの周波数解析処理が行われた場合には、図7に示されるように、その処理結果に基づいて、周波数選択部24は、マーカコイル4から発生させた第1の交番磁界の周波数における磁界情報のみを抽出し、第3のメモリ25に記憶する(ステップS39)。この処理は全てのセンスコイル13aからの磁界信号に対して行われる(ステップS40)。
【0065】
位置方向解析部22は、第3のメモリ25に記憶されている磁界情報の内、周波数解析処理結果の虚数部を第3のメモリ25から読み出し(ステップS41)、該虚数部に基づいて、磁気誘導コイル5の位置および向きを繰り返し演算により算出する(ステップS42)。周波数解析処理の結果の虚数部には、マーカコイル4の発生する第1の交番磁界と同一の第1の位置算出用周波数fを有し、かつ、第1の交番磁界の位相に対してπ/2だけずれた位相を有する磁気誘導コイル5に発生した誘導磁界の磁界信号(第2の検出磁界成分)のみが含まれているので、この虚数部を抽出して用いることにより、磁気誘導コイル5の位置および方向を精度よく算出することができる。
算出された磁気誘導コイル5の位置および方向は、制御回路28に送られて、表示装置8により表示される(ステップS43)とともに、第2のメモリ23に記憶される(ステップS44)。
【0066】
また、位置方向解析部22は、全てのセンスコイル13aからの磁界信号の周波数解析処理の結果の実数部および記憶されていたキャリブレーション値を読み出して(ステップS45,S46)、図8に示されるように、その差分値を算出する(ステップS47)。そして、算出された差分値に基づいてマーカコイル4の位置および方向が繰り返し演算により算出される(ステップS48)。
【0067】
周波数解析処理の結果の実数部には、マーカコイル4の発生する第1の交番磁界と同一の第1の位置算出用周波数fを有し、かつ、第1の交番磁界と同一の位相を有する磁界信号(第1の検出磁界成分)のみが含まれているので、この実数部を抽出して用いることにより、カプセル医療装置3がセンスコイル13aによる検出範囲内に存在していても、カプセル医療装置3の影響を受けることなく、マーカコイル4の位置および方向を精度よく算出することができる。
【0068】
また、周波数解析処理の結果の実数部からキャリブレーション値を減算した差分に基づいてマーカコイル4の位置および方向を算出するので、カプセル医療装置3以外からの磁界の影響をもなくして、さらに精度よくマーカコイル4の位置および方向を算出することができる。
算出されたマーカコイル4の位置および方向は、制御回路28に送られて、表示装置8により表示される(ステップS49)とともに、第2のメモリ23に記憶される(ステップS50)。
【0069】
そして、入力装置26において位置検出終了の指示が入力されたか否かが確認され(ステップS51)、入力された場合には、トリガ発生器31からのトリガ信号の発生を終了させ、位置検出システム1の動作を停止する(ステップS52)。一方、終了の指示が入力されていない場合には、ステップS23に戻り、位置検出動作を継続する。
【0070】
この場合において、磁気誘導コイル5およびマーカコイル4の位置および方向の繰り返し演算における初期値としては、前回に算出され第2のメモリ23に記憶されている磁気誘導コイル5およびマーカコイル4の位置および方向の計算結果が利用される。これにより、繰り返し演算の収束時間を短縮し、位置および方向を迅速に算出することができる。
【0071】
このように、本実施形態に係る位置検出システム1およびこれを用いた位置検出方法によれば、マーカコイル4からの信号と磁気誘導コイル5からの信号とを、両方の信号の位置情報に基づいて完全に分離することができる。その結果、マーカコイル4および磁気誘導コイル5の位置および向き、すなわち、体腔内に挿入した状態の内視鏡装置2の挿入部2aの先端およびカプセル医療装置3の位置および方向を正確に求めることができる。
【0072】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る位置検出システム40について、図9〜図17を参照して以下に説明する。
本実施形態の説明において、上述した第1の実施形態に係る位置検出システム1と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0073】
本実施形態に係る位置検出システム40は、図9に示されるように、医療装置誘導システム100に備えられている。医療装置誘導システム100は、被験者の口部または肛門から体腔内に投入される内視鏡装置2およびカプセル医療装置3と、位置検出システム40と、検出された位置および方向ならびに施術者の支持に基づきカプセル医療装置3を誘導する磁気誘導装置101と、カプセル医療装置3から送信された画像信号を表示する画像表示装置102とを備えている。
【0074】
磁気誘導装置101は、図9に示すように、カプセル医療装置3を駆動する平行な外部磁界(回転磁界)を発生させる3軸ヘルムホルツコイルユニット(推進用磁界発生部)71と、3軸ヘルムホルツコイルユニット71に供給する電流を増幅制御するヘルムホルツコイルドライバ72と、カプセル医療装置3を駆動する外部磁界の方向を制御する磁界制御回路(推進用磁界制御部)73と、施術者が入力したカプセル医療装置3の進行方向を磁界制御回路73に出力する入力装置74とを備えている。
【0075】
なお、本実施形態では、3軸ヘルムホルツコイルユニット71と標記したが、ヘルムホルツコイルの条件を厳密に満たすものでなくてもよい。例えば、コイルは円形でなく、図10に示されるように略四角をしていてもよく、また、対向するコイルの間隔も本実施形態の機能を満たす範囲でヘルムホルツコイルの条件から外れていてもかまわない。
【0076】
3軸ヘルムホルツコイルユニット71は、図9に示されるように、略矩形形状に形成されている。また、3軸ヘルムホルツコイルユニット71は、互いに対向する3対のヘルムホルツコイル(電磁石)71X,71Y,71Zを備えるとともに、各対のヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zが図9のX,Y,Z軸に対して略垂直となるように配置されている。X,Y,Z軸に対して略垂直に配置されたヘルムホルツコイルを順にそれぞれヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zと表記する。
【0077】
また、ヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zは、その内部に略直方体状の空間Sを形成するように配置されている。空間Sは、図9に示されるように、カプセル医療装置3の作動空間(作動空間Sとも言う。)になるとともに、被検者が配置される空間にもなっている。
【0078】
ヘルムホルツコイルドライバ72は、それぞれヘルムホルツコイル71X,71Y,71Zを制御するヘルムホルツコイルドライバ72X,72Y,72Zを備えている。
磁界制御回路73には、後述する位置検出システム40からカプセル医療装置3の現在向いている方向(カプセル医療装置3の長手軸Rの方向)データが入力されるとともに、施術者が入力装置74から入力したカプセル医療装置3の進行方向指示が入力されるようになっている。そして、磁界制御回路73からは、ヘルムホルツコイルドライバ72X,72Y,72Zを制御する信号が出力されるとともに、画像表示装置80にカプセル医療装置3の回転位相データが出力され、また、各ヘルムホルツコイルドライバ72X,72Y,72Zに供給する電流データが出力されるようになっている。
【0079】
また、入力装置74としては、例えば、ジョイスティック(図示略)を備え、ジョイスティックを倒すことによりカプセル医療装置3の進行方向を指示するようになっている。
なお、入力装置74は、上述のようにジョイスティック方式のものを用いてもよいし、進行方向のボタンを押すことにより進行方向を指示する入力装置など、他の方式の入力装置を用いてもよい。
【0080】
カプセル医療装置3は、図10に示すように、その内部に各種の機器を収納する外装110と、被験者1の体腔内管路の内壁面を撮像する撮像部120と、撮像部120を駆動する電池130と、後述する磁界発生装置41により交流磁界を発生させる誘導磁界発生部140と、磁気誘導装置70で発生する外部磁界を受け、カプセル医療装置3を駆動する永久磁石(磁界作用部)150とを備えている。
【0081】
外装110は、カプセル医療装置3の長手軸Rを中心軸とする赤外線を透過する円筒形状のカプセル本体(以下、単に本体と略記)111と、本体111の前端を覆う透明な半球形状の先端部112と、本体の後端を覆う半球形状の後端部113とから構成され、水密構造で密閉されたカプセル容器を形成している。
【0082】
また、外装110の本体111の外周面には、長手軸Rを中心として断面円形の線材を螺旋状に巻いた螺旋部114が備えられている。
磁気誘導装置70で発生させた回転する外部磁界を受け、永久磁石150が回転させられると、本体111とともに螺旋部114が長手軸R回りに回転させられる結果、螺旋部114により本体111の長手軸R回りの回転運動が長手軸Rに沿う方向の直線運動に変換され、管腔内でカプセル医療装置3を長手軸R方向に誘導することができるようになっている。
【0083】
撮像部120は、長手軸Rに対して略垂直に配置された基板120Aと、基板120Aの先端部112側の面に配置されたイメージセンサ121と、被験者の体腔内管路の内壁面の画像をイメージセンサ121に結像させるレンズ群122と、体腔内管路の内壁面を照明するLED(Light Emitting Diode)123と、基板120Aの後端部113側の面に配置された信号処理部124と、画像信号を画像表示装置102に発信する無線素子125とを備えている。
【0084】
信号処理部124は、電池130に電気的に接続されているとともに、イメージセンサ121およびLED123と電気的に接続されている。また、信号処理部124は、イメージセンサ121が取得した画像信号を圧縮して一時的に格納(メモリ)し、圧縮した画像信号を無線素子125から外部に送信するとともに、後述するスイッチ部126からの信号に基づきイメージセンサ121およびLED123のオン・オフを制御している。
【0085】
イメージセンサ121は、先端部112およびレンズ群122を介して結像された画像を電気信号(画像信号)に変換して信号処理部124へ出力している。このイメージセンサ121としては、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCDを用いることができる。
また、LED123は、基板120Aより先端部112側に配置された支持部材128に、長手軸Rを中心として周方向に間隔をあけて複数配置されている。
画像表示装置102は、カプセル医療装置3から送られてくる画像データを受信する画像受信回路81と、受信された画像データを表示する表示装置8とを備えている。
【0086】
永久磁石150は、信号処理部124の後端部113側に配置されている。永久磁石150は、長手軸Rに対して直行方向に磁化方向(磁極)を有するように配置または着磁されている。
永久磁石150の後端部113側には、スイッチ部126が備えられている。スイッチ部126は赤外線センサ127を有し、信号処理部124および電池130と電気的に接続されている。
【0087】
また、スイッチ部126は長手軸Rを中心として周方向に等間隔に複数配置されるとともに、赤外線センサ127が直径方向外側に面するように配置されている。本実施形態においては、スイッチ部126が4つ配置されている例を説明するが、スイッチ部126の数は4つに限られることなく、その個数がいくつであってもよい。
【0088】
無線素子125の後端部113側に配置された誘導磁界発生部140は、中心軸が長手軸Rと略一致する円柱形状に形成されたフェライトからなる芯部材(磁性体コア)141と、芯部材141の外周部に配置された磁気誘導コイル5と、磁気誘導コイル5と電気的に接続され、共振回路を形成するコンデンサ(図示略)とから形成されている。
また、芯部材141はフェライトの他、磁性材料が適しており、鉄、ニッケル、パーマロイ、コバルトなどを使用することもできる。
【0089】
本実施形態に係る位置検出システム40は、図9〜図12に示されるように、磁気誘導コイル5の作動範囲の外部に配置され、前記第1の位置算出用周波数fを有するとともに、前記第1の交番磁界と同一の位相を有する第2の交番磁界を発生する磁界発生装置41および磁界発生装置駆動回路42を備える点および位置方向解析部22における演算処理において、上述した第1の実施形態に係る位置検出システム1と相違している。図12中、符号43は波形データメモリ、符号44はD/A変換器、符号45は増幅器、符号55は磁界発生装置41を選択するセレクタ、符号56はセンスコイル13aを選択するセンスコイルセレクタである。
【0090】
図11および図12に本実施形態に係る位置検出システム40を簡略化して示す。
本実施形態に係る位置検出システム40により、内視鏡装置2の先端のマーカコイル4およびカプセル医療装置3内の磁気誘導コイル5の位置および方向を検出するには、第1の実施形態と同様にして、発生する第1,第2の交番磁界の波形データを生成して波形データメモリ10,43に記憶し、カプセル医療装置3が作動範囲内に存在しない状態で、キャリブレーションを行う。
【0091】
マーカコイル4から第1の交番磁界を発生するのみならず磁界発生装置41からも第2の交番磁界を発生するので、生成された磁界波形データは、マーカ駆動回路9および磁界発生装置駆動回路42の波形データメモリ10,43にそれぞれ転送される。なお、マーカコイル4および磁界発生装置41から発生する第1,第2の交番磁界は、磁気誘導コイル5の共振周波数である第1の位置算出用周波数fに一致し、かつ同一の位相を有している。
【0092】
キャリブレーションは、図13および図14に示されるように、内視鏡装置2の挿入部2a先端が体腔内に挿入され、カプセル医療装置3が体腔内に投入されていない状態で、入力装置26からキャリブレーションの指示が入力されることにより開始される(ステップS41)。制御回路28は、磁界発生装置駆動回路42および読出しタイミング生成器30に対してトリガ信号を発生するようにトリガ信号発生器31に指示を与える。これによりトリガ信号発生器31からトリガ信号が発せられる(ステップS42)。
【0093】
トリガ信号を受けた磁界発生装置駆動回路42は、波形データメモリ43内に記憶されている波形データに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック29からのクロック信号に同期して順次生成し、磁界発生装置41に出力する。磁界発生装置41は入力された磁界発生駆動信号により第2の交番磁界を発生する(ステップS43)。
【0094】
受信回路13bは、各センスコイル13aで検出した磁界発生装置41からの第2の交番磁界に係る磁界信号を受信して、ローパスフィルタ処理、増幅処理およびバンドパスフィルタ処理を行った後に、クロック信号に同期してA/D変換を行う(ステップS44)。
【0095】
A/D変換された磁界信号は、位置計算部14の第1のメモリ19に記憶される(ステップS45)。そして、周波数解析処理を行うのに必要なデータ数が第1のメモリ19内に蓄積されたか否かが判断され、蓄積された場合にはFFT処理回路20により周波数解析処理が行われる(ステップS46)。
【0096】
周波数解析処理の結果に基づいて、周波数選択部24は、磁界発生装置41から発生させた第2の交番磁界の周波数である第1の位置算出用周波数fにおける磁界情報のみを抽出して第3のメモリ25に記憶する(ステップS47)。
制御回路28は第3のメモリ25に記憶された磁界情報を読み出し、虚数部の値を記憶する(ステップS48)。
【0097】
そして、制御回路28は、読出しタイミング生成器30で生成する読出しタイミングを1クロック分遅らせる指示を読出しタイミング生成器30へ送る(ステップS49)。
その後、ステップS42〜S49を繰り返し、ステップS48で記憶する周波数解析処理結果の虚数部の値が最もゼロに近くなる読出しタイミングを実測定に使用する読出しタイミングとして読出しタイミング生成器30に設定する(ステップS50)。
【0098】
このようにして、周波数解析処理結果の虚数部の値が最もゼロに近くなる読出しタイミングが読出しタイミング生成器30に設定された状態で、キャリブレーション値の測定が行われる。
具体的には、制御回路28がトリガ発生器31に磁界発生装置駆動回路42と読出しタイミング生成器30へのトリガ信号の発生を指示し(ステップS51)、磁界発生装置駆動回路42が波形データメモリ43に記憶されている波形データに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック信号に同期して順次発生し、磁界発生装置41に出力する。磁界発生装置41は、入力された磁界発生駆動信号により第2の交番磁界を発生する(ステップS52)。
【0099】
次いで、受信回路13bが、全てのセンスコイル13aで受信した磁界発生装置41からの磁界信号をローパスフィルタ処理、増幅処理およびバンドパスフィルタ処理し、クロック信号に同期してA/D変換を行う(ステップS53)。A/D変換された磁界信号は位置計算部14の第1のメモリ19に蓄えられる(ステップS54)。
【0100】
そして、全てのセンスコイル13aにより検出された磁界信号について、上記読出しタイミングで磁界信号を第1のメモリ19から読み出し、周波数解析処理を行う(ステップS55)。周波数解析処理の結果、得られた磁界情報のうち、第1の位置算出用周波数fにおける磁界強度の実数部、虚数部および絶対値のそれぞれの値を抽出し(ステップS56)、抽出された値をそれぞれのセンスコイル13aに対応したキャリブレーション値として記憶する(ステップS57)。これによりキャリブレーション処理が終了し、この後に実測定が行われる。
【0101】
次に、実測定は、体腔内に内視鏡装置2およびカプセル医療装置3が挿入配置された状態で(ステップS61)、入力装置26において実測定の開始が指示されることにより開始される(ステップS62)。
制御回路28は、トリガ発生器31にマーカ駆動回路9、磁界発生装置駆動回路42および読出しタイミング生成器30へのトリガ信号の発生を指示し、トリガ発生器31がトリガ信号を発生する(ステップS63)。
【0102】
マーカ駆動回路9は、波形データメモリ10内に記憶されている波形データに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック信号に同期しながら順次生成し、マーカコイル4に出力する。マーカコイル4は入力された磁界発生駆動信号により第1の交番磁界を発生させる(ステップS64)。
また、磁界発生装置駆動回路42は、波形データメモリ43内に記憶されている波形データに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック信号に同期しながら順次生成し、磁界発生装置41に出力する。磁界発生装置41は入力された磁界発生駆動信号により第2の交番磁界を発生させる(ステップS65)。
【0103】
受信回路13bは、各センスコイル13aで検出したマーカコイル4からの第1の交番磁界および磁界発生装置41からの第2の交番磁界に係る磁界信号をローパスフィルタ処理、増幅処理およびバンドパスフィルタ処理を行った後に、クロック信号に同期してA/D変換を行う(ステップS66)。
【0104】
A/D変換された磁界信号は、位置計算部14の第1のメモリ19に記憶される(ステップS67)。そして、周波数解析処理を行うのに必要なデータ数が第1のメモリ19内に蓄積されたか否かが判断され、蓄積された場合にはFFT処理回路20により周波数解析処理が行われる(ステップS68)。その後、この周波数解析処理が全てのセンスコイル13aからのデータに対して行われたか否かが判断され(ステップS69)、全てのセンスコイル13aからのデータが処理されていない場合にはステップS63〜S68が繰り返される。
【0105】
全てのセンスコイル13aからのデータの周波数解析処理が行われた場合には、図16に示されるように、その処理結果に基づいて、周波数選択部24は、マーカコイル4から発生させた第1の交番磁界の周波数における磁界情報および磁界発生装置41から発生させた第2の交番磁界の周波数における磁界情報のみを抽出し、第3のメモリ25に記憶する(ステップS70)。この処理は全てのセンスコイル13aからの磁界信号に対して行われる(ステップS71)。
【0106】
位置方向解析部22は、まず、第3のメモリ25に記憶されている磁界情報の内、周波数解析処理結果の虚数部を第3のメモリ25から読み出し(ステップS72)、該虚数部に基づいて、磁気誘導コイル5の位置および向きを繰り返し演算により算出する(ステップS73)。周波数解析処理の結果の虚数部には、マーカコイル4の発生する第1、第2の交番磁界と同一の第1の位置算出用周波数fを有し、かつ、第1、第2の交番磁界の位相に対してπ/2だけずれた位相を有する磁気誘導コイル5に発生した誘導磁界の磁界信号(第2の検出磁界成分)のみが含まれているので、この虚数部を抽出して用いることにより、磁気誘導コイル5の位置および方向を精度よく算出することができる。
算出された磁気誘導コイル5の位置および方向は、制御回路28に送られて、表示装置8により表示されるとともに(ステップS74)、第2のメモリ23に記憶される(ステップS75)。
【0107】
また、位置方向解析部22は、全てのセンスコイル13aからの磁界信号の周波数解析処理の結果の実数部およびキャリブレーション値として記憶していた磁界発生装置41からの第2の交番磁界のみが発生しているときの各センスコイル13aからの磁界信号の周波数解析処理結果の実数部を読み出して(ステップS76,S77)、その差分値を算出する(ステップS78)。そして、算出された差分値に基づいてマーカコイル4の位置および方向が繰り返し演算により算出される(ステップS79)。
【0108】
周波数解析処理の結果の実数部には、第1、第2の交番磁界と同一の第1の位置算出用周波数fを有し、かつ、第1の交番磁界と同一の位相を有する磁界信号(第1の検出磁界成分)のみが含まれているので、この実数部を抽出して用いることにより、カプセル医療装置3がセンスコイル13aによる検出範囲内に存在していても、カプセル医療装置3の磁気誘導コイル5の影響を受けることなく、マーカコイル4の位置および方向を精度よく算出することができる。
【0109】
また、キャリブレーション値として、第2の交番磁界のみが作用している場合のを減算した差分に基づいてマーカコイル4の位置および方向を算出するので、磁界発生装置41からの磁界を排除して、さらに精度よくマーカコイル4の位置および方向を算出することができる。
算出されたマーカコイル4の位置および方向は、制御回路28に送られて、表示装置8により表示されるとともに(ステップS80)、第2のメモリに記憶される(ステップS81)。
【0110】
そして、入力装置26において位置検出終了の指示が入力されたか否かが確認され(ステップS82)、入力された場合には、トリガ発生器31からのトリガ信号の発生を終了させ、位置検出システム1の動作を停止する(ステップS83)。一方、終了の指示が入力されていない場合には、ステップS63に戻り、位置検出動作を継続する。
【0111】
この場合において、マーカコイル4および磁気誘導コイル5の位置および方向の繰り返し演算における初期値としては、前回に算出され第2のメモリ23に記憶されているマーカコイル4および磁気誘導コイル5の位置および方向の計算結果が利用される。これにより、繰り返し演算の収束時間を短縮し、位置および方向を迅速に算出することができる。
【0112】
このように、本実施形態に係る位置検出システム40およびこれを用いた位置検出方法によれば、外部からの電力供給により磁界を発生するマーカコイル4を有する内視鏡装置2と、磁気誘導コイル5を有するカプセル医療装置3とが共存した場合においても、内視鏡装置2およびカプセル医療装置3の両方について、位置および方向の少なくとも一方を同時に精度よく算出することができる。また、第1の交番磁界に加えて第2の交番磁界も、第2のマーカから誘導磁界を発生させているので、誘導磁界の強度を大きくすることができる。
【0113】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る位置検出システム50について、図18〜図24を参照して以下に説明する。
本実施形態の説明において、上述した第2の実施形態に係る位置検出システム40と構成を共通とする箇所には同一符号を付して説明を省略する。
【0114】
本実施形態に係る位置検出システム50は、図18に示されるように、内視鏡装置2の先端に設けたマーカコイル4に代えて、第1のカプセル医療装置51内に配置されたマーカコイル52を採用している点、該第1のカプセル医療装置51への信号の送信部53を備える点、磁気誘導コイル5を第2のカプセル医療装置3′内に配置している点、磁界発生装置41の発生する第2の交番磁界の周波数が異なる点、および位置計算部14における演算処理において、上述した第2の実施形態に係る位置検出システム40と相違している。
【0115】
第1のカプセル医療装置51は、図19に示されるように、第1の位置算出用周波数fを有する第1の交番磁界を発生するマーカコイル52と、該マーカコイル52を駆動するマーカ駆動回路54と、クロック55と、PLL回路56と、受信部57と、図示しない電源とを備えている。マーカ駆動回路54は、送信部53から無線送信され、受信部57で受信された指令信号に応じてマーカコイル52に第1の交番磁界を発生させるようになっている。
【0116】
前記磁界発生装置41は、第2のカプセル医療装置3′内の磁気誘導コイル5の共振周波数(第1の位置算出用周波数f)の近傍であって、該共振周波数fを挟んで略等しい周波数だけ離れた少なくとも一組の第2の位置算出用周波数f,fを有する第2の交番磁界を発生するようになっている。
【0117】
本実施形態に係る位置検出システム50により、第1のカプセル医療装置51内のマーカコイル52および第2のカプセル医療装置3′内の磁気誘導コイル5の位置および方向を検出するには、発生する交番磁界の波形データを生成して波形データメモリ10,43に記憶し、第2のカプセル医療装置3′が作動範囲内に存在しない状態で、キャリブレーションを行う。
生成された磁界波形データは、第1のカプセル医療装置51内のマーカ駆動回路54および磁界発生装置駆動回路42の波形データメモリ10,43にそれぞれ転送される。
【0118】
磁界波形の生成は、入力装置26から磁気誘導コイル5の共振周波数fを入力することにより開始される(ステップS101)。制御回路28は、入力された共振周波数fを第1のカプセル医療装置51内のマーカコイル52から発生する第1の交番磁界の第1の位置算出用周波数fとして設定する。また、制御回路28は、共振周波数fを挟んで略等しい周波数だけ離れた一組の第2の位置算出用周波数f,fを磁界発生装置41から発生する第2の交番磁界の周波数として設定する(ステップS102)。
【0119】
制御回路28は、設定された周波数f,f,fを波形データ生成器27へ転送する(ステップS103)。
波形データ生成器27においては、送られてきた第2の位置算出用周波数f,fに基づいて磁界発生装置41から発生する第2の交番磁界の磁界波形Bを次式により算出する(ステップS104)
=B×sin(2πft)+B×sin(2πft)
【0120】
また、波形データ生成器27においては、送られてきた第1の位置算出用周波数fに基づいてマーカコイル52から発生する第1の交番磁界の磁界波形Bm1を次式により算出する。
m1=B×sin(2πft)
【0121】
波形データ生成器27において生成された磁界波形Bm1のデータは、磁界発生装置駆動回路42の波形データメモリ43に記憶される。また、磁界波形Bのデータは制御部7に設けられた送信部53から第1のカプセル医療装置51に設けられた受信部57へ送信される。受信部57で受信された磁界波形データは、波形データメモリ10に記憶される(ステップS106)。
【0122】
キャリブレーションは、第1のカプセル医療装置51が体腔内に投入され、第2のカプセル医療装置3′が体腔内に投入されていない状態で、入力装置26からキャリブレーションの指示が入力されることにより開始される(ステップS111)。制御回路28は、磁界発生装置駆動回路42および読出しタイミング生成器30に対してトリガ信号を発生するようにトリガ発生器31に指示を与える。これによりトリガ発生器31からトリガ信号が発せられる(ステップS112)。
【0123】
トリガ信号を受けた磁界発生装置駆動回路42は、波形データメモリ43内に記憶されている磁界波形Bm1のデータに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック信号に同期して順次生成し、磁界発生装置41に出力する。磁界発生装置41は入力された磁界発生駆動信号により第2の交番磁界を発生する(ステップS113)。
【0124】
受信回路13bは、各センスコイル13aで検出した磁界発生装置41からの第2の交番磁界に係る磁界信号を受信して、ローパスフィルタ処理、増幅処理およびバンドパスフィルタ処理を行った後に、クロック信号に同期してA/D変換を行う(ステップS114)。
【0125】
A/D変換された磁界信号は、位置計算部14の第1のメモリ19に記憶される(ステップS115)。そして、周波数解析処理を行うのに必要なデータ数が第1のメモリ19内に蓄積されたか否かが判断され、蓄積された場合にはFFT処理回路20により周波数解析処理が行われる(ステップS116)。
【0126】
周波数解析処理の結果に基づいて、周波数選択部24は、磁界発生装置41から発生させた第2の交番磁界の周波数である第2の位置算出用周波数f,fにおける磁界情報のみを抽出して第3のメモリ25に記憶する(ステップS117)。
ここで記憶された各周波数f,fにおける磁界信号の強度をVf1−1,Vf1−2,・・・,Vf1−N,Vf2−1,Vf2−2,・・・,Vf2−Nとする。ここで、上付きの添え字f1,f2は周波数成分を示し、その後の添え字1,2,・・・Nはセンスコイル13aの番号を示す。この場合の磁界情報は、周波素解析処理結果の絶対値情報である。そして、周波数f,fの磁界情報をキャリブレーション値として第3のメモリ25に記憶する。
【0127】
なお、この場合に、全てのセンスコイル13aで検出された周波数fの磁界信号と、周波数fの磁界信号を補正することにしてもよい。具体的には、全てのセンスコイル13aで検出された周波数fの信号成分の和Σ(Vf1−N)と、全てのセンスコイル13aで検出された周波数fの信号成分の和Σ(Vf2−N)とを求める。そして、Vf2−1,Vf2−2,・・・,Vf2−Nを次のように書き換えて第1のメモリ19に上書きする。
【0128】
f2−1をVf2−1×Σ(Vf1−N)/Σ(Vf2−N
f2−2をVf2−2×Σ(Vf1−N)/Σ(Vf2−N
・・・
f2−NをVf2−N×Σ(Vf1−N)/Σ(Vf2−N
【0129】
また、Σ(Vf1−N)/Σ(Vf2−N)を第1のメモリ19に保存しておく。このようにすることで、第1のメモリ19に記憶されているVf1−1と、置き換えられたVf2−1とはほぼ等しい値を持つ。言い換えれば、各センスコイル13aの周波数fの信号に対するゲインと、周波数fの信号に対するゲインとをほぼ等しくすることができる。
【0130】
なお、第1のカプセル医療装置51に設けられたクロック(第1のクロック)55と、制御部7に設けられたクロック(第2のクロック)29とは同期するように制御されている。具体的には、第2のクロック29の同期信号とトリガ発生器31からのトリガ信号とが、制御部7に設けられた送信部53から第1のカプセル医療装置51に設けられた受信部57へ送信されるようになっている。そして、第1のクロック55は、PLL回路56等により第2のクロック29の同期信号を用いて位相制御されるようになっている。このような制御はキャリブレーションおよび後述する実測定において、定常的または断続的に実行されるようになっている。
【0131】
次に、実測定は、体腔内に第1,第2のカプセル医療装置51,3′が配置された状態で(ステップS120)、入力装置26において実測定の開始が指示されることにより開始される(ステップS121)。
制御回路28は、トリガ発生器31にマーカ駆動回路54、磁界発生装置駆動回路42および読出しタイミング生成器30へのトリガ信号の発生を指示し、トリガ発生器31がトリガ信号を発生する(ステップS122)。
【0132】
マーカ駆動回路54は、波形データメモリ10内に記憶されている波形データに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック信号に同期しながら順次生成し、マーカコイル52に出力する。マーカコイル52は入力された磁界発生駆動信号により第1の交番磁界を発生させる(ステップS123)。
また、磁界発生装置駆動回路42は、波形データメモリ43内に記憶されている波形データに基づいて、磁界発生駆動信号をクロック信号に同期しながら順次生成し、磁界発生装置41に出力する。磁界発生装置41は入力された磁界発生駆動信号により第2の交番磁界を発生させる(ステップS124)。
【0133】
受信回路13bは、各センスコイル13aで検出したマーカコイル52からの第1の交番磁界および磁界発生装置41からの第2の交番磁界に係る磁界信号をローパスフィルタ処理、増幅処理およびバンドパスフィルタ処理を行った後に、クロック信号に同期してA/D変換を行う(ステップS125)。
【0134】
A/D変換された磁界信号は、位置計算部14の第1のメモリ19に記憶される(ステップS126)。そして、周波数解析処理を行うのに必要なデータ数が第1のメモリ19内に蓄積されたか否かが判断され、蓄積された場合にはFFT処理回路20により周波数解析処理が行われる(ステップS127)。その後、この周波数解析処理が全てのセンスコイル13aからのデータに対して行われたか否かが判断され(ステップS128)、全てのセンスコイル13aからのデータが処理されていない場合には、ステップS122〜S127が繰り返される。
【0135】
全てのセンスコイル13aからのデータの周波数解析処理が行われた場合には、図23に示されるように、その処理結果に基づいて、周波数選択部24は、磁界発生装置駆動回路42で発生させた磁界の周波数成分、すなわち第2の位置算出用周波数f,fの磁界強度の絶対値を抽出し周波数f,fと対応づけて第3のメモリ25に記憶する(ステップS129)。この処理は全てのセンスコイル13aからの磁界信号に対して行われる(ステップS130)。
【0136】
位置方向解析部22は、磁気誘導コイル5の位置計算を行うための各センスコイル13aの信号を以下の計算式から算出する(ステップS131)。
m2=(Vf1−1−Vf1−1)−(Vf2−1−Vf2−1
m2=(Vf1−2−Vf1−2)−(Vf2−2−Vf2−2
・・・
m2=(Vf1−N−Vf1−N)−(Vf2−N−Vf2−N
【0137】
そして、位置方向解析部22は、算出されたVm2,Vm2,・・・,Vm2に基づいて磁気誘導コイル5の位置および向きを繰り返し演算により算出する(ステップS132)。
算出された磁気誘導コイル5の位置および方向は、制御回路28に送られて、表示装置8により表示されるとともに(ステップS133)、第2のメモリ23に記憶される(ステップS134)。
【0138】
また、周波数選択部24は、周波数解析処理の結果に基づいて、マーカ駆動回路54で発生させた磁界の周波数成分、すなわち、第1の位置算出用周波数fの磁界強度の実数部の値を抽出し、第3のメモリ25に記憶する。
位置方向解析部22は、第3のメモリ25に記憶されている第1の位置算出用周波数fの磁界強度の実数部の値に基づいて、マーカコイル52の位置および方向を算出する(ステップS135)。
【0139】
算出されたマーカコイル52の位置および方向は、制御回路28に送られて、表示装置8により表示されるとともに(ステップS136)、第2のメモリ23に記憶される(ステップS137)。
【0140】
そして、入力装置26において位置検出終了の指示が入力されたか否かが確認され(ステップS138)、入力された場合には、トリガ発生器31からのトリガ信号の発生を終了させ、位置検出システム50の動作を停止する(ステップS139)。一方、終了の指示が入力されていない場合には、ステップS123に戻り、位置検出動作を継続する。この場合において、磁気誘導コイル5およびマーカコイル52の位置および方向の繰り返し演算における初期値としては、前回に算出され第2のメモリ23に記憶されている磁気誘導コイル5およびマーカコイル52の位置および方向の計算結果が利用される。これにより、繰り返し演算の収束時間を短縮し、位置および方向を迅速に算出することができる。
【0141】
このように、本実施形態に係る位置検出システム50および位置検出方法によれば、マーカコイル52からの信号と、磁気誘導コイル5からの信号とを、両方の信号の位相情報を元に完全に分離できる。したがって、マーカコイル52の位置および方向を正確に算出することができる。また、磁気誘導コイル5の位置および方向に関して、2つの周波数信号強度の差により求めているので、マーカコイル52による誘導磁界が発生していない信号から計算することができる。その結果、磁気誘導コイル5の位置および方向をマーカコイル52の干渉を抑えて正確に求めることができる。
【0142】
なお、本実施形態においては、マーカコイル52が複数個存在する場合には、時分割で各マーカコイル52を順次駆動してステップS122〜S137を繰り返すことにすればよい。
すなわち、マーカコイル52で発生した磁界は、磁気誘導コイル5の共振周波数と等しい周波数fを有する磁界である。このため、磁気誘導コイル5がマーカコイル52からの磁界を受けて発生する誘導磁界は、マーカコイル52で発生する磁界に対してπ/2だけ位相がずれたものとなっている。
【0143】
このため、センスコイル13aで取得した信号を周波数解析処理した結果としては、マーカコイル52と磁気誘導コイル5が作った磁界による信号はπ/2だけずれて観測される。マーカコイル52で発生させる磁界の位相は、受信回路13bのA/D変換器18のサンプリングクロックと、マーカコイル駆動回路54のA/D変換器11のサンプリングクロックが同期していることにより、あらかじめ調節しておくことができる。本実施形態においては、マーカコイル52の磁界による信号が全て実数部に現れるように、読出しタイミング生成器30で調整してある。
【0144】
この調整方法はマーカコイル52だけを駆動させ、センスコイル13aで取得された磁界信号を周波数解析処理を行った結果の実数部が最大で、虚数部が最小となるように読出しタイミング生成器30で発生させる信号を調整すればよい。これは一度行っておけば再度調整する必要はない。この手順は第3の実施形態で示したキャリブレーションの手順を、磁界発生装置41をマーカコイル52に置き換えて行うことで実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る位置検出システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の位置検出システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図1の位置検出システムを用いた位置検出方法における波形生成動作を説明するフローチャートである。
【図4】図3の位置検出方法におけるキャリブレーション動作の前半を説明するフローチャートである。
【図5】図3の位置検出方法におけるキャリブレーション動作の後半を説明するフローチャートである。
【図6】図3の位置検出方法における実測定動作の前半を説明するフローチャートである。
【図7】図6の続きの実測定動作を説明するフローチャートである。
【図8】図7の続きの実測定動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る位置検出システムを備える医療装置誘導システムを説明する全体構成図である。
【図10】図9の医療装置誘導システムに用いられるカプセル医療装置の一例を示す縦断面図である。
【図11】図9の医療装置誘導システムに備えられる本実施形態に係る位置検出システムの全体構成を示すブロック図である。
【図12】図11の位置検出システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図13】図11の位置検出システムを用いた位置検出方法におけるキャリブレーション動作の前半を説明するフローチャートである。
【図14】図13に続くキャリブレーション動作の後半を説明するフローチャートである。
【図15】図11の位置検出方法における実測定動作の前半を説明するフローチャートである。
【図16】図15の続きの実測定動作を説明するフローチャートである。
【図17】図16の続きの実測定動作を説明するフローチャートである。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る位置検出システムの全体構成を示すブロック図である。
【図19】図18の位置検出システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図20】図18の位置検出システムを用いた位置検出方法における波形生成動作を説明するフローチャートである。
【図21】図20の位置検出方法におけるキャリブレーション動作を説明するフローチャートである。
【図22】図18の位置検出システムを用いた位置検出方法における実測定動作の前半を説明するフローチャートである。
【図23】図22の続きの実測定動作を説明するフローチャートである。
【図24】図23の続きの実測定動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0146】
第1の位置算出用周波数
,f 第2の位置算出用周波数
1,40,50 位置検出システム
2 内視鏡装置(内視鏡)
2a 挿入部
3 カプセル医療装置(第2のマーカ)
3′ 第2のカプセル医療装置(カプセル医療装置)
4,52 マーカコイル(第1のマーカ)
5 磁気誘導コイル
6 磁界検出部
21 周波数選択部(抽出部)
22 位置方向解析部
41 磁界発生装置(磁界発生部)
51 第1のカプセル医療装置(カプセル医療装置)
71 3軸ヘルムホルツコイルユニット
72 ヘルムホルツコイルドライバ(推進用磁界制御部)
100 医療装置誘導システム
150 永久磁石(磁界作用部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電力供給により第1の位置算出用周波数を有する第1の交番磁界を発生する第1のマーカと、
前記位置算出用周波数と同一の共振周波数を有する磁気誘導コイルを搭載した第2のマーカと、
該第2のマーカの作動範囲の外部に配置され、前記第1の位置算出用周波数において磁界を検出する磁界検出部と、
該磁界検出部で検出された磁界から、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに前記第1の交番磁界と同一の位相を有する第1の検出磁界成分を抽出する抽出部と、
該抽出部により抽出された前記第1の検出磁界成分の強度に基づいて前記第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する位置方向解析部とを備える位置検出システム。
【請求項2】
前記抽出部が、前記磁界検出部で検出された磁界から、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに前記第1の交番磁界の位相に対してπ/2ずれた位相を有する第2の検出磁界成分を抽出し、
前記位置方向解析部が、さらに前記第2の検出磁界成分の強度に基づいて前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記第2のマーカの作動範囲の外部に配置され、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに、前記第1の交番磁界と同一の位相を有する第2の交番磁界を発生する磁界発生部を備え、
前記位置方向解析部が、前記第1の交番磁界の発生時に抽出された前記第1の検出磁界成分の強度と前記第1の交番磁界の発生前に抽出された前記第1の検出磁界成分の強度との差分に基づいて前記第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する請求項2に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記第2のマーカの作動範囲の外部に配置され、前記第1の位置算出用周波数の近傍であって、前記第1の位置算出用周波数を挟み該第1の位置算出用周波数に対して所定の周波数だけ離れた少なくとも一組の第2の位置算出用周波数を有する第2の交番磁界を発生する磁界発生部を備え、
前記磁界検出部が、さらに前記第2の位置算出用周波数において磁界を検出し、
前記抽出部が、前記磁界検出部で検出された磁界から、前記一組の第2の位置算出用周波数を有する少なくとも一組の第2の検出磁界成分の強度の差分を抽出し、
前記位置方向解析部が、さらに抽出された前記差分に基づいて前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記第2の検出磁界成分の強度が絶対値強度である請求項4に記載の位置検出システム。
【請求項6】
前記第2のマーカがカプセル医療装置に設けられている請求項1から請求項5のいずれかに記載の位置検出システム。
【請求項7】
前記第1のマーカが内視鏡の先端部に設けられている請求項1から請求項6のいずれかに記載の位置検出システム。
【請求項8】
請求項2から請求項7のいずれかに記載の位置検出システムを備え、
前記第2のマーカが、さらに磁界作用部を備え、
該磁界作用部に作用させる推進用磁界を発生させる推進用磁界発生部と、
前記位置方向解析部により算出された前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方に基づいて、前記推進用磁界の強度および方向を制御する推進用磁界制御部とを備える医療装置誘導システム。
【請求項9】
外部からの電力供給により第1のマーカが第1の位置算出用周波数を有する第1の交番磁界を発生する磁界発生ステップと、
磁気誘導コイルを搭載した第2のマーカが前記第1の交番磁界を受けて誘導磁界を発生する誘導磁界発生ステップと、
前記第1の位置算出用周波数において磁界を検出する磁界検出ステップと、
検出された磁界から、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに前記第1の位置算出用周波数において第1の交番磁界と同一の位相を有する第1の検出磁界成分を抽出する抽出ステップと、
抽出された前記第1の検出磁界成分の強度に基づいて前記第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出する位置方向解析ステップとを有する位置検出方法。
【請求項10】
前記抽出ステップが、検出された磁界から、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに前記第1の交番磁界の位相に対してπ/2ずれた位相を有する第2の検出磁界成分を抽出するステップを有し、
前記位置方向解析ステップが、さらに抽出された前記第2の検出磁界成分の強度に基づいて前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出するステップを有する請求項9に記載の位置検出方法。
【請求項11】
前記磁界発生ステップが、前記第1の位置算出用周波数を有するとともに、前記第1の交番磁界と同一の位相を有する第2の交番磁界を発生するステップを有し、
前記誘導磁界発生ステップが、前記第2のマーカが前記第2の交番磁界を受けて誘導磁界を発生するステップを有し、
前記位置方向解析ステップが、前記第1の交番磁界の発生時に抽出された前記第1の検出磁界成分の強度と前記第1の交番磁界の発生前に抽出された前記第1の検出磁界成分の強度との差分に基づいて前記第1のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出するステップである請求項9に記載の位置検出方法。
【請求項12】
前記磁界発生ステップが、前記第1の位置算出用周波数の近傍であって、前記第1の位置算出用周波数を挟み該第1の位置算出用周波数に対して所定の周波数だけ離れた少なくとも一組の第2の位置算出用周波数を有する第2の交番磁界を発生するステップを有し、
前記誘導磁界発生ステップが、前記第2のマーカが前記第2の交番磁界を受けて誘導磁界を発生するステップを有し、
前記磁界検出ステップが、前記第2の位置算出用周波数において磁界を検出するステップを有し、
前記抽出ステップが、検出された磁界から、前記一組の第2の位置算出用周波数を有する少なくとも一組の第2の検出磁界成分の強度の差分を抽出するステップを有し、
前記位置方向解析ステップが、さらに抽出された前記差分に基づいて前記第2のマーカの位置および方向の少なくとも一方を算出するステップを有する請求項9に記載の位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−132047(P2008−132047A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319095(P2006−319095)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】