説明

位置検出装置及びシフトレバー装置

【課題】検出手段が故障しても、位置検出に際して誤判定を生じ難くすることができる位置検出装置及びシフトレバー装置を提供する。
【解決手段】シフトレバー3に磁石を設け、装置本体2にMR素子1を設けて、MRセンサ1により磁石の磁界を検出することで、シフトレバー3の操作位置を判定する。シフトレバーはモーメンタリ式をとり、中立位置から他の位置に操作されると、その後、元の中立位置に自動で復帰する。また、MR素子1のセンサ出力で位置判定を行うに際して、シフトレバーが行きと帰りの動きをとるとき、MR素子1の出力が2回変化、つまり往復変化する。よって、MR素子1のセンサ出力が往復変化をとることを確認すると、シフトレバー3を操作有りと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材の位置を検出する位置検出装置及びシフトレバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品が移動した際の位置を見る位置検出技術(特許文献1,2等参照)が種々開発されている。この種の位置検出装置としては、検出素子として例えば磁気センサや光センサを使用し、これら検出素子から出力されるセンサ信号がHレベル又はLレベルのどちらをとるのかを見ること、つまりその時々のセンサ信号自体がどのような値をとっているのかのみを見ることにより、物品の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−154868号公報
【特許文献2】特開2005−36837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、センサ故障の一種には、例えばセンサ出力がHレベルに張り付いてしまう電圧固着がある。仮に、前述したようなセンサの値のみで位置判定する場合、センサに電圧固着の故障が発生していると、例えば位置検出装置が物品の位置を確認しにいった際、その時点でセンサ出力が既にHレベルに切り換わってしまっているので、物品が操作されていないにも拘らず、センサからはH信号が出力されてしまう。このため、センサが誤ったセンサ信号を出力するので、位置が誤判定される問題があった。
【0005】
また、この種の位置検出装置では、検出素子が故障しても継続して位置検出が可能となるように、検出素子を複数搭載して重系にする場合がある。この場合、検出素子が1個故障しても継続した位置検出を可能(1個故障時継続操作可能)とし、1個故障時に次にもう1つ故障すると動作停止することを通知可能(2個故障時安全出力可能)とするには、(A)1個故障した場合に正常素子が故障素子よりも数が多いこと、(B)2個故障した場合に故障素子が正常素子より数が多くならないことの2条件が成立しなければならない。よって、単純な構成の場合、検出素子が4つ必要、つまり4重系が必要となる。
【0006】
しかし、前述したような1個故障時継続操作可能及び2個故障時安全出力可能とするには、単純に検出素子が4つも必要となるので、必要となる検出素子の個数が多くなってしまう問題があった。このように、検出素子の個数が多くなると、その分だけ装置サイズが大型化したり、或いは装置コストがアップしたりする問題に繋がるので、検出素子の個数をなるべく少なくしたいニーズがあった。
【0007】
本発明の目的は、検出手段が故障しても、位置検出に際して誤判定を生じ難くすることができる位置検出装置及びシフトレバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、操作部材の操作位置を検出する位置検出装置において、前記操作部材を操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、前記検出手段の出力が往復変化することを確認すると、前記操作部材を操作有りとして判定する操作判定手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、検出手段の出力信号から操作部材の位置を判定するに際して、出力信号の値のみで判定するのではなく、出力信号が例えばLからHに切り換わって更にLに戻るような、いわゆる出力の往復変化を確認すると、操作部材を操作有りとして判定する。このため、もし仮に位置判定の前に検出手段の出力がHやLに張り付く電圧固着故障が発生した場合には、このとき検出手段から出力される出力信号では位置検出が行われないので、検出手段の故障を要因とする出力変化で、操作部材の操作位置判定が行われることがない。従って、操作位置の誤判定を生じ難くすることが可能となる。
【0010】
本発明では、前記検出手段は、故障対応をとるためにメイン及びサブの位置付けで複数設けられ、前記操作判定手段は、複数の前記検出手段の少なくとも2つの出力が同時に切り換わることと、少なくとも1つの前記検出手段の出力が往復変化することのいずれかを確認すると、前記操作部材を操作有りと判定することを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、メイン及びサブの位置付けの一対の検出手段のうち、一方が故障したとしても、他方の検出手段の出力信号が往復変化をとれば、この往復変化を確認することを以て、操作部材を操作有りと判定する。このため、対をとる検出手段の一方が故障しても、継続して操作部材の操作位置を判定することが可能となる。
【0012】
本発明では、前記操作部材は、互いに直交する第1操作方向と第2操作方向の2方向に操作可能であり、前記検出手段は、前記第1操作方向及び前記第2操作方向のそれぞれに設けられ、前記操作判定手段は、前記第1操作方向側の前記検出手段によって前記第1操作方向の位置を検出するとともに、前記第2操作方向側の前記検出手段によって前記第2操作方向の位置を検出することを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、操作部材が2方向に操作される装置に本構成を採用するので、操作部材が2方向に動く場合であっても、より正確に各方向の操作位置を判定することが可能となる。
【0014】
本発明では、前記検出手段は、その出力が少なくとも2段階以上のレベル変化をとり、前記操作判定手段は、前記操作部材が同一方向に操作された過程で、前記検出手段の出力が、ある時間幅を満たした2段階以上のレベル変化をとることを確認すると、前記操作部材を操作有りと判定することを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、検出手段の出力が所定時間幅を満たしながら2段階変化して始めて操作有りと判定するので、単なるH/Lの変化で操作有無を判定する場合に比べて、操作有無を精度よく判定することが可能となる。
【0016】
本発明では、シフトレバーを操作してシフト位置を切り換えるシフトレバー装置において、前記シフトレバーを操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、前記検出手段の出力が往復変化することを確認すると、前記シフトレバーを操作有りとして判定する操作判定手段とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検出手段が故障しても、位置検出に際して誤判定を生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態においてシフトレバー装置の概略構成を示す断面図。
【図2】シフトレバーの操作位置パターンを示す説明図。
【図3】MR素子の配置パターンを示す配置図。
【図4】(a)はシフトレバーの操作態様を示す模式図、(b)は位置判定の判定ロジックの概念を示す説明図。
【図5】(a)はMR素子の回路構成を示す等価図、(b)はMR素子の出力信号を示す波形図。
【図6】位置検出装置の電気的構成を示すブロック図。
【図7】シフトレバーの位置判定時に使用する位置判定テーブル図。
【図8】シフトレバーを中立位置→N位置に操作した際のセンサ出力遷移を示す表。
【図9】2重系のMR素子の1つが電圧Hi故障した際のセンサ出力遷移を示す表。
【図10】2重系のMR素子の1つが電圧Lo故障した際のセンサ出力遷移を示す表。
【図11】第2実施形態においてセレクト側のMR素子がHi故障した際にシフトレバーを中立位置からD位置に操作したときのセンサ出力遷移を示す表。
【図12】セレクト側のMR素子がLo故障した際にシフトレバーを中立位置からD位置に操作したときのセンサ出力遷移を示す表。
【図13】シフト側のMR素子がHi故障した際にシフトレバーを中立位置からD位置に操作したときのセンサ出力遷移を示す表。
【図14】シフト側のMR素子がLo故障した際にシフトレバーを中立位置からD位置に操作したときのセンサ出力遷移を示す表。
【図15】(a)は別例におけるシフトレバーの操作態様を示す模式図、(b)はMR素子の配置パターンと、各位置での出力をまとめた表。
【図16】(a)は別例におけるMR素子の回路構成を示す等価図、(b)はその出力信号を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明を車両の位置検出装置及びシフトレバー装置に具体化した第1実施形態を図1〜図10に従って説明する。
【0020】
図1に示すように、シフトレバー装置20には、装置本体2に対して略十字方向に傾倒操作可能なシフトレバー3が設けられている。装置本体2には、シフトレバー3の装置幅方向(セレクト方向S)の傾動を可能とするセレクト側軸部4が回動可能に取り付けられている。また、セレクト側軸部4には、シフトレバー3のレバー本体5が装置奥行き方向(シフト方向M)に傾動可能となるようにシャフト6により軸支されている。シフトレバー3は、セレクト側軸部4を軸心としてセレクト方向Sに傾倒可能であるとともに、シャフト6を軸心としてシフト方向Mに傾倒可能である。なお、シフトレバー3が操作部材に相当し、セレクト方向Sが第1操作方向に相当し、シフト方向Mが第2操作方向に相当する。
【0021】
図2に示すように、シフトレバー3は、セレクト方向Sに沿って中立位置(ホーム位置)と、ニュートラル位置(N位置)とに操作可能である。また、シフトレバー3は、中立位置からシフト方向Mの下向きに沿って回生位置(B位置)に操作可能であり、かつニュートラル位置からリバース位置(R位置)又はドライブ位置(D位置)に操作可能である。回生位置は、回生ブレーキにより発電した電力で車両のバッテリを充電する位置である。シフトレバー3は、各位置に操作後に手を離すと、自動で中立位置に戻るモーメンタリ式となっている。
【0022】
図3に示すように、シフトレバー装置20には、シフトレバー3の操作位置を検出する位置検出装置7が設けられている。本例の位置検出装置7は、シフトレバー3の位置を見るセンサとしてMR素子(Magneto Resistive素子)1を使用する。そして、図4に示すように、シフトレバー3の操作の行きと帰り(往復)で、センサ出力が例えば「L(Low)→H(High)」と切り換わった後に再度「H→L」をとること、つまりセンサ出力が2回変化したことを確認すると、シフトレバー3が操作有りと判定する装置である。MR素子1は、磁気抵抗効果(MRE:Magneto Resistive Effect)によりセンシングを行う磁気センサの一種である。
【0023】
この場合、シフトレバー3には、シフトレバー3がセレクト方向Sに操作された際に、シフトレバー3とともにセレクト方向Sに動くセレクト側磁石21が設けられている。セレクト側磁石21は、例えばセレクト側軸部4に取り付けられ、セレクト方向Sに沿う図3の矢印Ya方向に往復移動される。セレクト側磁石21は、図3の紙面手前側がN極、紙面奥側がS極となっている。なお、セレクト側磁石21が被検出部材を構成する。
【0024】
また、シフトレバー3には、シフトレバー3がシフト方向Mに操作された際に、シフトレバー3とともにシフト方向Mに動くシフト側磁石22が設けられている。シフト側磁石22は、例えばレバー本体5に取り付けられ、シフト方向Mに沿う図3の矢印Yb方向に往復動される。シフト側磁石22は、図3の紙面手前側がN極、紙面奥側がS極となっている。なお、シフト側磁石22が被検出部材を構成する。
【0025】
装置本体2においてセレクト側磁石21の磁界領域には、セレクト側磁石21の磁界を検出する1組のセレクト側MR素子群10が設けられている。本例のセレクト側MR素子群10は、MR素子が1つ故障しても継続して位置検出が可能となるように、2つのセレクト側MR素子10a,10b、つまり1組が2重系に形成されている。これらセレクト側MR素子10a,10bは、セレクト側磁石21から放射される磁界が同じ方向で付与されるように、セレクト方向Sの直交方向、つまりシフト方向Mに沿って一直線上に並び配置されている。なお、セレクト側MR素子10a,10bが検出手段を構成する。
【0026】
セレクト側MR素子10a,10b(他のMR素子も同様)は、図5(a)に示すように、4つの磁気抵抗をブリッジ状に組んだ回路(ブリッジ回路)からなり、各組の磁気抵抗の中間端子同士の電位差をセンサ信号Soutとして出力する。また、図5(b)に示すように、セレクト側MR素子10a,10bは、自身に付与される磁界の変化に伴って出力電圧が交流波形(正弦波)の変化をとるセンサ信号Soutを出力する。センサ信号Soutは、例えば1周期が180度をとる信号となっている。そして、例えばセンサ信号Soutが「0」以上の値をとれば、「H」と検出され、「0」未満の値をとれば、「L」と検出される。
【0027】
図3に示すように、本例のセレクト側MR素子10a,10bは、セレクト側磁石21の磁界(磁界方向)によりセンサ出力のHとLとが切り換わる縦方向のラインを出力判定境界ラインLaとすると、この出力判定境界ラインLaがセレクト方向Sと直交する向きをとるように配置されている。また、これらセレクト側MR素子10a,10bは、出力のH/Lが同じ向きをとり、互いに対向する磁気感知面において右側が「H」、左側が「L」を向くように配置されている。
【0028】
装置本体2においてシフト側磁石22の磁界領域には、シフト側磁石22の磁界を検出する2組のシフト側MR素子群11,12が設けられている。本例の第1シフト側MR素子群11及び第2シフト側MR素子群12は、シフト方向Mに沿って並び配置されている。本例の場合、シフト方向Mの一方(リバース位置)の側の組を第1シフト側MR素子群11とし、シフト方向Mの他方(ドライブ位置及びブレーキ位置)の側の組を第2シフト側MR素子群12とする。よって、シフトレバー3がリバース位置にあるか否かを第1シフト側MR素子群11で見るとともに、シフトレバー3がドライブ位置又はブレーキ位置にあるか否かを第2シフト側MR素子群12で見る。
【0029】
これらシフト側MR素子群11,12は、セレクト側MR素子群10と同じく、1つが故障しても継続して位置検出が可能となるように、各1組が2つのMR素子からなる2重系に形成されている。本例の場合、第1シフト側MR素子群11は、2つの第1シフト側MR素子11a,11bから形成されている。これら第1シフト側MR素子11a,11bは、シフト側磁石22から放射される磁界が同じ方向で付与されるように、シフト方向Mの直交方向、つまりセレクト方向Sに沿って一直線上に並び配置されている。なお、第1シフト側MR素子11a,11bが検出手段を構成する。
【0030】
本例の第1シフト側MR素子11a,11bは、シフト側磁石22の磁界(磁界方向)によりセンサ出力のHとLとが切り換わる左右方向のラインを出力判定境界ラインLbとすると、この出力判定境界ラインLbがシフト方向Mと直交する向きをとるように配置されている。また、第1シフト側MR素子11a,11bは、出力のH/Lが同じ向きをとり、互いに対向する磁気感知面において上側が「H」、下側が「L」を向くように配置されている。
【0031】
また、第2シフト側MR素子群12も、出力が2重系をとるために、2つの第2シフト側MR素子12a,12bから形成されている。これら第2シフト側MR素子12a,12bは、シフト側磁石22から放射される磁界が同じ方向で付与されるように、シフト方向Mの直交方向、つまりセレクト方向Sに沿って一直線上に並び配置されている。なお、第2シフト側MR素子12a,12bが検出手段を構成する。
【0032】
本例の第2シフト側MR素子12a,12bは、シフト側磁石22の磁界(磁界方向)によりセンサ出力のHとLとが切り換わる左右方向のラインを出力判定境界ラインLcとすると、この出力判定境界ラインLcがシフト方向Mと直交する向きをとるように配置されている。また、第2シフト側MR素子12a,12bは、出力のH/Lが同じ向きをとり、互いに対向する磁気感知面において上側が「L」、下側が「H」を向くように配置されている。
【0033】
第1シフト側MR素子群11と第2シフト側MR素子群12とは、シフト方向Mにおいて対称形状に配置されている。また、MR素子10a,11a,12aがメイン位置付けのMR素子で、MR素子10b,11b,12b,がサブ位置付けのMR素子となっている。さらに、これらMR素子群11,12は、図3の紙面において十字線が乗っている面の中心、つまり紙面手前面の中心が感磁面となっている。
【0034】
図6に示すように、位置検出装置7には、位置検出装置7のコントロールユニットとしてシフトECU23が設けられている。シフトECU23には、前述したセレクト側MR素子10a,10b、第1シフト側MR素子11a,11b及び第2シフト側MR素子12a,12bが接続されている。そして、シフトECU23は、これらMR素子10a,10b,11a,11b,12a,12bから入力するセンサ出力を基にシフトレバー3の位置を判定し、シフトレバー3の操作位置が必要な他のECUに、位置判定結果を出力する。
【0035】
シフトECU23のメモリ24には、シフトレバー3の位置判定の際に使用する位置判定テーブル25が記憶されている。図7に示すように、位置判定テーブル25は、各MR素子10a,10b,11a,11b,12a,12bから求まるセレクト側、第1シフト側、第2シフト側の各々のセンサ出力と、シフトレバー3の各操作位置とを対応付けたテーブルとなっている。なお、位置判定テーブル25が操作判定手段を構成する。
【0036】
シフトECU23には、各MR素子10a,10b,11a,11b,12a,12bから求まるセンサ出力を基に位置判定テーブル25を参照して、シフトレバー3の操作位置を判定する位置判定部26が設けられている。本例の位置判定部26は、メイン及びサブで対をなす2つのMR素子1,1のセンサ出力が同時に変化すること、又は対をなす2つのMR素子1,1の一方が変化をしなくても、他方のセンサ出力がH/Lの往復変化をとることの2条件のうち、いずれかが成立することを確認すると、シフトレバー3に操作有りと判定する。なお、ここで言う同時とは、若干の時間差も広義として含むものとする。また、位置判定部26が位置判定手段を構成する。
【0037】
位置判定部26は、セレクト側MR素子10a,10bの2つのセンサ出力から割り出す出力をセレクトセンサ出力(H/Lの判定値)として取り込む。また、位置判定部26は、第1シフト側MR素子11a,11bの2つのセンサ出力から割り出す出力を第1シフトセンサ出力(H/Lの判定値)としとて取り込むとともに、第2シフト側MR素子12a,12bの2つのセンサ出力から割り出す出力を第2シフトセンサ出力(H/Lの判定値)として取り込む。そして、位置判定部26は、これら3つのセンサ出力を基に位置判定テーブル25を参照して、シフトレバー3の現在位置を判定する。位置判定部26は、中立位置から操作されたシフトレバー3が操作位置を経由して元の中立位置に戻った時点で、判定位置を確定する。
【0038】
次に、本例の位置検出装置7の動作を図8〜図10に従って説明する。
まず、図8に示すように、MR素子1に故障が発生していない状況下で、シフトレバー3を中立位置からニュートラル位置に操作した場合を想定する。シフトレバー3が中立位置にある場合、全てのMR素子10a,10b,11a,11b,12a,12bのセンサ出力が「L」となる。本例の位置判定部26は、センサ出力の往復値に関係なく、セレクトセンサ出力、第1シフトセンサ出力及び第2シフトセンサ出力の3つ全てが「L」であることを確認すると、シフトレバー3が中立位置にあると判定し、この位置をレバー操作位置判定の基準位置として認識する。
【0039】
シフトレバー3が中立位置からニュートラル位置に操作されると、セレクト側MR素子10a,10bがともに「L」から「H」に変化する。このとき、位置判定部26は、セレクト側MR素子10a,10bのセンサ出力が同時に「H」に変化することを確認するので、このときのレバー操作を操作有りと判定し、セレクトセンサ出力を「H」と認識する。また、位置判定部26は、セレクト方向センサ出力が「H」となり、第1シフト方向センサ出力が「L」となり、第2シフト方向センサ出力が「L」となることを確認するので、レバー位置をニュートラル位置と判定する。
【0040】
続いて、図9に示すように、例えばセレクト側MR素子群10の1つが、車両走行中にセンサ出力(電圧)がHレベルで固着する故障(電圧Hi故障)が発生した場合を想定する。ここでは、セレクト側MR素子10aが電圧Hi故障した例を挙げる。セレクト側MR素子10aが走行中に電圧Hi故障すると、その時点でセレクト側MR素子10aのセンサ出力がHレベルで固着する。これにより、車両走行中に、セレクト側MR素子10aからHレベルのセンサ信号Soutが出力される状態をとる。
【0041】
このとき、セレクト側MR素子群10では、2つのMR素子10a,10bのうち1つのセンサ出力が、「L」から「H」に切り換わってしまう。しかし、本例の場合、2つのセンサ出力が同時に変化すること、又は一方のセンサ出力が往復変をとることのいずれかを位置判定条件としているので、セレクト側MR素子10aが1つだけ単に「L」から「H」に変化しただけでは、これを操作有りとは判定しない。よって、セレクト側MR素子10aが電圧Hi故障しても、位置判定部26は、セレクトセンサ出力を「L」のままとし、シフトレバー3の検出位置を中立位置で保持する。
【0042】
この故障状態でシフトレバー3が中立位置からニュートラル位置に操作されると、セレクト側MR素子10bには故障が発生していないので、セレクト側MR素子10bのセンサ出力は、それまでの「L」から「H」に切り換わる。このとき、位置判定部26は、セレクト側MR素子10bのセンサ出力が「H」に変化したことを認識するが、この時点では操作有りの判定条件を満たさないので、シフトレバー3の検出位置を中立位置のままで継続する。
【0043】
シフトレバー3がニュートラル位置から手が離されると、モーメンタリ機能によってシフトレバー3が自動でニュートラル位置から中立位置に戻る動きをとる。このとき、セレクト側MR素子10bは、それまでの「H」から「L」に変化する。つまり、セレクト側MR素子10bのセンサ出力が「L→H→L」というように往復する変化をとる。このため、位置判定部26は、セレクト側MR素子10bのセンサ出力が往復するというレバー操作有りの判定条件を満足することを確認するので、この時点でセレクトセンサ出力を「H」と認識し、シフトレバー3の検出位置をニュートラル位置に変更する。
【0044】
よって、走行中にセレクト側MR素子10aが電圧Hi故障していたとしても、故障していないもう1つのセレクト側MR素子10bのセンサ出力が往復変化するか否かを確認することによって、シフトレバー3の操作位置を継続判定することが可能となる。従って、位置検出装置7に1個故障時継続判定可能機能が備わることになるので、2重系のMR素子1,1の一方が故障したとしても、他方によって正しくレバー操作位置を判定することが可能となる。
【0045】
また、位置判定部26は、対をなしたセレクト側MR素子10a,10bのうち、一方のセンサ出力が正常出力されず、他方のみが正常動作していることが分かるので、次にもう1つ素子故障が生じるとシフトレバー3を位置判定できないことが把握できる。よって、MR素子1が1個故障した旨をユーザに通知する安全出力機能を位置検出装置7に設けて、次にもう1つ素子故障が生じると安全に位置判定することができない旨を、例えば車両のインストルメントパネル等に出力することも可能である。
【0046】
また、シフトレバー3が中立位置に復帰した際、セレクト側MR素子10aのセンサ出力は「H」のままとなっているが、対をなす一方のセレクト側MR素子10bのセンサ出力は「L」をとっているので、セレクトセンサ出力を「L」として取り込む。このため、シフトレバー3が中立位置に戻った際、位置判定部26は、セレクトセンサ出力、第1シフトセンサ出力及び第2シフトセンサ出力の3つとも「L」となることを確認し、シフトレバー3が中立位置に戻ったことも同時に確認する。
【0047】
続いて、図10に示すように、例えばセレクト側MR素子10aの1つが、車両走行中にセンサ出力(電圧)がLレベルで固着する故障(電圧Lo故障)が発生した場合を想定する。ここでも、セレクト側MR素子10aが電圧Lo故障した例を挙げる。セレクト側MR素子10aが電圧Lo故障すると、その時点でセレクト側MR素子10aのセンサ出力がLレベルで張り付き、シフトレバー3をセレクト方向Sに操作しても、センサ出力が変化しない。
【0048】
この故障状態でシフトレバー3が中立位置からニュートラル位置に操作されると、セレクト側MR素子10bには故障が発生していないので、セレクト側MR素子10bのセンサ出力は、それまでの「L」から「H」に切り換わる。このとき、セレクト側MR素子10aのセンサ出力は「L」のままをとるので、この時点では位置判定条件を満たさず、シフトレバー3の検出位置は中立位置のままで保持される。
【0049】
シフトレバー3がモーメンタリ機能によって自動でニュートラル位置から中立位置に戻ると、正常素子であるセレクト側MR素子10bのセンサ出力は、それまでの「H」から「L」に変化する。よって、位置判定部26は、セレクト側MR素子10bのセンサ出力が「L→H→L」というように往復することを確認するので、この時点でシフトレバー3の操作があったことを確認する。そして、シフトレバー3の検出位置を、それまでの中立位置からニュートラル位置に変更する。
【0050】
よって、走行中にセレクト側MR素子10aが電圧Lo故障しても、正常素子であるセレクト側MR素子10bの出力が往復することにより、シフトレバー3の操作位置を正しく判定することが可能となる。また、このときも、位置判定部26は、次にセンサ故障が発生すると正常に位置判定できなる通知、つまり安全出力通知をインストルメントパネルからユーザに通知するので、この種の通知も問題なく実行することが可能となる。
【0051】
以上により、本例においては、MR素子1のセンサ出力が往復変化をとることを確認すると、シフトレバー3を操作有りとして判定する。このため、例えばレバー操作位置の判定開始前にMR素子1が電圧固着故障していた場合には、この素子故障による電圧レベル変化で以て、シフトレバー3が操作有りとして判定されない。よって、MR素子1に故障が発生した際には、この素子故障を把握することが可能となるので、操作位置の誤判定を生じ難くすることが可能となる。
【0052】
また、本例では、2重系のMR素子1,1のセンサ出力が同時に変化すれば、シフトレバー3を操作有りと判定し、これら2つのセンサ出力の一方が変化しなくても、他方のセンサ出力が往復変化すれば、シフトレバー3を操作有りと判定する。このため、2重系のMR素子1の一方が故障しても、正しくレバー位置を判定することが可能となる。また、2重系の一方のMR素子1の故障が判明した時点で安全出力通知を行うようにすれば、その旨をユーザに通知することが可能となる。
【0053】
このため、MR素子1が2重系であっても、1個故障時継続判定可能機能と安全出力機能とを満足することが可能となるので、2重系のMR素子1で4重系相当のシステムを実現することが可能となる。よって、過度な重系をとらずに済むので、その分だけMR素子1の搭載個数を減らすことが可能となり、ひいては位置検出装置7(シフトレバー装置20)の小型化や、装置コストの削減などの効果を得ることが可能となる。
【0054】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)MR素子1のセンサ出力を基にシフトレバー3の位置判定を行うに際して、MR素子1が往復の出力変化をとることを確認すると、シフトレバー3を操作有りと判定する。このため、もし仮に位置判定の前にMR素子1が電圧固着故障していたとしても、このときのMR素子1から出力されるセンサ信号Soutでは位置検出が行われないので、MR素子1の電圧固着故障を要因とする電圧変化で、シフトレバー3の操作位置を判定してしまうことがない。従って、シフトレバー3の操作位置が誤判定される確率を低く抑えることが可能となる。
【0055】
(2)2重系のMR素子1,1のうち、一方が例えば電圧固着故障したとしても、他方のセンサ出力が往復変化をとれば、シフトレバー3を操作有りと判定する。このため、2重系のMR素子1の一方が故障しても、継続してシフトレバー3の操作位置を判定することができる。また、2重系のMR素子1の1個が故障した場合、その旨を安全出力通知としてユーザに通知すれば、次にもう1つMR素子1が故障すると、正常にレバー位置判定できなくなることをユーザに通知することができる。従って、1個故障時継続判定機能と安全出力機能との2機能を満足することが可能となるので、2重系のMR素子1を使用して、4重系相当のシステムを実現することもできる。
【0056】
(3)2重系のMR素子1で4重系相当のシステムを実現可能となるので、その分だけ搭載するMR素子1の個数を少なく抑えることができる。よって、装置小型化や装置コスト削減等の効果を得ることができる。
【0057】
(4)シフトレバー3が十字方向に操作可能なシフトレバー装置20に本例の位置検出装置7を採用するので、本例のようにシフトレバー3が十字方向に動く装置であっても、より正確に各方向の操作位置を判定することができる。
【0058】
(5)シフトレバー3の操作位置をH/Lの2値により判定するので、アナログ式ではなくデジタル式によってレバー操作位置を判定することができる。
(6)シフトレバー3をモーメンタリ式としたので、シフトレバー3を傾倒操作した後にシフトレバー3から手を離せば、シフトレバー3を操作前のホーム位置に自動で戻すことができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図11〜図14に従って説明する。なお、第2実施形態は、シフトレバー3を中立位置からD位置(R位置)に操作した際の実際の動作を述べた実施形態である。よって、第1実施形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。なお、本例は、位置判定部26がシフト位置をリバース位置と判定している状況下を想定している。
【0060】
図11に示すように、シフトレバー3を中立→N→D→N→中立に操作するのに先立ち、セレクト側MR素子10aがHi故障してセンサ出力が変化した場合を想定する。最初にシフトレバー3が中立位置に位置する際、セレクト側MR素子10aにHi故障が発生すると、セレクト側MR素子10aのセンサ出力がLからHに切り換わる。このとき、位置判定部26は、センサ出力が同時変化しないことを確認するため、このセンサ出力変化をレバー操作有りとして認識しない。
【0061】
シフトレバー3が中立位置からニュートラル位置に倒し操作されると、この状況下ではサブ側のセレクト側MR素子10bのみ出力が変化する。よって、位置判定部26は、センサ出力の同時変化を確認できず、このときのセンサ出力変化をレバー操作有りとして認識しない。
【0062】
ニュートラル位置に到達したシフトレバー3がドライブ位置に倒し操作されると、第2シフト側MR素子12a,12bの両方のセンサ出力がLからHに切り換わる。よって、位置判定部26は、シフトレバー3がドライブ位置に操作されたことを認識する。但し、本例の場合は、シフトレバー3が中立位置に戻ったときに位置判定を確定するため、この時点での判定位置は、まだR位置のままである。
【0063】
ドライブ位置に到達したシフトレバー3がニュートラル位置に戻し操作されると、第2シフト側MR素子12a,12bのセンサ出力がともにHからLに戻る。そして、ニュートラル位置に到達したシフトレバー3が中立位置に戻ると、セレクト側MR素子10bのセンサ出力がHからLに戻る。位置判定部26は、セレクト側MR素子10bがLになったこと確認するので、シフトレバー3が中立位置に戻ったことを認識し、この時点で位置判定をドライブ位置で確定する。つまり、シフトレバー3の操作位置をドライブ位置に確定する。
【0064】
なお、ドライブ位置に到達したシフトレバー3をニュートラル位置に戻し操作した際、ニュートラル位置で長く止めると、判定位置をそれまでのドライブ位置からニュートラル位置に切り換える。よって、この状況下でシフトレバー3が中立位置に戻ると、位置判定部26は、判定位置をニュートラル位置に確定する。従って、シフトレバー3の戻し操作時にシフトレバー3をニュートラル位置において一定時間止めると、判定位置がニュートラル位置として処理される。
【0065】
また、図12に示すように、シフトレバー3を中立→N→D→N→中立に操作するのに先立ち、セレクト側MR素子10aがLo故障した場合であっても、問題なくシフトレバー3の判定位置がドライブ位置に確定されることが分かる。つまり、セレクト側MR素子10aがLo故障しても、正しいレバー位置判定が可能となる。
【0066】
続いて、図13に示すように、位置判定部26がシフト位置をリバース位置と判定している状況下において、シフトレバー3を中立→N→D→N→中立に操作するのに先立ち、
第2シフト側MR素子12aがHi故障してセンサ出力が変化した場合を想定する。最初にシフトレバー3が中立位置に位置する際、第2シフト側MR素子12aにHi故障が発生すると、第2シフト側MR素子12aのセンサ出力がLからHに切り換わる。このとき、位置判定部26は、センサ出力が同時変化しないことを確認するため、このセンサ出力変化をレバー操作有りとして認識しない。
【0067】
シフトレバー3が中立位置からニュートラル位置に倒し操作されると、セレクト側MR素子10a,10bのセンサ出力がともにLからHに切り換わる。よって、位置判定部26は、シフトレバー3が中立位置からニュートラル位置に倒し操作されたことを認識する。
【0068】
ニュートラル位置に操作したシフトレバー3がドライブ位置に倒し操作されると、この状況下では第2シフト側MR素子12aがHi故障しているため、サブ側の第2シフト側MR素子12bのみセンサ出力がLからHに切り換わる。しかし、このときの位置判定部26は、センサ出力の同時変化を確認できないので、この時点ではレバー操作有りとは認識しない。
【0069】
ドライブ位置に到達したシフトレバー3がニュートラル位置に戻し操作されると、第2シフト側MR素子12bがHからLに切り換わる。このとき、位置判定部26は、第2シフト側MR素子12bのセンサ出力において出力の往復を確認するので、この出力変化の確認を以てレバー操作有りと判定する。つまり、位置判定部26は、シフトレバー3の操作位置をドライブ位置に確定する。なお、この位置確定は、シフトレバー3が中立位置に戻ったときとしてもよい。
【0070】
また、図14に示すように、シフトレバー3を中立→N→D→N→中立に操作するのに先立ち、第2シフト側MR素子12aがLo故障した場合であっても、問題なくシフトレバー3の操作位置がドライブ位置に確定されることが分かる。つまり、第2シフト側MR素子12aがLo故障しても、正しいレバー位置判定が可能となる。
【0071】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(6)の他に、以下の効果を得ることができる。
(7)位置判定部26による判定位置がリバース位置の際、シフトレバー3を中立位置からドライブ位置に操作する状況下において、MRセンサ10a〜12a,10b〜12bにHi故障やLo故障が生じていても、正しいレバー位置判定を行うことができる。
【0072】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・第1及び第2実施形態において、シフトレバー3の位置判定は、H及びLの1段階のみの出力変化をとるMR素子1を用いて行うことに限定されない。例えば、図15(a),(b)に示すように、センサ出力がL→M(Middle)→Hのように2段階変化するMR素子1a(いわゆる八方MRセンサとも言う)を用いてシフトレバー3の操作位置を判定してもよい。なお、図15(a),(b)に示すMR素子1aは、対称配置の関係を持って2つ設けられることにより、2重系に形成されている。
【0073】
MR素子1aは、図16(a),(b)に示すように、センサ出力の位相が互いに1/4周期(1/4波長)ずれた一対のブリッジ回路61,62からなり、これらブリッジ回路61,62の2出力がともに「H」をとれば「H」、センサ出力の一方が「H」で他方が「L」をとれば「M」、2出力がともに「L」をとれば「L」と判定される素子である。
【0074】
この場合、MR素子1のセンサ出力が2段階変化して始めて、シフトレバー3が操作されたと判定するので、例えば単にセンサ出力のH/Lの変化を見る場合に比べて、より精度よくシフトレバー3の操作有無を判定することができる。また、操作位置を誤判定する確率も低くなるので、故障対策のためにMR素子1aを重系に配置する場合であっても、素子個数が過剰に多くなることがない。さらに、MR素子1aの個数を少なく抑えることができれば、MR素子1aとシフトECU23とを繋ぐハーネスを削減することもできる。
【0075】
・第1及び第2実施形態において、MR素子1は、重系をとることに限定されない。例えば、MR素子1を単なる1重系とし、このMR素子1のセンサ出力が往復変化をとるか否かを見ることのみで、レバー操作有無の判定を行ってもよい。
【0076】
・第1及び第2実施形態において、シフトレバー3は、軸を支点に倒れる傾倒式に限定されず、例えばレールに沿って直線方向に往復動させるスライド式としてもよい。
・第1及び第2実施形態において、MR素子1のセンサ出力のH/Lの振り分けは、シフトECU23側で行うことに限らず、素子自体がH又はLの2値信号を直に出力してもよい。
【0077】
・第1及び第2実施形態において、MR素子1は、1周期が180度の交流波形信号を出力する素子に限定されず、1周期が360度や90度をとるものを採用してもよい。
・第1及び第2実施形態において、検出手段は、MR素子1に限らず、例えばGMR(Giant Magneto Registance)やホール素子としてもよい。
【0078】
・第1及び第2実施形態において、検出手段は、磁気センサに限らず、例えば光センサとしてもよい。
・第1及び第2実施形態において、位置判定テーブル25のH/Lの組合せは、MR素子1の配置向きや磁石21,22の磁界向きに合わせて適宜変更可能である。
【0079】
・第1及び第2実施形態において、レバー操作位置は、位置判定テーブル25を参照して操作位置を特定する方式に限らず、種々の判定方式が採用可能である。
・第1及び第2実施形態において、シフトレバー3は、十字方向に操作可能なものに限定されず、例えば一直線方向にのみ操作可能なものとしてもよい。
【0080】
・第1及び第2実施形態において、シフトレバー3の操作パターンは、小文字英字「h」を左右反転させたものに限らず、例えば大文字英字「H」としてもよい。
・第1及び第2実施形態において、MR素子1の出力往復変化の境界は、H/Lの境目に限定されず、単なる所定値としてもよい。
【0081】
・第1及び第2実施形態において、MR素子1は、2重系に限らず、3重系以上としてもよい。
・第1及び第2実施形態において、磁石21,22がシフトレバー3側に取り付けられ、MR素子1が装置本体2側に取り付けられることに限らず、この組合せを逆にしてもよい。
【0082】
・第1及び第2実施形態において、位置検出装置7の搭載先は、シフトレバー装置20に限らず、操作部材が可動する他の機器や装置としてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0083】
(イ)請求項1〜4のいずれかにおいて、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記操作部材の操作方向に並ぶ複数の前記検出手段の組は、両者の真ん中を基準として点対称の向きをとって配置されている。
【0084】
(ロ)請求項1〜4、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、前記検出手段は、磁界変化に応じて交流波形の出力信号を出力する第1検出回路と、当該第1検出回路に対して出力の位相が1/4周期ずれた第2検出回路とを備え、これら一対の検出回路の出力のH及びLの組合せにより、前記2段階以上のレベル変化をとる信号を前記出力信号として出力する。
【符号の説明】
【0085】
1…検出手段を構成するMR素子、1a…検出手段を構成するMR素子(八方型)、3…操作部材としてのシフトレバー、7…位置検出装置、10a,10b…検出手段を構成するセレクト側MR素子、11a,11b…検出手段を構成する第1シフト側MR素子、12a,12b…検出手段を構成する第2シフト側MR素子、20…シフトレバー装置、21,22…被検出部材としての磁石、25…操作判定手段を構成する位置判定テーブル、26…操作判定手段を構成する位置判定部、S…第1操作方向としてのセレクト方向、M…第2操作方向としてのシフト方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材の操作位置を検出する位置検出装置において、
前記操作部材を操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、
前記検出手段の出力が往復変化することを確認すると、前記操作部材を操作有りとして判定する操作判定手段と
を備えたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記検出手段は、故障対応をとるためにメイン及びサブの位置付けで複数設けられ、
前記操作判定手段は、複数の前記検出手段の少なくとも2つの出力が同時に切り換わることと、少なくとも1つの前記検出手段の出力が往復変化することのいずれかを確認すると、前記操作部材を操作有りと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記操作部材は、互いに直交する第1操作方向と第2操作方向の2方向に操作可能であり、
前記検出手段は、前記第1操作方向及び前記第2操作方向のそれぞれに設けられ、
前記操作判定手段は、前記第1操作方向側の前記検出手段によって前記第1操作方向の位置を検出するとともに、前記第2操作方向側の前記検出手段によって前記第2操作方向の位置を検出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記検出手段は、その出力が少なくとも2段階以上のレベル変化をとり、
前記操作判定手段は、前記操作部材が同一方向に操作された過程で、前記検出手段の出力が、ある時間幅を満たした2段階以上のレベル変化をとることを確認すると、前記操作部材を操作有りと判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
シフトレバーを操作してシフト位置を切り換えるシフトレバー装置において、
前記シフトレバーを操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、
前記検出手段の出力が往復変化することを確認すると、前記シフトレバーを操作有りとして判定する操作判定手段と
を備えたことを特徴とするシフトレバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−225168(P2011−225168A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98791(P2010−98791)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】