説明

位置決め用ギヤボックスセンサーアセンブリ

本発明は、位置決めに使用されるギヤボックス内のセンサーアセンブリに関する。センサーアセンブリは相対するギヤボックスハウジング18に固定されたセンサー20を備え、ギヤボックスハウジング18とギヤボックス14、16の出力軸26の間の角度が出力軸26に固定され且つセンサー20に接続された軸28を使用して計測され、それによってギヤボックス14、16に遊びを包含するギヤボックス14、16で角度を計測するセンサーアセンブリが実現され、遊びを有するギヤボックス14、16が正確な角度を有する位置決めに活用し得るのと同時に高い精度を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギヤボックスにおけるセンサーアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最新の削岩装置では、岩盤で正確な場所に発破孔を穿孔できるようにするために、穿孔ブームの位置は、できれば自動制御装置を使用して、計測されている。発破孔の位置を計測する際、角度は、穿孔ブーム各ジョイントでおよびそれら穿孔ブームの伸縮自在の動きにおいて計測されている。ブームは、通常5乃至6個のジョイントを有している、そのため、孔の穿孔される場所を予測できるようにするために高い精度で計測を実行しなければならない。
【0003】
ギヤボックス(ギヤケース)を用いて穿孔ブームのジョイントで回転させるこのような状況では、通常ギヤボックスにおける角度は、入力モーター軸で計測することによって計測され、それによって角度はギヤボックスのギヤ比と乗じられる。
【0004】
ギヤボックスの入力モーター軸で計測することでギヤボックスにおける角度を計測するセンサーアセンブリを使用する場合の問題点は、ほぼすべてのギヤボックスに存在する遊び(play)を計測できないことにあり、このことは、高い精度を必要とする応用においては、如何なる遊びも持たないギヤボックスを使用しなければならないということを意味しており、標準的なギヤボックスが位置決めの際に適応不可能な0.3度の遊びを有するために、結果として高価なギヤボックスを使用してきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ギヤボックスの入力モーター軸での計測では、ほぼすべてのギヤボックスに存在する遊びを計測できないという問題点は、本発明によれば、位置決めに使用されるギヤボックスにセンサーアセンブリを設けることで解決される。かかるセンサーアセンブリは、相対するギヤボックスハウジングに固定されたセンサーを備え、そしてギヤボックスハウジングとギヤボックスの出力軸の間の角度は、固定された出力軸に固定され且つセンサーに接続された軸を使用して測定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本センサーアセンブリでは、特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴を備えることで、ギヤボックスの遊びを含めてギヤボックスで角度を計測し、また、穿孔位置を計測するために遊びを有する安価なギヤボックスを利用でき、同時に高い精度を確保できるという利点が得られる。さらに、ギヤボックスの外側に計測歯車すなわち別個の計測歯を必要としないので、丈夫なアセンブリが得られる。
【0007】
本発明は、添付図面を参照して以下により詳細に説明される。
【0008】
図1は削岩装置2を概略図で示し、この削岩装置2は穿孔(掘削)ブーム4と送り装置6とカッターヘッド8を備えている。削岩装置2は、ケーブル(図示されていない)を介してか或いは無線手段で作業者によって遠隔制御され得るが、しかしまた、削岩装置2の運転室10で作業者によって制御され得る。作業者は削岩装置2を手動で、或いは自動で、或いはまた半自動で制御することもできる。作業者が削岩装置2を使用して、岩盤12に孔(発破孔)を穿孔しようとする際に、例えば山岳を通るトンネルを掘削する際に行われるように、特に複数の孔を相互に並行して岩盤12に穿孔するときには、要求された孔を形成するために岩盤12に対して正確な位置および正確な角度の方向で、カッターヘッド8つまり送り装置6を位置決めできることが重要である。
【0009】
図2は、図1に示す削岩装置2の穿孔ブーム4を概略図で示している。この実施形態によれば、穿孔ブーム4は、穿孔ブーム4の5つの回転自由度Z1、Z2、Z4、Z5、Z6と、伸縮自在部分における伸縮自由度Z3と、可動送り装置6における送り動作の形態での別の伸縮自由度Z7とを有している。穿孔位置を計測する際、一方では、角度は、回転自由度Z1、Z2、Z4、Z5、Z6を有する穿孔ブーム4のそれそれのジョイントにおいてすなわち回転できるそれぞれのジョイントにおいて計測され、他方では、穿孔ブーム4のあらゆる伸縮動作、つまり伸縮自由度Z3、Z7を有する穿孔ブーム4のそれぞれの個所におけるあらゆる伸縮動作が計測される。この実施形態では、ギヤボックス14、16を用いて、穿孔ブーム4の二つのジョイント3、5で回転させるようにし、すなわち穿孔ブーム4の2つの回転自由度Z4、Z5の角度を調節する。
【0010】
図3は、本発明によるセンサーアセンブリの第一の実施形態を概略図で示している。センサーアセンブリは、相対するギヤボックスハウジング18に固定されたセンサー20と、推進モーター22と、ギヤボックス14、16の入力軸24と、ギヤボックス14、16の出力軸26と、ギヤビックス14、16の中心を通って出力軸26に固定された軸28とを備えている。この実施形態では、ギヤボックス14、16は、遊星歯車であって、内部太陽歯車30、外部太陽歯車32、遊星ピニオン34、36および遊星ピニオンキャリア38が図示されている。
【0011】
ギヤボックス14、16の中心を通る軸28は、接着、溶着、又は例えばスプラインを使用するような機械的な固着により、或いは同様な仕方で、出力軸26に固定され得る。代わりに、ギヤボックス14、16の中心を通る軸28は、それらを1つの部片に作って出力軸26に固定してもよい。この実施形態では、推進モーター22は、中央貫通孔40を備えた中空ピストンエンジンであり、ギヤボックス14、16の中心を通る軸28がこの中央貫通孔40を通り得る。
【0012】
図面に見られるように、軸28はまたギヤボックス14、16の入力軸24を通っている。小型のピストンエンジンを使用することによって、推進モーター22の横方への突出は避けられ、このことは、推進モーター22が、穿孔ブーム4に取り付けられる際の利点である。穿孔ブーム4の2つのジョイントで回転を実現するために上述の形式のギヤボックス14、16を使用することによって、つまり、ギヤボックス14、16の中心を通って出力軸26に固定された軸28を使用してギヤボックスハウジング18とギヤボックス14、16の出力軸26との間の角度を計測するギヤボックス14、16を使用することによって、ギヤボックス14、16の遊びを含めてギヤボックス14、16における角度を計測するセンサーアセンブリが提供され、これにより、穿孔ブーム4を位置決めする際に、これらのジョイントに高い精度を確保できる。
【0013】
図4は、本発明によるセンサーアセンブリの第二の実施形態を概略図で示している。この実施形態は、推進モーター22がギヤボックス14、16の入力軸24の中心から変位して配置され、2つの歯車42、44が、推進モーター22からのトルクをギヤボックス14、16の入力軸24に伝達するように設けられている点においてのみ図3に示したものと異なっている。
【0014】
このように、本発明は位置決めのために使用されるギヤボックスにおけるセンサーアセンブリに関わるものである。かかるセンサーアセンブリは、相対するギヤボックスハウジング18に固定されたセンサー20を備え、そしてギヤボックスハウジング18とギヤボックス14、16の出力軸26との間の角度は、出力軸26に固定され且つセンサー20に接続された軸28を使用して測定される。
【0015】
ギヤボックスを使用する位置決めの際に、重要なのは、ホース等を損傷しないように回転に対する終端部の位置を確保することである。これは、機械的な停止装置を使用して成され得るが、しかし、これら機械的な停止装置は回転力を吸収するために強靭でなければならず、また、360度を超える回転では、実際に、停止装置で十分な終端部の位置のための領域を作ることは困難であるという欠点がある。本発明によるセンサーアセンブリを使用することによって、穿孔ブームに設けられているギヤボックスにおける角度が計測される。従って、実際の角度についての情報を受けて、予めプログラムされた終端位置に近づいた時に、ギヤボックスのモーターへのパワーを切る制御システムを提供することができる。終端位置に近いいくつかの段階でモーターへのパワーを切ることによって、穿孔ブームにおける応力を低減させる滑らかな停止が得られる。
【0016】
また、例えば削岩装置の側部に位置する岩相や削岩装置自体に穿孔ブームが衝突することがないように、例えば穿孔ブームの回転に小さな許容角度を設定できるようにしたい場合にも、穿孔ブームが終端位置を容易に調節することができ、これにより安全性を高めることができる。この方法は、角度が位置決めのために既に計測されているので、終端位置を安価に作ることができる。このように、センサーアセンブリは、ギヤボックス14、16の実際の角度についての情報を受けて、そしてギヤボックス14、16が予めプログラムされた終端位置に近づいた時に、ギヤボックス14、16のモーター22へのパワーを切る制御システムを備えている。
【0017】
本発明によるセンサーアセンブリは、削岩装置の穿孔ブームのギヤボックスに設けて例示されているが、同様に正確な動作が要求される他の形式の鉱業や建設用機械においても使用することができる。角度センサー、つまり上記のセンサーは、一回転以上の回転がホースおよび同類のものに破損を引き起こすために、上述の実施形態においては好ましくは単回転センサーであるが、当然、角度センサーは望ましい場合の応用例では多回転センサーとして構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】削岩装置の概略図。
【図2】図1による削岩装置の穿孔ブームの概略図。
【図3】本発明によるセンサーアセンブリの第一の実施形態を示す概略図。
【図4】本発明によるセンサーアセンブリの第二の実施形態を示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対するギヤボックスハウジング(18)に固定されたセンサー(20)を備え、位置決めのために使用されるギヤボックスにおけるセンサーアセンブリにおいて、
ギヤボックスハウジング(18)とギヤボックス(14、16)の出力軸(26)との間の角度が、出力軸(26)に固定され且つセンサー(20)に接続された軸(28)を使用して測定されることを特徴とするセンサーアセンブリ。
【請求項2】
出力軸(26)に固定され且つセンサー(20)に接続された軸(28)が、ギヤボックス(14、16)の中心を通ることを特徴とする請求項1に記載のセンサーアセンブリ。
【請求項3】
ギヤボックス(14、16)が、遊星歯車であることを特徴とする請求項2に記載のセンサーアセンブリ。
【請求項4】
出力軸(26)に固定され且つセンサー(20)に接続された軸(28)が、ギヤボックス(14、16)の入力軸に接続されたギヤボックス推進モーター(22)における中央貫通孔(40)を通ることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のセンサーアセンブリ。
【請求項5】
ギヤボックス(14、16)が、鉱業或いは建設機械に配置されること特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のセンサーアセンブリ。
【請求項6】
ギヤボックス(14、16)が、削岩装置(2)における穿孔ブーム(4)のジョイント(3、5)で回転自由度(Z4、Z5)で回転するよう構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のセンサーアセンブリ。
【請求項7】
出力軸(26)と出力軸(26)に固定され且つセンサー(20)に接続された軸(28)が、1つの部片で作られていることを特徴とする請求項1から請求項6に何れか一項に記載のセンサーアセンブリ。
【請求項8】
ギヤボックス(14、16)における実際の角度についての情報を受けて、ギヤボックス(14、16)が予めプログラムされた終端位置に近づく際に、ギヤボックス(14、16)のモーター(22)へのパワーを切る制御システムを備えていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載のセンサーアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−533465(P2008−533465A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500673(P2008−500673)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000298
【国際公開番号】WO2006/096121
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(398056193)アトラス コプコ ロツク ドリルス アクチボラグ (66)
【Fターム(参考)】