説明

位置決め装置

【課題】プラテンの表面や周囲に突起した部品を設けることなくスライダの領域検出を行うことができる位置決め装置を実現する。
【解決手段】スライダをプラテン上の所定領域内で移動させる位置決め装置において、
前記スライダの前記プラテンと対向する面の辺縁部に埋設され、前記プラテンへ向けてセンサ信号を発生するセンサ信号発生部と、
前記プラテンの前記所定領域の辺縁部に埋設され、前記センサ信号を検出するセンサ信号検出部と、
を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダをプラテン上の所定領域内で移動させる位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来の位置決め装置の一例を示す上面図である。プラテン100の上にスライダ200が配置されている。プラテン100の上面には固定子が、スライダ200のプラテン100と対向する面には可動子が設けられ、平面モータが構成されている。固定子と可動子の間に磁界を発生させることにより、スライダ200はプラテン100上でX軸方向およびY軸方向に移動し、所定の位置に位置制御される。
【0003】
通常このような位置決め装置においては、プラテン100上におけるスライダ200の動作領域が定められており、スライダ200はこの動作領域から外れないように位置制御される。そのため、スライダ200の動作領域を検出するための領域センサが設けられている。
【0004】
30a,30b,31a,31b,32a,32b,33a,33bはスライダ200の領域センサである。これらのセンサは、プラテン100の辺縁部に外付けされている。センサ30aとセンサ30b,センサ31aとセンサ31b,センサ32aとセンサ32b,センサ33aとセンサ33bは、それぞれ一対のセンサとなっている。
【0005】
センサ30a,30bはスライダ200の動作領域の−X方向側の端部の検出を行う。センサ31a,31bは、スライダ200の動作領域の+X方向側の端部の検出を行う。センサ32a,32bはスライダ200の動作領域の+Y方向側の端部の検出を行う。センサ33a,33bは、スライダ200の動作領域の−Y方向側の端部の検出を行う。
【0006】
センサ30a,30bはY軸と平行な方向に並べて配置されている。センサ30aはセンサ30bに向けてレーザ光を発射し、このレーザ光をセンサ30bが受光する。30cはセンサ30aから発射されたレーザ光の光路であり、プラテン100上におけるスライダ200の動作領域の−X方向側の端部と一致させておく。スライダ200が−X方向に移動して光路30cを横切ると、センサ30aからのレーザ光が遮断され、センサ30bでレーザ光が受光されなくなる。これにより、スライダ200が−X方向の端部まで移動したことが検出され、スライダ200を停止させるなどの処置が行われる。
【0007】
同様に、センサ31aは発光側、センサ31bは受光側、31cはセンサ31aから発射されたレーザ光の光路である。センサ31a,31bは、光路31cがスライダ200の動作領域の+X方向の端部と一致するように、Y軸と平行な方向に並べて配置される。スライダ200が光路31cを横切ると、センサ31aからのレーザ光が遮断され、スライダ200の+X方向の端部まで移動したことが検出される。
【0008】
センサ32aは発光側、センサ32bは受光側、32cはセンサ32aから発射されたレーザ光の光路である。センサ32a,32bは、光路32cがスライダ200の動作領域の+Y方向の端部と一致するように、X軸と平行な方向に並べて配置される。スライダ200が光路32cを横切ると、センサ32aからのレーザ光が遮断され、スライダ200の+Y方向の端部まで移動したことが検出される。
【0009】
センサ33aは発光側、センサ33bは受光側、33cはセンサ33aから発射されたレーザ光の光路である。センサ33a,33bは、光路33cがスライダ200の動作領域の−Y方向の端部と一致するように、X軸と平行な方向に並べて配置される。スライダ200が光路33cを横切ると、センサ33aからのレーザ光が遮断され、スライダ200の−Y方向の端部まで移動したことが検出される。
【0010】
下記の特許文献1には、上記のような領域センサが外付けされた位置決め装置が記載されている。
【0011】
【特許文献1】特開2003−5835
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の位置決め装置では、外付けされた領域センサがプラテンの表面や周囲に突起していた。そのため、プラテンのワークエリアが狭くなるという問題があった。さらに、スライダが異常動作を起こした場合に、領域センサに衝突し、スライダ自体や領域センサが破壊されるという問題があった。
【0013】
また、レーザ光の光路がスライダの動作領域に合うように各領域センサを位置合わせする必要があるため、各領域センサの取り付けや調整が煩雑であった。また、レーザ光源が必要となるため、位置決め装置の安全性の低下や、使用環境が制限されるなどの問題があった。また、レーザ光源自体にコストがかかるという問題があった。
【0014】
本発明は、従来技術の問題点をなくし、プラテンの表面や周囲に突起した部品を設けることなくスライダの領域検出を行うことができる位置決め装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような目的を達成するために、請求項1の発明は、
スライダをプラテン上の所定領域内で移動させる位置決め装置において、
前記スライダの前記プラテンと対向する面の辺縁部に埋設され、前記プラテンへ向けてセンサ信号を発生するセンサ信号発生部と、
前記プラテンの前記所定領域の辺縁部に埋設され、前記センサ信号を検出するセンサ信号検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項2の発明は、
スライダをプラテン上の所定領域内で移動させる位置決め装置において、
前記プラテンの前記所定領域の辺縁部に埋設され、前記スライダへ向けてセンサ信号を発生するセンサ信号発生部と、
前記スライダの前記プラテンと対向する面の辺縁部に埋設され、前記センサ信号を検出するセンサ信号検出部と、
を備えたことを特徴とする位置決め装置。
【0017】
請求項3の発明は、
請求項1または2に記載の位置決め装置において、前記センサ信号発生部は永久磁石あるいは電磁石であり、
前記センサ信号は前記永久磁石あるいは前記電磁石によって発生する磁界であることを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明は、
請求項1または2に記載の位置決め装置において、前記センサ信号発生部は前記スライダを前記プラテン上で移動させるモータであり、
前記センサ信号はこのモータの駆動電流によって発生する磁界であることを特徴とする。
【0019】
請求項5の発明は、
請求項3または4に記載の位置決め装置において、前記センサ信号検出部は、ホール素子またはコイルであることを特徴とする。
【0020】
請求項6の発明は、
請求項1乃至5のいずれかに記載の位置決め装置において、前記センサ信号検出部は、前記スライダの辺縁部または前記プラテンの前記所定領域の辺縁部に離散的に埋設されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
このように、スライダとプラテンの互いに対向する面にセンサ信号発生部とセンサ信号検出部を埋設したことにより、プラテンの表面や周囲に突起した部品を設けることなくスライダの領域検出を行うことができる位置決め装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明による位置決め装置の第1の実施例を示す図である。1はプラテン、2はスライダである。なお、以下図1〜図4におけるスライダの図は、プラテンと対向する面の構成を示している。
【実施例1】
【0023】
プラテン1の上にスライダ2が配置されている。プラテン1の上面には固定子が、スライダ2のプラテン1と対向する面には可動子が設けられ、平面モータが構成されている。固定子と可動子の間に磁界を発生させることにより、スライダ2はプラテン1上でX軸方向およびY軸方向に移動し、所定の位置に位置制御される。
【0024】
スライダ2のプラテン1と対向する面に、センサ信号発生部2a,2b,2c,2dが形成される。センサ信号発生部2a,2b,2c,2dは永久磁石を敷き並べて構成される。センサ信号発生部2a,2b,2c,2dは、それぞれスライダ2の+Y方向側、+X方向側、−Y方向側、−X方向側の辺縁部に設けられている。センサ信号発生部2a,2b,2c,2dは、スライダ2のプラテン1と対向する面が平坦になるように、スライダ2の表面に埋設される。
【0025】
センサ信号発生部2a,2b,2c,2dの周囲には、永久磁石によって磁界Ba,Ba,Bc,Bdが生成される。この磁界Ba,Ba,Bc,Bdをプラテン1へのセンサ信号とする。
【0026】
プラテン1にはスライダ2の動作領域が定められている。プラテン1の上面に、センサ信号検出部1a,1b,1c,1dが形成される。センサ信号検出部1a,1b,1c,1dは、ホール素子を敷き並べて構成する。センサ信号検出部1a,1b,1c,1dは、それぞれスライダ2の動作領域の+Y方向側、+X方向側、−Y方向側、−X方向側の辺縁部に設けられている。センサ信号検出部1a,1b,1c,1dは、プラテン1の上面が平坦になるように、プラテン1の表面に埋設される。
【0027】
センサ信号検出部1a,1b,1c,1dは、磁界を受けると、受けた磁界を電気信号Va,Vb,Vc,Vdに変換し、リニアモータの制御部(図示せず)に出力する。
【0028】
スライダ2の領域検出を+Y方向を例に挙げて説明する。
スライダ2がプラテン1の中央部から動作領域の+Y方向の端部に近づくと、センサ信号発生部2aとセンサ信号検出部1aとが近づく。センサ信号発生部2aは、センサ信号として常に磁界Baを発生している。センサ信号検出部1aが感じる磁界Baの強さは、センサ信号発生部2aまでの距離によって変化する。センサ信号検出部1aは、センサ信号発生部2aからの磁界Baを受け、磁界の強さに応じた電気信号Vaを出力する。
【0029】
センサ信号発生部2aがセンサ信号検出部1aに近づくにつれ、電気信号Vaも大きくなる。センサ信号発生部2aがセンサ信号検出部1aの真上、すなわちスライダ2が動作領域の+Y方向の端部に位置したとき、電気信号Vaは最大となる。この最大値はあらかじめ計測しておく。リニアモータの制御部は、電気信号Vaの値を監視し、電気信号Vaがこの最大値に達した場合にスライダ2が動作領域の+Y方向の端部まで移動したと判断する。
【0030】
+X方向、−Y方向、−X方向の領域検出も同様である。
センサ信号検出部1bは、センサ信号発生部2bからのセンサ信号、すなわち磁界Bbを検出し、磁界Bbの強さに応じた電気信号Vbを出力する。制御部は、電気信号Vbが事前に計測しておいた最大値に達したら、スライダ2が動作領域の+X方向の端部まで移動したと判断する。
【0031】
センサ信号検出部1cは、センサ信号発生部2cからのセンサ信号、すなわち磁界Bcを検出し、磁界Bcの強さに応じた電気信号Vcを出力する。制御部は、電気信号Vcが事前に計測しておいた最大値に達したら、スライダ2が動作領域の−Y方向の端部まで移動したと判断する。
【0032】
センサ信号検出部1dは、センサ信号発生部2dからのセンサ信号、すなわち磁界Bdを検出し、磁界Bdの強さに応じた電気信号Vdを出力する。制御部は、電気信号Vdが事前に計測しておいた最大値に達したら、スライダ2が動作領域の−X方向の端部まで移動したと判断する。
【0033】
このように、スライダ2とプラテン1の互いに対向する面にセンサ信号発生部とセンサ信号検出部を埋設したことにより、プラテン1の表面や周囲に突起した部品を設けることなくスライダ2の領域検出を行うことができる位置決め装置を実現することができる。
また、センサ信号発生部およびセンサ信号検出部は、それぞれ所定位置に埋設するだけでよいため、従来のレーザ光を利用した領域センサに比べて、取り付けも調整も容易である。また、本実施例の位置決め装置はレーザ光源が不要となるため、位置決め装置の安全性を向上させ、使用環境の制限も緩くすることができる。レーザ光源のコストも省くことができる。
【0034】
なお、上記のような領域検出は、スライダ2のオーバートラベル(動作領域を超えて移動すること)の検出への利用が考えられる。
【0035】
なお、本実施例では、センサ信号発生部2a,2b,2c,2dを永久磁石で構成したが、磁界を発生させる他の構成を採用してもよい。磁界を発生させる他の例としては、電磁石が考えられる。また、スライダ2の可動子に供給されるモータ駆動電流により発生する磁界をそのままセンサ信号として利用する構成も考えられる。
永久磁石を利用した場合には、センサ信号の磁界が安定するという利点がある。
モータ駆動電流を利用する場合には、スライダ2に永久磁石などの他の部品を追加する必要がないという利点がある。
電磁石を利用した場合には、モータ駆動電流とは独立して電流を供給できるため、モータ駆動電流をセンサ信号に利用した場合に比べてセンサ信号の磁界を安定化させやすいという利点がある。
【0036】
また、本実施例では、センサ信号検出部1a,1b,1c,1dをホール素子で構成したが、磁界を電気信号に変換することができる他の構成を採用してもよい。他の例としては、コイルの利用が考えられる。
【0037】
また、本実施例では、電気信号Va,Vb,Vc,Vdが事前に計測した最大値に達した場合に動作領域の端部まで移動したと判断した。しかし、動作領域検出の判断基準値はこれに限らず、電気信号Va,Vb,Vc,Vdにそれぞれ設定した所定の閾値であってもよい。
【0038】
また、本実施例では、センサ信号発生部2a,2b,2c,2dはスライダ2の表面に埋設されていた。しかし、センサ信号発生部は、スライダ2の内部に埋設された構成としてもよい。同様に、センサ信号検出部1a,1b,1c,1dも、プラテン1の内部に埋設された構成としてもよい。
【0039】
また、本実施例では、センサ信号発生部はスライダ2側に、センサ信号検出部はプラテン1側に形成されていた。しかし、センサ信号発生部とセンサ信号検出部を逆にし、センサ信号発生部をプラテン1側に、センサ信号検出部をスライダ2側に形成してもよい。
【実施例2】
【0040】
図2は本発明による位置決め装置の第2の実施例を示す図である。前記実施例1では、センサ信号検出部がスライダ2の動作領域の辺縁部にのみ設けられていた。しかし、センサ信号検出部は、動作領域の辺縁部だけでなく、さらに動作領域の中に設けてもよい。
【0041】
1e,1fは、プラテン1上に形成されたセンサ信号検出部である。センサ信号検出部1eは、スライダ2の動作領域のY軸方向の中心に、X軸と平行に形成されている。センサ信号検出部1fは、スライダ2の動作領域のX軸方向の中心に、Y軸と平行に形成されている。
【0042】
スライダ2とプラテン1が図2に示すような位置関係にあると、センサ信号検出部1fとセンサ信号発生部2aが重なる。センサ信号検出部1fは、センサ信号発生部2aからのセンサ信号、すなわち磁界Baを検出し、磁界Baの強さに応じた電気信号Vfをリニアモータの制御部(図示せず)に出力する。これにより、制御部は、スライダ2の+Y方向側の端部が、スライダ2の動作領域のX軸方向の中心と重なっていることが把握できる。
また、センサ信号検出部1fは、センサ信号発生部2cからの磁界Bcを検出する。これにより、制御部は、スライダ2の−Y方向側の端部が動作領域のX軸方向の中心と重なっていることを把握できる。
【0043】
同様に、センサ信号検出部1eは、センサ信号発生部2bからのセンサ信号、すなわち磁界Bbを検出し、磁界Bbの強さに応じた電気信号Veを制御部に出力する。これにより、制御部は、スライダ2の+X方向側の端部が、スライダ2の動作領域のY軸方向の中心と重なっていることが把握できる。
また、センサ信号検出部1eは、センサ信号発生部2dからの磁界Bdを検出する。これにより、制御部は、スライダ2の−X方向側の端部が動作領域のY軸方向の中心と重なっていることを把握できる。
【0044】
このように、センサ信号検出部を、スライダ2の動作領域の辺縁部だけでなく、動作領域の内部にも設けることによって、動作領域内でスライダ2がおよそどの位置にあるかを把握することができる。
【0045】
本実施例は、センサ信号検出部をX軸方向およびY軸方向にそれぞれ3本ずつ設けたものであるが、センサ信号検出部の本数を増やせば、スライダ2の位置をより正確に把握することが可能となる。
【実施例3】
【0046】
図3は本発明による位置決め装置の第3の実施例を示す図である。本実施例は、プラテン上にスライダの動作領域が複数存在する例である。
【0047】
プラテン10上に2個のスライダ21,22が配置されている。スライダ21,22は、それぞれプラテン10との間に平面モータを構成し、個別に位置制御される。
【0048】
スライダ21のプラテン10と対向する面の辺縁部に、センサ信号発生部21a,21b,21c,21dが形成されている。スライダ22のプラテン10と対向する面の辺縁部に、センサ信号発生部22a,22b,22c,22dが形成されている。センサ信号発生部の具体的な構成は、前記実施例1と同様である。
【0049】
プラテン10上に、センサ信号検出部10a,10b,10c,10d,10e,10fが、図3に示すように「田」の字状に形成されている。センサ信号検出部10a,10b,10c,10dによってプラテン10に形成された大きな枠が、センサ信号検出部10e,10fによって4つのエリアに分割された状態となっている。分割された4つのエリアの、図中左上のエリアを領域A、右上のエリアを領域B、左下のエリアを領域C、右下のエリアを領域Dとする。センサ信号検出部の具体的な構成は、前記実施例1と同様である。
【0050】
スライダ21,22は、それぞれ個別の動作領域の中で位置制御される。スライダ21は領域Dを動作領域とする。スライダ22は領域Aを動作領域とする。スライダ21,22は、それぞれ領域D、領域Aの中で個別に領域検出が行われる。
【0051】
スライダ21が+X方向に移動し、領域Dの+X方向の端部までくると、センサ信号検出部10bでセンサ信号発生部21bからのセンサ信号が検出され、スライダ21が動作領域の+X方向の端部まで移動したことが検出される。
スライダ21が−X方向に移動し、領域Dの−X方向の端部までくると、センサ信号検出部10fでセンサ信号発生部21dからのセンサ信号が検出され、スライダ21が動作領域の−X方向の端部まで移動したことが検出される。
スライダ21の+Y方向および−Y方向の領域検出も同様である。
【0052】
スライダ22の領域検出も、スライダ21と同様である。
スライダ22が+Y方向に移動し、領域Aの+Y方向の端部までくると、センサ信号検出部10aでセンサ信号発生部22aからのセンサ信号が検出され、スライダ22が動作領域の+Y方向の端部まで移動したことが検出される。
スライダ22が−Y方向に移動し、領域Aの−Y方向の端部までくると、センサ信号検出部10eでセンサ信号発生部22dからのセンサ信号が検出され、スライダ22が動作領域の−Y方向の端部まで移動したことが検出される。
スライダ22の+X方向および−X方向の領域検出も同様である。
【0053】
本実施例のように、プラテン10にはスライダの動作領域が複数設けられていてもよい。
本実施例によれば、複数のスライダをそれぞれ固有の動作領域で移動させ、個別に領域検出を行うことができる。
【実施例4】
【0054】
図4は本発明による位置決め装置の第4の実施例を示す図である。本実施例は、センサ信号検出部がスライダの動作領域の辺縁部に離散的に形成された例である。
【0055】
プラテン11上にスライダ23が配置されている。スライダ23は、プラテン11との間に平面モータを構成し、位置制御される。
【0056】
11a〜11jは、プラテン11に形成されたセンサ信号検出部である。
センサ信号検出部11a〜11j(11e以外)は、図中に示すスライダ23の動作領域の辺縁部に設けられている。センサ信号検出部11eは、スライダ23の動作領域の中央に設けられている。センサ信号検出部11a〜11jは、プラテン11の上面が平坦になるように、プラテン11の表面に埋設される。
【0057】
スライダ23のプラテン11と対向する面の全面に、センサ信号発生部23aが形成されている。このように、センサ信号発生部は、スライダの辺縁部だけでなく、辺縁部を含めて全面に形成されていてもよい。
【0058】
スライダ23が動作領域の中央付近に位置しているときは、センサ信号検出部11eでセンサ信号発生部23aからのセンサ信号が検出される。これにより、スライダ23が適正に動作領域内に存在していることが検出される。
【0059】
スライダ23が+X方向に移動し、動作領域の+X方向の端部までくると、センサ信号発生部23aはセンサ信号検出部11c,11f,11jのいずれかと重なる。センサ信号23aと重なったセンサ信号検出部で、センサ信号発生部23aからのセンサ信号が検出される。これにより、スライダ23が動作領域の+X方向の端部まで移動したことが検出される。
【0060】
スライダ23が−X方向に移動し、動作領域の−X方向の端部までくると、センサ信号発生部23aはセンサ信号検出部11a,11d,11hのいずれかと重なる。センサ信号23aと重なったセンサ信号検出部で、センサ信号発生部23aからのセンサ信号が検出される。これにより、スライダ23が動作領域の−X方向の端部まで移動したことが検出される。
スライダ23の+Y方向および−Y方向の領域検出も同様である。
【0061】
なお、各センサ信号検出部同士のX軸方向の間隔は、スライダ23のX軸方向の一辺の長さよりも小さいものとする。また、各センサ信号検出部同士のY軸方向の間隔は、スライダ23のY軸方向の一辺の長さよりも小さいものとする。センサ信号検出部同士の間隔がスライダ23の一辺の長さよりも大きくなる場合には、センサ信号検出部の数を増やし、スライダ23が動作領域の端部に達したときにセンサ信号検出部が少なくとも1つはスライダ23の直下に存在するようにする。
【0062】
前記実施例1,2,3,4における動作領域は、本発明の所定領域に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は本発明による位置決め装置の第1の実施例を示す図。
【図2】図2は本発明による位置決め装置の第2の実施例を示す図。
【図3】図3は本発明による位置決め装置の第3の実施例を示す図。
【図4】図4は本発明による位置決め装置の第4の実施例を示す図。
【図5】図5は従来の位置決め装置の一例を示す上面図。
【符号の説明】
【0064】
1 プラテン
1a〜1f センサ信号検出部
2 スライダ
2a〜2d センサ信号発生部
10 プラテン
10a〜10f センサ信号検出部
21,22 スライダ
21a〜21d センサ信号発生部
22a〜22d センサ信号発生部
11 プラテン
11a〜11j センサ信号検出部
23 スライダ
23a センサ信号発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライダをプラテン上の所定領域内で移動させる位置決め装置において、
前記スライダの前記プラテンと対向する面の辺縁部に埋設され、前記プラテンへ向けてセンサ信号を発生するセンサ信号発生部と、
前記プラテンの前記所定領域の辺縁部に埋設され、前記センサ信号を検出するセンサ信号検出部と、
を備えたことを特徴とする位置決め装置。
【請求項2】
スライダをプラテン上の所定領域内で移動させる位置決め装置において、
前記プラテンの前記所定領域の辺縁部に埋設され、前記スライダへ向けてセンサ信号を発生するセンサ信号発生部と、
前記スライダの前記プラテンと対向する面の辺縁部に埋設され、前記センサ信号を検出するセンサ信号検出部と、
を備えたことを特徴とする位置決め装置。
【請求項3】
前記センサ信号発生部は永久磁石あるいは電磁石であり、
前記センサ信号は前記永久磁石あるいは前記電磁石によって発生する磁界であることを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置。
【請求項4】
前記センサ信号発生部は前記スライダを前記プラテン上で移動させるモータであり、
前記センサ信号はこのモータの駆動電流によって発生する磁界であることを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置。
【請求項5】
前記センサ信号検出部は、ホール素子またはコイルであることを特徴とする請求項3または4に記載の位置決め装置。
【請求項6】
前記センサ信号検出部は、前記スライダの辺縁部または前記プラテンの前記所定領域の辺縁部に離散的に埋設されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の位置決め装置。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−205653(P2009−205653A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50248(P2008−50248)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】