位置決め部材
【課題】 加工食品の位置決め部材に関し、より詳しくは特に、カップ麺の袋入具材等のほぼ定型の加工食品を容器の中に供給するのに際して、その加工食品の位置決めをする位置決め部材を提供する。
【解決手段】 位置決め部材92は、シュート48に沿って滑り落ちる袋入具材14を内壁74で位置決めする受け部材94を備え、受け部材94の内壁74が円周状に構成され、且つ該円周状の内壁74の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成されている。また、位置決め部材92における受け部材94の内壁96が180°以上の角度である。また、袋入具材14を導くシュート部98の幅は、袋入具材14の短辺の長さ以上である。
【解決手段】 位置決め部材92は、シュート48に沿って滑り落ちる袋入具材14を内壁74で位置決めする受け部材94を備え、受け部材94の内壁74が円周状に構成され、且つ該円周状の内壁74の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成されている。また、位置決め部材92における受け部材94の内壁96が180°以上の角度である。また、袋入具材14を導くシュート部98の幅は、袋入具材14の短辺の長さ以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工食品の位置決め部材に関し、より詳しくは特に、カップ麺の袋入具材等のほぼ定型の加工食品を容器の中に供給するのに際して、その加工食品の位置決めをする位置決め部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一例としていわゆるカップ麺を例にして説明すると、カップ入りの即席麺の多くは、カップの中に即席麺だけでなく、調味料やうきみ等の具材が入れられる。具材としては、たとえば粉末調味料,液体調味料,オイル,香辛料,乾燥野菜,乾燥肉,てんぷら,乾燥揚げ物等々の多種類があり、これら具材の中から商品の種類に応じて適宜選択された具材が用いられる。具材のうち、たとえば油揚げや蒲鉾、チャーシュー等の比較的しっかりした大きさと形状を有しているものはそのままカップ状容器の中に入れられることもあるが、具材の多くは品質管理や取扱いの利便性等を考慮して、1種、又は2種以上を組み合わせて適量の具材を袋に入れ、この1種又は2種以上の袋入りの具材を1つのカップ状の容器に即席麺と共に入れた後、蓋をしている。
【0003】
具材の入った袋の大きさは、具材の量あるいは大きさに対応して大小様々であり、たとえば胡椒等の香辛料は少量であるため袋は小さく、てんぷら等のうきみは形状が大きいため袋も大きい。また、同一種の具材の入った袋であっても、その形状は折れ曲がっていたりしていて一定ではない。このように大きさや形状の異なる1種類あるいは複数種類の袋入具材をカップ状の容器に過不足なく、且つ蓋をすることができるように入れなければならない。
【0004】
今日、カップ麺の生産量は膨大であり、1つの工場での生産量が毎分数百食のスピードで生産されている。高速で生産され、ラインを流れるカップ状容器の中に1種類あるいは複数種類の袋入具材を確実に過不足なく入れるとともに、袋の端部が容器から食み出ないように入れる必要がある。ところが、袋入具材をハイスピードで過不足なく、且つ容器から食み出ないように供給することのできる供給装置はなく、作業者が手作業で入れていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者による手作業では生産性の向上に限界があり、人件費の上昇に伴い生産コストが上昇するという課題があった。また、作業者を確保しなければ、生産が停止することになる。更に、多数の袋入具材の中から一つずつ袋入具材を取り出すことができる装置が提供されているが、チャックミスなどが生じることは避けがたく、確実に連続して袋入具材を供給することは不可能であった。このため、このような連続供給の信頼性が低い装置を最終工程に配設するのは、不良品の発生の原因になり、好ましくない。
【0006】
また、カップ状容器の内径と、袋入具材の袋の対角寸法がほぼ同じである場合、袋入具材をカップ状容器のほぼ中央部に入れなければ袋の端部がカップからはみ出して蓋をすることができなくなるため、具材を容器に入れる作業性が低下するという課題もあった。さらに、袋入具材の外観形状は正方形に限らず、長方形をしているものもあり、供給されてきた袋入具材がどのような方向を向いているか、どのような位置にあるのか、一定していない。このため、供給されてきた袋入具材を移送するとき、移送ミスが生ずる原因となっていた。
【0007】
そこで、本発明者らはいわゆるカップ麺の製造において、カップ状容器の中に袋入具材を確実に過不足なく入れるとともに、容器から食み出ないように供給することのできる供給装置を得るために鋭意研究と検討を重ねた結果、ランダムに供給されてきた袋入具材をほぼ一定の位置に留めることができる位置決め部材を想到するに至った。なお、本発明の位置決め部材は、カップ麺の袋入具材以外にも、ある程度の大きさを有するほぼ定型の食品や袋入り調味料等のほぼ定型の加工食品(以下、加工食品とはこれらのものを言う)であれば、これを容器に装填する際に広く適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る位置決め部材は、シュートの下部に配置され、前記シュートに沿って滑り落ちてきた加工食品を内壁で位置決めする受け部材を備え、該受け部材の内壁が円周状に構成され、且つ該円周状の内壁の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成されている。
【0009】
本発明は、シュートに沿って滑り落ちて来た加工食品の所定位置を保持して移送する移送装置に、前記加工食品を位置決めして供給するための位置決め部材であって、前記シュートの下部に配置され、前記シュートを滑り落ちた前記加工食品を内壁で位置決めする受け部材を備え、該受け部材の内壁は円周状に構成され、且つ該円周状の内壁の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成され、前記移送装置が前記加工食品を保持する位置に、前記円周状の内壁の円周中心を略一致させたことを特徴とする。
【0010】
更に、本発明に係る位置決め部材は、前記受け部材の内壁が中心角約180°以上の円周状に構成されている。
【0011】
更に、本発明に係る位置決め部材は、前記円周状の内壁の直径が、前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径の約80%から約120%に相当する長さである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る位置決め部材は、その内壁が円周状に構成され、且つ円周状の内壁の直径が加工食品のほぼ対角線の長さで構成されているため、内壁は加工食品の外接円の一部をなすことになる。したがって、加工食品が内壁にほぼ接して停止させられることにより、加工食品の中心は内壁円周の中心点とほぼ一致して一定の位置になり、位置決めが簡単に実現できることになる。特に、移送装置が加工食品を保持する位置に、円周状の内壁を構成する円の中心を一致させた場合、加工食品がどのような向きに向いていても、この中心が受け部において常にほぼ一定の位置にくることになるので、容器に載置された加工食品が、同容器からはみ出てしまうこともなくなり、安定供給が実現できる。
【0013】
即ち、シュートに沿って導かれてきた加工食品は任意の方向を向いており、受け部材の内壁に衝突して受け止められた加工食品は通常、2つの角部が内壁に接して停止させられる。加工食品は通常、平面形状が正方形や長方形をしているため、円周状の内壁に少なくとも2つの角部が接した加工食品とその内壁とは外接円の関係にあり、加工食品の中心は内壁に対して一定の位置になる。なお、加工食品の平面形状が正方形や長方形以外の4角形である場合、その4角形にほぼ外接する外接円を有するときは、本発明に係る位置決め部材を適用し得る。また同様に、加工食品の平面形状が三角形や円である場合は、外接円を有することから、本発明に係る位置決め部材を適用し得る。さらに、加工食品の平面形状が5角形以上の多角形である場合は、同様にその多角形にほぼ外接する外接円を有するときは、本発明に係る位置決め部材を適用し得る。
【0014】
更に、本発明に係る位置決め部材は、受け部材の内壁が中心角約180°以上の円周状に構成されているので、シュートに沿って任意の向きで送られてきた加工食品の角部は、中心角約180°以上の円周状の内壁に対して少なくとも2か所が接し得ることになり、安定性が増すことになる。
【0015】
更に、本発明に係る位置決め部材は、円周状の内壁の直径が、加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径の約80%から約120%に相当する長さとしている。このように設定することにより、袋入具材を円周(円弧)状の内壁を有する受け部材に対して安定して袋入具材の中心をほぼ同じ位置に置くことが可能となる。
【0016】
この理由は次の通りである。すなわち、加工食品が円周状の内壁に接して停止する場合には、内壁の直径は加工食品の外接円の直径で設定されるのが好ましい。ところが、シュートに導かれて送られてきた加工食品が内壁に衝突してバウンドし、内壁の内面と加工食品の角部との間に隙間ができる場合には、内壁の直径は加工食品の外接円の直径より長く設定されるのが好ましい。また、袋などに収納された加工食品が内壁に衝突して角部が折れ曲がった状態で内壁に接して停止する場合には、内壁の直径は加工食品の外接円の直径より短く設定されるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、食品供給装置を用いた袋入具材の供給例を述べた上で、本発明の実施形態に係る位置決め部材について説明する。
【0018】
図1に示すように、袋10に具材12が収納された袋入具材14をカップ状容器16の中に供給する食品供給装置18は、食品個毎供給手段20、副装置22及び主装置24を備えて構成されている。食品個毎供給手段20は多数の袋入具材14の中から適宜任意に袋入具材14を取り出して、個毎に供給することができる装置であれば特に限定されない。たとえば食品個毎供給手段20として、ホッパーの中に投入された多数の袋入具材14を振動式あるいは無振動式のフィーダーによって整列させて1つずつ供給する装置や、整列させられた袋入具材14をたとえばバキューム式の吸着部で吸着して、ロボットアームにより1つずつ供給する装置、あるいは連結させられた袋入具材14をリールなどに巻取っておき、それから繰り出された袋入具材14を1つずつ切り離して供給する装置など、種々の装置を用いることができる。なお、袋入具材14の食品個毎供給手段20として適切な装置がない場合には、作業者が袋入具材14を副装置22の副シュート26に適宜投入することも可能である。
【0019】
食品個毎供給手段20から1つずつ供給される袋入具材14は副装置22の副シュート26の上部から投入される。この副装置22は、袋入具材14が導かれる副シュート26と、その副シュート26上の複数箇所に配設され、副シュート26に導かれる袋入具材14を留置する副開閉手段28と、個々の副開閉手段28を開閉させる副駆動手段30と、各副開閉手段28に袋入具材14が留置されているか否かを検出し、上流側の副開閉手段28を作動させる信号を副駆動手段30に送る副センサー32とを備えて構成されている。副シュート26は通常、直線状に形成されるのが好ましいが、設置場所などの関係から湾曲させることも可能である。また、副シュート26は、袋入具材14が副シュート26に導かれて迅速に滑り落ち、且つ袋入具材14が軽いときであっても、空気抵抗で舞い上がることのない、最適な角度たとえば45〜75度に設置される。この副シュート26の角度は、袋入具材14の形状や重量などに対応させて、適宜任意に変更し得るように構成されるのが好ましい。
【0020】
副シュート26上の複数箇所には副開閉手段28が好ましくは等間隔に配設されていて、この副開閉手段28は副シュート26に導かれてきた袋入具材14を留置するために用いられる。副開閉手段28は図2に示すように、駆動軸34の周りを回動させられるプレート36を備えて構成されていて、副駆動手段30によって開閉駆動させられる。副開閉手段28は常時「閉」の状態にあり、副駆動手段30によって「開」の状態にされるか、あるいは、副開閉手段28は常時「開」の状態にあり、副駆動手段30によって「閉」の状態にされるか、あるいは、副開閉手段28は副センサー32からの信号に基づいて「開」又は「閉」のいずれかの状態にされる。副開閉手段28のプレート36は副駆動手段30の駆動力によって常時「閉」又は「開」の状態に維持されていてもよいが、その他、バネなどの付勢手段によって「閉」又は「開」の状態にされ、副センサー32からの信号に基づいて副駆動手段30の駆動力により、プレート36は「開」又は「閉」の位置に回動させられる。この副駆動手段30として、たとえばエアー圧を用いたロータリーアクチュエーターや、モーター、電磁ソレノイドなどを用いて構成することができる。
【0021】
また、副シュート26上の複数箇所に配設された各副開閉手段28の近傍部には、その副開閉手段28に袋入具材14が留置されているか否かを検出する副センサー32が配設されている。副センサー32の種類は特に限定されないが、具材が香辛料などの場合は非常に軽く且つ形状が小さいものとなるため、接触式よりも光などを用いた非接触式のものが好ましい。また、光センサーの場合、光透過型又は光反射型のいずれであってもよい。さらに、袋入具材14の袋10に金属箔を付着させたり、あるいは金属粉入りのインクで文字などを印刷しておくなどし、たとえば磁気センサーなどでその金属を検出するなど、各種の検出手段を使用することができる。副センサー32の配設位置は、その種類に対応させて適切に選定される。副センサー32は副開閉手段28に袋入具材14が留置されているか否かを検出し、袋入具材14が留置されていないとき、上流側の副開閉手段28を開作動させる信号を副駆動手段30に送るように構成されるか、あるいは袋入具材14が留置されたとき、上流側の副開閉手段28を閉作動させる信号を副駆動手段30に送るように構成されるか、あるいはさらに袋入具材14の有無を常に検出し、その検出信号に基づいて上流側の副開閉手段28を閉又は開作動させるように副駆動手段30を制御するように構成される。
【0022】
したがって、図1に示す副装置22の副シュート26の下流側から、副センサー32を321,322,…,32xとし、同様に副開閉手段28を281,282,…,28x、副駆動手段30を301,302,…,30xとすると、当初は袋入具材14が留置されていないため、副センサー321は上流側の副開閉手段282を開作動させる信号を副駆動手段302に送り、副開閉手段282を「開」の状態にする。そして、同様に作動させられて、副開閉手段281を除く全ての副開閉手段28が「開」の状態になる。次に、袋入具材14が一つずつ供給されてきて、副開閉手段281に袋入具材14が留置されると、上流側の副駆動手段302への開作動させる信号が停止し、副開閉手段282が閉じる。以下同様にして、副開閉手段282に袋入具材14が留置されると、更に上流側の副開閉手段283が閉じ、順次全ての副開閉手段28に袋入具材14が留置されることになる。なお、最上流の副開閉手段28xに袋入具材14が留置させられた時、副センサー32xからの信号に基づき、食品個毎供給手段20が停止させられる。
【0023】
一方、最下流の副開閉手段281が開いて、袋入具材14を次に供給した結果、副開閉手段281に袋入具材14がなくなった時、副センサー321は上流側の副開閉手段282を開作動させる信号を副駆動手段302に送り、副開閉手段282を開にして袋入具材14を副開閉手段281に供給する。そして、同様にして順次、袋入具材14を一つずつ下流側に供給して補充するのである。この副装置22の副シュート26の最下流部及び上流部には、主装置24のシュート48に袋入具材14を供給するバイパス40,42が設けられている。バイパス40,42は副シュート26の床面の一部が駆動手段44,46によって開閉させられるように構成され、これら駆動手段44,46は主装置24からの信号に基づいて作動させられる。
【0024】
次に、主装置24は上述の副装置22とほぼ同様に構成されている。すなわち、主装置24は、副シュート26の最下流部又は上流部から袋入具材14が導かれるシュート48と、そのシュート48上の複数箇所に配設され、シュート48に導かれる袋入具材14を留置する開閉手段50と、これら個々の開閉手段50を開閉させる駆動手段52と、各開閉手段50に袋入具材14が留置されているか否かを検出し、上流側の開閉手段50を作動させる信号を駆動手段52に送るセンサー54と、シュート48の下部に配設され、導かれてきた袋入具材14をカップ状容器16に供給する第1の供給装置56と第2の供給装置58を備えて構成されている。これら各構成要素のうちシュート48、開閉手段50、駆動手段52及びセンサー54の構成及び作動は前述の副装置22と同様であり、説明を省略する。
【0025】
次に、第1の供給装置56は図3に拡大して示すように、シュート48の下部に垂直下方向に延び、カップ状容器16に対して位置決めするガイド部60と、そのガイド部60の下端部に袋入具材14を留置する投入開閉手段61と、その投入開閉手段61を開閉させる駆動手段62とを備えて構成されている。ガイド部60は筒状を成しているのが好ましい。また、投入開閉手段61は観音開き式の扉63とその扉63の両側にガイド板64を備えて構成され、2枚の扉63はそれぞれの合わせ面側を下に傾斜させて配設されている。したがって、ガイド部60の上部から落下させられてきた袋入具材14は、投入開閉手段61の2枚の扉63の内側に当接した後、扉63の傾斜に沿って中央部側に寄ることになる。そして、扉63が開けられたとき、袋入具材14はカップ状容器16の中央部側に投入されることになる。なお、袋入具材14がカップ状容器16に投入されるとき、袋入具材14はガイド板64により余所へ飛び出るのが防止される。
【0026】
投入開閉手段61の扉63を開閉させる駆動手段62は、順次一定の速度で送られてくるカップ状容器16のスピードに合わせて、一定の間隔で駆動させられ、扉63を開いて袋入具材14を落下させた後、扉63は自動的に閉じられる。一方、この第1の供給装置56への袋入具材14の供給は、シュート48の下部に設けられたバイパス66が駆動手段67によって開駆動させられることにより、シュート48上の袋入具材14が投入される。この駆動手段67についても、カップ状容器16のスピードに合わせ、且つ投入開閉手段61の駆動手段62と連動させて一定の間隔で駆動させられるのが好ましい。すなわち、シュート48に導かれてきた袋入具材14は最下流の開閉手段501に留置された後、バイパス66が駆動手段67によって開駆動させられ、袋入具材14は投入開閉手段61に落下させられ、更に一定間隔で開閉させられる投入開閉手段61からカップ状容器16に投入される。
【0027】
なお、投入開閉手段61を開作動させる信号を駆動手段62に送るセンサーを設け、カップ状容器16が投入開閉手段61の適切な位置に来たのを検出した時、扉63を開けるように構成することも可能である。また、投入開閉手段61に留置されていた袋入具材14がカップ状容器16に投入されるとともに、投入開閉手段61の扉63が閉じられたことをセンサーで検出し、その信号によりバイパス66の駆動手段67を開駆動させるように構成することも可能である。
【0028】
次に、第2の供給装置58は、シュート48の下部に袋入具材14をほぼ一定の位置に収容し得る受け部68を備えるとともに、その受け部68に載置された袋入具材14のほぼ所定位置を保持しつつ搬送して、袋入具材14をカップ状容器16のほぼ中央部に載置する移送装置70(図4参照)とを少なくとも備えて構成される。この第2の供給装置58は、袋入具材14の大きさが大きく、その対角の長さがカップ状容器16の内径より若干小さい程度であるか、逆に若干長い場合に、第1の供給装置56に代えて用いられる。
【0029】
この第2の供給装置58の受け部68は、シュート48によって導かれてきた袋入具材14をほぼ一定の位置に留めることができるものであり、一方、移送装置70は図4に示すように、受け部68に載置された袋入具材14のほぼ所定位置を保持しつつ搬送して、袋入具材14をカップ状容器16のほぼ中央部に載置することができる装置であれば、特に限定されない。より具体的には、移送装置70は、一定間隔に配置された受け部68とカップ状容器16との間を往復させられるとともに、それぞれの位置で上下動させられるたとえばロボットのアーム71と、エアーを吸引して袋入具材14を吸着するとともに大気圧にするかあるいはエアーを吹き込んで袋入具材14を離すことができる吸盤72とを備えて構成することができる。
【0030】
この構成の第2の供給装置58によれば、シュート48に導かれて供給されてきた袋入具材14は一旦、受け部68に載置される。その後、その袋入具材14を移送装置70の吸盤72により吸着してカップ状容器16の上に移送した後、袋入具材14を吸盤72から離してカップ状容器16の中に入れるのである。このとき、袋入具材14の対角の長さがカップ状容器16の内径より若干小さい程度である場合、袋入具材14の袋10の角部がカップ状容器16から食み出すことがあり、あるいは逆に若干長い場合は、袋入具材14の袋10の角部がカップ状容器16から食み出すことになるが、このような場合、袋入具材14を移送装置70によりカップ状容器16の中に押し込むように設定することにより、袋入具材14をカップ状容器16の中に収納することができる。この作動を繰り返して、一つずつ袋入具材14をカップ状容器16の中に確実に供給することができる。
【0031】
この作動において、移送装置70はカップ状容器16の送り速度と連動させて単能的に受け部68とカップ状容器16の2点間を往復作動する装置として構成することができる。このとき、シュート48の最下流に位置する開閉手段501を移送装置70と連動させて一定間隔で開閉させ、袋入具材14を一定間隔で供給するように構成するのが好ましい。なお、受け部68に、シュート48の最下部の開閉手段501を開作動させる信号をその駆動手段521に送るセンサーを設けることも可能であり、そのセンサーからの信号に基づいて開閉手段501を作動させて袋入具材14を一つずつ供給するようにしてもよい。
【0032】
ここで、シュート48に沿って導かれてきた袋入具材14は任意の方向を向いて受け部68に載置されることになる。袋入具材14がどのような方向に向いている場合であっても、移送装置70によって常に袋入具材14をカップ状容器16のほぼ中央に入れるためには、袋入具材14の中心が受け部68において常にほぼ一定の位置にくることが必要である。そこで、袋入具材14の平面形状が正方形や長方形の場合は、図5に示すように、受け部68は、袋入具材14の対角線の長さ(袋入具材14の平面形状に外接する外接円の直径)より約1〜2割短い長さ乃至対角線の長さより約1〜2割長い長さをほぼ直径とする円弧状の内壁74を備えて構成されるのが好ましい。すなわち、袋入具材14が内壁74に接して停止する場合は、内壁74の内径は袋入具材14の対角の長さで構成されるのが好ましいが、袋入具材14が内壁74に当接した後、バウンドして内壁74から離れて停止する場合は、内壁74の内径は袋入具材14の対角線の長さより約1〜2割長い長さで構成されるのが好ましい。また、袋入具材14の袋10の角部が内壁74に当接した結果若干折れ曲がる場合は、内壁74を袋入具材14の対角線の長さより約1〜2割短い長さを直径として構成するのが好ましい。したがって、内壁の内径は予め実験などによって決定するのが好ましい。
【0033】
この構成により、シュート48を滑り落ちてきた袋入具材14の隣合う2つの角が内壁74に当接したとき、袋入具材14がどのような向きに向いていても、袋入具材14の中心Sが受け部68において常にほぼ一定の位置にくることになる。したがって、袋入具材14の中心Sを吸盤72で吸着するように設定すれば、吸着ミスが生ずることはなく、しかも袋入具材14の端部がカップ状容器16からはみ出てしまうこともなくなり、安定供給が実現できる。
【0034】
なお、図6(a)に示すように、袋入具材14の平面形状が正方形や長方形以外の外接円を有する4角形たとえば台形である場合、その外接円の中心Sが4角形(袋入具材14)の内側にあれば、受け部68に留置された袋入具材14の中心Sを吸盤72で吸着するように設定すれば、吸着ミスが生ずることはなく、しかも袋入具材14の端部がカップ状容器16からはみ出てしまうこともなくなる。また同様に、同図(b)に示すように、袋入具材14の平面形状が三角形である場合、その三角形の外接円の中心Sが加工食品の内側にあれば、受け部68に留置された袋入具材14の中心Sを吸盤72で吸着するように設定すれば、吸着ミスが生ずることはなく、しかも袋入具材14の端部がカップ状容器16からはみ出てしまうこともなくなる。さらに図示を省略するが、袋入具材14の平面形状が円形や外接円を有する5角形以上の多角形である場合も、同様に袋入具材14の中心Sを吸盤72で吸着するように設定すれば、吸着ミスが生ずることはなく、しかも袋入具材14の端部がカップ状容器16からはみ出てしまうこともなくなる。
【0035】
以上、食品供給装置18の各構成を作動とともに説明したが、この食品供給装置18の全体としての作動は種々設定することができ、種々設定できる作動の全てを個別に説明することができないが、次にその1例を説明する。図1において、袋入具材14の大きさがカップ状容器16の内径と比較して充分小さい場合には、第1の供給装置56が用いられ、袋入具材14の大きさが大きく、その対角の長さがカップ状容器16の内径より若干小さい程度か又は若干大きい程度である場合には、第1の供給装置56に替えて第2の供給装置58が用いられる。
【0036】
ここで、この食品供給装置18によって供給される具材12は、粉末スープや液体スープ、オイル、香辛料あるいは乾燥ねぎなどの不定形の具材だけでなく、天麩羅などの塊をなす定型の具材であってもよく、これらはそれぞれの特性に適合した袋10に収納されている。ただし、天麩羅などの塊をなす定型の具材は、必ずしも袋10に収納されていなくとも本発明は適用可能である。袋10は透明な樹脂フィルムからラミネートフィルムなどであってもよく、特に限定されない。袋10には、1種類の具材12又は2種類以上の具材12が混ぜ合わされて1つに収納されたり、あるいは2種類以上の具材12がそれぞれ個別に収納されるとともに連結されて、全体として1つの袋入具材14をなすように構成されている。1つの食品供給装置18によって供給される袋入具材14は1種類のみであって、他の種類の袋入具材14を供給する場合は、食品供給装置18が別途用意され、袋入具材14の種類の数だけ食品供給装置18が並べられて用いられるのが好ましい。
【0037】
まず、第1の供給装置56が用いられる場合について説明する。食品供給装置18の主装置24及び副装置22のいずれの副開閉手段28及び開閉手段50にも袋入具材14が留置されていない場合、副装置22のバイパス42が開けられて、袋入具材14が副装置22から直ちに主装置24側へ供給されるように設定されるとともに、他のバイパス40,66は閉じられる。そして、主装置24の最下流の開閉手段501及び副装置22の最下流の副開閉手段281は袋入具材14を留置し得るように閉じられ、これらを除く全ての副開閉手段28,開閉手段50は「開」の状態にされる。
【0038】
この状態で食品個毎供給手段20を作動させて袋入具材14を一つずつ供給し、副装置22の副シュート26の最上流部に投入する。投入された袋入具材14は副装置22のバイパス42を通って主装置24のシュート48を滑り落ち、最下流部の開閉手段501 に留置される。このとき、その位置にあるセンサー541が袋入具材14を検出して、その上流側の開閉手段502を閉じさせる。以後、同様にして、袋入具材14を留置する毎にその上流側の開閉手段50が閉じていき、主装置24の最上流の開閉手段50Yが袋入具材14を留置したことをセンサー54Yが検出した時、副装置22のバイパス42が閉じられる。次いで、副装置22の最下流の副開閉手段281に袋入具材14が留置された時、同様にその位置にある副センサー321が袋入具材14を検出し、その上流側の副開閉手段282を閉じる。以後、副装置22の最上流側の副開閉手段28Xに袋入具材14が留置された時、副センサー32Xからの信号に基づき、食品個毎供給手段20の作動が停止させられる。
【0039】
次に、カップ状容器16への供給が開始させられ、主装置24の最下流側にあるバイパス66が開けられると、袋入具材14が第1の供給装置56の中に落下し、扉63の内側に止め置かれる。そして、第1の供給装置56がカップ状容器16の真上にきたとき、設定されたタイミングに合わせて扉63が開けられ、袋入具材14がカップ状容器16の中に入れられる。一方、バイパス66が開けられて袋入具材14が第1の供給装置56の中に落下させられた後、バイパス66は直ちに閉じられるが、その箇所の開閉手段501 に袋入具材14が留置されていないことをセンサー541が検出して、その上流側の開閉手段502を開作動させて、袋入具材14を下流側へ送る。以下同様にして、主装置24内の袋入具材14が順送りされ、最上流の開閉手段50Yから袋入具材14が送られた時、センサー54Y からの信号に基づき副装置22のバイパス42が開けられ、副装置22の副開閉手段28に留置されていた袋入具材14が主装置24の開閉手段50Yに送られる。更に続いて、袋入具材14が次のカップ状容器16に供給されると、順送りされた後、副装置22の最上流の副開閉手段28Xが開けられ、袋入具材14がバイパス42を介して主装置24の開閉手段50Yに送られる。また、副装置22の最上流の副開閉手段28X に袋入具材14がなくなった時、あるいは副装置22の上流側の数個分の副開閉手段28から袋入具材14がなくなった時、あるいは副装置22の全ての副開閉手段28から袋入具材14がなくなった時、食品個毎供給手段20が作動させられ、袋入具材14が副装置22の副開閉手段28に供給される。食品個毎供給手段20はカップ状容器16の送り速度と比較して、過供給に作動させられていて、副装置22が作動しないように設定されていてもよく、少なくとも主装置24の全ての開閉手段50から袋入具材14がなくならないように作動させられるのが好ましい。
【0040】
この作動状態において、食品個毎供給手段20における袋入具材14の供給がトラブルによって停止してしまったり、供給量が大幅に減少してしまうなどの結果、主装置24内に留置されている袋入具材14が減少し、開閉手段50nと開閉手段50n-1の両方の袋入具材14がなくなったとき、両開閉手段50n及び50n-1の間にある副装置22のバイパス40が開けられ、副装置22に留置されていた袋入具材14が順次供給される。副装置22から袋入具材14が供給されている間に、主装置24の開閉手段50nより上流側の開閉手段50に食品個毎供給手段20から供給されてきた袋入具材14が一つずつ留置されることになる。そして、副装置22に留置されていた袋入具材14が全て供給された時、副装置22のバイパス40が閉じられるとともに、主装置24の開閉手段50nより上流側の開閉手段50に留置された袋入具材14が順次下流側へ供給される。また、主装置24により袋入具材14を供給しているとき、食品個毎供給手段20からの供給量は過供給に設定されているため、主装置24への供給がオーバーしてしまうことがある。このときは、副装置22のバイパス42が適宜閉じられ、副装置22の副開閉手段28に袋入具材14が順次留置されるとともに、主装置24の開閉手段50にも袋入具材14が順次留置される。全ての副開閉手段28,開閉手段50に袋入具材14を留置した後は、食品個毎供給手段20は一時的に停止させられ、カップ状容器16に袋入具材14を供給する毎に適宜作動させられる。
【0041】
以上の作動の説明から明らかなように、食品個毎供給手段20における袋入具材14の供給が何らかの理由により停止したり、供給量が減少してしまっても、主装置24及び副装置22から袋入具材14が順次供給されることにより、カップ状容器16への供給は安定し、且つ確実に一つずつ入れることができる。したがって、製造ラインが停止させられることはなくなり、また、袋入具材14の入っていない不良品が発生することもなくなる。
【0042】
次に、第2の供給装置58が用いられる場合について説明する。この第2の供給装置58は第1の供給装置56に代えて、特に袋入具材14の外径が大きく、カップ状容器16の内径より若干小さい程度であるか、逆に若干大きい程度である場合に用いられる。この第2の供給装置58を用いる場合の作動は、前述の第1の供給装置56を用いる場合の作動とほとんど同じであり、異なる点は、主装置24の最下流部のバイパス66が常に閉じた状態にされる代わりに、開閉手段501が作動させられることにある。そして、第2の供給装置58の受け部68に載せられた袋入具材14の中心はほぼ一定の位置にくるため、移送装置70は確実に袋入具材14を保持して移送し、カップ状容器16の中心部に入れることができる。
【0043】
以上、食品供給装置の形態を作動とともに説明したが、本発明は上述の形態に限定されるものではない。たとえば、図7に示すように、食品供給装置76を主装置78のみによって構成することも可能である。本例のように副装置を主装置78に取り付けない場合であっても、食品個毎供給手段20が比較的安定してほぼ連続的に袋入具材14を供給してくるときは、カップ状容器16に袋入具材14を確実に一つずつ連続して供給することが可能となる。
【0044】
また、食品個毎供給手段20による袋入具材14の供給が安定していない場合などにおいては、たとえば図8に示すように、主装置78に対して第1の副装置80と第2の副装置81を積み重ねて食品供給装置82を構成し、留置しておく袋入具材14の個数を増やすようにするのが好ましい。食品供給装置82に留置されている袋入具材14の個数が多ければ、たとえ長時間にわたって食品個毎供給手段20による供給が停止してしまったとしても、袋入具材14をカップ状容器16に連続して供給することができ、製造ラインを停止させることがなく、生産性を向上させることができる。
【0045】
この図8に示す食品供給装置82において、主装置78は前述の主装置24と全く同じ構成でよく、更に第1の副装置80及び第2の副装置81も前述の副装置22と全く同じ構成であってもよい。ただし、図8に示すように、主装置78に対して取り付けられた第1の副装置80及び第2の副装置81の最下流部に設けられるバイパス83は固定式であってもよい。最下流のそれぞれの開閉手段841,851を開閉させることにより、第1の副装置80から主装置78へ、第2の副装置81から第1の副装置80を介して主装置78へ、袋入具材14を供給することができる。
【0046】
また、図9に示すように、第1の副装置80及び第2の副装置81の最下流部に設けられるバイパス83がそれぞれ直接、主装置78に接続され、第2の副装置81から第1の副装置80を介さずに直接、袋入具材14を主装置78に供給するように構成することも可能である。本例によれば、第2の副装置81から主装置78へ袋入具材14を供給するタイミングを速くすることができる。
【0047】
更に、上述の副装置を1又は複数配設した各種の食品供給装置において、食品個毎供給手段20から袋入具材14を供給したとき、通常は袋入具材14が最短で主装置へ供給されるように流されるのが好ましいが、主装置及び副装置の区別なくランダムに袋入具材14を供給するとともに、これら主装置及び副装置に留置された袋入具材14から供給されるように構成することも可能である。たとえば、1又は複数の副装置の全てから袋入具材14がなくなったときに、食品個毎供給手段20を作動させるように構成したり、あるいは予め設定された一定個数の袋入具材14が副装置から減ったときに、食品個毎供給手段20を作動させるように構成することができる。また、主装置又は副装置の区別がなく、それらに留置されている袋入具材14をランダムに取り出して供給する一方、食品個毎供給手段20から適宜袋入具材14の供給を受けるように構成することも可能である。このように構成すれば、副装置に留置されている袋入具材14が常に新しいものと置き代わり、品質保証上好ましい。すなわち、主装置及び副装置への袋入具材14の補充と、これら主装置及び副装置からの袋入具材14の供給に、規則性があってもなくてもよく、その制御方法は何ら限定されない。
【0048】
以上、全体構成について他の実施形態を示したが、各構成要素についても上述の形態に何ら限定されるものではない。たとえば、図10に示すように、開閉手段86をシュート87の両側面に回動軸を有する観音開き式の扉88、あるいはシュート87の片側面に回動軸を有する片開き式の扉で構成し、扉88を図示しない駆動手段で開閉させるように構成することも可能である。
【0049】
また、図11に示すように、シュート87の底面から突出させられる1又は複数の棒状部材89によって開閉手段90を構成することも可能である。この棒状部材89を図示しない駆動手段によりシュート87の上面に突出させたり、あるいは引っ込めたりすることによって、その開閉手段90に袋入具材を留置させたり、あるいは供給したりすることができる。
【0050】
その他、開閉手段と、その開閉手段を駆動する駆動手段の各構成は種々設定することが可能である。また、シュートの角度や形状,構造なども限定されるものではなく、シュートを筒状に構成する場合は、シュートを鉛直方向に立設させることも可能である。
【0051】
更に、上述の第2の供給装置58における受け部68は水平方向に配設される必要は必ずしもなく、たとえばシュートの傾きと同じ傾きに配設されていてもよい。また、受け部68の底部にたとえば開閉扉を設け、受け部68によって位置決めされた袋入具材14をカップ状容器16に落下させて供給したり、あるいは受け部68を反転させるように構成し、受け部68に位置決めされた袋入具材14を、受け部68を反転させることによって落下させて供給するように構成することも可能である。第1の供給装置56と第2の供給装置58は両方とも配設されていてもよいが、いずれか一方のみであってもよく、更に、これら第1の供給装置56と第2の供給装置58は適宜取り付け又は取外しが可能に構成されていてもよいなど限定されない。これら第1の供給装置56又は第2の供給装置58は、袋入具材14の大きさ等に対応させて適切な形状や大きさで形成するのが好ましく、袋入具材14に応じて適切なものに交換するのが好ましい。
【0052】
上述の第2の供給装置58において、受け部68として機能していた部分を独立した位置決め部材として構成することも可能である。すなわち、シュートの下端部に設置され、そのシュートに沿って滑り落ちてきた袋入具材を内壁で受け止める位置決め部材であって、受け部材の内壁が円周状に構成され、且つその円周状の内壁の直径が袋入具材の平面形状にほぼ外接する円の直径で位置決め部材を構成するのである。シュートに沿って導かれてきた袋入具材は任意の方向を向いており、受け部材の内壁に衝突して受け止められた袋入具材は通常、2つの角部が内壁に接して停止させられる。袋入具材の平面形状が正方形や長方形、あるいはその他の外接円を有する4角形や5角形以上の多角形、さらには3角形をしている場合、円周状の内壁に少なくとも2つの角部が接したとき、その内壁円周は袋入具材の外接円の関係にあり、袋入具材の中心は内壁円周(袋入具材の外接円)の中心点にほぼ一致して一定の位置になる。また、袋入具材の平面形状が円形である場合、その円に外接する円周で形成された内壁に袋入具材の外周が接触したとき、袋入具材の中心は内壁円周の中心点にほぼ一致して一定の位置になる。
【0053】
また、この位置決め部材において、受け部材の内壁を中心角約180°以上の円周状に構成するのが好ましい。袋入具材の平面形状が3角形や外接円を有する4角形以上の多角形である場合、シュートに沿って任意の向きで送られてきた袋入具材の角部は、円周状の内壁の中心角が少なくとも180°あれば、その内壁に対して少なくとも2か所が接し得ることになる。したがって、受け部材の内壁の中心角は誤差などを含めて少なくとも約180°あれば足りるが、内壁を約180°以上の中心角で構成することも可能である。
【0054】
たとえば、図12に示すように、位置決め部材92における受け部材94の内壁96を180°以上の角度で構成することができる。この実施形態においては、袋入具材14を導くシュート部98の幅は袋入具材14の短辺の長さ以上で形成される。このように構成すれば、袋入具材14の角部が3か所以上、内壁96に接触することがあり、安定性が増す。
【0055】
また、図13に示すように、位置決め部材92における受け部材94の内壁96をシュート部98の底面側に設け、内壁96の中心角を360°で構成することができる。この実施形態においては、シュート部98を導かれてきた袋入具材14は受け部材94に落ち込み、内壁96にほぼ全ての角部を接触させて、位置決めされるため、より一層、安定性が増すことになる。更に同様に、図14に示すように、位置決め部材92における受け部材94の内壁96をシュート部98の底面側に設けるとともにテーパー状に形成し、その内壁96の中心角を360°で構成することができる。この実施形態においては、テーパー状の内壁96の最底部の直径が袋入具材14の外接円のほぼ直径とされる。テーパー状の内壁96を袋入具材14が滑り落ちるときに、位置決めがされることになる。なお、上述の位置決め部材92として説明した形態はそのまま、第2の供給装置58における受け部68として構成することも可能であることは言うまでもない。
【0056】
更に、この位置決め部材において、円周状の内壁の直径である袋入具材のほぼ対角線の長さを、袋入具材の対角線の長さの約80%から約120%に相当する長さで形成するのが好ましい。すなわち、袋入具材が円周状の内壁に接して停止する場合には、内壁の直径は袋入具材の対角線の長さで設定されるのが好ましい。ところが、シュートに導かれて送られてきた袋入具材が内壁に衝突してバウンドし、内壁の内面と袋入具材の角部との間に隙間ができる場合には、内壁の直径は袋入具材の対角線の長さより長く設定されるのが好ましい。また、袋入具材が内壁に衝突して角部が折れ曲がった状態で内壁に接して停止する場合には、内壁の直径は袋入具材の対角線の長さより短く設定されるのが好ましい。このように設定することにより、袋入具材を円周(円弧)状の内壁を有する受け部材に対して安定して袋入具材の中心をほぼ同じ位置に置くことが可能となる。
【0057】
以上に説明した食品供給装置は、多数の袋入具材の中から一つずつ袋入具材を取り出して順に並べて留置した後、その留置された袋入具材から一つずつ取り出してカップ状容器の中に供給するとともに、留置される袋入具材を順次補充することができる装置であればよい。
【0058】
また、上述の本発明の実施形態の説明において、袋入具材を例にして説明したが、本発明の位置決め部材はいずれも袋入具材に限定されるものではない。たとえば、袋に収納されていない具材であっても、ある程度の大きさと強度、さらにほぼ定形の形状を有していれば適用可能である。たとえば油揚げ、蒲鉾、チャーシューなどに対してはそのまま供給し、あるいは位置決めすることができる。さらに、「具材」以外の食品であっても、所定の形状、大きさなどに加工された加工食品であれば、本発明に適用し得るものである。しかし、これらの具材、加工食品は、いずれも定型の袋に収納されている方が本発明の位置決め部材に対する適合性が良く、また衛生面においても好ましい。更に、本発明の位置決め部材はカップ状容器に加工食品を供給するだけでなく、容器一般を対象とすることができる。いずれにしても、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の位置決め部材は、カップ麺の袋入具材以外にも、ある程度の大きさを有するほぼ定型の食品や袋入り調味料等のほぼ定型の加工食品であれば、これを容器に装填する際に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る位置決め部材を取付けできる食品供給装置を説明するための説明図であり、同図(a) は袋入具材を示す拡大正面図、同図(b)は要部破砕側面図である。
【図2】図(a) は図1に示す食品供給装置の要部断面説明図であり、図(b) は同図(a)のB−B断面説明図である。
【図3】第1の供給装置を示す要部拡大断面説明図である。
【図4】第2の供給装置を示す要部拡大断面説明図である。
【図5】第2の供給装置に取付けられる本発明に係る受け部の好ましい実施形態を示す説明図であり、同図(a) は要部斜視図、同図(b) は要部平面図である。
【図6】図(a) 及び図(b) はいずれも、図2に示した第2の供給装置に取付けられる本発明に係る受け部の他の作動を説明するための要部平面説明図である。
【図7】食品供給装置の他の例を示す要部破砕側面図である。
【図8】食品供給装置の更に他の例を示す要部破砕側面図である。
【図9】食品供給装置の更に他の別例を示す要部破砕側面図である。
【図10】食品供給装置の開閉手段の他の例を示す要部拡大斜視説明図である。
【図11】食品供給装置の開閉手段の更に他の例を示す要部拡大斜視説明図である。
【図12】本発明に係る位置決め部材の他の実施形態を示す要部平面説明図である。
【図13】本発明に係る位置決め部材の更に他の実施形態を示す説明図であり、図(a)は要部平面図、図(b) は要部側面図である。
【図14】本発明に係る位置決め部材の更に他の実施形態を示す説明図であり、図(a)は要部平面図、図(b) は要部側面図である。
【符号の説明】
【0061】
14:袋入具材
16:容器
48,87:シュート
74:内壁
92:位置決め部材
94:受け部材
96:内壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工食品の位置決め部材に関し、より詳しくは特に、カップ麺の袋入具材等のほぼ定型の加工食品を容器の中に供給するのに際して、その加工食品の位置決めをする位置決め部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一例としていわゆるカップ麺を例にして説明すると、カップ入りの即席麺の多くは、カップの中に即席麺だけでなく、調味料やうきみ等の具材が入れられる。具材としては、たとえば粉末調味料,液体調味料,オイル,香辛料,乾燥野菜,乾燥肉,てんぷら,乾燥揚げ物等々の多種類があり、これら具材の中から商品の種類に応じて適宜選択された具材が用いられる。具材のうち、たとえば油揚げや蒲鉾、チャーシュー等の比較的しっかりした大きさと形状を有しているものはそのままカップ状容器の中に入れられることもあるが、具材の多くは品質管理や取扱いの利便性等を考慮して、1種、又は2種以上を組み合わせて適量の具材を袋に入れ、この1種又は2種以上の袋入りの具材を1つのカップ状の容器に即席麺と共に入れた後、蓋をしている。
【0003】
具材の入った袋の大きさは、具材の量あるいは大きさに対応して大小様々であり、たとえば胡椒等の香辛料は少量であるため袋は小さく、てんぷら等のうきみは形状が大きいため袋も大きい。また、同一種の具材の入った袋であっても、その形状は折れ曲がっていたりしていて一定ではない。このように大きさや形状の異なる1種類あるいは複数種類の袋入具材をカップ状の容器に過不足なく、且つ蓋をすることができるように入れなければならない。
【0004】
今日、カップ麺の生産量は膨大であり、1つの工場での生産量が毎分数百食のスピードで生産されている。高速で生産され、ラインを流れるカップ状容器の中に1種類あるいは複数種類の袋入具材を確実に過不足なく入れるとともに、袋の端部が容器から食み出ないように入れる必要がある。ところが、袋入具材をハイスピードで過不足なく、且つ容器から食み出ないように供給することのできる供給装置はなく、作業者が手作業で入れていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者による手作業では生産性の向上に限界があり、人件費の上昇に伴い生産コストが上昇するという課題があった。また、作業者を確保しなければ、生産が停止することになる。更に、多数の袋入具材の中から一つずつ袋入具材を取り出すことができる装置が提供されているが、チャックミスなどが生じることは避けがたく、確実に連続して袋入具材を供給することは不可能であった。このため、このような連続供給の信頼性が低い装置を最終工程に配設するのは、不良品の発生の原因になり、好ましくない。
【0006】
また、カップ状容器の内径と、袋入具材の袋の対角寸法がほぼ同じである場合、袋入具材をカップ状容器のほぼ中央部に入れなければ袋の端部がカップからはみ出して蓋をすることができなくなるため、具材を容器に入れる作業性が低下するという課題もあった。さらに、袋入具材の外観形状は正方形に限らず、長方形をしているものもあり、供給されてきた袋入具材がどのような方向を向いているか、どのような位置にあるのか、一定していない。このため、供給されてきた袋入具材を移送するとき、移送ミスが生ずる原因となっていた。
【0007】
そこで、本発明者らはいわゆるカップ麺の製造において、カップ状容器の中に袋入具材を確実に過不足なく入れるとともに、容器から食み出ないように供給することのできる供給装置を得るために鋭意研究と検討を重ねた結果、ランダムに供給されてきた袋入具材をほぼ一定の位置に留めることができる位置決め部材を想到するに至った。なお、本発明の位置決め部材は、カップ麺の袋入具材以外にも、ある程度の大きさを有するほぼ定型の食品や袋入り調味料等のほぼ定型の加工食品(以下、加工食品とはこれらのものを言う)であれば、これを容器に装填する際に広く適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る位置決め部材は、シュートの下部に配置され、前記シュートに沿って滑り落ちてきた加工食品を内壁で位置決めする受け部材を備え、該受け部材の内壁が円周状に構成され、且つ該円周状の内壁の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成されている。
【0009】
本発明は、シュートに沿って滑り落ちて来た加工食品の所定位置を保持して移送する移送装置に、前記加工食品を位置決めして供給するための位置決め部材であって、前記シュートの下部に配置され、前記シュートを滑り落ちた前記加工食品を内壁で位置決めする受け部材を備え、該受け部材の内壁は円周状に構成され、且つ該円周状の内壁の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成され、前記移送装置が前記加工食品を保持する位置に、前記円周状の内壁の円周中心を略一致させたことを特徴とする。
【0010】
更に、本発明に係る位置決め部材は、前記受け部材の内壁が中心角約180°以上の円周状に構成されている。
【0011】
更に、本発明に係る位置決め部材は、前記円周状の内壁の直径が、前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径の約80%から約120%に相当する長さである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る位置決め部材は、その内壁が円周状に構成され、且つ円周状の内壁の直径が加工食品のほぼ対角線の長さで構成されているため、内壁は加工食品の外接円の一部をなすことになる。したがって、加工食品が内壁にほぼ接して停止させられることにより、加工食品の中心は内壁円周の中心点とほぼ一致して一定の位置になり、位置決めが簡単に実現できることになる。特に、移送装置が加工食品を保持する位置に、円周状の内壁を構成する円の中心を一致させた場合、加工食品がどのような向きに向いていても、この中心が受け部において常にほぼ一定の位置にくることになるので、容器に載置された加工食品が、同容器からはみ出てしまうこともなくなり、安定供給が実現できる。
【0013】
即ち、シュートに沿って導かれてきた加工食品は任意の方向を向いており、受け部材の内壁に衝突して受け止められた加工食品は通常、2つの角部が内壁に接して停止させられる。加工食品は通常、平面形状が正方形や長方形をしているため、円周状の内壁に少なくとも2つの角部が接した加工食品とその内壁とは外接円の関係にあり、加工食品の中心は内壁に対して一定の位置になる。なお、加工食品の平面形状が正方形や長方形以外の4角形である場合、その4角形にほぼ外接する外接円を有するときは、本発明に係る位置決め部材を適用し得る。また同様に、加工食品の平面形状が三角形や円である場合は、外接円を有することから、本発明に係る位置決め部材を適用し得る。さらに、加工食品の平面形状が5角形以上の多角形である場合は、同様にその多角形にほぼ外接する外接円を有するときは、本発明に係る位置決め部材を適用し得る。
【0014】
更に、本発明に係る位置決め部材は、受け部材の内壁が中心角約180°以上の円周状に構成されているので、シュートに沿って任意の向きで送られてきた加工食品の角部は、中心角約180°以上の円周状の内壁に対して少なくとも2か所が接し得ることになり、安定性が増すことになる。
【0015】
更に、本発明に係る位置決め部材は、円周状の内壁の直径が、加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径の約80%から約120%に相当する長さとしている。このように設定することにより、袋入具材を円周(円弧)状の内壁を有する受け部材に対して安定して袋入具材の中心をほぼ同じ位置に置くことが可能となる。
【0016】
この理由は次の通りである。すなわち、加工食品が円周状の内壁に接して停止する場合には、内壁の直径は加工食品の外接円の直径で設定されるのが好ましい。ところが、シュートに導かれて送られてきた加工食品が内壁に衝突してバウンドし、内壁の内面と加工食品の角部との間に隙間ができる場合には、内壁の直径は加工食品の外接円の直径より長く設定されるのが好ましい。また、袋などに収納された加工食品が内壁に衝突して角部が折れ曲がった状態で内壁に接して停止する場合には、内壁の直径は加工食品の外接円の直径より短く設定されるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、食品供給装置を用いた袋入具材の供給例を述べた上で、本発明の実施形態に係る位置決め部材について説明する。
【0018】
図1に示すように、袋10に具材12が収納された袋入具材14をカップ状容器16の中に供給する食品供給装置18は、食品個毎供給手段20、副装置22及び主装置24を備えて構成されている。食品個毎供給手段20は多数の袋入具材14の中から適宜任意に袋入具材14を取り出して、個毎に供給することができる装置であれば特に限定されない。たとえば食品個毎供給手段20として、ホッパーの中に投入された多数の袋入具材14を振動式あるいは無振動式のフィーダーによって整列させて1つずつ供給する装置や、整列させられた袋入具材14をたとえばバキューム式の吸着部で吸着して、ロボットアームにより1つずつ供給する装置、あるいは連結させられた袋入具材14をリールなどに巻取っておき、それから繰り出された袋入具材14を1つずつ切り離して供給する装置など、種々の装置を用いることができる。なお、袋入具材14の食品個毎供給手段20として適切な装置がない場合には、作業者が袋入具材14を副装置22の副シュート26に適宜投入することも可能である。
【0019】
食品個毎供給手段20から1つずつ供給される袋入具材14は副装置22の副シュート26の上部から投入される。この副装置22は、袋入具材14が導かれる副シュート26と、その副シュート26上の複数箇所に配設され、副シュート26に導かれる袋入具材14を留置する副開閉手段28と、個々の副開閉手段28を開閉させる副駆動手段30と、各副開閉手段28に袋入具材14が留置されているか否かを検出し、上流側の副開閉手段28を作動させる信号を副駆動手段30に送る副センサー32とを備えて構成されている。副シュート26は通常、直線状に形成されるのが好ましいが、設置場所などの関係から湾曲させることも可能である。また、副シュート26は、袋入具材14が副シュート26に導かれて迅速に滑り落ち、且つ袋入具材14が軽いときであっても、空気抵抗で舞い上がることのない、最適な角度たとえば45〜75度に設置される。この副シュート26の角度は、袋入具材14の形状や重量などに対応させて、適宜任意に変更し得るように構成されるのが好ましい。
【0020】
副シュート26上の複数箇所には副開閉手段28が好ましくは等間隔に配設されていて、この副開閉手段28は副シュート26に導かれてきた袋入具材14を留置するために用いられる。副開閉手段28は図2に示すように、駆動軸34の周りを回動させられるプレート36を備えて構成されていて、副駆動手段30によって開閉駆動させられる。副開閉手段28は常時「閉」の状態にあり、副駆動手段30によって「開」の状態にされるか、あるいは、副開閉手段28は常時「開」の状態にあり、副駆動手段30によって「閉」の状態にされるか、あるいは、副開閉手段28は副センサー32からの信号に基づいて「開」又は「閉」のいずれかの状態にされる。副開閉手段28のプレート36は副駆動手段30の駆動力によって常時「閉」又は「開」の状態に維持されていてもよいが、その他、バネなどの付勢手段によって「閉」又は「開」の状態にされ、副センサー32からの信号に基づいて副駆動手段30の駆動力により、プレート36は「開」又は「閉」の位置に回動させられる。この副駆動手段30として、たとえばエアー圧を用いたロータリーアクチュエーターや、モーター、電磁ソレノイドなどを用いて構成することができる。
【0021】
また、副シュート26上の複数箇所に配設された各副開閉手段28の近傍部には、その副開閉手段28に袋入具材14が留置されているか否かを検出する副センサー32が配設されている。副センサー32の種類は特に限定されないが、具材が香辛料などの場合は非常に軽く且つ形状が小さいものとなるため、接触式よりも光などを用いた非接触式のものが好ましい。また、光センサーの場合、光透過型又は光反射型のいずれであってもよい。さらに、袋入具材14の袋10に金属箔を付着させたり、あるいは金属粉入りのインクで文字などを印刷しておくなどし、たとえば磁気センサーなどでその金属を検出するなど、各種の検出手段を使用することができる。副センサー32の配設位置は、その種類に対応させて適切に選定される。副センサー32は副開閉手段28に袋入具材14が留置されているか否かを検出し、袋入具材14が留置されていないとき、上流側の副開閉手段28を開作動させる信号を副駆動手段30に送るように構成されるか、あるいは袋入具材14が留置されたとき、上流側の副開閉手段28を閉作動させる信号を副駆動手段30に送るように構成されるか、あるいはさらに袋入具材14の有無を常に検出し、その検出信号に基づいて上流側の副開閉手段28を閉又は開作動させるように副駆動手段30を制御するように構成される。
【0022】
したがって、図1に示す副装置22の副シュート26の下流側から、副センサー32を321,322,…,32xとし、同様に副開閉手段28を281,282,…,28x、副駆動手段30を301,302,…,30xとすると、当初は袋入具材14が留置されていないため、副センサー321は上流側の副開閉手段282を開作動させる信号を副駆動手段302に送り、副開閉手段282を「開」の状態にする。そして、同様に作動させられて、副開閉手段281を除く全ての副開閉手段28が「開」の状態になる。次に、袋入具材14が一つずつ供給されてきて、副開閉手段281に袋入具材14が留置されると、上流側の副駆動手段302への開作動させる信号が停止し、副開閉手段282が閉じる。以下同様にして、副開閉手段282に袋入具材14が留置されると、更に上流側の副開閉手段283が閉じ、順次全ての副開閉手段28に袋入具材14が留置されることになる。なお、最上流の副開閉手段28xに袋入具材14が留置させられた時、副センサー32xからの信号に基づき、食品個毎供給手段20が停止させられる。
【0023】
一方、最下流の副開閉手段281が開いて、袋入具材14を次に供給した結果、副開閉手段281に袋入具材14がなくなった時、副センサー321は上流側の副開閉手段282を開作動させる信号を副駆動手段302に送り、副開閉手段282を開にして袋入具材14を副開閉手段281に供給する。そして、同様にして順次、袋入具材14を一つずつ下流側に供給して補充するのである。この副装置22の副シュート26の最下流部及び上流部には、主装置24のシュート48に袋入具材14を供給するバイパス40,42が設けられている。バイパス40,42は副シュート26の床面の一部が駆動手段44,46によって開閉させられるように構成され、これら駆動手段44,46は主装置24からの信号に基づいて作動させられる。
【0024】
次に、主装置24は上述の副装置22とほぼ同様に構成されている。すなわち、主装置24は、副シュート26の最下流部又は上流部から袋入具材14が導かれるシュート48と、そのシュート48上の複数箇所に配設され、シュート48に導かれる袋入具材14を留置する開閉手段50と、これら個々の開閉手段50を開閉させる駆動手段52と、各開閉手段50に袋入具材14が留置されているか否かを検出し、上流側の開閉手段50を作動させる信号を駆動手段52に送るセンサー54と、シュート48の下部に配設され、導かれてきた袋入具材14をカップ状容器16に供給する第1の供給装置56と第2の供給装置58を備えて構成されている。これら各構成要素のうちシュート48、開閉手段50、駆動手段52及びセンサー54の構成及び作動は前述の副装置22と同様であり、説明を省略する。
【0025】
次に、第1の供給装置56は図3に拡大して示すように、シュート48の下部に垂直下方向に延び、カップ状容器16に対して位置決めするガイド部60と、そのガイド部60の下端部に袋入具材14を留置する投入開閉手段61と、その投入開閉手段61を開閉させる駆動手段62とを備えて構成されている。ガイド部60は筒状を成しているのが好ましい。また、投入開閉手段61は観音開き式の扉63とその扉63の両側にガイド板64を備えて構成され、2枚の扉63はそれぞれの合わせ面側を下に傾斜させて配設されている。したがって、ガイド部60の上部から落下させられてきた袋入具材14は、投入開閉手段61の2枚の扉63の内側に当接した後、扉63の傾斜に沿って中央部側に寄ることになる。そして、扉63が開けられたとき、袋入具材14はカップ状容器16の中央部側に投入されることになる。なお、袋入具材14がカップ状容器16に投入されるとき、袋入具材14はガイド板64により余所へ飛び出るのが防止される。
【0026】
投入開閉手段61の扉63を開閉させる駆動手段62は、順次一定の速度で送られてくるカップ状容器16のスピードに合わせて、一定の間隔で駆動させられ、扉63を開いて袋入具材14を落下させた後、扉63は自動的に閉じられる。一方、この第1の供給装置56への袋入具材14の供給は、シュート48の下部に設けられたバイパス66が駆動手段67によって開駆動させられることにより、シュート48上の袋入具材14が投入される。この駆動手段67についても、カップ状容器16のスピードに合わせ、且つ投入開閉手段61の駆動手段62と連動させて一定の間隔で駆動させられるのが好ましい。すなわち、シュート48に導かれてきた袋入具材14は最下流の開閉手段501に留置された後、バイパス66が駆動手段67によって開駆動させられ、袋入具材14は投入開閉手段61に落下させられ、更に一定間隔で開閉させられる投入開閉手段61からカップ状容器16に投入される。
【0027】
なお、投入開閉手段61を開作動させる信号を駆動手段62に送るセンサーを設け、カップ状容器16が投入開閉手段61の適切な位置に来たのを検出した時、扉63を開けるように構成することも可能である。また、投入開閉手段61に留置されていた袋入具材14がカップ状容器16に投入されるとともに、投入開閉手段61の扉63が閉じられたことをセンサーで検出し、その信号によりバイパス66の駆動手段67を開駆動させるように構成することも可能である。
【0028】
次に、第2の供給装置58は、シュート48の下部に袋入具材14をほぼ一定の位置に収容し得る受け部68を備えるとともに、その受け部68に載置された袋入具材14のほぼ所定位置を保持しつつ搬送して、袋入具材14をカップ状容器16のほぼ中央部に載置する移送装置70(図4参照)とを少なくとも備えて構成される。この第2の供給装置58は、袋入具材14の大きさが大きく、その対角の長さがカップ状容器16の内径より若干小さい程度であるか、逆に若干長い場合に、第1の供給装置56に代えて用いられる。
【0029】
この第2の供給装置58の受け部68は、シュート48によって導かれてきた袋入具材14をほぼ一定の位置に留めることができるものであり、一方、移送装置70は図4に示すように、受け部68に載置された袋入具材14のほぼ所定位置を保持しつつ搬送して、袋入具材14をカップ状容器16のほぼ中央部に載置することができる装置であれば、特に限定されない。より具体的には、移送装置70は、一定間隔に配置された受け部68とカップ状容器16との間を往復させられるとともに、それぞれの位置で上下動させられるたとえばロボットのアーム71と、エアーを吸引して袋入具材14を吸着するとともに大気圧にするかあるいはエアーを吹き込んで袋入具材14を離すことができる吸盤72とを備えて構成することができる。
【0030】
この構成の第2の供給装置58によれば、シュート48に導かれて供給されてきた袋入具材14は一旦、受け部68に載置される。その後、その袋入具材14を移送装置70の吸盤72により吸着してカップ状容器16の上に移送した後、袋入具材14を吸盤72から離してカップ状容器16の中に入れるのである。このとき、袋入具材14の対角の長さがカップ状容器16の内径より若干小さい程度である場合、袋入具材14の袋10の角部がカップ状容器16から食み出すことがあり、あるいは逆に若干長い場合は、袋入具材14の袋10の角部がカップ状容器16から食み出すことになるが、このような場合、袋入具材14を移送装置70によりカップ状容器16の中に押し込むように設定することにより、袋入具材14をカップ状容器16の中に収納することができる。この作動を繰り返して、一つずつ袋入具材14をカップ状容器16の中に確実に供給することができる。
【0031】
この作動において、移送装置70はカップ状容器16の送り速度と連動させて単能的に受け部68とカップ状容器16の2点間を往復作動する装置として構成することができる。このとき、シュート48の最下流に位置する開閉手段501を移送装置70と連動させて一定間隔で開閉させ、袋入具材14を一定間隔で供給するように構成するのが好ましい。なお、受け部68に、シュート48の最下部の開閉手段501を開作動させる信号をその駆動手段521に送るセンサーを設けることも可能であり、そのセンサーからの信号に基づいて開閉手段501を作動させて袋入具材14を一つずつ供給するようにしてもよい。
【0032】
ここで、シュート48に沿って導かれてきた袋入具材14は任意の方向を向いて受け部68に載置されることになる。袋入具材14がどのような方向に向いている場合であっても、移送装置70によって常に袋入具材14をカップ状容器16のほぼ中央に入れるためには、袋入具材14の中心が受け部68において常にほぼ一定の位置にくることが必要である。そこで、袋入具材14の平面形状が正方形や長方形の場合は、図5に示すように、受け部68は、袋入具材14の対角線の長さ(袋入具材14の平面形状に外接する外接円の直径)より約1〜2割短い長さ乃至対角線の長さより約1〜2割長い長さをほぼ直径とする円弧状の内壁74を備えて構成されるのが好ましい。すなわち、袋入具材14が内壁74に接して停止する場合は、内壁74の内径は袋入具材14の対角の長さで構成されるのが好ましいが、袋入具材14が内壁74に当接した後、バウンドして内壁74から離れて停止する場合は、内壁74の内径は袋入具材14の対角線の長さより約1〜2割長い長さで構成されるのが好ましい。また、袋入具材14の袋10の角部が内壁74に当接した結果若干折れ曲がる場合は、内壁74を袋入具材14の対角線の長さより約1〜2割短い長さを直径として構成するのが好ましい。したがって、内壁の内径は予め実験などによって決定するのが好ましい。
【0033】
この構成により、シュート48を滑り落ちてきた袋入具材14の隣合う2つの角が内壁74に当接したとき、袋入具材14がどのような向きに向いていても、袋入具材14の中心Sが受け部68において常にほぼ一定の位置にくることになる。したがって、袋入具材14の中心Sを吸盤72で吸着するように設定すれば、吸着ミスが生ずることはなく、しかも袋入具材14の端部がカップ状容器16からはみ出てしまうこともなくなり、安定供給が実現できる。
【0034】
なお、図6(a)に示すように、袋入具材14の平面形状が正方形や長方形以外の外接円を有する4角形たとえば台形である場合、その外接円の中心Sが4角形(袋入具材14)の内側にあれば、受け部68に留置された袋入具材14の中心Sを吸盤72で吸着するように設定すれば、吸着ミスが生ずることはなく、しかも袋入具材14の端部がカップ状容器16からはみ出てしまうこともなくなる。また同様に、同図(b)に示すように、袋入具材14の平面形状が三角形である場合、その三角形の外接円の中心Sが加工食品の内側にあれば、受け部68に留置された袋入具材14の中心Sを吸盤72で吸着するように設定すれば、吸着ミスが生ずることはなく、しかも袋入具材14の端部がカップ状容器16からはみ出てしまうこともなくなる。さらに図示を省略するが、袋入具材14の平面形状が円形や外接円を有する5角形以上の多角形である場合も、同様に袋入具材14の中心Sを吸盤72で吸着するように設定すれば、吸着ミスが生ずることはなく、しかも袋入具材14の端部がカップ状容器16からはみ出てしまうこともなくなる。
【0035】
以上、食品供給装置18の各構成を作動とともに説明したが、この食品供給装置18の全体としての作動は種々設定することができ、種々設定できる作動の全てを個別に説明することができないが、次にその1例を説明する。図1において、袋入具材14の大きさがカップ状容器16の内径と比較して充分小さい場合には、第1の供給装置56が用いられ、袋入具材14の大きさが大きく、その対角の長さがカップ状容器16の内径より若干小さい程度か又は若干大きい程度である場合には、第1の供給装置56に替えて第2の供給装置58が用いられる。
【0036】
ここで、この食品供給装置18によって供給される具材12は、粉末スープや液体スープ、オイル、香辛料あるいは乾燥ねぎなどの不定形の具材だけでなく、天麩羅などの塊をなす定型の具材であってもよく、これらはそれぞれの特性に適合した袋10に収納されている。ただし、天麩羅などの塊をなす定型の具材は、必ずしも袋10に収納されていなくとも本発明は適用可能である。袋10は透明な樹脂フィルムからラミネートフィルムなどであってもよく、特に限定されない。袋10には、1種類の具材12又は2種類以上の具材12が混ぜ合わされて1つに収納されたり、あるいは2種類以上の具材12がそれぞれ個別に収納されるとともに連結されて、全体として1つの袋入具材14をなすように構成されている。1つの食品供給装置18によって供給される袋入具材14は1種類のみであって、他の種類の袋入具材14を供給する場合は、食品供給装置18が別途用意され、袋入具材14の種類の数だけ食品供給装置18が並べられて用いられるのが好ましい。
【0037】
まず、第1の供給装置56が用いられる場合について説明する。食品供給装置18の主装置24及び副装置22のいずれの副開閉手段28及び開閉手段50にも袋入具材14が留置されていない場合、副装置22のバイパス42が開けられて、袋入具材14が副装置22から直ちに主装置24側へ供給されるように設定されるとともに、他のバイパス40,66は閉じられる。そして、主装置24の最下流の開閉手段501及び副装置22の最下流の副開閉手段281は袋入具材14を留置し得るように閉じられ、これらを除く全ての副開閉手段28,開閉手段50は「開」の状態にされる。
【0038】
この状態で食品個毎供給手段20を作動させて袋入具材14を一つずつ供給し、副装置22の副シュート26の最上流部に投入する。投入された袋入具材14は副装置22のバイパス42を通って主装置24のシュート48を滑り落ち、最下流部の開閉手段501 に留置される。このとき、その位置にあるセンサー541が袋入具材14を検出して、その上流側の開閉手段502を閉じさせる。以後、同様にして、袋入具材14を留置する毎にその上流側の開閉手段50が閉じていき、主装置24の最上流の開閉手段50Yが袋入具材14を留置したことをセンサー54Yが検出した時、副装置22のバイパス42が閉じられる。次いで、副装置22の最下流の副開閉手段281に袋入具材14が留置された時、同様にその位置にある副センサー321が袋入具材14を検出し、その上流側の副開閉手段282を閉じる。以後、副装置22の最上流側の副開閉手段28Xに袋入具材14が留置された時、副センサー32Xからの信号に基づき、食品個毎供給手段20の作動が停止させられる。
【0039】
次に、カップ状容器16への供給が開始させられ、主装置24の最下流側にあるバイパス66が開けられると、袋入具材14が第1の供給装置56の中に落下し、扉63の内側に止め置かれる。そして、第1の供給装置56がカップ状容器16の真上にきたとき、設定されたタイミングに合わせて扉63が開けられ、袋入具材14がカップ状容器16の中に入れられる。一方、バイパス66が開けられて袋入具材14が第1の供給装置56の中に落下させられた後、バイパス66は直ちに閉じられるが、その箇所の開閉手段501 に袋入具材14が留置されていないことをセンサー541が検出して、その上流側の開閉手段502を開作動させて、袋入具材14を下流側へ送る。以下同様にして、主装置24内の袋入具材14が順送りされ、最上流の開閉手段50Yから袋入具材14が送られた時、センサー54Y からの信号に基づき副装置22のバイパス42が開けられ、副装置22の副開閉手段28に留置されていた袋入具材14が主装置24の開閉手段50Yに送られる。更に続いて、袋入具材14が次のカップ状容器16に供給されると、順送りされた後、副装置22の最上流の副開閉手段28Xが開けられ、袋入具材14がバイパス42を介して主装置24の開閉手段50Yに送られる。また、副装置22の最上流の副開閉手段28X に袋入具材14がなくなった時、あるいは副装置22の上流側の数個分の副開閉手段28から袋入具材14がなくなった時、あるいは副装置22の全ての副開閉手段28から袋入具材14がなくなった時、食品個毎供給手段20が作動させられ、袋入具材14が副装置22の副開閉手段28に供給される。食品個毎供給手段20はカップ状容器16の送り速度と比較して、過供給に作動させられていて、副装置22が作動しないように設定されていてもよく、少なくとも主装置24の全ての開閉手段50から袋入具材14がなくならないように作動させられるのが好ましい。
【0040】
この作動状態において、食品個毎供給手段20における袋入具材14の供給がトラブルによって停止してしまったり、供給量が大幅に減少してしまうなどの結果、主装置24内に留置されている袋入具材14が減少し、開閉手段50nと開閉手段50n-1の両方の袋入具材14がなくなったとき、両開閉手段50n及び50n-1の間にある副装置22のバイパス40が開けられ、副装置22に留置されていた袋入具材14が順次供給される。副装置22から袋入具材14が供給されている間に、主装置24の開閉手段50nより上流側の開閉手段50に食品個毎供給手段20から供給されてきた袋入具材14が一つずつ留置されることになる。そして、副装置22に留置されていた袋入具材14が全て供給された時、副装置22のバイパス40が閉じられるとともに、主装置24の開閉手段50nより上流側の開閉手段50に留置された袋入具材14が順次下流側へ供給される。また、主装置24により袋入具材14を供給しているとき、食品個毎供給手段20からの供給量は過供給に設定されているため、主装置24への供給がオーバーしてしまうことがある。このときは、副装置22のバイパス42が適宜閉じられ、副装置22の副開閉手段28に袋入具材14が順次留置されるとともに、主装置24の開閉手段50にも袋入具材14が順次留置される。全ての副開閉手段28,開閉手段50に袋入具材14を留置した後は、食品個毎供給手段20は一時的に停止させられ、カップ状容器16に袋入具材14を供給する毎に適宜作動させられる。
【0041】
以上の作動の説明から明らかなように、食品個毎供給手段20における袋入具材14の供給が何らかの理由により停止したり、供給量が減少してしまっても、主装置24及び副装置22から袋入具材14が順次供給されることにより、カップ状容器16への供給は安定し、且つ確実に一つずつ入れることができる。したがって、製造ラインが停止させられることはなくなり、また、袋入具材14の入っていない不良品が発生することもなくなる。
【0042】
次に、第2の供給装置58が用いられる場合について説明する。この第2の供給装置58は第1の供給装置56に代えて、特に袋入具材14の外径が大きく、カップ状容器16の内径より若干小さい程度であるか、逆に若干大きい程度である場合に用いられる。この第2の供給装置58を用いる場合の作動は、前述の第1の供給装置56を用いる場合の作動とほとんど同じであり、異なる点は、主装置24の最下流部のバイパス66が常に閉じた状態にされる代わりに、開閉手段501が作動させられることにある。そして、第2の供給装置58の受け部68に載せられた袋入具材14の中心はほぼ一定の位置にくるため、移送装置70は確実に袋入具材14を保持して移送し、カップ状容器16の中心部に入れることができる。
【0043】
以上、食品供給装置の形態を作動とともに説明したが、本発明は上述の形態に限定されるものではない。たとえば、図7に示すように、食品供給装置76を主装置78のみによって構成することも可能である。本例のように副装置を主装置78に取り付けない場合であっても、食品個毎供給手段20が比較的安定してほぼ連続的に袋入具材14を供給してくるときは、カップ状容器16に袋入具材14を確実に一つずつ連続して供給することが可能となる。
【0044】
また、食品個毎供給手段20による袋入具材14の供給が安定していない場合などにおいては、たとえば図8に示すように、主装置78に対して第1の副装置80と第2の副装置81を積み重ねて食品供給装置82を構成し、留置しておく袋入具材14の個数を増やすようにするのが好ましい。食品供給装置82に留置されている袋入具材14の個数が多ければ、たとえ長時間にわたって食品個毎供給手段20による供給が停止してしまったとしても、袋入具材14をカップ状容器16に連続して供給することができ、製造ラインを停止させることがなく、生産性を向上させることができる。
【0045】
この図8に示す食品供給装置82において、主装置78は前述の主装置24と全く同じ構成でよく、更に第1の副装置80及び第2の副装置81も前述の副装置22と全く同じ構成であってもよい。ただし、図8に示すように、主装置78に対して取り付けられた第1の副装置80及び第2の副装置81の最下流部に設けられるバイパス83は固定式であってもよい。最下流のそれぞれの開閉手段841,851を開閉させることにより、第1の副装置80から主装置78へ、第2の副装置81から第1の副装置80を介して主装置78へ、袋入具材14を供給することができる。
【0046】
また、図9に示すように、第1の副装置80及び第2の副装置81の最下流部に設けられるバイパス83がそれぞれ直接、主装置78に接続され、第2の副装置81から第1の副装置80を介さずに直接、袋入具材14を主装置78に供給するように構成することも可能である。本例によれば、第2の副装置81から主装置78へ袋入具材14を供給するタイミングを速くすることができる。
【0047】
更に、上述の副装置を1又は複数配設した各種の食品供給装置において、食品個毎供給手段20から袋入具材14を供給したとき、通常は袋入具材14が最短で主装置へ供給されるように流されるのが好ましいが、主装置及び副装置の区別なくランダムに袋入具材14を供給するとともに、これら主装置及び副装置に留置された袋入具材14から供給されるように構成することも可能である。たとえば、1又は複数の副装置の全てから袋入具材14がなくなったときに、食品個毎供給手段20を作動させるように構成したり、あるいは予め設定された一定個数の袋入具材14が副装置から減ったときに、食品個毎供給手段20を作動させるように構成することができる。また、主装置又は副装置の区別がなく、それらに留置されている袋入具材14をランダムに取り出して供給する一方、食品個毎供給手段20から適宜袋入具材14の供給を受けるように構成することも可能である。このように構成すれば、副装置に留置されている袋入具材14が常に新しいものと置き代わり、品質保証上好ましい。すなわち、主装置及び副装置への袋入具材14の補充と、これら主装置及び副装置からの袋入具材14の供給に、規則性があってもなくてもよく、その制御方法は何ら限定されない。
【0048】
以上、全体構成について他の実施形態を示したが、各構成要素についても上述の形態に何ら限定されるものではない。たとえば、図10に示すように、開閉手段86をシュート87の両側面に回動軸を有する観音開き式の扉88、あるいはシュート87の片側面に回動軸を有する片開き式の扉で構成し、扉88を図示しない駆動手段で開閉させるように構成することも可能である。
【0049】
また、図11に示すように、シュート87の底面から突出させられる1又は複数の棒状部材89によって開閉手段90を構成することも可能である。この棒状部材89を図示しない駆動手段によりシュート87の上面に突出させたり、あるいは引っ込めたりすることによって、その開閉手段90に袋入具材を留置させたり、あるいは供給したりすることができる。
【0050】
その他、開閉手段と、その開閉手段を駆動する駆動手段の各構成は種々設定することが可能である。また、シュートの角度や形状,構造なども限定されるものではなく、シュートを筒状に構成する場合は、シュートを鉛直方向に立設させることも可能である。
【0051】
更に、上述の第2の供給装置58における受け部68は水平方向に配設される必要は必ずしもなく、たとえばシュートの傾きと同じ傾きに配設されていてもよい。また、受け部68の底部にたとえば開閉扉を設け、受け部68によって位置決めされた袋入具材14をカップ状容器16に落下させて供給したり、あるいは受け部68を反転させるように構成し、受け部68に位置決めされた袋入具材14を、受け部68を反転させることによって落下させて供給するように構成することも可能である。第1の供給装置56と第2の供給装置58は両方とも配設されていてもよいが、いずれか一方のみであってもよく、更に、これら第1の供給装置56と第2の供給装置58は適宜取り付け又は取外しが可能に構成されていてもよいなど限定されない。これら第1の供給装置56又は第2の供給装置58は、袋入具材14の大きさ等に対応させて適切な形状や大きさで形成するのが好ましく、袋入具材14に応じて適切なものに交換するのが好ましい。
【0052】
上述の第2の供給装置58において、受け部68として機能していた部分を独立した位置決め部材として構成することも可能である。すなわち、シュートの下端部に設置され、そのシュートに沿って滑り落ちてきた袋入具材を内壁で受け止める位置決め部材であって、受け部材の内壁が円周状に構成され、且つその円周状の内壁の直径が袋入具材の平面形状にほぼ外接する円の直径で位置決め部材を構成するのである。シュートに沿って導かれてきた袋入具材は任意の方向を向いており、受け部材の内壁に衝突して受け止められた袋入具材は通常、2つの角部が内壁に接して停止させられる。袋入具材の平面形状が正方形や長方形、あるいはその他の外接円を有する4角形や5角形以上の多角形、さらには3角形をしている場合、円周状の内壁に少なくとも2つの角部が接したとき、その内壁円周は袋入具材の外接円の関係にあり、袋入具材の中心は内壁円周(袋入具材の外接円)の中心点にほぼ一致して一定の位置になる。また、袋入具材の平面形状が円形である場合、その円に外接する円周で形成された内壁に袋入具材の外周が接触したとき、袋入具材の中心は内壁円周の中心点にほぼ一致して一定の位置になる。
【0053】
また、この位置決め部材において、受け部材の内壁を中心角約180°以上の円周状に構成するのが好ましい。袋入具材の平面形状が3角形や外接円を有する4角形以上の多角形である場合、シュートに沿って任意の向きで送られてきた袋入具材の角部は、円周状の内壁の中心角が少なくとも180°あれば、その内壁に対して少なくとも2か所が接し得ることになる。したがって、受け部材の内壁の中心角は誤差などを含めて少なくとも約180°あれば足りるが、内壁を約180°以上の中心角で構成することも可能である。
【0054】
たとえば、図12に示すように、位置決め部材92における受け部材94の内壁96を180°以上の角度で構成することができる。この実施形態においては、袋入具材14を導くシュート部98の幅は袋入具材14の短辺の長さ以上で形成される。このように構成すれば、袋入具材14の角部が3か所以上、内壁96に接触することがあり、安定性が増す。
【0055】
また、図13に示すように、位置決め部材92における受け部材94の内壁96をシュート部98の底面側に設け、内壁96の中心角を360°で構成することができる。この実施形態においては、シュート部98を導かれてきた袋入具材14は受け部材94に落ち込み、内壁96にほぼ全ての角部を接触させて、位置決めされるため、より一層、安定性が増すことになる。更に同様に、図14に示すように、位置決め部材92における受け部材94の内壁96をシュート部98の底面側に設けるとともにテーパー状に形成し、その内壁96の中心角を360°で構成することができる。この実施形態においては、テーパー状の内壁96の最底部の直径が袋入具材14の外接円のほぼ直径とされる。テーパー状の内壁96を袋入具材14が滑り落ちるときに、位置決めがされることになる。なお、上述の位置決め部材92として説明した形態はそのまま、第2の供給装置58における受け部68として構成することも可能であることは言うまでもない。
【0056】
更に、この位置決め部材において、円周状の内壁の直径である袋入具材のほぼ対角線の長さを、袋入具材の対角線の長さの約80%から約120%に相当する長さで形成するのが好ましい。すなわち、袋入具材が円周状の内壁に接して停止する場合には、内壁の直径は袋入具材の対角線の長さで設定されるのが好ましい。ところが、シュートに導かれて送られてきた袋入具材が内壁に衝突してバウンドし、内壁の内面と袋入具材の角部との間に隙間ができる場合には、内壁の直径は袋入具材の対角線の長さより長く設定されるのが好ましい。また、袋入具材が内壁に衝突して角部が折れ曲がった状態で内壁に接して停止する場合には、内壁の直径は袋入具材の対角線の長さより短く設定されるのが好ましい。このように設定することにより、袋入具材を円周(円弧)状の内壁を有する受け部材に対して安定して袋入具材の中心をほぼ同じ位置に置くことが可能となる。
【0057】
以上に説明した食品供給装置は、多数の袋入具材の中から一つずつ袋入具材を取り出して順に並べて留置した後、その留置された袋入具材から一つずつ取り出してカップ状容器の中に供給するとともに、留置される袋入具材を順次補充することができる装置であればよい。
【0058】
また、上述の本発明の実施形態の説明において、袋入具材を例にして説明したが、本発明の位置決め部材はいずれも袋入具材に限定されるものではない。たとえば、袋に収納されていない具材であっても、ある程度の大きさと強度、さらにほぼ定形の形状を有していれば適用可能である。たとえば油揚げ、蒲鉾、チャーシューなどに対してはそのまま供給し、あるいは位置決めすることができる。さらに、「具材」以外の食品であっても、所定の形状、大きさなどに加工された加工食品であれば、本発明に適用し得るものである。しかし、これらの具材、加工食品は、いずれも定型の袋に収納されている方が本発明の位置決め部材に対する適合性が良く、また衛生面においても好ましい。更に、本発明の位置決め部材はカップ状容器に加工食品を供給するだけでなく、容器一般を対象とすることができる。いずれにしても、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の位置決め部材は、カップ麺の袋入具材以外にも、ある程度の大きさを有するほぼ定型の食品や袋入り調味料等のほぼ定型の加工食品であれば、これを容器に装填する際に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る位置決め部材を取付けできる食品供給装置を説明するための説明図であり、同図(a) は袋入具材を示す拡大正面図、同図(b)は要部破砕側面図である。
【図2】図(a) は図1に示す食品供給装置の要部断面説明図であり、図(b) は同図(a)のB−B断面説明図である。
【図3】第1の供給装置を示す要部拡大断面説明図である。
【図4】第2の供給装置を示す要部拡大断面説明図である。
【図5】第2の供給装置に取付けられる本発明に係る受け部の好ましい実施形態を示す説明図であり、同図(a) は要部斜視図、同図(b) は要部平面図である。
【図6】図(a) 及び図(b) はいずれも、図2に示した第2の供給装置に取付けられる本発明に係る受け部の他の作動を説明するための要部平面説明図である。
【図7】食品供給装置の他の例を示す要部破砕側面図である。
【図8】食品供給装置の更に他の例を示す要部破砕側面図である。
【図9】食品供給装置の更に他の別例を示す要部破砕側面図である。
【図10】食品供給装置の開閉手段の他の例を示す要部拡大斜視説明図である。
【図11】食品供給装置の開閉手段の更に他の例を示す要部拡大斜視説明図である。
【図12】本発明に係る位置決め部材の他の実施形態を示す要部平面説明図である。
【図13】本発明に係る位置決め部材の更に他の実施形態を示す説明図であり、図(a)は要部平面図、図(b) は要部側面図である。
【図14】本発明に係る位置決め部材の更に他の実施形態を示す説明図であり、図(a)は要部平面図、図(b) は要部側面図である。
【符号の説明】
【0061】
14:袋入具材
16:容器
48,87:シュート
74:内壁
92:位置決め部材
94:受け部材
96:内壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュートの下部に配置され、前記シュートに沿って滑り落ちる加工食品を内壁で位置決めする受け部材を備え、該受け部材の内壁が円周状に構成され、且つ該円周状の内壁の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成されていることを特徴とする位置決め部材。
【請求項2】
シュートに沿って滑り落ちて来た加工食品の所定位置を保持して移送する移送装置に、前記加工食品を位置決めして供給するための位置決め部材であって、
前記シュートの下部に配置され、前記シュートを滑り落ちた前記加工食品を内壁で位置決めする受け部材を備え、該受け部材の内壁は円周状に構成され、且つ該円周状の内壁の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成され、前記移送装置が前記加工食品を保持する位置に、前記円周状の内壁の円周中心を略一致させたことを特徴とする位置決め部材。
【請求項3】
前記受け部材の内壁が中心角約180°以上の円周状に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する位置決め部材。
【請求項4】
前記円周状の内壁の直径が、前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径の約80%から約120%に相当する長さであることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載する位置決め部材。
【請求項1】
シュートの下部に配置され、前記シュートに沿って滑り落ちる加工食品を内壁で位置決めする受け部材を備え、該受け部材の内壁が円周状に構成され、且つ該円周状の内壁の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成されていることを特徴とする位置決め部材。
【請求項2】
シュートに沿って滑り落ちて来た加工食品の所定位置を保持して移送する移送装置に、前記加工食品を位置決めして供給するための位置決め部材であって、
前記シュートの下部に配置され、前記シュートを滑り落ちた前記加工食品を内壁で位置決めする受け部材を備え、該受け部材の内壁は円周状に構成され、且つ該円周状の内壁の直径が前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径で構成され、前記移送装置が前記加工食品を保持する位置に、前記円周状の内壁の円周中心を略一致させたことを特徴とする位置決め部材。
【請求項3】
前記受け部材の内壁が中心角約180°以上の円周状に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する位置決め部材。
【請求項4】
前記円周状の内壁の直径が、前記加工食品の平面形状にほぼ外接する円の直径の約80%から約120%に相当する長さであることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載する位置決め部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−56605(P2006−56605A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−264335(P2005−264335)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【分割の表示】特願平10−199918の分割
【原出願日】平成10年7月15日(1998.7.15)
【出願人】(000226976)日清食品株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【分割の表示】特願平10−199918の分割
【原出願日】平成10年7月15日(1998.7.15)
【出願人】(000226976)日清食品株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
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