位置管理方法、通信システムおよび情報提供システム
【課題】移動通信端末の状態を提供する。
【解決手段】移動端末管理装置50Bは、移動通信端末1の端末識別番号と移動体2の移動体識別番号とを対応付けて記憶している。クライアント端末70が端末識別番号を位置情報サーバ60に送信すると、位置情報サーバ60は、端末識別番号に基づいて、移動端末管理装置50Bにアクセスする。移動端末管理装置50Bに移動体識別番号が記憶されている場合には、位置情報サーバ60は、利用者が乗車している旨をクライアント端末70に送信する。
【解決手段】移動端末管理装置50Bは、移動通信端末1の端末識別番号と移動体2の移動体識別番号とを対応付けて記憶している。クライアント端末70が端末識別番号を位置情報サーバ60に送信すると、位置情報サーバ60は、端末識別番号に基づいて、移動端末管理装置50Bにアクセスする。移動端末管理装置50Bに移動体識別番号が記憶されている場合には、位置情報サーバ60は、利用者が乗車している旨をクライアント端末70に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に収容される移動通信端末について、その位置登録エリア情報および位置情報を移動体の運行を管理する装置からの情報に基づいて取得する通信システムおよび位置情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、移動通信サービスにおいては、携帯電話機等の移動通信端末がどこにあっても着信できるように、位置管理装置に各移動通信端末の位置を記憶しておくのが一般的である。そして、ある移動通信端末に着信要求が発生すると、まず、位置管理装置の記憶内容を参照して、対象となる移動通信端末がどの位置登録エリアに属するかを特定する。次に、位置管理装置は、呼出要求を生成し、これを該当する位置登録エリアに属する交換局と各基地局とを介して着信先の移動通信端末に送信する。
【0003】
上述した位置管理装置に位置登録エリアを登録するには、移動通信端末が基地局から報知される位置登録エリア情報を受信して、受信した位置登録エリア情報と移動通信端末を識別するための端末識別番号との組を基地局と交換局を介して位置管理装置に送信している。
【0004】
このような位置登録の一手法として、電車等の移動体に収容される移動通信端末については、電車内の複数の移動通信端末による位置登録要求を当該電車に設置された通信装置によって代表させる技術が知られている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平11−355835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術にあっては、位置登録エリアを登録することができる通信装置を新たに電車に設置する必要がある。また、通信装置は、基地局および交換局を介して、位置管理装置に位置登録エリア情報を登録するため、移動体通信網の無線リソースを消費するといった問題があった。
【0006】
さらに、移動通信サービスでは、移動通信端末の現在位置を把握しているので、これを利用した位置情報提供サービスが行われている。この位置情報提供サービスでは、移動通信端末がどの位置登録エリアに在圏するかを知ることが可能である。
【0007】
ところで、位置登録エリアの範囲は、各基地局の配置によって定まり、ある広さを持っている。したがって、移動通信端末の位置を正確に把握することはできない。そこで、移動通信端末にGPS機能を持たせて自律的に位置情報を取得できるようにし、外部から位置情報提供システムに問い合わせがあると、移動通信端末を呼び出して、当該移動通信端末の位置情報を取得して、これを提供することも考えられる。
【0008】
しかし、利用者が移動通信端末を携帯して電車やバス等の移動体に乗車すると、移動体がトンネルなどの電波が届かない場所に移動することがある。移動通信端末の位置管理は、電波が届くことが前提となっているため、電波の届かない場所ではサービス圏外となる。
【0009】
したがって、利用者が電車等に乗車すると、位置登録エリアを取得することや、移動通信端末に対して位置情報を問い合わせることが不可能になることがあり、位置情報を提供することができないといった問題がある。
さらに、従来の位置情報提供サービスでは、現在の位置情報は提供できても将来の位置情報は提供することができないといった問題がある。
【0010】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、利用者が移動通信端末を携帯して電車やバス等の移動体に乗車した場合に、無線リソースを消費することなく位置登録エリア情報を登録する通信システムを提供することを目的とする。また、他の目的は、確実に位置情報を提供することができ、かつ、将来に位置情報も提供することが可能な位置情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明の位置管理方法は、移動体に収容される移動通信端末の位置を予め定められた位置登録エリアによって移動体通信網で管理する位置管理方法であって、前記移動通信端末は、前記移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を前記移動体通信網へ送信し、前記移動体通信網は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶し、前記移動体通信網は、前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を運行管理装置から取得すると、前記運行情報を前記位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、前記移動体通信網は、変換された位置登録エリア情報に基づいて、前記移動体に収容される前記移動通信端末の位置を管理することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、移動体通信網は、端末識別情報と移動体識別情報とを対応付けて記憶しており、運行管理装置から取得した運行情報を、位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、移動体に収容される移動通信端末の位置を管理する。したがって、移動体に特別の通信装置を設置し、通信装置がそこに収容される移動通信端末を代表して位置登録を行う必要がなく、各移動通信端末が、移動体識別情報と端末識別情報の組を移動体通信網に送信するだけよい。
【0013】
好ましい態様において、前記移動体通信網は、前記移動通信端末へ着信が発生すると、前記運行管理装置へ前記運行情報を問い合わせることを特徴とする。
【0014】
本発明は、他の観点において、移動通信端末と通信を行う移動体通信網と、移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備える通信システムに用いられる通信方法であって、前記移動通信端末は、前記移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を前記移動体通信網へ送信し、前記移動体通信網は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶し、前記移動通信端末に着信が発生すると、前記移動体通信網は、着信があった前記移動通信端末の端末識別情報に基づいて、当該端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を取得し、前記移動体通信網が取得した前記移動体識別情報を前記運行管理装置に送信すると、前記運行管理装置は受信した前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を生成し、前記運行管理装置が前記運行情報を前記移動体通信網に送信すると、前記移動体通信網は受信した前記運行情報を位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、前記移動体通信網は、当該位置登録エリア情報に基づいて着信処理を行うことを特徴とする通信方法を提供する。
【0015】
本発明は、更に他の観点において、移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網と、前記移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備えた通信システムであって、前記移動体通信網は、前記移動通信端末と通信を行う基地局と、前記基地局と通信を行う交換局と、前記交換局と通信を行う端末位置管理装置と、前記端末管理装置および前記運行管理装置と通信を行う移動体位置管理装置とを備え、前記端末位置管理装置は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶する第1記憶手段と、前記交換局から、前記端末識別情報を指定して前記移動通信端末の端末位置登録エリアを示す位置登録エリア情報について問い合わせがあると、前記端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を読み出して、読み出した移動体識別情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段と、前記移動体位置管理装置から前記移動体識別情報に対応する前記位置登録エリア情報を受信すると、当該位置登録エリア情報を前記交換局に送信する手段とを備え、前記移動体端末位置管理装置は、前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記運行管理装置へ前記移動体識別情報を送信する手段と、前記運行管理装置から前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を受信する手段と、前記運行情報を前記位置登録エリア情報に変換する手段と、前記位置登録エリア情報を前記端末位置管理装置に送信する手段とを備え、前記運行管理装置は、前記移動体端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記移動体識別情報に基づいて前記運行情報を生成する手段と、前記運行情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段とを備えることを特徴とする通信システムを提供する。
【0016】
本発明は、更に他の観点において、移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網と、前記移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備えた通信システムであって、前記移動体通信網は、前記移動通信端末と通信を行う基地局と、前記基地局と通信を行う交換局と、前記交換局と通信を行う端末位置管理装置と、前記端末管理装置および前記運行管理装置と通信を行う移動体位置管理装置とを備え、前記運行管理装置は、前記移動体の運行状況に変化があると当該移動体の運行状況を示す運行情報を生成する手段と、前記移動体の前記移動体識別情報と前記運行情報との組を前記移動体位置管理装置に送信する手段とを備え、前記移動体位置管理装置は、前記運行管理装置から前記移動体識別情報と前記運行情報の組を受信すると、前記運行情報を前記移動体の位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換する手段と、前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報との組を前記端末位置管理装置に送信する手段とを備え、前記端末位置管理装置は、前記移動体位置管理装置から前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報の組を受信すると、前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報とを対応付けて記憶する第1記憶手段と、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶する第2記憶手段と、前記交換局から、前記端末識別情報を指定して前記位置登録エリア情報について問い合わせがあると、前記端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を読み出して、前記交換局に送信する手段とを備え、前記移動通信端末は、前記報知装置から前記移動体識別情報を受信しない場合に位置登録エリアに変更があると、変更後の位置登録エリアを示す位置登録エリア情報と前記端末識別情報の組を前記移動体通信網に送信し、前記端末位置管理装置は、前記移動通信端末から前記位置登録エリア情報と前記端末識別情報との組を受信すると、前記第2記憶手段に前記移動体識別情報の代わりに前記位置登録エリア情報を前記端末識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする通信システムを提供する。
【0017】
本発明は、更に他の観点において、移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信した場合、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網を用いて、外部端末からの問い合わせに応じて前記移動通信端末の位置情報を提供する位置情報提供システムであって、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報とを対応付けて記憶する端末位置管理装置と、前記外部端末からある移動通信端末を特定する端末識別情報を含む位置問い合わせ要求を受信すると、当該端末識別情報に対応する前記移動体識別情報が前記端末位置管理装置に記憶されているか否かを判定する手段と、前記移動体識別情報が記憶されている場合には、問い合わせがあった移動通信端末は前記移動体に収容されていることを示す収容情報を位置問い合わせ応答として前記外部端末へ送信する手段とを有する位置情報管理装置とを備えたことを特徴とする位置情報提供システムを提供する。
【0018】
好ましい態様において、前記位置情報管理装置は、前記端末識別情報に基づいて前記移動通信端末と通信を行うことにより、前記移動通信端末が生成する位置情報を取得する手段と、前記収容情報とともに前記位置情報を前記外部端末へ送信する手段とを有する。
【0019】
他の好ましい態様において、前記位置情報提供システムは、前記移動体の運行状況を示す運行情報を管理する運行管理装置との間で通信を行う移動体位置管理装置を含み、前記位置情報管理装置は、前記外部端末から前記端末識別情報を含む位置問い合わせ要求を受信すると、前記端末識別情報を前記端末位置管理装置に送信する手段と、前記移動通信端末の前記位置情報を取得すると、前記収容情報と前記位置情報とを前記外部端末に送信する手段とを備え、前記端末位置管理装置は、前記位置情報管理装置から前記端末識別情報を受信すると、前記端末識別情報に対応した前記移動体識別情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段を備え、前記移動体位置管理装置は、前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記運行管理装置から前記移動体識別情報に対応する前記運行情報を取得する手段と、取得した前記運行情報を位置情報に変換して、前記位置情報を前記端末位置管理装置を介して前記位置情報管理装置に送信する手段とを備える。
【0020】
更に他の好ましい態様において、前記移動体位置管理装置は、前記運行管理装置から取得した前記運行情報を前記移動体識別情報と対応付けて記憶する手段を備え、前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、記憶している前記運行情報に基づいて前記位置情報を生成する。
【0021】
更に他の好ましい態様において、前記位置情報管理装置は、前記外部端末から前記位置問い合わせ要求があると、前記運行情報に基づいて前記移動通信端末の未来の位置を予測して予測位置情報を生成し、前記外部端末に対して前記予測位置情報を通知する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0023】
<1.第1実施形態>
<1−1:第1実施形態の構成>
<1−1−1:通信システムの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの全体構成を示す図である。同図に示すように、この通信システムは、移動体通信網NET、移動体2、および運行管理装置30を備えている。
【0024】
移動体2としては、電車やバス等の交通機関が該当するが、この例では、電車であるものとする。また、図1には、一つの移動体2のみが図示されているが、実際にはより多数の移動体2が存在する。運行管理装置30は各移動体2の運行状況を管理しており、移動体2の現在位置、運行計画、及び線路・道路状況等を運行情報INFxとして生成し、これを提供するものである。
【0025】
運行情報INFxは移動体2の位置を示す移動体位置情報INF1と当該移動体2の運行に関連する関連位置情報INF2を含んでいる。移動体位置情報INF1は、移動体2の緯度経度の形式で与えられ、あるいは、路線名、最寄り駅から距離、および進行方向の形式で与えられる。例えば、「東経136度、北緯36度」、「東海道線、品川から横浜方面に2km」といった具合である。また、関連位置情報INF2は、電車の運行に関連する情報であって、電車名(例えば、ひかり10号)、事故や災害に関する情報等が含まれる。
【0026】
移動体通信網NETは、複数の基地局3−1、3−2、…、複数の交換局4−1、4−2、…、移動体位置管理装置40A、および移動端末位置管理装置50Aを備えている。このうち、移動端末位置管理装置50Aは、各移動通信端末の位置登録エリア情報を一括して管理する。
【0027】
各基地局3−1、3−2、…、は所定の間隔を隔てて配置されており、各々が基地局エリア4(図1においては符号「4a」ないし「4f」が付されている)を形成する。各基地局エリア4は、それを形成する基地局3との無線通信が可能な領域である。なお、以下では、図1に示すように、基地局3−1〜3−6が基地局エリア4a〜4fを各々形成するものとする。また、位置登録エリア5(図1においては符号「5A」、「5B」が付されている)は、複数の基地局エリア4をまとめたものであり、各交換局4−1、4−2、…に対応して設けられている。
【0028】
移動体2は、線路L上を移動する電車であり、その内部に、携帯電話機等の移動通信端末1−1、1−2、…を所持する複数の乗客が乗車できるようになっている。この移動体2は、線路Lが横切る複数の位置登録エリア5を順次通過する。また、移動体2には報知装置BCが設置されている。報知装置BCは移動体識別番号IDtを無線報知する。移動体識別番号IDtは各移動体2を識別できるように一意に割り当てられた識別子である。また、各移動通信端末1には、各端末を識別するための端末識別番号IDmが一意に割り当てられており、各移動通信端末1は各端末識別番号IDmを予め記憶している。端末識別番号IDmとしては、例えば、電話番号が該当する。
【0029】
各移動通信端末1は、移動体2に収容されていない場合には、基地局3から報知される位置登録エリア情報INFを受信し、これを記憶している。そして、位置登録エリアに変更があると、各移動通信端末1は、位置登録エリア情報INFと端末識別番号IDmとの組を移動体通信網NETに通知するようになっている。
一方、移動体2に各移動通信端末1が収容されると、各移動通信端末1は、報知装置BCから報知される移動体識別番号IDtを受信し、移動体識別番号IDtと端末識別番号IDmとの組を移動体通信網NETに通知する。
【0030】
より具体的には、移動通信端末1は、移動体識別番号IDtが報知されていないか常に監視しており、これを受信した場合にのみ移動体識別番号IDtを通知する動作を行うとともに移動体識別番号IDtの受信中は位置登録エリアに変更があったとしても位置登録エリア情報INFの通知を行わない。すなわち、移動通信端末1は、報知装置BCから移動体識別番号IDtを受信しない場合に位置登録エリアに変更があると、位置登録エリア情報INFと端末識別番号IDmの組を移動体通信網NETに送信している。これにより、基地局3と移動通信端末1との間の無線リソースを節約するとともに、トラヒックを低減することが可能となる。
【0031】
<1−1−2:移動端末位置管理装置50Aの構成>
次に、図2は、移動端末位置管理装置50Aの構成を示すブロック図である。この図に示すように移動端末位置管理装置50Aは、制御装置51および位置テーブルTBLを備えている。
【0032】
移動端末位置管理装置50Aには、各移動通信端末1がどの位置登録エリアに属するか、あるいはどの移動体2に属するかを管理する機能がある。第2に、移動端末位置管理装置50Aには、ある移動通信端末1に対して着信要求があった場合に呼出要求を生成する機能がある。
【0033】
第1の機能を実現するために、本実施形態では位置テーブルTBLを用いる。図3は、位置テーブルTBLの記憶内容を示す説明図である。位置テーブルTBLは、複数のレコードRb1、Rb2、…を備え、一つのレコードが各移動通信端末1の端末識別番号IDmと位置登録エリア情報INFとを関連付けて記憶する。ただし、ある移動通信端末1が移動体2に収容されている場合には、位置登録エリア情報INFの代わりに当該移動体2の移動体識別番号IDtが記憶される。
【0034】
ここで、位置登録エリア情報INFは、移動通信端末1が存圏する位置登録エリアを示す情報である。移動通信端末1は基地局3と制御チャネルを用いて交信して自己が在圏する位置登録エリア情報INFを認識し、これを端末識別番号IDmとともに基地局3および交換局4を介して移動端末位置管理装置50Aに通知する。また、移動通信端末1が移動体2に収容されると、移動体識別番号IDtを取得して、移動体識別番号IDtと端末識別番号IDmの組を基地局3および交換局4を介して移動端末位置管理装置50Aに通知する。制御装置51は、この通知に基づいて、位置テーブルTBLの記憶内容を更新する。
【0035】
例えば、移動体2に移動通信端末1−1が収容されており、それらに付与される端末識別番号IDmが「X00001」であり、報知装置BCが移動体識別番号IDt「A01234」を報知しているならば、位置テーブルTBLには、図3に示すようにレコードRb1に移動通信端末1−1の端末識別番号IDm「X00001」と移動体識別番号IDt「A01234」が関連付けられて記憶される。
【0036】
次に、制御装置51は、位置テーブルTBLと接続されており、これらに対してデータの読み書きを行うとともに、移動体位置管理装置40Aや交換局4との間で通信を行うものである。
【0037】
<1−1−3:移動体位置管理装置40Aの構成>
次に、図4は、移動体位置管理装置40Aの構成を示すブロック図である。この図に示すように移動体位置管理装置40Aは、制御部41および変換部42を備えている。
【0038】
まず、制御部41は、変換部42と接続され、装置全体を制御する制御中枢として機能するとともに、運行管理装置30および移動端末位置管理装置50Aとの間でデータ通信を行う。
【0039】
次に、変換部42は、運行管理装置30から通知される運行情報INFxの移動体位置情報INF1に基づいて位置登録エリア情報INFを生成するものである。移動体位置情報INF1は、上述したように移動体2の緯度経度の形式で与えられ、あるいは、路線名、最寄り駅から距離、および進行方向の形式で与えられるが、いずれの形式で移動体位置情報INF1が与えられたとしてもこれを位置登録エリア情報INFに変換することが可能である。
【0040】
この変換部42は、例えば、緯度・経度と位置登録エリア情報INFとを対応付けて記憶する第1テーブルと、路線図と位置登録エリア情報INFを対応付けて記憶する第2テーブルとを備える。そして、変換部42は、移動体位置情報INF1が緯度経度の形式で与えられると第1テーブルを参照して移動体位置情報INF1を位置登録エリア情報INFに変換する一方、移動体位置情報INF1が路線名、最寄り駅から距離、および進行方向の形式で与えられると、第2テーブルを参照して、路線図上での移動体2の位置を特定し、当該位置対応する位置登録エリア情報INFを出力する。
【0041】
<1−2.第1実施形態の動作>
次に、図面を参照して通信システムの動作を説明する。この例では、移動通信端末1が移動体2に収容され、この移動通信端末1に対して着信要求が発生したものとする。
【0042】
図5は、通信システムの動作を示すシーケンス図である。移動通信端末1が移動体2に収容されると、移動通信端末1は報知装置BCから報知される移動体識別番号IDtを受信し(ステップS1)、移動体識別番号IDtと端末識別番号IDmの組を含む位置登録通知を基地局3(図示略)および交換局4を介して移動端末位置管理装置50Aに送信する(ステップS2)。移動端末位置管理装置50Aは、位置登録通知に基づいて、位置テーブルTBLの記憶内容を更新する(ステップS3)。
【0043】
例えば、当該移動通信端末1の端末識別番号IDmが「X00002」であり、当該移動体2の移動体識別番号IDtが「A01234」であるとすれば、更新後の位置テーブルTBLには、図3のレコードRb2に示すように「X00002」と「A01234」とが関連付けられて記録される。
【0044】
ところで、位置登録エリアに変更があると、移動通信端末1は、変更後の位置登録エリア情報を移動端末位置管理装置50Aに通知するのが通常であるが、報知装置BCから報知される移動体識別番号IDtを受信している期間は、この通知を停止する。これは、移動通信端末1が移動体2に収容されている期間は、運行管理装置30からの運行情報INF1に基づいて位置登録エリア情報を取得するからである。これにより、位置登録エリアの変更に伴う通知を無くすことができるので、移動体通信網NETの通信資源を節約することが可能となる。
【0045】
さてここで、交換局4に移動通信端末1に対する着信要求が発生したとすると、交換局4は移動端末位置管理装置50Aにエリア情報問い合わせ要求REQ1を通知する(ステップS4)。このエリア情報問い合わせ要求REQ1には、移動通信端末1の端末識別番号IDmが含まれている。
【0046】
次に、エリア情報問い合わせ要求REQ1を移動端末位置管理装置50Aが受信すると、制御装置51は、エリア情報問い合わせ要求REQ1に含まれる端末識別番号IDmに基づいて、位置テーブルTBLを検索する(ステップS5)。制御装置51は、位置テーブルTBLから読み出された情報が位置登録エリア情報INFであるか、移動体識別番号IDtであるかを判定し、位置登録エリア情報INFである場合には、これをエリア情報問い合わせ応答として交換局4に通知する。この例では、移動通信端末1が移動体2に収容されているので、位置テーブルTBLから移動体識別番号IDtが読み出される。この場合には、以下のように処理される。
【0047】
移動端末位置管理装置50Aは、移動体識別番号IDtを含むエリア情報問い合わせ要求REQ2を生成し、これを移動体位置管理装置40Aに通知する(ステップS6)。この後、移動体位置管理装置40Aは、移動体識別番号IDtを含む運行情報問い合わせ要求REQ3を生成し、これを運行管理装置30に通知する(ステップS7)。
【0048】
この後、運行管理装置30は、移動体識別番号IDtを運行管理装置30の内部で用いる識別番号に変換し、これに基づいて運行情報INFxを生成する。そして、運行管理装置30は、移動体識別番号IDtと運行情報INFxとを含む運行情報問い合わせ応答RES3を移動体位置管理装置40Aに通知する(ステップS8)。
【0049】
次に、移動体位置管理装置40Aは運行情報INFxに含まれる移動体位置情報INF1を位置登録エリア情報INFに変換し(ステップS9)、位置登録エリア情報INFと移動体識別番号IDtとを含むエリア情報問い合わせ応答RES2を移動端末位置管理装置50Aに通知する。
【0050】
次に、エリア情報問い合わせ応答RES2を受信した移動端末位置管理装置50Aは、これをエリア情報問い合わせ応答RES1として交換局4に通知する(ステップS10)。この後、交換局4は位置登録エリア情報INFが示す位置登録エリアに属する基地局4に対して、移動体識別番号IDtを含む呼出要求を通知し、移動通信端末1からの応答を待って接続処理を行う。
【0051】
上述した第1実施形態によれば、移動通信端末1が移動体2に収容されると、移動通信端末1は位置登録エリアに変更があったとしても、位置登録エリア情報INFを移動体通信網NETに通知する必要がないので、無線リソースを節約することができ、基地局3や交換局4のトラヒックを削減することができる。
また、従来技術のように、移動体2に位置登録機能を備えた通信装置を設ける必要がないので、構成を簡易することが可能である。
さらに、運行情報INFxを移動体通信網NETで使用する位置登録エリア情報INFxに変換するようにしたので、これを用いて、各移動通信端末1の位置登録エリアを管理することが可能となる。
【0052】
<2.第2実施形態>
<2−1:第2実施形態の構成>
本発明の第2実施形態に係わる通信システムは、移動端末位置管理装置50Aの代わりに移動端末位置管理装置50Bを用いる点を除いて、図1に示す第1実施形態の通信システムと同様である。
【0053】
図6は、移動端末位置管理装置50Bの構成を示すブロック図である。この図に示すように移動端末位置管理装置50Bは、制御装置51、第1位置テーブルTBL1および第2位置テーブルTBL2を備えている。ここで、第2位置テーブルTBL2は上述した第1実施形態の位置テーブルTBLと同一である。すなわち、移動端末位置管理装置50Bは、第1位置テーブルTBL1を備える点で、第1実施形態の移動端末位置管理装置50Aと相違する。
【0054】
この移動端末位置管理装置50Bには、各移動通信端末1がどの位置登録エリアに属するかを管理する機能がある。特に、電車等の移動体2に収容される移動通信端末1については、各移動体2をキーとしてグループ化して位置登録エリアを管理する。このために、本実施形態では階層化された第1位置テーブルTBL1と第2位置テーブルTBL2とを用いる。
【0055】
図7は、第1および第2位置テーブルの記憶内容を示す説明図である。第1位置テーブルTBL1は、複数のレコードRa1、Ra2、…を備え、一つのレコードが移動体2に付与される移動体識別番号IDtと位置登録エリア情報INFとを関連付けて記憶する。総レコード数は移動体2の総数と一致する。したがって、第1位置テーブルTBL1を参照すれば、ある移動体2がどの位置登録エリアに属するかを知ることができる。
【0056】
例えば、移動体2が位置登録エリア5Aに在圏しており、当該移動体2に付与された移動体識別番号IDtが「A01234」であるとすれば、第1位置テーブルTBL1には、図7に示すようにレコードRa1に移動体識別番号IDt「A01234」と位置登録エリア「5A」が関連付けられて記憶される。
【0057】
本実施形態にあっては、移動体2の運行情報INFxに変化があると、運行管理装置30がこれを移動体位置管理装置40Aに通知し、移動体位置管理装置40Aが運行情報INFxを位置登録エリア情報INFに変換して移動端末位置管理装置50Bに通知するようになっている。これにより、移動端末位置管理装置50Bは、第1位置テーブルTBL1の記憶内容を更新する。なお、第2位置テーブルTBL2の記憶内容は、第1実施形態で説明したように、移動通信端末1からの通知によって更新される。
【0058】
ここで、第1および第2位置テーブルTBL1、TBL2の記憶内容が図7に示すものであって、ある移動通信端末1の端末識別番号IDmが「X00001」であるものとする。この場合、当該移動通信端末1の位置登録エリア情報INFを知るためには、まず、端末識別番号IDm「X00001」をキーとして第2位置テーブルTBL2を検索し、移動体識別番号IDt「A01234」を得る。次に、移動体識別番号IDt「A01234」をキーとして第1位置テーブルTBL1を検索し、位置登録エリア情報INF「5A」を得ることになる。
【0059】
<2−2:第2実施形態の動作>
次に、第2実施形態に係わる通信システムの動作を、図8に示すシーケンス図を参照して説明する。
まず、移動通信端末1が移動体2に収容されてから、移動端末位置管理装置50Bが、位置登録通知に基づいて、第2位置テーブルTBL2の記憶内容を更新するまでの動作は、第1実施形態と同様である(ステップS1〜S3)。
【0060】
次に、運行管理装置30において、移動体2の運行状況が変化すると、運行管理装置30は運行状況変更通知N1を移動体位置管理装置40Aに通知する(ステップS21)。運行状況変更通知N1は当該移動体2の移動体識別番号IDtと運行情報INFxとを含む。
【0061】
この後、移動体位置管理装置40Aは、運行情報INFXxに含まれる移動体位置情報INF1を位置登録エリア情報INFに変換し(ステップS22)、位置登録エリア情報INFと移動体識別番号IDtとを含むエリア情報変更通知N2を生成し、これを移動端末位置管理装置50Bに通知する(ステップS23)。
【0062】
例えば、移動体2が東海道線の電車であり、品川駅から横浜方面に進行中であり、所定時間が経過して横浜駅に到着したとする。また、品川駅は位置登録エリア5Aに属し、横浜駅は位置登録エリア5Bに属するものとする。そして、横浜駅に到着した時点で運行管理装置30が移動体位置情報INF1として「横浜駅に停車中」といった情報を生成するものとする。この場合、移動体位置管理装置40Aが、移動体位置情報INF1を含む運行状況変更通知N1を受信すると、制御部41は、変換部42を用いて移動体位置情報INF1を位置登録エリア5Bを示す位置登録エリア情報INFに変換し、これを移動端末位置管理装置50Bに通知することになる。
【0063】
次に、移動端末位置管理装置50Bがエリア情報変更通知N2を受信すると、そこに含まれる移動体識別番号IDtに基づいて第1位置テーブルTBL1を検索し、位置登録エリア情報INFを上書きする(ステップS24)。これによって、第1位置テーブルTBL1の記憶内容は常に最新の運行状況を反映させたものとなる。上述した例において、移動体識別番号IDtが「A01234」であり、更新前の記憶内容が図7に示すものであるとすれば、レコードRa1に含まれる位置登録エリア情報INFが「5A」から「5B」へ更新されることになる。
【0064】
この第2実施形態によれば、例えば、移動体2が移動することによってその運行状況に変化があると、運行管理装置30は、これを検知して運行情報INFxを自律的に生成して移動体位置管理装置40Aに通知する。そして、運行情報INFxは位置登録エリア情報INFに変換されて、移動端末位置管理装置50Bの第1位置テーブルTBL1に記憶される。したがって、第1位置テーブルTBL1に記憶される移動体識別番号IDtと位置登録エリア情報INFとは常に最新の状態となっている。これにより、移動体2に収容される移動通信端末1に着信要求があっても、わざわざ運行管理装置30に運行状況を問い合わせる必要がないので、この通信システムは着信処理を短時間で終了させることができるといった利点がある。
【0065】
<3.第3実施形態>
上述した第1および第2実施形態は、運行情報INFに基づいて移動通信端末MSの位置登録を行う通信システムに関するものであった。以下、この通信システムを利用した位置情報提供システムについて説明する。
【0066】
<3−1:第3実施形態の構成>
図9は、本発明の第3実施形態に係る位置情報提供システムの全体構成を示す図である。この位置情報提供システムは、第2実施形態の通信システムに位置情報サーバ60とクライアント端末70とを追加する点、および移動通信端末1の詳細な構成を除いて、同様に構成されている。
【0067】
したがって、本実施形態の位置情報提供システムでは、運行管理装置30は移動体2の運行状況に変化があると、運行情報INFxを含む運行状況変更通知N1を移動体位置管理装置40に送信し、移動体位置管理装置40Aは運行情報INFxに基づいて移動体2の位置登録エリア情報INFを生成しこれを移動端末位置管理装置50Bに送信する。このため、移動端末位置管理装置50Bの第1位置テーブルTBL1に記録される位置登録エリア情報INFは、常に最新の状態に更新されている。
【0068】
クライアント端末70は、移動体通信網NETに対してある移動通信端末の位置情報を問い合わせる装置であって、インターネット等の通信網に接続されたデスクトップコンピュータ、PDAなどの携帯情報機器、あるいは移動通信端末が該当する。
【0069】
次に、位置情報サーバ60は、クライアント端末70からの問い合わせに応じて、移動通信端末1の位置情報を提供する。図10は、位置情報サーバの構成を示すブロック図である。同図に示すように本実施形態にかかる位置情報サーバ60は、CPU(Central Processing Unit)61と、ROM(Read Only Memory)62と、RAM(RandamAccess Memory)63と、インターフェース部64と、ハードディスク65とを有する。
【0070】
CPU61は、各種のアプリケーションを実行するとともに、位置情報サーバ60の各構成部分を制御する。ROM62には、起動時に実行されるブートプログラム等が記憶されている。RAM63は、CPU61のワークエリアとして用いられ、ハードディスク65に記憶されているアプリケーションが必要に応じて転送される。ハードディスク65には、移動端末位置管理装置50Bやクライアント端末70と通信を行うための通信アプリケーション、運行情報INFx等に基づいて移動体2の将来の位置情報を予測する予測アプリケーション、位置登録エリア情報に基づいて移動通信端末に呼出を行う呼出アプリケーション等が格納されている。CPU61は、予測アプリケーションを実行することによって、移動体2の将来の位置を予測して予測位置情報を生成する。また、CPU61は、呼出アプリケーションを適宜実行して移動通信端末1を呼び出して、必要な情報を取得できるようになっている。
【0071】
次に、第3実施形態に係わる移動通信端末1は、位置を示す位置情報を生成し、位置情報サーバ60からの求めに応じてこれを送信する機能を有する点で、上述した第1および第2実施形態の移動通信端末1と相違する。図11は、第3実施形態の位置情報提供システムで用いる移動通信端末1の構成を示すブロック図である。
【0072】
同図に示すように移動通信端末1は、制御部100と、GPS(Global Positioning Systems)受信部110と、無線送受信部120と、指示入力部130と、液晶表示部140と、各要素間におけるデータの授受を仲介するバス150とを有する。
【0073】
GPS受信部110は、制御部100の制御の下、GPS衛星からの電波を受信して、緯度・経度を示す位置情報を生成する。また、無線送受信部120は、制御部100の制御の下、移動体通信網NETの基地局3と無線通信を行う。
【0074】
指示入力部130は、PB(プッシュボタン)等の各種ボタン及びカーソルキーからなり、ユーザによって入力操作が行われると、その入力操作に対応した操作信号を制御部100に供給する。液晶表示部140Aは、液晶パネル等の表示装置から構成されており、制御部100の制御の下に各種情報を表示する。
【0075】
制御部100は、例えば、CPU111と、ROM112と、RAM113と、EEPROM114を有しており、移動通信端末1の各部を制御する。ROM12には、制御用アプリケーションの他、通信アプリケーション、関連情報生成アプリケーション等が各種インストールされている。通信アプリケーションは位置情報サーバ60との間で通信するため用いられ、関連情報生成アプリケーションは位置情報に基づいて、進行方向と進行速度を算出し、これらを示す関連情報を生成するために用いられる。
【0076】
RAM113は、CPU111のワークエリアとして用いられ、ROM112から読み出された各種のアプリケーションが展開される。また、EEPROM114は、不揮発性の書き換え可能なメモリであって、通信アプリケーション、や関連情報生成アプリケーションが更新された場合に、これらを記憶する記憶部として使用される。
【0077】
以上の構成により、移動通信端末1は、GPS受信部110で受信した電波に基づいて、緯度・経度を示す位置情報や関連情報を生成するとともに、位置情報サーバ60から呼び出しを受けると、これらの情報を、無線送受信部120を介して位置情報サーバ60に送信するようになっている。
【0078】
<3−2.第3実施形態の動作>
次に、図面を参照して位置情報提供システムによる位置情報提供サービスの動作を説明する。図12は、第3実施形態に係わる位置情報提供システムの動作を示すシーケンス図である。
【0079】
利用者がある移動通信端末1について位置情報サービスを受けたい場合には、クライアント端末70を操作して、位置情報サーバ60にアクセスして、モニタ画面に従って当該移動通信端末1の端末識別番号IDm(例えば電話番号)を入力する。すると、クライアント端末70は、端末識別番号IDmを含む移動端末位置情報要求REQ4を位置情報サーバ60に送信する(ステップS31)。
【0080】
位置情報サーバ60は、移動端末位置情報要求REQ4を受信すると、移動端末位置管理装置50に対して、移動端末問い合わせ要求REQ5を送信する(ステップS32)。この移動端末問い合わせ要求REQ5には端末識別番号IDmが含まれている。
【0081】
次に、移動端末位置管理装置50Bは、第1及び第2位置テーブルTBL1及びTBL2を検索して、端末識別番号IDmに対応する位置登録エリア情報INFを取得する(ステップS33)。また、移動端末位置管理装置50は、第2位置テーブルTBL2の位置登録エリア情報の欄に移動体識別番号IDtが記憶されていたか否かを判定し、記憶されていた場合には「1」となり、記憶されていなかった場合には「0」となる乗車フラグFRGを生成する(ステップS33)。
【0082】
この後、移動端末位置管理装置50は、位置登録エリア情報INFと乗車フラグFRGを含む移動端末問い合わせ応答RES5を位置情報サーバ60に送信する(ステップS34)。移動端末問い合わせ応答RES5を受信した位置情報サーバ60は、位置登録エリア情報INFに基づいて呼出アプリケーションを実行し、移動通信端末1を呼び出す(ステップS35)。具体的には、交換局4を介して当該位置登録エリア情報INFの示す位置登録エリアに属する基地局3に対し、端末識別番号IDmを通知して呼び出しを行う。さらに、位置情報サーバ60は、乗車フラグFRGが「1」の場合、乗車中であること示す乗車情報を生成する一方、乗車フラグFRGが「0」の場合には乗車情報を生成しない。
【0083】
移動端末呼出を受信した移動通信端末1は、その内部で現在位置を示す位置情報、移動方向や移動速度を示す関連情報を生成し、これらを含む移動端末応答を位置情報サーバ60に送信する(ステップS36)。
【0084】
移動端末応答を受信した位置情報サーバ60は、位置情報、関連情報、及び乗車情報を含む位置情報応答RES4をクライアント端末70に送信する(ステップS37)。例えば、利用者が移動通信端末1を携帯して電車に乗車中であり、電車が東経138度・緯度36度に位置し、46Kmの速度で南に進行中である場合には、クライアント端末70に対して「東経138度・緯度36度」を示す位置情報と、「移動速度46Km、進行方向南」を示す関連情報と、「電車に乗っている」ことを示す乗車情報が送信される。
【0085】
また、仮に、移動通信端末1を携帯した利用者が電車に乗車していなかった場合には、移動端末問い合わせ応答RES5に含まれる乗車フラグFRGが「0」となるので、位置情報サーバ60は、クライアント端末70に対して「電車に乗っている」ことを示す乗車情報を送信しないことになる。
【0086】
このように第3実施形態によれば、位置情報サーバ60は、乗車フラグFRGに基づいて、移動端末位置管理装置50Bに移動体識別番号IDtが記憶されている否かを判定するから、クライアント端末70に対して、移動通信端末1の利用者が電車に乗っているか否かを知らせることができる。
また、位置情報サーバ60は、移動通信端末1から位置情報を取得するから、これをクライアント端末70に対して提供することができる。
【0087】
<3−3.第3実施形態の変形例>
上述した第3実施形態においては、第2実施形態と同様に、運行管理装置30が電車等の移動体2が移動したことを検知して運行情報INFxを移動体位置管理装置40Aに通知し、移動体位置管理装置40Aが運行情報INFxを位置登録エリア情報INFに変換し、移動端末位置管理装置50Bは第1位置テーブルTBL1の内容を更新するようにした。そして、位置情報サーバ60は移動端末位置管理装置50Bに対して、移動端末問い合わせ要求REQ5を送信し、移動通信端末1の位置登録エリア情報INFを取得し、この位置登録エリア情報INFに基づいて移動通信端末1へ位置情報の問い合わせを行うようにした。
【0088】
本発明はこれに限定されるものではなく、図1に示す第1実施形態の通信システムに位置情報サーバ60とクライアント端末70を適用して、位置情報提供システムを構成してもよい。この場合、移動端末位置管理装置50Aが、移動端末問い合わせ要求REQ5を位置情報サーバ60から受信すると、図2に示すステップS5からステップS10までの処理が行われ、移動端末位置管理装置50Aは位置登録エリア情報INFを取得し、これを位置情報サーバ60に送信する。そして、位置情報サーバ60は、受信した位置登録エリア情報INFに基づいて移動通信端末1へ位置情報の問い合わせを行えばよい。
【0089】
<4.第4実施形態>
<4−1:第4実施形態の構成>
第4実施形態に係る位置情報提供システムは、運行管理装置30の詳細な動作および移動体位置管理装置40Aの代わりに移動体位置管理装置40Bを用いる点を除いて、第3実施形態の位置情報提供システムと同様に構成されている。
【0090】
まず、運行管理装置30は、移動体位置管理装置40Bから問い合わせがあった場合にのみ運行情報INFxを移動体位置管理装置40Bへ返送するようになっており、運行状況が変化したことを契機に運行情報INFxを移動体位置管理装置40Bへ通知しない。
【0091】
次に、図13は、移動体位置管理装置40Bの構成を示すブロック図である。移動体位置管理装置40Bは、管理テーブルTBLkを備える点で、図2に示す移動体位置管理装置40Aと相違する。
【0092】
図14は管理テーブルTBLkの記憶内容の一例を示す説明図である。管理テーブルTBLkは、複数のレコードRc1、Rc2、…を備え、一つのレコードが各移動体2の移動体識別番号IDtと運行情報INFxと記録時刻Tとを関連付けて記憶する。ここで記録時刻Tとは運行情報INFxを当該管理テーブルTBLkに記録した時刻をいう。制御部51は、記録時に図示せぬタイマー部からシステム時刻を取得して、これを記録時刻Tとして書き込む。図14に示す例では、移動体識別番号IDt「A01234」に対応する移動体位置情報INF1として「東経136度、北緯36度」が管理テーブルTBLkに13:00に記録されたことになる。
【0093】
<4−2:第4実施形態の動作>
次に、第4実施形態に係わる位置情報提供システムの動作を図15を参照しつつ説明する。図15は、このシステムの動作を示すシーケンス図である。
まず、位置情報サーバ60が移動端末問い合わせ要求REQ7を送信するまでのステップS41およびステップS42は、上述したステップS31およびS32と同様である。
【0094】
次に、移動端末位置管理装置50は、第2位置テーブルTBL2を検索して、位置登録エリア情報の欄に端末識別番号IDmに対応する移動体識別番号IDtが記憶されているか否かを判定し、記憶されていた場合には「1」となり、記憶されていなかった場合には「0」となる乗車フラグFRGを生成する(ステップS43)。
【0095】
移動体識別番号IDtが記憶されていた場合には、移動端末位置管理装置50は、移動体位置管理装置40Bに移動体識別番号IDtを含む運行状況問い合わせ要求REQ8を送信する(ステップS44)。
【0096】
移動体位置管理装置40Aは、移動体識別番号IDtに基づいて管理テーブルTBLkを検索し、対応する運行情報INFxおよび記録時刻Tを読み出す。そして、移動体位置管理装置40Aは、運行情報INFxが記憶されていなかった場合、または、現在時刻が記録時刻Tから所定時間を経過している場合には、運行管理装置30に対して運行状況問い合わせ要求REQ9を送信する(ステップS45)。
【0097】
運行管理装置30は、移動体識別番号IDtに基づいて移動体2の運行情報INFxを生成し、これを含む運行状況問い合わせ応答RES9を移動体位置管理装置40Bに送信する(ステップS46)。この際、移動体位置管理装置40Bの制御部41は、新たに取得した運行情報INFxを用いて管理テーブルTBLkの記憶内容を更新するとともに、管理テーブルTBLkの記録時刻Tの欄に更新した時刻を記録する(ステップS47)。
【0098】
この後、移動体位置管理装置40Bは、運行情報INFxを含む運行状況問い合わせ応答RES8を移動端末位置管理装置50へ送信する(ステップS48)。なお、管理テーブルTBLkに運行情報INFxが記憶されており、かつ、現在時刻が記録時刻Tから所定時間を経過していない場合には、移動体位置管理装置40Bは、ステップS45〜ステップS47の処理を省略して、運行状況問い合わせ応答RES6を移動端末位置管理装置50Bへ直接送信する(ステップS48)。次に、移動端末位置管理装置50Bは運行情報INFxを含む移動端末問い合わせ応答RES7を位置情報サーバ60に送信する(ステップS49)。
【0099】
次に、位置情報サーバ60は、運行情報INFxを移動体位置情報INF1と関連位置情報INF2とに分離し、関連位置情報INF2に基づいて将来の位置を予測する。
【0100】
例えば、移動体識別番号IDtが「A01234」である移動体2に移動通信端末1を携帯した利用者が乗車しており、管理テーブルTBLkの記憶内容が図14に示すものであり、当該移動通信端末1についてクライアント端末70から位置情報問い合わせ要求REQ4があったとする。この場合には、ステップS42〜S49の処理を経て、位置情報サーバ60は、関連位置情報INF2として「あずさ2号」を取得する。そして、予めハードディスク65に記憶している時刻表データに基づいて、あずさ2号の将来の位置を示す予測位置情報を生成する。例えば、18分後に松本に到着するのであれば、「18分後に松本に到着」を予測位置情報とする。
【0101】
この後、位置情報サーバ60は、移動体位置情報INF1、関連位置情報INF2、及び乗車情報を含む移動端末位置情報応答RES6をクライアント端末70に送信する(ステップS20)。上述した具体例では、クライアント端末70に対して「東経138度・緯度36度」を示す移動体位置情報INF1と、「あずさ2号」を示す関連位置情報INF2と、「18分後に松本に到着」を示す予測位置情報と、「電車に乗っている」ことを示す乗車情報が送信される。
【0102】
このように第4実施形態によれば、移動体識別番号IDtをキーとして、運行情報INFxと端末識別番号IDmとを関連付けたので、運行管理装置30から取得した運行情報INFxに基づいて、移動通信端末1の現在位置および将来の位置を、クライアント端末70に対して提供することができる。
また、移動体2が、例えばトンネルの内部を通過中で電波の届かない場所にあっても、移動通信端末1の現在位置および将来の位置を、クライアント端末70に対して提供することができる。
【0103】
さらに、管理テーブルTBLkには運行情報INFxを記録した記録時刻Tも併せて記憶するようにしたので、ある時間が経過して運行情報INFxの信頼性が低下した場合には、新たな運行情報INFxを運行管理装置30から取得する一方、さほど時間が経過していない場合には管理テーブルTBLkに記録されている運行情報INFxを使用するから、運行管理装置30への問い合わせ回数を削減するとともに高い信頼性の下に位置情報を提供することが可能となる。
【0104】
<4−3.第4実施形態の変形例>
なお、上述した第4実施形態では、移動体位置管理装置40Bから運行管理装置30に対して、必要に応じて運行情報INFxを問い合わせるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、運行管理装置30において運行情報INFxに変更があったことを検知し、この変更検知をトリガとして、運行管理装置30が変更後の運行情報INFxを移動体位置管理装置40Aに送信し、管理テーブルTBLkの記憶内容を更新するようにしてもよい。この場合には、管理テーブルTBLkの記憶内容を常に最新のものとすることができるので、位置情報サーバ60において正確な位置予測を行うことができ、さらに、移動体位置管理装置40Aにおいて記録時刻Tに基づく問い合わせをすべき否かの判定を省略することが可能である。
【0105】
以上説明したように、この発明によれば、利用者が移動通信端末を携帯して電車やバス等の移動体に乗車した場合に、無線リソースを消費することなく位置登録エリア情報を登録することができる。また、この発明によれば、確実に位置情報を提供することができ、かつ、将来に位置情報も提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1実施形態に係る通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同システムにおける移動通信端末位置管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同装置における位置テーブルの記憶内容を示す説明図である。
【図4】同システムにおける移動体位置管理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】同システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の第2実施形態の通信システムに用いる移動体位置管理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】同装置における第1および第2位置テーブルの記憶内容を示す説明図である。
【図8】同システムの動作を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る位置情報提供システムの全体構成を示すブロック図である。
【図10】同システムにおける位置情報サーバの構成を示すブロック図である。
【図11】同システムにおける移動通信端末の構成を示すブロック図である。
【図12】同システムの動作を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る位置情報提供システムに用いる移動体位置管理装置の構成を示すブロック図である。
【図14】同装置における管理テーブルの記憶内容を示す説明図である。
【図15】同システムの動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0107】
1……移動通信端末、2……移動体、BC……報知装置、30……運行管理装置、40A,40B……移動体位置管理装置、50……移動端末位置管理装置、60……位置情報サーバ、70……クライアント端末、NET……移動体通信網、TBL1……第1位置テーブル、TBL2……第2位置テーブル。TBLk……管理テーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に収容される移動通信端末について、その位置登録エリア情報および位置情報を移動体の運行を管理する装置からの情報に基づいて取得する通信システムおよび位置情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、移動通信サービスにおいては、携帯電話機等の移動通信端末がどこにあっても着信できるように、位置管理装置に各移動通信端末の位置を記憶しておくのが一般的である。そして、ある移動通信端末に着信要求が発生すると、まず、位置管理装置の記憶内容を参照して、対象となる移動通信端末がどの位置登録エリアに属するかを特定する。次に、位置管理装置は、呼出要求を生成し、これを該当する位置登録エリアに属する交換局と各基地局とを介して着信先の移動通信端末に送信する。
【0003】
上述した位置管理装置に位置登録エリアを登録するには、移動通信端末が基地局から報知される位置登録エリア情報を受信して、受信した位置登録エリア情報と移動通信端末を識別するための端末識別番号との組を基地局と交換局を介して位置管理装置に送信している。
【0004】
このような位置登録の一手法として、電車等の移動体に収容される移動通信端末については、電車内の複数の移動通信端末による位置登録要求を当該電車に設置された通信装置によって代表させる技術が知られている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平11−355835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術にあっては、位置登録エリアを登録することができる通信装置を新たに電車に設置する必要がある。また、通信装置は、基地局および交換局を介して、位置管理装置に位置登録エリア情報を登録するため、移動体通信網の無線リソースを消費するといった問題があった。
【0006】
さらに、移動通信サービスでは、移動通信端末の現在位置を把握しているので、これを利用した位置情報提供サービスが行われている。この位置情報提供サービスでは、移動通信端末がどの位置登録エリアに在圏するかを知ることが可能である。
【0007】
ところで、位置登録エリアの範囲は、各基地局の配置によって定まり、ある広さを持っている。したがって、移動通信端末の位置を正確に把握することはできない。そこで、移動通信端末にGPS機能を持たせて自律的に位置情報を取得できるようにし、外部から位置情報提供システムに問い合わせがあると、移動通信端末を呼び出して、当該移動通信端末の位置情報を取得して、これを提供することも考えられる。
【0008】
しかし、利用者が移動通信端末を携帯して電車やバス等の移動体に乗車すると、移動体がトンネルなどの電波が届かない場所に移動することがある。移動通信端末の位置管理は、電波が届くことが前提となっているため、電波の届かない場所ではサービス圏外となる。
【0009】
したがって、利用者が電車等に乗車すると、位置登録エリアを取得することや、移動通信端末に対して位置情報を問い合わせることが不可能になることがあり、位置情報を提供することができないといった問題がある。
さらに、従来の位置情報提供サービスでは、現在の位置情報は提供できても将来の位置情報は提供することができないといった問題がある。
【0010】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、利用者が移動通信端末を携帯して電車やバス等の移動体に乗車した場合に、無線リソースを消費することなく位置登録エリア情報を登録する通信システムを提供することを目的とする。また、他の目的は、確実に位置情報を提供することができ、かつ、将来に位置情報も提供することが可能な位置情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明の位置管理方法は、移動体に収容される移動通信端末の位置を予め定められた位置登録エリアによって移動体通信網で管理する位置管理方法であって、前記移動通信端末は、前記移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を前記移動体通信網へ送信し、前記移動体通信網は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶し、前記移動体通信網は、前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を運行管理装置から取得すると、前記運行情報を前記位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、前記移動体通信網は、変換された位置登録エリア情報に基づいて、前記移動体に収容される前記移動通信端末の位置を管理することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、移動体通信網は、端末識別情報と移動体識別情報とを対応付けて記憶しており、運行管理装置から取得した運行情報を、位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、移動体に収容される移動通信端末の位置を管理する。したがって、移動体に特別の通信装置を設置し、通信装置がそこに収容される移動通信端末を代表して位置登録を行う必要がなく、各移動通信端末が、移動体識別情報と端末識別情報の組を移動体通信網に送信するだけよい。
【0013】
好ましい態様において、前記移動体通信網は、前記移動通信端末へ着信が発生すると、前記運行管理装置へ前記運行情報を問い合わせることを特徴とする。
【0014】
本発明は、他の観点において、移動通信端末と通信を行う移動体通信網と、移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備える通信システムに用いられる通信方法であって、前記移動通信端末は、前記移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を前記移動体通信網へ送信し、前記移動体通信網は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶し、前記移動通信端末に着信が発生すると、前記移動体通信網は、着信があった前記移動通信端末の端末識別情報に基づいて、当該端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を取得し、前記移動体通信網が取得した前記移動体識別情報を前記運行管理装置に送信すると、前記運行管理装置は受信した前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を生成し、前記運行管理装置が前記運行情報を前記移動体通信網に送信すると、前記移動体通信網は受信した前記運行情報を位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、前記移動体通信網は、当該位置登録エリア情報に基づいて着信処理を行うことを特徴とする通信方法を提供する。
【0015】
本発明は、更に他の観点において、移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網と、前記移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備えた通信システムであって、前記移動体通信網は、前記移動通信端末と通信を行う基地局と、前記基地局と通信を行う交換局と、前記交換局と通信を行う端末位置管理装置と、前記端末管理装置および前記運行管理装置と通信を行う移動体位置管理装置とを備え、前記端末位置管理装置は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶する第1記憶手段と、前記交換局から、前記端末識別情報を指定して前記移動通信端末の端末位置登録エリアを示す位置登録エリア情報について問い合わせがあると、前記端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を読み出して、読み出した移動体識別情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段と、前記移動体位置管理装置から前記移動体識別情報に対応する前記位置登録エリア情報を受信すると、当該位置登録エリア情報を前記交換局に送信する手段とを備え、前記移動体端末位置管理装置は、前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記運行管理装置へ前記移動体識別情報を送信する手段と、前記運行管理装置から前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を受信する手段と、前記運行情報を前記位置登録エリア情報に変換する手段と、前記位置登録エリア情報を前記端末位置管理装置に送信する手段とを備え、前記運行管理装置は、前記移動体端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記移動体識別情報に基づいて前記運行情報を生成する手段と、前記運行情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段とを備えることを特徴とする通信システムを提供する。
【0016】
本発明は、更に他の観点において、移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網と、前記移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備えた通信システムであって、前記移動体通信網は、前記移動通信端末と通信を行う基地局と、前記基地局と通信を行う交換局と、前記交換局と通信を行う端末位置管理装置と、前記端末管理装置および前記運行管理装置と通信を行う移動体位置管理装置とを備え、前記運行管理装置は、前記移動体の運行状況に変化があると当該移動体の運行状況を示す運行情報を生成する手段と、前記移動体の前記移動体識別情報と前記運行情報との組を前記移動体位置管理装置に送信する手段とを備え、前記移動体位置管理装置は、前記運行管理装置から前記移動体識別情報と前記運行情報の組を受信すると、前記運行情報を前記移動体の位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換する手段と、前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報との組を前記端末位置管理装置に送信する手段とを備え、前記端末位置管理装置は、前記移動体位置管理装置から前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報の組を受信すると、前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報とを対応付けて記憶する第1記憶手段と、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶する第2記憶手段と、前記交換局から、前記端末識別情報を指定して前記位置登録エリア情報について問い合わせがあると、前記端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を読み出して、前記交換局に送信する手段とを備え、前記移動通信端末は、前記報知装置から前記移動体識別情報を受信しない場合に位置登録エリアに変更があると、変更後の位置登録エリアを示す位置登録エリア情報と前記端末識別情報の組を前記移動体通信網に送信し、前記端末位置管理装置は、前記移動通信端末から前記位置登録エリア情報と前記端末識別情報との組を受信すると、前記第2記憶手段に前記移動体識別情報の代わりに前記位置登録エリア情報を前記端末識別情報と対応付けて記憶することを特徴とする通信システムを提供する。
【0017】
本発明は、更に他の観点において、移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信した場合、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網を用いて、外部端末からの問い合わせに応じて前記移動通信端末の位置情報を提供する位置情報提供システムであって、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報とを対応付けて記憶する端末位置管理装置と、前記外部端末からある移動通信端末を特定する端末識別情報を含む位置問い合わせ要求を受信すると、当該端末識別情報に対応する前記移動体識別情報が前記端末位置管理装置に記憶されているか否かを判定する手段と、前記移動体識別情報が記憶されている場合には、問い合わせがあった移動通信端末は前記移動体に収容されていることを示す収容情報を位置問い合わせ応答として前記外部端末へ送信する手段とを有する位置情報管理装置とを備えたことを特徴とする位置情報提供システムを提供する。
【0018】
好ましい態様において、前記位置情報管理装置は、前記端末識別情報に基づいて前記移動通信端末と通信を行うことにより、前記移動通信端末が生成する位置情報を取得する手段と、前記収容情報とともに前記位置情報を前記外部端末へ送信する手段とを有する。
【0019】
他の好ましい態様において、前記位置情報提供システムは、前記移動体の運行状況を示す運行情報を管理する運行管理装置との間で通信を行う移動体位置管理装置を含み、前記位置情報管理装置は、前記外部端末から前記端末識別情報を含む位置問い合わせ要求を受信すると、前記端末識別情報を前記端末位置管理装置に送信する手段と、前記移動通信端末の前記位置情報を取得すると、前記収容情報と前記位置情報とを前記外部端末に送信する手段とを備え、前記端末位置管理装置は、前記位置情報管理装置から前記端末識別情報を受信すると、前記端末識別情報に対応した前記移動体識別情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段を備え、前記移動体位置管理装置は、前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記運行管理装置から前記移動体識別情報に対応する前記運行情報を取得する手段と、取得した前記運行情報を位置情報に変換して、前記位置情報を前記端末位置管理装置を介して前記位置情報管理装置に送信する手段とを備える。
【0020】
更に他の好ましい態様において、前記移動体位置管理装置は、前記運行管理装置から取得した前記運行情報を前記移動体識別情報と対応付けて記憶する手段を備え、前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、記憶している前記運行情報に基づいて前記位置情報を生成する。
【0021】
更に他の好ましい態様において、前記位置情報管理装置は、前記外部端末から前記位置問い合わせ要求があると、前記運行情報に基づいて前記移動通信端末の未来の位置を予測して予測位置情報を生成し、前記外部端末に対して前記予測位置情報を通知する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更可能である。
【0023】
<1.第1実施形態>
<1−1:第1実施形態の構成>
<1−1−1:通信システムの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムの全体構成を示す図である。同図に示すように、この通信システムは、移動体通信網NET、移動体2、および運行管理装置30を備えている。
【0024】
移動体2としては、電車やバス等の交通機関が該当するが、この例では、電車であるものとする。また、図1には、一つの移動体2のみが図示されているが、実際にはより多数の移動体2が存在する。運行管理装置30は各移動体2の運行状況を管理しており、移動体2の現在位置、運行計画、及び線路・道路状況等を運行情報INFxとして生成し、これを提供するものである。
【0025】
運行情報INFxは移動体2の位置を示す移動体位置情報INF1と当該移動体2の運行に関連する関連位置情報INF2を含んでいる。移動体位置情報INF1は、移動体2の緯度経度の形式で与えられ、あるいは、路線名、最寄り駅から距離、および進行方向の形式で与えられる。例えば、「東経136度、北緯36度」、「東海道線、品川から横浜方面に2km」といった具合である。また、関連位置情報INF2は、電車の運行に関連する情報であって、電車名(例えば、ひかり10号)、事故や災害に関する情報等が含まれる。
【0026】
移動体通信網NETは、複数の基地局3−1、3−2、…、複数の交換局4−1、4−2、…、移動体位置管理装置40A、および移動端末位置管理装置50Aを備えている。このうち、移動端末位置管理装置50Aは、各移動通信端末の位置登録エリア情報を一括して管理する。
【0027】
各基地局3−1、3−2、…、は所定の間隔を隔てて配置されており、各々が基地局エリア4(図1においては符号「4a」ないし「4f」が付されている)を形成する。各基地局エリア4は、それを形成する基地局3との無線通信が可能な領域である。なお、以下では、図1に示すように、基地局3−1〜3−6が基地局エリア4a〜4fを各々形成するものとする。また、位置登録エリア5(図1においては符号「5A」、「5B」が付されている)は、複数の基地局エリア4をまとめたものであり、各交換局4−1、4−2、…に対応して設けられている。
【0028】
移動体2は、線路L上を移動する電車であり、その内部に、携帯電話機等の移動通信端末1−1、1−2、…を所持する複数の乗客が乗車できるようになっている。この移動体2は、線路Lが横切る複数の位置登録エリア5を順次通過する。また、移動体2には報知装置BCが設置されている。報知装置BCは移動体識別番号IDtを無線報知する。移動体識別番号IDtは各移動体2を識別できるように一意に割り当てられた識別子である。また、各移動通信端末1には、各端末を識別するための端末識別番号IDmが一意に割り当てられており、各移動通信端末1は各端末識別番号IDmを予め記憶している。端末識別番号IDmとしては、例えば、電話番号が該当する。
【0029】
各移動通信端末1は、移動体2に収容されていない場合には、基地局3から報知される位置登録エリア情報INFを受信し、これを記憶している。そして、位置登録エリアに変更があると、各移動通信端末1は、位置登録エリア情報INFと端末識別番号IDmとの組を移動体通信網NETに通知するようになっている。
一方、移動体2に各移動通信端末1が収容されると、各移動通信端末1は、報知装置BCから報知される移動体識別番号IDtを受信し、移動体識別番号IDtと端末識別番号IDmとの組を移動体通信網NETに通知する。
【0030】
より具体的には、移動通信端末1は、移動体識別番号IDtが報知されていないか常に監視しており、これを受信した場合にのみ移動体識別番号IDtを通知する動作を行うとともに移動体識別番号IDtの受信中は位置登録エリアに変更があったとしても位置登録エリア情報INFの通知を行わない。すなわち、移動通信端末1は、報知装置BCから移動体識別番号IDtを受信しない場合に位置登録エリアに変更があると、位置登録エリア情報INFと端末識別番号IDmの組を移動体通信網NETに送信している。これにより、基地局3と移動通信端末1との間の無線リソースを節約するとともに、トラヒックを低減することが可能となる。
【0031】
<1−1−2:移動端末位置管理装置50Aの構成>
次に、図2は、移動端末位置管理装置50Aの構成を示すブロック図である。この図に示すように移動端末位置管理装置50Aは、制御装置51および位置テーブルTBLを備えている。
【0032】
移動端末位置管理装置50Aには、各移動通信端末1がどの位置登録エリアに属するか、あるいはどの移動体2に属するかを管理する機能がある。第2に、移動端末位置管理装置50Aには、ある移動通信端末1に対して着信要求があった場合に呼出要求を生成する機能がある。
【0033】
第1の機能を実現するために、本実施形態では位置テーブルTBLを用いる。図3は、位置テーブルTBLの記憶内容を示す説明図である。位置テーブルTBLは、複数のレコードRb1、Rb2、…を備え、一つのレコードが各移動通信端末1の端末識別番号IDmと位置登録エリア情報INFとを関連付けて記憶する。ただし、ある移動通信端末1が移動体2に収容されている場合には、位置登録エリア情報INFの代わりに当該移動体2の移動体識別番号IDtが記憶される。
【0034】
ここで、位置登録エリア情報INFは、移動通信端末1が存圏する位置登録エリアを示す情報である。移動通信端末1は基地局3と制御チャネルを用いて交信して自己が在圏する位置登録エリア情報INFを認識し、これを端末識別番号IDmとともに基地局3および交換局4を介して移動端末位置管理装置50Aに通知する。また、移動通信端末1が移動体2に収容されると、移動体識別番号IDtを取得して、移動体識別番号IDtと端末識別番号IDmの組を基地局3および交換局4を介して移動端末位置管理装置50Aに通知する。制御装置51は、この通知に基づいて、位置テーブルTBLの記憶内容を更新する。
【0035】
例えば、移動体2に移動通信端末1−1が収容されており、それらに付与される端末識別番号IDmが「X00001」であり、報知装置BCが移動体識別番号IDt「A01234」を報知しているならば、位置テーブルTBLには、図3に示すようにレコードRb1に移動通信端末1−1の端末識別番号IDm「X00001」と移動体識別番号IDt「A01234」が関連付けられて記憶される。
【0036】
次に、制御装置51は、位置テーブルTBLと接続されており、これらに対してデータの読み書きを行うとともに、移動体位置管理装置40Aや交換局4との間で通信を行うものである。
【0037】
<1−1−3:移動体位置管理装置40Aの構成>
次に、図4は、移動体位置管理装置40Aの構成を示すブロック図である。この図に示すように移動体位置管理装置40Aは、制御部41および変換部42を備えている。
【0038】
まず、制御部41は、変換部42と接続され、装置全体を制御する制御中枢として機能するとともに、運行管理装置30および移動端末位置管理装置50Aとの間でデータ通信を行う。
【0039】
次に、変換部42は、運行管理装置30から通知される運行情報INFxの移動体位置情報INF1に基づいて位置登録エリア情報INFを生成するものである。移動体位置情報INF1は、上述したように移動体2の緯度経度の形式で与えられ、あるいは、路線名、最寄り駅から距離、および進行方向の形式で与えられるが、いずれの形式で移動体位置情報INF1が与えられたとしてもこれを位置登録エリア情報INFに変換することが可能である。
【0040】
この変換部42は、例えば、緯度・経度と位置登録エリア情報INFとを対応付けて記憶する第1テーブルと、路線図と位置登録エリア情報INFを対応付けて記憶する第2テーブルとを備える。そして、変換部42は、移動体位置情報INF1が緯度経度の形式で与えられると第1テーブルを参照して移動体位置情報INF1を位置登録エリア情報INFに変換する一方、移動体位置情報INF1が路線名、最寄り駅から距離、および進行方向の形式で与えられると、第2テーブルを参照して、路線図上での移動体2の位置を特定し、当該位置対応する位置登録エリア情報INFを出力する。
【0041】
<1−2.第1実施形態の動作>
次に、図面を参照して通信システムの動作を説明する。この例では、移動通信端末1が移動体2に収容され、この移動通信端末1に対して着信要求が発生したものとする。
【0042】
図5は、通信システムの動作を示すシーケンス図である。移動通信端末1が移動体2に収容されると、移動通信端末1は報知装置BCから報知される移動体識別番号IDtを受信し(ステップS1)、移動体識別番号IDtと端末識別番号IDmの組を含む位置登録通知を基地局3(図示略)および交換局4を介して移動端末位置管理装置50Aに送信する(ステップS2)。移動端末位置管理装置50Aは、位置登録通知に基づいて、位置テーブルTBLの記憶内容を更新する(ステップS3)。
【0043】
例えば、当該移動通信端末1の端末識別番号IDmが「X00002」であり、当該移動体2の移動体識別番号IDtが「A01234」であるとすれば、更新後の位置テーブルTBLには、図3のレコードRb2に示すように「X00002」と「A01234」とが関連付けられて記録される。
【0044】
ところで、位置登録エリアに変更があると、移動通信端末1は、変更後の位置登録エリア情報を移動端末位置管理装置50Aに通知するのが通常であるが、報知装置BCから報知される移動体識別番号IDtを受信している期間は、この通知を停止する。これは、移動通信端末1が移動体2に収容されている期間は、運行管理装置30からの運行情報INF1に基づいて位置登録エリア情報を取得するからである。これにより、位置登録エリアの変更に伴う通知を無くすことができるので、移動体通信網NETの通信資源を節約することが可能となる。
【0045】
さてここで、交換局4に移動通信端末1に対する着信要求が発生したとすると、交換局4は移動端末位置管理装置50Aにエリア情報問い合わせ要求REQ1を通知する(ステップS4)。このエリア情報問い合わせ要求REQ1には、移動通信端末1の端末識別番号IDmが含まれている。
【0046】
次に、エリア情報問い合わせ要求REQ1を移動端末位置管理装置50Aが受信すると、制御装置51は、エリア情報問い合わせ要求REQ1に含まれる端末識別番号IDmに基づいて、位置テーブルTBLを検索する(ステップS5)。制御装置51は、位置テーブルTBLから読み出された情報が位置登録エリア情報INFであるか、移動体識別番号IDtであるかを判定し、位置登録エリア情報INFである場合には、これをエリア情報問い合わせ応答として交換局4に通知する。この例では、移動通信端末1が移動体2に収容されているので、位置テーブルTBLから移動体識別番号IDtが読み出される。この場合には、以下のように処理される。
【0047】
移動端末位置管理装置50Aは、移動体識別番号IDtを含むエリア情報問い合わせ要求REQ2を生成し、これを移動体位置管理装置40Aに通知する(ステップS6)。この後、移動体位置管理装置40Aは、移動体識別番号IDtを含む運行情報問い合わせ要求REQ3を生成し、これを運行管理装置30に通知する(ステップS7)。
【0048】
この後、運行管理装置30は、移動体識別番号IDtを運行管理装置30の内部で用いる識別番号に変換し、これに基づいて運行情報INFxを生成する。そして、運行管理装置30は、移動体識別番号IDtと運行情報INFxとを含む運行情報問い合わせ応答RES3を移動体位置管理装置40Aに通知する(ステップS8)。
【0049】
次に、移動体位置管理装置40Aは運行情報INFxに含まれる移動体位置情報INF1を位置登録エリア情報INFに変換し(ステップS9)、位置登録エリア情報INFと移動体識別番号IDtとを含むエリア情報問い合わせ応答RES2を移動端末位置管理装置50Aに通知する。
【0050】
次に、エリア情報問い合わせ応答RES2を受信した移動端末位置管理装置50Aは、これをエリア情報問い合わせ応答RES1として交換局4に通知する(ステップS10)。この後、交換局4は位置登録エリア情報INFが示す位置登録エリアに属する基地局4に対して、移動体識別番号IDtを含む呼出要求を通知し、移動通信端末1からの応答を待って接続処理を行う。
【0051】
上述した第1実施形態によれば、移動通信端末1が移動体2に収容されると、移動通信端末1は位置登録エリアに変更があったとしても、位置登録エリア情報INFを移動体通信網NETに通知する必要がないので、無線リソースを節約することができ、基地局3や交換局4のトラヒックを削減することができる。
また、従来技術のように、移動体2に位置登録機能を備えた通信装置を設ける必要がないので、構成を簡易することが可能である。
さらに、運行情報INFxを移動体通信網NETで使用する位置登録エリア情報INFxに変換するようにしたので、これを用いて、各移動通信端末1の位置登録エリアを管理することが可能となる。
【0052】
<2.第2実施形態>
<2−1:第2実施形態の構成>
本発明の第2実施形態に係わる通信システムは、移動端末位置管理装置50Aの代わりに移動端末位置管理装置50Bを用いる点を除いて、図1に示す第1実施形態の通信システムと同様である。
【0053】
図6は、移動端末位置管理装置50Bの構成を示すブロック図である。この図に示すように移動端末位置管理装置50Bは、制御装置51、第1位置テーブルTBL1および第2位置テーブルTBL2を備えている。ここで、第2位置テーブルTBL2は上述した第1実施形態の位置テーブルTBLと同一である。すなわち、移動端末位置管理装置50Bは、第1位置テーブルTBL1を備える点で、第1実施形態の移動端末位置管理装置50Aと相違する。
【0054】
この移動端末位置管理装置50Bには、各移動通信端末1がどの位置登録エリアに属するかを管理する機能がある。特に、電車等の移動体2に収容される移動通信端末1については、各移動体2をキーとしてグループ化して位置登録エリアを管理する。このために、本実施形態では階層化された第1位置テーブルTBL1と第2位置テーブルTBL2とを用いる。
【0055】
図7は、第1および第2位置テーブルの記憶内容を示す説明図である。第1位置テーブルTBL1は、複数のレコードRa1、Ra2、…を備え、一つのレコードが移動体2に付与される移動体識別番号IDtと位置登録エリア情報INFとを関連付けて記憶する。総レコード数は移動体2の総数と一致する。したがって、第1位置テーブルTBL1を参照すれば、ある移動体2がどの位置登録エリアに属するかを知ることができる。
【0056】
例えば、移動体2が位置登録エリア5Aに在圏しており、当該移動体2に付与された移動体識別番号IDtが「A01234」であるとすれば、第1位置テーブルTBL1には、図7に示すようにレコードRa1に移動体識別番号IDt「A01234」と位置登録エリア「5A」が関連付けられて記憶される。
【0057】
本実施形態にあっては、移動体2の運行情報INFxに変化があると、運行管理装置30がこれを移動体位置管理装置40Aに通知し、移動体位置管理装置40Aが運行情報INFxを位置登録エリア情報INFに変換して移動端末位置管理装置50Bに通知するようになっている。これにより、移動端末位置管理装置50Bは、第1位置テーブルTBL1の記憶内容を更新する。なお、第2位置テーブルTBL2の記憶内容は、第1実施形態で説明したように、移動通信端末1からの通知によって更新される。
【0058】
ここで、第1および第2位置テーブルTBL1、TBL2の記憶内容が図7に示すものであって、ある移動通信端末1の端末識別番号IDmが「X00001」であるものとする。この場合、当該移動通信端末1の位置登録エリア情報INFを知るためには、まず、端末識別番号IDm「X00001」をキーとして第2位置テーブルTBL2を検索し、移動体識別番号IDt「A01234」を得る。次に、移動体識別番号IDt「A01234」をキーとして第1位置テーブルTBL1を検索し、位置登録エリア情報INF「5A」を得ることになる。
【0059】
<2−2:第2実施形態の動作>
次に、第2実施形態に係わる通信システムの動作を、図8に示すシーケンス図を参照して説明する。
まず、移動通信端末1が移動体2に収容されてから、移動端末位置管理装置50Bが、位置登録通知に基づいて、第2位置テーブルTBL2の記憶内容を更新するまでの動作は、第1実施形態と同様である(ステップS1〜S3)。
【0060】
次に、運行管理装置30において、移動体2の運行状況が変化すると、運行管理装置30は運行状況変更通知N1を移動体位置管理装置40Aに通知する(ステップS21)。運行状況変更通知N1は当該移動体2の移動体識別番号IDtと運行情報INFxとを含む。
【0061】
この後、移動体位置管理装置40Aは、運行情報INFXxに含まれる移動体位置情報INF1を位置登録エリア情報INFに変換し(ステップS22)、位置登録エリア情報INFと移動体識別番号IDtとを含むエリア情報変更通知N2を生成し、これを移動端末位置管理装置50Bに通知する(ステップS23)。
【0062】
例えば、移動体2が東海道線の電車であり、品川駅から横浜方面に進行中であり、所定時間が経過して横浜駅に到着したとする。また、品川駅は位置登録エリア5Aに属し、横浜駅は位置登録エリア5Bに属するものとする。そして、横浜駅に到着した時点で運行管理装置30が移動体位置情報INF1として「横浜駅に停車中」といった情報を生成するものとする。この場合、移動体位置管理装置40Aが、移動体位置情報INF1を含む運行状況変更通知N1を受信すると、制御部41は、変換部42を用いて移動体位置情報INF1を位置登録エリア5Bを示す位置登録エリア情報INFに変換し、これを移動端末位置管理装置50Bに通知することになる。
【0063】
次に、移動端末位置管理装置50Bがエリア情報変更通知N2を受信すると、そこに含まれる移動体識別番号IDtに基づいて第1位置テーブルTBL1を検索し、位置登録エリア情報INFを上書きする(ステップS24)。これによって、第1位置テーブルTBL1の記憶内容は常に最新の運行状況を反映させたものとなる。上述した例において、移動体識別番号IDtが「A01234」であり、更新前の記憶内容が図7に示すものであるとすれば、レコードRa1に含まれる位置登録エリア情報INFが「5A」から「5B」へ更新されることになる。
【0064】
この第2実施形態によれば、例えば、移動体2が移動することによってその運行状況に変化があると、運行管理装置30は、これを検知して運行情報INFxを自律的に生成して移動体位置管理装置40Aに通知する。そして、運行情報INFxは位置登録エリア情報INFに変換されて、移動端末位置管理装置50Bの第1位置テーブルTBL1に記憶される。したがって、第1位置テーブルTBL1に記憶される移動体識別番号IDtと位置登録エリア情報INFとは常に最新の状態となっている。これにより、移動体2に収容される移動通信端末1に着信要求があっても、わざわざ運行管理装置30に運行状況を問い合わせる必要がないので、この通信システムは着信処理を短時間で終了させることができるといった利点がある。
【0065】
<3.第3実施形態>
上述した第1および第2実施形態は、運行情報INFに基づいて移動通信端末MSの位置登録を行う通信システムに関するものであった。以下、この通信システムを利用した位置情報提供システムについて説明する。
【0066】
<3−1:第3実施形態の構成>
図9は、本発明の第3実施形態に係る位置情報提供システムの全体構成を示す図である。この位置情報提供システムは、第2実施形態の通信システムに位置情報サーバ60とクライアント端末70とを追加する点、および移動通信端末1の詳細な構成を除いて、同様に構成されている。
【0067】
したがって、本実施形態の位置情報提供システムでは、運行管理装置30は移動体2の運行状況に変化があると、運行情報INFxを含む運行状況変更通知N1を移動体位置管理装置40に送信し、移動体位置管理装置40Aは運行情報INFxに基づいて移動体2の位置登録エリア情報INFを生成しこれを移動端末位置管理装置50Bに送信する。このため、移動端末位置管理装置50Bの第1位置テーブルTBL1に記録される位置登録エリア情報INFは、常に最新の状態に更新されている。
【0068】
クライアント端末70は、移動体通信網NETに対してある移動通信端末の位置情報を問い合わせる装置であって、インターネット等の通信網に接続されたデスクトップコンピュータ、PDAなどの携帯情報機器、あるいは移動通信端末が該当する。
【0069】
次に、位置情報サーバ60は、クライアント端末70からの問い合わせに応じて、移動通信端末1の位置情報を提供する。図10は、位置情報サーバの構成を示すブロック図である。同図に示すように本実施形態にかかる位置情報サーバ60は、CPU(Central Processing Unit)61と、ROM(Read Only Memory)62と、RAM(RandamAccess Memory)63と、インターフェース部64と、ハードディスク65とを有する。
【0070】
CPU61は、各種のアプリケーションを実行するとともに、位置情報サーバ60の各構成部分を制御する。ROM62には、起動時に実行されるブートプログラム等が記憶されている。RAM63は、CPU61のワークエリアとして用いられ、ハードディスク65に記憶されているアプリケーションが必要に応じて転送される。ハードディスク65には、移動端末位置管理装置50Bやクライアント端末70と通信を行うための通信アプリケーション、運行情報INFx等に基づいて移動体2の将来の位置情報を予測する予測アプリケーション、位置登録エリア情報に基づいて移動通信端末に呼出を行う呼出アプリケーション等が格納されている。CPU61は、予測アプリケーションを実行することによって、移動体2の将来の位置を予測して予測位置情報を生成する。また、CPU61は、呼出アプリケーションを適宜実行して移動通信端末1を呼び出して、必要な情報を取得できるようになっている。
【0071】
次に、第3実施形態に係わる移動通信端末1は、位置を示す位置情報を生成し、位置情報サーバ60からの求めに応じてこれを送信する機能を有する点で、上述した第1および第2実施形態の移動通信端末1と相違する。図11は、第3実施形態の位置情報提供システムで用いる移動通信端末1の構成を示すブロック図である。
【0072】
同図に示すように移動通信端末1は、制御部100と、GPS(Global Positioning Systems)受信部110と、無線送受信部120と、指示入力部130と、液晶表示部140と、各要素間におけるデータの授受を仲介するバス150とを有する。
【0073】
GPS受信部110は、制御部100の制御の下、GPS衛星からの電波を受信して、緯度・経度を示す位置情報を生成する。また、無線送受信部120は、制御部100の制御の下、移動体通信網NETの基地局3と無線通信を行う。
【0074】
指示入力部130は、PB(プッシュボタン)等の各種ボタン及びカーソルキーからなり、ユーザによって入力操作が行われると、その入力操作に対応した操作信号を制御部100に供給する。液晶表示部140Aは、液晶パネル等の表示装置から構成されており、制御部100の制御の下に各種情報を表示する。
【0075】
制御部100は、例えば、CPU111と、ROM112と、RAM113と、EEPROM114を有しており、移動通信端末1の各部を制御する。ROM12には、制御用アプリケーションの他、通信アプリケーション、関連情報生成アプリケーション等が各種インストールされている。通信アプリケーションは位置情報サーバ60との間で通信するため用いられ、関連情報生成アプリケーションは位置情報に基づいて、進行方向と進行速度を算出し、これらを示す関連情報を生成するために用いられる。
【0076】
RAM113は、CPU111のワークエリアとして用いられ、ROM112から読み出された各種のアプリケーションが展開される。また、EEPROM114は、不揮発性の書き換え可能なメモリであって、通信アプリケーション、や関連情報生成アプリケーションが更新された場合に、これらを記憶する記憶部として使用される。
【0077】
以上の構成により、移動通信端末1は、GPS受信部110で受信した電波に基づいて、緯度・経度を示す位置情報や関連情報を生成するとともに、位置情報サーバ60から呼び出しを受けると、これらの情報を、無線送受信部120を介して位置情報サーバ60に送信するようになっている。
【0078】
<3−2.第3実施形態の動作>
次に、図面を参照して位置情報提供システムによる位置情報提供サービスの動作を説明する。図12は、第3実施形態に係わる位置情報提供システムの動作を示すシーケンス図である。
【0079】
利用者がある移動通信端末1について位置情報サービスを受けたい場合には、クライアント端末70を操作して、位置情報サーバ60にアクセスして、モニタ画面に従って当該移動通信端末1の端末識別番号IDm(例えば電話番号)を入力する。すると、クライアント端末70は、端末識別番号IDmを含む移動端末位置情報要求REQ4を位置情報サーバ60に送信する(ステップS31)。
【0080】
位置情報サーバ60は、移動端末位置情報要求REQ4を受信すると、移動端末位置管理装置50に対して、移動端末問い合わせ要求REQ5を送信する(ステップS32)。この移動端末問い合わせ要求REQ5には端末識別番号IDmが含まれている。
【0081】
次に、移動端末位置管理装置50Bは、第1及び第2位置テーブルTBL1及びTBL2を検索して、端末識別番号IDmに対応する位置登録エリア情報INFを取得する(ステップS33)。また、移動端末位置管理装置50は、第2位置テーブルTBL2の位置登録エリア情報の欄に移動体識別番号IDtが記憶されていたか否かを判定し、記憶されていた場合には「1」となり、記憶されていなかった場合には「0」となる乗車フラグFRGを生成する(ステップS33)。
【0082】
この後、移動端末位置管理装置50は、位置登録エリア情報INFと乗車フラグFRGを含む移動端末問い合わせ応答RES5を位置情報サーバ60に送信する(ステップS34)。移動端末問い合わせ応答RES5を受信した位置情報サーバ60は、位置登録エリア情報INFに基づいて呼出アプリケーションを実行し、移動通信端末1を呼び出す(ステップS35)。具体的には、交換局4を介して当該位置登録エリア情報INFの示す位置登録エリアに属する基地局3に対し、端末識別番号IDmを通知して呼び出しを行う。さらに、位置情報サーバ60は、乗車フラグFRGが「1」の場合、乗車中であること示す乗車情報を生成する一方、乗車フラグFRGが「0」の場合には乗車情報を生成しない。
【0083】
移動端末呼出を受信した移動通信端末1は、その内部で現在位置を示す位置情報、移動方向や移動速度を示す関連情報を生成し、これらを含む移動端末応答を位置情報サーバ60に送信する(ステップS36)。
【0084】
移動端末応答を受信した位置情報サーバ60は、位置情報、関連情報、及び乗車情報を含む位置情報応答RES4をクライアント端末70に送信する(ステップS37)。例えば、利用者が移動通信端末1を携帯して電車に乗車中であり、電車が東経138度・緯度36度に位置し、46Kmの速度で南に進行中である場合には、クライアント端末70に対して「東経138度・緯度36度」を示す位置情報と、「移動速度46Km、進行方向南」を示す関連情報と、「電車に乗っている」ことを示す乗車情報が送信される。
【0085】
また、仮に、移動通信端末1を携帯した利用者が電車に乗車していなかった場合には、移動端末問い合わせ応答RES5に含まれる乗車フラグFRGが「0」となるので、位置情報サーバ60は、クライアント端末70に対して「電車に乗っている」ことを示す乗車情報を送信しないことになる。
【0086】
このように第3実施形態によれば、位置情報サーバ60は、乗車フラグFRGに基づいて、移動端末位置管理装置50Bに移動体識別番号IDtが記憶されている否かを判定するから、クライアント端末70に対して、移動通信端末1の利用者が電車に乗っているか否かを知らせることができる。
また、位置情報サーバ60は、移動通信端末1から位置情報を取得するから、これをクライアント端末70に対して提供することができる。
【0087】
<3−3.第3実施形態の変形例>
上述した第3実施形態においては、第2実施形態と同様に、運行管理装置30が電車等の移動体2が移動したことを検知して運行情報INFxを移動体位置管理装置40Aに通知し、移動体位置管理装置40Aが運行情報INFxを位置登録エリア情報INFに変換し、移動端末位置管理装置50Bは第1位置テーブルTBL1の内容を更新するようにした。そして、位置情報サーバ60は移動端末位置管理装置50Bに対して、移動端末問い合わせ要求REQ5を送信し、移動通信端末1の位置登録エリア情報INFを取得し、この位置登録エリア情報INFに基づいて移動通信端末1へ位置情報の問い合わせを行うようにした。
【0088】
本発明はこれに限定されるものではなく、図1に示す第1実施形態の通信システムに位置情報サーバ60とクライアント端末70を適用して、位置情報提供システムを構成してもよい。この場合、移動端末位置管理装置50Aが、移動端末問い合わせ要求REQ5を位置情報サーバ60から受信すると、図2に示すステップS5からステップS10までの処理が行われ、移動端末位置管理装置50Aは位置登録エリア情報INFを取得し、これを位置情報サーバ60に送信する。そして、位置情報サーバ60は、受信した位置登録エリア情報INFに基づいて移動通信端末1へ位置情報の問い合わせを行えばよい。
【0089】
<4.第4実施形態>
<4−1:第4実施形態の構成>
第4実施形態に係る位置情報提供システムは、運行管理装置30の詳細な動作および移動体位置管理装置40Aの代わりに移動体位置管理装置40Bを用いる点を除いて、第3実施形態の位置情報提供システムと同様に構成されている。
【0090】
まず、運行管理装置30は、移動体位置管理装置40Bから問い合わせがあった場合にのみ運行情報INFxを移動体位置管理装置40Bへ返送するようになっており、運行状況が変化したことを契機に運行情報INFxを移動体位置管理装置40Bへ通知しない。
【0091】
次に、図13は、移動体位置管理装置40Bの構成を示すブロック図である。移動体位置管理装置40Bは、管理テーブルTBLkを備える点で、図2に示す移動体位置管理装置40Aと相違する。
【0092】
図14は管理テーブルTBLkの記憶内容の一例を示す説明図である。管理テーブルTBLkは、複数のレコードRc1、Rc2、…を備え、一つのレコードが各移動体2の移動体識別番号IDtと運行情報INFxと記録時刻Tとを関連付けて記憶する。ここで記録時刻Tとは運行情報INFxを当該管理テーブルTBLkに記録した時刻をいう。制御部51は、記録時に図示せぬタイマー部からシステム時刻を取得して、これを記録時刻Tとして書き込む。図14に示す例では、移動体識別番号IDt「A01234」に対応する移動体位置情報INF1として「東経136度、北緯36度」が管理テーブルTBLkに13:00に記録されたことになる。
【0093】
<4−2:第4実施形態の動作>
次に、第4実施形態に係わる位置情報提供システムの動作を図15を参照しつつ説明する。図15は、このシステムの動作を示すシーケンス図である。
まず、位置情報サーバ60が移動端末問い合わせ要求REQ7を送信するまでのステップS41およびステップS42は、上述したステップS31およびS32と同様である。
【0094】
次に、移動端末位置管理装置50は、第2位置テーブルTBL2を検索して、位置登録エリア情報の欄に端末識別番号IDmに対応する移動体識別番号IDtが記憶されているか否かを判定し、記憶されていた場合には「1」となり、記憶されていなかった場合には「0」となる乗車フラグFRGを生成する(ステップS43)。
【0095】
移動体識別番号IDtが記憶されていた場合には、移動端末位置管理装置50は、移動体位置管理装置40Bに移動体識別番号IDtを含む運行状況問い合わせ要求REQ8を送信する(ステップS44)。
【0096】
移動体位置管理装置40Aは、移動体識別番号IDtに基づいて管理テーブルTBLkを検索し、対応する運行情報INFxおよび記録時刻Tを読み出す。そして、移動体位置管理装置40Aは、運行情報INFxが記憶されていなかった場合、または、現在時刻が記録時刻Tから所定時間を経過している場合には、運行管理装置30に対して運行状況問い合わせ要求REQ9を送信する(ステップS45)。
【0097】
運行管理装置30は、移動体識別番号IDtに基づいて移動体2の運行情報INFxを生成し、これを含む運行状況問い合わせ応答RES9を移動体位置管理装置40Bに送信する(ステップS46)。この際、移動体位置管理装置40Bの制御部41は、新たに取得した運行情報INFxを用いて管理テーブルTBLkの記憶内容を更新するとともに、管理テーブルTBLkの記録時刻Tの欄に更新した時刻を記録する(ステップS47)。
【0098】
この後、移動体位置管理装置40Bは、運行情報INFxを含む運行状況問い合わせ応答RES8を移動端末位置管理装置50へ送信する(ステップS48)。なお、管理テーブルTBLkに運行情報INFxが記憶されており、かつ、現在時刻が記録時刻Tから所定時間を経過していない場合には、移動体位置管理装置40Bは、ステップS45〜ステップS47の処理を省略して、運行状況問い合わせ応答RES6を移動端末位置管理装置50Bへ直接送信する(ステップS48)。次に、移動端末位置管理装置50Bは運行情報INFxを含む移動端末問い合わせ応答RES7を位置情報サーバ60に送信する(ステップS49)。
【0099】
次に、位置情報サーバ60は、運行情報INFxを移動体位置情報INF1と関連位置情報INF2とに分離し、関連位置情報INF2に基づいて将来の位置を予測する。
【0100】
例えば、移動体識別番号IDtが「A01234」である移動体2に移動通信端末1を携帯した利用者が乗車しており、管理テーブルTBLkの記憶内容が図14に示すものであり、当該移動通信端末1についてクライアント端末70から位置情報問い合わせ要求REQ4があったとする。この場合には、ステップS42〜S49の処理を経て、位置情報サーバ60は、関連位置情報INF2として「あずさ2号」を取得する。そして、予めハードディスク65に記憶している時刻表データに基づいて、あずさ2号の将来の位置を示す予測位置情報を生成する。例えば、18分後に松本に到着するのであれば、「18分後に松本に到着」を予測位置情報とする。
【0101】
この後、位置情報サーバ60は、移動体位置情報INF1、関連位置情報INF2、及び乗車情報を含む移動端末位置情報応答RES6をクライアント端末70に送信する(ステップS20)。上述した具体例では、クライアント端末70に対して「東経138度・緯度36度」を示す移動体位置情報INF1と、「あずさ2号」を示す関連位置情報INF2と、「18分後に松本に到着」を示す予測位置情報と、「電車に乗っている」ことを示す乗車情報が送信される。
【0102】
このように第4実施形態によれば、移動体識別番号IDtをキーとして、運行情報INFxと端末識別番号IDmとを関連付けたので、運行管理装置30から取得した運行情報INFxに基づいて、移動通信端末1の現在位置および将来の位置を、クライアント端末70に対して提供することができる。
また、移動体2が、例えばトンネルの内部を通過中で電波の届かない場所にあっても、移動通信端末1の現在位置および将来の位置を、クライアント端末70に対して提供することができる。
【0103】
さらに、管理テーブルTBLkには運行情報INFxを記録した記録時刻Tも併せて記憶するようにしたので、ある時間が経過して運行情報INFxの信頼性が低下した場合には、新たな運行情報INFxを運行管理装置30から取得する一方、さほど時間が経過していない場合には管理テーブルTBLkに記録されている運行情報INFxを使用するから、運行管理装置30への問い合わせ回数を削減するとともに高い信頼性の下に位置情報を提供することが可能となる。
【0104】
<4−3.第4実施形態の変形例>
なお、上述した第4実施形態では、移動体位置管理装置40Bから運行管理装置30に対して、必要に応じて運行情報INFxを問い合わせるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、運行管理装置30において運行情報INFxに変更があったことを検知し、この変更検知をトリガとして、運行管理装置30が変更後の運行情報INFxを移動体位置管理装置40Aに送信し、管理テーブルTBLkの記憶内容を更新するようにしてもよい。この場合には、管理テーブルTBLkの記憶内容を常に最新のものとすることができるので、位置情報サーバ60において正確な位置予測を行うことができ、さらに、移動体位置管理装置40Aにおいて記録時刻Tに基づく問い合わせをすべき否かの判定を省略することが可能である。
【0105】
以上説明したように、この発明によれば、利用者が移動通信端末を携帯して電車やバス等の移動体に乗車した場合に、無線リソースを消費することなく位置登録エリア情報を登録することができる。また、この発明によれば、確実に位置情報を提供することができ、かつ、将来に位置情報も提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1実施形態に係る通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同システムにおける移動通信端末位置管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同装置における位置テーブルの記憶内容を示す説明図である。
【図4】同システムにおける移動体位置管理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】同システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の第2実施形態の通信システムに用いる移動体位置管理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】同装置における第1および第2位置テーブルの記憶内容を示す説明図である。
【図8】同システムの動作を示すシーケンス図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る位置情報提供システムの全体構成を示すブロック図である。
【図10】同システムにおける位置情報サーバの構成を示すブロック図である。
【図11】同システムにおける移動通信端末の構成を示すブロック図である。
【図12】同システムの動作を示すシーケンス図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る位置情報提供システムに用いる移動体位置管理装置の構成を示すブロック図である。
【図14】同装置における管理テーブルの記憶内容を示す説明図である。
【図15】同システムの動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0107】
1……移動通信端末、2……移動体、BC……報知装置、30……運行管理装置、40A,40B……移動体位置管理装置、50……移動端末位置管理装置、60……位置情報サーバ、70……クライアント端末、NET……移動体通信網、TBL1……第1位置テーブル、TBL2……第2位置テーブル。TBLk……管理テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に収容される移動通信端末の位置を予め定められた位置登録エリアによって移動体通信網で管理する位置管理方法であって、
前記移動通信端末は、前記移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を前記移動体通信網へ送信し、
前記移動体通信網は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶し、
前記移動体通信網は、前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を運行管理装置から取得すると、前記運行情報を前記位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、
前記移動体通信網は、変換された位置登録エリア情報に基づいて、前記移動体に収容される前記移動通信端末の位置を管理する
ことを特徴とする位置管理方法。
【請求項2】
前記移動体通信網は、前記移動通信端末へ着信が発生すると、前記運行管理装置へ前記運行情報を問い合わせることを特徴とする請求項1に記載の位置管理方法。
【請求項3】
移動通信端末と通信を行う移動体通信網と、移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備える通信システムに用いられる通信方法であって、
前記移動通信端末は、前記移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を前記移動体通信網へ送信し、
前記移動体通信網は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶し、
前記移動通信端末に着信が発生すると、前記移動体通信網は、着信があった前記移動通信端末の端末識別情報に基づいて、当該端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を取得し、
前記移動体通信網が取得した前記移動体識別情報を前記運行管理装置に送信すると、前記運行管理装置は受信した前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を生成し、
前記運行管理装置が前記運行情報を前記移動体通信網に送信すると、前記移動体通信網は受信した前記運行情報を位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、
前記移動体通信網は、当該位置登録エリア情報に基づいて着信処理を行う
ことを特徴とする通信方法。
【請求項4】
移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網と、前記移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備えた通信システムであって、
前記移動体通信網は、前記移動通信端末と通信を行う基地局と、前記基地局と通信を行う交換局と、前記交換局と通信を行う端末位置管理装置と、前記端末管理装置および前記運行管理装置と通信を行う移動体位置管理装置とを備え、
前記端末位置管理装置は、
前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶する第1記憶手段と、
前記交換局から、前記端末識別情報を指定して前記移動通信端末の端末位置登録エリアを示す位置登録エリア情報について問い合わせがあると、前記端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を読み出して、読み出した移動体識別情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段と、
前記移動体位置管理装置から前記移動体識別情報に対応する前記位置登録エリア情報を受信すると、当該位置登録エリア情報を前記交換局に送信する手段とを備え、
前記移動体端末位置管理装置は、
前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記運行管理装置へ前記移動体識別情報を送信する手段と、
前記運行管理装置から前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を受信する手段と、
前記運行情報を前記位置登録エリア情報に変換する手段と、
前記位置登録エリア情報を前記端末位置管理装置に送信する手段とを備え、
前記運行管理装置は、
前記移動体端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記移動体識別情報に基づいて前記運行情報を生成する手段と、
前記運行情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段とを備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網と、前記移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備えた通信システムであって、
前記移動体通信網は、前記移動通信端末と通信を行う基地局と、前記基地局と通信を行う交換局と、前記交換局と通信を行う端末位置管理装置と、前記端末管理装置および前記運行管理装置と通信を行う移動体位置管理装置とを備え、
前記運行管理装置は、
前記移動体の運行状況に変化があると当該移動体の運行状況を示す運行情報を生成する手段と、
前記移動体の前記移動体識別情報と前記運行情報との組を前記移動体位置管理装置に送信する手段とを備え、
前記移動体位置管理装置は、
前記運行管理装置から前記移動体識別情報と前記運行情報の組を受信すると、前記運行情報を前記移動体の位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換する手段と、
前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報との組を前記端末位置管理装置に送信する手段とを備え、
前記端末位置管理装置は、
前記移動体位置管理装置から前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報の組を受信すると、前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報とを対応付けて記憶する第1記憶手段と、
前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶する第2記憶手段と、
前記交換局から、前記端末識別情報を指定して前記位置登録エリア情報について問い合わせがあると、前記端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を読み出して、前記交換局に送信する手段とを備え、
前記移動通信端末は、前記報知装置から前記移動体識別情報を受信しない場合に位置登録エリアに変更があると、変更後の位置登録エリアを示す位置登録エリア情報と前記端末識別情報の組を前記移動体通信網に送信し、
前記端末位置管理装置は、前記移動通信端末から前記位置登録エリア情報と前記端末識別情報との組を受信すると、前記第2記憶手段に前記移動体識別情報の代わりに前記位置登録エリア情報を前記端末識別情報と対応付けて記憶する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信した場合、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網を用いて、外部端末からの問い合わせに応じて前記移動通信端末の位置情報を提供する位置情報提供システムであって、
前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報とを対応付けて記憶する端末位置管理装置と、
前記外部端末からある移動通信端末を特定する端末識別情報を含む位置問い合わせ要求を受信すると、当該端末識別情報に対応する前記移動体識別情報が前記端末位置管理装置に記憶されているか否かを判定する手段と、前記移動体識別情報が記憶されている場合には、問い合わせがあった移動通信端末は前記移動体に収容されていることを示す収容情報を位置問い合わせ応答として前記外部端末へ送信する手段とを有する位置情報管理装置と
を備えたことを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項7】
前記位置情報管理装置は、前記端末識別情報に基づいて前記移動通信端末と通信を行うことにより、前記移動通信端末が生成する位置情報を取得する手段と、前記収容情報とともに前記位置情報を前記外部端末へ送信する手段とを有することを特徴とする請求項6に記載の位置情報提供システム。
【請求項8】
前記位置情報提供システムは、前記移動体の運行状況を示す運行情報を管理する運行管理装置との間で通信を行う移動体位置管理装置を含み、
前記位置情報管理装置は、
前記外部端末から前記端末識別情報を含む位置問い合わせ要求を受信すると、前記端末識別情報を前記端末位置管理装置に送信する手段と、
前記移動通信端末の前記位置情報を取得すると、前記収容情報と前記位置情報とを前記外部端末に送信する手段とを備え、
前記端末位置管理装置は、
前記位置情報管理装置から前記端末識別情報を受信すると、前記端末識別情報に対応した前記移動体識別情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段を備え、
前記移動体位置管理装置は、
前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記運行管理装置から前記移動体識別情報に対応する前記運行情報を取得する手段と、
取得した前記運行情報を位置情報に変換して、前記位置情報を前記端末位置管理装置を介して前記位置情報管理装置に送信する手段とを備える
ことを特徴とする請求項6に記載の位置情報提供システム。
【請求項9】
前記移動体位置管理装置は、前記運行管理装置から取得した前記運行情報を前記移動体識別情報と対応付けて記憶する手段を備え、前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、記憶している前記運行情報に基づいて前記位置情報を生成する
ことを特徴とする請求項8に記載の位置情報提供システム。
【請求項10】
前記位置情報管理装置は、前記外部端末から前記位置問い合わせ要求があると、前記運行情報に基づいて前記移動通信端末の未来の位置を予測して予測位置情報を生成し、前記外部端末に対して前記予測位置情報を通知することを特徴とする請求項8または9に記載の位置情報提供システム。
【請求項1】
移動体に収容される移動通信端末の位置を予め定められた位置登録エリアによって移動体通信網で管理する位置管理方法であって、
前記移動通信端末は、前記移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を前記移動体通信網へ送信し、
前記移動体通信網は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶し、
前記移動体通信網は、前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を運行管理装置から取得すると、前記運行情報を前記位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、
前記移動体通信網は、変換された位置登録エリア情報に基づいて、前記移動体に収容される前記移動通信端末の位置を管理する
ことを特徴とする位置管理方法。
【請求項2】
前記移動体通信網は、前記移動通信端末へ着信が発生すると、前記運行管理装置へ前記運行情報を問い合わせることを特徴とする請求項1に記載の位置管理方法。
【請求項3】
移動通信端末と通信を行う移動体通信網と、移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備える通信システムに用いられる通信方法であって、
前記移動通信端末は、前記移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を前記移動体通信網へ送信し、
前記移動体通信網は、前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶し、
前記移動通信端末に着信が発生すると、前記移動体通信網は、着信があった前記移動通信端末の端末識別情報に基づいて、当該端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を取得し、
前記移動体通信網が取得した前記移動体識別情報を前記運行管理装置に送信すると、前記運行管理装置は受信した前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を生成し、
前記運行管理装置が前記運行情報を前記移動体通信網に送信すると、前記移動体通信網は受信した前記運行情報を位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換し、
前記移動体通信網は、当該位置登録エリア情報に基づいて着信処理を行う
ことを特徴とする通信方法。
【請求項4】
移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網と、前記移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備えた通信システムであって、
前記移動体通信網は、前記移動通信端末と通信を行う基地局と、前記基地局と通信を行う交換局と、前記交換局と通信を行う端末位置管理装置と、前記端末管理装置および前記運行管理装置と通信を行う移動体位置管理装置とを備え、
前記端末位置管理装置は、
前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶する第1記憶手段と、
前記交換局から、前記端末識別情報を指定して前記移動通信端末の端末位置登録エリアを示す位置登録エリア情報について問い合わせがあると、前記端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を読み出して、読み出した移動体識別情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段と、
前記移動体位置管理装置から前記移動体識別情報に対応する前記位置登録エリア情報を受信すると、当該位置登録エリア情報を前記交換局に送信する手段とを備え、
前記移動体端末位置管理装置は、
前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記運行管理装置へ前記移動体識別情報を送信する手段と、
前記運行管理装置から前記移動体識別情報に対応する移動体の運行状況を示す運行情報を受信する手段と、
前記運行情報を前記位置登録エリア情報に変換する手段と、
前記位置登録エリア情報を前記端末位置管理装置に送信する手段とを備え、
前記運行管理装置は、
前記移動体端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記移動体識別情報に基づいて前記運行情報を生成する手段と、
前記運行情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段とを備える
ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信すると、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網と、前記移動体の運行状況を管理する運行管理装置とを備えた通信システムであって、
前記移動体通信網は、前記移動通信端末と通信を行う基地局と、前記基地局と通信を行う交換局と、前記交換局と通信を行う端末位置管理装置と、前記端末管理装置および前記運行管理装置と通信を行う移動体位置管理装置とを備え、
前記運行管理装置は、
前記移動体の運行状況に変化があると当該移動体の運行状況を示す運行情報を生成する手段と、
前記移動体の前記移動体識別情報と前記運行情報との組を前記移動体位置管理装置に送信する手段とを備え、
前記移動体位置管理装置は、
前記運行管理装置から前記移動体識別情報と前記運行情報の組を受信すると、前記運行情報を前記移動体の位置登録エリアを示す位置登録エリア情報に変換する手段と、
前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報との組を前記端末位置管理装置に送信する手段とを備え、
前記端末位置管理装置は、
前記移動体位置管理装置から前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報の組を受信すると、前記移動体識別情報と前記位置登録エリア情報とを対応付けて記憶する第1記憶手段と、
前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報との組に基づいて、前記端末識別情報と前記移動体識別情報とを対応付けて記憶する第2記憶手段と、
前記交換局から、前記端末識別情報を指定して前記位置登録エリア情報について問い合わせがあると、前記端末識別情報に対応する前記移動体識別情報を読み出して、前記交換局に送信する手段とを備え、
前記移動通信端末は、前記報知装置から前記移動体識別情報を受信しない場合に位置登録エリアに変更があると、変更後の位置登録エリアを示す位置登録エリア情報と前記端末識別情報の組を前記移動体通信網に送信し、
前記端末位置管理装置は、前記移動通信端末から前記位置登録エリア情報と前記端末識別情報との組を受信すると、前記第2記憶手段に前記移動体識別情報の代わりに前記位置登録エリア情報を前記端末識別情報と対応付けて記憶する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
移動体に設置された報知装置から当該移動体を識別するための移動体識別情報を受信した場合、受信した前記移動体識別情報と当該移動通信端末を識別するための端末識別情報との組を送信する移動通信端末との間で通信を行う移動体通信網を用いて、外部端末からの問い合わせに応じて前記移動通信端末の位置情報を提供する位置情報提供システムであって、
前記移動通信端末から送信される前記移動体識別情報と前記端末識別情報とを対応付けて記憶する端末位置管理装置と、
前記外部端末からある移動通信端末を特定する端末識別情報を含む位置問い合わせ要求を受信すると、当該端末識別情報に対応する前記移動体識別情報が前記端末位置管理装置に記憶されているか否かを判定する手段と、前記移動体識別情報が記憶されている場合には、問い合わせがあった移動通信端末は前記移動体に収容されていることを示す収容情報を位置問い合わせ応答として前記外部端末へ送信する手段とを有する位置情報管理装置と
を備えたことを特徴とする位置情報提供システム。
【請求項7】
前記位置情報管理装置は、前記端末識別情報に基づいて前記移動通信端末と通信を行うことにより、前記移動通信端末が生成する位置情報を取得する手段と、前記収容情報とともに前記位置情報を前記外部端末へ送信する手段とを有することを特徴とする請求項6に記載の位置情報提供システム。
【請求項8】
前記位置情報提供システムは、前記移動体の運行状況を示す運行情報を管理する運行管理装置との間で通信を行う移動体位置管理装置を含み、
前記位置情報管理装置は、
前記外部端末から前記端末識別情報を含む位置問い合わせ要求を受信すると、前記端末識別情報を前記端末位置管理装置に送信する手段と、
前記移動通信端末の前記位置情報を取得すると、前記収容情報と前記位置情報とを前記外部端末に送信する手段とを備え、
前記端末位置管理装置は、
前記位置情報管理装置から前記端末識別情報を受信すると、前記端末識別情報に対応した前記移動体識別情報を前記移動体位置管理装置に送信する手段を備え、
前記移動体位置管理装置は、
前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、前記運行管理装置から前記移動体識別情報に対応する前記運行情報を取得する手段と、
取得した前記運行情報を位置情報に変換して、前記位置情報を前記端末位置管理装置を介して前記位置情報管理装置に送信する手段とを備える
ことを特徴とする請求項6に記載の位置情報提供システム。
【請求項9】
前記移動体位置管理装置は、前記運行管理装置から取得した前記運行情報を前記移動体識別情報と対応付けて記憶する手段を備え、前記端末位置管理装置から前記移動体識別情報を受信すると、記憶している前記運行情報に基づいて前記位置情報を生成する
ことを特徴とする請求項8に記載の位置情報提供システム。
【請求項10】
前記位置情報管理装置は、前記外部端末から前記位置問い合わせ要求があると、前記運行情報に基づいて前記移動通信端末の未来の位置を予測して予測位置情報を生成し、前記外部端末に対して前記予測位置情報を通知することを特徴とする請求項8または9に記載の位置情報提供システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−325231(P2006−325231A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175714(P2006−175714)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【分割の表示】特願2001−110325(P2001−110325)の分割
【原出願日】平成13年4月9日(2001.4.9)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【分割の表示】特願2001−110325(P2001−110325)の分割
【原出願日】平成13年4月9日(2001.4.9)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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