説明

低いセリア還元温度を有する酸素貯蔵触媒

排気流の排気ガスを軽減する触媒、システムおよび方法が、提供される。遷移金属酸化物安定化酸素貯蔵触媒を備えたシステムが、説明される。排気ガス処理システムは、ディーゼルエンジンおよび希薄燃焼ガソリンエンジンを含む希薄燃焼エンジンからの排気流の処理のために、都合よく利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス流の汚染物質の還元に有用な排処理システムおよび方法に関する。詳細には、本発明の実施形態は、遷移金属酸化物によって、活性化されるセリア系酸素貯蔵触媒材料に関する。
【背景技術】
【0002】
三元触媒(TWC)組成物は、気体流の、炭化水素および一酸化炭素の酸化ならびに窒素酸化物の還元といった、酸化および還元反応に、実質的に同時に触媒作用を及ぼす能力を有するという点で、多機能である。このような触媒組成物は、自動車、トラックおよび他のガソリン燃料エンジンといった、内燃機関からの排ガスの処理を含む、多くの分野で実用性が見いだされる。
【0003】
「密結合」触媒とは、排気マニホルドの出口から、典型的には1フット未満、より典型的には6インチ未満で、エンジン室に配置され、一般に排気マニホルドの出口に直接取り付けられたものと通常定義される。また「疎結合」触媒とは、従来技術で公知で、排気マニホルドの出口から普通約24インチ以下、典型的には18インチ以下(いくらかの密結合触媒の下流)に配置されたものと通常定義される。また床下触媒部材は、従来技術で公知で、車両のマフラーに隣接して、または、車両のマフラーと組み合わせて車両の床面の下(いくらかの密結合および/または疎結合触媒の下流)に配置される。
【0004】
触媒コンバータのような自動車排気処理デバイスは、従来、車両の床下位置に配置される。本発明では、「車両」という用語は、乗用車またはトラックを示すものと理解され、そして、「エンジン」という用語は、車両と関連したガソリン式の内燃機関を示すものと理解される。
【0005】
エンジン排ガスが排気マニホルドの出口から排気管を通って触媒コンバータへ移動する頃には、ガスはマニホルドまたはその近くの温度と比べて著しく低下するため、排ガスが触媒コンバータの触媒を点火温度まで加熱する前に、排ガス流の汚染物質の、かなりの低転化速度期間がある。したがって、エンジン動作のコールドスタート中には、比較的多量の汚染物質を含有したエンジン排ガスがかなり放出される。
【0006】
排ガス流の汚染物質のレベル、詳細には炭化水素および一酸化炭素のレベルを低減するため、エンジンと連動して使用される空気ポンプが、このような汚染物質の酸化を援助可能である。しかしながら、車両製造業者は、関連配管および機械的部品によって、エンジン構成に影響を及ぼし、エンジンの最適性能に悪影響を及ぼさずに抑制をすることが困難である、空気ポンプなどの機械的汚染抑制デバイスの利用を、回避することを好む。したがって、車両製造業者は、機械式の汚染抑制デバイスを利用せずに、最適性能のために、エンジンをチューニングすることを好み、その代わりとして、密結合および/または疎結合形式の、1つ以上の上流の触媒ブリック、ならびに、必要に応じて、床下位置に配置された触媒転化された、を含む触媒部材を用いるだけで、下記の車両排出基準を満たす。しかしながら、ますます厳しくなる政府の排出基準は、コールドスタート排出量を減少することを要求する。
【0007】
カリフォルニア州以外のすべての州で有効な、現行の「LEV」(低公害車)基準は、1マイルにつき0.08グラムを上回る非メタン炭化水素、1マイルにつき3.4グラムを上回る一酸化炭素および1マイルにつき0.2グラムを上回るNOx(窒素酸化物)の排気ガスを禁止する。多くの車両製造業者は、空気ポンプなどの追加の機械的デバイスを同時使用せずに、有効な上流および/または下流触媒組成物を用いるだけで、現行の基準を満たすことは困難である。さらに懸念されるのは、カリフォルニア大気資源局(「CARB」)が、1マイルにつき0.04グラムを上回る非メタン炭化水素、1マイルにつき1.7グラムを上回る一酸化炭素、および、1マイルにつき0.2グラムを上回るNOxの排気ガスを禁止する新たな「ULEV」(超低公害車)基準を発表したことである。しかも、車両排出基準の歴史的傾向に基づき、新たなULEV基準が、数年内に全国的に定められる可能性がある。新たなULEV基準を満たす効果的な方法が迅速に開発され、実装できなければ、車両製造業者は、エンジン/排気構成を著しく変化させず、追加的な機械的汚染抑制デバイスを取込まず、そして、大量の高価な貴金属ベースの触媒システムを使用せずに、このような基準を達成する困難な問題に直面する。
【0008】
典型的な自動車触媒は、未燃炭化水素および一酸化炭素の排ガスの酸素による酸化、および、窒素酸化物の窒素への還元に、触媒作用を及ぼす床下TWCである。優れた活性および長い寿命を示すTWC触媒は、高表面積、耐火性酸化物支持体、例えば、高表面積アルミナコーティングに配置された、1つ以上の白金族金属(例えば、プラチナまたはパラジウム、ロジウム、ロジウムおよびイリジウム)を備える。支持体は、耐火性セラミックもしくは金属ハニカム構造を備えたモノリス担体などの、適切な担体もしくは基体、または、適切な耐火材の球体もしくは短突出部分などの、耐火性粒子に支えられる。
【0009】
したがって、触媒材料のための技術に、より低い動作温度で有効であり、より小量の白金族金属部材を利用する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明の1つ以上の実施形態は、セリア、ジルコニアおよび希土類酸化物を含む担体を備えた酸素貯蔵材に関する。約0.1重量%から約10重量%の範囲の、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金、酸化ビスマスおよび酸化スズ、ならびに、これらの組み合わせからなるグループから選択された遷移金属酸化物によって、材料は、活性化される。特定の実施形態の酸素貯蔵材は、遷移金属酸化物が担体に分散された表面を有する。
【0011】
詳細な実施形態においては、セリアが酸化状態間を変化する還元温度を、セリアが有し、そして、追加される遷移金属を含まない基準物質と比較して、少なくとも約100℃セリア還元温度を減少させるのに十分な量で、遷移金属酸化物が存在する。
【0012】
詳細な実施形態においては、酸素貯蔵材は、貯蔵材が約4時間約1000℃で空気により熟成され、約0.5%のH/Heの水素昇温還元(TPR)分析により試験されるときに、約475℃未満のセリア還元温度ピークを示す。他の特定の実施形態においては、同じ条件下で測定されるときに、セリア還元温度ピークが約450℃未満となる。
【0013】
本発明の更なる実施形態は、上で説明された酸素貯蔵材および白金族金属部材を備えたエンジン排気を処理するための触媒に関する。特定の実施形態の白金族金属部材は、パラジウム、ロジウム、プラチナおよびこれらの組み合わせからなるグループから選択される。特定の実施形態においては、酸素貯蔵材は、実質的にロジウムがない。他の実施形態は、白金族金属部材としてパラジウムだけを備える。
【0014】
本発明の追加的な実施形態は、エンジンからの排気流を処理するための排気ガス処理システムに関する。処理システムは、排気流と流体連通した、上記したような触媒を備える。
【0015】
一部の実施形態の排気ガス処理システムは、更に、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子除去装置(DPF)、接触部分酸化触媒(CPO)、アンモニア酸化触媒(AMOX)、還元剤注入器、空気注入器、炭化水素注入器、炭化水素選択接触還元触媒(HC―SCR)またはアンモニア選択接触還元触媒(NH―SCR)の1つ以上を備える。
【0016】
本発明の更なる実施形態は、上記したような触媒に排気流を通過させること、または、触媒に排気流を接触させることを備えた、排気流を処理する方法に関する。
【0017】
本発明の1つ以上の実施形態は、基体、第1薄め塗膜層、第2薄め塗膜層を備えた、層状触媒に関する。第1薄め塗膜層は、セリアおよびジルコニアを備えた酸素貯蔵材、ならびに、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金、酸化スズ、酸化ビスマスおよびこれらの組み合わせからなるグループから選択された遷移金属酸化物を備え、第2薄め塗膜層は、第2担体上に白金族金属部材を備える。詳細な実施形態においては、遷移金属は、第1薄め塗膜層で分散された表面となる。
【0018】
層状触媒の一部の実施形態は、セリア以外の希土類酸化物を更に備えた酸素貯蔵材を含む。特定の実施形態においては、第1薄め塗膜層に、白金族金属が実質的にない。特定の実施形態においては、第1薄め塗膜層に、ロジウムが実質的にない。
【0019】
詳細な実施形態においては、第1薄め塗膜層が基体上に、第2薄め塗膜層が第1薄め塗膜層上にある。他の詳細な実施形態においては、第2薄め塗膜層が基体上に、第1薄め塗膜層が第2薄め塗膜層上にある。他の詳細な実施形態においては、第1薄め塗膜層が第2薄め塗膜層に隣接し、両方の層が基体と連通する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】詳細な実施形態による、エンジン排気ガス処理システムを示した略図である。
【図2A】公知の層状触媒の略図を示す。
【図2B】1つ以上の実施形態による、層状触媒の略図を示す。
【図3A】公知の層状触媒の略図を示す。
【図3B】1つ以上の実施形態による、層状触媒の略図を示す。
【図4A】公知の層状触媒の略図を示す。
【図4B】1つ以上の実施形態による、層状触媒の略図を示す。
【図5A】公知の層状触媒の略図を示す。
【図5B】1つ以上の実施形態による、層状触媒の略図を示す。
【図6】水素昇温還元実験による、温度に応じた強度のグラフを示す。
【図7】水素昇温還元実験による、温度に応じた強度のグラフを示す。
【図8】水素昇温還元実験による、温度に応じた強度のグラフを示す。
【図9】水素昇温還元実験による、温度に応じた強度のグラフを示す。
【図10】350℃および400℃における、さまざまな試料のわずかに濃厚な条件下での、NOx転化のグラフを示す。
【図11】350℃および400℃における、さまざまな試料のわずかに濃厚な条件下での、プロピレン転化のグラフを示す。
【図12】350℃および400℃における、さまざまな試料のわずかに希薄な条件下での、プロピレン転化のグラフを示す。
【図13】本発明の1つ以上の実施形態による、3層触媒のための試験条件を示す。
【図14】さまざまな試料に対する排気管の炭化水素、一酸化炭素およびNOx排気ガスのグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
セリア(CeO)をベースとした酸素貯蔵構成(OSC)材料は、エンジンからの排気ガスを処理する際の主要要素である。セリアは、ガソリンおよびディーゼル車両からの炭化水素およびNOx排気ガスを処理する際に、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)およびロジウム(Rh)の支持体として利用されている。セリアをベースとしたOSC材料の1つの重要な性質は、+4と+3の酸化状態間を変化するセリアの能力である。このレドックス性が、セリアをベースとした材料を、さまざまな排気ガス処理用途のために有用なものとする。したがって、還元温度を低下させることによって、セリアの被還元性を強化することが、望ましい。本発明の1つ以上の実施形態は、セリアをベースとしたOSCおよびRh/OSC触媒の被還元性に対するさまざまな遷移金属酸化物添加剤(MOx)の影響を示す。
【0022】
以下の用語は、本出願のために、下で説明するそれぞれの意味を有する。
【0023】
希薄な排気流を含む「希薄なガス流」は、λ>1.0を有するガス流を意味する。
【0024】
「希薄な期間」は、排ガス組成物が希薄、すなわち、λ>1.0を有する排気処理の期間を指す。
【0025】
「白金族金属部材」および「白金族金属」は、プラチナ、パラジウムおよびロジウム、および/または、それらの酸化物の1つが挙げられるが、これらに限定されず、白金族に見いだされるような貴金属を指す。
【0026】
「希土類金属部材」は、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムを含んだ、元素周期表に定義されるランタノイドの1つ以上の酸化物を指す。
【0027】
濃厚な排気流を含む「濃厚なガス流」は、λ<1.0を有するガス流を意味する。
【0028】
「濃厚な期間」は、排ガス組成物が濃厚、すなわち、λ<1.0を有する排気処理の期間を指す。
【0029】
「薄め塗膜」は、耐火性基体に適用される、触媒または他の材料の、薄い、被着コーティング技術での、通常の意味を有し、この耐火性基体としては、処理されているガス流を通路に通過させるために十分な多孔性の、モノリス基体またはフィルタ基体を通過するハニカム流路が挙げられる。
【0030】
「流体連通」は、排ガスまたは他の流体が部材および/または導管の間を流れることができるように、部材および/または導管が隣接することを意味する。
【0031】
「下流」とは、部材に先行している部材より、更にエンジンから間隔をおいて配置された、経路の排ガス流の、部材の位置を意味する。例えば、ディーゼル微粒子除去装置が、ディーゼル酸化触媒から下流と言われるときは、エンジンから生じている排気導管の排ガスは、ディーゼル微粒子除去装置を貫流する前にディーゼル酸化触媒を貫流する。したがって、「上流」は、別の部材と関連して、エンジンのより近くに配置された部材を指す。
【0032】
本明細書で使用する場合、「還元温度」は、セリアが酸化状態間を変化する温度を意味する。特定の、非限定的な実施例において、還元温度は、中間または混合酸化状態を含んだ+4と+3の酸化状態間のセリアの変化を指す。
【0033】
本明細書で使用する場合、遷移金属酸化物の「分散された表面」または「分散している表面」は、遷移金属酸化物が材料の表面に実質的に担持されていることを意味する。遷移金属酸化物の分散された表面がバルク材料に意図的に追加されていないにもかかわらず、遷移金属酸化物種の一部の移動がバルクにあってもよい。分散された表面は、担体物質の結晶構造に組み込まれた遷移金属酸化物、または、担体物質の部材を伴う溶体内の遷移金属酸化物と対比される。
【0034】
本明細書で使用する場合、「実質的にロジウムのない」および「実質的にロジウムがない」は、ロジウムが複合材に意図的に追加されないことを意味し、微量のロジウムが、例えば、組成物の約1重量%以下のレベルで、偶然に存在してもよい。
【0035】
本発明の1つ以上の実施形態は、セリア、ジルコニアおよび希土類酸化物を備えた酸素貯蔵材に関する。酸素貯蔵材は、遷移金属酸化物によって、活性化される。遷移金属酸化物は、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金、酸化ビスマス、酸化スズおよびこれらの組み合わせとすることが可能で、これらの一部または全部が、約0.1重量%から約10重量%の範囲、および、これらの組み合わせの範囲となる。
【0036】
いくつかの実施形態において、酸素貯蔵材のセリアは、セリアが酸化状態間を変化する還元温度を有し、そして、遷移金属酸化物が、追加遷移金属を含まない標準物質と比較して少なくとも約100℃セリアの還元温度を減少させるのに十分な量で存在する。
【0037】
さまざまな実施形態において、触媒が、約4時間、約1000℃で、空気により熟成され、約0.5%のH/Heの水素昇温還元(TPR)分析により試験されたときに、酸素貯蔵材のセリアは、約475℃未満の、セリア還元温度のピークを有する。更なる実施形態の酸素貯蔵材は、触媒が、約4時間、約1000℃で、空気により熟成され、約0.5%のH/Heの水素昇温還元(TPR)分析により試験されたときに、約450℃未満の、セリア還元温度のピークを有する。
【0038】
詳細な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約5%から約95%の範囲の、または、約5重量%から約80重量%の範囲の、または、約20%から約80%の範囲の、または、約20重量%から約60重量%の範囲の、または、約30重量%から約70重量%の範囲の、または、約35重量%から約60重量%の範囲の、または、約40重量%から約50重量%の範囲の、または、約41重量%から約48重量%の範囲の、または、約42重量%から約46重量%の範囲のセリアを備える。特定の実施形態においては、酸素貯蔵材は、約44重量%のセリア組成物を有する。非常に特定された実施形態においては、酸素貯蔵材は、少なくとも約50重量%のセリア、少なくとも約55重量%のセリア、少なくとも約60重量%のセリア、少なくとも約65重量%のセリア、少なくとも約70重量%のセリア、少なくとも約75重量%のセリア、少なくとも約80重量%のセリア、少なくとも約85重量%のセリア、少なくとも約90重量%のセリア、または、少なくとも約95%のセリアを備える。
【0039】
酸素貯蔵材は、約5%から約80%の範囲の、または、約20%から約80%の範囲の、または、約20%から約60%の範囲の、または、30重量%から約70重量%の範囲の、または、約35重量%から約60重量%の範囲の、または、約40重量%から約50重量%の範囲の、または、約41重量%から約48重量%の範囲の、または、約42重量%から約46重量%の範囲のジルコニアを備えてもよい。特定の実施形態においては、酸素貯蔵材は、約44重量%のジルコニア組成物を有する。
【0040】
酸素貯蔵材は、セリアに加えて1つ以上の希土類酸化物を備えてもよい。つまり、貯蔵材は、1つ、2つ、3つ、または、さらに4つ以上の希土類酸化物を備えることができる。適切な希土類酸化物としては、ランタン(ランタナ)、プラセオジム(プラセオジミア)、ネオジム(ネオジミア)、プロメチウム(プロメチア)、サマリウム(サマリア)、ユウロピウム(ユウロピア)、ガドリニウム(ガドリニア)、テルビウム(テルビア)、ジスプロシウム(ジスプロシア)、ホルミウム(ホルミア)、エルビウム(エルビア)、ツリウム(ツリア)、イッテルビウム(イッテルビア)およびルテチウム(ルテチア)の酸化物が、挙げられる。希土類酸化物は、約0.1重量%から約15重量%の範囲で、または、約0.25重量%から約10重量%の範囲で、または、約0.5重量%から約9重量%の範囲で、または、約1重量%から約10重量%の範囲で、または、約1重量%から約8重量%の範囲で、または、約1重量%から約5重量%の範囲で存在できる。
【0041】
詳細な実施形態においては、希土類酸化物は、約1重量%から約10重量%の範囲で、または、約2重量%から約14重量%の範囲で、または、約2重量%から約6重量%の範囲で、または、約4重量%から約12重量%の範囲で、または、約6重量%から約10重量%の範囲で、または、約7重量%から約9重量%の範囲で存在するランタナを備える。特定の実施形態においては、ランタナは、約8重量%存在する。
【0042】
更に詳細な実施形態においては、希土類酸化物は、約0.1重量%から約10重量%の範囲で、または、約0.1重量%から約5重量%の範囲で、または、約1重量%から約5重量%の範囲で、または、約2重量%から約6重量%の範囲で、または、約0.5重量%から約4重量%の範囲で、または、約1重量%から約3重量%の範囲で存在するプラセオジミアを備える。特定の実施形態においては、プラセオジミアは、約2重量%存在する。
【0043】
希土類酸化物は、それぞれ個々の希土類酸化物が異なる範囲で存在する2つ以上の希土類酸化物の組み合わせとすることができる。詳細な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約2重量%から約14重量%の範囲で存在するランタナおよび約0.1重量%から約5重量%の範囲のプラセオジミア、または、約4重量%から約12重量%の範囲で存在するランタナおよび約0.5重量%から約4重量%の範囲のプラセオジミア、または、約6重量%から約10重量%の範囲で存在するランタナおよび約1重量%から約3重量%の範囲のプラセオジミアを備える。特定の実施形態においては、酸素貯蔵材は、約8重量%のランタナおよび約2重量%のプラセオジミアを備える。
【0044】
詳細な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約5重量%から約80重量%の範囲のセリア、約5重量%から約80重量%の範囲のジルコニア、約1重量%から約10重量%の範囲のランタナ、約1重量%から約10重量%の範囲のイットリア、約1重量%から約5重量%の範囲のプラセオジミア、約1重量%から約10重量%の範囲のネオジミアを備え、そして、遷移金属酸化物は、約0.1重量%から約5重量%の範囲の1つ以上の酸化第二鉄、ならびに、約0.1重量%から約10重量%の範囲の酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金、酸化スズおよび酸化ビスマスである。
【0045】
別の詳細な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約20重量%から約60重量%の範囲のセリア、約20重量%から約60重量%の範囲のジルコニア、約1重量%から約10重量%の範囲のランタナ、約1重量%から約10重量%の範囲のイットリア、約1重量%から約5重量%の範囲のプラセオジミア、約1重量%から約10重量%の範囲のネオジミアを備え、そして、遷移金属酸化物は、約0.1重量%から約5重量%の範囲の1つ以上の酸化第二鉄、ならびに、約0.1重量%から約10重量%の範囲の酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金、酸化スズ、酸化ビスマスおよびこれらの組み合わせである。
【0046】
例示的な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約45重量部のセリア、約45ジルコニア重量部のジルコニア、約8重量部のランタナおよび約2重量部のプラセオジミアを備える。金属酸化物部材は、酸素貯蔵材組成物全体の約0.1重量%から約10重量%の範囲で、本明細書において、説明される部材のいずれかとすることができる。
【0047】
別の例示的な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約40重量部のセリア、約50重量部のジルコニア、約5重量部のランタナおよび約5重量部のプラセオジミアを備える。金属酸化物部材は、酸素貯蔵材組成物全体の約0.1重量%から約10重量%の範囲で、本明細書において、説明される部材のいずれかとすることができる。
【0048】
別の例示的な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約40重量部のセリア、約50重量部のジルコニア、約5重量部のランタナおよび約5重量部のイットリアを備える。金属酸化物部材は、酸素貯蔵材組成物全体の約0.1重量%から約10重量%の範囲で、本明細書において、説明される部材のいずれかとすることができる。
【0049】
別の例示的な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約10重量部のセリア、約75重量部のジルコニア、約2重量部のランタナ、約5重量部のネオジミアおよび約8重量部のイットリアを備える。金属酸化物部材は、酸素貯蔵材組成物全体の約0.1重量%から約10重量%の範囲で、本明細書において、説明される部材のいずれかとすることができる。
【0050】
別の例示的な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約64重量部のセリア、約26重量部のジルコニア、約5重量部のランタナおよび約5重量部のイットリアを備える。金属酸化物部材は、酸素貯蔵材組成物全体の約0.1重量%から約10重量%の範囲で、本明細書において、説明される部材のいずれかとすることができる。好ましい実施形態においては、酸化銀が、貯蔵材の0.05から2.5重量%の範囲の量で存在する金属酸化物部材となる。
【0051】
別の例示的な実施形態においては、酸素貯蔵材は、約28重量部のセリア、約58重量部のジルコニア、約7重量部のネオジミアおよび約7重量部のプラセオジミアを備える。金属酸化物部材は、酸素貯蔵材組成物全体の約0.1重量%から約10重量%の範囲で、本明細書において、説明される部材のいずれかとすることができる。
【0052】
遷移金属酸化物としては、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金および酸化スズが挙げられるがこれらに限定されず、任意の適切な遷移金属酸化物とすることができる。詳細な実施形態においては、酸化鉄は酸化第二鉄(Fe)、酸化コバルトは酸化第一コバルト(CoO)、酸化ニッケルは酸化ニッケル(II)(NiO)、そして、酸化マンガンは、混合酸化物(MnOx)である。詳細な実施形態においては、遷移金属酸化物は、約0.1重量%から約10重量%の範囲、または、約0.2重量%から約8重量%の範囲、または、約0.5重量%から約6重量%の範囲、または、約1重量%から約5重量%の範囲、または、約2重量%から約3重量%の範囲で存在する。一部の特定の実施形態においては、遷移金属酸化物は、約0.5重量%存在する。他の特定の実施形態においては、遷移金属酸化物は、約2重量%存在する。更に特定の実施形態においては、遷移金属酸化物は、約5重量%存在する。
【0053】
一部の詳細な実施形態によれば、遷移金属酸化物が、セリア/ジルコニア酸素貯蔵材上の分散された表面となる。遷移金属酸化物は、結晶構造の一部となるか、セリア/ジルコニア酸素貯蔵複合材を伴う固溶体に含まれる。
【0054】
本発明の追加的な実施形態は、エンジン排気を処理するための触媒に関する。触媒は、セリア、ジルコニアおよび希土類酸化物を備えた酸素貯蔵材を備える。酸素貯蔵材は、遷移金属酸化物によって、活性化される。遷移金属酸化物は、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金および酸化スズとすることができ、これらの一部または全部が、約0.1重量%から約10重量%の範囲、およびこれらの組み合わせの範囲となる。触媒は、また、白金族金属部材を備える。
【0055】
白金族金属部材は、パラジウム、ロジウム、プラチナおよびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されず、任意の適切な貴金属を備えることができる。詳細な実施形態においては、触媒は、約1g/ftから約300g/ftの範囲で装填された白金族金属を有する。他の詳細な実施形態においては、触媒は、約1g/ftから約200g/ftの範囲で装填された白金族金属を有する。更に詳細な実施形態においては、触媒は、約1g/ft、5g/ft、10g/ft、20g/ft、30g/ft、40g/ft、50g/ft、60g/ft、70g/ft、80g/ft、90g/ft、100g/ft、110g/ft、120g/ft、130g/ft、140g/ft、150g/ft、160g/ft、170g/ft、180g/ft、190g/ft、200g/ft、210g/ft、220g/ft、230g/ft、240g/ft、250g/ft、260g/ft、270g/ft、280g/ft、または、290g/ftを超えて装填された白金族金属を有する。
【0056】
本発明の更なる実施形態は、エンジンからの排気流を処理するための排気ガス処理システムに関する。図1は、本発明の1つ以上の実施形態による、排気ガス処理システム100を示す。ガス状汚染物質(例えば、未燃焼炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物)および粒子状物質を含有した排ガス流が、エンジン104と流体連通した排気導管102を介して搬送される。排気ガス処理システムは、排気流と流体連通した触媒106を備える。触媒は、セリア、ジルコニアおよび希土類酸化物を備えた酸素貯蔵材を備える。酸素貯蔵材は、遷移金属酸化物によって、活性化される。遷移金属酸化物は、約0.1重量%から約5重量%の範囲の酸化鉄、約0.1重量%から約10重量%の範囲の酸化コバルト、約0.1重量%から約10重量%の範囲の酸化ニッケル、約0.1重量%から約10重量%の範囲の酸化マンガン、および、これらの組み合わせとすることができる。触媒は、また、白金族金属部材を備える。触媒106通過後、排ガスは、排気管108を介してシステムから去る。図1に示した実施形態では、エンジン104はガソリンエンジンとすることができ、そして、触媒106は三元触媒である。代替として、エンジン104はディーゼルエンジンとすることができ、その場合、触媒106はディーゼル酸化触媒(DOC)となる。
【0057】
明らかなように、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの排ガスの組成は異なる。したがって、それぞれの形式のエンジンからの、エンジン排気を処理するために、異なる処理ストラテジおよび触媒が利用されることになる。本発明は、TWCおよびDOC形式の触媒で利用法を見いだすことができるOSC材料に関する。
【0058】
エンジン104がディーゼルエンジンで、触媒106がDOCである実施形態では、1つ以上の実施形態によると、排気ガス処理システム100は、任意の追加的な排気システム部材110を含むことができる。これらの追加的な部材110は、触媒106の上流または下流に配置できる。追加的な排気システム部材110は、例えば、ディーゼル酸化触媒(DOC)、ディーゼル微粒子除去装置(DPF)、接触部分酸化触媒(CPO)、アンモニア酸化触媒(AMOX)、還元剤注入器、空気注入器、炭化水素注入器、炭化水素選択接触還元触媒(HC―SCR)およびアンモニア選択接触還元触媒(NH―SCR)の1つ以上とすることができる。
【0059】
追加的な実施形態においては、排気ガス処理システム100は、少なくとも1つの注入システム112を含む。注入システム112は、例えば、炭化水素、オンボード燃料、還元剤、空気、尿素またはアンモニアを注入するために、構成できる。一部の詳細な実施形態においては、注入システム112は、排気流導管102に注入される物質の量を抑制するように調整された計量装置114を含む。追加的な部材110が注入システム112内に配置されることも、考えられる。
【0060】
本発明の追加的な実施形態は、排気流を処理する方法に関する。この方法は、セリア、ジルコニアおよび希土類酸化物を備えた酸素貯蔵材を備える触媒に排気流を通過させることを含む。酸素貯蔵材は、遷移金属酸化物によって、活性化される。遷移金属酸化物は、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金および酸化スズとすることができ、これらの一部または全部が、約0.1重量%から約10重量%の範囲、およびこれらの組み合わせの範囲となる。特定の実施形態においては、触媒は、また、白金族金属部材を備える。
【0061】
本発明の更なる実施形態は、層状触媒に関する。層状触媒は、基体、第1薄め塗膜層、そして、第2薄め塗膜層を備える。第1薄め塗膜層は、セリアとジルコニアを備えた酸素貯蔵材を備える。酸素貯蔵材は、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀およびこれらの組み合わせからなるグループから選択された遷移金属酸化物によって、活性化される。第2薄め塗膜層は、担体上に白金族金属部材を備える。
【0062】
本発明の一部の実施形態は、更に、酸素貯蔵材に希土類酸化物を備える。希土類酸化物は、上記したような、セリア以外の任意の適切な酸化物である。
【0063】
基体上の層の順序は、変化させることができる。図2Aは、白金族金属、特にパラジウムを備えた第1層を伴う基体を有した従来の層状触媒を示す。第1層の上部に、ロジウムおよび酸素貯蔵触媒を備えた第2層がある。図2Bは、少なくともロジウムの一部、一部の実施形態ではロジウムのすべてが、遷移金属と置換された図2Aの層状触媒の変形物を示す。図3Aは、逆転した層を有する、図2Aに類似した従来の層状触媒を示す。図3Bは、少なくとも一部、一部の実施形態では、ロジウムのすべてが、遷移金属と置換された層状触媒を示す。
【0064】
他の詳細な実施形態においては、第1層および第2層が、両方の層が基体上にあって、互いに隣接する。図4Aは、ロジウムで修飾されたOSCが基体の第1端部に、白金族金属が基体の第2端部にある、従来の区分けされた触媒を示す。図4Bは、本発明の1つ以上の実施形態に従って、ロジウムの少なくとも一部が遷移金属と置換された、図4Aと類似した触媒を示す。一部の実施形態では、ロジウムのすべてを、遷移金属と置換できる。この場合には、両方の層が、基体と連通する。これらの層は、互いにぶつかっても、任意の角度で重なり合ってもよい。図5Aおよび図5Bは、図4Aおよび図4Bと類似し、それぞれ、区分けの順序が逆転する。
【0065】
図2から図5に関して上記した各々の実施形態において、遷移金属酸化物は、約0.1重量%から約5重量%の範囲の酸化鉄、約0.1重量%から約10重量%の範囲の酸化コバルト、約0.1重量%から約10重量%の範囲の酸化ニッケル、約0.1重量%から約10重量%の範囲の酸化マンガンおよびこれらの組み合わせとすることができる。本発明の実施形態によれば、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%および最高100重量%で、触媒層に含有されるロジウムの任意の部分を置換できる。
【0066】
詳細な実施形態においては、遷移金属酸化物は、金属に基づき、約3g/ftまで、装填される。他の詳細な実施形態においては、遷移金属酸化物は、酸化物に基づき、約2.5g/ftまで、または、約2g/ftまで、または、約1.5g/ftまで、または、約1g/ftまで、または、約0.5g/ftまで、装填される。
【0067】
特定の実施形態においては、第1層は、実質的に、白金族金属を有しない。本明細書および添付の請求の範囲で用いられる、「実質的に白金族金属のない」は、金属が意図的に追加されなかったことを意味する。白金族金属が隣接した層から移動すること、または、微量の白金族金属が存在することは、可能で、許容範囲内である。
【0068】
〔基体〕
詳細な実施形態においては、触媒の一部または全部が、追加的な任意の部材を含んで、基体に配置される。基体は、触媒を調製するために典型的に利用される任意の材料でよく、セラミックまたは金属のハニカム構造、例えば、モノリスを通過する流れを典型的に備える。通過する流体の流れ(基体を通過するハニカム流と呼ばれる)を流路が受け入れるような、基体の流入面または流出面から、通過して延びる、微細で、平行なガス流路を有する形式の、モノリシック基体などの、任意の適切な基体が利用されてもよい。流路は、流入口から流出口まで完全に直線で、流路を貫流しているガスが触媒材料と接触するように薄め塗膜で触媒材料がコーティングされた壁によって、定められる。モノリシック基体の流路は、薄い壁に囲まれた小管であり、この小管は、台形、長方形、正方形、正弦曲線、六角形、卵形、円形等の、任意の適切な断面形状および大きさとすることができる。このような構造は、断面の平方インチ当たり、約60から約600以上のガス流入開口部(すなわち、セル)を含有してもよい。
【0069】
基体は、基体の小管が両端で開いている貫流基体、または、小管が交互に遮断される壁面流フィルタ基体とすることができる。小管は内壁によって、囲まれ、流入口および流出口で対立するチェッカーボードパターンを形成するように、流入栓で流入端部が、流出栓で流出端部が塞がれる。ガス流は、栓のない小管の流入口を通過し、流出栓に妨げられ、(多孔性の)小管の壁を通過して流出小管に放散される。ガスは、流入栓のため、壁の流入面側に戻ることができない。このような基体が利用される場合、結果として生じるシステムは、ガス状汚染物質と共に粒子状物質を除去することが可能となる。
【0070】
ハニカム壁面流および貫流基体は、コーディエライト、α―アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ―シリカ―マグネシアもしくはケイ酸ジルコニウムなどの、セラミック状の材料、または、多孔性の材料、耐火性金属で構成できる。壁面流基体は、セラミックファイバ複合材で形成されてもよい。特定の壁面流基体は、コーディエライト、炭化ケイ素およびチタン酸アルミニウムから形成される。このような材料は、排気流を処理する際に発生する環境、特に高温に耐えることが可能である。
【0071】
多孔性壁面流フィルタは、構成要素の壁上に、または、壁に含有して、1つ以上の触媒材料を有するので、触媒作用が及ぼされ得る。触媒材料は、構成要素の壁の流入側だけ、流出側だけ、流入および流出側の両方に存在してもよく、また、壁自体が、全体または部分的に、触媒材料から構成されてもよい。本発明は、構成要素の流入壁および/また流出壁上の、触媒材料の1つ以上の薄め塗膜、および、触媒材料の1つ以上の薄め塗膜の組み合わせの使用を含む。フィルタは、本分野に周知の任意のさまざまな手段によって、コーティングされてもよい。
【0072】
本発明の触媒に有用な基体は、現実には金属でもよく、1つ以上の金属または金属合金で構成されてもよい。金属基体は、波形板またはモノリシック形などの、さまざまな形状で用いられてもよい。適切な金属担体としては、チタンおよびステンレス鋼、ならびに、鉄が実質または主要部材である他の合金といった、耐熱性金属および金属合金が挙げられる。このような合金は、ニッケル、クロムおよび/またはアルミニウムの1つ以上を含有してもよく、これらの金属の合計が、少なくとも15重量%の合金をうまく構成し、例えば、10重量%から25重量%のクロム、3重量%から8重量%のアルミニウム、および、最高20重量%のニッケルを備えてもよい。合金は、例えばマンガン、銅、バナジウム、チタンなどの、少量または微量の1つ以上の他の金属を含有してもよい。表面または金属基体は、表面または基体に酸化被膜を形成することによって、合金の耐食性を改良するために、例えば1000℃以上の高温で酸化させてもよい。このような高温で引き起こされる酸化によって、耐火性金属酸化物担体、および、触媒を活性化する金属部材の、基体への付着を強化させてもよい。
【0073】
代替の実施形態においては、触媒が、連続気泡フォーム基体に配置されてもよい。このような基体は、従来技術において、公知で、一般的に、耐火性セラミックまたは金属材料で形成される。
【実施例】
【0074】
実施例1
遷移金属により活性化されるOSCの調製
【0075】
45%のセリア、45%のジルコニア、8%のランタナおよび2%のプラセオジミアを含有した粉末状の基準OSC材料が、以下の実験で利用された。
【0076】
50gの基準OSC材料上にMを含有している一定量の酸性溶液を浸透させて、0.5重量%、1重量%、2重量%および5重量%の遷移金属酸化物MOx(M=Fe、Co、Ni、Mn)の選択群で、修正OSC材料を調製した。溶液は、基準OSC材料の初期湿潤に到達するために、水で希釈された。希釈された溶液は、混合の間、粉末に滴下された。続いて、粉末を乾燥させて、550℃で2時間、焼成した。
【0077】
表1は、含浸のために使用された、選択された遷移金属酸化物、それらの前駆体および濃度の一覧を示す。
【0078】
【表1】

【0079】
〔触媒の調製〕
0.05重量%のRhを含有している試料が、一連の遷移金属酸化物(MOx、M=Fe、Co、Ni、Mn)修正OSC材料上に担持され、そして、OSC基準材料が、含浸により調製された。一定量のRh(NO溶液(9.94%のRh)を、50gの遷移金属活性化OSC材料の各々へ浸透させた。Rh(NOは、各々の材料の初期湿潤に到達するために、水で希釈された。希釈されたRh(NO溶液は、混合の間、粉末OSCに滴下された。続いて、粉末を乾燥させて、約550℃で約2時間、焼成した。表2は、試料およびそれらの組成物の一覧を示す。
【0080】
【表2】

【0081】
〔試料の特性評価〕
遷移金属酸化物修正OSC粉末試料および基準OSC試料を、熟成させた。水素昇温還元(H―TPR)分析が、OSCの被還元性に対するMOxの影響を研究するために、新鮮な粉末試料および熟成した粉末試料に実行された。試料は、450℃で4%のO/Heで前処理され、800℃まで0、5%のH/HeでTPR実験により追跡された。
【0082】
図6は、新鮮な粉末試料(太いライン)と熟成した粉末試料(薄いライン)に対する、H―TPRの結果を示す。2%のFe修正OSC材料(試料D)は、基準OSC材料(試料A)と比較して、新鮮な試料で200℃以上、1000℃で4時間、空気により熟成された試料で150℃、低いセリア還元温度を有することを結果は示している。何らかの特定の動作原理に拘束されずに、この差異が、表面の酸素イオン空孔の数の増加、つまり、表面のOイオンの大きな流動性に起因している可能性があると考えられる。
【0083】
950℃で12時間、10%の蒸気を有する空気により熟成された試料のH―TPR実験からも、低い表面のセリア還元温度が、認められた。
【0084】
表3は、新鮮および蒸気熟成された、基準OSC試料A、ならびに、0.5重量%から10重量%の範囲の異なるFe添加量で修正された試料Bから試料Fに対する、TPR結果をまとめる。
【0085】
【表3】

【0086】
ほんの0.5重量%のFe(試料B)が、基準試料Aと比較して130℃以上、Ce4+からCe3+の還元温度の減少を引き起こしたことを、結果は示している。
【0087】
試料EおよびFに対しては、総H消費が、基準OSC(試料A)単独より、非常に多かった。加えて、複数の還元ピークが、H―TPR実験で、高温度(>580℃)で認められた。これは、このレベルのFe添加量が、余剰な表面の酸素イオン空孔を形成し、より高温度(>580℃)で、H消費の一部がFe自体の還元から生じたことを示している。
【0088】
表4は、950℃で12時間、10%の蒸気/空気によって、熟成させた後の、材料Aから材料FのBET表面積を示す。Fe添加量が約2重量%を超えたときに、材料のBET表面積は、劇的に減少した。
【0089】
【表4】

【0090】
試料のレドックス性を研究するために、それぞれの試料は、第1TPR実験の後、600℃にHeで冷却された。続いて、試料は、4%のO/Heで、30分間600℃で再酸化され、Heで室温に冷却されてから、800℃まで、0.5%のH/Heの第2TPR分析を行った。図7は、基準OSC試料Aと試料D(2%のFe修正OSC)に対する、第1TPR(太いライン)および第2TPR(薄いライン)を示す。いくらかの酸化還元リサイクルの後にも、温度変化が維持されたことを、結果は示している。
【0091】
図8は、新鮮な試料(太いライン)および熟成した試料(薄いライン)のTPR結果を示す。熟成した試料は、1000℃で4時間、空気中に保持された。基準試料Aと比較して、低いセリア還元温度により示されるように、他の遷移金属酸化物の修正OSC材料(試料GおよびI)も、表面の酸素イオンの高い流動性を有することを、結果は示している。
【0092】
図9は、OSC材料、a)OSCD、b)OSCA(基準)に担持された0.5%のRhを有する新鮮な試料(太いライン)および熟成した試料(薄いライン)のTPR結果を示す。試料は、分析の前に、1000℃で4時間、空気により熟成された。
【0093】
〔性能〕
Rh担持した基準OSCおよび修正OSC試料の性能を測定するために、研究室反応器試験が、利用された。すべての試料は、1050℃で12時間、熟成された。等しい体積の熟成した触媒が、約120,000h―1の時間ごとの同じガス空間速度を獲得するために用いられた。
【0094】
熟成した粉末試料が、濃厚および希薄条件下で試験された。基準OSC上の基準Rhおよび実験的に修正されたOSC試料上のRhへの、プロピレンおよびメタン酸化活性が、研究された。濃厚な研究は、0.988のλで実行された。希薄な研究は、1.026のλで実行された。結果は、表5に示される。
【0095】
【表5】

【0096】
続いて、試料は、1050℃で12時間、熱熟成後、希薄(λ=1.026)および濃厚(λ=0.988)条件下で、組み合わせ反応器で比較された。濃厚条件下では、CoOおよびFe修正OSC試料は、300℃で60%より高いNOx転化を、そして、350℃で50%より高いプロピレン転化を示した。希薄条件下では、CoOおよびNiO修正OSC試料は、基準試料と比較して、350℃で20%より高いプロピレン転化を示した。
【0097】
ガソリン車両のわずかに濃厚な条件に類似した反応が試験され、OSC上の基準Rhおよび実験的に修正したOSC材料上のRhへの、NOx還元およびプロピレン酸化活性が研究された。350℃および400℃で測定されたNOx転化の結果(図10)、ならびに、350℃および400℃で測定されたプロピレン転化の結果(図11)が、示される。基準Rhを担持した基準OSC材料と比較して、著しく高いNOxおよびプロピレン転化を、遷移金属酸化物修正OSCに担持されたRhが獲得し、CoOおよびFe修正OSC試料が、350℃で50%より高いNOx転化を示し、350℃で50%より高いプロピレン転化を示した。Rh/遷移金属修正OSCへのNOxおよびプロピレン転化の著しい増大は、結果として、一時的なエンジン条件の間に、向上した強烈な性能をもたらすことになった。Rh/遷移金属修正OSCへのプロピレン転化の著しい増大は、また、結果として、コールドスタートの間の、ガソリン車両の炭化水素着火活性を向上させることになる。
【0098】
ガソリン車両試験で一時的である、わずかに希薄な条件でなされる研究が、実施された。図12に示される結果は、基準OSC材料と比較した、NiOまたはCoO修正OSC材料に担持されたRhの利点を示す。希薄条件下では、CoOおよびNiO修正OSC試料は、基準試料と比較して、350℃で20%高いプロピレン転化を示した。これは、これらの複合材が、ガソリン三元転化用途で、非常に有用であることを示している。
【0099】
〔3層状触媒〕
下塗り、パラジウム含有中塗りおよびロジウム含有上塗りを含有した、非白金族金属を有する3層状触媒に対して、研究が実施された。以下の試料の各々の基体は、CPSI=600/4を有する4.66”x4.5”であった。
【0100】
〔比較用試料L〕
下塗りを形成するために、アルミナおよびOSC A(基準)が、水でスラリーにされた。スラリーのpHは、酢酸およびZrOを(アセテートとして)利用して、約4まで調節された。スラリーは、約90%が10μm未満まで粉々にされて、続いて、約0.86g/inの総添加量で、基体上へコーティングされた。
【0101】
中塗りは、アルミナ上へパラジウムを浸透させることにより形成され、水および硝酸でスラリーにされた。スラリーは、約90%が12μm未満の粒子となるまで、粉々にされた。OSC A(基準)がスラリーに追加され、そして、酢酸および硝酸を利用してpHが約4まで下げられた。続いて、スラリーは、約90%が約10μm未満の大きさを有する粒子となるまで、粉々にされた。続いて、スラリーは、約1.616g/inの薄め塗膜添加量で、基体上へコーティングされた。
【0102】
上塗りは、アルミナ上へロジウムを浸透させ、水および硝酸でスラリーを形成することによって、形成された。スラリーは、粒子の約90%が12μm未満となるまで、粉々にされ、そして、OSC(約10%のセリア、75%のジルコニア、8%のイットリア、5%のネオジミアおよび2%のランタナ)がスラリーに追加され、酢酸および硝酸を利用してpHが約4まで下げられた。スラリーは、約90%の粒子が10μm未満となるまで、粉々にされ、続いて、約0.902g/inの薄め塗膜添加量で、基体上へコーティングされた。
【0103】
試料は、80時間約1070℃の放熱熟成を利用して、熟成されたエンジンであった。
【0104】
〔試料M―O〕
比較試料Lと同じ方法が適用され、下塗りおよび/また底塗りのOSC Aを、他のOSC材料に置換した。上塗りに使用されるOSCは、試料L―Oのものと同じである。
【0105】
試料L―O組成物(g/in)は、表6にまとめられる。
【0106】
【表6】

【0107】
試料L―Oのエンジン試験は、MP5 VWベンチエンジンを利用して実施された。ヨーロッパの車両試験サイクル(MVEG)が利用され、排気管のHC/CO/NOx排気ガスが、試験サイクルの間、測定された。図13に示されるシミュレートされた運転条件によって、三相試験が、実施された。総試験時間は1180秒で、段階1はコールドスタートで代表的な段階、段階2は都市部の運転で代表的な段階、および、段階3はハイウェイ運転で代表的な段階であった。小さな数ほど、高い転化を示す。シミュレートされた総距離は11.012kmで、平均速度32.5km/h、最高速度120km/hであった。結果は、表7および図14に示される。
【0108】
【表7】

【0109】
下塗りおよび底塗りの両方でのOSC B(0.5%のFe)の使用が、向上した炭化水素、一酸化炭素およびNOx転化活性をもたらすことを、これらの試験の結果は示した。
【0110】
実施例2
触媒材料を有する三元転化触媒複合材は、底塗りおよび上塗り、2つの層を利用して、調製された。層状触媒複合材は、白金族金属としてパラジウムだけを含有し、90g/ftの総白金族金属添加量、0/90/0のPt/Pd/Rh比率を有した。以下の試料の各々の基体は、CPSI=400/3.5を有する105.7mm(D)x114mm(L)であった。
【0111】
〔比較試料P〕
触媒材料の総パラジウムのうち、〜20%は、底塗りにつぎ込まれた。底塗りを調製するために、底塗りのパラジウムの半分は、硝酸パラジウムの形で浸透させ、(リンのトラッピングのための)バリウム部材とともに、2つのアルミナ原料の組み合わせ上へ焼成された。パラジウムの残り半分は、硝酸パラジウムの形で浸透させ、2つの材料の組み合わせ上へ焼成された。第1の材料は、ジルコニア複合材(2つの材料の27.8%)(約75%のジルコニア、10%のイットリア、10%のネオジミアおよび5%のランタナ)で、第2の材料は、OSC(「OSC Y基準」)(2つの材料の72.2%)(約64%のセリア、26%のジルコニア、5%のイットリアおよび5%のランタナ)であった。これらの浸透および焼成された粉末は、水および硝酸でスラリーにされた。スラリーは、約90%の粒子が12μm未満となるまで、粉々にされた。バインダー材料および硝酸ジルコニウムがスラリーに追加され、続いて、約90%が10μm未満の粒子となるまで粉々にされた。続いて、スラリーは、約1.46g/inの薄め塗膜添加量で、基体上へコーティングされた。
【0112】
上塗りは、アルミナ上へ硝酸パラジウムの形で残りのパラジウム(触媒材料の総パラジウムの〜80%)を浸透させ、水および硝酸でスラリーを形成することによって、調製された。スラリーは、約90%の粒子が12μm未満となるまで、粉々にされた。OSC(「OSC Z」)(約40%のセリア、50%のジルコニア、5%のイットリアおよび5%のランタナ)、バインダー材料および硝酸ジルコニウムがスラリーに追加され、続いて、粒子の約90%が10μm未満となるまで、粉々にされた。続いて、スラリーは、約1.867g/inの薄め塗膜添加量で、基体上へコーティングされた。
【0113】
〔試料Q〕
試料Qの底塗りは、OSC Y基準)を利用しないことを除き、比較試料Pの底塗りで説明されたように調製され、追加された0.1%のAgOを有するOSC Y基準の修正したバージョンが利用された。
【0114】
試料Qの上塗りは、比較試料Pの上塗りで説明されたように、調製された。
【0115】
比較試料Pおよび試料Qは、100時間約950℃の燃料カット熟成を利用し、熟成されたエンジンであった。
【0116】
比較試料Pおよび試料Qの組成物(g/in)は、表8にまとめられる。
【0117】
【表8】


*64%のセリア、26%のジルコニア、5%のイットリアおよび5%のランタナ
**40%のセリア、50%のジルコニア、5%のイットリアおよび5%のランタナ
【0118】
比較試料Pおよび試料Qのエンジン試験は、MY2008 PZEVエンジンを利用して実施された。FTP試験サイクルが利用され、ミッドベッドHC/CO/NOx排気ガスが、試験サイクルの間、測定された。小さな数ほど、高い転化を示す。結果は、表9に示される。
【0119】
【表9】

【0120】
両方の底塗りでの、修正されたOSC Y(0.1%のAgO)の使用が、向上した炭化水素、一酸化炭素およびNOx転化活性をもたらすことを、これらの試験の結果は示した。
【0121】
本発明は好ましい実施形態を強調して説明されたが、好ましいデバイスおよび方法の変形物が利用されてもよく、そして、本明細書において、詳細に説明されたもの以外の方法で本発明が実施されてもよいことは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明には、以下の請求の範囲により定義されるような、本発明の趣旨および範囲に含まれるすべての修正態様が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリア、ジルコニアおよび希土類酸化物を含んだ担体を備える酸素貯蔵材であって、約0.1重量%から約10重量%の範囲の、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金、酸化ビスマスおよび酸化スズ、ならびに、これらの組み合わせからなるグループから選択された遷移金属酸化物によって、活性化される酸素貯蔵材。
【請求項2】
前記遷移金属酸化物が、前記担体上の分散された表面となる、請求項1に記載の酸素貯蔵材。
【請求項3】
前記セリアが、セリアが酸化状態間を変化する還元温度を有し、そして、前記遷移金属酸化物が、追加される遷移金属を含まない基準物質と比較して、前記セリア還元温度を少なくとも約100℃減少させるのに十分な量で存在する、請求項1に記載の酸素貯蔵材。
【請求項4】
前記酸素貯蔵材が、前記貯蔵材が約4時間約1000℃で空気により熟成され、約0.5%のH/Heの水素昇温還元(TPR)分析により試験されるときに、約475℃未満のセリア還元温度ピークを示す、請求項1に記載の酸素貯蔵材。
【請求項5】
約5重量%から約95重量%の範囲のセリアと、
約5重量%から約80重量%の範囲のジルコニアと、
約1重量%から約10重量%の範囲のランタナと、
約1重量%から約5重量%の範囲のプラセオジミアと、
約1重量%から約10重量%の範囲のイットリアと、
約1重量%から約10重量%の範囲のネオジミアとを備え、
そして、前記遷移金属酸化物が、約0.1重量%から約10重量%の範囲の、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金、酸化スズおよび酸化ビスマスの1つ以上である、
請求項1に記載の酸素貯蔵材。
【請求項6】
約42重量%から約46重量%の範囲のセリアと、
約42重量%から約46重量%の範囲のジルコニアと、
約2重量%から約6重量%の範囲のランタナと、
約2重量%から約6重量%の範囲のプラセオジミアと、
約1重量%から約8重量%の範囲のイットリアとを備え、
そして、前記遷移金属酸化物が、約0.1重量%から約5重量%の範囲の酸化第二鉄である、
請求項1に記載の酸素貯蔵材。
【請求項7】
約62重量%から約66重量%の範囲のセリアと、
約24重量%から約28重量%の範囲のジルコニアと、
約3重量%から約7重量%の範囲のランタナと、
約3重量%から約7重量%の範囲のイットリアとを備え、
そして、前記遷移金属酸化物が、約0.05重量%から約2.5重量%の範囲の酸化銀である、
請求項1に記載の酸素貯蔵材。
【請求項8】
請求項1の前記酸素貯蔵材、ならびに、パラジウム、ロジウム、プラチナおよびこれらの組み合わせからなるグループから選択された白金族金属部材を備える、エンジン排気を処理するための触媒。
【請求項9】
排気流と流体連通した請求項8の前記触媒を備える、エンジンからの排気流を処理するための排気ガス処理システム。
【請求項10】
前記遷移金属酸化物が、酸化銀を備え、前記酸素貯蔵材の0.05重量%から2重量%の範囲の量で存在する、請求項9に記載の排気ガス処理システム。
【請求項11】
前記酸素貯蔵材が、前記貯蔵材が約4時間約1000℃で空気により熟成され、約0.5%のH/Heの水素昇温還元(TPR)分析により試験されるときに、約475℃未満のセリア還元温度ピークを示す、請求項9に記載の排気ガス処理システム。
【請求項12】
請求項8の前記触媒と前記排気流を接触させることを含む、排気流を処理する方法。
【請求項13】
基体と、
セリア、ジルコニアおよびセリア以外の希土類酸化物を含む第1担体を備えた酸素貯蔵材、ならびに酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化銀、酸化ガリウム、酸化亜鉛、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化インジウム、酸化金、酸化スズ、酸化ビスマスおよびこれらの組み合わせからなるグループから選択された、前記第1担体上に分散された遷移金属酸化物面を備える、第1薄め塗膜層と、
第2担体上に貴金属部材を備える第2薄め塗膜層と、
を備える層状触媒。
【請求項14】
前記第1層が前記基体上に、前記第2層が前記第1層上にある、請求項13に記載の層状触媒。
【請求項15】
前記白金族金属部材がパラジウムである、請求項13に記載の層状触媒。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2013−500149(P2013−500149A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521770(P2012−521770)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/042829
【国際公開番号】WO2011/011565
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(505470786)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (81)
【Fターム(参考)】