説明

低アルカリ封止フリット、並びにそのようなフリットを用いたシールおよびデバイス

【課題】600℃〜900℃の中間温度範囲にある封止温度で水素ガス透過に対して耐性がある封止材料を提供する。
【解決手段】モル%で、20〜30%のSiO2、0〜15%のSrO、0〜8%のK2O、0〜6%のMgO、20〜30%のCaO、0〜10%のAl23、35〜45%のB23の組成を有し、アルカリの総量が10モル%未満であるガラスフリットを含む封止材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広く、アルカリ−亜鉛−ケイ酸塩フリットなどのガラス封止フリットに関する。より詳しくは、これらのフリットは、固体酸化物燃料電池(SOFC)のための封止フリットとして適している。
【背景技術】
【0002】
600℃から1000℃の温度範囲で封止するフリットは、多くの市販用ガラス製品の低温封止に用いられるB23またはP25系フリットと、進歩したセラミックの構造部材の高温接合に用いられる様々な数多くのケイ酸塩との間の中間群の材料に相当する。
【0003】
低温フリットは、陰極線管(CRT)、電球などの製品を封止するために、600℃より低い温度で用いられる。高温フリットは、高温の繊維強化構造セラミックを具現するであろう物品を製造するために、1000℃を超える温度で用いられる。
【0004】
中間温度範囲(600℃から1000℃)の封止における非常に古いものは、ZnO−B23−SiO2フリットである。別のものは、900℃から1000℃の間で使用するために設計されたLi2O−改良ZnO−Al23−SiO2フリットである。600℃から900℃の範囲で封止するフリットは、多くの用途にとって重要である。そのようなフリットの必要性は、固体酸化物燃料電池(SOFC)のためのシーラントフリットの需要によって明白になってきた。
【0005】
さらに、燃料電池デバイスは、燃料電池積重部材において熱応力を誘発する、相当な熱サイクルおよび大きな温度勾配を経る。それゆえ、シールは、大きな温度変動に耐え、かつ電解質シートおよびフレームに適合する熱膨張係数を有する必要がある。そのシールが、フレームまたは電解質シートの熱膨張率と異なる熱膨張率で膨張すると、そのシールに亀裂が生じるか、または電解質シートに亀裂を生じさせるであろう。シールまたは電解質シートのいずれに欠陥が生じても、その燃料電池デバイスを交換する必要が生じるであろう。
【0006】
特許文献1には、固体酸化物に使用するのに適した、B23を含まないフリットシールが記載されている。これらのフリットシールは、多くの用途においてうまく使われてきた。しかしながら、燃料電池デバイスのあるものでは、鋼製部材(例えば、フレームまたは基板)が用いられる。特許文献1の表1に開示されたフリットシールは、CrおよびAlなどの多くのステンレス鋼合金化元素に関するレドックス反応によって、適切な条件下で還元され得る成分であるZnOを比較的多量含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6291092号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、固体酸化物燃料電池のための代わりのフリットシール化合物を見いだす必要性が、近年の甚大な量の研究の課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の封止材料のある利点は、この材料が、温度範囲(700〜900℃)で燃料電池デバイス部材を封止しつつ、これらの部材のCTEに適合するCTEを有することである。本発明の封止材料の別の利点は、それにより得られたシールがSOFC環境において耐久性であることである。
【0010】
本発明のある態様によれば、固体酸化物燃料電池デバイスは、700℃〜900℃の中間温度範囲にある封止温度で水素ガス透過に対して耐性がある封止材料を含み、その封止材料は、70×10-7/℃から120×10-7/℃のCTEを有し、この封止材料は、質量%で、
(i)80質量%から100質量%のガラスフリットであって、それ自体、モルパーセントで、15〜65%のSiO2、0〜25%のSrO、0〜5%のLi2O、0〜5%のNa2O、0〜10%のK2O、0〜5%のMgO、0〜32%のCaO、0〜10%のAl23、0〜50%のB23の組成を有し、アルカリの総量が10モル%未満であるガラスフリット、および
(ii)0質量%から30質量%のジルコニアまたは白榴石ミル添加物、
を含む。
【0011】
この封止材料が80×10-7/℃から120×10-7/℃のCTE範囲を有することが好ましく、90×10-7/℃から120×10-7/℃のCTE範囲がより好ましく、100×10-7/℃から120×10-7/℃のCTE範囲がさらにより好ましい。
【0012】
本発明の別の態様によれば、固体酸化物燃料電池デバイスは、モルパーセントで、15〜65%のSiO2、0〜5%のLi2O、0〜5%のNa2O、0〜5%のK2O、0〜5%のMgO、0〜32%のCaO、0〜10%のAl23、0〜45%のB23、10〜25%のSrOの組成を有し、アルカリ酸化物の総量が10モル%未満であるフリットガラスを含む。本発明の実施の形態によれば、このフリットガラスは、充填剤と混合され、次いで焼成されたときに、700℃〜900℃の中間温度範囲にある封止温度で水素ガス透過に対して耐性があり、70×10-7/℃から120×10-7/℃のCTEを有するシールを形成する。
【0013】
本発明の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その説明から当業者にとって容易に明白であるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む、ここに記載された発明を実施することによって認識されるであろう。
【0014】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本発明の例示の実施の形態を表し、特許請求の範囲に記載された本発明の性質および特徴を理解するための概要または構成を提供することが意図されているのが理解されよう。添付の図面は、本発明をさらに理解するために含まれ、この明細書に包含され、その一部を構成する。これらの図面は、本発明の様々な実施の形態を示しており、説明と共に解釈すると、本発明の原理および動作を説明するように働く。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】例示の固体酸化物燃料電池デバイスアセンブリの斜視図
【図2】図1の固体酸化物燃料電池デバイスアセンブリの一部の分解斜視図
【図3】例示の燃料電池デバイスの斜視図
【図4】例示のガラスフリット/充填剤ブレンドの温度挙動を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本発明の現在好ましい実施の形態を詳しく参照する。その実施例が添付の図面に示されている。同じまたは同様の部品を参照するために、図面に亘り、できる限り同じ参照番号が用いられている。固体酸化物燃料電池(SOFC)デバイスは、参照番号10により全般にわたり指し示されている。
【0017】
図1は、一般的なSOFCデバイスアセンブリ10の斜視図である。図2は、積重された燃料電池デバイス12を含む、燃料電池デバイスアセンブリ10の一部を示している。SOFCデバイスアセンブリ10は、それぞれが、固体電解質、陰極板および陽極板の各層から構成された、交互の燃料電池デバイスを含む。固体電解質は一般に、イットリウム(Y)ドープZrO2である。燃料電池デバイス12は、陽極14、陰極16および電解質(図示せず)を含む。各燃料電池デバイス12は、電解質、酸化体または燃料を供給するための複数の平行通路20が組み込まれた分配部材18も備えている。通路20の軸は、共通面内にある。
【0018】
分配部材18は、2枚の波形セラミック板から製造されることが好ましい。これの波形板は平行に配列され、これらの板の内の一方の谷は、別の板の頂部に結合される。これにより、約2mmの直径を持つ通路20が形成される。
【0019】
図2に示されているように、多孔質支持構造体22が、分配部材18を取り囲み、それを横切って延在している。この構造体は、部材18の頂部および谷と接触して、固体酸化物燃料電池デバイス12の陽極14または陰極16のチャンバである複数の平行通路を形成している。それらの通路は、固体酸化物燃料電池デバイス12のための電解質の分配と除去を行う。波形セラミック板は、燃料が、通路20から、固体酸化物燃料電池デバイス12の陽極14または陰極16のチャンバ中に流し込めるように通路20の間に開口を有する。
【0020】
図3は、交互の陽極14および陰極16並びに通路20に対するそれらの関係を示す、拡大部分図である。
【0021】
本発明のガラスフリットベースのシールは、各デバイス12を被包しても、あるいは、各デバイス12の間にバリアを形成してもよい。バリアを形成する場合、このガラスフリットベースのシールは、隣接するデバイス12の間に挟まれた板の形態をとってもよい。構造体22も、本発明のガラスフリットから製造されていてもよい。このガラスフリットベースのシールは、水素ガスが、あるデバイス12から別のデバイスへと拡散するのを防ぐ。このガラスフリットベースのシールは、図1〜3に示されたものとは異なる構造を持つSOFCデバイスに、1つ以上のSOFCデバイス部材が別の部材に封止される必要のある任意の場所で、用いてもよい。
【0022】
本発明のある実施の形態によれば、固体酸化物燃料電池デバイスアセンブリ10は、700℃〜800℃の中間温度範囲にある封止温度で水素ガス透過に対して耐性のある封止材料を含む。この封止材料は、70×10-7/℃から120×10-7/℃のCTEを有する。この封止材料は、ガラスフリットとミル添加物の総質量%が100質量%となるように、80から100質量%の封止ガラスフリット、および0質量%から30質量%のミル添加物(例えば、ジルコニアまたは白榴石ミル添加物)を含む。添加物の平均粒径が20μm未満であることが好ましく、5μm未満であることがより好ましい。
【0023】
本発明の封止ガラスフリットは、比較的少量しかアルカリを含有しない。より具体的には、本発明によるガラスフリット組成物中のアルカリの量は、10モル%未満、好ましくは5モル%未満である。この封止ガラスフリットはZnOを含有しないことが好ましい。この封止ガラスフリットは、ZnOがH2雰囲気中で還元される傾向があるために、ZnOを含有しないことが好ましい。
【0024】
本発明のある実施の形態によれば、ガラスフリットがモルパーセントで以下の組成:15〜65%のSiO2、0〜25%のSrO、0〜5%のLi2O、0〜5%のNa2O、0〜10%のK2O、0〜5%のMgO、0〜32%のCaO、0〜10%のAl23、0〜50%のB23を有し、ここで、アルカリの総量が10モル%未満である。ガラス形成剤の合計(すなわち、B23+SiO2)は、50〜75モル%の範囲、好ましくは60〜70モル%の範囲にあるべきである。ガラスフリット材料がZnO、ZrO2および/またはTiO2を含有する場合、ZnO、ZrO2および/またはTiO2の総量が5モル%未満であることが好ましく、2モル%未満であることがより好ましい。
【0025】
ある実施の形態によれば、前記ガラスフリットは、モルパーセントで、55〜65%のSiO2、10〜25%のSrO、0〜5%のLi2O、0〜5%のNa2O、0〜10%のK2O、0〜5%のMgO、0〜10%のCaO、0〜10%のAl23、0〜20%のB23を含むホウケイ酸ストロンチウムガラスであり、ここで、アルカリの総量が10モル%未満である。このホウケイ酸ストロンチウムガラスが、モル%で、0〜5%のCaO、5〜15%のB23、0〜5%のK2O、0〜5%のAl23、1%未満のMgO、および15〜20%のSrOを含むことが好ましい。これらのホウケイ酸ストロンチウムガラスは、約725℃の軟化点、および約90×10-7/℃のCTEを有する。比較的低いCTEのために、これらのフリットガラス組成物を、膨張変更(上昇)充填剤と共に使用することが好ましい。例えば、得られたガラスブレンドのCTEを、約100から120×10-7/℃の所望のレベルまで上昇させるために、このガラスフリット(80〜90質量%)に、Ca安定化ジルコニア、またはY安定化ジルコニア(YSZ)などの高CTE充填剤が10〜20質量%加えられる。
【0026】
上述したホウケイ酸ストロンチウムガラスフリット/充填剤のブレンドから形成された封止材料は、最初の封止サイクル(1〜5時間に亘り800〜850℃)中に部分的に失透して、アルミノケイ酸ストロンチウム結晶相および少なくとも1つの追加の結晶相を形成する。ホウケイ酸ストロンチウムフリットガラス組成物が、リチアを含んで、比較的高いCTEを維持することが好ましい。何故ならば、リチアが含まれないと、フリットのCTEが減少する(85〜90×10-7/℃から65〜70×10-7/℃へと)からである。このガラス組成物中のLi2Oの好ましい量は、1から4モル%である。前記ガラスフリットがカルシアを含有することが好ましい。カルシアの好ましい量は、5から10モル%である。カルシアは、長期間に亘る老化中にCTEを維持するのに役立つ。何故ならば、リチア含有フリットは、低CTEのスタッフド石英相を形成し、空気エージング(一般に、725℃で100時間)の際にCTEが85×10-7/℃から60〜65×10-7/℃へと減少するかもしれないからである。アルミナレベル(Al23)は、低く維持される、好ましくは2から5モル%の範囲に維持されることが理想的であり、そうでなければ、Si+4の(Al+3+Li+1)による置換が生じ、スタッフドβ石英である、低CTE相が形成されてしまう可能性がある。
【0027】
他の実施の形態によれば、前記ガラスフリットは、モルパーセントで、20〜30%のSiO2、0〜10%のSrO、0〜8%のK2O、0〜6%のMgO、20〜30%のCaO、0〜10%のAl23、35〜45%のB23を含むケイホウ酸カルシウムガラスフリットであり、ここで、アルカリの総量は10モル%未満である。このガラスフリットが、22〜25モル%のCaO、38〜42モル%のB23、0〜6モル%のK2O、2〜5モル%のAl23、1モル%未満のMgO、および0〜3モル%のSrOを含むことが好ましい。これらのケイホウ酸カルシウムガラスフリットは、より多い量のB23、より少ない量のSiO2、およびより少ない量のSrOを含有するので、ホウケイ酸ストロンチウムガラスフリットとは異なる。少量のSrOにより、より良好に流れる、より安定なフリットが得られる。このタイプのフリットガラスは、先に列記したもの以外のアルカリ、例えば、Li2Oおよび/またはNa2Oを少量含んでもよい。しかしながら、このタイプのケイホウ酸ガラスフリット中のアルカリの総量は10モル%未満、好ましくは8モル%未満、より好ましくは5モル%未満である。このケイホウ酸カルシウムガラスフリットは、アルカリを完全に含まなくてもよい。
【実施例】
【0028】
本発明の封止ブレンドはさらに、ガラスフリット組成物をモルパーセントで、総ブレンド組成物(ガラスフリットおよび充填剤)を質量%で示す、以下の実施例によって、さらに明白になるであろう。
【表1】

【0029】
表1に示されたデータは、6種類の例示の低アルカリ(または無アルカリ)ホウ素シリカガラスフリット組成物およびそれに関連する充填剤を示している。より具体的には、これらのフリットは、アルカリ土類ホウケイ酸またはケイホウ酸フリットガラスである。溶融後、各ガラスフリット組成物を、30μm未満、例えば、5.0μmから20μmの平均粒径に乾式ボールミル粉砕することによって、フリットにした。実施例1,3,4および6のSOFC封止材料に要求される高いCTE値および高い軟化点は、比較的高い粘度のガラス質粉末基礎ガラスに膨張係数上昇添加剤を添加することによって、満たされる。例示の充填剤は、5質量%から30質量%、好ましくは5から20質量%の、安定化ジルコニア(CTE、約120×10-7/℃)または白榴石K2O・Al23・4SiO2(CTE、約200×10-7/℃)の添加物である。2番目と5番目の実施例は、充填剤を必要としなかった。
【0030】
実施例1のフリットガラスは実質的に、約20〜50体積%の結晶相を有することが好ましい、失透ガラスである。このブレンドは、CTEを上昇させるために、10質量%の安定化ジルコニア充填剤を含有している。表1に示された第1の例示のガラス組成物により形成されたガラスフリットは、約770℃の軟化点および約850℃の封止温度を有する。
【0031】
表1の第2の実施例は、完全に失透しているガラスセラミックフリットに相当する。このフリットは、先の実施例よりも少量のSiO2、多量のCaOとB23を有している。表1に示された第2の例示のガラス組成物により形成されたガラスシールは、充填剤が加えられなかったので、実施例1のものよりも低いCTE値を有する。比較的低いCTEにもかかわらず、このフリットは、異なる燃料電池部材に対して良好な付着性を示した。
【0032】
第3の実施例の組成物は、実施例2と同じ基礎ガラスを含有するが、CTEを上昇させるために、安定化ジルコニア充填剤も含有する。
【0033】
第4の実施例の封止材料は、第3の実施例のフリットガラスを用いているが、白榴石の充填剤を有している。この材料は、約850℃の封止温度を有する。
【0034】
第5の実施例は、アルカリを全く含まないフリットガラスを用いている。そのCTEは、充填剤が用いられていないので比較的低いが、このフリットは、様々な燃料電池部材に対して優れた結合特性を示した。
【0035】
第6の実施例の封止材料は、第5の実施例のガラスに似たガラスフリットを用いているが、CTEを上昇させるために、充填剤を有している。この材料は、約850℃の封止温度を有する。
【0036】
シーラントブレンド
前記封止材料は、ガラスフリットとミル添加物の総質量%が100質量%となるように、80から95質量%のアルカリ土類−シリカ系ガラスフリット、および5質量%から30質量%、好ましくは10から30質量%のミル添加物を含む。その添加物の平均粒径が30μm未満であることが好ましく、20μm未満がより好ましく、5μm未満がさらにより好ましい。
【0037】
4種類のブレンドの全てが、1000℃未満の温度で、好ましくは700℃から900℃で、シールを形成した。充填剤が加えられていないガラスは、最低のシールCTE値を生じた。それゆえ、より高いシールCTE値が要求される場合、いくつかの充填剤ミル添加物を、得られるブレンドのCTEを要求されるレベルまで上昇させるのに要求される量で、混合物に加えてもよい。
【0038】
実施例4のガラスフリット/白榴石のブレンドは、20質量%の白榴石しか有していなかった。このブレンドを作製するために微粉末の天然の白榴石を用いても差し支えないが、この例示の実施の形態において、得られるシールのCTE値を上昇させるために加えられた白榴石源は、ガラスセラミック(モル%で、4.7%のNa2O、13.0%のK2O、18.0%のAl23、59.1%のSiO2、5.1%のTiO2の組成)であった。この(ガラスセラミック)組成物を1600℃と1650℃の間の温度で溶融した後、得られた材料を4時間に亘り1100℃でセラミック化し、次いで、10〜20μmの平均粒径にボールミル粉砕した。
【0039】
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、本発明に様々な改変および変更を行っても差し支えないことが当業者には明白である。それゆえ、本発明は、本発明の改変および変更を、それらが添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物に入るという条件で、包含することが意図されている。
【0040】
他の実施態様
1.700℃〜900℃の中間温度範囲にある封止温度で水素ガス透過に対して耐性がある封止材料を含む固体酸化物燃料電池デバイスであって、前記封止材料は、70×10-7/℃から120×10-7/℃の範囲にあるCTEを有し、該封止材料は、質量%で、
(i)80質量%から100質量%のガラスフリットであって、それ自体、モルパーセントで、15〜65%のSiO2、0〜5%のLi2O、0〜5%のNa2O、0〜10%のK2O、0〜5%のMgO、0〜32%のCaO、0〜10%のAl23、0〜50%のB23、0〜25%のSrOの組成を有し、アルカリの総量が10モル%未満であるガラスフリット、および
(ii)0質量%から30質量%のジルコニアまたは白榴石ミル添加物、
を含む固体酸化物燃料電池デバイス。
【0041】
2.前記ガラスフリット自体が、モルパーセントで、55〜65%のSiO2、0〜10%のAl23、0〜5%のNa2O、0〜10%のK2O、0〜20%のB23、0〜5%のLi2O、0〜2%のK2O、0〜25%のSrO、0〜32%のCaOの組成を有することを特徴とする実施態様1記載の固体酸化物燃料電池デバイス。
【0042】
3.20μm未満の平均粒径を有するアルミナ、ジルコニアまたは白榴石の添加物を5から20質量%含むことを特徴とする実施態様2記載の固体酸化物燃料電池デバイス。
【0043】
4.前記ガラスフリットの組成が、モル%で、20〜30%のSiO2、22〜25%のCaO、1〜3%のAl23、30〜50%のB23、0〜5%のNa2O、0〜8%のK2O、0〜15%のSrO、0〜1%のMgOを含むことを特徴とする実施態様1記載の固体酸化物燃料電池デバイス。
【0044】
5.前記ガラスフリット中のZnOの量が1モル%未満であることを特徴とする実施態様4記載の固体酸化物燃料電池デバイス。
【0045】
6.モルパーセントで、15〜65%のSiO2、0〜5%のLi2O、0〜5%のNa2O、0〜10%のK2O、0〜5%のMgO、0〜32%のCaO、0〜10%のAl23、0〜50%のB23、0〜25%のSrOの組成を有するガラスフリットであって、アルカリの総量が10モル%未満であるガラスフリットを含む封止材料。
【0046】
7.前記ガラスフリットが、充填剤と混合され、次いで、焼成された後、700℃〜900℃の中間温度範囲にある封止温度で水素ガス透過に対して耐性があり、70×10-7/℃から120×10-7/℃の範囲にあるCTEを有するシールを形成することを特徴とすることを特徴とする実施態様6記載の封止材料。
【0047】
8.700℃〜900℃の中間温度範囲にある封止温度で水素ガス透過に対して耐性がある封止材料であって、前記封止材料は、70×10-7/℃から120×10-7/℃の範囲にあるCTEを有し、該封止材料は、モルパーセントで、15〜65%のSiO2、0〜5%のLi2O、0〜5%のNa2O、0〜10%のK2O、0〜5%のMgO、0〜32%のCaO、0〜10%のAl23、0〜45%のB23、10〜25%のSrOの組成を有し、アルカリの総量が10モル%未満であるガラスフリットを含む封止材料。
【0048】
9.SiO2およびB23の総量が50から75モル%であることを特徴とすることを特徴とする実施態様8記載の封止材料。
【0049】
10.SiO2およびB23の総量が60から70モル%であることを特徴とすることを特徴とする実施態様9記載の封止材料。
【符号の説明】
【0050】
10 燃料電池デバイスアセンブリ
12 燃料電池デバイス
14 陽極
16 陰極
18 分布部材
20 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モル%で、20〜30%のSiO2、0〜10%のSrO、0〜8%のK2O、0〜6%のMgO、20〜30%のCaO、0〜10%のAl23、35〜45%のB23の組成を有しかつアルカリの総量が10モル%未満であるガラスフリット、を含む封止材料。
【請求項2】
前記ガラスフリットが、モル%で、22〜25%のCaO、38〜42%のB23、0〜6%のK2O、2〜5%のAl23、1%未満のMgO、および0〜3%のSrOを含むことを特徴とする請求項1記載の封止材料。
【請求項3】
前記アルカリの総量が8モル%未満であることを特徴とする請求項1または2記載の封止材料。
【請求項4】
前記アルカリの総量が5モル%未満であることを特徴とする請求項3記載の封止材料。
【請求項5】
ミル添加物をさらに含む請求項1から4いずれか1項記載の封止材料。
【請求項6】
前記ミル添加物が、ジルコニアミル添加物または白榴石ミル添加物を含むことを特徴とする請求項5記載の封止材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−197223(P2012−197223A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115331(P2012−115331)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2007−554159(P2007−554159)の分割
【原出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】