説明

低圧蒸気タービン

【課題】負荷遮断等によって低圧蒸気タービンに供給される蒸気の流量が急減し、蒸気が逆流した場合においても、フラッシュバック振動の発生を低減させ、翼に作用する流体変動力の減少を図ることができるようにする。
【解決手段】タービン内の蒸気通路部1aから蒸気f‥の一部を抽出し、蒸気通路部に低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出す抽気ラインを備えた低圧蒸気タービンにおいて、互いに隣接するノズル3間の外周壁に抽気口を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低圧蒸気タービンに係り、特に供給蒸気量の急減時に逆流が発生した場合のフラッシュバック振動を低減できるようにした低圧蒸気タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントの蒸気タービンシステムでは、原子炉で生成された蒸気が高圧タービンから低圧タービンを通過しながら、熱エネルギが回転エネルギに変換され、復水器で水に戻された後、再び給水ラインに送られる。そして、給水加熱器で給水を加熱するために蒸気を低圧蒸気タービンから抽気している。
【0003】
図17は、低圧タービンの通常運用時における抽気状態を示している。図17に示すように、低圧蒸気タービン101の蒸気通路部101aの段落は、外部ケーシング102に設けられたノズル103(103a,103b‥)と、ノズルダイアフラム内輪104に設けられた翼105(105a,105b‥)等により構成されている(外部ケーシング102のL−1段やL−2段等)。
【0004】
そして、例えば外部ケーシング102のL−2段の上流側には、通路部接続面106を介して抽気箱107が連通して設けられている。
【0005】
通常運転時においては、抽気箱107に連通した通路部接続面106の蒸気流の圧力が給水加熱器(図示省略)内の圧力よりも高いため、蒸気通路部101aから抽気箱107に向かう流れ(矢印a)が生じる。
【0006】
一方、負荷遮断時などのように蒸気通路部101a内を流れる蒸気流量が低下すると、給水加熱器内の水が減圧沸騰して逆流することがある(破線矢印b)。この逆流は蒸気通路部101a内の圧力が急減したことにより、給水加熱器内圧力が蒸気通路部101a内の圧力よりも高くなるために起こる現象である。この逆流蒸気によって翼105(105a、105b‥)が励振される状態を、フラッシュバック振動という。
【0007】
従来では、このような低圧蒸気タービンの低負荷時における蒸気の逆流現象に対し、種々の提案がされている。例えば、負荷が遮断されて低圧蒸気タービンに供給される蒸気の流量が急減されるときに、給水加熱器内のドレンを急速に減少または空にする技術(特許文献1参照)、給水加熱器内の温度を低減する技術(特許文献2参照)、低い回転速度を維持するように低圧蒸気タービンに供給する蒸気量を蒸気流量調節弁で調節する技術(特許文献3参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−101494号公報
【特許文献2】特開2008−75526号公報
【特許文献3】特開2008−75580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、負荷遮断等によって低圧蒸気タービンに供給される蒸気の流量が急減した場合には、蒸気の逆流(図17の矢印b方向の流れ)が発生し、フラッシュバック振動によって翼に流体変動力が作用する可能性がある。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、負荷遮断等によって低圧蒸気タービンに供給される蒸気の流量が急減し、蒸気が逆流した場合においても、フラッシュバック振動の発生を低減させ、翼に作用する流体変動力の減少を図ることができる低圧蒸気タービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明では、低圧タービン内の蒸気の一部を、低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出すための抽気ラインを蒸気通路部に有する低圧蒸気タービンにおいて、互いに隣接するノズル間の外周壁に抽気口を設けた構成とする。
【0012】
本発明では、ノズル内に設けたノズル内空間をノズルダイアフラム内空間と繋げ、通路部接続面はノズルダイアフラム内輪に設けることが望ましい。
【0013】
また、本発明では、ノズル内に設けたノズル内空間およびノズルに設けたスリットをノズルダイアフラム内空間と繋ぐ構成とし、通路部接続面をノズルダイアフラム内輪に設けることが望ましい。
【0014】
また、ノズルの内部を中空にして抽気流路を設け、ノズルダイアフラム内輪およびノズルに抽気口を設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、互いに隣接するノズル間の外周壁に抽気口を設けたことにより、逆流蒸気の噴出位置と上流側翼とのスペースが大きく、また下流側翼に対しては当該ノズルのスロートが存在して流れの直接衝突が緩和されるため、抽気箱内を逆流してきた蒸気の流れが通路部接続面からノズルの翼間に放出され、蒸気の逆流によって翼に作用する流体変動力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図。
【図2】図1の翼部を流路方向に沿って切断した横断面図。
【図3】本発明の第2実施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図。
【図4】図3の翼部を流路方向に沿って切断した横断面図。
【図5】本発明の第3実施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図。
【図6】図5の翼部を流路方向に沿って切断した横断面図。
【図7】本発明の第4実施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図。
【図8】本発明の第5実施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図。
【図9】本発明の第6実施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図。
【図10】図9の翼部を流路方向に沿って切断した横断面図。
【図11】本発明の第7実施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図。
【図12】図11の翼部を流路方向に沿って切断した翼部を流路方向に沿って切断した横断面図。
【図13】本発明の第8施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図。
【図14】図13の翼部を流路方向に沿って切断した横断面図。
【図15】本発明の第9実施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図。
【図16】図15の翼部を流路方向に沿って切断した横断面図。
【図17】従来の低圧蒸気タービンにおける蒸気通路部と抽気箱の位置関係を表す蒸気通路部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る低圧蒸気タービンの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
[第1実施形態](図1、図2)
図1は本発明の第1実施形態による低圧蒸気タービンの要部縦断面図であり、蒸気通路部と抽気流路および通路部接続面の位置関係を示している。図2は図1の翼部を流路方向に沿って切断した横断面図である。
【0019】
なお、図示の例では、外部ケーシング2のL−1段およびL−2段等の上流部位を示している。
【0020】
図1および図2に示すように、本実施形態の低圧蒸気タービン1では、外部ケーシング2の内周面に設けられたノズル3(3a,3b‥)と、ノズルダイアフラム内輪4に設けられた翼5(5a,5b‥)とにより、蒸気通路部1aの段落が構成されている。
【0021】
蒸気通路部1aに供給される蒸気(主流)fは、段落を構成するノズル3(3a),3(3b)、および翼5(5a),5(5b)を通過して膨張し、ノズルダイアフラム内輪4を回転駆動する。
【0022】
外部ケーシング2の内周面の初段側(例えば図示2段目位置)には、蒸気通路部1aに面する開口面(以下、「通路部接続面6a」という。)および抽気流路6を介して、抽気口7aを有する抽気箱7が設けられている。この抽気箱7はノズルダイアフラム内輪4の軸方向に沿う方向において翼5a,5b間に配置され、かつ周方向においてノズル3間に配置されている。
【0023】
この構成において、蒸気通路部1a内を流動する供給蒸気fは通常運転中、抽気箱7に抽気(f)されて復水器に供給される。
【0024】
ところで、負荷遮断時などのように蒸気通路部1a内を流れる蒸気流量が低下し、給水加熱器内の水が減圧沸騰して逆流した場合(矢印f)には、蒸気通路部1a内の圧力が急減して給水加熱器内圧力が蒸気通路部1a内の圧力よりも高くなり、逆流蒸気により翼5が励振される状態が生じ得る。
【0025】
これに対し、本実施形態においては、互いに隣接するノズル3間の外周壁に抽気口としての通路部接続面6aを設け、給水加熱器から抽気口を介して逆流してきた蒸気の流れ(逆流f)が、通路部接続面6aからノズル3の翼間に放出される構成としてある。
【0026】
この場合、逆流蒸気の噴射位置は上流側翼5aとの間のスペースが大きい位置となり、また下流側翼5bに対してはノズル3のスロートが存在して流れの直接衝突が緩和されるため、蒸気の逆流fによって翼5に作用する流体変動力を低減することができる。
【0027】
したがって、負荷遮断等によって低圧蒸気タービンに供給される蒸気の流量が急減し、蒸気が逆流した場合においても、フラッシュバック振動の発生を低減させ、翼に作用する流体変動力の減少を図ることができる。
【0028】
[第2実施形態](図3、図4)
図3は本発明の第2実施形態による低圧蒸気タービン1の要部縦断面図であり、蒸気通路部1aと抽気流路6および通路部接続面6aの位置関係を示している。図4は図3の横断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0029】
本実施形態では、ノズル内に設けたノズル内空間をノズルダイアフラム内空間と繋げ、通路部接続面はノズルダイアフラム内輪に設ける構成について説明する。
【0030】
図3および図4に示すように、本実施形態においては、外部ケーシング2に設けられた抽気箱7の通路部接続面6aの部位にノズル3bが配置されている。そして、このノズル3bのノズル内空間11を、ノズルダイアフラム内輪4の外周面部に形成した断面U字形のノズルダイアフラム内空間10の一端側開口部10aと連通させ、これにより抽気箱7と蒸気通路部1aとを互いに連通させた構成としてある。
【0031】
また、ノズルダイアフラム内輪4の外周面部に形成した断面略U字形のノズルダイアフラム内空間10の他端側開口部10bは、蒸気通路部1aに連通させてある。すなわち、抽気箱7はU字形のノズル内空間11を介して、ノズルダイアフラム内空間10に連通し、抽気箱7内の蒸気fはノズルダイアフラム内空間10の底部を経て(f)、ノズルダイアフラム内輪4に設けられた開口部である通路部接続面10bから、蒸気通路部1a内へ放出される構成となっている。
【0032】
このように構成された本実施形態においては、抽気箱7から逆流してきた流れfはノズル内空間11を通り、ノズルダイアフラム内空間10の底壁に衝突して減衰した後、ノズルダイアフラム内輪4に設けられた通路部接続面10bから蒸気通路部1aへ放出される。
【0033】
したがって、ノズルダイアフラム内輪4側からの逆流蒸気放出による流体変動力は構造的に強い翼5のルート側を中心に作用するため、逆流の影響を低減することができる。
【0034】
[第3実施形態](図5、図6)
図5は本発明の第3実施形態による低圧蒸気タービン1の要部縦断面図であり、蒸気通路部1aと抽気流路6および通路部接続面6aの位置関係を示している。図6は、図5に示したノズル3の横断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
本実施形態の構成は、基本的に前述の第2実施形態と略同様であるが、ノズル3の上流側の壁に複数本の縦長なスリット13を形成し、このスリット13を介して、ノズル内空間11と蒸気通路部1aとを連通させた構成を加えてある。
【0036】
このような構成を有する本実施形態によれば、抽気箱7からを逆流してきた流れfの一部がノズル3bに設けられたスリット13を介して蒸気通路部1aに放出される。そして、残りの蒸気はノズル内空間11を通り、ノズルダイアフラム内空間10の底壁に衝突して減衰した後、ノズルダイアフラム内輪4に設けられた通路部接続面10bから蒸気通路部1aへ放出される。
【0037】
したがって、本実施形態によれば、ノズル3からの蒸気放出量とノズルダイアフラム内輪4側からの放出量を調節することにより、翼5にかかる変動力モーメントを最小とすることができ、ノズルダイアフラム内輪4からの逆流蒸気放出による流体変動力は構造的に強い翼5のルート側を中心に作用するため、流体変動力の影響を低減することができる。
【0038】
[第4実施形態](図7)
図7は本発明の第4実施形態による低圧蒸気タービン1の要部縦断面図であり、蒸気通路部1aと抽気流路6および通路部接続面6aの位置関係を示している。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0039】
本実施形態の低圧蒸気タービン1が上記第1実施形態と異なる点は、外部ケーシング2に設けられる抽気箱7の位置を第1実施形態よりも上流側に配置するとともに、抽気流路6の出口端を下流側に向って傾斜させて曲成した点にある。
【0040】
この構成によれば、抽気箱7から逆流してきた流れfが主流fの流れ方向への速度と同等の速度を持って蒸気通路部1aに放出されるため、渦の発生を抑制することができ、主流fを大きく乱すことなく蒸気が混合される。
【0041】
本実施形態によっても上記実施形態と同様に、蒸気通路部1aに設置されたノズル3や翼5に作用する流体変動力を低減することができる。
【0042】
[第5実施形態](図8)
図8は本発明の第5実施形態による低圧蒸気タービン1の要部縦断面図である。なお、本実施形態では、第4実施形態の構成を変形した例を示している。
【0043】
本実施形態が第4実施形態と異なる点は、車室側から蒸気通路部1aに向かい、かつ主蒸気流の下流方向に傾いた抽気流路6と、この抽気流路6の蒸気通路部1a側の出口部に次第に拡径する傾斜面14を形成した点にある。
【0044】
すなわち、車室から蒸気通路部1aに向かって下流側に傾いた抽気流路6を形成し、かつ蒸気通路部1aへの出口部では上流側にも拡大する傾斜面14を形成した構成としてある。
【0045】
この構成によれば、抽気箱7内を逆流してきた流れfが慣性によって主流fの流れ方向への速度を持って蒸気通路部1aに放出されるため、供給蒸気の主流fを大きく乱すことなく蒸気が混合される。また、通常運用時の抽気圧損を低減することができる。
【0046】
これにより、蒸気通路部1aに設置されたノズル3や翼5に作用する流体変動力を低減することができる。
【0047】
[第6実施形態](図9、図10)
図9は、本発明の第6実施形態による低圧蒸気タービン1の要部縦断面図であり、蒸気通路部1aと抽気流路6および通路部接続面6aの位置関係を示している。図10は図9の横断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0048】
図9および図10に示すように、本実施形態では、ノズル3内に設けられたノズル内空間11が、ノズルダイアフラム内輪4に形成されたU字形のノズルダイアフラム内空間10の一端側開口部10aに連通しており、ノズルダイアフラム内輪4とノズル3との間に通路部接続面10aが設けられ、さらにU字形のノズルダイアフラム内空間10の他端側開口部10bがノズルダイアフラム内輪4の蒸気通路部1a側に設けられている。
【0049】
この構成によれば、抽気箱7から逆流してノズル3間の通路部接続面6aから蒸気通路部1aに排出される流れfは、ノズル3間の空間において減衰されるため、翼5に作用する流体変動力を抑制することができる。
【0050】
また、抽気箱7から逆流し、ノズル内空間11およびノズルダイアフラム内空間10に流れる流れfは、ノズル内空間11を通り、ノズルダイアフラム内空間10の底壁に衝突して減衰した後、ノズルダイアフラム内輪4側の通路部接続面10bから蒸気通路部1aへ放出される。
【0051】
ノズルダイアフラム内輪4からの逆流蒸気放出による流体変動力は、構造的強度高い翼5のルート側を中心に作用するため、流体変動力の影響を低減することができる。
【0052】
本実施形態によれば、抽気流量に比べて内輪経由の流路が狭く圧損の増加が懸念される場合でも、外周壁に抽気部を設けることによって適切な流速を設定することが可能となる。
【0053】
[第7実施形態](図11、図12)
図11は本発明の第7実施形態による低圧蒸気タービン1の要部縦断面図であり、蒸気通路部1aと抽気流路6および通路部接続面6aの位置関係を示している。図12は図11の横断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0054】
本実施形態では、低圧タービン1内の蒸気の一部を、低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出すための抽気ラインを抽気流路6に有する構成としてある。そして、ノズル3の内部を中空にしてノズル内空間11からなる抽気流路を設け、かつ外部ケーシング2の周方向で互いに隣接するノズル3間の外周壁に抽気口12aを設け、さらにノズル3に抽気口12bを設けてある。
【0055】
すなわち、ノズル3内に設けたノズル内空間11およびノズル3に設けたスリット13を、ノズルダイアフラム内空間10に連通させ、通路部接続面10a,10bをそれぞれノズルダイアフラム内輪4およびノズル3の翼間に設けた構成としてある。
【0056】
このように構成された本実施形態においては、抽気箱7から逆流する蒸気fの一部がノズル3に設けられたスリット13から抽気流路6に放出され、一部の蒸気はノズル翼間の通路部接続面6aからノズル3の間に放出される。
【0057】
そして、残りの蒸気fはノズル内空間11およびノズルダイアフラム内空間10で減衰された後、ノズルダイアフラム内輪4に設けられた通路部接続面6aから蒸気通路部1aへ放出される。
【0058】
また、ノズル3からの放出量とノズルダイアフラム内輪4からの放出量を調節することで翼5にかかる変動力モーメントを最小とすることができ、ノズルダイアフラム内輪4からの逆流蒸気放出による流体変動力は、構造的に強い翼5のルート側を中心に作用するため影響を低減することができる。
【0059】
本実施形態によれば、抽気流量に比べて内輪経由の流路が狭く、圧損の増加が懸念される場合でも、外周壁抽気部を設けることで適切な流速を設定することが可能である。
【0060】
[第8実施形態](図13、図14)
図13は本発明の第8実施形態による低圧蒸気タービン1の要部縦断面図であり、蒸気通路部1aと抽気流路6および通路部接続面6aの位置関係を示している。図14は図13の横断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0061】
本実施形態では、通路部接続面6aがノズル3の間の外周壁に設けられており、通路部接続面6aへ続く抽気流路6は主流の下流方向に傾いている。
【0062】
すなわち、低圧タービン内の蒸気の一部を、低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出すための抽気ラインを蒸気通路部1aに有し、抽気流路6を主流の下流方向に向けた抽気口をノズル3の翼間に設けた構成としてある。
【0063】
この構成によれば、抽気箱7から逆流してきた流れfが主流の流れ方向fへの速度を持って蒸気通路部1aに流出するため、主流を大きく乱すことなくノズル3の翼間に蒸気が放出される。
【0064】
したがって、本実施形態によれば、蒸気通路部1aに設置されたノズル3や翼5に作用する流体変動力を低減することができる。
【0065】
[第9実施形態](図15、図16)
図15は本発明の第9実施形態による低圧蒸気タービン1の要部縦断面図であり、蒸気通路部1aと抽気流路6および通路部接続面6aの位置関係を示している。図16は図15の横断面図である。なお、第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0066】
本実施形態では、車室から蒸気通路部1aに向かって下流方向に傾いた抽気流路6、および蒸気通路部1aの出口で上流側にも拡大する流路が、ノズル3の間の外周壁に設けられている。
【0067】
すなわち、低圧タービン内の蒸気の一部を、低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出すための抽気ラインを蒸気通路部1aに設け、車室から蒸気通路部1aに向かって下流側に傾いた流路、かつ蒸気通路部1aの出口では上流側にも拡大している抽気口をノズル3の翼間に設けた構成としてある。
【0068】
この構成によれば、抽気箱7内を逆流してきた蒸気が、慣性によって主流fの流れ方向への速度を持って蒸気通路部1aのノズル3の翼間に放出されるため、主流fを大きく乱すことなく混合される。
【0069】
また、通常運用時の抽気圧損を低減することができ、蒸気通路部1aに設置されたノズル3や翼5に作用する流体変動力を抑制することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 低圧蒸気タービン
1a 蒸気通路部
2 外部ケーシング
3(3a,3b‥) ノズル
4 ノズルダイアフラム内輪
5(5a,5b) 翼
6 抽気流路
6a 通路部接続面
7 抽気箱
10 ノズルダイアフラム内空間
11 ノズル内空間
12 抽気流路
12a 出口部
12a 抽気口
12b 抽気口
12c 抽気流路
13 スリット
14 傾斜面
,f,f‥ 蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン内の蒸気通路部から蒸気の一部を抽出し、前記蒸気通路部に低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出す抽気ラインを備えた低圧蒸気タービンにおいて、互いに隣接するノズル間の外周壁に抽気口を設けたことを特徴とする低圧蒸気タービン。
【請求項2】
タービン内の蒸気通路部から蒸気の一部を抽出し、前記蒸気通路部に低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出す抽気ラインを備えた低圧蒸気タービンにおいて、ノズルの内部を中空にして抽気流路を設け、ノズルダイアフラム内輪に抽気口を設けたことを特徴とする低圧蒸気タービン。
【請求項3】
タービン内の蒸気通路部から蒸気の一部を抽出し、前記蒸気通路部に低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出す抽気ラインを備えた低圧蒸気タービンにおいて、車室から蒸気通路部に向かって抽気流路を主流の下流方向に向けたことを特徴とする低圧蒸気タービン。
【請求項4】
タービン内の蒸気通路部から蒸気の一部を抽出し、前記蒸気通路部に低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出す抽気ラインを備えた低圧蒸気タービンにおいて、ノズルの内部を中空にして抽気流路を設け、ノズルダイアフラム内輪およびノズルの内部に抽気口を設けたことを特徴とする低圧蒸気タービン。
【請求項5】
タービン内の蒸気通路部から蒸気の一部を抽出し、前記蒸気通路部に低圧給水加熱器の加熱用熱源として取出す抽気ラインを備えた低圧蒸気タービンにおいて、抽気流路の断面が車室から蒸気通路部に向かって下流側に傾いた抽気流路を設け、かつ前記蒸気通路部の出口では上流側にも拡大する構成としたこと特徴とする低圧蒸気タービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−7073(P2011−7073A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148986(P2009−148986)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】