説明

低沸点物質を含む重合体融解物のペレット化方法

本発明は切断装置が挿入されているペレット化チャンバー中で、環境気圧を超える圧力で、重合体融解物をペレット化する方法に関する。第1の工程において、ペレット化チャンバーを、重合体融解物に対して不活性な気体で、ペレット化を行う圧力に充満させる。それから、重合体融解物をペレット化チャンバーに注入する。最後に、重合体融解物が切断装置を通過し始めると直ぐに、ペレット化チャンバーからの気体を液体によって置換して、この融解物をペレットに切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置が挿入されたペレット化チャンバー(pelletizing chamber)中で、環境気圧を超える圧力で、重合体融解物(polymer melts)をペレット化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的なペレット化操作中に、一般に、液体は増加した圧力下でペレット化チャンバーを通過して流れる。チャンバーを流れる液体は、一般に水である。従って、そのペレット化工程は水中ペレット化(underwater pelletizing)とも呼ばれる。
【0003】
一例として、水中ペレット化工程はプラスチックから製造される場合に使用され、この際、製造工程を通して、残存モノマー、水、又はその他の低沸点物質をまだ含む場合がある。これにより、環境気圧下でペレット化中にプラスチックの泡立ちが引き起こされる。ペレット化チャンバーの増加した圧力のおかげで、ペレット化工程中のプラスチックの膨化が防がれている。
【0004】
一例として、発泡性プラスチックペレットの製造方法が、EP−A 0 305 862に記載されている。その方法において、重合体基材又は重合体混合物が押出し成形機(以下、エクストルーダーと称する:extruder)に供給され、エクストルーダー中で融解される。エクストルーダーは融解物へ発泡剤の添加のための注入器を有する。この発泡剤は加圧下で添加される。融解物はその中に溶解した発泡剤とともに、水が流れているペレット化チャンバー中でペレット化される。ペレットは水の流れに乗せられ、ペレットを乾燥する乾燥機へ導入される。適切とされるポリマー組成の例は、芳香族アルケニル重合体又は共重合体(copolymer)、例えば、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、及びポリフェニルエーテルである。
【0005】
ポリアミドの製造から、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合中に生じる水がポリアミドに溶解することが知られている。この水によって、蒸気の液化(devolatilization)のない場合、ペレット化中に、ポリアミドの泡立ちが起きる結果になる。大きな望ましくない泡も、ペレット中に生じる場合もある。現在、蒸気の液化の方法は、高い設備投資、及び高い設備保守コストが必要な気孔付き(vented)エクストルーダー、又はすぐ表面が覆われて、その掃除をしなければならない分離装置を使用する。
【0006】
【特許文献1】EP−A 0 305 862号
【特許文献2】DE−A 43 21 683号
【特許文献3】EP−A 129 195号
【特許文献4】EP−A 129 196号
【非特許文献1】Ullmann's Enzyklopadie der technischen Chemie [Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry], 4th edition, volume 19, pages 39-54、Verlag Chemie, Weinheim 1980.
【非特許文献2】Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、volume A 21, pages 179-206, VCH Verlag, Weinheim 1992.
【非特許文献3】Stoeckhert, Kunststofflexikon [Plastics encyclopedia], 8th edition、pages425-428, Hansa Verlag Munich 1992.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述の先行技術の不利な点が除かれた方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、切断装置が挿入されたペレット化チャンバー(pelletizing chamber)中で、環境気圧を超える圧力で、重合体融解物(polymer melts)をペレット化する方法であって、
以下の工程:
(a)ペレット化チャンバーを、重合体融解物に対して不活性な気体で、ペレット化を行う圧力に充満させる(flooding)工程、
(b)重合体融解物を、ペレット化チャンバーへ注入する工程、及び
(c)重合体融解物が切断装置を通過し始めると直ぐに、ペレット化チャンバーからの気体を液体によって置換して、この融解物をペレットに切断する工程、
を含むことを特徴とする方法によって達成される。
【0009】
ペレット化チャンバーを、重合体融解物に対して不活性な気体で、ペレット化を行う圧力に充満させることで、ペレット化チャンバーにおいて、重合体融解物が、製造工程の開始時に膨化することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
一般に、ペレット化チャンバーに挿入され、切断板(cutting plate)に押し付けられている(bearing upon)高速回転ナイフがある。重合体融解物は切断板の個々の開口(apertures)を加圧されて通過する。これによりペレットに切断される。
【0011】
好ましくは、重合体融解物を、連続的にペレット化チャンバーに注入する。一般に、この目的のためにダイヘッド(die head)を有するメルトポンプ(melt pump)が使用される。
【0012】
一般に、ダイヘッドには複数のオリフィスがあり、重合体融解物は、これらを通じてペレット化チャンバーへ注入される。本発明の好ましい一実施形態において、オリフィスのL/D(距離/口径)比は50〜90、好ましくは60〜85、特に好ましくは70〜80である。
【0013】
ダイオリフィス(die orifice)の長さは先行技術から知られるダイヘッドにおけるダイオリフィスに比較して相対的に大きいので、ペレット化チャンバーにおける重合体融解物の泡立ちの減少も同様にある。特に好ましい一実施形態において、ダイヘッドは個々の類似のモジュールから構成されている。そのモジュールはそれぞれ別の一つに接続されている。これにより、ダイヘッドによって扱われる適切な重合体融解物にダイオリフィスの長さを簡単に合わせることができる。例えば、モジュールの追加により、ダイオリフィスを長くし、モジュールの除去により、それらを短くすることができる。
【0014】
重合体融解物が、ペレットに切断する切断装置を通過し始めるとすぐに、気体は液体によってペレット化チャンバーから置換される。この液体は、気体よりほんの僅か高い圧力であるのが好ましい。本ペレット化工程の開始前にペレット化チャンバーを液体で充満させることは、液体が加圧下でダイヘッドに浸透し、そのため、ダイヘッドに存在する重合体融解物の硬化が引き起こされるので、不可能である。これはダイヘッド及びナイフを破損する怖れがある。
【0015】
ペレット化チャンバーにおける液体の圧力は、一般に、0.1〜5MPa(1〜50bar)の範囲、好ましくは0.15〜3MPa(1.5〜30bar)の範囲、特に好ましくは0.2〜1MPa(2〜10bar)の範囲である。ペレット化チャンバーを通過する液体の温度は、好ましくは5〜90℃の範囲、更に10〜60℃の範囲が好ましく、ここで、液体の最大温度はペレット化される重合体に左右される。
【0016】
ペレット化チャンバーを液体で充満させる工程は、ペレットが急速に固化するように、十分な熱をペレットから消散させるために必要である。ペレットが固化するまで、個々のペレットは簡単に溶解し、凝集してより大きな塊になる場合がある。冷却用の気体と比較した際に、液体の利点は、一般に、液体の熱容量及び熱伝導率が気体のそれより高いことである。従って、重合体融解物は液体環境に対して、気体環境に対するよりも急速に熱を消散させることができ、それ故に、より急速に冷却することができる。
【0017】
切断工程の後、ペレットは液体中において続けて冷却される。好ましい一実施形態において、連続的な操作を確保するために、その後、ペレットが、ペレット化チャンバーから液体の流れとともに排出される。
【0018】
本方法の開始時にペレット化チャンバーを充満させる不活性な気体は、窒素、空気、又は希ガスが好ましい。しかしながら、当業者に知られ、且つ重合体融解物に対して不活性な気体は、何れも適切に使用できる。
【0019】
ペレット化チャンバーから気体を置換させる液体は水が好ましい。しかしながら、当業者に知られ、且つ重合体融解物に対して反応性が無い液体もまた、水に代えて適切に使用できる。
【0020】
本発明の好ましい一実施形態において、本ペレット化方法において製造され、ペレット化チャンバーから液体とともに排出されたペレットは、その後、液体から分離される。
【0021】
本発明の方法は、まだ少量のモノマー、又は水、又はその他の低沸点物質を含み、それ故にペレット化中に膨化する場合がある重合体をペレット化するために好ましく使用される。本ペレット化方法の実施中に重合体の泡立ちを防ぐため、本ペレット化方法は加圧下で行われる。ここに示した揮発性の構成物質は、加圧下で重合体中に封入される。泡立ちはなく、気泡は生じない。
【0022】
本発明の方法は、まだ低沸点物質を含む重合体融解物からペレットを製造するために特に適している。本発明の方法は、ポリアミドの製造に好ましく使用される。
【0023】
好ましいポリアミドは、6〜12個の炭素原子を有するα,ω−アルカンジカルボン酸及び6〜12個の炭素原子を有するα,ω−アルカンジアミンから、特に、直鎖炭素鎖を有するものから、誘導された塩の水溶液の反応によって形成される。適切なジカルボン酸の例として、アゼライン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、又はデカンジカルボン酸、テレフタル酸、又はナフタレンジカルボン酸が挙げられる。好ましいα,ω−アルカンジカルボン酸は6〜10個の炭素原子を有する。
【0024】
適切なジアミンの例として、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、又はデカメチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)−2,2−プロパンが挙げられる。好ましいα,ω−アルカンジアミンは6〜10個の炭素原子を有する。
【0025】
コポリアミドの製造のため、ラクタム、特にカプロラクタムの併用をすることもできる。
【0026】
他の適切なポリアミドは、少なくとも1種のラクタムと、水と、必要に応じて、その他のモノマー単位、及び/又は通常の添加剤(additives)及び充填剤(fillers)を含む混合物から、ポリアミド形成(polyamide-forming)条件下で製造されるものである。これらのポリアミドの製造は、一例として、DE−A 43 21 683により知られている。
【0027】
適切なラクタムの例は、カプロラクタム、エナントラクタム、カプリロラクタム及びラウロラクタム、又はこれらの混合物が挙げられる。中でもカプロラクタムが好ましい。
【0028】
使用できるその他のモノマー単位は、一例として、6〜12個の炭素原子、特に6〜10個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸等のジカルボン酸、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、又はセバシン酸、或いはテレフタル酸、又はイソフタル酸、C4−C12−アルキルジアミン、特に4〜8個の炭素原子を有するアルキルジアミン等のジアミン、例えば、ヘキサミチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、又はオクタメチレンジアミン、或いはm−キシレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)−2,2−プロパン、又はビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、又は他のジカルボン酸及びジアミンの混合物、それぞれ、何れの所望の組み合わせでも良いが、当量の組み合わせが有利であり、例えば、アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム、テレフタル酸ヘキサメチレンジアンモニウム、又はアジピン酸テトラメチレンジアンモニウム、好ましくは、アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム及びテレフタル酸ヘキサメチレンジアンモニウムであり、モノマー全体量を基準として0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%の量である。特に、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミンから成るポリカプロラクタム及びポリアミド、それからアジピン酸、イソフタル酸、及び/又はテレフタル酸によって工業的な重要性が実現されている。
【0029】
一実施形態において、カプロラクタム及びアジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム(「AH塩(AH salt)」とも言う)が使用され、AH塩は水溶液の形態で使用される。カプロラクタムのAH塩に対するモル比は、通常0.05:99.95〜20:80であり、好ましくは5:95〜15:85である。
【0030】
使用できる従来の添加剤及びフィラー(fillers)は、二酸化チタニウム、二酸化シリコンのような顔料、又はタルク、例えば、プロピオン酸又はテレフタル酸等の脂肪族及び芳香族カルボン酸及び脂肪族及び芳香族ジカルボン酸のような鎖長調節剤、ハロゲン化銅及びハロゲン化アルカリ金属のような安定剤、ケイ酸マグネシウム又は窒化ホウ素のような核形成剤、亜リン酸のような触媒、それから酸化防止剤であり、モノマー全体量を基準として0〜5質量%、好ましくは0.05〜1質量%の量である。通常、添加剤はペレット化工程の前、及び重合工程の前、間又は後、好ましくは後に添加される。
【0031】
本発明によれば、適切なポリアミドは通常、ISO307に従い、25℃で96質量%硫酸中、0.5質量%強度の溶液にて測定された粘度数として、30〜120ml/g、好ましくは50〜90ml/gの粘度数を有する。
【0032】
本発明の方法によりペレット化することができるポリアミドの例は(括弧内にモノマーを記載)、
PA46(テトラメチレンジアミン、アジピン酸)
PA66(ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸)
PA69(ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸)
PA610(ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸)
PA612(ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸)
PA613(ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸)
PA1212(1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸)
PA1313(1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸)
PA MXD6(m−キシレンジアミン、アジピン酸)
PA TMDT(トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)
【0033】
好ましいポリアミドはポリヘキサメチレンアジパミド(PA66)及びポリヘキサメチレンセバカミド(PA610)それから、ナイロン−6/6,6コポリアミドであり、特に5〜50質量%のカプロラクタム単位を有する。特に好ましくは、PA66及びナイロン−6/6,6コポリアミドである。
【0034】
その他の適切な材料は、PA6/6T及びPA66/6Tのような半芳香族コポリアミドであり、そのトリアミン含有量は0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満である。トリアミン含有量の低い半芳香族コポリアミドの製造は、一例として、EP−A 129 195及びEP−A 129 196に記載された方法に従うことができる。
【0035】
個々のポリアミドの製造に関する詳細は、当業者は、一例として、Ullmann's Enzyklopadie der technischen Chemie [Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry], 4th edition, volume 19, pages 39-54、Verlag Chemie, Weinheim 1980、それから、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、volume A 21, pages 179-206, VCH Verlag, Weinheim 1992、それから、Stoeckhert, Kunststofflexikon [Plastics encyclopedia], 8th edition、pages425-428, Hansa Verlag Munich 1992(キーワード“polyamide”[polyamides]以下参照)において知ることができる。
【0036】
本発明の目的のための発泡剤を含む重合体の例は、発泡剤を含むスチレン(コ)ポリマー、発泡剤を含むポリカーボネート、及び発泡剤を含むポリアミド、特に好ましくは発泡剤を含むスチレン(コ)ポリマーであり、それから、重合体は蒸発によって消失される成分、例えば製造工程からの溶剤又は水をまだ含んでいても良い。
【0037】
好ましいスチレン(コ)ポリマーは、グラス-クリア(glass-clear)ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性改質(impact-modified)ポリスチレン(HIPS)、アニオン重合されたポリスチレン又はアニオン重合された耐衝撃性改質ポリスチレン(AIPS)、スチレン−α−メチルスチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート(ASA)、メタクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)コポリマー、又はそれらの混合物である。ポリフェニレンエーテル(PPE)もまた、上記スチレン(コ)ポリマーと混合することができる。
【0038】
機械特性又は耐熱性を改善するため、上記スチレン(コ)ポリマーは、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレン(PE)等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリアクリレート、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン、又はポリエーテルスルフィド(PES)、又はそれらの混合物のような熱可塑性重合体と、通常、重合体融解物を基準として、最大でも全体の30質量%以下、好ましくは1〜10質量%の割合で混合することができ、必要に応じて相溶剤を使用しても良い。上記の量的な範囲において、他の混合物、例えば、疎水的な改質、又は官能基を有する重合体、又はオリゴマー、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー等のポリアクリレート又はポリジエンのようなゴム、又は生分解性脂肪族又は脂肪族/芳香族コポリマーとの混合物も可能である。
【0039】
上記の熱可塑性重合体から再生された重合体材料、特にスチレン(コ)ポリマー及び発泡剤を含むスチレン(コ)ポリマー(EPS)をスチレン(コ)ポリマー融解物と混合することもでき、混合する量は、通常、最大30質量%、特に1〜10質量%で、実質的に材料の特性を損なわない。
【0040】
発泡剤を含むスチレン(コ)ポリマー融解物は、通常、1種以上の均一に分散された発泡剤を、全体の割合が発泡剤を含むスチレン(コ)ポリマー融解物を基準として2〜10質量%で含む。適切な発泡剤は、EPSに通常使用される物理的発泡剤、例えば、2〜7個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、アルコール、ケトン、エーテル、又はハロゲン化炭化水素である。好ましくは、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、又はn−ペンタンが使用される。
【0041】
さらに、スチレン(コ)ポリマー融解物は、添加剤、核形成剤、可塑剤、殺菌剤、殺虫剤、除草剤、可溶性又は不溶性の無機及び/又は有機染料及び顔料、例えば、カーボンブラック、グラファイト、又はアルミニウム粉末のような赤外線吸収剤、又はチョーク、タルクのような他のフィラーの、同時に又は空間的に分離した添加を受け入れることができる。通常、添加される添加剤の量は、0.01〜30質量%であり、好ましくは、1〜10質量%である。スチレン(コ)ポリマーにおける添加剤の均一な微粒分散(microdispersion)のため、特に極性の添加剤の場合に分散剤、例えば、オルガノシラン又は無水マレイン酸結合スチレン重合体(maleic-anhydride-grafted styrene polymers)の使用が有利である。好ましい可塑剤は鉱物油、オリゴマーのスチレン重合体、及びフタル酸エステルであり、スチレン(コ)ポリマーを基準として、0.05〜10質量%の添加量である。
【0042】
比較的高い分子量のスチレン(コ)ポリマーでは、発泡剤を含むスチレン(コ)ポリマー融解物をダイプレートを通して搬送するために140〜300℃、好ましくは160〜240℃の温度の使用が可能である。ガラス転移温度域へ冷却する必要はない。
【0043】
本発明について、以下に図面を使用してより詳細に説明する。
【0044】
図1は本発明により設計されたダイヘッド1を示し、ダイポイント(die point)4は中心孔(central hole)3を有する入口モジュール(entry module)2に固定されている。この末端へ、中心孔3を通して挿入されるネジ具(screw device)5がダイポイント4を入口モジュール2に接続するために使用されている。しかしながら、中心孔3を通して挿入されるネジ具5の代わりに、ダイポイント4を入口モジュール2に固定するために複数のネジ具を使用することもできる。また、当業者に知られているその他のどの固定方法も使用することができる。一例として、ダイポイント4は入口モジュール2に溶接されてもよく、入口モジュール2がダイポイント4と一体化して設計されていてもよい。一例として、入口モジュール2にネジ穴を設け、同様にダイポイントにネジ山を設けることもでき、これにより、直接、ダイポイント4は入口モジュール2にねじ込んで固定できる。
【0045】
入口モジュール2のダイポイント4の反対側において、第一の中間モジュール(intermediate module)6が固定されている。さらなる中間モジュール6が、この第一の中間モジュール6に接続されている。最後のユニットは出口モジュール(exit module)7であり、最後の中間モジュール6に接続されている。
【0046】
軸方向に連続しているダイオリフィス(die orifices)8は入口モジュール2、中間モジュール6及び出口モジュール7中に設計されている。ダイヘッド1を通過し、ペレット化される重合体融解物の量はダイオリフィス8の数によって決定される。ここで、ダイオリフィス8は入口モジュール2、中間モジュール6及び出口モジュール7において、軸方向に同一の位置で設計されており、従って、モジュール2、6及び7が接続された場合、連続したダイオリフィス8が常に形成される。モジュール2、6及び7をより容易に組み立てるため、穴(hole)9がそれぞれのモジュールに設計されており、心出しピン(centering pin)10がこれらの穴に挿入されている。
【0047】
一例として、引張(tensioning)ネジ具を入口モジュール2、中間モジュール6及び出口モジュール7を接続するために使用することができる。ここに示した実施形態は、モジュール2,6及び7の外周に止まり穴(blind hole)11を有し、それぞれの穴にはネジ山が設計されている。モジュール2、6及び7を接続するため、図1に示されていない平鋼板(flat steel plate)が止まり穴11に設置され、平鋼板は止まり穴11の位置に対応する所に孔を有する。ネジ具がその平鋼板の孔を通され、止まり穴11に締め付けられる。
【0048】
ネジ山を有する穴12が出口モジュール7に設計されており、一例として、切断装置(cutting apparatus)をこの穴に固定することができる。ダイオリフィス8から出てくる重合体融解物はその切断装置を用いてペレットに切断される。ここで、切断装置は高速回転ナイフが好ましい。
【0049】
重合体のペレットを製造するため、重合体融解物はメルトポンプ、又はエクストルーダー(extruder)の手段によって、入口モジュール2の方向に搬送される。ダイポイント4が、確実に融解物を入口モジュール2の中央部に蓄積しないようにして、全ての融解物がダイオリフィス8へ搬送されるようにする。ダイオリフィス8の入口開口部は円錐形拡張部位(conically widened region)13が設計されており、従って、個々のダイオリフィス間の如何なるデッドゾーン(dead zone)も排除されている。融解物は円錐形拡張部位13によってダイオリフィス8に導かれる。それから、重合体融解物はダイオリフィス8を通過し、出口モジュール7でダイオリフィス8から出てくる。ここで、ダイオリフィス8から出てくる個々の融解物の繊維がペレットに切断される。本発明によれば、重合体融解物は、ダイヘッド1が開口するペレット化チャンバーにおいてペレットに切断される。液体がこのペレット化チャンバーを通過する。ペレットは液体中で冷却され、これにより、個々のペレットの塊が凝集することを避けられている。同時に、液体は上昇した圧力に受けており、これにより、重合体融解物の膨化が避けられている、発泡剤又は低沸点物質の残渣を含んでいても良い。
【0050】
図2は本発明の方法のフロー図を示す。
【0051】
本発明の方法において、重合体融解物21をペレット化チャンバーに導入する。ここで、重合体融解物21の導入は、図1に示したようなダイヘッドの手段により行うのが好ましい。造粒工程の始動のため、造粒チャンバー20を加圧下にて不活性ガスで充満させている。不活性ガスはガス供給(gas supply)22の手段により工程に導入する。不活性ガスの圧力は、圧力調整弁(pressure control valve)23により調節する。不活性ガス供給ライン25はガス弁24により循環ライン26に接続されている。2次圧力調整弁27は循環ライン26に挿入されている。循環ライン26における圧力は圧力調整弁27により調節されている。2次圧力調整弁27の下流に遮断弁(shut-off valve)28がある。ペレット化工程の開始のため、遮断弁28は閉じられ、ガス弁24が開かれる。これにより、循環ライン26に加圧下のガスが流れていく。そして、ペレット化チャンバー20及び循環ライン26を加圧下にて不活性ガスで充満させる。排出ライン(discharge line)29は循環ライン26から分岐し、2次遮断弁30により閉じることができる。ペレット化工程の操作の間、2次遮断弁30は閉じられている。ペレット化工程が開始されると直ぐに、不活性ガスと同じ加圧下にて液体を、T字弁32により循環ライン26に接続されている液体供給31の手段により、循環ライン26に通す。同時に、これ以上のガスを通さないようにガス弁24を閉じる。加圧下にて液体は循環ライン26及びペレット化チャンバー20からガスと置き換わる。循環ライン26における圧力は2次圧力調整弁27によって一定に保たれる。遮断弁28を開け、ペレット化チャンバー20で製造されたペレットを含む液体を液体排出(liquid discharge)33の手段により、循環ライン26から除去する。その後、ペレットを液体から分離する。
【0052】
本工程の開始時に使用される好ましい不活性ガスは空気又は窒素である。ペレット化工程の連続操作の液体として、水が好ましく使用される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明により設計されたダイヘッドを示す概略断面図である。
【図2】本発明の方法を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ダイヘッド
2 入口モジュール
3 中心孔
4 ダイポイント
5 ネジ具
6 中間モジュール
7 出口モジュール
8 ダイオリフィス
9 穴
10 心出しピン
11 止まり穴
12 ネジ穴
13 円錐形拡張部位
20 ペレット化チャンバー
21 重合体融解物
22 不活性ガス供給
23 圧力調整弁
24 ガス弁
25 不活性ガス供給ライン
26 循環ライン
27 2次圧力調整弁
28 遮断弁
29 排出ライン
30 2次遮断弁
31 液体供給
32 T字弁
33 液体排出

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断装置が挿入されたペレット化チャンバー中で、環境気圧を超える圧力で、重合体融解物をペレット化する方法であって、
以下の工程:
(a)ペレット化チャンバーを、重合体融解物に対して不活性な気体で、ペレット化を行う圧力に充満させる工程、
(b)重合体融解物を、ペレット化チャンバーへ注入する工程、及び
(c)重合体融解物が切断装置を通過し始めると直ぐに、ペレット化チャンバーからの気体を液体によって置換して、この融解物をペレットに切断する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記気体が窒素又は空気である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
気体の液体による置換の後、重合体融解物をペレット化チャンバーに継続して注入し、重合体融解物を切断装置において切断してペレットを得、ペレット化工程において製造されたペレットを、ペレット化チャンバーから液体とともに排出し、次いで、ペレットを液体から分離する工程を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ペレット化チャンバーにおける圧力が、0.2〜1.5MPa(2〜15bar)の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法を行う装置であって、液体循環ライン(26)に接続されたペレット化チャンバー(20)を含み、重合体融解物がダイヘッド(1)によってペレット化チャンバー(20)に注入され、ダイヘッド(1)はダイオリフィス(8)が設けられており、且つダイオリフィス(8)のL/D比が50〜90の範囲であることを特徴とする装置。
【請求項6】
ダイヘッド(1)が個々のモジュール(2、6、7)から構成される請求項5に記載の装置。
【請求項7】
ダイヘッド(1)が、L/D比の調節のために複数の同様なモジュール(6)を含み、ダイオリフィス(8)の距離が所望の距離になるまで、モジュール(6)が直列に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−530142(P2009−530142A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500862(P2009−500862)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/052681
【国際公開番号】WO2007/107584
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】