説明

低減されたハロゲン化物含有量を有するアルコキシシランの調製方法

本願は、アルコキシシランに残存するハロゲン化物含有量を低減するための方法を開示する。前記方法は、残存するハロゲン化物含有量を有するアルコキシシランを、活性炭と接触させて、その後にアルコキシシランを分離する工程を含む。結果として得られる物質は、他の化合物の調製のための中間体として有用であり、電子工学的用途における使用のためにも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低減されたハロゲン化物含有量を有するアルコキシシランの調製方法である。前記方法は、アルコキシシランと残存するハロゲン化物とを含む混合物を活性炭と接触させる工程を含む。結果として得られるアルコキシシランは、他の化合物の調製のための出発中間体として適切であり、電子工学適用途における使用のためにも適切である。
【背景技術】
【0002】
アルコキシシランは、クロロシランまたは有機クロロシランとアルコールとの反応を含む多数の技術によって商業的に生産されている。当該反応は全てのクロロシラン材料をアルコキシシランへと本質的に反応させるように設計されるが、残存する塩化物が依然として存在する。これは、例えば、生成したアルコキシシランに対して重量で500〜1000ppmの塩化物の範囲であり得る。残存する塩化物は、未反応のクロロシランまたは有機塩化物である可能性がある。これらの有機塩化物の原因は、有機クロロシランを生成する直接プロセス反応に由来する塩化アルキルであるか、または塩化水素と有機クロロシラン中の不純物であるオレフィン物質との反応に由来する塩化アルキルである可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
不純物である塩化物の原因が何であるかにかかわらず、アルコキシシランの多数の用途、例えば、化学中間体としての使用および電子工学的用途における使用は、残存する塩化物含有量が可能な限り低いことを必要とする。
【0004】
アルコキシシランから塩化物含有量を低減させるための方法は、当該技術分野において既知である。例えば、アルコキシシランと残存するハロゲン化物との混合物を、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、またはカーボネートと反応させて、混合物から単離し得る塩を形成することが示されている。同様に、アルコキシシランと残存するハロゲン化物との混合物をアルキルアルコールおよびオルトホルメートと反応させて、分離しうる低沸点の化学種およびアルコキシシランを形成することが示されている。さらに、残存するハロゲン化物をエポキシ化合物で処理して、その含有量を低減させることが知られている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、アルコキシシランと残存するハロゲン化物との混合物を活性炭と接触させることによって、存在するハロゲン化物のレベルが低減されることを発見した。
【0006】
本発明は、低減されたハロゲン化物含有量を有するアルコキシシランの調製方法に関する。前記方法は、式RaHbSi(OR1)(4-a-b)[式中、Rの各々は、1から約20の炭素原子を有する置換および非置換の炭化水素基からなる群から独立に選択され、R1の各々は、1から4の炭素原子を有する炭化水素基から独立に選択され、aは0、1、2、または3であり、bは0、1、2、または3であり、a+bは0から3である]によって記載されるアルコキシシランと残存するハロゲン化物とを含む混合物を活性炭と接触させる工程を含む。次いで、アルコキシシランを活性炭から分離する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、低減されたハロゲン化物含有量を有するアルコキシシランの調製方法であって、アルコキシシランと残存するハロゲン化物とを含む混合物を活性炭と接触させ、その後にアルコキシシランを活性炭から分離する工程を含む方法である。
【0008】
本発明において処理されるアルコキシシランと残存するハロゲン化物とを含む混合物は、類似する任意の反応によって形成されてよい。1つの実施態様では、前記混合物はアルコキシル化反応に由来する。当該反応では、典型的には、ハロシランがアルコールと反応して、アルコキシシランおよびハロゲン化水素を形成する。ハロゲン化水素は、アルコキシシランと残存するハロゲン化物とを含む混合物を放置することによって、反応系から除去される。当該残存するハロゲン化物は、典型的には、約50ppmより多い量で存在する。
【0009】
他の実施態様では、アルコキシシランおよび残存するハロゲン化物は、アンモニアとクロロプロピルトリエトキシシランとを反応させてアミノプロピルトリエトキシシランを形成させることに由来する。残存するハロゲン化物を含有するアルコキシシランを形成する他の反応は、当該技術分野において既知であり、結果として得られる物質は本明細書に記載の方法によって精製されてよい。
【0010】
本発明で使用する「残存するハロゲン化物」という用語は、イオン性および非イオン性ハロゲン化物の化学種の組み合わせである。イオン性ハロゲン化物の化学種は、遊離のハロゲン化水素および未反応のハロシランを含む。非イオン性ハロゲン化物の化学種は、有機ハロゲン化物を含む。これらの有機ハロゲン化物は、出発物質であるハロシラン中間体によってアルコキシラン製造にもたらされた不純物であると解される。これらの有機ハロゲン化物は、アルコキシシラン製造の副産物であってよい。典型的なハロゲン化物は、塩化物、臭化物、およびヨウ化物を含み、工業的には塩化物が最も一般的である。
【0011】
本発明の方法で使用するアルコキシシランは、式RaHbSi(OR1)(4-a-b)[式中、Rの各々は、1から約20の炭素原子を有する置換および非置換の炭化水素基からなる群から独立に選択され、aは0、1、2、または3であり、bは0、1、2、または3であり、a+bは0から3である]によって記載される。Rは、アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシル;アルケニル基、例えば、ビニル、アリル、およびヘキセニル;シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、ジシクロペンチル、およびシクロヘキシル;シクロアルケニル基、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニル;アリール基、例えば、フェニル、トリル、およびナフチルであってよい。R基が置換された炭化水素基である場合には、好ましい置換基は、F、Cl、Br、およびIといったハロゲン;シアノ基;-NR2;O;S;N;およびPを含む。その様なものとして、置換された炭化水素の例は、クロロプロピル、トリフルオロプロピル、メタクリルオキシプロピル、アミノプロピルなどを含む。
【0012】
アルコキシシランの具体的な例は、メトキシシラン、エトキシシラン、およびブトキシシランを含む。これらは、メチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、ジメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、tert-ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクタデシルビニルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、2-フェニルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルヘキサジエニルジメトキシシラン、(クロロプロピル)トリメトキシシラン、(クロロプロピル)トリエトキシシラン、(クロロプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3,3,3,-トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ビス-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、5-ヘキセニルジメチルメトキシシラン、トリス-(3,3,3-トリフルオロプロピル)メトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、およびアミノプロピルトリエトキシシランを含むが、それらに限らない。
【0013】
上述のように、前記混合物中に存在する残存するハロゲン化物の少なくとも一部が、ハロシランとアルコールとの反応の副産物であり、前記残存するハロゲン化物がハロシランおよびハロゲン化水素の形態であってよい。ハロゲン化水素の大部分が、典型的には、蒸留によって分離されるが、ハロシランの形態の残存するハロゲン化物は、アルコキシシランの沸点と近い沸点を有するため、蒸留によって容易には分離されない。残存するハロゲン化物は、ハロシラン、例えば、ジメチルクロロメトキシシラン、クロロプロピルジメチルクロロシラン、ジメチルクロロエトキシシラン、フェニルメチルメトキシクロロシラン、ジシクロペンチルクロロメトキシシラン、フェニルフルオロジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルクロロメトキシシラン、および残存するハロゲン化物の混合物を含んでよい。
【0014】
残存するハロゲン化物が最終的な生成物を酸性にし、放置すると生成物の逆戻り(reverting)、重合、分解を生じさせる可能性があるため、前記混合物中の残存するハロゲン化物の量を低減させることが望ましい。代替的には、ハロゲン化物が、最終的な用途、例えば、電子工学産業または更に別の反応における用途に有害な効果を有する可能性がある。
【0015】
本発明によって当該混合物から残存するハロゲン化物を除去するために、前記混合物を活性炭と接触させる。本発明にとって重要ではないが、ファンデルワールス力によって溶液から活性炭の表面にハロゲン化物が引きつけられることによって、活性炭が物理的な吸着プロセスを働かせる可能性があると推定される。加えて、ハロゲン化物は、活性炭の塩基性部分に引きつけられる可能性がある。どのような機構であるかは問題ではないが、活性炭をハロゲン化物に結合させ、アルコキシシランに有害な影響を与えること無く、それを混合物から除去してよい。
【0016】
活性炭は、多数の供給源に由来するものであってよい。異なる原料によって異なる特性を有する活性炭が製造されるため、これらの供給源は、意図する仕様に基づいて選択される。より一般的な原料の幾つかは、木材、おがくず、褐炭、泥炭、石炭、ココナツの殻、および石油残渣油(例えば、瀝青炭)を含む。活性炭の種類の選択において重要な特徴は、小孔の構造、粒径、総表面積、粒子間の空間を含む。典型的には、大きな表面積を有する、より小さな粒子が良好である。
【0017】
供給源を選択した後に、活性炭を使用するために調製する。これらの調製は、大抵の場合において、脱水、炭化、および/または活性化を含む。脱水および炭化は、たいていの場合、嫌気性条件下または真空条件下において、供給源の穏やかな加熱を伴う。塩化亜鉛またはリン酸などの化学種を使用して、これらのプロセスを促進させてよい。炭素の活性化は、追加の化学種または他の酸化剤、例えば、気体の混合物に対して曝露することを必要とする。
【0018】
吸着効率は経時的に低減し、最終的には、活性炭を置換するか、または再活性化させることが必要であろう。1つの実施態様では、活性炭床を、メタノールで処理および/または洗浄することによって、少なくとも部分的に再活性化されてよい。
【0019】
アルコキシシランと残存するハロゲン化物とを含む混合物は、標準的な方法によって活性炭と接触させる。その様な方法の1つでは、前記混合物を活性炭の充填床に単純に流す。混合物を活性炭と接触させる滞留時間は重要ではないが、たとえば、1分から4日まで範囲であってよい。1つの実施態様では、前記滞留時間は5から120分であり、約1 GPM/ft2の表面速度(superficial velocity)であってよい。望ましい場合には、炭化水素およびアルコールなどの溶媒を用いて実施してよい。活性炭の吸着能力が増大する傾向があるため、アルコールも有用である。
【0020】
他の接触方法では、アルコキシシランおよび残存するハロゲン化物を、活性炭が塩化物に結合するのに十分な時間に亘って活性炭と単純に混合し、その後に、例えば、濾過によって活性炭から混合物を分離してよい。これは、条件に依存して数分から数日であってよい。望ましい場合には、炭化水素およびアルコールなどの溶媒を用いて実施してもよい。
【0021】
接触工程において活性炭の温度は、低温から高温まで変化してよい。代替的には、活性炭は、-20℃から250℃;-20℃から120℃;20℃から120℃;80℃から120℃;または95℃以上の温度の範囲である。
【0022】
活性炭は、所定の脱ガスを触媒する可能性があり、特にケイ素結合した水素置換基を有するアルコキシシランについての脱ガスを触媒する可能性がある。背圧を維持することが、溶液中の水素の大半を維持するのに役立つ可能性がある。次いで、これが、床の効率の低減および塩素種の早すぎる通過を生じさせる可能性がある床を通過する不均一な速度を最小化するのに役立つ可能性がある。
【0023】
残存するハロゲン化物の除去に加えて、充填床は他の不純物も除去する。例えば、残存するクロムも活性炭に吸着されることが認められた。クロムは再分配触媒およびアルコール分解触媒として知られているため、結果として得られるシランがより安定でもある。
【0024】
結果として得られるシランが、低減されたレベルのハロゲン化物を有する。例えば、クロロシランがメタノールで加水分解されるプロセスにおいて、残存する塩化物は50ppm未満のレベル、代替的には25ppm未満のレベル、代替的には10ppm未満のレベルまで低減されてよい。
【0025】
活性炭を用いる処理は、ハロゲン化物含有量を低減させる従来の手段と組み合わせて使用してよいことも注意すべきである。例えば、残存するハロゲン化物を有するアルコキシシランは、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属水酸化物、カーボネート、またはオルトホルメートで処理されてもよい。
【0026】
低いハロゲン化物含有量のために、結果として得られるアルコキシシランは、他の化合物を調製するための出発中間体として適切であり、かつ、電子工学的用途における使用にとっても適切である。
【実施例】
【0027】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すために記載する。以下の本実施例に開示されている技術は、本発明者によって見出された、本発明を良好に実施するための技術を表わすことが当業者に理解されるべきであり、かくして本発明の実施の好ましい態様を構成すると解してよい。しかしながら、当業者は、本明細書に鑑みて、多数の変形例が、開示されている特定の実施態様から作製されてよく、本発明の精神および範囲を逸脱すること無く、依然として同様の結果が得られることを理解するはずである。全ての割合は、重量%で表わす。
【0028】
(実施例1)
粗メチルジメトキシシラン溶液
30.08gの粗メチルジメトキシシランと0.5278gの粉砕した瀝青炭に基づく活性炭との混合物を、環境温度で24時間に亘って混合した。粗メチルジメトキシシランは、0.67重量%のメタノール、91.50%のメチルジメトキシシラン、6.38%のメチルトリメトキシシランからなり、残部は他の高沸点副産物であった。粗メチルジメトキシシラン混合物は、206.1ppmの加水分解塩化物の初期濃度を有していた。混合後、混合物を濾過した。最終的なサンプルは25.7ppmの加水分解塩化物を含有していた。
【0029】
(実施例2)
メチルジメトキシシラン
30gのメチルジメトキシシランと1.8837gの粉砕した瀝青炭に基づく活性炭との混合物を、環境温度で約24時間に亘って混合した。活性炭は、オーブンにおいて100℃で24時間に亘って乾燥させていた。蒸留して、GCで測定して100%の純度になるまでメチルジメトキシシランを蒸留したが、81ppmの塩化物を含有していた。混合後、サンプルを濾過して分析した。最終的なサンプルは、53ppmの加水分解塩化物を含有していた。
【0030】
(実施例3)
クロロプロピルジメチルエトキシシラン溶液
60.05gのクロロプロピルジメチルエトキシシラン溶液と0.5946gの粉砕したココナッツ殻炭との混合物を、環境温度で約26時間に亘って混合した。クロロプロピルジメチルエトキシシラン溶液は、2.71重量%のエタノール、54.50%のクロロプロピルジメチルエトキシシランを含有し、GCで測定すると、残部は主にクロロプロピルジメチルクロロシランであった。初期のクロロプロピルジメチルエトキシシラン溶液の滴定は、91,150ppmの加水分解可能な塩化物を含有していることを示した。混合後に、サンプルを濾過した。最終的なサンプルは、1,730ppmの加水分解可能な塩化物を含有していた。
【0031】
(実施例4)
ビニルトリメトキシシラン
ビニルトリメトキシシランを、約0.8g/分の速度で、7.6203gのココナツ殻炭の固定床にポンプで送り込んだ。ココナツ殻炭は、床に充填した後に、使用前に100℃、-24.5''Hgで約4時間に亘って乾燥させた。次いで、前記床を冷却して、窒素でパージした。次いで、23.4gのビニルトリメトキシシランで満たして、16時間に亘って浸した。ビニルトリメトキシシラン供給混合物は、GCで測定して0.23重量%のメタノール、硝酸銀を用いる電位差滴定で測定して3.21ppmの加水分解可能な塩化物を含有していた。最終的な溶液を同様に分析した。387.3gの最終的な溶液を回収して、分析した結果は、0.86ppmの加水分解可能な塩化物であった。
【0032】
(実施例5)
粗メチルジメトキシシラン溶液
粗メチルジメトキシシラン(0.52%のメタノールを含み、93.4%純度)を、約2.1g/分の速度で、24.3246gの再活性化ココナツ殻炭の固定床にポンプで送り込んだ。ココナツ殻炭は、前記床に充填する前に一晩に亘って150℃で乾燥させた。前記ココナツ殻炭を床に充填した後に、使用前に窒素で一晩に亘ってパージした。次いで、35.3gの粗メチルジメトキシシランで満たして、52時間に亘って浸した。メチルジメトキシシラン供給混合物は、硝酸銀を用いる電位差滴定で測定して25.3ppmの加水分解可能な塩化物を含有していた。前記床から流出したサンプルは、17時間より長くメチルジメトキシ溶液を連続して送出した後に回収し、分析した結果は7.3ppmの加水分解可能な塩化物であった。前記床を塩化物で飽和させた後に、液体を流出させて、窒素でパージして一晩に亘って乾燥させ、次いで、環境温度でメタノールを用いてすすいで吸着した塩化物を除去した。すすぐ前に、メタノールで満たし、約43時間に亘って浸した。全体で2,609gのメタノールで前記床をすすいだ。次いで、前記炭は窒素を流して8時間に亘って乾燥させた。次いで、0.53重量%のメタノール(GCで測定)と30ppmの加水分解可能な塩化物を含有する粗メチルジメトキシシラン溶液(92.6%の純度)を使用して、前記床を満たし、42時間に亘って浸した。当該溶液を連続的に流すことを、約2.5g/分の速度で開始した。流し始めてから2時間後に、前記床から流出した加水分解可能な塩化物のレベルは、硝酸銀を用いる電位差滴定を用いて測定したところ5.7ppmの塩化物であった。
【0033】
(実施例6)
98.72%のビニルトリメトキシシランと0.89%のメタノールとの粗混合物を、使用前に乾燥させ、熱い窒素でパージした活性ココナツ殻炭の固定床(床の温度は100℃)にポンプで送り込んだ。ビニルトリメトキシシラン供給混合物は、硝酸銀を用いる電位差滴定によって測定して0.95ppmの加水分解可能な塩化物を含有していた。サンプルは、粗混合物を前記炭床に通過させた後に回収し、加水分解可能な塩化物のレベルは、硝酸銀を用いる電位差滴定を用いて測定したところ0.13ppmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低減したハロゲン化物含有量を有するアルコキシシランの調製方法であって、
(a)式RaHbSi(OR1)(4-a-b)[式中、Rの各々は、1から約20の炭素原子を有する置換および非置換の炭化水素基からなる群から独立に選択され、R1の各々は、1から4の炭素原子を有する炭化水素基から独立に選択され、aは0、1、2、または3であり、bは0、1、2、または3であり、a+bは0から3である]によって記載されるアルコキシシランと残存するハロゲン化物とを含む混合物を活性炭と接触させる工程;および
(b)アルコキシシランを活性炭から分離する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記アルコキシシランが、メチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、およびクロロプロピルジメチルエトキシシランである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性炭がココナツ殻または瀝青炭に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルコキシシランと残存するハロゲン化物とを含む混合物を活性炭の充填床に通過させることによって、前記混合物を活性炭と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコキシシランと残存するハロゲン化物とを含む混合物と活性炭とを混合することによって前記混合物を活性炭と接触させた後に、濾過して前記混合物から活性炭を分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
結果として得られるアルコキシシランが、10ppm未満のハロゲン化物含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記活性炭が-50℃から250℃の温度にある、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2009−541314(P2009−541314A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516496(P2009−516496)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/013015
【国際公開番号】WO2007/149201
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】