説明

低減された温度推移を有するSAW構成素子および製造方法

低減された温度推移を伴う、音響波によって作動する構成素子
音響波によって作動する構成素子を提案する。この構成素子は、殊に共振周波数の温度推移を低減させるために種々異なる手法を組み合わせている。この構成素子はピエゾ圧電基板(PS)を有している。このピエゾ圧電基板は、材料内を伝播する波長の5〜50倍の領域にある、比較敵薄い厚さ(d)を有している。上面には、導電性の構成素子構造体(BES)が設けられており、下面には、機械的緊締が生じるようにまたは、温度変化時に緊締が形成されるように補償層(KS)が機械的に固定して基板と結合されている。構成素子構造体(BES)上にはSiO層が、該SiO層内で伝播する音響波の5〜20%の厚さで配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
SAW構成素子の周波数を定める特性、例えば中心周波数は主に温度への依存性を示し、例えば典型的に40ppm/Kである。この原因は、温度上昇時に通常、基板の熱膨張が起こってしまうことである。インターデジタル形変換器構造体の場合には、この熱膨張によって電極間の間隔が大きくなってしまう。この間隔は変換器の中心周波数を定め、ひいてはSAW構成素子の中心周波数を定めるので、これによって波長も上昇し、中心周波数が低減する。しかし音の速度の変化も、この熱膨張と結びついている。なぜなら、熱膨張によってピエゾ圧電材料の弾性特性も変化するからである。これに加えて、大抵の場合に使用されているピエゾ圧電ウェハ材料は強い異方性を示し、自身の特性の結晶軸に依存した温度推移(Temperaturgang)を有している。
【0002】
この温度推移、ひいては温度に依存した中心周波数の変動にもかかわらず、SAW構成素子では、比較的大きな温度領域にわたって機能性を保証するために、通常は構成素子の帯域幅が高められなければならない。従って帯域幅の狭い、周波数が正確な、温度に依存しないSAW構成素子の製造は、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウム等の基板では基本的には不可能である。しかし温度推移はフィルタとして使用する場合には障害となり、できるだけ最小化されるべきである。
【0003】
ピエゾ圧電基板材料の温度推移を補償するために、既に種々の方法が提案されている。1つの方法は、ピエゾ圧電ウェハを支持体材料と機械的に固定して接続し、熱的に緊締する(verspannen)ことである。支持体材料が適切に選択されている場合、この緊締によって、温度推移はある程度は補償される。この場合には通常、補償は次のように行われる。すなわち、緊締された材料における熱膨張が、その構成素子に対して使用されている音響表面波の音速度の上昇と結び付くように行われる。緊締材料としては例えばケイ素が知られている。
【0004】
別の方法は、基板表面上に、例えば電極構造体上に、酸化ケイ素から成る誘電性層を載置することである。これは例えば気相からの析出によって行われる。層の特性に依存して、内部で伝播するSAWの波長を基準にして約20〜35%の層厚から、温度補償が実現される。しかしこの解決方法の欠点は、この層による高い質量負荷と、SAWの高い減衰である。この減衰は、このような厚い層によって生じてしまう。
【0005】
従って本発明の課題は、低減された温度推移を有する、音響波によって作動する構成素子を提供することである。しかもこれによって他の構成素子特性が過度に悪影響を与えられることはない。
【0006】
上述の課題は本発明と相応に、請求項1に記載された構成素子によって解決される。本発明の有利な構成並びにこの構成素子の製造方法は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明は音響波によって作動する構成素子を提案し、この構成素子では相互に依存しない2つの手法が発明の様式で組み合わされ、最小化された温度推移の所望の効果が得られる。しかも、同時に、個々の手法と結び付いている欠点が生じることはない。
【0008】
本発明の構成素子はピエゾ圧電基板を含む。この基板は、構成素子の中心周波数のもとで、構成素子内で伝播する音響波の5〜50波長の比較的薄い層厚を有している。基板の表面上には、それ自体公知の方法で、導電性の構成素子構造体が被着される。基板の下面には、これと固定結合された補償層が配置されている。この補償層は基板と機械的に緊締されているか、または温度変化時に、基板に対する機械的緊締を拡充する。
【0009】
有利には、基板の熱膨張係数TCE1は、補償層の熱膨張係数TCE2よりも小さい。
【0010】
このようにして、ピエゾ圧電基板の機械的緊締が実現される。この緊締はピエゾ圧電基板の弾性特性の温度推移を低減させる。この場合にこの緊締は単独で、弾性パラメータの変化を介して作用し、ピエゾ圧電材料自体の熱膨張に比較的依存しないのにもかかわらず、周波数の温度推移を低減させる。
【0011】
構成素子構造体上に、SiO層が、構成素子内で伝播する音響波の5〜20%の厚さで配置される。このSiO層は補償層とは異なる作用を有している。この層は基板上に配置されているので音響波は部分的にSiO層内に伝播する。従ってこの層内の音速度およびSiO層自体の温度推移は構成素子全体の温度推移に決定的に影響を与える。ここでもSiO層が適切な熱膨張係数を有していることが重要なのではなく、SiO層が周波数の、低減された温度推移を有していることが重要である。有利にはSiO層は主に各長距離秩序を有していないアモルファス変態にあり、高い層均一性で設けられている。
【0012】
本発明のこのような2つの手法によって、相応の構成素子は僅かな、補償された周波数の温度推移のみを有する、なしいは完全に補償された周波数温度推移を有する。この2つの手法は相互に独立して、それぞれ温度推移ないし温度推移の低減に寄与するので、相互に影響することはなく、相互に依存しないで加わり合い、これまで得られなかった温度補償が得られる。この場合に各個々の手法の寄与は、それ自体単独で、措置が1つだけ単独で使用される場合に必要とされるであろう寄与よりも僅かであってよい。このようにして特に、SiO層の場合に、過度の層厚、ひいては音響波の過度の減衰が回避され、従って構成素子の特性に妨害が与えられることを回避することができる。ピエゾ圧電層は比較的薄い層厚を有しているので、補償層との緊締によって、バイメタル作用が原因で許容されない程に高い湾曲が生じることもない。構成素子は温度変動時にも充分に平らなままであるので、殊に本発明による構成素子の製造は困難ではない。特に微細な導電性構成素子構造体も、高い解像度を有する方法を用いて、問題無く、本発明に相応して補償層と結合されたピエゾ圧電層上に被着される。しかも構造体精度が低下することはない。
【0013】
本発明の有利な構成では、補償層として固体が用いられる。この固体は、ピエゾ圧電層に結合されている。いわゆるウェハボンディング方法によって、2つの平らなまたは形状接続的に接続可能な表面の特に密接な結合が可能になる。この密接な結合を介して、補償層によるピエゾ圧電層の特に良好な緊締が可能になる。この緊締は温度推移の低減に関して最大の効果を可能にする。
【0014】
しかし、ピエゾ圧電基板と補償層の間に薄い中間層を設けることも可能である。このような中間層によって、別の利点が得られる、ないしはこの結合基板によって欠点が補償される。このような中間層は例えば反射低減層である。この層によって、ピエゾ圧電基板の上面での光技術によるパターニング時に、基板の下面に生じる反射が最小化される。そうでなければこの反射によって、構成阻止構造体の妨害するパターニング、ひいては不正確かつシャープでないパターニングが生じてしまう。従って反射低減層は、光を吸収する層またはλ/4層である(ここでλは、パターニングに使用される光の波長である)。この層は2つの境界面で反射を生じさせるが、この反射は、適切に選択された層厚およびこれによって得られる位相シフトによって分解される。反射防止層を、場合によってはそれぞれλ/4の層厚で構成された異なる層の組み合わせとして構成することも可能である。この層の境界面に特に良好な反射が生じる場合には特にλ/4層が有効である。λ/4層へ移行するとき、または第1のλ/4層から隣接する層に移行するときに屈折率が特に大きく変化する場合に、これが実現される。従って、屈折率に関して大きく異なる複数のλ/4層を組み合わせるのが有利である。
【0015】
中間層または場合によっては、複数の中間層のうちの1つが低い伝導性を有し、さらに例えば高抵抗に構成されている場合にさらなる利点が得られる。このようにして、ピエゾ圧電基板の下面に生じる、ピロ電気基板材料の場合に生じるような、電荷を分散させるないしは放出させることができる。この場合には、ピロ電気電荷によって、過度に高い電位差および電圧が構成素子内で生じるのが回避される。その放電は構成素子に損傷を与える、むしろ構成素子を破壊する恐れがある。
【0016】
本発明の別の形態では、中間層または中間層の1つは半導性に構成されるか、または特定の条件下でのみ導電性であるように構成される。例えばこの層を半導体としてまたは光によって起動可能な層として設けることが可能である。
【0017】
このような中間層内で実現され得る別の特性は、音響バルク波の反射の阻止である。この音響バルク波はほぼ寄生的に不所望得の妨害波として構成素子構造体によって生成される。音響バルク波の反射は、構成素子構造体内で妨害信号を生じさせる。適切に構成された中間層によって、音響バルク波の反射が阻止される。これは中間層が例えば音響的な反射防止層として作用することによって実現される。このような反射防止作用は次の場合に得られる。すなわち、適切な音響インピーダンスと層厚を有する誘電層が使用される場合に得られる。しかし、中間層を相応にパターニングして、音響バルク波が境界面で散乱され、これによってその妨害作用の大部分が奪われるようにしてもよい。
【0018】
中間層を使用する場合には部分的に、ピエゾ圧電基板と補償層をダイレクトボンディングすることによって相互に接続することはできない。従って、補償層と基板を接着剤層によって接続することを提案する。接着剤層が適切な層厚で構成されている場合、この接着剤層は既に、上述した目的のうちの1つを、光学的な反射防止層としてまたは音響的な反射防止層として満たすことができる。接着剤層は、(音響的反射を阻止するために)粗面化された表面を有するピエゾ圧電基板を、場合によっては同じように粗面化された表面、例えば補償層と接続させるのにも適している。これはボンディング自体によっては形状接続的に接続されることはなく、従って固定的に相互に接続されることはない。
【0019】
構成素子構造体は有利には、ピエゾ圧電基板と補償層の接続後に結合基板上に設けられる。しかし、ピエゾ圧電層の層厚を、結合基板の作成後に、薄化プロセスによって適切な、本発明に相応する比較的低い強度にし、その後にはじめて構成素子構造体を設けることも可能である。
【0020】
構成素子構造体に対しては標準の金属化部が使用可能であり、殊にアルミニウム、アルミニウム含有合金または、主にアルミニウムまたはアルミニウム合金を含む多層システムが使用可能である。しかし、表面波構成素子の金属化部もこのような構成部分の周波数および損失に影響を与えることが確認されている。周波数は、金属化部内の波速度に影響を与える金属化部の物理的な特性によって、および層厚や金属化部強度等の幾何学的形状に依存する大きさによって、および金属化部にわたる基板の機械的緊締によって定められる。構成部分の周波数に影響を与える全ての量は周波数の温度依存性にも影響を与える。従って金属化部パラメータの適切な選択によってTCFはさらに最小化される。金属化部が原因である構成素子内の損失はその温度を高め、従って同じように周波数に影響を与える。従って金属化部内の電気的損失の低減は、温度に依存する周波数差の低減にもつながる。
【0021】
金属化部内の音響波の速度は特に、弾性定数、および金属化部内の温度依存性によって定められる。銅、モリブデン、クロム、金、タングステン、銀およびタンタル、またはこれらの金属の合金は弾性定数の僅かな温度依存性のみを有している。僅かなTCFを伴う構成部分に対する有利な金属化部は従って、これらの選択肢からの金属または、これらの金属を含有する合金からなる1つまたは複数の層を含む。層内で高い密度を伴う金属が使用される場合には、アルミニウムから成る標準金属化部とは異なって既に利点が得られる。
【0022】
その弾性定数の温度依存性が非常に低い金属は、エリンバーとして既知の合金である。これは50%のFe、42%のNi、5.3%のCr、2.5%のTiの組成さらにC、Mn、Si、AlおよびCuを含み、本発明の構成素子内で使用可能である。従ってこの金属は金属化部として、このような金属化部が設けられた構成阻止のTCFを低減させる。
【0023】
金属化部の低い層厚によって周波数の低い温度推移が得られることが分かっている。SAW構成素子の設計時に質量負荷は重要なファクターであるので、層の高さが低い場合には、より高い密度を有する金属によって同じ質量負荷が得られる。従ってこの関連において適切な金属化部は、Cu、Mo、W、Au、Ag、Pt、Taを含む。
【0024】
構成素子のTCFおよび他のパラメータに与える金属化部の影響は、金属化部内を伝播する音響波の割合に依存するので、金属化部に対する構成素子特性の依存性はより低い金属化部割合を介して低減される。低い金属化部割合ηを有する構成素子はより少ない金属を有している。従ってこれが構成素子の周波数およびTCFに与える影響はより少ない。
【0025】
多層システムでは、種々異なる温度依存性長手軸方向膨張(TCE)を有する材料が結合体内で使用される場合に緊締が生じる。タンタル酸リチウムから成るピエゾ圧電基板は、実質的に全ての他の材料との結合において緊締を有する。なぜなら、方向に依存するTCEを有しているからである。このTCEは異なる結晶軸に沿って、異なって消える。ピエゾ圧電材料との層結合体内の僅かな緊締は、次のような層ないし金属合金によって実現される。すなわちそのTCEが、ピエゾ圧電基板の結晶軸固有のTCEに整合されている層ないし金属によって実現される。このような視点の下では、基板としてのタンタル酸リチウムとの結合において、Cu、Ti、Mo、Cr、W、PtおよびTa等の金属が、金属化部または金属化部の構成部分として特に良好に適している。
【0026】
SAW構成素子の自己発熱は、音響的な損失および電気的な損失を低減することによって低減する。構成素子の設計によって音響的な損失が影響され、電気的な損失は実質的に固有の電気的抵および金属化部の層の高さによって定められる。比較的高い層厚は、全体抵抗に対しては有利であるが、上述の理由から低いTCEの要求に反してしまうので、有利な金属化部は最小の損失と、最小の層高さの間の妥協として選択される。従ってこのような視点では適切な金属化部はAl、Cu、MgおよびAg等の金属化部を含む。
【0027】
本発明によるSAW構成素子の金属化部が多層システムとして構成されている場合には、個々の層のポジティブな側面を組み合わすことが有効である。有利には、例えば直に基板上に被着された第1の金属層は弾性定数の低い温度依存性、低い温度膨張係数および同時に高い密度を有する。金属化部の最下層には、音響的エネルギーの大部分が位置するので、このような最下層によって、構成素子全体のTCFに対する大きい作用が得られる。最下層としては、殊に金属Cu、Mo、W、AuまたはTaが有利である。場合によって、最下電極層は、これと比べて比較的薄い付着層上に被着される。この付着層はAlまたはTiから成る。第1の金属化層の上には有利には、良好な導電性を有する1つまたは複数の層が使用される。これによって電気的損失が低く保たれる。上述した第1の層との結合においてはこの場合には、アルミニウム、アルミニウム合金、Cu、MgおよびAgから成る層または層システムが良好に適している。
【0028】
本発明の構成素子はTCFを低減させるために緊締作用を使用する。この緊締作用は補償層とピエゾ圧電基板の緊締から生じる。補償層による構成素子の緊締は殊に、結合体の弾性定数およびその温度依存性に作用し、これによって同じように有利にはTCF、すなわち構成素子全体の周波数の温度依存性が有利には低減される。
【0029】
緊締作用は境界層から離れるとともに低減し、音響波は、緊締層の方を向いていないピエゾ圧電基板面上を伝播するので、TCFに対する最大の緊締影響は、薄いピエゾ圧電基板によって得られる。この基板は、約50μmの厚さを上回らない。有利にはピエゾ圧電基板の層厚に対して、下方限界も守られる。この下方限界は次のように選択される。すなわち、補償層に対する境界層での、基板における表面波の偏位が次第に消えるように選択される。この下方限界は幾つかの波長では絶対数において、構成素子の中心周波数の関数でもある。例えばここでは層厚の有利な下方限界は5波長である。これは2GHzの中心周波数を伴う構成素子では約10μmに相当する。
【0030】
補償層は単独で緊締作用に影響を与えるので、このために、多数の有利な無機材料が考えられる。これは殊に、基板の膨張係数TCE1よりも小さい熱膨張係数TCE2を有している材料である。現行の単結晶基板材料には、約4〜16ppm/K(LT)ないし7〜15ppm/K(LN)の結晶断面に依存した異方性熱膨張を有しているタンタル酸リチウム(LT)およびニオブ酸リチウム(LN)が可能であり、補償層には有利に相応する低い膨張係数を有する相応の材料が可能であり、殊に4ppm/Kよりも低い膨張係数を有する材料が可能である。TCFに与えられる、補償層の有利な作用は、補償層の熱膨張係数TCEが下がるほど、高くなる。
【0031】
ガラスの場合には、適切な組成によって容易かつ強力にTCEが影響される。99.9%を上回る二酸化ケイ素割合を伴う水晶ガラスは例えば0.5ppm/KのTCEしか有していない。他方で、酸化鉛および他の酸化物を有するガラスは9.8ppmおよびそれを上回るTCEを有する。例えば商品名Zerodur(R)およびAstrosital(R)として知られている特別なガラスの場合には、0ないし1−2×10−7ppm/KのTCEが測定される。OharaのE6、Corningの7740またはBoroflat(R)等のより容易かつ良好に使用可能なガラスは約3ppm/KのTCEを有しており、従って本発明では、補償層に対する材料として適している。
【0032】
低いTCEを有する結晶性材料およびセラミック材料も公知である。補償層に良好に適しているのは例えば、ケイ素(3.2ppm/K)、窒化ケイ素(2.5〜3ppm/K)およびAlTiO等の特別なセラミック(0〜1ppm/K)である。
【0033】
本発明の有利な構成では、構成素子に対するハウジングが上述した材料の1つから製造され、構成素子は、相応に薄いチップないし構成素子構造体に設けられたピエゾ圧電基板を貼り付けるまたはボンディングすることによって固定して補償材料(ここではハウジングの底面またはカバー)と接続される。しかし緊締作用に対しては上述したように、ピエゾ圧電層ないしピエゾ圧電基板の比較的薄い層厚が前提条件である。
【0034】
補償層によって緊締されるピエゾ圧電基板は、「バイメタル作用」によって温度変化時に反る方向へ傾斜する。これは、高精度機械による基板の処理を困難にする。有利にはピエゾ圧電基板は次のような温度の場合に補償層と接続される。金属化部、すなわち小さい寸法に関してクリチカルな、電気音響変換器に対する指構造体の製造時の温度に相応する温度である。ここではボンディングプロセスの温度のもとで緊締、ひいては層結合体の反りが観察されないことを前提とする。指構造体は通常は室温で構造化されるので、本発明の構成素子は有利には、室温でも補償層と結合される。
【0035】
本発明による構想素子の別の観点は、機械的な力である。この力はピエゾ圧電基板と補償層の間の緊締によって生じ得る。有利には補償層のTCEは次のように選択される。すなわち反りの時に生じる力によって構成素子の破壊またははんだ接続部のはがれが生じないように選択される。これは補償層のTCEと基板のTCEの間の差が場合によっては低減されることによって、または補償層と基板の間の接続が弾性的な中間層によって可塑的に構成されることによって実現される。相応に厚い、および/または機械的に充分に安定した補償層が使用され、充分に固定的にピエゾ圧電基板と接続されている場合にも反りが僅かである。このような結合は、例えばチップのはんだ付け時にボード上に生じる温度に、損傷されずに耐えることができる。製造しやすさと得られる周波数安定性の間の妥協は、基板材料としてのLTの場合には、約1〜3.5ppm/KのTCEを有している、補償層に対する材料によって得られる。
【0036】
基板と補償層から成る全体的な高さは有利には400μmを下回る。
【0037】
有利には補償層に対しては、基板のピエゾ圧電ウェハと、ボンディング方法で結合可能であり、結合される補償ウェハが使用される。ボンディング方法としては有利には、ダイレクトボンディング方法が使用される。2つのウェハの間の境界面の領域に薄い中間層を用いることも可能である。この中間層を介してより良好な接着が仲介される。このような中間層は例えば酸化物または金属層であり得る。基板ウェハと補償ウェハの間の接着も可能である。適切なボンディング方法は例えばダイレクトウェハボンディング、接着方法または挿入方法、エピタキシャルボンディング、リフトオフ、アノード接続または共融接続である。
【0038】
本発明による構成素子の別のアスペクトは、構成素子構造体上、すなわち金属化部上に被着されたSiO層である。このような層は、弾性定数のポジティブな温度係数を有している。正確な化学量論を有しており、いかなる長距離秩序も有していない理想的なSiO層によって、層内で伝播可能な音響波長の20〜35%の層厚から、TCFを完全に補償することができる。より厚いSiO層によってはむしろ過度の補償が観察されてしまう。しかしこの層では次のことは不利である。すなわち、損失を生起させる音響的減衰をこの層が生じさせてしまうのは不利である。従って本発明ではSiO層は5〜20%の比較的薄い層厚を有している。
【0039】
SiO層の最適な層厚は、金属化部高さおよび金属化部強度の関数でもある。すなわちSiO層の層厚が同じままである場合には、金属化部高さおよび金属化部強度に対してそれぞれ最適な値が選択可能である。
【0040】
SAW構成素子の別の周辺条件は、電極指の反射率である。4%の金属層厚を伴う従来の電極指はLT上で、指毎に5%の反射率を有している(SiO層無し)が、20%の厚さのSiO層では反射率は指毎に2.3%の値の反射率まで低減する。すなわち半分以下に低減する。反射率のこの低減は、相対的な金属化部厚さの2〜約10%の間の全ての層厚で観察される。この反射率はSAW構成素子の重要な特性であり、特定の最低値を有しているべきであり、構成素子にとっては周波数を定めるものであるので、反射率は本発明の別の構成によって再び高められる。SiO層の合致した析出によって、約4%の相対的層厚を有する金属化の場合に、電極指あたり約6.3%の上昇した反射率が定められる。ここでこのSiO層の析出は全体において、基板ないし基板の上に被着された金属化部の表面ないしトポグラフィに対して合致して延在している。
【0041】
合致したSiO層は、析出パラメータを相応に調整することによって得られる。このために殊に出力物質、圧力、温度、使用されている搬送ガスおよびスパッタリングの場合には使用されるバイアス電圧が相応に調整される。このような合致したSiO層を製造するための適切な方法はスパッタリングおよびPECVDである。
【0042】
正確な化学量論と主にアモルファス変態を有する理想的なSiO層とは異なって、実際に製造されたSiO層は常にある程度のSiO成分を含有する。これは0.5〜5%の領域にある。SiO割合が上昇するとともに、屈折率も上昇する。従ってこの屈折率はSiO層を特徴付けるために使用可能である。本発明に良好に適しているSiO層は、632.8nmの波長のもとで、1.44〜1.49の領域にある屈折率を有し、これに対して理想的なSiOは、上述した波長のもとで1.456の屈折率を有している。
【0043】
スパッタリングまたはPECVD方法を用いたSiO層の析出時には欠陥および穿孔が生じる恐れがある。これによって本発明に必要な、層の質が保証されなくなる。しかしこれらは後から処置によって除去可能である。この処置は高い温度のもとで実行される。この温度は金属化に使用されている材料に依存して上方で制限されている。アルミニウム含有金属化部の場合には、この処置は例えば最高400℃で行われる。
【0044】
SiO層を形成する場合にはさらに、析出温度を最低にして、冷却時に生じるプレス緊締を最小化するのが有利である。過度に高いプレス緊締では、SAW構成素子の特性が悪くなってしまう。
【0045】
SiO層のポジティブな作用は、この層が音響的遅延の所望のポジティブな温度係数を有していることである。他方でピエゾ圧電基板は通常は音響的遅延のネガティブな温度係数を示す。SAW速度はSiO層内では、例えばLT内のそれよりも遅い。従って、波は有利には、SiO層と基板の間の境界面で伝播する。
【0046】
この手法の別の利点は、SiOが良好な誘電体として約1MV/mmの高い耐ブレークダウン性を有していることである。従ってESD耐性が上昇する。これは、その上に被着された層による指縁部の「丸くされた部分(Verrundung)」の故でもある。さらに、3.9であるSiOの誘電定数は空気のそれよりも約4倍大きい。これによってさらに耐絶縁破壊性が高められる。さらに、硬質なSiO層は例えば、製造方法からの金属粒子によって生じる短絡に対する、粒子保護としても作用する。
【0047】
上述したように、SiO層の近似的に合致した析出によって、電極指毎の反射率が高まる。これは、SiO層の表面も次のようなトポグラフィを有しているということに起因する。すなわち少なくとも部分的に、電極指のトポグラフィに追従し、従って固有の反射率を有する、ないしは全体的な反射率を高めるトポグラフィである。
【0048】
本発明の別の構成ではSiO層の表面上のトポグラフィは事後のパターニングおよび他の措置によって形成される。ここでは周期、相対的な指の幅、SiO層表面での隆起部のエッジ角度ないしエッジ形状が変えられる。
【0049】
発明者は、金属化部構造体のエッジ角度の変化を介して、すなわち、電極指自体のエッジ角度の変化を介してSiO層の改善された層析出、殊に改善されたエッジ被覆が可能であることを見出した。また公知のSiO層は特定の層厚を過ぎると、裂ける方向へ強く傾くが、本発明による金属化部の90度異なるエッジ角度、ひいてはこのエッジ角度に追従するSiO層のトポグラフィが抑圧され、分裂が回避される。傾けられ、例えば75°に傾斜したエッジ角度を有する、構成素子構造体上のSiO層は、90°の通常のエッジ角度を有する同じ厚さを有する層より格段に少ない裂けを有する。択一的に、90°より小さい金属化部のエッジ角度ではSiO層の層厚は高くされ、TCFの補償が改善される。しかもこの場合に強い裂けが生じることはない。
【0050】
SiO層における隆起部は有利には、金属構造体の電極指と同じ周期性を有している。所望の反射に応じて、この構造体は例えばピラミッド状または台形状に構成され、金属構造体とは異なる幅を有することができる。しかしこの幅は、電極間の間隔よりも小さい。従ってSiO層の隆起部の間には、平らな、基板に対して平行な領域が残る。
【0051】
殊に上方の層領域内に蒸気ストッパーが窒素含有SiOの形で組み込まれている場合にSiO層のさらなる改善が得られる。Siから成るこのような蒸気ストッパーは同じ反応炉内に窒素含有出力成分を添加することによって生成される。高い層均一性を得るために、有利には製造時には析出反応炉内で、窒素物質割合が継続的に高められる。
【0052】
以下で、本発明を実施例および属する図面に基づいてより詳細に説明する。図面は単に本発明をより分かりやすくするためだけのものであり、概略的で、縮尺通りではない横断面として示されている。同じ部分には同じ参照番号が付与されている。
【0053】
図1は、第1の本発明による構成素子を示しており、
図2は、中間層を有する構成素子を示しており、
図3は、2つの異なる金属化層を有する構成素子構造体を示しており、
図4は、3つの異なる金属化層を有する構成素子構造体を示しており、
図5は、SiO層の異なるトポグラフィを有している構成素子の一部分を示しており、
図6は、構成素子構造体の傾斜したエッジを伴う構成素子の一部分を示しており、
図7は、補償層として使用されているハウジングを有する構成素子を示している。
【0054】
図1は、概略的な断面図で第1の本発明による構成を示している。ピエゾ圧電層PSは、補償層KSと固定的に結合されている。補償層KSの材料は次のように選択されている。すなわち、ピエゾ圧電層の膨張係数TCE1よりも、補償層の熱膨張係数TCE2が低くなるように選択されている。ピエゾ圧電層上には、構成素子構造体BESが被着されている。構成素子構造体は例えば条片状の指電極を伴うインターデジタル変換器であり、これは図面において電極指の長手方向に対して横向きに断面で示されている。構成素子構造体BESおよびピエゾ圧電層PSの表面上には、SiO層SSが、構成素子の中心周波数のもとで、層伝播波長の5〜20%の間の層厚で被着されている。ピエゾ圧電層PSの層厚dは、約5波長である。補償層KSはピエゾ圧電層よりも厚く、ピエゾ圧電層と補償層KSから成る全体的な層厚が400μmより薄くなるように設計されている。
【0055】
図2は、別の実施形態を示しており、ここではピエゾ圧電層PSと補償層KSの間に中間層が配置されている。この中間層は、ピエゾ圧電層と補償層の間のより良好な接着のために用いられる。しかし、この中間層が付加的な構成素子機能を担い、殊に、特定の光学的および音響的特性、場合によっては導電性を有してもよい。この中間層は接着層としても構成され得る。
【0056】
図3は、2層式構成素子構造体の断面図を示している。これは直接的にピエゾ圧電層PS上に載置されている、比較的高い密度の金属を伴う第1の金属層MS1と、より低い密度の金属を伴う第2の金属層MS2を有している。構成素子構造体BESの全体高さdは波長で測定して、構成素子内で伝播する波の波長の約4%〜10%である。
【0057】
図4は別の構成素子構造体を示している。これは多層式であり、ここでは殊に3層式に構成されており、第1の金属層MS1と第2の金属層MS2と第3の金属層MS3と、場合によってはさらなる金属層を相互に重なって有している。
【0058】
図5a〜5dは、構成素子構造体上の、SiO層の異なるトポグラフィを有している構成素子を部分的に示している。図示されたトポグラフィは、SiO層に対する適切な層形成方法を介して得られている。しかしSiO層を平坦に被着して、第2のステップで適切な方法を用いて、所望のトポグラフィが生じるようにパターニングすることも可能である。
【0059】
図5aは、第1の簡単な構成を示しており、ここではSiO層のトポグラフィは、構成素子構造体のそれに相応している。殊にSiO層は、構成素子構造体上に隆起部を有している。この隆起部は構成素子構造体の幅Bにほぼ相当する幅bを有している。構成素子構造体BESおよびSiO層SSの隆起部のエッジ角度はそれぞれ約90°である。ここでは、指毎の反射率は6%を越え、SiO層の無い構成素子の場合よりも高い。
【0060】
図5bは1つの構成を示しており、ここではSiO層の隆起部は90°異なるエッジ角度を有しているので、全体的に断面では台形状に構成されている。SiO層SSにおいて隆起部の下方の幅BS1は、構成素子構造体BESの幅bMにほぼ等しい。SiO層の隆起部の上方エッジは幅BS2を有している。これはBS1より狭い。このような構造は、BS1がbMより大きくなるように変えることができる。エッジはバックスパッタリングプロセスによって平らにされる。これは析出時にバイアス電圧を高めることによってこのプロセスに組み込まれる。
【0061】
図5CはSiO層内に、構成素子構造体の上方でピラミッド状の隆起部を有している。ここでも隆起部の下方幅、すなわちピラミッド底部の幅は構成素子構造体の幅とほぼ同じであるが、これとは上方へ向かって、または下方へ向かって異なることも可能である。平坦化は、ここでもバックスパッタリングによって行われる。
【0062】
図5dは、1つの実施形態を示しており、ここでSiO層は構成素子構造体上で、台形状の断面を有する隆起部を有している。ここでは約25°の領域のエッジ角度が選択されている。これに属する構成素子構造体はここでは90°のエッジ角度を有している。
【0063】
図6は2つの実施例を示しており、ここでは構成素子構造体上でSiO層のエッジ被覆が改善されている。この改善は構成素子構造体のエッジ角度が90°よりも小さい角度に調整されていることによって実現される。このような角度は例えば65〜85°の間の領域で選択されており、例えば75°である。図6Aでは構成素子構造体上方でSiO層内の隆起部が90°のエッジ角度で構成されているが、この隆起部は図6Bに示された例では、これとは異なるより低いエッジ角度を有している。この角度は例えば、構成素子構造体のエッジ角度に相応する。LT基板上の20%の相対的厚さのSiO層および4%の相対的高さのAl金属化部によって、それぞれ75°の隆起部および構成素子構造体のエッジ角度を用いて、本発明の構成素子においては、指あたり5.9%を超える反射率が得られる。しかしSiO層を被着させる選択された方法に依存して、SiO層内の隆起部のエッジ角度が、構成素子構造体のエッジ角度より小さくてもよい。
【0064】
図7は本発明の別の構成を示している。ここでハウジングは、付加的に補償層としても使用される。このような構成では、構成素子構造体およびSiO層を有するピエゾ圧電基板PSはさらにハウジング部分と固定的に接続されている。このハウジング部分は補償層として用いられるべきである。接続は、単に補償層による実施形態と同じように有利にはダイレクトボンディングによって行われる。しかし、他の機械的固定結合も可能である。これは、補償層KSとして用いられているハウジング部分とピエゾ圧電層PSの間の緊締のために用いられる。例えばはんだ付け方法、接着方法またはバンプ接続が適している。上述した補償するハウジングに対して付加的にさらに、平らな基板に類似した補償層を、構成素子構造体を担う基板表面に対向して用いることも可能である。
【0065】
図7Aは1つの実施形態を示しており、ここではピエゾ圧電基板PSはバスタブ状部分として構成されたハウジング下部内に組み込まれており、補償層KSとして用いられているこの材料と固定的に結合されている。ハウジング下部の材料は、上述した補償層と同じ基準で設計されている。ハウジング下部は、図7aおよび図7bで示されているように、平らなカバーDで閉成されている。しかし、ピエゾ圧電層PSを、同じように、補償層KSとして用いられる平らなハウジング下部上に被着させることも可能である。
【0066】
図7cは1つの実施形態を示しており、ここで構成素子は引き続き、カバー部分によって閉成されている。このカバー部分は固定してハウジング部分と終端を成している。図7cには、機械的に固定のキャップKが示されている。しかしこのカバー部がフィルム状であり、殊にラミネートされていてもよい。補償層KSとして用いられるべきハウジング下部に対する材料が、材料選択に関して、上述した、直にピエゾ圧電基板上に被着される補償層と同じ基準の下にあることは明らかである。このような場合に、本発明に相応してハウジングはTCFを低減させるのに寄与する。ハウジング上部、殊にカバーDまたはキャップKも適切な材料から選択されると、これはさらに緊締、ひいてはTCFのさらなる低減に寄与する。
【0067】
図7Dは本発明の別の実施形態を示している。ここでは構成素子には補償層KSが設けられている。この補償層はさらなるハウジング機能を内部に有していない。しかし付加的に構成素子は、構成素子構造体ないしSiO層上でキャップKによって覆われている。このキャップの材料は次のように選択されている。すなわち、ピエゾ圧電基板PSのピエゾ圧電材料に対して熱的な緊締が生じるように選択されている。このキャップはここで直接的にピエゾ圧電基板PS上に載置されている。キャップはカバー層を含むこともできる。これによって構成素子全体のTCFにポジティブに影響を与え、共振周波数の位置に与える温度の影響を最小にすることもできる。
【0068】
本発明をここでいくつかの実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに制限されるものではない。補償層、中間層の種類および構造、構成素子構造体の正確な成形および、場合によっては内部に構成素子が組み込まれるハウジングから変更が可能である。全ての実施形態は、上述した本発明の特徴によって、共振周波数の温度依存性を格段に改善するという点で共通している。しかもこのために個々の措置が完全に刺激され、これと結び付いている欠点を甘受する必要はない。従って本発明は、傑出した構成素子性能と格段に改善されたないしは低減された共振周波数の温度依存性を有する構成素子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の本発明による構成素子
【図2】中間層を有する構成素子
【図3】2つの異なる金属化層を有する構成素子構造体
【図4】3つの異なる金属化層を有する構成素子構造体
【図5】SiO層の異なるトポグラフィを有している構成素子の一部分
【図6】構成素子構造体の傾斜したエッジを伴う構成素子の一部分
【図7】補償層として使用されているハウジングを有する構成素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低減された温度推移を伴う、音響波によって作動する構成素子であって、
ピエゾ圧電基板(PS)と、導電性の構成素子構造体(BES)と、前記基板の下面と機械的に固定結合された補償層(KS)と、前記構成素子構造体上に被着されたSiO層(SS)を有しており、
前記ピエゾ圧電基板は第1の熱膨張係数TCE1を有しており、x倍λの厚さを有しており、ここで5<x<50であり、λは中心周波数での構成素子の波長であり、
前記構成素子構造体(BES)は前記基板の上面上にあり、
前記補償層は前記基板によって機械的に緊締されているか、または温度変化時に基板に対して機械的緊締を拡充させる、
前記SiO層は、中心周波数のもとで該SiO層内に伝播する音響波の5〜20%の厚さを有している、
ことを特徴とする構成素子。
【請求項2】
前記補償層(KS)の材料は、第2の熱膨張係数TCE2を有しており、TCE2<TCE1であるように選択されている、請求項1記載の構成素子。
【請求項3】
前記補償層(KS)は、前記基板(PS)にボンディングされた固体である、請求項1または2記載の構成素子。
【請求項4】
前記基板(PS)と前記補償層(KS)の間に、補償層と比べて薄い中間層(ZS)が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の構成素子。
【請求項5】
前記中間層(ZS)は高抵抗層、反射防止層および接着剤層から選択されている、請求項4記載の構成素子。
【請求項6】
前記構成素子構造体(BES)は、純粋なAlよりも高い密度を合計で有する材料または材料の組み合わせから成る、請求項1から5までのいずれか1項記載の構成素子。
【請求項7】
前記構成素子構造体(BES)は多層構造(MS1、MS2、MS3)を有しており、当該多層構造はAlとCu、Mo、WおよびTaの少なくとも1つからなる層を含んでいる、請求項6記載の構成素子。
【請求項8】
前記構成素子構造体(BES)はCu、Mo、WおよびTaから選択された第1の層と、当該第1の層の上に被着された、単一材料から成る電極体または多層構造体(MS1、MS2、MS3)を含み、前記単一材料または前記多層構造体の個々の層は、Al、Cu、MgおよびAgのうちの少なくとも1つを含む、請求項6または7記載の構成素子。
【請求項9】
前記補償層(KS)はガラス層を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の構成素子。
【請求項10】
前記補償層(KS)は1〜3.5ppmK−1のTCE2を有する材料を含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の構成素子。
【請求項11】
前記基板(PS)および補償層(KS)から成る全体の高さは400μmを下回る、請求項1から10までのいずれか1項記載の構成素子。
【請求項12】
前記構成素子構造体(BES)は条片状電極指を含み、当該電極指の側方エッジは基板表面に対して傾斜しており、基板表面と65°<KW<85°でエッジ角度KWを成す、請求項1から11までのいずれか1項記載の構成素子。
【請求項13】
前記SiO層(SS)は表面構造を有しており、当該表面構造は、前記電極指の構造に追従し、該電極指と同じ指間隔を有している、請求項12記載の構成素子。
【請求項14】
前記基板は、補償層(KS)として用いられる担体材料と接続されており、当該担体材料はハウジングの一部であり、
前記担体材料は熱膨張係数TCE3を有しており、TCE3<TCE1が選択されており、
前記担体材料と基板(PS)の間の結合は接着またはダイレクトボンディングによって形成される、または前記担体材料は前記構成素子構造体(BES)と、前記基板(PS)の表面上でバンプによって接続されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の構成素子。
【請求項15】
前記担体材料は多層であり、層の間に配置された少なくとも1つの金属化面を有しており、少なくとも1つの層はセラミック、ガラスまたはプラスチック導体プレート材料を含む、請求項14記載の構成素子。
【請求項16】
前記補償層(KS)は、構成素子に対するハウジングの下部を構成している、請求項1から13までのいずれか1項記載の構成素子。
【請求項17】
低減された温度推移を伴う、音響波によって作動する構成素子を製造する方法であって、
・第1の熱膨張係数TCE1を有しており、基板として用いられるピエゾ圧電ウェハ(PS)を自身の下面を介して、補償層(KS)を有している補償ウェハと機械的に固定結合させ、前記補償層は前記基板によって機械的に緊締されているか、または温度変化時に基板に対して機械的緊締を拡充させ、
・導電性の構成素子構造体(BES)を前記ピエゾ圧電ウェハの上面上に、多数の構成素子に対して生成し、
・当該構成素子構造体上にSiO層(SS)を被着させ、当該SiO層は中心周波数のもとで該SiO層内を伝播する音響波の5〜20%の厚さを有している、
ことを特徴とする構成素子の製造方法。
【請求項18】
前記補償層(KS)は第2の熱膨張係数TCE2を有しており、該補償層の材料を、TCE2<TCE1であるように選択する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記ピエゾ圧電ウェハ(PS)と前記補償ウェハ(KS)をダイレクトボンディングによって結合する、請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
ボンディングの前に、高抵抗および/または反射防止中間層(ZS)を、結合されるべき2つの表面上に被着する、請求項17または18記載の方法。
【請求項21】
前記ピエゾ圧電ウェハ(PS)と補償ウェハ(KS)を接着剤によって結合させる、請求項17または20記載の方法。
【請求項22】
前記結合されるべき2つの表面を結合前に研磨する、請求項17から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
前記SiO層(SS)をスパッタリングまたはPECVDによって被着させ、
結果として生じる層が1.44〜1.49の間の屈折率を得るように析出条件を設定する、請求項17から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記ピエゾ圧電ウェハ(PS)を前記補償ウェハ(KS)との結合後に、CMP方法によって、10〜50μmの層厚まで薄くする、請求項17から22までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公表番号】特表2008−514062(P2008−514062A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531626(P2007−531626)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/008964
【国際公開番号】WO2006/032335
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】