説明

低温スラッシュ状流体製造装置

【課題】容器内に貯蔵されたスラッシュ状の低温流体のエイジング現象を防止することができ、かつ、伝熱面の表面に生成された低温固体によってオーガが回らなくなるオーガロックを防止することができる低温スラッシュ状流体製造装置を提供すること。
【解決手段】容器5の内部に貯留された液体状の低温流体Lの中に配置された、伝熱面6を有する熱交換器3と、前記伝熱面6の表面に生成した低温固体を掻き落とすオーガ7と、前記容器5の底部に堆積したスラッシュ状の低温流体Sを攪拌翼18によって攪拌する攪拌装置8とを備えたスラッシュ状流体製造部2を具備した低温スラッシュ状流体製造装置1であって、攪拌工程と製造工程とが交互に行われるように制御する制御装置19を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラッシュ状の低温流体(例えば、スラッシュ水素(固体水素と液体水素とがシャーベット状に混合したものであり、液体水素に比べて密度が大きく、保有する寒冷量が大きいもの))を製造する低温スラッシュ状流体製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スラッシュ状の低温流体を製造する装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。
【特許文献1】特開2007−333264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
低温スラッシュ状流体製造装置を用いて製造されたスラッシュ状の低温流体は、潜熱および顕熱の利用と貯蔵密度の向上の観点から、容器の底部に一旦溜められ、固化率が高められた後に、容器から取り出されて(抜き出されて)利用される。
しかしながら、容器の底部に溜められたスラッシュ状の低温流体は、長時間そのままの状態で放置されると、エイジング現象(スラッシュ水素中の固体水素が外部からの侵入熱により一部融解し、再度凝結する際に周囲の固体水素と結合してその粒径が大きくなる現象(Liquid-solid mixtures of hydrogen near the triple point:Advances in cryogenic engineering Vol.11 P207参照。))を起こし、スラッシュ状の低温流体が取り出せなくなってしまうおそれがある。
【0004】
そこで、容器の底部に溜められたスラッシュ状の低温流体がエイジング現象を起こさないよう、容器の底部に溜められたスラッシュ状の低温流体を攪拌装置を使って攪拌することが提案されている。
しかしながら、伝熱面の表面に生成した低温固体(例えば、固体水素)をオーガで掻き落とす(削り落とす)ことによりスラッシュ状の低温流体を製造する装置では、攪拌によって伝熱面の表面に生成される低温固体の成長速度が所望の速度よりも速くなり、伝熱面の表面に生成された低温固体によってオーガが回らなくなるオーガロックが発生し、スラッシュ状の低温流体を製造できなくなってしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、容器内に貯蔵されたスラッシュ状の低温流体のエイジング現象を防止することができ、かつ、伝熱面の表面に生成された低温固体によってオーガが回らなくなるオーガロックを防止することができる低温スラッシュ状流体製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る低温スラッシュ状流体製造装置は、容器の内部に貯留された液体状の低温流体の中に配置された、伝熱面を有する熱交換器と、前記伝熱面の表面に生成した低温固体を掻き落とすオーガと、前記容器の底部に堆積したスラッシュ状の低温流体を攪拌翼によって攪拌する攪拌装置とを備えたスラッシュ状流体製造部を具備した低温スラッシュ状流体製造装置であって、攪拌工程と製造工程とが交互に行われるように制御する制御装置を備えている。
【0007】
本発明に係る低温スラッシュ状流体製造装置によれば、攪拌工程と製造工程とが交互に行われることとなるので、容器内に貯蔵されたスラッシュ状の低温流体のエイジング現象を防止することができ、かつ、伝熱面の表面に生成された低温固体によってオーガが回らなくなるオーガロックを防止することができる。
【0008】
上記低温スラッシュ状流体製造装置において、前記攪拌翼は、樹脂からなり、その下端と前記容器の底面との間にわずかな隙間が形成され、かつ、回転してその先端が前記容器の内周面に最も接近した時に、その先端と前記容器の内周面との間にわずかな隙間が形成されるように設計・製作されている。
【0009】
このような低温スラッシュ状流体製造装置によれば、容器の底部に堆積したスラッシュ状の低温流体は、その下端と容器の底面との間にわずかな隙間が形成され、かつ、回転してその先端が容器の内周面に最も接近した時に、その先端と容器の内周面との間にわずかな隙間が形成されるように設計・製作された翼面積の大きい攪拌翼によって攪拌されることとなるので、エイジング現象をより確実に防止することができる。
また、攪拌翼は樹脂製であり、万が一、その下端が容器の底面と接触しても容器の底面を傷つけることがなく、また、その先端が容器の内周面と接触しても容器の内周面を傷つけることがないので、容器の損傷を防止することができる。
さらに、攪拌翼は樹脂製とされ、攪拌翼の軽量化が図られることとなるので、駆動用モータの回転を攪拌翼に伝達する駆動軸の軸振れを低減させることができて、その下端と容器の底面との接触、その先端と容器の内周面との接触を低減させることができる。
【0010】
上記低温スラッシュ状流体製造装置において、前記攪拌翼は、樹脂からなる複数枚の翼を備え、各翼は、回転時の遠心力によって長手方向に伸び、回転時、その先端が前記容器の内周面と当接することによって長手方向に縮むように構成されている。
【0011】
このような低温スラッシュ状流体製造装置によれば、容器の底部に堆積したスラッシュ状の低温流体は、回転時の遠心力によって長手方向に伸びる翼面積の大きい攪拌翼によって攪拌されることとなるので、より広範囲のスラッシュ状の低温流体を攪拌することができて、エイジング現象をより確実に防止することができる。
また、攪拌翼の各翼は樹脂製であり、万が一、その先端が容器の内周面と接触しても容器の内周面を傷つけることがないので、容器の損傷を防止することができる。
さらに、攪拌翼は樹脂製とされ、攪拌翼の軽量化が図られることとなるので、駆動用モータの回転を攪拌翼に伝達する駆動軸の軸振れを低減させることができて、その先端と容器の内周面との接触を低減させることができる。
【0012】
上記低温スラッシュ状流体製造装置において、前記攪拌翼が、前記容器の底面に設置された、超伝導モータからなる駆動用モータにより駆動されるように構成されているとさらに好適である。
【0013】
このような低温スラッシュ状流体製造装置によれば、駆動用モータが容器の底面に設置され、駆動用モータの回転を攪拌翼に伝達する駆動軸が、容器の頂部に形成された貫通穴を貫通することを回避することができるので、貫通穴の内径を小さくすることができて、容器内への侵入熱を低減させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る低温スラッシュ状流体製造装置によれば、容器内に貯蔵されたスラッシュ状の低温流体のエイジング現象を防止することができ、かつ、伝熱面の表面に生成された低温固体によってオーガが回らなくなるオーガロックを防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る低温スラッシュ状流体製造装置(以下「製造装置」という。)の第1実施形態について、図1を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る製造装置の概略構成図である。
製造装置1は、例えば、図1に示すスラッシュ状の低温流体(例えば、スラッシュ水素)を製造するスラッシュ状流体製造部2と、このスラッシュ状流体製造部2に供給される極低温流体(例えば、13Kの気体ヘリウム)を発生させる極低温流体発生部(図示せず)とを主たる要素として構成されている。
【0016】
極低温流体発生部は、極低温流体貯蔵タンク(図示せず)と、流量・温度調整装置(図示せず)とを備えている。
極低温流体貯蔵タンクの内部には、液体状の極低温流体(例えば、4Kの液体ヘリウム)が貯留されている。また、この極低温流体貯蔵タンクと、スラッシュ状流体製造部2の熱交換器3とは、極低温流体供給管4を介して接続(連結)されている。
流量・温度調整装置は、極低温流体供給管4の途中に配置されるとともに、極低温流体貯蔵タンクから送られてきた(圧送されてきた)液体状の極低温流体を加熱してガス化(気化)させる加熱器(図示せず)と、この加熱器の上流側に位置する極低温流体供給管4に配置されるとともに、極低温流体貯蔵タンクから加熱器に流入する液化された極低温流体の流量を調整する第1のバルブ(図示せず)と、加熱器の下流側に位置する極低温流体供給管4に配置されるとともに、加熱器からスラッシュ状流体製造部2の熱交換器3に流入する気体状の極低温流体(例えば、13Kの気体ヘリウム)の流量を調整する第2のバルブ(図示せず)とを備えている。
【0017】
スラッシュ状流体製造部2は、液体状の低温流体(例えば、13.9Kの液体水素)Lおよびスラッシュ状の低温流体(例えば、13.8Kのスラッシュ水素)Sを貯留する容器5と、この容器5内に配置された円筒状の伝熱面6を有する熱交換器3と、伝熱面6の表面に生成した図示しない低温固体(例えば、固体水素)を掻き落とす(削り落とす)オーガ(掻き落とし手段)7と、攪拌装置8とを備えている。
【0018】
容器5は、その内部が真空とされ、かつ、その内面に、例えば、銅板等の輻射シールド板(図示せず)が貼られた断熱真空容器9の中に収容されており、これにより、容器5の外部から内部へ侵入する熱の低減化が図られるようになっている。
【0019】
熱交換器3の内部には、極低温流体発生部(図示せず)で発生した極低温流体(容器5内に貯留された液体状の低温流体Lよりも温度の低い流体)が極低温流体供給管4を介して供給されるようになっている。熱交換器3の内部に供給された極低温流体は、容器5内に貯留された液体状の低温流体Lと熱交換させられて伝熱面6の表面に低温固体を生成させた後、極低温流体戻り管10を通って貯蔵タンク(図示せず)に一旦貯留され、液化装置(図示せず)により液化されてから、極低温流体発生部の極低温流体貯蔵タンク(図示せず)に戻されるようになっている。
【0020】
オーガ7は、その回転軸(中心軸)11の両端部がベアリング(図示せず)によって軸受け支持されるとともに、伝熱面6に沿って回転可能に収容された円筒状の部材であり、その外周面(すなわち、伝熱面6と対向する面)には、長手方向に沿って螺旋状に形成された刃12が設けられている。
また、回転軸11と、駆動用モータ13から下方に延びる駆動軸14とは、ユニバーサルジョイント15を介して接続(連結)されており、駆動用モータ13が回転すると、その回転に伴ってオーガ7も同じように(例えば、図1の上方から見て時計方向)に回転し、伝熱面3に生成した低温固体が、オーガ7の刃12によって掻き落とされ、所望の大きさ(例えば、1μm〜10μm)の粒(例えば、固体水素の粒)となって、容器5の底部へ落下し、スラッシュ状の低温流体Sを形成するようになっている。
【0021】
駆動用モータ13、極低温流体発生部の加熱器、第1のバルブ、および第2のバルブはそれぞれ、電気的に接続された制御装置19により、ON状態(運転状態)とOFF状態(停止状態)とを繰り返すように(例えば、50分〜55分間、オーガ7および駆動軸14を回転させたら、つぎの10分〜5分間、オーガ7および駆動軸14を回転させないように)制御される。これにより、低温固体は、間歇的に製造されることとなる。
【0022】
攪拌装置8は、駆動用モータ16と、駆動軸17と、攪拌翼18とを備えている。
駆動用モータ16は、その下端から容器5の底面に向かって延びる駆動軸17を、例えば、図1の上方から見て時計方向に回転させるものである。
駆動軸17の一端部(図1において上側の端部)は、駆動用モータ16の回転軸(図示せず)の一端部と連結されており、駆動軸17の他端部(図1において下側の端部)には、攪拌翼18が取り付けられている。
【0023】
攪拌翼18は、樹脂(例えば、PTFE)からなり、その下端と容器5の底面との間にわずかな隙間(例えば、5mm〜10mm程度の隙間)が形成され、かつ、回転してその先端が容器5の内周面に最も接近した時に、その先端と容器5の内周面との間にわずかな隙間(例えば、5mm〜10mm程度の隙間)が形成されるように設計・製作されている。
【0024】
また、駆動用モータ16は、電気的に接続された制御装置19により、ON状態(運転状態)とOFF状態(停止状態)とを繰り返すように(例えば、5分〜10分間、駆動軸17および攪拌翼18を回転させたら、つぎの55分〜50分間、駆動軸17および攪拌翼18を回転させないように)制御される。これにより、攪拌翼18は、間歇的に回転させられることとなる。
【0025】
本実施形態に係る製造装置1によれば、攪拌工程と製造工程とが交互に行われることとなるので、容器5内に貯蔵されたスラッシュ状の低温流体Sのエイジング現象を防止することができ、かつ、伝熱面6の表面に生成された低温固体の成長速度を所望の速度内で制御することによってオーガ7が回らなくなるオーガロックを防止することができる。
また、容器5の底部に堆積したスラッシュ状の低温流体Sは、その下端と容器5の底面との間にわずかな隙間が形成され、かつ、回転してその先端が容器5の内周面に最も接近した時に、その先端と容器5の内周面との間にわずかな隙間が形成されるように設計・製作された翼面積の大きい攪拌翼18によって攪拌されることとなるので、エイジング現象をより確実に防止することができる。
さらに、攪拌翼18は樹脂製であり、万が一、その下端が容器5の底面と接触しても容器5の底面を傷つけることがなく、また、その先端が容器5の内周面と接触しても容器5の内周面を傷つけることがないので、容器5の損傷を防止することができる。
さらにまた、攪拌翼18は樹脂製とされ、攪拌翼18の軽量化が図られることとなるので、駆動軸17の軸振れを低減させることができて、その下端と容器5の底面との接触、その先端と容器5の内周面との接触を低減させることができる。
【0026】
本発明の第2実施形態に係る製造装置について、図2および図3を参照しながら説明する。図2は本実施形態に係る製造装置の概略構成図、図3は図2に示す攪拌翼の挙動を説明するための図であって、攪拌翼を上方から見た平面図である。
図2に示すように、本実施形態に係る製造装置21は、撹拌翼18の代わりに攪拌翼22を備えたスラッシュ状流体製造部23を具備しているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0027】
図2および図3に示すように、攪拌翼22を構成する翼24はそれぞれ、樹脂(例えば、PTFE)からなり、その長手方向に対して伸縮自在な入れ子構造になっている。すなわち、攪拌翼22の各翼24は、回転時の遠心力によって長手方向に伸び、回転時、その先端が容器5の内周面と当接することによって長手方向に縮むようになっている。また、製造時(組立時)には、各翼24が長手方向に最も縮められた状態で、容器5内に納められる。
【0028】
本実施形態に係る製造装置21によれば、攪拌工程と製造工程とが交互に行われることとなるので、容器5内に貯蔵されたスラッシュ状の低温流体Sのエイジング現象を防止することができ、かつ、伝熱面6の表面に生成された低温固体の成長速度を所望の速度内で制御することによってオーガ7が回らなくなるオーガロックを防止することができる。
また、容器5の底部に堆積したスラッシュ状の低温流体Sは、回転時の遠心力によって長手方向に伸びる翼面積の大きい攪拌翼によって攪拌されることとなるので、より広範囲のスラッシュ状の低温流体Sを攪拌することができて、エイジング現象をより確実に防止することができる。
さらに、攪拌翼22の各翼24は樹脂製であり、万が一、その先端が容器5の内周面と接触しても容器5の内周面を傷つけることがないので、容器5の損傷を防止することができる。
さらにまた、攪拌翼22は樹脂製とされ、攪拌翼22の軽量化が図られることとなるので、駆動軸17の軸振れを低減させることができて、その先端と容器5の内周面との接触を低減させることができる。
【0029】
本発明の第3実施形態に係る製造装置について、図4を参照しながら説明する。図4は本実施形態に係る製造装置の概略構成図である。
図4に示すように、本実施形態に係る製造装置31は、攪拌装置8を備えたスラッシュ状流体製造部2の代わりに攪拌装置32を備えたスラッシュ状流体製造部33を具備しているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0030】
攪拌装置32は、回転しても発熱しない超伝導モータからなる駆動用モータ34と、駆動軸35と、攪拌翼36とを備えている。
駆動用モータ34は、その上端から容器5の頂部に向かって延びる駆動軸35を、例えば、図4の上方から見て時計方向に回転させるものであり、容器5の底面に設置されている。
駆動軸35の一端部(図4において下側の端部)は、駆動用モータ34の回転軸(図示せず)の一端部と連結されており、駆動軸35の他端部(図4において上側の端部)には、攪拌翼36が取り付けられている。
【0031】
攪拌翼36は、樹脂(例えば、PTFE)からなり、回転してその先端が容器5の内周面に最も接近した時に、その先端と容器5の内周面との間にわずかな隙間(例えば、5mm〜10mm程度の隙間)が形成されるように設計・製作されている。
【0032】
また、駆動用モータ34は、電気的に接続された制御装置19により、ON状態(運転状態)とOFF状態(停止状態)とを繰り返すように(例えば、5分〜10分間、駆動軸35および攪拌翼36を回転させたら、つぎの55分〜50分間、駆動軸35および攪拌翼36を回転させないように)制御される。これにより、攪拌翼36は、間歇的に回転させられることとなる。
【0033】
本実施形態に係る製造装置31によれば、攪拌工程と製造工程とが交互に行われることとなるので、容器5内に貯蔵されたスラッシュ状の低温流体Sのエイジング現象を防止することができ、かつ、伝熱面6の表面に生成された低温固体の成長速度を所望の速度内で制御することによってオーガ7が回らなくなるオーガロックを防止することができる。
また、容器5の底部に堆積したスラッシュ状の低温流体Sは、回転してその先端が容器5の内周面に最も接近した時に、その先端と容器5の内周面との間にわずかな隙間が形成されるように設計・製作された翼面積の大きい攪拌翼36によって攪拌されることとなるので、エイジング現象をより確実に防止することができる。
さらに、攪拌翼36は樹脂製であり、万が一、その先端が容器5の内周面と接触しても容器5の内周面を傷つけることがないので、容器5の損傷を防止することができる。
さらにまた、攪拌翼36は樹脂製とされ、攪拌翼36の軽量化が図られることとなるので、駆動軸35の軸振れを低減させることができて、その先端と容器5の内周面との接触を低減させることができる。
さらにまた、駆動用モータ34が容器5の底面に設置され、駆動用モータ34の回転を攪拌翼36に伝達する駆動軸35が、容器5の頂部に形成された貫通穴37を貫通することを回避することができるので、貫通穴37の内径を小さくすることができ、エイジング現象の要因である容器5内への侵入熱を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る低温スラッシュ状流体製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る低温スラッシュ状流体製造装置の概略構成図である。
【図3】図2に示す攪拌翼の挙動を説明するための図であって、攪拌翼を上方から見た平面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る低温スラッシュ状流体製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0035】
1 低温スラッシュ状流体製造装置
2 スラッシュ状流体製造部
3 熱交換器
5 容器
6 伝熱面
7 オーガ
8 攪拌装置
18 攪拌翼
19 制御装置
21 スラッシュ状流体製造装置
22 攪拌翼
23 スラッシュ状流体製造部
24 翼
31 低温スラッシュ状流体製造装置
32 攪拌装置
33 スラッシュ状流体製造部
34 駆動用モータ
36 攪拌翼
L 液体状の低温流体
S スラッシュ状の低温流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内部に貯留された液体状の低温流体の中に配置された、伝熱面を有する熱交換器と、前記伝熱面の表面に生成した低温固体を掻き落とすオーガと、前記容器の底部に堆積したスラッシュ状の低温流体を攪拌翼によって攪拌する攪拌装置とを備えたスラッシュ状流体製造部を具備した低温スラッシュ状流体製造装置であって、
攪拌工程と製造工程とが交互に行われるように制御する制御装置を備えていることを特徴とする低温スラッシュ状流体製造装置。
【請求項2】
前記攪拌翼は、樹脂からなり、その下端と前記容器の底面との間にわずかな隙間が形成され、かつ、回転してその先端が前記容器の内周面に最も接近した時に、その先端と前記容器の内周面との間にわずかな隙間が形成されるように設計・製作されていることを特徴とする請求項1に記載の低温スラッシュ状流体製造装置。
【請求項3】
前記攪拌翼は、樹脂からなる複数枚の翼を備え、各翼は、回転時の遠心力によって長手方向に伸び、回転時、その先端が前記容器の内周面と当接することによって長手方向に縮むように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の低温スラッシュ状流体製造装置。
【請求項4】
前記攪拌翼が、前記容器の底面に設置された、超伝導モータからなる駆動用モータにより駆動されるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の低温スラッシュ状流体製造装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−43796(P2010−43796A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208430(P2008−208430)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成17年7月20日付け 平成17年度、平成18年度、平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「水素安全利用等基盤技術開発/水素に関する共通基盤技術開発/ボイルオフガス低減を目指したスラッシュ水素製造/供給装置の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受けるもの)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】