低温接合用材料及び接合方法
【課題】
実装プロセス中の接合過程において低温接合化を達成できる接合材料及び接合プロセスを提供すると共に、高温環境下においても、長期信頼性を損なうことがない半導体パッケージを提供することにある。
【解決手段】
有機物で被覆された平均粒径が100μm以下の金属粒子を用いた接合材料において、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有し、金属粒子を被覆している有機成分の炭素数が2〜8である接合材料を特徴とする。
実装プロセス中の接合過程において低温接合化を達成できる接合材料及び接合プロセスを提供すると共に、高温環境下においても、長期信頼性を損なうことがない半導体パッケージを提供することにある。
【解決手段】
有機物で被覆された平均粒径が100μm以下の金属粒子を用いた接合材料において、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有し、金属粒子を被覆している有機成分の炭素数が2〜8である接合材料を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体モジュールなどの電子部品を電気的に接続するための接合材料及びその接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ等に用いられるパワー半導体装置の一つである非絶縁型半導体装置において、半導体チップを固定する部材は半導体装置の電極の一つでもあるため、この電極部は半導体装置稼動時には数アンペア以上の電流が流れ半導体チップが発熱する。近年、これら半導体装置に用いられる電流容量が増大していることから、この半導体チップ搭載部、すなわちダイボンディング部における発熱量も増加している。
【0003】
この発熱に起因する特性の不安定化や寿命の低下を避けて半導体チップを安定に動作させるためには、半導体チップ搭載部における、はんだ付け部の放熱性,長期信頼性(耐熱性)が確保できていなければならない。従って、高放熱性及び耐熱性に優れた接合材料が必要となってくる。
【0004】
一方、絶縁型半導体装置においても、半導体素子を安全かつ安定に動作させるためには、半導体装置の動作時に発生する熱を半導体装置の外へ効率良く放散させ、さらにはんだ付け部の接続信頼性を確保する必要がある。
【0005】
特許文献1では有機物で表面が被覆された平均粒径が100nm程度以下の金属粒子を用い、加熱と加圧を同時に行うことで金属表面を被覆している有機物を分解させて、金属粒子同士の焼結を起こす現象を用いた接合方法が開示されている。本技術においては、接合後の金属粒子はバルク金属へと変化すると同時に接合界面で金属結合による接合が行われているため、樹脂を用いた接着と比較すると非常に高い耐熱性と信頼性及び放熱性を有している。また、特許文献2では平均粒径が100nm以下の金属粒子を用いた接合において、平均粒径が100nm以下の金属粒子と1〜100μmの粒径の金属粒子を混合させて接合に用いることで接合層の厚みを確保することが開示されている。
【0006】
また、現在はんだの鉛フリー対応が迫られているが、高温はんだに関してはその代替となる材料が出ていない。実装においては階層はんだを用いることが必要不可欠なため、この高温はんだに代わる材料の出現が望まれている。従って平均粒径が100nm以下の金属粒子を用いた接合技術はこの高温はんだに代わる材料としても期待されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−107728号公報
【特許文献2】特開2005−136375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2等に記載の平均粒径が100nm以下の金属粒子を用いた接合技術では、上述の通り、接合界面では金属結合による接合が行われていることから、高い耐熱性と信頼性及び高放熱性を有する。その反面、平均粒径が100nm以下と非常に微細な金属粒子は凝集を起こしやすく、このような金属粒子は安定化させるために有機物の保護膜を形成する必要がある。従来はこの金属粒子を安定化させるためにより安定性の高い有機物、例えば長鎖のアルキルカルボン酸を金属粒子の被覆材料として用いられている。この有機物の保護膜は接合時には除去する必要があるが、低温での加熱では保護膜を完全に除去することが難しく十分な接合強度を得ることが困難となる。従って、十分な接合強度を得るためには加熱温度を高くする、あるいは長時間の加熱が必要であった。しかしながら、接合プロセスにおいては周囲の電子部品への損傷等から接合中における加熱温度の低温化,加熱時間の短縮化が必要である。従来、平均粒径が100nm以下の金属粒子を用いた接合技術においては、接合プロセスの加熱温度の低温化,加熱時間の短縮化については十分な検討がなされていない。
【0009】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、実装プロセス中の接合過程において低温接合化を達成できる接合材料及び接合プロセスを提供すると共に、高温環境下においても、長期信頼性を損なうことがない半導体パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径100μm以下の金属粒子を有し、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する接合用材料を特徴とする。
【0011】
また、平均粒径が1nm以上100nm以下の金属粒子と、前記金属粒子が凝集した凝集体とを有し、前記凝集体の粒径が10nm以上100μm以下である接合用材料を特徴とする。
【0012】
また、電子部品の電極と配線基板の回路配線とを電気的に接合する接合方法において、炭素数が2以上8以下の有機物で被覆され、体積基準における粒度分布で100nm以下及び100nmから100μm以下にそれぞれ1つ以上のピークを有する平均粒径100μm以下の金属粒子を含む接合用材料を、前記回路配線上の前記電極との接合面に塗布し、前記溶液が塗布された回路配線上に電子部品を搭載した後、加熱及び加圧により電子部品の電極と配線基板の回路配線とを接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、実装プロセス中の接合過程において低温接合化を達成できる接合材料及び接合プロセス、並びに、高温環境下においても、長期信頼性を損なうことがない半導体パッケージを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0015】
本発明では、接合中における加熱と加圧時に100nm以下の金属粒子の焼結が起こり、バルクな金属に変化するという現象を用いた接合技術を対象としている。本発明の接合用材料は、炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径100μm以下の金属粒子を有し、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有することを特徴とする。
【0016】
本発明では、金属粒子を被覆する有機物の炭素数を2以上8以下としている。図1に、炭素数6個からなるヘキシルアミン、炭素数8からなるオクチルアミン、炭素数10からなるデシルアミン、及び、炭素数12からなるラウリルアミンのそれぞれの有機物について、熱重量測定による加熱温度と残留重量の関係を示す。図1から、炭素数が小さくなるに伴い、熱重量減少温度が低下していることが分かる。このように炭素数の少ない短鎖の有機物とすることで、有機物の分解温度を低下させることができる。従って、炭素数が2以上8以下の短鎖の有機物で金属粒子を被覆することによって、接合時における有機物の分解,除去をより低温で行うことができ、接合温度の低温化を図ることが可能となる。ここで、炭素数が2よりも小さくなると室温で金属粒子の凝集が進行してしまい金属粒子を安定な状態で被覆することが困難となる。また、炭素数が8よりも大きくなると、有機物の分解温度が高くなり、接合時に金属粒子の焼結を阻害する働きをするようになり、接合強度が減少するため好ましくない。従って、本発明では、金属粒子を被覆する有機物の炭素数を2以上8以下とすることが好ましい。
【0017】
この金属粒子を被覆する有機物は、接合後には金属粒子の焼結を阻害する成分となるため、接合後の接合層には有機物の残渣を可能な限りなくすことが必要である。そのため、短時間、低温の接合条件下でも有機物を分解,除去できるように有機物の量はより少なくすることが重要である。本発明者らは、炭素数2以上8以下の有機物で被覆した金属粒子を用いた接合材料について検討した結果、接合用材料としての安定性、接合後の有機物の残渣量、接合強度の観点から、金属粒子の粒径は接合に直接寄与する100nm以下のみを用いるのではなく、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する金属粒子とすることが好ましいことを見出した。ここで、100nmから100μm以下の金属粒子も有機物で被覆されていることが好ましい。これは、表面が有機物で被覆されていない平均粒径が100nmから
100μm以下の金属粒子を混ぜた場合よりも、有機溶媒中において平均粒径が100
nm以下の表面が有機物で被覆された金属粒子との分散性がよくなるためである。また、平均粒径が100nmから100μm以下の金属粒子としては、表面が有機物で被覆された平均粒径が100nm以下の金属粒子を凝集させたものとしても良い。この場合、平均粒径が100nm以下の金属粒子を被覆する有機物と、平均粒径が100nmから100μm以下の金属粒子を被覆する有機物とが同種の材料となるため、より有機溶媒中での分散性を向上することができる。ここで、金属粒子の凝集体の形状としては、球状,楕円状,三角,四角、などをはじめ金属粒子同士がランダムに融合するためにさまざまな形状を取ることが可能であり、その形状は上記に限定されることはない。ここで、平均粒径が1以上100nm以下の金属粒子が凝集した凝集体の粒径としては、10nm以上100
μm以下であることがよい。
【0018】
このように、粒径100nm以下と100nm以上に粒径のピークを持たせた金属粒子を用いることにより、接合強度を向上させることが可能となる。接合強度が向上するメカニズムの詳細は不明であるが、接合材料中に含まれる100nm以下の金属粒子が100nm以上の金属粒子同士の隙間を埋めて、これらが低温で焼結を起こすことにより、100nm以上の粒子同士の焼結を補助するためであると考えられる。また、粒径が100nm以下の金属粒子のみを用いるよりも、粒径100nm以下と100nm以上に粒径のピークを持つ金属粒子とすることで、接合用材料に含まれる有機物の含有量が少なくなり、より広域において焼結が進んだ結果、接合後の残渣が少なくなることで高い接合強度が得られるようになるためと考えられる。
【0019】
粒径100nm以下と100nm以上に粒径のピークを持つ金属粒子の粒径の割合としては、重量wt%において、粒径100nm以下の粒子の割合が、用いる平均粒径が100μm以下の金属粒子中の重量wt%において、0.1 より大きく、100より小さい範囲とする。粒径100nm以下の粒子の含有量がこれ以下になると、100nm以上の粒子の隙間を埋めるのに十分な量の粒子が接合材料中になくなり、十分な焼結層が得られず、その結果、接合強度も低下してしまうからである。
【0020】
本発明の接合用材料に用いる平均粒径100μm以下の金属粒子としては、金,銀,銅,白金,パラジウム,ロジウム,オスミウム,ルテニウム,イリジウム,鉄,錫,亜鉛,コバルト,ニッケル,クロム,チタン,タンタル,タングステン,インジウム,ケイ素,アルミニウム等の中から少なくとも1種類の金属あるいは2種類以上の金属からなる合金を用いることが可能であるが、特にAuまたはAu合金からなるもの、あるいはAgまたはAg合金からなるものをそれぞれ単独あるいは2種類以上混合して用いることが好ましい。さらに、平均粒径が1以上100μmの金属粒子としては、AuまたはAu合金からなるもの、あるいはAgまたはAg合金からなるものや、ニッケル粒子をコアとし表面にAuまたはAu合金、あるいはAgまたはAg合金をめっきしたもの、または銅のコア粒子表面にニッケルめっきを施しさらにその表層にAuまたはAu合金、あるいはAgまたはAg合金をめっきしたものを用いることができる。
【0021】
本発明の金属粒子を被覆する炭素数が2以上8以下の有機物としては、金属元素と配位可能な基として酸素,窒素,硫黄原子を含み、このような具体的な例としては、窒素原子を含むアミノ基,酸素原子を含むアルコール基,カルボキシル基,硫黄基を含むスルファニル基などがあげられ、その他にもカルボニル基,アルデヒド基などがあげられる。
【0022】
利用可能なアミノ基を含む化合物としてアルキルアミンを挙げることができる。例えば、ブチルアミン,ペンチルアミン,ヘキシルアミン,ヘプチルアミン,オクチルアミンがある。また、アミノ基を有する化合物としては分岐構造を有していてもよく、そのような例としては、2−エチルヘキシルアミン、1,5−ジメチルヘキシルアミンなどがある。また、1級アミン型に限らず、2級アミン型,3級アミン型を用いることも可能である。さらにこのような有機物としては環状の形状を有していてもよい。
【0023】
また、利用可能なカルボキシル基を含む化合物としてアルキルカルボン酸がある。具体例としては、ブタン酸,ペンタン酸,ヘキサン酸,ヘプタン酸,オクタン酸が挙げられる。また、上記アミノ基と同様に1級カルボン酸型に限らず、2級カルボン酸型,3級カルボン酸型、及びジカルボン酸,環状型の構造を有するカルボキシル化合物を用いることが可能である。
【0024】
また、利用可能なアルコール基を含む化合物としては、アルキルアルコールが挙げられ、例えばエタノール,プロピルアルコール,ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコールがある。さらには1級アルコール型に限らず、2級アルコール型,3級アルコール型、及びアルカンジオール、環状型の構造を有するアルコール化合物を用いることが可能である。それ以外にもクエン酸,アスコルビン酸など4つのアルコール基を有する化合物を用いてもよい。
【0025】
さらに、利用可能なスルファニル基を含む化合物としてはアルキルチオールが挙げられ、例えば1−エチルチオール、1−プロピルチオール、1−ブチルチオール、1−ペンチルチオール、1−ヘキシルチオール、1−ヘプチルチオール、1−オクチルチオールがある。さらには2級チオール型,3級チオール型,環状型の化合物も可能である。
【0026】
上記4種類以外にも有機物の炭素数が2から8の間であれば、カルボニル基,アルデヒド基,エステル基を含む化合物を保護膜として用いてもよい。また、金属粒子を被覆している有機物はこれらから1種類のみを用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0027】
本発明の接合用材料は、表面が有機物で被覆された金属粒子を有機溶媒中に分散させてペースト材料として用いることも可能である。このような溶媒としては、メタノール,エタノール,オクチルアルコール,エチレングリコール,トリエチレングリコール、α−テルピネオールなどのアルコール類、また、ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカン,ドデカン,シクロペンタン,シクロヘキサン,シクロオクタン,ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼン,水、などを用いることが出来る。
【0028】
炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径100μm以下の金属粒子を有し、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する接合用材料は平均粒径100nm以下の金属粒子を凝集させることにより作製することができる。平均粒径100nm以下の金属粒子は公知の手法により作製することが可能であり、これらの方法では平均粒径100nm以下の金属粒子は溶液中において合成される。このような合成法にて得られた炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径が100nm以下の金属粒子はエバポレーターなどで溶媒を蒸発させることで、前記金属粒子の凝集が起こり、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する接合用材料を作製することが出来る。
【0029】
また、平均粒径100nm以下の粒子を凝集させて粒径に分布を持たせるには、金属粒子表面を被覆する有機物を炭素数が2以上8以下の不安定な有機物にして溶媒を蒸発させて凝集させる方法以外にも、加熱処理を行ったり、有機溶媒で金属表面の有機物を洗い流したり、紫外線照射することで有機物を揮発させ凝集させる方法があるが、平均粒径が
100nm以下の金属微粒子を予め凝集させておく方法はこれに限定されることはない。
【0030】
これら接合用材料には鱗片状の銀と熱硬化性樹脂からなる樹脂を混ぜて用いてもよい。このときに用いられる熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂,ポリイミド樹脂等が挙げられるが、本発明においては特にこれらに限定されるものではない。この際、金属結合による強固な接合を達成するためには、金属粒子の含有量が接合用材料中における全質量部において50を超えて99以下とすることが好ましい。
【0031】
次に、本発明の接合用材料を用いた接合方法について説明する。
【0032】
電子部品の電極と配線基板の回路配線とを結合する方法において、上述の接合用材料を回路配線上の電極との接合面に塗布し、接合用材料が塗布された回路配線上に電子部品を搭載した後、加熱加圧をすることで電子部品の電極と配線基板の回路配線とを接合することができる。
【0033】
このときの加熱温度は40℃以上で400℃以下とすることが好ましい。加熱温度を
40℃以上としたのは、それより下の温度では金属粒子表面を被覆している有機物を飛ばすのに、あまりにも時間がかかりすぎてしまうためである。また、加熱と加圧を加える時間は60分以下とした。加熱と加圧時間を60分以上とすると、一つの製品を作製するのにあまりにも多くの時間がかかり、大量生産を行うことが難しくなるからである。
【0034】
また、接合用材料をペースト材として用いる場合には、インクジェット法により微細なノズルからペーストを噴出させて基板上の電極あるいは電子部品の接続部に塗布する方法や、あるいは塗布部分を開口したメタルマスクやメッシュ状マスクを用いて必要部分にのみ塗布を行う方法,ディスペンサを用いて必要部分に塗布する方法,シリコーンやフッ素等を含む撥水性の樹脂を必要な部分のみ開口したメタルマスクやメッシュ状マスクで塗布したり、感光性のある撥水性樹脂を基板あるいは電子部品上に塗布し、露光および現像することにより前記微細粒子等からなるペーストを塗布する部分を除去し、その後接合用ペーストをその開口部に塗布する方法や、さらには撥水性樹脂を基板あるいは電子部品に塗布後、前記金属粒子からなるペースト塗布部分をレーザーにより除去し、その後接合用ペーストをその開口部に塗布する方法がある。これらの塗布方法は、接合する電極の面積,形状に応じて組み合わせ可能である。
【0035】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0036】
(実施例1〜2,比較例1〜2)
実施例1ではヘキシルアミンを、実施例2ではオクチルアミンを、比較例1ではデシルアミンを、比較例2ではラウリルアミンを表面に被覆した銀粒子を用いた。
【0037】
実施例1の有機物としてヘキシルアミンを用いた銀粒子は、体積基準における粒度分布において100nm以下では7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では0.3437μm に粒径のピークを有している。実施例2の有機物としてオクチルアミンを用いた銀粒子は、100nm以下では7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では2.75μm に粒径のピークを有している。比較例1の有機物としてデシルアミンを用いた銀粒子は、100nm以下においてのみ、7.6nmと15.2nmに粒径のピークを有している。比較例2の有機物としてラウリルアミンを用いた銀粒子は、100nm以下において18.1nmにおいてのみ粒径のピークを有している。
【0038】
上記4種類の銀粒子はトルエン溶液に分散させて粒度分布測定を行ったものである。粒度分布測定に日機装株式会社製マイクロトラック超微粒子粒度分析計 9340−UPA150を用いた。測定は三回行い、その平均値を得た。
【0039】
一方、銀粒子表面を被覆する有機物として用いたヘキシルアミン,オクチルアミン,デシルアミン,ラウリルアミンの4種類の有機物について熱重量測定を行った。熱重量測定にはSeiko Instruments 製TG/DTA6200を用いた。このとき昇温速度を10℃/min とし、大気中で測定を行った。
【0040】
図1に示すように実施例1の炭素数6個からなるヘキシルアミン、実施例2の炭素数8からなるオクチルアミンは比較例1の炭素数10からなるデシルアミン、比較例2の炭素数12からなるラウリルアミンと比較すると熱重量減少温度が低下する。これより、炭素数の少ない有機物を用いると、金属粒子の焼結温度も低下する。
【0041】
実施例1のヘキシルアミンを表面に被覆した平均粒径100μm以下の銀粒子は、200mLのトルエン溶液中に硝酸銀4.0g と5gのヘキシルアミンを加えて攪拌し、その中にアスコルビン酸4gを混合させ、その後1時間半ほど攪拌を続けることで表面がヘキシルアミンで被覆された平均粒径100nm以下の銀粒子を作製した。その後、定量濾紙
(No5C)を用いてろ過を行い、未反応の硝酸銀,アスコルビン酸の除去を行った。さらに、ろ過をして得られた、表面がヘキシルアミンで被覆された平均粒径100nm以下の銀粒子を有するトルエン溶液に約200mLのアセトン溶液を加え、上記銀粒子を沈殿させて上澄み液を取り除き、銀粒子に被覆していない過剰なヘキシルアミン及び合成時に出来た副生成物を取り除くことで、精製を行った。この工程を全部で3回行った。この工程を繰り返すことで、銀粒子を被覆している有機物も取り除くことが可能で、平均粒径が100nm以下の銀粒子の凝集を進め、平均粒径が100nm以上の凝集体を作製することが出来る。これは銀表面を被覆している有機物はその炭素数が少なくなると、粒子間距離が小さくなり、銀粒子同士が接触しやすくなること、また、揮発温度も低下するために銀粒子表面から外れやすくなることから炭素数が多い場合と比較すると凝集しやすくなるためである。さらに、得られた銀粒子を湯浴の温度を40℃程度にしたエバポレーターで有機溶媒を蒸発させた後、2.5gの粉末を得た。溶液状態から粉末状態にすることで、より凝集を進めることが可能となる。その後、トルエン溶液に再分散させ、ヘキシルアミンで表面を被覆された銀粒子が分散した溶液を得た。実施例2では、オクチルアミンを有機物として用いて実施例1と同様の工程を行いトルエン溶液に分散した銀粒子溶液を得た。一方、比較例1と2でも、それぞれデシルアミンとラウリルアミンを有機物として用いて実施例1と同様の工程を得てトルエン溶液に分散した銀粒子溶液を得た。このようにして得られた実施例1,2及び比較例1,2の粒子に対して粒度分布測定を行った結果が表1のものである。これら4種類の金属粒子が分散したトルエン溶液は表1のような粒径分布を有し、図1に示したような熱分解特性を有する有機物を表面に被覆した銀粒子溶液である。
【0042】
【表1】
【0043】
次に、これら銀粒子をトルエンに分散させたペースト材料を用いて接合した後、せん断強度試験を行った。用いた試験片は銅製であり、大きさは上側が直径5mm,厚さ2mmで下側が直径10mm、厚さ5mmのものを用いた。この試験片に上記ペースト材料を塗布した後、60℃で5分間乾燥を行い、トルエン溶液を飛ばした後、接合を行った。接合時の温度条件を250,300,350,400℃とした。接合時間は2分30秒にて行った。加圧の大きさは2.5MPa として実験を行った。次に、上記接合法により得られた試料を用い、純粋せん断応力下での接合部強度を測定した。せん断試験には西進商事製ボンドテスターSS−100KP(最大荷重100kg)を用いた。せん断速度は30mm/min とし、試験片をせん断ツールで破断させ、破断時の最大荷重を測定した。この最大荷重を接合面積で割り、せん断強度とした。図2に接合における温度条件を250,300,350,400℃と変化させた場合に得られた結果を示す。ラウリルアミンのせん断強度を100%とし、それに対する、デシルアミン,オクチルアミン,ヘキシルアミンのせん断強度を示した。また、図3に銀粒子表面を被覆する有機物の炭素数に対するせん断強度の変化を示す。このように、銀粒子を被覆している有機物の炭素数が減少すると共に、また、体積基準とした粒度分布において100nm以上においてもピークを有するようになると接合強度が大きく増加する。これは、炭素数が以下になり銀粒子の凝集を進ませた接合材料を用いると接合後の焼結層中における残渣が減少し、接合強度が増加し始める効果が出始め、炭素数が6程度なると、十分な焼結が進み強固な接合が達成されるようになる。
【0044】
(実施例3)
図4は本発明の実施例の一つである非絶縁型半導体装置の構造を示した図である。図4(a)は上面図、図4(b)は図4(a)A−A′部の断面図である。半導体素子
(MOSFET)301をセラミックス絶縁基板302上に、セラミックス絶縁基板302をベース材303上にそれぞれ搭載した後、エポキシ系樹脂ケース304,ボンディングワイヤ305,エポキシ系樹脂ふた306を設け、同一ケース内にシリコーンゲル樹脂
307を充填した。ここで、ベース材303上のセラミックス絶縁基板302は実施例1の平均粒径100μm以下の銀粒子表面がヘキシルアミンで被覆され、体積基準における粒度分布において100nm以下では7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では0.3437μm に粒径のピークを有し、これらをトルエンに対して80
wt%の濃度で分散されたペースト材で構成された接合層308で接合され、セラミックス絶縁基板302の銅板302a上には8個のSiからなるMOSFET素子301も上記ペースト材で構成された接合層309で接合されている。上記ペースト材で構成された接合層308及び309による接合は、先ず、セラミックス絶縁基板302の銅板302a
(Niめっきが施されている)上、及びベース材303上に上記ペースト材を銅板302a(Niめっきが施されている)上とベース材303上にそれぞれ塗布する。
【0045】
これらのペースト材の接合層上に半導体素子301、及びセラミックス絶縁基板302を配置させ接続する。このとき300℃程度において5分間、加圧力0.5MPa の下で加熱を行う。
【0046】
各素子301に形成されたゲート電極,エミッタ電極等と、絶縁基板上に形成した電極302a,302bエポキシ系樹脂ケース304にあらかじめ取り付けられている端子
310の間は、直径300μmのAl線からなるボンディングワイヤ305を用い超音波接合法によりワイヤボンディングした。311は温度検出用サーミスタ素子で、上記ペースト材で構成された接合層309で構成され、電極302と端子310との間を直径300μmのAl線からなるボンディングワイヤ305でワイヤボンディングし外部へ連絡されている。
【0047】
なお、エポキシ系樹脂ケース304とベース材303の間はシリコーン接着樹脂(図示せず)を用いて固定した。エポキシ系樹脂ふた306の内厚部には凹み306′、端子
310には穴310′がそれぞれ設けられ、絶縁型半導体装置1000を外部回路と接続するためのネジ(図示せず)が装着されるようになっている。端子310はあらかじめ所定形状に打抜き、成形された銅板にNiめっきを施したものであり、エポキシ系樹脂ケース304に取り付けられている。
【0048】
図5は図4に示した本発明絶縁型半導体装置のサブアッセンブリ部を示した図で、セラミックス基板と半導体素子をベース材303としての複合材に搭載した。ベース材には周辺部に取付け穴303Aが設けられている。ベース材はCuで構成されており、表面に
Niめっきが施してある。ベース材303上には前記実施例1の平均粒径100μm以下の銀粒子表面がヘキシルアミンで被覆され、体積基準における粒度分布において100
nm以下では7.6nmと15.2nm に粒径のピークを、100nm以上では0.344μmに粒径のピークを有し、これらをトルエンに対して80wt%の濃度で分散されたペースト層によりセラミックス絶縁基板302を、そしてセラミックス絶縁基板302上にも上記ペースト材による層によりMOSFET素子301がそれぞれ搭載されている。
【0049】
図6は図5におけるMOSFET素子搭載部の接合前の断面の拡大概略図である。図6に示すように、実施例1の接合用材料をトルエン溶液に対して80wt%の濃度で分散させたペースト材を用いることが可能である。また上記ペースト材の塗布時の溶液流れ防止のために、ベース材303上にはセラミックス絶縁基板302搭載領域に対応するように撥水膜322が施されている。さらに、セラミックス絶縁基板302上には、半導体素子301の搭載領域に対応するように撥水膜321が施されており、上記ペースト塗布時の溶液流れ防止を図っている。
【0050】
(実施例4)
図7は本発明を用いた非絶縁型半導体装置における他の実施例の一つを示した図である。
【0051】
半導体素子701およびセラミックス絶縁基板703は前記実施例3と同様に実施例1のヘキシルアミンで表面を被覆された平均粒径100μm以下の銀粒子にて、体積基準における粒度分布が100nm以下で7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100
nm以上では2.75μm に粒径のピークを有する銀粒子を80wt%の濃度でトルエンに分散したペースト材により接合されている。半導体素子のエミッタ電極も接合端子731を介しセラミックス絶縁基板上に形成された表面AuおよびNiめっきを施した銅配線
702bも上記ペースト材粒子による接合層を介して接続されている。
【0052】
図8は図7における半導体素子搭載部分の接合前の断面拡大概略図である。接続用端子731は銅板にNiめっきを施しさらにその表面に金めっきを行ったものを使用し、絶縁基板の配線702a上に半導体素子701を搭載した後、上記ペースト材(710)を半導体素子のエミッタ電極(上側)に塗布する。さらに、絶縁基板702上に形成した銅配線パターンで表面にNiめっき処理を行い、さらに半導体素子のエミッタ電極と端子731を介して接続する部分にAuめっき処理を行った配線702bのAuめっき部分に上記ペースト材料を塗布した後(709)、接続用端子731をこのペースト材の電極上部に搭載し250℃程度の熱を1.0MPa の加圧の下で5分間加えることにより半導体素子
701と絶縁基板配線702bとの接続が完了する。絶縁型半導体装置においてはコレクタ電極だけではなくエミッタ電極部分にも大きな電流が流れるため、配線幅の大きい接続端子731を用いることによりエミッタ電極側の接続信頼性をさらに向上させることが可能になる。
【0053】
(実施例5)
図9は実施例3と同様の非絶縁型半導体装置の構造を示した図である。本実施例では、実施例3のボンディングワイヤ305にかえてクリップ状の接続端子505を用いた。
【0054】
各素子301に形成されたゲート電極,エミッタ電極等と、絶縁基板上に形成した電極302a,302bエポキシ系樹脂ケース304にあらかじめ取り付けられている端子
310の間は、クリップ状の接続端子505を用いて実施例1のヘキシルアミンで表面を被覆された平均粒径100μm以下の銀粒子にて、体積基準における粒度分布で100
nm以下で7.6nmと15.2nm に粒径のピークを、100nm以上では2.75μmに粒径のピークを有する銀粒子を80wt%の濃度でトルエンに分散したペースト材の上に置き、上記クリップ状端子505に対して、0.5MPa程度の荷重を掛けながら250℃において2分間加熱を行うことにより接続を行っている。
【0055】
(実施例6)
本実施例ではセルラー電話機等の送信部に用いる高周波電力増幅装置としての絶縁型半導体装置について説明する。
【0056】
本実施例絶縁型半導体装置(サイズ10.5mm×4mm×1.3mm)は以下の構成からなる。図10は本実施例絶縁型半導体装置の断面模式図である。ここでは、支持部材100としての多層ガラスセラミックス基板(サイズ10.5mm×4mm×0.5mm,3層配線,熱膨張率6.2ppm/℃ ,熱伝導率2.5W/m.K,曲げ強度0.25GPa,ヤング率110Gpa,誘電率5.6 (1MHz))上に、MOSFET素子(サイズ2.4mm×1.8mm×0.24mm)1,チップ抵抗(約7ppm/℃)101,チップコンデンサ(約11.5ppm/℃)102を含むチップ部品が搭載されている。MOSFET素子1と多層ガラスセラミックス基板100の間には、例えばCu−Cu2O 複合材からなる中間金属部材103が装備されている。多層ガラスセラミックス基板100の内部には厚膜内層配線層(Ag−1wt%Pt、厚さ15μm)、多層配線間の電気的連絡のための厚膜スルーホール導体(Ag−1wt%Pt、直径140μm)、放熱路のための厚膜サーマルビア(Ag−1wt%Pt、直径140μm)が設けられている。また、多層ガラスセラミックス基板
100の一方の主面上に厚膜配線パターン(Ag−1wt%Pt、厚さ15μm)104が設けられ、この厚膜配線パターン104上にはチップ抵抗101,チップコンデンサ
102を含むチップ部品が実施例2の平均粒径100μm以下の銀粒子表面がオクチルアミンで被覆され、体積基準における粒度分布において100nm以下では7.6nmと
15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では2.75μmに粒径のピークを有し、これらをトルエンに対して80wt%の濃度で分散されたペースト材を厚膜配線パターン上に塗布し、チップ部品に対して0.5MPa の荷重を300℃において5分間加えることにより、焼結銀層105により導電的に固着されている。MOSFET素子(Si、
3.5ppm/℃)1は、多層ガラスセラミックス基板100の一方の主面に設けた凹みの部分に中間金属部材103を介して搭載される。搭載は10のマイナス3乗の真空中で行った。中間金属部材103のサイズは2.8mm×2.2mm×0.2mmである。ここで、MOSFET素子1と中間金属部材103を接続する焼結銀層105や、中間金属部材103と多層ガラスセラミックス基板100を接続する接合層106は、いずれも上記実施例2の接合材料をトルエンに対して80wt%の濃度で分散させた接合材料を用いて接合された層である。MOSFET素子1と厚膜配線パターン104の所定部間には、Cuからなるクリップ型の接続端子107も上記接合材料を用いて接合されている。このとき、クリップには0.1MPa の荷重を300℃において2分間加えることにより接合を行った。多層ガラスセラミックス基板100の他方の主面には、厚膜外部電極層104′(Ag−1wt%Pt、厚さ15μm)が設けられている。厚膜外部電極層104′は多層ガラスセラミックス基板100の内部に設けられた内部配線層やスルーホール配線を中継して厚膜配線パターン104と電気的に接続されている。多層ガラスセラミックス基板100の一方の主面側にはエポキシ樹脂層108が設けられ、これにより搭載チップ部品等は封止されている。
【0057】
(実施例7)
本発明ではミニモールド型トランジスタ用のリードフレームとして複合材を適用した非絶縁型半導体装置について説明する。
【0058】
図11は本実施例ミニモールド型非絶縁型半導体装置の断面模式図である。半導体素子1としてのSiからなるトランジスタ素子(サイズ1mm×1mm×0.3mm )は、例えば
Cu−Cu2O複合材からなるリードフレーム(厚さ0.3mm)600に実施例1のヘキシルアミンで表面を被覆された平均粒径100μm以下の銀粒子にて、体積基準における粒度分布で100nm以下で7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では2.75μm に粒径のピークを有する銀粒子を80wt%の濃度でトルエンに分散したペースト材で構成された接合層を塗布した後、300℃において1.0MPa の荷重の下、2分間加熱を行うことにより、焼結銀層601により接合されている。トランジスタ素子1のコレクタは上記接合用材料を用いて接合された側に配置されている。エミッタ及びベースは上記接合材料により接合された側と反対側に設けられ、トランジスタ素子1から引出されたクリップ形状の端子602によりリードフレーム600に上記接合用材料を塗布し、クリップ形状の端子に1.0MPa の荷重を250℃において2分間加えることにより接合されている。また、トランジスタ素子1の搭載とクリップ形状の端子602が施された主要部は、トランスファモールドによってエポキシ樹脂603で覆われている。リードフレーム600はエポキシ樹脂603によるモールドが完了した段階で切り離され、それぞれ独立した端子としての機能が付与される。
【0059】
(実施例8)
LEDを基板に実装する際に本発明の接合用材料を用いて接合を行うことで、従来の半田や熱伝導性接着材よりも放熱性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】各アルキルアミンの熱重量測定。
【図2】各アルキルアミンを金属粒子表面を被覆する有機物として用いた場合のせん断強度。
【図3】金属粒子を被覆している有機物の炭素数とせん断強度の関係。
【図4】本発明の実施例の一つである非絶縁型半導体装置の構造を示した図。
【図5】本発明絶縁型半導体装置のサブアッセンブリ部を示した図。
【図6】半導体素子と基板接合部の拡大概略図。
【図7】非絶縁型半導体装置のサブアッセンブリ部の他の実施例構造を示した図。
【図8】半導体素子と基板接合部の拡大概略図。
【図9】本発明の実施例の一つである非絶縁型半導体装置の構造を示した図。ワイヤボンディングの代わりにクリップ形状の端子を本発明の接合材料を用いて接合を行った場合の図。
【図10】本実施例絶縁型半導体装置の断面模式図。
【図11】本実施例ミニモールド型非絶縁型半導体装置の断面模式図。
【符号の説明】
【0061】
301,401 半導体素子
302,402 セラミックス絶縁基板
302a,302b 銅板(電極)
303,403 ベース材
304 エポキシ系樹脂ケース
305 ボンディングワイヤ
306 エポキシ系樹脂ふた
307 シリコーンゲル樹脂
308,309 接合層
310 端子
311 温度検出用サーミスタ素子
402a,402b 配線
431 接合端子
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体モジュールなどの電子部品を電気的に接続するための接合材料及びその接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インバータ等に用いられるパワー半導体装置の一つである非絶縁型半導体装置において、半導体チップを固定する部材は半導体装置の電極の一つでもあるため、この電極部は半導体装置稼動時には数アンペア以上の電流が流れ半導体チップが発熱する。近年、これら半導体装置に用いられる電流容量が増大していることから、この半導体チップ搭載部、すなわちダイボンディング部における発熱量も増加している。
【0003】
この発熱に起因する特性の不安定化や寿命の低下を避けて半導体チップを安定に動作させるためには、半導体チップ搭載部における、はんだ付け部の放熱性,長期信頼性(耐熱性)が確保できていなければならない。従って、高放熱性及び耐熱性に優れた接合材料が必要となってくる。
【0004】
一方、絶縁型半導体装置においても、半導体素子を安全かつ安定に動作させるためには、半導体装置の動作時に発生する熱を半導体装置の外へ効率良く放散させ、さらにはんだ付け部の接続信頼性を確保する必要がある。
【0005】
特許文献1では有機物で表面が被覆された平均粒径が100nm程度以下の金属粒子を用い、加熱と加圧を同時に行うことで金属表面を被覆している有機物を分解させて、金属粒子同士の焼結を起こす現象を用いた接合方法が開示されている。本技術においては、接合後の金属粒子はバルク金属へと変化すると同時に接合界面で金属結合による接合が行われているため、樹脂を用いた接着と比較すると非常に高い耐熱性と信頼性及び放熱性を有している。また、特許文献2では平均粒径が100nm以下の金属粒子を用いた接合において、平均粒径が100nm以下の金属粒子と1〜100μmの粒径の金属粒子を混合させて接合に用いることで接合層の厚みを確保することが開示されている。
【0006】
また、現在はんだの鉛フリー対応が迫られているが、高温はんだに関してはその代替となる材料が出ていない。実装においては階層はんだを用いることが必要不可欠なため、この高温はんだに代わる材料の出現が望まれている。従って平均粒径が100nm以下の金属粒子を用いた接合技術はこの高温はんだに代わる材料としても期待されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−107728号公報
【特許文献2】特開2005−136375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2等に記載の平均粒径が100nm以下の金属粒子を用いた接合技術では、上述の通り、接合界面では金属結合による接合が行われていることから、高い耐熱性と信頼性及び高放熱性を有する。その反面、平均粒径が100nm以下と非常に微細な金属粒子は凝集を起こしやすく、このような金属粒子は安定化させるために有機物の保護膜を形成する必要がある。従来はこの金属粒子を安定化させるためにより安定性の高い有機物、例えば長鎖のアルキルカルボン酸を金属粒子の被覆材料として用いられている。この有機物の保護膜は接合時には除去する必要があるが、低温での加熱では保護膜を完全に除去することが難しく十分な接合強度を得ることが困難となる。従って、十分な接合強度を得るためには加熱温度を高くする、あるいは長時間の加熱が必要であった。しかしながら、接合プロセスにおいては周囲の電子部品への損傷等から接合中における加熱温度の低温化,加熱時間の短縮化が必要である。従来、平均粒径が100nm以下の金属粒子を用いた接合技術においては、接合プロセスの加熱温度の低温化,加熱時間の短縮化については十分な検討がなされていない。
【0009】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、実装プロセス中の接合過程において低温接合化を達成できる接合材料及び接合プロセスを提供すると共に、高温環境下においても、長期信頼性を損なうことがない半導体パッケージを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径100μm以下の金属粒子を有し、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する接合用材料を特徴とする。
【0011】
また、平均粒径が1nm以上100nm以下の金属粒子と、前記金属粒子が凝集した凝集体とを有し、前記凝集体の粒径が10nm以上100μm以下である接合用材料を特徴とする。
【0012】
また、電子部品の電極と配線基板の回路配線とを電気的に接合する接合方法において、炭素数が2以上8以下の有機物で被覆され、体積基準における粒度分布で100nm以下及び100nmから100μm以下にそれぞれ1つ以上のピークを有する平均粒径100μm以下の金属粒子を含む接合用材料を、前記回路配線上の前記電極との接合面に塗布し、前記溶液が塗布された回路配線上に電子部品を搭載した後、加熱及び加圧により電子部品の電極と配線基板の回路配線とを接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、実装プロセス中の接合過程において低温接合化を達成できる接合材料及び接合プロセス、並びに、高温環境下においても、長期信頼性を損なうことがない半導体パッケージを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0015】
本発明では、接合中における加熱と加圧時に100nm以下の金属粒子の焼結が起こり、バルクな金属に変化するという現象を用いた接合技術を対象としている。本発明の接合用材料は、炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径100μm以下の金属粒子を有し、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有することを特徴とする。
【0016】
本発明では、金属粒子を被覆する有機物の炭素数を2以上8以下としている。図1に、炭素数6個からなるヘキシルアミン、炭素数8からなるオクチルアミン、炭素数10からなるデシルアミン、及び、炭素数12からなるラウリルアミンのそれぞれの有機物について、熱重量測定による加熱温度と残留重量の関係を示す。図1から、炭素数が小さくなるに伴い、熱重量減少温度が低下していることが分かる。このように炭素数の少ない短鎖の有機物とすることで、有機物の分解温度を低下させることができる。従って、炭素数が2以上8以下の短鎖の有機物で金属粒子を被覆することによって、接合時における有機物の分解,除去をより低温で行うことができ、接合温度の低温化を図ることが可能となる。ここで、炭素数が2よりも小さくなると室温で金属粒子の凝集が進行してしまい金属粒子を安定な状態で被覆することが困難となる。また、炭素数が8よりも大きくなると、有機物の分解温度が高くなり、接合時に金属粒子の焼結を阻害する働きをするようになり、接合強度が減少するため好ましくない。従って、本発明では、金属粒子を被覆する有機物の炭素数を2以上8以下とすることが好ましい。
【0017】
この金属粒子を被覆する有機物は、接合後には金属粒子の焼結を阻害する成分となるため、接合後の接合層には有機物の残渣を可能な限りなくすことが必要である。そのため、短時間、低温の接合条件下でも有機物を分解,除去できるように有機物の量はより少なくすることが重要である。本発明者らは、炭素数2以上8以下の有機物で被覆した金属粒子を用いた接合材料について検討した結果、接合用材料としての安定性、接合後の有機物の残渣量、接合強度の観点から、金属粒子の粒径は接合に直接寄与する100nm以下のみを用いるのではなく、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する金属粒子とすることが好ましいことを見出した。ここで、100nmから100μm以下の金属粒子も有機物で被覆されていることが好ましい。これは、表面が有機物で被覆されていない平均粒径が100nmから
100μm以下の金属粒子を混ぜた場合よりも、有機溶媒中において平均粒径が100
nm以下の表面が有機物で被覆された金属粒子との分散性がよくなるためである。また、平均粒径が100nmから100μm以下の金属粒子としては、表面が有機物で被覆された平均粒径が100nm以下の金属粒子を凝集させたものとしても良い。この場合、平均粒径が100nm以下の金属粒子を被覆する有機物と、平均粒径が100nmから100μm以下の金属粒子を被覆する有機物とが同種の材料となるため、より有機溶媒中での分散性を向上することができる。ここで、金属粒子の凝集体の形状としては、球状,楕円状,三角,四角、などをはじめ金属粒子同士がランダムに融合するためにさまざまな形状を取ることが可能であり、その形状は上記に限定されることはない。ここで、平均粒径が1以上100nm以下の金属粒子が凝集した凝集体の粒径としては、10nm以上100
μm以下であることがよい。
【0018】
このように、粒径100nm以下と100nm以上に粒径のピークを持たせた金属粒子を用いることにより、接合強度を向上させることが可能となる。接合強度が向上するメカニズムの詳細は不明であるが、接合材料中に含まれる100nm以下の金属粒子が100nm以上の金属粒子同士の隙間を埋めて、これらが低温で焼結を起こすことにより、100nm以上の粒子同士の焼結を補助するためであると考えられる。また、粒径が100nm以下の金属粒子のみを用いるよりも、粒径100nm以下と100nm以上に粒径のピークを持つ金属粒子とすることで、接合用材料に含まれる有機物の含有量が少なくなり、より広域において焼結が進んだ結果、接合後の残渣が少なくなることで高い接合強度が得られるようになるためと考えられる。
【0019】
粒径100nm以下と100nm以上に粒径のピークを持つ金属粒子の粒径の割合としては、重量wt%において、粒径100nm以下の粒子の割合が、用いる平均粒径が100μm以下の金属粒子中の重量wt%において、0.1 より大きく、100より小さい範囲とする。粒径100nm以下の粒子の含有量がこれ以下になると、100nm以上の粒子の隙間を埋めるのに十分な量の粒子が接合材料中になくなり、十分な焼結層が得られず、その結果、接合強度も低下してしまうからである。
【0020】
本発明の接合用材料に用いる平均粒径100μm以下の金属粒子としては、金,銀,銅,白金,パラジウム,ロジウム,オスミウム,ルテニウム,イリジウム,鉄,錫,亜鉛,コバルト,ニッケル,クロム,チタン,タンタル,タングステン,インジウム,ケイ素,アルミニウム等の中から少なくとも1種類の金属あるいは2種類以上の金属からなる合金を用いることが可能であるが、特にAuまたはAu合金からなるもの、あるいはAgまたはAg合金からなるものをそれぞれ単独あるいは2種類以上混合して用いることが好ましい。さらに、平均粒径が1以上100μmの金属粒子としては、AuまたはAu合金からなるもの、あるいはAgまたはAg合金からなるものや、ニッケル粒子をコアとし表面にAuまたはAu合金、あるいはAgまたはAg合金をめっきしたもの、または銅のコア粒子表面にニッケルめっきを施しさらにその表層にAuまたはAu合金、あるいはAgまたはAg合金をめっきしたものを用いることができる。
【0021】
本発明の金属粒子を被覆する炭素数が2以上8以下の有機物としては、金属元素と配位可能な基として酸素,窒素,硫黄原子を含み、このような具体的な例としては、窒素原子を含むアミノ基,酸素原子を含むアルコール基,カルボキシル基,硫黄基を含むスルファニル基などがあげられ、その他にもカルボニル基,アルデヒド基などがあげられる。
【0022】
利用可能なアミノ基を含む化合物としてアルキルアミンを挙げることができる。例えば、ブチルアミン,ペンチルアミン,ヘキシルアミン,ヘプチルアミン,オクチルアミンがある。また、アミノ基を有する化合物としては分岐構造を有していてもよく、そのような例としては、2−エチルヘキシルアミン、1,5−ジメチルヘキシルアミンなどがある。また、1級アミン型に限らず、2級アミン型,3級アミン型を用いることも可能である。さらにこのような有機物としては環状の形状を有していてもよい。
【0023】
また、利用可能なカルボキシル基を含む化合物としてアルキルカルボン酸がある。具体例としては、ブタン酸,ペンタン酸,ヘキサン酸,ヘプタン酸,オクタン酸が挙げられる。また、上記アミノ基と同様に1級カルボン酸型に限らず、2級カルボン酸型,3級カルボン酸型、及びジカルボン酸,環状型の構造を有するカルボキシル化合物を用いることが可能である。
【0024】
また、利用可能なアルコール基を含む化合物としては、アルキルアルコールが挙げられ、例えばエタノール,プロピルアルコール,ブチルアルコール,ペンチルアルコール,ヘキシルアルコール,ヘプチルアルコール,オクチルアルコールがある。さらには1級アルコール型に限らず、2級アルコール型,3級アルコール型、及びアルカンジオール、環状型の構造を有するアルコール化合物を用いることが可能である。それ以外にもクエン酸,アスコルビン酸など4つのアルコール基を有する化合物を用いてもよい。
【0025】
さらに、利用可能なスルファニル基を含む化合物としてはアルキルチオールが挙げられ、例えば1−エチルチオール、1−プロピルチオール、1−ブチルチオール、1−ペンチルチオール、1−ヘキシルチオール、1−ヘプチルチオール、1−オクチルチオールがある。さらには2級チオール型,3級チオール型,環状型の化合物も可能である。
【0026】
上記4種類以外にも有機物の炭素数が2から8の間であれば、カルボニル基,アルデヒド基,エステル基を含む化合物を保護膜として用いてもよい。また、金属粒子を被覆している有機物はこれらから1種類のみを用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0027】
本発明の接合用材料は、表面が有機物で被覆された金属粒子を有機溶媒中に分散させてペースト材料として用いることも可能である。このような溶媒としては、メタノール,エタノール,オクチルアルコール,エチレングリコール,トリエチレングリコール、α−テルピネオールなどのアルコール類、また、ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカン,ドデカン,シクロペンタン,シクロヘキサン,シクロオクタン,ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼン,水、などを用いることが出来る。
【0028】
炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径100μm以下の金属粒子を有し、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する接合用材料は平均粒径100nm以下の金属粒子を凝集させることにより作製することができる。平均粒径100nm以下の金属粒子は公知の手法により作製することが可能であり、これらの方法では平均粒径100nm以下の金属粒子は溶液中において合成される。このような合成法にて得られた炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径が100nm以下の金属粒子はエバポレーターなどで溶媒を蒸発させることで、前記金属粒子の凝集が起こり、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する接合用材料を作製することが出来る。
【0029】
また、平均粒径100nm以下の粒子を凝集させて粒径に分布を持たせるには、金属粒子表面を被覆する有機物を炭素数が2以上8以下の不安定な有機物にして溶媒を蒸発させて凝集させる方法以外にも、加熱処理を行ったり、有機溶媒で金属表面の有機物を洗い流したり、紫外線照射することで有機物を揮発させ凝集させる方法があるが、平均粒径が
100nm以下の金属微粒子を予め凝集させておく方法はこれに限定されることはない。
【0030】
これら接合用材料には鱗片状の銀と熱硬化性樹脂からなる樹脂を混ぜて用いてもよい。このときに用いられる熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂,ポリイミド樹脂等が挙げられるが、本発明においては特にこれらに限定されるものではない。この際、金属結合による強固な接合を達成するためには、金属粒子の含有量が接合用材料中における全質量部において50を超えて99以下とすることが好ましい。
【0031】
次に、本発明の接合用材料を用いた接合方法について説明する。
【0032】
電子部品の電極と配線基板の回路配線とを結合する方法において、上述の接合用材料を回路配線上の電極との接合面に塗布し、接合用材料が塗布された回路配線上に電子部品を搭載した後、加熱加圧をすることで電子部品の電極と配線基板の回路配線とを接合することができる。
【0033】
このときの加熱温度は40℃以上で400℃以下とすることが好ましい。加熱温度を
40℃以上としたのは、それより下の温度では金属粒子表面を被覆している有機物を飛ばすのに、あまりにも時間がかかりすぎてしまうためである。また、加熱と加圧を加える時間は60分以下とした。加熱と加圧時間を60分以上とすると、一つの製品を作製するのにあまりにも多くの時間がかかり、大量生産を行うことが難しくなるからである。
【0034】
また、接合用材料をペースト材として用いる場合には、インクジェット法により微細なノズルからペーストを噴出させて基板上の電極あるいは電子部品の接続部に塗布する方法や、あるいは塗布部分を開口したメタルマスクやメッシュ状マスクを用いて必要部分にのみ塗布を行う方法,ディスペンサを用いて必要部分に塗布する方法,シリコーンやフッ素等を含む撥水性の樹脂を必要な部分のみ開口したメタルマスクやメッシュ状マスクで塗布したり、感光性のある撥水性樹脂を基板あるいは電子部品上に塗布し、露光および現像することにより前記微細粒子等からなるペーストを塗布する部分を除去し、その後接合用ペーストをその開口部に塗布する方法や、さらには撥水性樹脂を基板あるいは電子部品に塗布後、前記金属粒子からなるペースト塗布部分をレーザーにより除去し、その後接合用ペーストをその開口部に塗布する方法がある。これらの塗布方法は、接合する電極の面積,形状に応じて組み合わせ可能である。
【0035】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0036】
(実施例1〜2,比較例1〜2)
実施例1ではヘキシルアミンを、実施例2ではオクチルアミンを、比較例1ではデシルアミンを、比較例2ではラウリルアミンを表面に被覆した銀粒子を用いた。
【0037】
実施例1の有機物としてヘキシルアミンを用いた銀粒子は、体積基準における粒度分布において100nm以下では7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では0.3437μm に粒径のピークを有している。実施例2の有機物としてオクチルアミンを用いた銀粒子は、100nm以下では7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では2.75μm に粒径のピークを有している。比較例1の有機物としてデシルアミンを用いた銀粒子は、100nm以下においてのみ、7.6nmと15.2nmに粒径のピークを有している。比較例2の有機物としてラウリルアミンを用いた銀粒子は、100nm以下において18.1nmにおいてのみ粒径のピークを有している。
【0038】
上記4種類の銀粒子はトルエン溶液に分散させて粒度分布測定を行ったものである。粒度分布測定に日機装株式会社製マイクロトラック超微粒子粒度分析計 9340−UPA150を用いた。測定は三回行い、その平均値を得た。
【0039】
一方、銀粒子表面を被覆する有機物として用いたヘキシルアミン,オクチルアミン,デシルアミン,ラウリルアミンの4種類の有機物について熱重量測定を行った。熱重量測定にはSeiko Instruments 製TG/DTA6200を用いた。このとき昇温速度を10℃/min とし、大気中で測定を行った。
【0040】
図1に示すように実施例1の炭素数6個からなるヘキシルアミン、実施例2の炭素数8からなるオクチルアミンは比較例1の炭素数10からなるデシルアミン、比較例2の炭素数12からなるラウリルアミンと比較すると熱重量減少温度が低下する。これより、炭素数の少ない有機物を用いると、金属粒子の焼結温度も低下する。
【0041】
実施例1のヘキシルアミンを表面に被覆した平均粒径100μm以下の銀粒子は、200mLのトルエン溶液中に硝酸銀4.0g と5gのヘキシルアミンを加えて攪拌し、その中にアスコルビン酸4gを混合させ、その後1時間半ほど攪拌を続けることで表面がヘキシルアミンで被覆された平均粒径100nm以下の銀粒子を作製した。その後、定量濾紙
(No5C)を用いてろ過を行い、未反応の硝酸銀,アスコルビン酸の除去を行った。さらに、ろ過をして得られた、表面がヘキシルアミンで被覆された平均粒径100nm以下の銀粒子を有するトルエン溶液に約200mLのアセトン溶液を加え、上記銀粒子を沈殿させて上澄み液を取り除き、銀粒子に被覆していない過剰なヘキシルアミン及び合成時に出来た副生成物を取り除くことで、精製を行った。この工程を全部で3回行った。この工程を繰り返すことで、銀粒子を被覆している有機物も取り除くことが可能で、平均粒径が100nm以下の銀粒子の凝集を進め、平均粒径が100nm以上の凝集体を作製することが出来る。これは銀表面を被覆している有機物はその炭素数が少なくなると、粒子間距離が小さくなり、銀粒子同士が接触しやすくなること、また、揮発温度も低下するために銀粒子表面から外れやすくなることから炭素数が多い場合と比較すると凝集しやすくなるためである。さらに、得られた銀粒子を湯浴の温度を40℃程度にしたエバポレーターで有機溶媒を蒸発させた後、2.5gの粉末を得た。溶液状態から粉末状態にすることで、より凝集を進めることが可能となる。その後、トルエン溶液に再分散させ、ヘキシルアミンで表面を被覆された銀粒子が分散した溶液を得た。実施例2では、オクチルアミンを有機物として用いて実施例1と同様の工程を行いトルエン溶液に分散した銀粒子溶液を得た。一方、比較例1と2でも、それぞれデシルアミンとラウリルアミンを有機物として用いて実施例1と同様の工程を得てトルエン溶液に分散した銀粒子溶液を得た。このようにして得られた実施例1,2及び比較例1,2の粒子に対して粒度分布測定を行った結果が表1のものである。これら4種類の金属粒子が分散したトルエン溶液は表1のような粒径分布を有し、図1に示したような熱分解特性を有する有機物を表面に被覆した銀粒子溶液である。
【0042】
【表1】
【0043】
次に、これら銀粒子をトルエンに分散させたペースト材料を用いて接合した後、せん断強度試験を行った。用いた試験片は銅製であり、大きさは上側が直径5mm,厚さ2mmで下側が直径10mm、厚さ5mmのものを用いた。この試験片に上記ペースト材料を塗布した後、60℃で5分間乾燥を行い、トルエン溶液を飛ばした後、接合を行った。接合時の温度条件を250,300,350,400℃とした。接合時間は2分30秒にて行った。加圧の大きさは2.5MPa として実験を行った。次に、上記接合法により得られた試料を用い、純粋せん断応力下での接合部強度を測定した。せん断試験には西進商事製ボンドテスターSS−100KP(最大荷重100kg)を用いた。せん断速度は30mm/min とし、試験片をせん断ツールで破断させ、破断時の最大荷重を測定した。この最大荷重を接合面積で割り、せん断強度とした。図2に接合における温度条件を250,300,350,400℃と変化させた場合に得られた結果を示す。ラウリルアミンのせん断強度を100%とし、それに対する、デシルアミン,オクチルアミン,ヘキシルアミンのせん断強度を示した。また、図3に銀粒子表面を被覆する有機物の炭素数に対するせん断強度の変化を示す。このように、銀粒子を被覆している有機物の炭素数が減少すると共に、また、体積基準とした粒度分布において100nm以上においてもピークを有するようになると接合強度が大きく増加する。これは、炭素数が以下になり銀粒子の凝集を進ませた接合材料を用いると接合後の焼結層中における残渣が減少し、接合強度が増加し始める効果が出始め、炭素数が6程度なると、十分な焼結が進み強固な接合が達成されるようになる。
【0044】
(実施例3)
図4は本発明の実施例の一つである非絶縁型半導体装置の構造を示した図である。図4(a)は上面図、図4(b)は図4(a)A−A′部の断面図である。半導体素子
(MOSFET)301をセラミックス絶縁基板302上に、セラミックス絶縁基板302をベース材303上にそれぞれ搭載した後、エポキシ系樹脂ケース304,ボンディングワイヤ305,エポキシ系樹脂ふた306を設け、同一ケース内にシリコーンゲル樹脂
307を充填した。ここで、ベース材303上のセラミックス絶縁基板302は実施例1の平均粒径100μm以下の銀粒子表面がヘキシルアミンで被覆され、体積基準における粒度分布において100nm以下では7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では0.3437μm に粒径のピークを有し、これらをトルエンに対して80
wt%の濃度で分散されたペースト材で構成された接合層308で接合され、セラミックス絶縁基板302の銅板302a上には8個のSiからなるMOSFET素子301も上記ペースト材で構成された接合層309で接合されている。上記ペースト材で構成された接合層308及び309による接合は、先ず、セラミックス絶縁基板302の銅板302a
(Niめっきが施されている)上、及びベース材303上に上記ペースト材を銅板302a(Niめっきが施されている)上とベース材303上にそれぞれ塗布する。
【0045】
これらのペースト材の接合層上に半導体素子301、及びセラミックス絶縁基板302を配置させ接続する。このとき300℃程度において5分間、加圧力0.5MPa の下で加熱を行う。
【0046】
各素子301に形成されたゲート電極,エミッタ電極等と、絶縁基板上に形成した電極302a,302bエポキシ系樹脂ケース304にあらかじめ取り付けられている端子
310の間は、直径300μmのAl線からなるボンディングワイヤ305を用い超音波接合法によりワイヤボンディングした。311は温度検出用サーミスタ素子で、上記ペースト材で構成された接合層309で構成され、電極302と端子310との間を直径300μmのAl線からなるボンディングワイヤ305でワイヤボンディングし外部へ連絡されている。
【0047】
なお、エポキシ系樹脂ケース304とベース材303の間はシリコーン接着樹脂(図示せず)を用いて固定した。エポキシ系樹脂ふた306の内厚部には凹み306′、端子
310には穴310′がそれぞれ設けられ、絶縁型半導体装置1000を外部回路と接続するためのネジ(図示せず)が装着されるようになっている。端子310はあらかじめ所定形状に打抜き、成形された銅板にNiめっきを施したものであり、エポキシ系樹脂ケース304に取り付けられている。
【0048】
図5は図4に示した本発明絶縁型半導体装置のサブアッセンブリ部を示した図で、セラミックス基板と半導体素子をベース材303としての複合材に搭載した。ベース材には周辺部に取付け穴303Aが設けられている。ベース材はCuで構成されており、表面に
Niめっきが施してある。ベース材303上には前記実施例1の平均粒径100μm以下の銀粒子表面がヘキシルアミンで被覆され、体積基準における粒度分布において100
nm以下では7.6nmと15.2nm に粒径のピークを、100nm以上では0.344μmに粒径のピークを有し、これらをトルエンに対して80wt%の濃度で分散されたペースト層によりセラミックス絶縁基板302を、そしてセラミックス絶縁基板302上にも上記ペースト材による層によりMOSFET素子301がそれぞれ搭載されている。
【0049】
図6は図5におけるMOSFET素子搭載部の接合前の断面の拡大概略図である。図6に示すように、実施例1の接合用材料をトルエン溶液に対して80wt%の濃度で分散させたペースト材を用いることが可能である。また上記ペースト材の塗布時の溶液流れ防止のために、ベース材303上にはセラミックス絶縁基板302搭載領域に対応するように撥水膜322が施されている。さらに、セラミックス絶縁基板302上には、半導体素子301の搭載領域に対応するように撥水膜321が施されており、上記ペースト塗布時の溶液流れ防止を図っている。
【0050】
(実施例4)
図7は本発明を用いた非絶縁型半導体装置における他の実施例の一つを示した図である。
【0051】
半導体素子701およびセラミックス絶縁基板703は前記実施例3と同様に実施例1のヘキシルアミンで表面を被覆された平均粒径100μm以下の銀粒子にて、体積基準における粒度分布が100nm以下で7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100
nm以上では2.75μm に粒径のピークを有する銀粒子を80wt%の濃度でトルエンに分散したペースト材により接合されている。半導体素子のエミッタ電極も接合端子731を介しセラミックス絶縁基板上に形成された表面AuおよびNiめっきを施した銅配線
702bも上記ペースト材粒子による接合層を介して接続されている。
【0052】
図8は図7における半導体素子搭載部分の接合前の断面拡大概略図である。接続用端子731は銅板にNiめっきを施しさらにその表面に金めっきを行ったものを使用し、絶縁基板の配線702a上に半導体素子701を搭載した後、上記ペースト材(710)を半導体素子のエミッタ電極(上側)に塗布する。さらに、絶縁基板702上に形成した銅配線パターンで表面にNiめっき処理を行い、さらに半導体素子のエミッタ電極と端子731を介して接続する部分にAuめっき処理を行った配線702bのAuめっき部分に上記ペースト材料を塗布した後(709)、接続用端子731をこのペースト材の電極上部に搭載し250℃程度の熱を1.0MPa の加圧の下で5分間加えることにより半導体素子
701と絶縁基板配線702bとの接続が完了する。絶縁型半導体装置においてはコレクタ電極だけではなくエミッタ電極部分にも大きな電流が流れるため、配線幅の大きい接続端子731を用いることによりエミッタ電極側の接続信頼性をさらに向上させることが可能になる。
【0053】
(実施例5)
図9は実施例3と同様の非絶縁型半導体装置の構造を示した図である。本実施例では、実施例3のボンディングワイヤ305にかえてクリップ状の接続端子505を用いた。
【0054】
各素子301に形成されたゲート電極,エミッタ電極等と、絶縁基板上に形成した電極302a,302bエポキシ系樹脂ケース304にあらかじめ取り付けられている端子
310の間は、クリップ状の接続端子505を用いて実施例1のヘキシルアミンで表面を被覆された平均粒径100μm以下の銀粒子にて、体積基準における粒度分布で100
nm以下で7.6nmと15.2nm に粒径のピークを、100nm以上では2.75μmに粒径のピークを有する銀粒子を80wt%の濃度でトルエンに分散したペースト材の上に置き、上記クリップ状端子505に対して、0.5MPa程度の荷重を掛けながら250℃において2分間加熱を行うことにより接続を行っている。
【0055】
(実施例6)
本実施例ではセルラー電話機等の送信部に用いる高周波電力増幅装置としての絶縁型半導体装置について説明する。
【0056】
本実施例絶縁型半導体装置(サイズ10.5mm×4mm×1.3mm)は以下の構成からなる。図10は本実施例絶縁型半導体装置の断面模式図である。ここでは、支持部材100としての多層ガラスセラミックス基板(サイズ10.5mm×4mm×0.5mm,3層配線,熱膨張率6.2ppm/℃ ,熱伝導率2.5W/m.K,曲げ強度0.25GPa,ヤング率110Gpa,誘電率5.6 (1MHz))上に、MOSFET素子(サイズ2.4mm×1.8mm×0.24mm)1,チップ抵抗(約7ppm/℃)101,チップコンデンサ(約11.5ppm/℃)102を含むチップ部品が搭載されている。MOSFET素子1と多層ガラスセラミックス基板100の間には、例えばCu−Cu2O 複合材からなる中間金属部材103が装備されている。多層ガラスセラミックス基板100の内部には厚膜内層配線層(Ag−1wt%Pt、厚さ15μm)、多層配線間の電気的連絡のための厚膜スルーホール導体(Ag−1wt%Pt、直径140μm)、放熱路のための厚膜サーマルビア(Ag−1wt%Pt、直径140μm)が設けられている。また、多層ガラスセラミックス基板
100の一方の主面上に厚膜配線パターン(Ag−1wt%Pt、厚さ15μm)104が設けられ、この厚膜配線パターン104上にはチップ抵抗101,チップコンデンサ
102を含むチップ部品が実施例2の平均粒径100μm以下の銀粒子表面がオクチルアミンで被覆され、体積基準における粒度分布において100nm以下では7.6nmと
15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では2.75μmに粒径のピークを有し、これらをトルエンに対して80wt%の濃度で分散されたペースト材を厚膜配線パターン上に塗布し、チップ部品に対して0.5MPa の荷重を300℃において5分間加えることにより、焼結銀層105により導電的に固着されている。MOSFET素子(Si、
3.5ppm/℃)1は、多層ガラスセラミックス基板100の一方の主面に設けた凹みの部分に中間金属部材103を介して搭載される。搭載は10のマイナス3乗の真空中で行った。中間金属部材103のサイズは2.8mm×2.2mm×0.2mmである。ここで、MOSFET素子1と中間金属部材103を接続する焼結銀層105や、中間金属部材103と多層ガラスセラミックス基板100を接続する接合層106は、いずれも上記実施例2の接合材料をトルエンに対して80wt%の濃度で分散させた接合材料を用いて接合された層である。MOSFET素子1と厚膜配線パターン104の所定部間には、Cuからなるクリップ型の接続端子107も上記接合材料を用いて接合されている。このとき、クリップには0.1MPa の荷重を300℃において2分間加えることにより接合を行った。多層ガラスセラミックス基板100の他方の主面には、厚膜外部電極層104′(Ag−1wt%Pt、厚さ15μm)が設けられている。厚膜外部電極層104′は多層ガラスセラミックス基板100の内部に設けられた内部配線層やスルーホール配線を中継して厚膜配線パターン104と電気的に接続されている。多層ガラスセラミックス基板100の一方の主面側にはエポキシ樹脂層108が設けられ、これにより搭載チップ部品等は封止されている。
【0057】
(実施例7)
本発明ではミニモールド型トランジスタ用のリードフレームとして複合材を適用した非絶縁型半導体装置について説明する。
【0058】
図11は本実施例ミニモールド型非絶縁型半導体装置の断面模式図である。半導体素子1としてのSiからなるトランジスタ素子(サイズ1mm×1mm×0.3mm )は、例えば
Cu−Cu2O複合材からなるリードフレーム(厚さ0.3mm)600に実施例1のヘキシルアミンで表面を被覆された平均粒径100μm以下の銀粒子にて、体積基準における粒度分布で100nm以下で7.6nmと15.2nmに粒径のピークを、100nm以上では2.75μm に粒径のピークを有する銀粒子を80wt%の濃度でトルエンに分散したペースト材で構成された接合層を塗布した後、300℃において1.0MPa の荷重の下、2分間加熱を行うことにより、焼結銀層601により接合されている。トランジスタ素子1のコレクタは上記接合用材料を用いて接合された側に配置されている。エミッタ及びベースは上記接合材料により接合された側と反対側に設けられ、トランジスタ素子1から引出されたクリップ形状の端子602によりリードフレーム600に上記接合用材料を塗布し、クリップ形状の端子に1.0MPa の荷重を250℃において2分間加えることにより接合されている。また、トランジスタ素子1の搭載とクリップ形状の端子602が施された主要部は、トランスファモールドによってエポキシ樹脂603で覆われている。リードフレーム600はエポキシ樹脂603によるモールドが完了した段階で切り離され、それぞれ独立した端子としての機能が付与される。
【0059】
(実施例8)
LEDを基板に実装する際に本発明の接合用材料を用いて接合を行うことで、従来の半田や熱伝導性接着材よりも放熱性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】各アルキルアミンの熱重量測定。
【図2】各アルキルアミンを金属粒子表面を被覆する有機物として用いた場合のせん断強度。
【図3】金属粒子を被覆している有機物の炭素数とせん断強度の関係。
【図4】本発明の実施例の一つである非絶縁型半導体装置の構造を示した図。
【図5】本発明絶縁型半導体装置のサブアッセンブリ部を示した図。
【図6】半導体素子と基板接合部の拡大概略図。
【図7】非絶縁型半導体装置のサブアッセンブリ部の他の実施例構造を示した図。
【図8】半導体素子と基板接合部の拡大概略図。
【図9】本発明の実施例の一つである非絶縁型半導体装置の構造を示した図。ワイヤボンディングの代わりにクリップ形状の端子を本発明の接合材料を用いて接合を行った場合の図。
【図10】本実施例絶縁型半導体装置の断面模式図。
【図11】本実施例ミニモールド型非絶縁型半導体装置の断面模式図。
【符号の説明】
【0061】
301,401 半導体素子
302,402 セラミックス絶縁基板
302a,302b 銅板(電極)
303,403 ベース材
304 エポキシ系樹脂ケース
305 ボンディングワイヤ
306 エポキシ系樹脂ふた
307 シリコーンゲル樹脂
308,309 接合層
310 端子
311 温度検出用サーミスタ素子
402a,402b 配線
431 接合端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径100μm以下の金属粒子を有し、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する接合用材料。
【請求項2】
前記金属粒子は金,銀,銅からなることを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項3】
前記有機物が、酸素,窒素,硫黄原子を含むことを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項4】
前記有機物が、アルコール基,アミノ基,カルボキシル基,カルボニル基,アルデヒド基,スルファニル基のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項5】
粒径100nm以下の粒子の割合が前記金属粒子中の重量wt%において、0.001 より大きく100より小さいことを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項6】
前記金属粒子が有機溶媒中に分散されていることを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項7】
平均粒径が1nm以上100nm以下の金属粒子と、前記金属粒子が凝集した凝集体とを有し、前記凝集体の粒径が10nm以上100μm以下であることを特徴とする接合材料。
【請求項8】
炭素数が2以上8以下の有機物で前記金属粒子及び凝集体が被覆されていることを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項9】
前記金属粒子は金,銀,銅からなることを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項10】
前記有機物が、アルコール基,アミノ基,カルボキシル基,カルボニル基,アルデヒド基,スルファニル基のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項11】
粒径100nm以下の粒子の割合が前記金属粒子中の重量wt%において、0.001 より大きく100より小さいことを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項12】
前記金属粒子が有機溶媒中に分散されていることを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項13】
電子部品の電極と配線基板の回路配線とを電気的に接合する接合方法において、炭素数が2以上8以下の有機物で被覆され、体積基準における粒度分布で100nm以下及び
100nmから100μm以下にそれぞれ1つ以上のピークを有する平均粒径100μm以下の金属粒子を含む接合用材料を、前記回路配線上の前記電極との接合面に塗布し、前記溶液が塗布された回路配線上に電子部品を搭載した後、加熱及び加圧により電子部品の電極と配線基板の回路配線とを接合することを特徴とする接合方法。
【請求項14】
前記加熱温度が40℃以上400℃以下であることを特徴とする請求項13に記載の接合方法。
【請求項1】
炭素数が2以上8以下の有機物で被覆された平均粒径100μm以下の金属粒子を有し、100nm以下及び100nmから100μm以下の体積基準における粒度分布でそれぞれ1つ以上のピークを有する接合用材料。
【請求項2】
前記金属粒子は金,銀,銅からなることを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項3】
前記有機物が、酸素,窒素,硫黄原子を含むことを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項4】
前記有機物が、アルコール基,アミノ基,カルボキシル基,カルボニル基,アルデヒド基,スルファニル基のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項5】
粒径100nm以下の粒子の割合が前記金属粒子中の重量wt%において、0.001 より大きく100より小さいことを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項6】
前記金属粒子が有機溶媒中に分散されていることを特徴とする請求項1に記載の接合用材料。
【請求項7】
平均粒径が1nm以上100nm以下の金属粒子と、前記金属粒子が凝集した凝集体とを有し、前記凝集体の粒径が10nm以上100μm以下であることを特徴とする接合材料。
【請求項8】
炭素数が2以上8以下の有機物で前記金属粒子及び凝集体が被覆されていることを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項9】
前記金属粒子は金,銀,銅からなることを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項10】
前記有機物が、アルコール基,アミノ基,カルボキシル基,カルボニル基,アルデヒド基,スルファニル基のうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項11】
粒径100nm以下の粒子の割合が前記金属粒子中の重量wt%において、0.001 より大きく100より小さいことを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項12】
前記金属粒子が有機溶媒中に分散されていることを特徴とする請求項7に記載の接合用材料。
【請求項13】
電子部品の電極と配線基板の回路配線とを電気的に接合する接合方法において、炭素数が2以上8以下の有機物で被覆され、体積基準における粒度分布で100nm以下及び
100nmから100μm以下にそれぞれ1つ以上のピークを有する平均粒径100μm以下の金属粒子を含む接合用材料を、前記回路配線上の前記電極との接合面に塗布し、前記溶液が塗布された回路配線上に電子部品を搭載した後、加熱及び加圧により電子部品の電極と配線基板の回路配線とを接合することを特徴とする接合方法。
【請求項14】
前記加熱温度が40℃以上400℃以下であることを特徴とする請求項13に記載の接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−161907(P2008−161907A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353649(P2006−353649)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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