説明

低温硬化用硬化剤

【課題】優れたアミン組成物、アミンエポキシ組成物、およびそれらの製造方法、およびそれらを用いた製造品の開発。
【解決手段】本発明は、N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミンを含有するアミン組成物およびアミンエポキシ組成物の両者を開示する。N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン等のアミン、および構造が類似するアミンを生成させるための新規な方法がまた、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に、N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA)、ならびにDM−MXDAおよび関連したアミンを製造するための方法を対象とする。本発明はまた、DM−MXDAを含有するアミン組成物およびアミンエポキシ組成物、アミンエポキシ組成物を製造する方法、およびこれらのアミンエポキシ組成物から生成された被膜、複合物、および土木工学製品等の物品に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化され、硬くなり、または架橋した多官能性アミン、すなわち、3つの以上活性アミン水素を有するアミン化合物であるエポキシ樹脂は、業界で周知である。これらの材料は、被膜、複合物、および土木工学用途、例えば、フロアリング用調合物等の用途において広く使用される。被膜用途において、いくつかのアミン硬化エポキシ調合物は、室温で硬化でき、高い機械強度、良好な耐水性、耐化学品性、および耐腐食性、ならびに特に金属性基材に対して優れた接着特性を有する被膜を与えることができる。従って、エポキシ調合物は、多くの場合、船舶、橋梁、および工業プラントおよび装置等の大きな構造のためのプライマーおよびトップコートとして用いられる。いくつかのアミンエポキシ調合物は、コンクリートおよび他のセメント質材料にすぐれた接着性を提供し、そして、したがって、多くの場合、コンクリートおよび他のセメント質材料のためのシーラー、プライマー、被膜、モルタル、およびグラウトに用いられる。
【0003】
アミンエポキシ被膜の揮発性有機化合物(VOC)含有量への配合規制の前は、調合物は、多くの場合、固体エポキシ樹脂に基づいていた。これらの樹脂は、室温で固体である。触っても乾燥している状態に到達するには、化学的硬化でない溶媒蒸発のみが被膜に必要であったので、固体エポキシ樹脂を使用する被膜は、通常素早く乾燥した。
【0004】
VOC規制により、室温で液体であるエポキシ樹脂は、多くの用途において、固体エポキシ樹脂に取って代わった。この移り変わりは、例えば、被膜用途における幾つかの問題を生じた。液体エポキシ樹脂に基づくアミンエポキシ組成物は、同程度の固体エポキシ樹脂調合物より遙かによりゆっくりと硬化する傾向があり、そしてこの問題は、より低温においてさらに厳しくなる。例えば、造船所は、多くの場合、冬が寒い場所にあり、そして温度が約5℃以下である場合に、ペイントを適用する必要がある。多くのアミンエポキシ被膜調合物は、こうした温度では、非常にゆっくりと硬化し、多くの場合、少なくとも24時間を要し、そして塗装工が第2の被膜または第3の被膜を、必要に応じて適用できるようにするのに必要な「ウォークオン(walk−on)」乾燥状態に到達するのに、ある場合には24時間より遙かに長い時間を要する。実験室において、「ウォークオン」乾燥状態は、多くの場合、サムツイスト(thumb−twist)試験法によって、評価される。ゆっくりとした乾燥時間は、造船所の生産性に劇的に影響する場合がある。従って、室温より低い温度での速い硬化速度は、多くの用途において望ましい特性である。
【0005】
VOC規制を満たすことに加えて、アミンエポキシ調合物中でアミン成分の揮発性を制限することがまた有益である。揮発性を低下させることは、減少する作業者の曝露および安全に対する不安を減らすことができる。
【0006】
固体エポキシ樹脂とは対照的に、液体エポキシ樹脂に基づくアミンエポキシ被膜調合物はまた、ある用途に必要なほど柔軟でない。例えば、近年の二重船側構造を用いる船舶において、バラストタンクを形成する二重船側において使用されるスチールは、一重船側船において使用されるより薄い規格である。より薄い規格の結果として、このスチールはより曲がり、特に、溶接された接合部の周りで、被膜の応力亀裂破損となる場合がある。これは、次に修復が高価である場合がある腐食となり、そして船の無欠陥性に影響する場合がある。さらに、列車産業においては、溶接線における被覆可撓性を欠くことによる問題がまたある。さらに、被膜は、多くの他の用途において、例えば、所与の用途のための所望の耐衝撃性を達成するために、または塗装の後で金属を後形成するために、より大きな可撓性を必要とする。最終用途においては、材料が受ける応力または変形の量、ならびに変形の割合は、特別なアミンエポキシ組成物または調合物に必要な可撓性、従って適合性を決定するための重要な因子である。土木工学用途、例えば、コンクリートおよび他のセメント質材料を含むものにおいて、より大きい膨張および収縮応力に耐えることができ、そして亀裂のブリッジ要求をかなえることができるアミンエポキシ材料はまた、関心の対象である。
【0007】
多くのエポキシ被膜は、第2の被膜または第3の被膜でオーバーコートされている。さらなる被膜は、エポキシに基づく系に限られず、そして耐腐食性、耐候性等の特別な最終用途特性を提供するために、他の化学的被膜系(例えば、ポリウレタン)を含むことができる。液体エポキシ樹脂に基づく調合物における被膜間接着は、典型的には同程度の固体エポキシ樹脂調合物に、匹敵できず、多くの場合、被膜間接着の欠陥となる。液体エポキシ系で充分な被膜間接着が得られる場合でさえ、被膜間接着の欠陥を避ける場合には、しばしば、再被膜が限定された時間枠内に起こることが好ましい。この時間を、多くの場合、再被膜時間帯(re−coat window)という。
【0008】
多くのアミンエポキシ被膜は、業界で、白化(blush)、カルバメート化、および滲出と呼ばれる問題に苦しむ。これらの問題は、部分的にアミン硬化剤とエポキシ樹脂との不適合性によって、相分離を生じ、そして被膜表面へのアミンの移動となる。第1級アミンにおいて、移動性アミンは空気中に存在するCOと反応でき、カルバメート化を生じる。カルバメート化またはグリース状の形態のいずれかの表面層が、滲出または白化と呼ばれ、これらの表面欠陥は被膜の外観を損ない、そしてフィルムが再被膜される場合、被膜間接着の欠陥となる場合がある。これらの問題は、アミンエポキシの適合性が低下するさらなる低温において、適用され、そして硬化された被膜では一般的にさらに悪い。
【0009】
しばしば、金属、コンクリート、およびセメント質基材上の被膜等の前記の用途のいくつかにおいて使用されるエポキシ被膜は、良好な、耐薬品性、耐水性、および耐腐食性を必要とする。被膜のこれらのバリアーおよび耐候特性は、環境の影響から基材を守るための重要な属性であることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ポリアミド、(フェナルカミンを含む)マンニッヒ塩基(Mannich base)、およびアミン付加物を含む、アミンエポキシ被膜業界において用いられる幾つかの広いクラスの多官能性アミン硬化剤がある。これらの公知の生成物は、いずれも、上記の必要性に対処せず、または上記の問題を解決しない。従って、本発明が対象とするのは、これらの問題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA)を含有するアミン組成物およびアミンエポキシ組成物の両方を開示する。アミン組成物は、例えば、エポキシ樹脂を硬化させ、硬くさせ、または架橋させるために使用される。本発明の一つの形態に従って、このアミン組成物は:
(i)DM−MXDA;および、
(ii)アレーンアミン;芳香族アミン;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのマンニッヒ塩基誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのポリアミド誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミドアミン誘導体;および脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミン付加物誘導体;またはそれらいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1種の多官能性アミン、
を含む。
【0012】
本発明の別の形態に従って、このアミン組成物は:
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);および、
(ii)3つまたは4つ以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の多官能性アミン;
(ここで、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約65:35〜約1:99である。)
を含む。
【0013】
本発明のまた別の形態に従って、このアミン組成物は:
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);および、
(ii)フェナルカミン;メタ−キシリレンジアミン(MXDA);1、3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1、3−BAC);およびメチレン架橋ポリ(シクロヘキシル芳香族)アミン(MPCA)の混合物;またはそれらいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1種の多官能性アミン、
を含む。
【0014】
本発明のまた別の形態に従って、アミン組成物は:
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);
(ii)3つまたは4つ以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の多官能性アミン;および、
(iii)任意選択的に、少なくとも1種の可塑剤または溶媒、
を含む。
本発明のこの形態のある態様では、被膜、土木工学用途、およびその同類のもの等の最終用途を対象にするアミン組成物は、少なくとも1種の、可塑剤または溶媒を含む。
【0015】
本発明はまた、アミンエポキシ組成物を開示する。これらの組成物は、(a)直前に記載した4種の前記アミン組成物のいずれか;および(b)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分、を含むことができる。本発明のアミンエポキシ組成物を硬化させることによって得られた組成物、ならびにこれらの組成物を含んで製造された物品はまた、本明細書中で考慮される。そうした物品は、例えば、被膜、建造品、床材製品、複合製品、およびその同類のものを含むことができる。
【0016】
DM−MXDA、および構造が類似するアミン等のアミンを製造するための方法が、また、本発明中において記載される。式
【化1】

を有するアミン化合物は、
(a)式:
【化2】

を有する化合物と、メチルアミンまたはエチルアミンとを、水素および触媒の存在下、約100〜約500psiの水素圧力下で、接触させて、少なくとも1種の中間生成物を生成させること;および
(b)水素化触媒の存在下、約400〜約1500psiの水素圧力下で、少なくとも1種の中間生成物と水素とを生成させて、式(I);
(式中、
は、メチルまたはエチルであり;
は、メチル、エチル、または水素であり;
は、それぞれの場合において、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルキル、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルケニル、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルコキシ、および直鎖または分枝鎖のC〜C18アルコキシアルキルから独立して選択される;そして
xは、0、1、2、3、または4である。)
を有するアミンを生成させること、
を含む方法によって生成できる。
【0017】
この方法は、DM−MXDAを含むアミン混合物を生成させるために開示された。
この方法は:
(a)水素および触媒の存在下、約100〜約500psiの水素圧力下で、1、3−ジシアノベンゼンとモノメチルアミンとを接触させて、少なくとも1種の中間生成物を生成させること;
(b)水素化触媒の存在下、約400〜約1500psiの水素圧力下で、少なくとも1種の中間生成物と水素とを生成させて、DM−MXDAを含むアミン混合物を生成させること、
を含む。
【0018】
この方法は、アミン混合物中のDM−MXDAの収率が、少なくとも約60重量%であるアミン混合物を生成できる。例えば、アミン混合物中のDM−MXDAの収率は、70重量%以上であることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の定義および略称は、当業者が、本発明の詳細な記載を理解することを助けるために、提供される。参照により本明細書中に取り込まれる任意の文献によって提供される任意の定義または使用が、本明細書中に提供された定義または使用と食い違う範囲では、本明細書中において提供されるこの定義または使用が支配する。
1、3−BAC:1、3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、Mitsubishi Chemical Corporationから市販されている、AHEW=36。
A1618:Ancamine(商標)1618、Air Products and Chemicals、Inc.から市販されている、脂環式アミン付加物、AHEW=115。
A2050−Ancamide(商標)2050、Air Products and Chemicals、Inc.からの市販されている、ポリアミド付加物、AHEW=150。
A2603:Ancamine(商標)2603、Air Products and Chemicalsから市販されている、脂肪族アミン付加物、AHEW=175。
AHEW:アミン水素当量重量。
BA:Fisher Scientific UK Ltd.から市販されているベンジルアルコール。
CX−105:Sunmide(商標)CX−105、Air Products and Chemicals、Inc.から市販されている、フェナルカミン、AHEW=142。
DCB:1、3−ジシアノベンゼン、イソフタロニトリルとも呼ばれる、Aldrich Chemical Co.から市販されている。
DGEBA:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル。
DM−MXDA:N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン、1、3−ビス[(N−メチルアミノ)メチル]ベンゼンまたは1、3−ビス(アザプロピル)ベンゼンとも呼ばれる、計算されたAHEW=82。
DM−HMDA:N、N’ジメチル−1、6−ヘキサメチレンジアミン、Aldrich Chemical Co.から市販されている、AHEW=72。
EEW−エポキシ当量重量。
IPDA:イソホロンジアミン、Degussa AG、から市販されている、AHEW=43。
K54:Ancamine(商標)K54、Air Products and Chemicals、Inc.から市販されている、トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノール。
MMA:メチルアミンまたはモノメチルアミン、Aldrich Chemical Co.から市販されている。
MM−MXDA:N−モノメチル−メタ−キシリレンジアミン、AHEW=50。
:数平均分子量。
MPCA:MBPCAAとも略称される。MPCAは、多官能性アミンのクラス内に適合するメチレン架橋ポリ(シクロヘキシル芳香族)アミン混合物である。Air Products and Chemicals、Inc.から市販されているAncamine(商標)2168は、57のAHEWを有するMPCAであり、そして実施例において利用されるグレードである。
MXDA:メタ−キシリレンジアミン、1、3−ビス[(アミノ)メチル]ベンゼンとも呼ばれる、Mitsubishi Chemical Corporationから市販されている。AHEW=34。
NC541LV:Cardolite(商標)NC541LV、Cardolite Corporation、から市販されている、低粘度フェナルカミン、AHEW=125。
PHR:100重量部の樹脂当りの部。
THF:テトラヒドロフラン。
【0020】
出願人は、本発明中で幾つかのタイプの範囲を開示する。これらは、温度の範囲、圧力の範囲、反応時間の範囲、原子の数の範囲、整数の範囲、重量比の範囲、および化学量論比の範囲を含むがこれらに限られない。出願人が、任意タイプの範囲を開示または請求項に記載する場合、出願人の意図は、そうした範囲が合理的に包含できるであろうそれぞれの可能な数、ならびにそこに包含される任意の準範囲および準範囲の組み合わせを個々に開示し、請求項に記載することである。例えば、出願人が、ある数の炭素原子を有する化学的部分を開示し、または請求の範囲に記載する場合、出願人の意図は、明細書中の開示を、包含し矛盾しないそれぞれの可能な数を個々に開示し、または請求項に記載することである。例えば、「R」が、C〜C18直鎖または分枝鎖のアルキル、アルケニル、アルコキシ、もしくはアルコキシアルキルであることができる、または言い換えると1〜18炭素原子を有することができるという開示は、本明細書中で使用される場合、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18の炭素原子、ならびにこれらの中の2つの数(例えば、C〜C10の直鎖または分枝鎖アルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキル基)の間の、およびこれらの中の2つの数の間の任意の組み合わせの範囲(例えば、C〜CおよびC〜C15の直鎖または分枝鎖アルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキル基)をまた含む、任意の範囲を有する直鎖または分枝鎖アルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキル基から、独立して選択できる「R」基をいう。
【0021】
同様に、別の代表的な例は、アミン組成物中におけるDM−MXDAの少なくとも1種の多官能性アミンに対する重量比に従う。DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比が、約95:5〜約5:95の範囲内であるという開示によって、出願人は、重量比が、約95:5、約90:10、約85:15、約80:20、約75:25、約70:30、約65:35、約60:40、約55:45、約50:50、約45:55、約40:60、約35:65、約30:70、約25:75、約20:80、約15:85、約10:90、または約5:95から選択できることを記載することを意図する。さらに、この重量比は、約95:5〜約5:95の範囲にあることができ(例えば、この重量比は、約65:35〜約20:80の範囲である。)、そしてこれは、約95:5〜約5:95の範囲の組み合わせを含む(例えば、この重量比は、約90:10〜約70:30、または約50:50〜約25:75の範囲である)。同様に、本明細書中に開示されたすべての他の範囲は、これらの2つの例と類似の様式で理解されるべきである。
【0022】
何らかの理由、例えば、出願の時点で出願人が認識できる参照を原因として、出願人らが、開示の全範囲より狭く請求項に記載することを選択した場合、出願人は、範囲よって、または任意の類似の様式で請求の範囲に記載できるその群内の任意の準範囲または準範囲の組み合わせを含む任意のそうした群の任意の個々の要素を外す(proviso out)または除外する権利を保持する。さらに、何らかの理由、例えば、出願の時点で認識できる参照を原因として、出願人が開示の全範囲より狭く請求することを選択した場合、出願人は、任意の個々の置換基、類似物、化合物、配位子、構造、またはそれらの群、または請求項に記載した群の任意の要素を外し、または除外する権利を保有する。
【0023】
「接触生成物」の用語は、任意の順番、任意の様式で、および任意の時間の長さで、共に接触した組成物を記載するために、本明細書中で使用される。例えば、これらの成分は、ブレンドまたは混合によって接触できる。さらに、任意の成分の接触は、本明細書中に記載された組成物または調合物の任意の他の成分の存在下または不存在下で、生じることができる。さらなる材料または成分を混合することは、当業者に公知の方法によって行うことができる。さらに、「接触生成物」の用語は、混合物、ブレンド、溶液、スラリー、反応生成物、およびその同類のもの、またはそれらの組み合わせを含む。「接触生成物」は、2種または3種以上の成分の反応生成物を包含できるが、それぞれの成分が相互に反応するために必要ではない。
【0024】
組成物および方法は、種々の成分またはステップを「含むこと」に関して記載されるが、組成物および方法はまた、種々の成分またはステップ「から本質的になり」、または「からなる」ことができる。
【0025】
アミン組成物
本発明は、N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA)を含むアミン組成物を開示する。そうした組成物は、例えば、エポキシ樹脂を硬化させ、硬くさせ、または架橋させるために使用できる。本発明の1つの態様によるアミン組成物は:
(i)DM−MXDA;および、
(ii)アレーンアミン;芳香族アミン;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのマンニッヒ塩基誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのポリアミド誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミドアミン誘導体;および脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミン付加物誘導体;またはそれらいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1種の多官能性アミン、
を含む。
【0026】
別の形態では、このアミン組成物中の、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約95:5〜約5:95の範囲である。また別の形態では、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約80:20〜約20:80、または約70:30〜約30:70の範囲である。これらの比は、組成物中のアミン成分のみに基づき、そして可塑剤または溶媒、顔料、フィラー、およびその同類のもの等のアミン組成物中に存在できる他の成分を含まない。しかし、1超の多官能性アミンが用いられる場合、多官能性アミンの全量が、DM−MXDAの多官能性アミンに対する比を決定するために使用されるであろう。アミンエポキシ被膜用途において、多官能性アミンの量と比較して、より高いレベルのDM−MXDAを取り込むと、一般的により速く硬化し、そして/またはより低温において硬化できる被膜となり、そしてより大きい可撓性および長い再被覆時間を有することになる。DM−MXDAの量と比較して、より高いレベルの多官能性アミンは、一般的に生成物の耐薬品性を改善し、そしてより高い究極の硬度を有する被膜となることができる。
【0027】
さらに、N−モノメチル−メタ−キシリレンジアミン(MM−MXDA)は、これらのアミン組成物中における少なくとも1種の多官能性アミンであることができる。これは、アミン組成物は、DM−MXDAおよびMM−MXDAを含むことができる、またあるいは、DM−MXDA、MM−MXDA、および少なくとも1種の他の多官能性アミンを含むことができる。この形態において、少なくとも1種の他の多官能性アミンは、アレーンアミン;芳香族アミン;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのマンニッヒ塩基誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのポリアミド誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミドアミン誘導体;および脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミン付加物誘導体;またはそれらいずれかの組み合わせから選択できる。
【0028】
本発明の別の形態によるアミン組成物は:
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);および、
(ii)3つまたは4つ以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の多官能性アミン;
(ここで、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約65:35〜約1:99である。)
を含む。
【0029】
さらなる形態において、このアミン組成物中の、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約60:40〜約5:95の範囲内にあることができる。またさらに、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約55:45〜約10:90、または約50:50〜約20:80の範囲であることができる、本発明の別の形態では、例えば、本発明のアミン組成物は、DM−MXDAおよびMM−MXDA、またはDM−MXDA、MM−MXDA、および少なくとも1種の他の多官能性アミンを含むことができ、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約65:35〜約1:99である。1超の多官能性アミン(例えば、MM−MXDAおよびMPCA)が用いられる組成物において、多官能性アミンの全量は、DM−MXDAの多官能性アミンに対する比を決定するのに使用される。
【0030】
本発明のまた別の形態によるアミン組成物は:
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);および
(ii)フェナルカミン;メタ−キシリレンジアミン(MXDA);1、3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1、3−BAC);およびメチレン架橋ポリ(シクロヘキシル芳香族)アミン(MPCA)の混合物;またはそれらいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1種の多官能性アミン、
を含む。
【0031】
このアミン組成物中の、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミン(フェナルカミン;MXDA;1、3−BAC;またはMPCA)の重量比は、本発明の幾つかの形態において、約95:5〜約5:95であることができる。例えば、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性の重量比は、約90:10〜約10:90、約80:20〜約20:80、または約70:30〜約30:70であることができる。N−モノメチル−メタ−キシリレンジアミン(MM−MXDA)はまた、これらのアミン組成物中で、さらなる多官能性アミンとして存在できる。したがって、本発明の範囲内のアミン組成物は、DM−MXDA、MM−MXDA、およびフェナルカミンを含むことができる。あるいは、アミン組成物は、DM−MXDA、MM−MXDA、およびMXDA;またはDM−MXDA、MM−MXDA、および1、3−BAC;またはDM−MXDA、MM−MXDA、およびMPCAを含むことができる。
【0032】
また、本発明の別の形態に従って、アミンは:
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);
(ii)3つまたは4つ以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の多官能性アミン;および、
(iii)任意選択的に、少なくとも1種の可塑剤または溶媒、
を含む。
本発明のこの形態のある態様では、被膜、土木工学用途、およびその同類のもの等の最終用途を対象にするアミン組成物は、少なくとも1種の可塑剤または溶媒を含む。
【0033】
一般的に、このアミン組成物中の、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約95:5〜約5:95の範囲、例えば、約90:10〜約10:90の範囲である。約80:20〜約20:80、または約70:30〜約30:70の範囲のDM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比を、本発明の別の形態において、用いることができる。被膜および土木工学用途のためのアミン組成物では、少なくとも1種の多官能性アミンとしてN−モノメチル−メタ−キシリレンジアミン(MM−MXDA)を利用できる。あるそうした組成物は、例えば、DM−MXDA、MM−MXDA、3以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の他の多官能性アミン、および少なくとも1種の可塑剤または溶媒を含む。
【0034】
アミンエポキシ組成物
本発明は、N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA)を含むアミンエポキシ組成物、およびこれらの組成物の製造方法を開示する。これらのアミンエポキシ組成物は、上記のセクションに記載された前記のアミン組成物および少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分のいずれかを含むことができる。例えば、アミンエポキシ組成物は:
(a)(i)DM−MXDA;および、
(ii)アレーンアミン;芳香族アミン;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのマンニッヒ塩基誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのポリアミド誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミドアミン誘導体;および脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミン付加物誘導体;またはそれらいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1種の多官能性アミン、
を含むアミン組成物;ならびに
(b)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分、
を含むことができる。
【0035】
本発明のアミンエポキシ組成物別の形態は:
(a)(i)DM−MXDA;および、
(ii)3つまたは4つ以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の多官能性アミン;ここで、DM−MXDA:少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約65:35〜約1:99である。;
を含むアミン組成物、ならびに、
(b)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分、
を含む。
【0036】
本発明のまた別の形態のアミンエポキシ組成物は:
(a)(i)DM−MXDA;および、
(ii)フェナルカミン;−メタ−キシリレンジアミン(MXDA);1、3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1、3−BAC);およびメチレン架橋ポリ(シクロヘキシル芳香族)アミン(MPCA)の混合物;またはそれらいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1種の多官能性アミン、
を含むアミン組成物;ならびに、
(b)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分、
を含む。
【0037】
さらなる形態では、本発明は、これらのアミンエポキシ組成物を硬化する方法を考慮する。本発明は、これらのアミンエポキシ組成物を硬化させるのに、任意の特別な温度および湿度条件に限定されず、または任意の特定の硬化時間に限定されない。しかし、この本明細書中に開示されたアミンエポキシ組成物は、室温以下で、すなわち、約23〜25℃以下の温度で硬化できる。別の形態では、このアミンエポキシ組成物は、約5℃以下の温度で硬化できる。本発明のアミンエポキシ組成物は、従来のアミンエポキシ組成物と比較して、約5℃以下の温度を含む室温以下の温度で改善された硬化速度を提供する。
【0038】
本発明のアミンエポキシ組成物を硬化させることによって得られた組成物、ならびにこれらの組成物を含んで製造された物品はまた、本発明によって考慮される。そうした物品は、被膜、建造品、床材製品、複合製品、およびその同類のものを含むことができるがこれらに限られない。例えば、この物品は、金属またはセメント質基材の上に適用される被膜であることができる。一般的に、本発明のアミンエポキシ組成物から生成された被膜は、約5℃以下の温度で急速に硬化して、良好な外観、可撓性、およびバリアー特性を有する被膜を与える。追加の成分または添加物は、本発明の組成物と共に、種々の製造品を生産するのに使用できる。
【0039】
本発明はまた、アミンエポキシ樹脂組成物を製造する方法を提供する。そうしたある方法は:
(a)DM−MXDAおよび少なくとも1種の多官能性アミンを含む、アミン組成物を生成させること;および
(b)エポキシ成分中のエポキシ基:アミン組成物のアミン水素の化学量論比=約5:1〜約1:1.5の範囲で、アミン組成物と少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分とを接触させること、
を含む。
【0040】
アミンエポキシ組成物および本明細書中に開示されたアミンエポキシ組成物の製造方法により、エポキシ成分中のエポキシ基:アミン組成物中のアミン水素の化学量論比は、一般的に、約5:1〜約1:1.5の範囲である。しかし、いくつかの形態において、エポキシ成分中のエポキシ基:アミン組成物中のアミン水素の化学量論比は、約2:1〜約1:1.2の範囲である。例えば、この化学量論比は、約1.8:1〜約1:1.1の範囲、または約1.6:1〜約1:1の範囲であることができる。これらの化学量論比は、それぞれのアミンおよびエポキシ成分の全量に基づく。例えば、アミン組成物が、65重量部のDM−MXDAおよび35重量部の多官能性アミンを含む場合、DM−MXDAおよび多官能性アミンの両方からのアミン水素の全量は、化学量論比を決定するために使用される。
【0041】
さらに、全ての可能な成分が、室温で液体になることができることは、本発明の組成物において有益であることができる。すなわち、DM−MXDA、少なくとも1種の多官能性アミン化合物、および少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂化合物は、すべて室温で液体であることができる。この開示において、室温、または周囲温度は、約23〜25℃である。
【0042】
本発明の別の形態によって、被膜、土木工学用途、およびその同類のもの等の最終用途を対象とするアミンエポキシ組成物が、提供される。そうしたアミンエポキシ組成物は:
(a)(i)DM−MXDA;
(ii)3つまたは4つ以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の多官能性アミン;および、
(iii)少なくとも1種の可塑剤または溶媒、
を含むアミン組成物;ならびに
(b)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分、
を含む。
【0043】
さらに、本発明は、このアミンエポキシ組成物を硬化させる方法を考慮する。上記に開示されたアミンエポキシ組成物と同様に、このアミンエポキシ組成物を硬化させるための条件は、任意の特別な温度、湿度、または硬化時間に限定されない。このアミンエポキシ組成物は、例えば、約23〜25℃以下、または約5℃以下の温度で硬化できる。アミンエポキシ組成物を硬化することによって得られた被膜および土木工学製品はまた、本発明の範囲内にある。しばしば、本発明の被覆は、金属またはセメント質基材に適用される。
【0044】
硬化したアミンエポキシ被膜を製造する方法が本明細書中に開示される。本発明に従って硬化したアミンエポキシ被膜を生成させるためのあるそうした方法は:
(a)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分と、被膜用途のためのアミン組成物とを接触させて、アミンエポキシ被膜組成物を生成させること;
(b)アミンエポキシ被膜組成物から未硬化の被膜を生成させること;および、
(c)未硬化の被膜を硬化させて、硬化したアミンエポキシ被膜を生成させること;
(ここで、被膜用途のためのこのアミン組成物は:
(i)DM−MXDA;および、
(ii)3つまたは4つ以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の多官能性アミン、
を含む。)
を含む。
【0045】
この方法において、被膜用途のためのアミン組成物は、少なくとも1種の可塑剤または溶媒をさらに含むことができる。好適な可塑剤または溶媒の具体的に説明する例は、ベンジルアルコール、n−ブタノール、キシレン、メチルエチルケトン、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、カルダノール、フタル酸のエステル、およびその同類のもの、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。
【0046】
アミンエポキシ被膜組成物および上記に記載した硬化したアミンエポキシ被膜を製造する方法のために、エポキシ成分中のエポキシ基:アミン被膜組成物中のアミン水素の化学量論比は、一般的に約5:1〜約1:1.5である。しばしば、エポキシ成分中のエポキシ基:アミン被膜組成物中のアミン水素の化学量論比は、より狭い約2:1〜約1:1.2の範囲内である。
【0047】
DM−MXDAおよび関連アミンの合成
本明細書中に開示されたアミン組成物およびアミンエポキシ組成物中で利用できるN、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA)および他のアミンは、当該技術分野で知られている方法を介して調製できるが。しかし、本発明はまた、DM−MXDA、および構造的類似するもの等のアミンを合成するための改善された方法を提供する。一般的に、この方法は、2つの段階を含む。第1段階は、ジシアノベンゼン化合物と、メチルアミンまたはエチルアミンのいずれかとの反応である。第2段階は、水素化反応である。この方法は、式:
【化3】

を有するアミン化合物を生成させるために使用できる。
【0048】
本発明の一つの形態では、式(I)を有するアミンを生成させる方法は:
(a)式:
【化4】

を有する化合物と、メチルアミンまたはエチルアミンとを、水素および触媒の存在下、約100〜約500psiの水素圧力下で接触させて、少なくとも1種の中間生成物を生成させること;そして、
(b)少なくとも1種の中間生成物と水素とを、水素化触媒の存在下、約400〜約1500psiの水素圧力下で接触させて、式(I)
(式中、
は、メチルまたはエチルであり;
は、メチル、エチル、または水素であり;
は、それぞれの場合において、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルキル、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルケニル、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルコキシ、および直鎖または分枝鎖のC〜C18アルコキシアルキルから、独立して選択され;そして、
xは、0、1、2、3、または4である。)
を有するアミンを生成させること;
を含む。
【0049】
そうした化合物は、これらの式によって考慮され、そして包含されるが、式(I)および(II)は、異なる部分の立体化学または異性体の位置を示すように設計されていない(例えば、これらの式は、シスまたはトランス異性体を示すことを目的としていない。)。式(I)において、Rは、メチルまたはエチルであり、一方、Rは、メチル、エチル、または水素である。式(I)および(II)中の整数xは、0、1、2、3、または4である。例えば、xが0に等しい場合、式(II)の化合物は、1、3−ジシアノベンゼンであることができる。式(II)中のシアノ基のすべての異性体(オルト、メタおよびパラ)位を用いることができ、そして、本発明の範囲内にある。本発明の一つの形態では、整数xは、0に等しいことができる。
【0050】
xが、0に等しい場合、Rは、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキルから独立して選択される。別に特定しない限り、本明細書中に記載された特定の、アルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキル基は、所与の部分のすべての構造的な異性体、直鎖または分枝鎖を含み;例えば、全てのエナンチオマーおよび全てのジアステレオマーは、この定義内に含まれる。例として、別に特定しない限り、「プロピル」の用語は、n−プロピルおよびイソプロピルを含むことを意図し、「ブチル」の用語は、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、sec−ブチルなどを含むことを意図する。例えば、オクチルの異性体の非限定の例は、2−エチルヘキシルおよびネオオクチルを含む。本発明において用いることができるアルキル基の好適な例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、デシル、およびその同類のものを含むがこれらに限られない。例えば、C14アルキル、C15アルキル、C16アルキル、C18アルキル、およびその同類のもの等の他のアルキル基はまた、本発明において使用できる。式(I)および(II)において、Rは、アルケニル基であることができる、その例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、およびその同類のもの、ならびにC14アルケニル、C15アルケニル、C16アルケニル、またはC18アルケニル基を含むがこれらに限られない。18までの炭素原子を有するアルコキシ基は、本発明の範囲内である。好適なアルコキシ基の具体的な説明および非限定の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびその同類のものを含む。アルコキシアルキル基はまた、エーテル基とも呼ばれる、その例は、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシブチル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、プロポキシプロピル、プロポキシブチル、ブトキシメチル、ブトキシエチル、ブトキシプロピル、ブトキシブチル、およびその同類のものを含むが、これらに限られない。本明細書中に記載された、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルコキシアルキルは、酸素原子のそれぞれの側上で、独立して、1〜18炭素原子を有することを意図する。
【0051】
本発明の1つの形態において、それぞれのRは、独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルキルまたはアルケニルである。別の形態では、それぞれのRは、独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、またはデシル基である。また、別の形態では、それぞれのRは、独立して、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、またはデセニル基である。異なる形態において、それぞれのRは、独立して、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはブトキシ等の直鎖または分枝鎖のC〜C18アルコキシである。あるいは、それぞれのRは、独立して、直鎖または分枝鎖のC〜C18アルコキシアルキルであることができ、その例は、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、ブトキシメチル、およびブトキシエチルである。別の形態では、それぞれのRは、独立して、直鎖のC〜Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキルである。これらのおよび他の形態において、xは、1、2、3、または4に等しい。例えば、xは、1に等しいことができ、そしてRは、直鎖のC〜Cアルキル、アルケニル、アルコキシ、またはアルコキシアルキルであることができる。
【0052】
ステップ(a)として上記に記載した式(I)を有するアミンを生成させるための方法の第1段階において、式:
【化5】

を有する化合物が、水素および触媒の存在下で、メチルアミンまたはエチルアミンと接触させられる。一般的に、この反応は、水素雰囲気下、約100〜約500psiの範囲内の圧力下で行われる。例えば、反応圧力は、約200〜約450psiの範囲内、または約300〜約400psiの範囲内の圧力で制御できる。一つの形態では、水素圧力は、約300〜約350psiの範囲内に維持される。
【0053】
ステップ(a)のための反応温度は、典型的には約70〜約160℃の範囲内にある。しばしば、この反応は、約80〜約150℃の範囲内、例えば、約100〜約140℃、または約120〜約140℃の範囲内の温度で行われる。反応時間は、反応温度に大きく依存するが、一般的に、約1〜約20時間の範囲内である。例えば、5〜16時間の反応時間を用いることができる。
【0054】
この方法の第1段階に使用される触媒は、例えば、パラジウム、白金、ロジウム、ラネーニッケル、またはそれらいずれかの組み合わせを含むことができるが、しかし、触媒の選択は、これらの金属のみに限定されない。この金属触媒は、炭素、シリカ、アルミナ、およびその同類のもの、またはそれらの混合物を含むが、これらに限られない種々の担持材料上で担持できる。シリカアルミナ等の混合酸化物の担持をまた使用できる。
【0055】
本発明の別の形態により、ステップ(a)の少なくとも1種の中間反応生成物は、第2段階の前にガス抜きされる。例えば、この反応生成物は、反応器からガス抜きまたは除去されるアンモニアおよび/または未反応のメチルアミンまたはエチルアミンを含むことができる。一般的に、この形態において、アンモニアおよび/または未反応のメチルアミンまたはエチルアミンの少なくとも50重量%は、第2段階の前に除去される。さらに、アンモニアおよび/または未反応のメチルアミンまたはエチルアミンの少なくとも70重量%、または少なくとも90重量%は、第2段階の前に除去できる。また、別の形態では、実質的に全てのアンモニアおよび/または未反応のメチルアミンまたはエチルアミンは、この方法の第2段階の前に除去される。
【0056】
ステップ(b)において、この方法の第2段階では、第1段階からの少なくとも1種の中間生成物は、水素化触媒の存在下、約400〜約1500psiの水素圧力下で水素と接触させられて、式(I)を有するアミンを生成する。この水素化反応は、第1段階におけるより多くの場合、高い圧力の水素雰囲気下で行われる。例えば、約600〜約1200psi、または約750〜約1000psiの範囲内の水素化反応圧力が、多くの場合利用される。本発明の幾つかの形態において、約800〜約950psiの範囲内の水素圧力を用いることができる。
【0057】
水素化ステップのための反応温度は、一般的に、約80〜約160℃の範囲内である。約100〜約140℃、約110〜約130℃、または約120〜約130℃の範囲の温度は、本発明の他の形態において使用できる。第1段階と同様に、水素化ステップのための反応時間は、反応温度に大きく依存するが、しかし一般的に約45〜約360分の範囲内である。例えば、60〜300分の反応時間を用いることができる。
【0058】
第2段階に使用される水素化触媒は、例えば、パラジウム、白金、ラネーニッケル、ラネーコバルト、またはそれらいずれかの組み合わせを含むことができるが、この水素化触媒は、これらの金属のみに限定されない。第1段階反応において用いられた触媒と同様に、水素化段階におけるこの金属触媒は、炭素、シリカ、アルミナ、およびその同類のもの、またはそれらの混合物を含むが、これらに限られない種々の担持材料上で担持できる。シリカアルミナ等の混合酸化物の担持を、また使用できる。さらに、本発明の1つの形態において、この方法の第1段階において用いられる触媒は、水素化段階において用いられる水素化触媒と同じである。あるいは、第1段階の触媒は、第2段階の前に、例えば、ろ過によって除くことができる。
【0059】
本発明に従って、N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA)を含むアミン混合物を生成する方法が提供される。この方法は:
(a)水素および触媒の存在下、約100〜約500psiの水素圧力下で、1、3−ジシアノベンゼンとモノメチルアミンとを接触させて、少なくとも1種の中間生成物を生成させること;
(b)水素化触媒の存在下、約400〜約1500psiの水素圧力下で、少なくとも1種の中間生成物と水素とを接触させて、DM−MXDAを含むアミン混合物を生成させること、
を含む。
【0060】
式(I)を有するアミンの生成方法に関しては、上記に記載した、ステップ(a)および(b)のための同じ温度、時間、圧力、および触媒の選択がまた、DM−MXDAを含むアミン混合物を生成させるためのこの方法に適用される。例えば、ステップ(a)は、約70〜約160℃の温度および約200〜約450psiの水素圧力下で行うことができ、一方、水素化ステップ(b)は、約80〜約160℃の温度および約750〜約1000psiの水素圧力下で行うことができる。さらに、本発明の別の形態では、ステップ(a)において利用される触媒およびステップ(b)における水素化触媒は、同じであることができる。
【0061】
DM−MXDAを含むアミン混合物を生成させるためのこの方法は、下記に説明する一般的な反応スキームにおいて、具体的に説明される:
【化6】

【0062】
この方法において、ステップ(a)の少なくとも1種の中間生成物は、アンモニアおよび未反応のモノメチルアミンを含むことができる、そして本発明のまた別の形態において、少なくとも1種の中間生成物中で少なくとも50重量%のアンモニアおよび未反応のモノメチルアミンは、ステップ(b)の前に除去される。本発明の別の形態では、少なくとも70重量%、少なくとも90重量%、または実質的に全てのアンモニアおよび未反応のメチルアミンは、この方法の第2段階の前に除去できる。
【0063】
一般的に、DM−MXDAを含むアミン混合物を生成させるための方法は、アミン混合物中で少なくとも約60重量%の収率のDM−MXDAを生成する。別の形態では、アミン混合物中のDM−MXDAの収率は、少なくとも約70重量%である。しかし、別の形態では、アミン混合物中のDM−MXDAの収率は、少なくとも約75重量%、または少なくとも約80重量%である。
【0064】
別の形態では、DM−MXDAを含むアミン混合物を生成させるための方法は、メタ−キシリレンジアミン(MXDA)を、たとえあったとしても、ほとんど生成しない。従って、MXDAは、約10重量%の収率未満でアミン混合物中に存在できる。しばしば、アミン混合物中におけるMXDAの収率は、約5重量%未満、またあるいは、約3重量%未満である。
【0065】
多官能性アミン
本発明による組成物は、少なくとも1種の多官能性アミンを含むことができる。多官能性アミンは、本明細書中で使用される場合、アミン官能性を有する化合物をいい、そして3つの以上の活性アミン水素を含むことができる。
【0066】
作業者の暴露があり、そして安全性の問題が生じるいくらかの用途で使用される特異的多官能性アミンの揮発性を制限するのに有益である。従って、本発明の1つの形態において、少なくとも1種の多官能性アミンは、6つ以上の炭素原子を含む。別の形態では、少なくとも1種の多官能性アミンは、8つ以上の炭素原子を含む。また別の形態において、少なくとも1種の多官能性アミンは、12以上の炭素原子を含む。
【0067】
本発明の範囲内にある多官能性アミンの非限定の例は、脂肪族アミン;脂環式アミン;アレーンアミン;芳香族アミン;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのマンニッヒ塩基誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのポリアミド誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミドアミン誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミン付加物誘導体;およびその同類のもの;またはそれらいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られない。
【0068】
1超の多官能性アミンは、本発明の組成物において使用できる。例えば、少なくとも1種の多官能性アミンは、脂肪族アミンおよび脂環式アミンのマンニッヒ塩基誘導体を含むことができる。また、少なくとも1種の多官能性アミンは、1種の脂肪族アミンおよび1種の異なる脂肪族アミンを含むことができる。
【0069】
例示的な脂肪族アミンは、ポリエチレンアミン(トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンおよびその同類のもの)、1、6−ヘキサンジアミン、3、3、5−トリメチル−1、6−ヘキサンジアミン、3、5、5−トリメチル−1、6−ヘキサンジアミン、(Dytek(商標)−Aとして市販されている)2−メチル−1、5−ペンタンジアミン、ビス−(3−アミノプロピル)アミン、N、N’−ビス−(3−アミノプロピル)−1、2−エタンジアミン、N、N−ジメチル−1、3−プロピルジアミン、N、N−エチル−1、3−プロピルジアミン、アミノエチルピペラジン、およびその同類のもの、またはそれらの組み合わせを含む。さらに、Huntsman CorporationからJeffamineの名で市販されているポリ(アルキレンオキサイド)ジアミンおよびトリアミンは、本発明において有用である。具体的に説明する例は、Jeffamine(商標)D−230、Jeffamine(商標)D−400、Jeffamine(商標)D−2000、Jeffamine(商標)D−4000、Jeffamine(商標)T−403、Jeffamine(商標)EDR−148、Jeffamine(商標)EDR−192、Jeffamine(商標)C−346、Jeffamine(商標)ED−600、Jeffamine(商標)ED−900、Jeffamine(商標)ED−2001、およびその同類のもの、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。
【0070】
脂環式アミンは、1、2−ジアミノシクロヘキサン、1、3−ジアミノシクロヘキサン、1、4−ジアミノシクロヘキサン、水素化オルトトルエンジアミン、水素化メタ−トルエンジアミン、イソホロンジアミン(IPDA)、N−アミノプロピルシクロヘキシルアミン(APCHA)、(商業的に1、3−BACと呼ばれる)水素化メタキシリレンジアミン、ノルボルナンジアミンの種々の異性体、3、3’−ジメチル−4、4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4、4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2、4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、およびその同類のもの、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。別の脂環式アミンは、MBPCAAまたはMPCAのいずれかの略称を有するメチレン架橋ポリ(シクロヘキシル芳香族)アミンの混合物であり、そして米国特許第5、280、091号明細書に記載されており、参照により、その全部を本明細書中に取り込む。本発明の1つの形態において、少なくとも1種の多官能性アミンは、メチレン架橋ポリ(シクロヘキシル芳香族)アミン(MPCA)の混合物である。
【0071】
芳香族アミンを具体的に説明する、そして非限定の例は、オルトトルエンジアミン、メタ−トルエンジアミン、メタ−フェニレンジアミン、メチレン架橋ポリ(フェニレン)アミン混合物(例えば、アニリンおよびホルムアルデヒドから誘導された縮合生成物)、(多くの場合、メチレンジアニリンまたはMDAと呼ばれる)2、2’−/2、4’−/4、4’ジアミノジフェニルメタンの異性体の混合物、およびその同類のもの、またはそれらの組み合わせを含む。
【0072】
アレーンアミンは、窒素が芳香族アミン中の芳香族環に直接結合した芳香族アミンと区別され、アレーンアミンでは、窒素は芳香族環に直接結合していない。例えば、窒素は飽和のまたは不飽和のアルキルによって芳香族環から分離されていることができる。好適なアレーンアミンの例は、メタ−キシリレンジアミン(MXDA)、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、およびその同類のもの、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限られない。MM−MXDAはまた、アレーンアミンである。
【0073】
多官能性アミンとしての使用に好適なマンニッヒ塩基誘導体は、上記に記載した脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミン、または芳香族アミンと、フェノールまたは置換フェノールおよびホルムアルデヒドとの反応によってなされることができる。マンニッヒ塩基を製造するために有用に使用される例示的な置換フェノールは、カルダノールであり、カシューナッツ殻液から得られる。あるいは、マンニッヒ塩基は、多官能性アミンと、(Air Products and Chemicals、Inc.からAncamine(商標)K54として市販されている)トリス−(ジメチルアミノメチル)フェノールまたはビス−(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第三級アミン含有マンニッヒ塩基との交換反応によって調製できる。さらに、DM−MXDAのマンニッヒ塩基誘導体を用いることができることが予測される。そうした材料は、例えば、DM−MXDAと、フェノール(または、置換フェノール)およびホルムアルデヒドとを反応させることによって誘導でき、低レベルの残留フェノール(または置換フェノール)を有するマンニッヒ塩基硬化剤を生成する。ポリアミド誘導体は、脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミン、または芳香族アミンと、ダイマー脂肪酸、またはダイマー脂肪酸および脂肪酸の混合物との反応によって調製できる。アミドアミン誘導体は、脂肪族アミン、脂環式アミン、または芳香族アミンと、脂肪酸との反応によって調製できる。アミン付加物は、脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミン、または芳香族アミンと、エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル、またはエポキシノボラック樹脂との反応によって、調製できる。脂肪族、脂環式、アレーン、および芳香族アミンはまた、フェニルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、他のアルキルグリシジルエーテル、およびその同類のもの等の単官能基のエポキシ樹脂で付加できる。これらのおよび他の好適なアミン誘導体は、W.R.Ashcroft、in “Curing Agents for Epoxy Resins、” in B.Ellis、ed.、Chemistry and Technology of Epoxy Resins(Blackie Academic and Professional、 London、1993)、pp.37〜71によって開示され、参照により、その開示を本明細書中に取り込む。
【0074】
多官能性エポキシ樹脂
本発明のアミンエポキシ組成物は、エポキシ成分を含み、このエポキシ成分は、少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含む。多官能性エポキシ樹脂は、本明細書中で使用される場合、1分子当たり2つ以上の1、2−エポキシ基を含有する化合物をいう。このタイプのエポキシド化合物は、Y.Tanaka、“Synthesis and Characteristics of Epoxides”、in C.A.May、ed.、Epoxy Resins Chemistry and Technology(Marcel Dekker、1988)に記載されており、参照により本明細書中に取り込む。
【0075】
本発明での使用に好適なあるクラスのエポキシ樹脂は、二価フェノールのグリシジルエーテルを含む、多価フェノールのグリシジルエーテルを含む。具体的に説明する例は、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビス−(4−ヒドロキシ−3、5−ジフルオロフェニル)−メタン、1、1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、2、2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、2、2−ビス−(4−ヒドロキシ−3、5−ジクロロフェニル)プロパン、(ビスフェノールAとして商業的に公知の)2、2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、(ビスフェノールFとして商業的に公知であり、そして異なる量の2−ヒドロキシフェニル異性体を含むことができる)ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、およびその同類のもの、またはそれらいずれかの組み合わせのグリシジルエーテルを含むがこれらに限られない。さらに、以下の構造
【化7】

(式中、tは整数であり、そしてRは、上記に記載したこれらの二価フェノール等の二価フェノールの二価の炭化水素基である。)の前進した(advanced)二価フェノールがまた、本発明において有用である。この式による材料は、二価フェノールと、エピクロルヒドリンとの混合物とを重合させること、または二価フェノールのジグリシジルエーテルと二価フェノールとの混合物を前進させることによって調製できる。所与の分子において、tの値は整数であるが、材料は、必ずしも整数ではないtの平均値によって、常に特徴付けることができる混合物である。0〜約7のtの平均値を有するポリマー材料は、本発明の1つの形態において使用できる。
【0076】
別の形態では、ノボラック樹脂のグリシジルエーテルであるエポキシノボラック樹脂は、本発明に従って多官能性エポキシ樹脂として使用できる。また別の形態において、少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂は、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、前進したまたはより高分子量バージョンのDGEBA、ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、またはそれらいずれかの組み合わせである。DGEBAのより高分子量のバージョンまたは誘導体は、過剰のDGEBAが、ビスフェノールAと反応して、エポキシ末端生成物を与える前進工程によって調製される。そうした生成物のこのエポキシ当量(EEW)は、約450〜3000以上の範囲である。これらの生成物は、室温で固体であるので、これらの生成物は、多くの場合、固体エポキシ樹脂と呼ばれる。
【0077】
DGEBAまたは前進したDGEBA樹脂は、それらの低コストと、全般的な高性能特性との組み合わせにより、多くの場合、被膜調合物中で使用される。約174〜約250、そしてさらに一般的に、約185〜約195の範囲のEEWを有する商業的グレードのDGEBAは、容易に入手できる。これらの低分子量において、このエポキシ樹脂は、液体であり、そして多くの場合、液体エポキシ樹脂と呼ばれる。純粋なDGEBAは、174のEEWを有するので、液体エポキシ樹脂のほとんどのグレードは、わずかにポリマーであることが当業者に理解される、前進工程によって一般的に調製される250〜450の間のEEWを有する樹脂はまた、室温において固体と液体との混合物であるので、半固体エポキシ樹脂と呼ばれる。
【0078】
最終用途により、エポキシ成分を改変することによって、本発明の組成物の粘度を低下させることが有益であることができる。例えば、安易な適用を可能にしながら、調合物または組成物中の顔料のレベルを高められるように、またはより高分子量のエポキシ樹脂の使用を可能にするように、この粘度は低下できる。従って、少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分が、単官能基のエポキシドをさらに含むことは、本発明の範囲内である。モノエポキシドの例は、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、並びにフェノール、クレゾール、tert−ブチルフェノール、他のアルキルフェノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、C〜C14アルコール、およびその同類のもののグリシジルエーテルを含むがこれらに限られない。
【0079】
可塑剤および溶媒および他の添加物
本発明の組成物は、種々の製造品を生産するのに使用できる。物品の最終用途のために、または、製造の間の必要により、種々の添加物を、特異的な性質を調整するために、調合物および組成物中で用いることができる。
【0080】
本発明の幾つかの形態において、可塑剤または溶媒は、アミンまたはアミンエポキシ組成物に加えられる。一般的に、好適な可塑剤または溶媒は、芳香族、脂肪族、エステル、ケトン、エーテル、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、およびその同類のもの、並びにそれらの混合物であることができる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルプロピルケトン、メチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、およびその同類のもの等のケトンは、溶媒として使用でき、多くの場合、乾燥速度をほとんどまたは全く犠牲にすることなく改善されたポットライフとなる。エステル可塑剤または溶媒が、フタル酸のエステル等の組成物または調合物に含まれる場合、アミン硬化剤とのそれらの反応を最小化させるように、通常、エポキシ樹脂を含有するパッケージ内で調合することが必要である。他の有用な可塑剤または溶媒は、ベンジルアルコール、n−ブタノール、イソプロパノール、トルエン、キシレン、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、t−ブチルフェノール、ビスフェノールA、クレゾール、カシューナッツ殻液、(多くの場合、PMと略称される)プロピレングリコールモノメチルエーテル、並びにShellsolの商標名で市販されているもの等の脂肪族および/または芳香族炭化水素溶媒を含むがこれらに限られない。1超の可塑剤または溶媒の組み合わせの混合物を使用可能である。例えば、本発明のアミンまたはアミンエポキシ組成物において用いられる少なくとも1種の可塑剤または溶媒は、ベンジルアルコール、n−ブタノール、キシレン、メチルエチルケトン、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、カルダノール、フタル酸のエステル、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0081】
本発明により使用できる他の可塑剤は、当業者に周知であり、そしてD.F.Cadogan およびC。J.Howick.‘Plasticizers’、in J.I.Kroschwitz、ed.、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、4th Ed.、Wiley、New York、1996、Vol.19、pp.258〜290においてさらに広く記載されている。エポキシアミン熱硬化性被膜中で可塑剤は、周囲温度または準周囲温度で硬化される系において典型的に利用される。熱硬化を適用する際に、可塑剤の穏和ものでさえ、実質的な放射が生じ、多くの場合、フィルム収縮および応力増加となる。これは、周囲温度での初期硬化に続けて、典型的には、約50〜約160℃の範囲の熱をさらに適用することによって、接着部を調整する能力が重要である接着用途と対照的である。
【0082】
本発明の組成物および調合物で用いることができる他の添加物は、加速剤、フィラー、ガラスまたはカーボンファイバー等のファイバー、顔料、顔料分散剤、レオロジー改質剤、チキソトロープ剤、流れ助剤または平準助剤、消泡剤、またはそれらいずれかの組み合わせを含むがこれらに限られない。当該技術分野で知られている他の混合物または材料が、組成物または調合物中に含まれることができ、そして本発明の範囲内であることが理解される。
【0083】
いくつかの状況では、エポキシアミン硬化反応のための加速剤を用いることが好都合であることができる。そうした加速剤は、H.Lee and K.Neville、Handbook of Epoxy Resins、McGraw−Hill、New York、1967に記載されている。当業者は、前記の可塑剤または溶媒のいくつかは、加速剤として機能することができることを認識するであろう。加速剤のさらなる非限定の例は、例えば、サリチル酸、ジメチルアミノメチルフェノール、ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の種々の有機酸、第三級アミン、およびヒドロキシルアミン、およびその同類のもの、またはそれらの組み合わせを含む。通常は、加速剤は、バインダーの全重量に基づいて、10%以下のレベルで、そしてさらに多くの場合、5%以下のレベルで、使用される。
【0084】
さらに、本発明の範囲内の組成物はまた、無溶媒であることができ、溶媒なし、または100%固体と呼ばれる。あるいは、これらの組成物は、少なくとも1種の溶媒をさらに含むことができる(溶媒はまた、希釈剤と呼ばれる)。しばしば、溶媒の溶媒または混合物が、調合物の成分の溶解度を保ちながら、組成物または調合物のための特異的な蒸発速度プロファイルを与えるために選択される。
【0085】
物品
本発明はまた、本明細書中に開示された組成物を含む製造品を対象にする。例えば、物品は、アミン硬化剤成分と、エポキシ成分との接触生成物を含む硬化したアミンエポキシ組成物を含むことができる。アミン硬化剤成分は、DM−MXDAおよび少なくとも1種の多官能性アミンを含むことができる。エポキシ成分は、少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むことができる。任意選択的に、種々の添加物は、所望の特性により、物品を生産するために使用される組成物または調合物中に存在できる。これらの添加物は、可塑剤または溶媒、加速剤、フィラー、ガラスまたはカーボンファイバー等のファイバー、顔料、顔料分散剤、レオロジー改質剤、チキソトロープ剤、流れ助剤または平準助剤、消泡剤、またはそれらいずれかの組み合わせを含むことができるがこれらに限られない。
【0086】
本発明による物品は、被膜、建造品、床材製品、または複合製品を含むがこれらに限られない。これらのアミンエポキシ組成物に基づく被膜は、無溶媒であることができ、または特別な用途のために必要な溶媒を含むことができる。例えば、50%超、65%超、75%超、85%超の固体含有量を有する被膜は、本発明の範囲内である。被膜は、ペイント用途での使用のために種々のタイプおよびレベルの顔料を含むことができる。
【0087】
多数の基材は、適切な表面調製を有する本発明の被膜の適用に好適であり、当業者に周知である。そうした基材、コンクリート等のセメント質材料およびスチールおよびアルミニウム等の種々のタイプの金属および合金を含むがこれらに限られない。例えば、低温硬化、室温で適用された場合、良好な表面外観、良好な可撓性、および本発明の被膜の良好な腐食保護は、室温以下の条件で、塗布され、そして/または硬化されなければならない、船舶、橋梁、工業プラントおよび装置、および床を含む、大きな金属物またはセメント質基材に塗布し、または被覆するのを好適にする。本発明の被膜は、約−10℃〜約50℃の範囲の温度、またあるいは、約0℃〜約35℃の範囲の温度で適用でき、そして硬化できる。必要に応じて、これらの被膜はまた、より高い温度で強制的に硬化でき、多くの場合、硬化した材料の可撓性を改善できる。従って、船舶、橋梁、および工業プラント、および装置を含む、周囲条件または準周囲条件下で、多くの場合、塗布され、そして硬化される本発明のアミンエポキシ組成物で被覆した物体、特に大きな金属物は、本発明によって考慮され、そして包含される。
【0088】
本発明による被膜は、典型的には用途および目標とされる基材のタイプにより、50〜5、000μmの厚さを有する。例えば、機械的および/または化学的応力に対して保護する目的のために、金属、コンクリート、またはセメント質基材に適用された被膜は、多くの場合、約50〜約500μm、または約100〜約300μmの厚さを有する。あるいは、以下の例32〜36中のものにおいて具体的に説明される等の、その下にある基材に耐荷重性特性を提供するのに必要である被膜または調合物は、典型的には、約1〜3ミリメーターの厚さを有する。
【0089】
被膜は、幾つかの点で接着と異なる。例えば、接着は、2つの基材または表面間で接着を確立し、そしてこれらの基材または表面を共に接着して保つように設計されている。したがって、一般的に、接着剤の環境への直接の暴露がないように限定されている。対照的に、被膜は、1つの基材または表面に付着する。従って、接着基材または接着表面と反対側の被膜表面(「被膜表面」)は、空気、他のガス、水/湿度、薬品等である場合がある環境にさらされる。この被膜表面はまた、光沢度および耐カルバメート化能力に特徴付けることができる美的仕上げを提供する。被膜表面の特性はまた、機械的、化学的、または熱的曝露に耐える被膜の能力に影響し、そしてしたがって、基材またはその下の表面を保護する被膜の能力に直接影響する。これらの特性を評価するために使用できる分析試験は、耐EIS(EIS resistance)データ、耐衝撃性、マンドレル屈曲、ペルソズ・ペンダルム(Persoz Pendulum)硬度などを含む。例えば、本発明の被膜は、一般的に少なくとも約1×10Ωの24時間耐EIS細孔値(24−hour EIS pore resistance values)を有する。別の形態では、本発明の被膜は、少なくとも約1×10Ωの24時間耐EIS細孔値を有する。また、別の形態では、本発明の被膜は、少なくとも約1x10Ωの24時間耐EIS細孔値を有する。
【0090】
別の形態では、例えば、建設用途において、本発明の被膜は、約30〜約200kg.cm.の範囲にある耐衝撃性(直接;Schedule A)を有することにより特徴付けることができる、例えば、この耐衝撃性は、約40〜約100、または約45〜約70kg.cm.の範囲にあることができる。
【0091】
被膜はまた、周囲温度において、または準周囲温度において、急速に硬化できるそれらの能力において、接着剤と異なる。例えば、造船所は、多くの場合、冬が寒い場所に位置し、そして、船舶または船舶の一部は、より高い温度条件を促進するために加熱できないので、造船所において適用される被膜は、5℃またはさらに低温で硬化することが必要である。低温での硬化はまた、被膜が、準周囲条件下で駐車場および倉庫において適用される床建築、またはエリアの公衆への閉鎖を最小化するために必要な、急速なサービス提供復帰時間が必要な建物内での使用に適当である。硬化または乾燥時間は薄膜セットタイム(film set time)、およびペルソズ・ペンダルム硬度等の測定を使用して評価できる。一般的に、本発明の被膜は、25℃で約12時間未満、例えば、約8時間未満、または約6時間未満の(フェーズ2および/またはフェーズ3)の薄膜セットタイムを有する。さらに、本発明の被膜は、約1時間〜約8時間、または約1時間〜約6時間の範囲の薄膜セットタイムを有することを特徴とできる。本発明の別の形態では。例えば、本発明の被膜の薄膜セットタイムは、25℃で約1〜約5時間であることができる。
【0092】
同様に、本発明の被膜が、5℃で、約25時間未満、例えば、約20時間未満の(フェーズ2および/またはフェーズ3)の薄膜セットタイムを有することができることが考慮される。しばしば、薄膜セットタイムは、5℃で、約2〜約18時間、または約2〜約15時間の範囲である。本発明の幾つかの形態において、5℃で被膜の薄膜セットタイムは、約2〜約12時間、または約2〜約10時間の範囲である。
【0093】
本発明の被膜は、スプレー、ブラシ、ローラー、ペイントミット、およびその同類のものを含む多くの技術によって、適用できる。本発明の非常に高い固体含有量または100%固体の被膜を適用するために、アミンおよびエポキシ成分は、スプレーガンにつながるライン中、スプレーガンそれ自身中、またはスプレーを離れるにつれて、2つの成分を共に混合することによる、複数成分のスプレー適用装置を使用することができる。この技術を使用することは、アミンの反応性および固体含有量の両者が増加するにつれて、典型的に低下する調合物のポットライフに関する制約を軽減できる。複数成分の装置を加熱することは、成分の粘度を低下させ、それによって適用の容易さを改善するために使用できる。
【0094】
土木工学最終用途は、建設業界において一般的に使用されるコンクリート、または他の材料等のセメント質材料と組み合わせた本発明のアミンエポキシ組成物を含む調合物を含む建設および床用途を含むことができる。本発明の組成物は、多くの場合、セメント質または他の類似のタイプの床材料から通常得られるより良好な機械的特性(例えば、改善された引っ張り強度または改善された圧縮強度)またはより良く伸びることを必要とする用途において、エポキシ系の床の建築に使用できる。亀裂注入および亀裂充填製品、並びにポリマー改質セメント、タイル用グラウト、モルタル、およびその同類のものはまた、本明細書中に開示された組成物から調製できる。数十ミクロンから数ミリメーター厚までの厚さの範囲の床用プライマーおよび被膜等のアミンエポキシ組成物を用いるコンクリートおよびセメント質材料のための製品はまた、本明細書中において考慮されている。
【0095】
本明細書中に開示されたアミンエポキシ組成物を含む複合製品または物品の非限定の例は、テニスラケット、スキー、自転車・オートバイのフレーム、飛行機の翼、グラスファイバー強化複合物、および他の成形された製品を含む。
【実施例】
【0096】
本発明は、本発明の範囲をいかなる様式においても制限すると解釈されない以下の例によってさらに具体的に説明される。本明細書中の記載を読んだ後で、種々の他の形態、態様、改質、および均等は、本発明の精神または請求項の範囲を離れることなく、当業者に示唆される。
【0097】
アミンエポキシ組成物の被膜を以下のように調製し、そして試験した。本発明に従ってアミン組成物を含む硬化剤混合物または組成物を、以下の表に与えられた成分を接触させ、そして混合させることによって調製した。それぞれの硬化剤混合物または組成物、または個々の硬化剤を、次に100重量部の樹脂(PHR)当りの部で表中に示されている使用のレベルで、多官能性エポキシ樹脂と混合した。これらの例で使用されるエポキシ樹脂、別に特定しない限り、182〜192の範囲にあるEEWを有するビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、グレードD.E.R.(商標)331であった。このエポキシ樹脂は、Dow Chemical Companyから市販されている。
【0098】
被膜特性を、表1に記載した標準試験法により測定した。透明被膜を、標準ガラスパネルに適用して、Beck−Koller乾燥時間記録計を使用して乾燥時間試験のため、およびペルソズ・ペンダルム硬度法によって硬度進行のためのサンプルを製造した。鏡面光沢度のための透明被膜を、未コートの、絹目紙チャート(AG5350、Byk)に適用した。被膜を、バードアプリケ−ターを使用して75μm WFT(湿潤薄膜厚)で適用し、60〜70μmから厚さの乾燥フィルムを生じた。フィルムを、Weiss人工気象室(タイプWEKK0057)を使用して、5℃かつ60%RH(相対湿度)または25℃かつ60%RHで硬化させた。約23℃かつ60%RHで硬化させたショアAおよびショアDデータを、2mm厚のエポキシ成形物上に装置を配置した後3秒で記録した。ペルソズ硬度およびショアAおよびショアDデータを、表中に示す時間で測定した。
【0099】
耐衝撃性およびマンドレル屈曲試験のための透明被膜を、それぞれ公称75WFTのワイヤーバーを使用して片側を磨いた、冷間圧延鋼板試験パネル、(大体のサイズ76mm×152mm×0.8mm厚)および滑らか仕上げの冷間圧延鋼板、(大体のサイズ76mm×152mm×0.5mm厚)に適用した。金属試験パネルを、Q Panel Lab Productsから得た。膜を(A)14日、周囲温度(周囲温度は、約23℃である。);または(B)14日周囲温度後、80℃で2時間、の計画によって硬化した。乾燥膜厚は、硬化計画Aに従うと約60〜80μmであり、そして硬化計画Bに従うと約50〜55μmであった。
【0100】
混合粘度を、Viscotherm VT10ウォーターバスおよびMC20温度制御ユニットを備えたRheolab MC20装置(Physica)を使用して決定した。装置は、TEK150コーンプレートを備え、そしてコンピューターに接続されている。装置を25℃で平衡にさせた後で、コーン(MK22)とプレートとの間隔を約50μmに設定した。試験前のサンプルを、25℃で24時間平衡にした。示したように混合させた後で、間隔からでた過剰生成物を除去し、そして混合生成物の回転粘度を、200レシプロカル秒ずり速度で、30秒後に記録した。
【0101】
電気化学的インピーダンス分光法(EIS)測定のための透明被膜を、片側を磨いた冷間圧延鋼板試験パネル(大体のサイズ76mm×152mm×0.8mm厚)に適用した。被膜を、75μm WFTワイヤーバーを使用して適用し、23℃および60%RHで7日硬化後に60〜70μmのフィルム厚となった。CMS100電気化学的測定システム(Gamry Instruments、Inc.)を有するFAS1ポテンシオスタットを使用してEISを行った。電解質(3重量%NaCl溶液)に曝された被膜の表面は、プラスチックのステッカー(sticker)を適用することによって、1cmの円に減少した。グラファイト棒電極を使用して、被膜の抵抗および静電容量データを、10mV ACの励起電圧を適用することによって、100秒の間、飽和カロメル電極(SCE)に対して、収集した。フーリエ変換に続いて、抵抗を、周波数の関数としてプロットし、そしてインピーダンスデータを分析し、そして耐細孔データにおける結果に適合させた。取水量(重量%でのV)を、1時間(Rc(1h))〜24時間(Rc(24h))の曝露の間の静電容量における変化から、式、V=100*[log{Rc(1h)/Rc(24h)}/log80]を使用して、計算した。
【0102】
エポキシ樹脂と、アミン系硬化剤とを混合させた後で、規定された粘度の点に到達するまでのゲル化時間またはゲル時間を経時で記録し、使い捨てガラスプランジャ(直径13mm)を備えた、そして1分当たり1サイクルで運転されるTechne GT3 Gelation Timerを使用して決定した。サンプルを、使用前に24時間室温で平衡にした。ゲル化時間を、周囲温度条件(約23℃)で反応する100mlのガラスジャーに充填した100gのアミンエポキシ混合物で記録した。エポキシ樹脂と、アミン系硬化剤との同種混合物の流量特性を、30gの混合物を水平の基材上に注ぐことによって決定した。混合物を硬化させた後で、流れの直径を、ミリメーターで測定した。
表1.分析試験の方法。
【表1】

【0103】
比較例1〜2
1段階工程を使用したDM−MXDAを含有するアミン混合物の合成
例1において、50gのテトラヒドロフラン(THF)、20gの1、3ジシアノベンゼン、および0.2gの5%Pd/C触媒を、攪拌機および水素バラストタンクを備えた250mlのステンレススチールバッチ圧力反応器中に入れた。Pd/C触媒は、Johnson−Mathey Corporationから市販されている。この反応器を窒素でパージし、そして密閉した。反応器の内容物を攪拌しながら、36gのメチルアミン(MMA)を、反応器中に加えた。次に、この反応器を水素で800psi(5.5MPa)まで加圧し、そして120℃まで加熱した。これらの条件を、バラストタンクからの水素の取り込み速度が、0.5psi/分(0.0034MPa/分)より下に落ちるまで維持した。この反応器を、室温まで冷却し、そして減圧し、そして触媒を除くためにこの生成物をろ過した。例1の反応生成物は、主にMXDAと、少量のみのMM−MXDAおよびDM−MXDAとのアミン混合物を含んでいた。
【0104】
例2では、0.2gの5%Ru/Al触媒を使用した点を除き、例1と同じ反応物材料を用いた。この触媒は、BASFから市販されている。攪拌しながら、この反応を、375psi(2.6MPa)の一定圧力および125℃の温度で1000分間進行させた。触媒を除去するためにろ過した後で、例2の反応生成物は、アミン混合物を含んでいた。表2は、例2が44.9%のMXDAおよび54.9%の重量物(heavies)を生じるが、DM−MXDAまたはMM−MXDAを全く生じないことを示す。例1〜2は、DM−MXDAを合成するための有効な方法である。
【0105】
例3〜4
2段階工程を使用したDM−MXDAを含有するアミン混合物の合成
表2〜3に、例3および4で利用される反応条件および材料、ならびに中間および最終反応生成物の分析をまとめた。例3では、50gのTHF、20gの1、3ジシアノベンゼン、および0.2gの5%Pd/C触媒を、攪拌機および水素バラストタンクを備えた250mlのステンレススチールバッチ圧力反応器に入れた。反応器を、窒素でパージし、そして密閉した。反応器の内容物を攪拌しながら、34gのメチルアミン(MMA)を、反応器に加えた。この反応器を次に、375psi(2.6MPa)に水素で加圧し、そして125℃に加熱した。これらの反応条件を、1000分間維持し、次にこの反応器を室温まで冷却し、そして減圧した。
【0106】
表2に示すように、得られた中間生成物(第1の段階の生成物)は、高いイミン含有量であった。工程の第2段階において、工程の第1段階で用いたのと同じ触媒を使用して、125℃および800psi(5.5MPa)で、150分間、中間生成物を水素化した。表2は、例3の最終アミン反応生成物が、約45%のMM−MXDAおよび約35%のDM−MXDAを含んでいたことを示す。
【0107】
例4は、例3と実質的に同じ手順を用いた。WR Graceから市販されている5%ラネーニッケル触媒を例4で使用した。最終アミン混合物は、約15%のDM−MXDAを含んでいた。さらなる詳細を表2〜3に示す。
【0108】
例1〜2に比較すると、例3〜4は、DM−MXDAまたはMM−MXDAが所望の生成物である場合、2段階工程を行うことの重要性を示す。例3〜4は、例2のアミン生成物で見いだされるのと比較して、MXDAの収率における大幅な低下を示す。
【0109】
例5〜6
2段階工程を使用したDM−MXDAを含有するアミン混合物の合成
表2〜3に、例5および6中で利用される反応条件および材料、ならびに中間および最終の反応生成物の分析を要約する。例5では、例3の手順と実質的に同じ手順を用いた。BASFから市販されている5%Rh/Al触媒を、例5で使用した。第1段階の最後で、中間反応生成物の組成は、73%の各ジイミンを含んでいた。Rh/Al触媒をろ過によって除去し、そして5%Pd/C触媒を水素化ステップで使用した。生じたアミン混合物は、非常に高収率のDM−MXDA(73%)と、約15%のMM−MXDAを有していた。さらなる詳細を表2〜3に示す。
【0110】
例6では、例5の手順と実質的に同じ手順を用いた。工程の第2ステップにおいて、ラネーニッケル触媒を、水素化触媒として使用した。最終のアミン反応生成物は、61%のDM−MXDAおよび26%のMM−MXDAを含んでいた。さらなる詳細を表2〜3に示す。
【0111】
例3〜4に比較すると、例5〜6は、工程の第1段階の中間反応生成物中で、遙かに高レベルの各ジイミンを生成した。さらに、例5〜6の最終のアミン生成物は、より高い量のDM−MXDAと、より低い量のMM−MXDAを含んでいた。理論に拘束されることを意図しないが、ジイミンの量、または第1段階において生成されたMMAと1、3−ジシアノベンゼンとの間の付加物の量を増加させることは、第2段階で生成されるDM−MXDAの収率を高めるようである。
【0112】
例7〜8
2段階工程を使用したDM−MXDAを含有するアミン混合物の合成
表2〜3に、例7および8中で利用される反応条件および材料、ならびに最終の反応生成物の分析を要約する。例7は、触媒として10%Pd/Cを使用するワンポット工程を、具体的に説明する。10%Pd/C触媒は、Johnson−Mathey Corporationから市販されている。例7の工程は、アミノメチル化および水素化がバッチ反応としてin−situで行われる2段階で行われた。
【0113】
第1ステップにおいて、200gの1、3−ジシアノベンゼン、3gの10%Pd/C触媒、および200gのTHFを、1000−ccのParr圧力反応器に入れた。この反応器を密閉し、そして圧力サイクルを窒素で3回掛けて、空気を除去し、そして次に3回水素でかけて、窒素を除去した。反応器の内容物を300回転/分で攪拌しながら、185gの無水MMAを、密閉された1気圧の水素圧力下で反応器に加えた。いったん添加が完了すると、1000回転/分で攪拌しながら、反応器の内容物を80℃に加熱し、そして約325psiの水素圧力下で維持した。これらの条件を、1リッターのバラストタンクからの水素取り込みの速度が、1psi/分(0.0069MPa/分)より下になるまで維持した。次に、反応器を50〜60℃の範囲に冷却し、そして過剰MMAおよびアンモニアをゆっくりと中間反応生成物からガス抜きした。
【0114】
工程の第2段階において、温度を約130℃まで高め、そして水素圧力を、950psiまで高めた。これらの条件を、水素取り込みの速度が約0.5psi/分より下になるまで維持した。次に、この反応器を、これらの条件で、さらに1時間維持した。全水素化反応時間は、約300分であった。反応器の内容物を室温まで冷却し、触媒を除去するためにろ過し、そして溶媒およびすべての軽量成分を除去するために回転蒸発(roto−evaporate)させた。例7の最終のアミン生成物の組成物を、表3中に報告した。
【0115】
例8では、例7の手順と実質的に同じ手順を用いた。例8は、6gの5%Pd/C触媒を利用した。さらなる詳細を表2〜3に示す。
【0116】
表3に示すように、例7〜8の工程は、非常に少量のMXDAまたはイミン誘導体等の副生成物を生成しながら、アミンの最終混合物中で70%を超えるDM−MXDAの収率となった。例7〜8の両方は、第1段階の終わりに反応器のガス抜きのステップを用いて、未反応のMMAおよびアンモニアの除去を可能にした。さらに、例7〜8は、反応の両方の段階で同じ触媒を使用し、従って除去は、反応の第1段階後の別々のろ過ステップを必要とする。
表2.例2〜8での1、3−ジシアノベンゼンと、MMAとの反応のまとめ。
【表2】

[a]第1段階の中間生成物の組成は、決定しなかった。
表3.水素化反応例3〜8の水素化反応のまとめ。
【表3】

[a]工程の第1段階からの触媒;新たな触媒は加えなかった。
【0117】
例9
2段階工程を使用するDM−MXDAを含有するアミン混合物の合成
200gのTHF、200gの1、3ジシアノベンゼン、および3gの10%Pd/C触媒を、攪拌機および1リッターの水素バラストタンクを備えた1リッターのステンレススチールバッチ圧力反応器内に入れた。この反応器を窒素でパージし、そして密閉した。反応器の内容物を攪拌しながら、200gのメチルアミンを反応器中に加えた。次に、この反応器を水素で350psi(2.4MPa)まで加圧し、そして80℃まで加熱した。これらの条件を、バラストタンクからの水素の取り込み速度が、0.5psi/分より下に落ちるまで維持した。この反応器を、アンモニアおよびあらゆる未反応のMMAを除去するために、ガス放出させた。
【0118】
つぎに、水素反応器の圧力を、850psiに高め、そして温度を、125〜130℃の範囲に高めた。これらの条件を、バラストタンクからの水素の取り込み速度が、0.5psi/分より下に下がるまで維持した。次に、反応器を室温まで冷却し、そして減圧させ、そして触媒を除くためにこの生成物をろ過した。この反応生成物を、真空下で蒸留し、面積%を介してガスクロマトグラフィーによって測定して、87.8%のDM−MXDAおよび11.7%のMM−MXDAを含有するアミン混合物を生じた。以下の表では、例9のこのアミン組成物を、EX−9として示した。
【0119】
比較例10〜18
比較エポキシ硬化剤組成物でできた被膜
比較例10〜18の調合物および結果の特性を、表4〜5に要約する。例10は、粘度が高いポリアミド付加物の硬化剤を使用し、そしてしたがって、適用粘度において低固体(low solid)を有した。例10の被膜は、室温で、および特に5℃で、遅い乾燥速度および低い硬度進行を示した。例10の被膜は、良好な耐衝撃性を有した。
【0120】
例11は、また粘度が高い脂肪族アミン硬化剤を使用し、そして、したがって、適用粘度において低固体を有した。例11の被膜は、中程度の耐衝撃性を示したが、周囲条件および5℃において、速い硬化速度および高い光沢を示した。
【0121】
例12では、ニート(neat)粘度が高いフェナルカミンマンニッヒ塩基を使用し、そして、したがって、適用粘度において低固体を有した。この被膜は、5℃で遅い乾燥速度および乏しい硬度進行を示した。さらに、例12の被膜は、中程度の衝撃およびマンドレル屈曲可撓性を示した。
【0122】
例13は、MPCA等の多官能性アミンを使用し、本発明のDM−DMDAを使用しない被膜特性を具体的に示す。被膜組成物は、高い混合粘度を有し、この被膜は、周囲条件および5℃の両方において、ゆっくりと硬化し、そして、この被膜は、貧弱な耐衝撃性を有した。例13の被膜は、周囲温度および5℃の両方において、高い光沢を示した。
【0123】
例14では、硬化剤としてメチルアミン末端ポリ−(N−メチルアザシクロヘプタン)を使用した。この材料は、米国特許出願公開第11/584、388号明細書中で記載された手順に従って生成でき、参照により、その開示の全てを本明細書中に取り込む。例14中で使用された硬化剤は、米国特許出願公開第号11/584、388号明細書からの約121の推定アミン水素当量重量(AHEW)および約184の数平均分子量(Mn)を有するDSD−1であった。例14の被膜は、周囲温度で速い乾燥速度および優れた耐衝撃性を示した。5℃で、被膜は、中程度の乾燥速度を示し、そしてべたついた。
【0124】
例15では、硬化剤としてメチルアミン末端ポリ−(N−メチルアゼチジン)のマンニッヒ塩基誘導体を使用した。この材料は、米国特許出願公開第12/100、096号明細書に記載された手順に従って生成でき、参照により、その開示の全てを本明細書中に取り込む。例15中で使用された硬化剤は、米国特許出願公開第12/100、096号明細書からの、25℃で59mPa・sの粘度および850mgKOH/gのアミン値を有するMBC−9であった。例15の被膜は、周囲温度および5℃で急速に硬化し、優れた可撓性を有する高い光沢の被膜を生じた。
【0125】
例16では、硬化剤としてメチルアミン末端ポリ−(N−メチルアゼチジン)を使用した。この材料は、米国特許出願公開第11/584、388号明細書に記載された手順に従って生成できる。例16中で使用された硬化剤は、米国特許出願公開第11/584、388号明細書からのM、約117の推定されたAHEW、877mgKOH/gのアミン値、および約239のMを有するDSD−4であった。例12に比較すると、例16の被膜調合物は、より低い混合粘度を示し、そして改善された可撓性およびより速い硬化速度を有する被膜を生じた。
【0126】
例17は、硬化剤としてメチルアミン末端ポリ−(N−メチルアゼチジン)のマンニッヒ塩基誘導体を使用した。この材料は、米国特許出願公開第12/100、096号明細書に記載された手順に従って生成できる。例17中で使用される硬化剤は、米国特許出願公開第12/100、096号明細書からの、25℃で59mPa・sの粘度および850mgKOH/gのアミン値を有するMBC−9であった。例12に比較すると、例17の被膜調合物は、より低い混合粘度を示し、そして、改善された耐衝撃性およびより速い硬化速度を有する被膜を生じた。
【0127】
例18は、硬化剤としてMPCAを有するN、N’ジメチル−1、6−ヘキサメチレンジアミン(DM−HMDA)を使用した。この被膜調合物は、低粘度を有し、そしてそれぞれの被膜は、速い乾燥速度および高い耐衝撃性を示した。
【0128】
例10〜12に基づく被膜は、多くの場合、それらの中〜高程度の腐食保護特性による金属保護用途において使用される。これらのバリアー特性は、表4に示すように、EIS測定によって決定される高い耐細孔性および低い取水量データの両方によって示される。例13の被膜はまた、高い耐細孔性および低い取水量を提供する。高い耐細孔性および低い取水量の組み合わされた特性は、良好な腐食保護を得るために、そして被膜が金属基材に適用された場合に、腐食による早い被膜の欠陥を防ぐために、望ましい。例10〜13の被膜は、例14〜18の被膜より優れた腐食保護性能を提供する。
【0129】
表4.25℃で硬化したか、または硬化計画A〜Bによる比較例。
【表4】

[a]1Pa.s.の比較できる適用粘度に適合させるために、キシレン:ブタノール(3:1)で調製した。
【0130】
表4. (続き)。
【表5】

【0131】
表5.5℃で硬化した比較例。
【表6】

【0132】
表5(続き)。
【表7】

【0133】
例19〜30
アミンエポキシ組成物でできた被膜
例19〜30の調合物および生じた特性を、表6〜7に示す。例19〜22および24〜28は、本発明の形態に従ってDM−MXDAを利用した例示的な調合物および被膜から得られた特性を具体的に示す。これらの例は、約87.8%のDM−MXDAおよび11.7%のMM−MXDAを含有する例9(EX−9)のアミン混合物を利用した。例23は、本発明のDM−MXDAを全く有さない、多官能性アミン、MXDAを使用することによって達成された被膜特性を具体的に示す。例29〜30は、表6中でTMD−1と略称されているシクロヘキシル−TMDアミン組成物および2、2、4(2、4、4)−トリメチルヘキサメチレン−1、6−ジアミンの略称であるTMDを使用して得られた被膜特性を具体的に示す。このTMD−1アミン混合物は、74重量%のN−シクロヘキシル−TMD、22重量%のN、N’ジシクロヘキシル−TMD、および4重量%のTMDを含んでいた。
【0134】
TMD−1アミン混合物を、水素および1.5重量%(乾燥基準)Pd/C(Aldrich、Degussa Type E101N/OW)の存在下で、1.1モルのシクロヘキサノンと、1モルのTMDとを反応させて、調製した。1リッターのParr圧力反応器を、355.4gのTMD、5.35gのPd/C(乾燥重量)、および243.9gの試薬グレードのシクロヘキサノンで充填した。この反応器を密閉し、そして空気を除くためにそれぞれ窒素で、そして次に窒素を除くために水素で3回圧力サイクルに掛けた。次に、この反応器を、750〜1000回転/分で攪拌しながら、80℃に加熱し、そして水素で120psigに加圧した。温度80℃で約50分間保ち、次に、温度を、120℃まで高め、そして水素圧力を、800psigまで高めた。これらの条件を、180分間維持した。次に、この反応温度を、反応を完了させるために、130℃まで約1時間高めた。反応器の内容物を、40℃まで冷却し、そして次に除去した。回転蒸発の後で、生じたTMD−1組成物は、74重量%のN−シクロヘキシル−TMD、22重量%のN、N’ジシクロヘキシル−TMD、および4重量%のTMDであった。
【0135】
例19〜20は、DM−MXDAおよび可塑剤または溶媒、すなわち、ベンジルアルコールを含有する組成物を利用した。例19および20のアミンエポキシ組成物は、計算された化学量論比で、エポキシ樹脂のエポキシ当量:例9のアミン当量に対して、約1:1および約4:1を、それぞれ有した。例19は、周囲条件および5℃で、優れた光沢および良好な早い硬度進行を有する被膜を生成した。さらに、例19の被膜は、周囲温度および5℃で、例10、12、および13に対し、例19の薄膜セットタイムに比較することによって見ることができるように、比較的素早く乾燥した。例20の被膜は、非常に低量の活性水素においてさえ、DM−MXDAが、エポキシ樹脂を硬化するために効果的な硬化剤であることを示した。すなわち、例20は、100当量のエポキシ当たり23アミン水素当量のみ使用し、まだ周囲温度硬化において、高い光沢および良好な初期硬度を有する被膜を生成する。5℃では、硬化速度は低下したが、硬い被膜が長い間に得られた。
【0136】
例21〜22および24〜25は、例9(約88%のDM−MXDA)、少なくとも1種の多官能性アミン、および可塑剤または溶媒を含有する組成物を利用した。例21〜22は、少なくとも1種の多官能性アミンとしてMPCAを使用し、例24は、MXDAを使用し、そして例25はIPDAを使用した。例26では、DM−MXDAおよび少なくとも1種の多官能性アミン、CX−105を用いたが、可塑剤または溶媒を含まなかった。
【0137】
例21〜22の被膜組成物は、低い混合粘度を有し、従って、例えば、例10〜12および14に比較すると、高固体の使用を可能にした。例10〜13に比較すると、例21〜22の被膜は、改善された硬化速度および硬度およびマンドレル屈曲試験、計画Bに示されるように、周囲温度および5℃の両方で、より優れた可撓性を与えた。例21〜22は、特に計画Bに従って、低混合粘度、早い乾燥速度、非常に初期での硬度および優れた耐衝撃性の組み合わせを提供し、これは、例14〜18で見いだすことができるが、例10〜13では見いだすことができない。
【0138】
例21〜22に比較すると、例24〜25は、類似の混合粘度を示した。例24の被膜は、中程度の光沢および可撓性を示したが、カルバメート化に曝された。カルバメート化は、例23によって具体的に説明されるように、多官能性アミンとしてMXDAの使用に関係する場合があるようである。
【0139】
驚いたことに、例22および26の被膜は、例10〜13に匹敵する、高い耐細孔性および低い取水量を示した。したがって、例22および26の被膜は、金属基材の被膜等の金属保護用途において重要な特徴である、高いバリアー特性を示した。DM−MXDAを含む例22および26の被膜のバリアー特性(耐細孔性、取水量)は、例14〜18のバリアー特性より著しく良好であった。
【0140】
例27〜28の被膜はまた、高い耐細孔性および低い取水量を示し、そして減少した光沢(つや消し)外観を除いて、25℃での例21〜22のものに類似する特性を示した。例29〜30は、TMD−1を用い、そして例えば、例21〜22に比較すると、25℃で遅い乾燥速度および遅い硬度進行の両方を示した。同様に、5℃で、例29〜30は、長い硬化時間を有し、そして、それぞれの被膜の粘着性により、ペルソズ硬度は測定できなかった。
【0141】
表6.25℃で硬化、または硬化計画A〜Bによる例19〜30。
【表8】

【0142】
表6.(続き)。
【表9】

【0143】
表6.(続き)。
【表10】

[a]例27〜30のための光沢測定を、絹目紙背景の代わりにガラスパネル背景を使用して行った。一般的に、ガラス背景を使用した約140〜170の光沢読み取り値は、例19〜26で用いた絹目紙背景を使用した少なくとも95の光沢読み取り値に関連づけられる。
【0144】
表7.5℃で硬化した例19〜30。
【表11】

【0145】
表7. (続き)。
【表12】

【0146】
表7. (続き)。
【表13】

[a]例27〜30のための光沢測定を、絹目紙背景の代わりにガラスパネル背景を使用して行った。一般的に、ガラス背景を使用した約140〜170の光沢読み取り値は、例19〜26で用いた絹目紙背景を使用した少なくとも95の光沢読み取り値に関連づけられる。
【0147】
例31
エポキシ床組成物の調製
エポキシ樹脂、顔料、フィラー、および他の添加物を含有する床組成物を、6cm直径の溶解器ブレード(VMA−Getzmann GmbH)を備えた実験室溶解器(Dispermat(商標)CV、VMA−Getzmann GmbH)を使用して、1リッターの容器中で調製した。以下の材料を、1リッターの容器に入れ、そして約1500回転/分で、混合物:336gのビスフェノールA/Fエポキシ樹脂(D.E.R.352、EEW172−181、Dow Chemical Company);69gのC12〜C14アルコールのグリシジルエーテル(Epodil(商標)748、EEW275〜300、Air Products and Chemicals、Inc.);15gのByk(商標)057(Byk Chemie消泡助剤);および10gのDynol(商標)604(Air Products and Chemicals、Inc.、平準助剤)が均一になるまで混合した。次に、100gの二酸化チタン(Kronos(商標)2160、Kronos)および470gの硫酸バリウム(Barytmehl F、 Sachtleben Chemie GmbH)を加え、そして低速度で、混合物が均一になるまで混合した。次に、速度を、4000回転/分まで、15分間高めて、粗い顔料とフィラー粒子とを均質化させ、その時点で、温度は、50℃まで上昇した。混合物の最大粒径を、粒ゲージ(fineness of grind gage)(Precision Gage Tool Co.、モデル5250)を使用して20μm未満と決定した。その後に、混合物を周囲温度まで冷却した。例31のような調合物は、アミン硬化剤、および任意選択的に砂と混合された場合、当業者に周知であり、そして多くの場合自己平準剤(self−levelers)、自己平準(self−leveling)床システム、または他の類似の用語で呼ばれる。
【0148】
例32〜36
アミンエポキシ床組成物
例32〜35は、例31の例示的な床調合物、砂(0.2〜0.4mmの粒径)、およびDM−MXDAを含有するアミン組成物、少なくとも1種の多官能性アミン、および可塑剤または溶媒を混合することによって得られた特性を具体的に示す。例36は、A1618、脂環式アミン付加物を含むが、DM−MXDAを含まないアミン組成物を用いた。
【0149】
約100部の砂、100部の例31の調合物、および18〜24部のそれぞれのアミン硬化剤組成物を混合した。表8に8、使用した成分およびアミンエポキシ床調合物の特性を要約する。表8に示すように、例32〜35のそれぞれは、例36に匹敵する流れおよびショアAおよびD硬度進行(2mmの被膜厚さで)を有した。例32〜35の、例33は、硬化前のより作業時間を示す、より長いゲル時間を有した。
【0150】
表8.23℃で硬化した例32〜36の組成物および特性。
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);
(ii)3つまたは4つ以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の多官能性アミン;および、
(iii)任意選択的に、少なくとも1種の可塑剤または溶媒、
を含んで成る、アミン組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の可塑剤または溶媒を含む、請求項1のアミン組成物。
【請求項3】
該少なくとも1種の可塑剤または溶媒が、ベンジルアルコール、n−ブタノール、キシレン、メチルエチルケトン、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、カルダノール、フタル酸のエステル、またはそれらいずれかの組み合わせを含む、請求項2のアミン組成物。
【請求項4】
DM−MXDA:該少なくとも1種の多官能性アミンの重量比が、約10:90〜約90:10の範囲にある、請求項2のアミン組成物。
【請求項5】
該少なくとも1種の多官能性アミンが、N−モノメチル−メタ−キシリレンジアミン(MM−MXDA)を含む、請求項2のアミン組成物。
【請求項6】
(a)請求項1のアミン組成物;および、
(b)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分、
を含む、アミンエポキシ組成物。
【請求項7】
該エポキシ成分中のエポキシ基:該アミン組成物中のアミン水素の化学量論比が、約2:1〜約1:1.2の範囲にある、請求項6のアミンエポキシ組成物。
【請求項8】
請求項6のアミンエポキシ組成物を硬化することを含む、方法。
【請求項9】
請求項8の方法によって得られた、製造品。
【請求項10】
被膜、建設製品、床製品または複合製品である、請求項9の製造品。
【請求項11】
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);および、
(ii)アレーンアミン;芳香族アミン;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのマンニッヒ塩基誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのポリアミド誘導体;脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミドアミン誘導体;および脂肪族アミン、脂環式アミン、アレーンアミンまたは芳香族アミンのアミン付加物誘導体;またはそれらいずれかの組み合わせから選択される少なくとも1種の多官能性アミン、
を含んで成るアミン組成物。
【請求項12】
(a)請求項11のアミン組成物;および、
(b)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分、
を含む、アミンエポキシ組成物。
【請求項13】
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);および、
(ii)3つまたは4つ以上の活性アミン水素を有する少なくとも1種の多官能性アミン;
を含んで成る、アミン組成物、
ここで、N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA):該少なくとも1種の多官能性アミンの重量比は、約65:35〜約1:99である。
【請求項14】
(a)請求項13のアミン組成物;および、
(b)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分、
を含む、アミンエポキシ組成物。
【請求項15】
(i)N、N’ジメチル−メタ−キシリレンジアミン(DM−MXDA);および、
(ii)フェナルカミン;メタ−キシリレンジアミン(MXDA);1、3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1、3−BAC);およびメチレン架橋ポリ(シクロヘキシル芳香族)アミン(MPCA)の混合物;またはそれらいずれかの組み合わせから選択された少なくとも1種の多官能性アミン、
を含んで成る、アミン組成物。
【請求項16】
(a)請求項15のアミン組成物;および、
(b)少なくとも1種の多官能性エポキシ樹脂を含むエポキシ成分、
を含む、アミンエポキシ組成物。
【請求項17】
請求項16のアミンエポキシ組成物硬化することを含む、方法。
【請求項18】
請求項17の方法によって得られた、組成物。
【請求項19】
請求項18の組成物を含む、製造品。
【請求項20】
該物品が、被膜、建設製品、床製品、または複合製品である、請求項19の物品。

【公開番号】特開2010−47574(P2010−47574A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−192873(P2009−192873)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】