説明

低表面エネルギーポリイソシアネート、その製造方法およびそれを含む一または二成分被覆組成物

【課題】小さい表面張力を有し、従って低表面エネルギー、改善した表面および向上した清浄性及び既知ポリウレタン被膜の他の有用な特性も有する被膜の形成に好適な被覆組成物を提供でき、未反応モノマージイソシアネートの除去を必要とせずに製造しうるポリイソシアネートを提供する。
【解決手段】5〜35wt%のNCO含量及び3wt%未満のモノマージイソシアネート含量を有し、ポリイソシアネートアダクトから製造され;ウレタン基より多い当量のアロファネート基が存在する量、かつ25℃で1ヶ月間の保存でポリイソシアネート混合物が安定かつ均質に維持される量でアロファネート基を含有し;シロキサン基を0.002〜50wt%の量で含有しており、シロキサン基は、イソシアネート基と炭素原子に直接結合したヒドロキシル基及びシロキサン基を含有する化合物とを反応させることによって組み込まれるポリイソシアネート混合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロファネート基およびシロキサン基を含有する低表面エネルギーポリイソシアネート;およびヒドロキシル基およびシロキサン基を含有する化合物の存在下にポリイソシアネートアダクトのイソシアネート基をアロファネート化することによるその製造法;ならびに一および二成分被覆組成物におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックまたは未ブロック形態のポリイソシアネート成分、およびイソシアネート反応性成分、通例高分子量ポリオールを含有するポリウレタン被覆組成物はよく知られている。
【0003】
このような組成物から製造した被膜は、多くの有用な特性を有するが、向上させる必要がある1つの特性は、特に、表面の品質である。くぼみ(クレーター)などの表面欠陥を有する被膜ではなくて、平滑面を有する被膜を得るために、被覆組成物を処方することは困難なことである。
【0004】
このような困難さは、二成分被覆組成物の高表面張力に関係していると考えられる。高表面張力によって生じる別の問題は、被膜清浄化の難しさである。その見込まれる応用分野にかかわらず、被膜は、汚れ、落書き等を受ける可能性が高い。
【0005】
ポリイソシアネートの表面張力および得られたポリウレタン被膜の表面エネルギーを減少させるために、アロファネート基を介してフッ素またはシロキサン基をポリイソシアネートに組み込むことは、米国特許第5541281号、第5574122号、第5576411号、第5646227号、第5691439号および第5747629号に開示されている。これらの特許に開示されているポリイソシアネートの不利な点は、それが、過剰のモノマージイソシアネートをフッ素またはシロキサン基含有化合物と反応させることによって製造されることである。反応の終了後に、未反応モノマージイソシアネートを、高コストの薄膜蒸留法によって除去しなければならない。さらに、フッ素およびシロキサン基は製造装置を汚染し、他の生成物の製造に使用する前に徹底した清浄化を必要とするので、低表面エネルギーポリイソシアネートを製造する際に、蒸留装置のようなあらゆる不必要な装置の使用を避けることが重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、減少した表面張力を有し、それにより、低表面エネルギー、改善した表面および向上した清浄性、および既知のポリウレタン被膜の他の有用な特性も有する被膜の形成に好適な、被覆組成物を提供することである。本発明の他の目的は、前記目的を達成し、高コストかつ困難な過剰未反応モノマージイソシアネートの除去を必要とせずに製造しうるポリイソシアネートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、これらの目的は、以下に記載するアロファネート基およびシロキサン基を含有する本発明のポリイソシアネート混合物を使用して達成しうる。これらのポリイソシアネート混合物は、モノマージイソシアネートの代わりにポリイソシアネートアダクトを使用して製造される。より高い分子量および任意により高い官能性のポリイソシアネートアダクトを出発物質として使用することによって、不溶性、高粘性またはゲル状の生成物が生じると考えられるが、そうではない。
【0008】
本発明は、
i) 5〜35wt%のNCO含量および3wt%未満のモノマージイソシアネート含量を有し、ポリイソシアネートアダクトから製造され;
ii) ウレタン基より多い当量のアロファネート基が存在する量、かつ、25℃で1ヶ月間の保存においてポリイソシアネート混合物が安定かつ均質に維持される量で、アロファネート基を含有し;
iii) シロキサン基(SiO、MW44として計算)を0.002〜50wt%の量で含有する
ポリイソシアネート混合物であって、
前記パーセントは、ポリイソシアネート混合物の固形分に基づき、シロキサン基は、イソシアネート基と、炭素原子に直接的に結合した1個またはそれ以上のヒドロキシル基および1個またはそれ以上のシロキサン基を含有する化合物とを反応させることによって組み込まれる
ポリイソシアネート混合物を提供する。
【0009】
本発明は、
i) 5〜35wt%のNCO含量および3wt%未満のモノマージイソシアネート含量を有し、ポリイソシアネートアダクトから製造され;
ii) ウレタン基より多い当量のアロファネート基が存在する量、かつ、25℃で1ヶ月間の保存においてポリイソシアネート混合物が安定かつ均質に維持される量で、アロファネート基を含有し;
iii) シロキサン基(SiO、MW44として計算)を0.002〜50wt%の量で含有する
ポリイソシアネート混合物
(ただし、前記パーセントは、ポリイソシアネート混合物の固形分に基づく)
の製造法であって、
a) ポリイソシアネートアダクトのイソシアネート基の一部と、ポリイソシアネートアダクト1モルにつき0.01〜500ミリモルの、炭素原子に直接的に結合した1個またはそれ以上のヒドロキシル基および1個またはそれ以上のシロキサン基を含有する化合物とを反応させて、ウレタン基を形成し;
b) 工程a)の前、その間、またはその後に、アロファネート化触媒を添加し;
c) ii)の条件を満たすために、充分な量の工程a)で形成されたウレタン基をアロファネート基に変換し;
d) 触媒毒の添加および/または触媒の熱的失活によって、所望NCO含量においてアロファネート化反応を停止し、モノマージイソシアネートを除去せずにポリイソシアネート混合物を回収する、
工程を含んで成る製造法も提供する。
【0010】
更に本発明は、イソシアネート基用ブロッキング剤によって任意にブロックされた本発明のポリイソシアネート混合物、および所望によりイソシアネート反応性基を有する化合物を含有する一または二成分被覆組成物をも提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によれば、「(シクロ)脂肪族的結合イソシアネート基」という用語は、脂肪族的および/または脂環式的に結合したイソシアネート基を意味する。
【0012】
本発明によれば、モノマーポリイソシアネートから製造され、イソシアヌレート、ウレトジオン、ビウレット、ウレタン、アロファネート、イミノオキサジアジンジオン、カルボジイミド、アシル尿素および/またはオキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネートアダクトから、ポリイソシアネート混合物を製造する。好ましくは5〜30wt%のNCO含量を有するポリイソシアネートアダクトは、下記のものを包含する:
1) DE-PS 2616416、EP-A 3765、EP-A 10589、EP-A 47452、US-PS 4288586およびUS-PS 4324879に記載のように製造しうるイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート。イソシアナト−イソシアヌレートは、3〜4.5の平均NCO官能価、および5〜30wt%、好ましくは10〜25wt%、最も好ましくは15〜25wt%のNCO含量を一般に有する;
2) 好適な触媒、例えばトリアルキルホスフィン触媒の存在下に、ジイソシアネートのイソシアネート基の一部をオリゴマー化することによって製造でき、他の脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネート、特に前記(1)に記載したイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートとの混合物として使用しうるウレトジオンジイソシアネート;
3) 共反応体、例えば、水、第三級アルコール、第一級および第二級モノアミン、および第一級および/または第二級ジアミンを使用して、米国特許第3124605号、第3358010号、第3644490号、第3862973号、第3906126号、第3903127号、第4051165号、第4147714号または第4220749号に開示されている方法によって製造しうるビウレット基含有ポリイソシアネート。これらのポリイソシアネートは、好ましくは18〜22wt%のNCO含量を有する;
4) DE-A19611849に記載のように、特定のフッ素含有触媒の存在下に製造しうる、イミノオキサジアジンジオンおよび任意にイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート。これらのポリイソシアネートは、3〜3.5の平均NCO官能価、および5〜30wt%、好ましくは10〜25wt%、最も好ましくは15〜25wt%のNCO含量を一般に有する;
5) DE-PS 1092007、US-PS 3152162およびDE-OS 2504400、2537685および2552350に記載のように、既知のカルボジイミド化触媒の存在下にジ−またはポリイソシアネートをオリゴマー化することによって製造しうるカルボジイミド基含有ポリイソシアネート;
6) オキサジアジントリオン基を含有し、ジイソシアネート2モルと二酸化炭素1モルとの反応生成物を含有するポリイソシアネート。
【0013】
好ましいポリイソシアネートアダクトは、イソシアヌレート、ウレトジオン、ビウレットおよび/またはイミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネート、特に、イソシアヌレート基および任意にウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネートである。ポリイソシアネートアダクトを製造するのに好適なモノマージイソシアネートは、下記の式で示されるものを包含する:
【化1】

[式中、Rは、約140〜400の分子量を有する有機ジイソシアネートからイソシアネート基を除去することによって得られる有機基を表す]。
好ましいジイソシアネートは、Rが、4〜40個、好ましくは4〜18個の炭素原子を有する二価脂肪族炭化水素基、5〜15個の炭素原子を有する二価脂環式炭化水素基、7〜15個の炭素原子を有する二価芳香脂肪族炭化水素基、または6〜15個の炭素原子を有する二価芳香族炭化水素基を表すジイソシアネートである。
【0014】
好適な有機ジイソシアネートの例は、下記のジイソシアネートである:1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および-1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-2-イソシアナトメチルシクロペンタン、1-イソシナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチル-シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)-メタン、2,4'-ジシクロヘキシル-メタンジイソシアネート、1,3-および1,4-ビス-(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン、ビス-(4-イソシアナト-3-メチル-シクロヘキシル)-メタン、α,α,α',α'-テトラメチル-1,3-および/または-1,4-キシリレンジイソシアネート、1-イソシナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4-および/または2,6-ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、1,3-および/または1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート、2,4-および/または4,4'-ジフェニル-メタンジイソシアネート、1,5-ジイソシアナトナフタレンおよびそれらの混合物。
【0015】
3個またはそれ以上のイソシアネート基を含有するポリイソシアネート、例えば4-イソシアナトメチル-1,8-オクタメチレンジイソシアネート、および芳香族ポリイソシアネート、例えば4,4',4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、およびアニリン/ホルムアルデヒド縮合物のホスゲン化によって得られるポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートも使用しうる。
【0016】
好ましい有機ジイソシアネートは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)-メタン、α,α,α',α'-テトラメチル-1,3-および/または-1,4-キシリレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルイレンジイソシアネート、および2,4-および/または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネートを包含する。
【0017】
本発明のポリイソシアネート混合物を製造するのに好適な、ヒドロキシル基およびシロキサン基を含有する好適な化合物は、炭素原子に直接的に結合した1個またはそれ以上(好ましくは1個または2個、より好ましくは1個)のヒドロキシル基、および好ましくはジメチルシロキサン基-Si(CH32O-の形態の1個またはそれ以上のシロキサン基を含有する化合物である。
【0018】
これらの化合物の例は、下記の式で示される化合物である:
【化2】

[式中、
R1は、任意に不活性的に置換された、二価炭化水素基、好ましくはアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレン)、またはポリオキシアルキレン基(例えば、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレン基)を表し;
R2は、水素、または任意に不活性的に置換された低級アルキル、フェニルまたはベンジル基、好ましくはメチルまたはエチル、より好ましくはメチルを表し;
Xは、R1基とSi原子との結合、例えば、共有結合、-O-または-COO-を表し;
Yは、水素またはOHを表し;
mは、0または1であり;
nは、1〜1000、好ましくは2〜100、より好ましくは4〜15の整数である]。
【0019】
不活性置換基は、シロキサン化合物とポリイソシアネートとの反応またはイソシアネート基のアロファネート化反応を阻害しない置換基である。不活性置換基の例は、ハロゲン原子、例えばフッ素である。
【0020】
R1がオキシアルキレン基を表し、イソシアネート反応性基1個を含有する化合物の例は、下記の式:
【化3】

で示される化合物であり、
R1がオキシアルキレン基を表し、イソシアネート反応性基2個以上を含有する化合物の例は、下記の式:
【化4】

[式中、
R2、mおよびnは、前記と同様の意義を有し;
R3は、水素、または1〜12個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは、水素またはメチルを表し;
R4は、任意に不活性的に置換された、二価炭化水素基、好ましくはアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレン)を表し;
X'は、R4基とSi原子との結合、例えば、共有結合、-O-または-COO-を表し;
oは、1〜200、好ましくは2〜50、より好ましくは4〜25の整数であり;
pは、0〜200、好ましくは2〜50、より好ましくは4〜25の整数である]
で示される化合物である。
【0021】
これらのシロキサン化合物は、適切なシロキサンを、所望のシロキサン含有量を有する化合物を製造するのに充分な量のアルキレンオキシド(好ましくは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)と反応させることによって製造される。
【0022】
他の好適なシロキサン含有化合物は、直鎖、分岐鎖または環式であってよく、50,000まで、好ましくは10,000まで、より好ましくは6000まで、最も好ましくは2000までの分子量(ポリスチレンを標準として使用するゲル透過クロマトグラフィーにより測定される数平均分子量)を有する。これらの化合物は一般に、5より大、好ましくは25より大、より好ましくは35より大のヒドロキシル価を有する。この種の化合物は、"Silicon Compounds", 第5版(Huels America, Inc. 発行)に記載されている。
【0023】
本発明のポリイソシアネート混合物を製造するために、シロキサン含有化合物対ポリイソシアネートアダクトの最小比は、ポリイソシアネートアダクト1モルにつき、シロキサン含有化合物約0.01ミリモル、好ましくは約0.1ミリモル、より好ましくは約1ミリモルである。シロキサン含有化合物対ポリイソシアネートアダクトの最大比は、ポリイソシアネートアダクト1モルにつき、シロキサン含有化合物約500ミリモル、好ましくは約100ミリモル、より好ましくは約20ミリモルである。得られるポリイソシアネート混合物が、固形分に基づいて最少で、0.002wt%、好ましくは0.02wt%、より好ましくは0.2wt%のシロキサン基(SiO, MW44として計算)、固形分に基づいて最大で、50wt%、好ましくは10wt%、より好ましくは7wt%、最も好ましくは3wt%のシロキサン基を含有するように、シロキサンの量を選択する。
【0024】
アロファネート基を含有するポリイソシアネート混合物を製造する好適な方法は既知であり、米国特許第3769318号、第4160080号、第4177342号および第4738991号に開示されており、それらの開示は参照として本明細書に組み入れられる。アロファネート化反応は、50〜250℃、好ましくは60〜150℃、より好ましくは70〜120℃の温度で行いうる。反応は、反応温度の低下、触媒の除去、例えば、真空の適用、または触媒毒の添加によって停止しうる。モノマージイソシアネート低含有量を有するポリイソシアネートアダクトを出発物質として使用するので、反応の終了後に、未反応モノマージイソシアネートを、例えば薄膜蒸発によって、除去する必要がない。
【0025】
アロファネート化反応は、イソシアネート基に対し不活性な溶媒の存在下または不存在下、特に、液体出発物質を使用する場合は、好ましくは溶媒の不存在下に行われる。本発明の生成物の応用分野に依存して、低沸点ないし中沸点溶媒または高沸点溶媒を使用しうる。好適な溶媒は、エステル、例えば、酢酸エチルまたは酢酸ブチル;ケトン、例えば、アセトンまたはブタノン;芳香族化合物、例えば、トルエンまたはキシレン;ハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレンおよびトリクロロエチレン;エーテル、例えば、ジイソプロピルエーテル;およびアルカン、例えば、シクロヘキサン、石油エーテルまたはリグロインである。
【0026】
本発明の方法は、回分的または連続的に、例えば以下に記載のように行いうる。湿分を排除し、任意に不活性ガスを使用して、出発ポリイソシアネートアダクトを好適な撹拌容器または管に導入し、場合によりイソシアネート基に対し不活性な溶媒、例えば、トルエン、酢酸ブチル、ジイソプロピルエーテルまたはシクロヘキサンと混合する。いくつかの実施形態によれば、ヒドロキシル基およびシロキサン基を含有する前記化合物を、反応器に導入しうる。ポリイソシアネートアダクトを反応器に導入する前に、それらを、出発ポリイソシアネートアダクトと予備反応させてウレタンを形成してもよく;それらをポリイソシアネートアダクトと混合して反応器に導入してもよく;ポリイソシアネートアダクトを添加する前または後、好ましくは後に、それらを反応器に別に添加してもよく;または、溶液を反応器に導入する前に、触媒をこれらの化合物に溶解させてもよい。
【0027】
滴定、屈折率またはIR分析のような適切な方法でNCO含量を測定することによって、反応の経過を追跡する。このようにして、所望のアロファネート化度において、反応を停止しうる。アロファネート化反応の停止は、例えば、NCO含量がポリイソシアネートアダクト出発物質の初期イソシアネート基分に基づいて5〜80wt%、好ましくは10〜60wt%、より好ましくは20〜50wt%減少した後に行うことができる。
【0028】
本発明によって得られるポリイソシアネート混合物は、約2〜7、好ましくは2〜4の平均官能価; 10〜35wt%、好ましくは10〜30wt%、より好ましくは15〜30wt%のNCO含量;および、3wt%未満、好ましくは2wt%未満、より好ましくは1wt%未満のモノマージイソシアネート含量を有する。ポリイソシアネート混合物は、好ましくは少なくとも0.001wt%、より好ましくは少なくとも0.01wt%、最も好ましくは少なくとも0.5wt%のアロファネート基含量(N2、C2、H、O3、MW101として計算)を有する。アロファネート基含量の上限は、好ましくは20wt%、より好ましくは10wt%、最も好ましくは5wt%である。前記パーセントは、ポリイソシアネート混合物の固形分に基づく。
【0029】
本発明の生成物は、アロファネート基およびシロキサン基を含有するポリイソシアネート混合物である。生成物は、反応中に維持された温度、およびイソシアネート基消費の程度に依存して、アロファネート基に変換されていない残留ウレタン基も含有しうる。シロキサン含有ヒドロキシル化合物から形成されたウレタン基の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、最も好ましくは少なくとも90%が、アロファネート基に変換されることが好ましいが、下記場合は、そうである必要はない:アロファネート基の当量数がウレタン基の当量数を超え、ポリイソシアネート混合物が25℃で1ヶ月間の保存において安定かつ均質に維持されることを確実にするのに充分なアロファネート基を、ポリイソシアネート混合物が含有するものとする。ポリイソシアネート混合物が充分な数のアロファネート基を含有する場合、混合物は、曇っている場合があり、不溶性成分の漸進的硬化が保存中に起こる場合がある。
【0030】
本発明の生成物は、イソシアネート反応性基を少なくとも2個含有する化合物との反応によって、ポリイソシアネート重付加生成物を製造するのに有用な出発物質である。本発明の生成物は、湿分硬化して被膜を形成しうる。好ましい製品は、一または二成分被覆組成物、より好ましくはポリウレタン被覆組成物である。ポリイソシアネートがブロックされていない場合、二成分組成物が得られる。これに対して、ポリイソシアネートがブロックされている場合、一成分組成物が得られる。
【0031】
被覆組成物に使用する前に、本発明のポリイソシアネート混合物を、既知の他のポリイソシアネート、例えば、ビウレット、イソシアヌレート、アロファネート、ウレタン、尿素、カルボジイミドおよび/またはウレトジオン基を含有するポリイソシアネートアダクトとブレンドしてもよい。このような他のポリイソシアネートにブレンドすべき本発明のポリイソシアネート混合物の量は、本発明のポリイソシアネート混合物のシロキサン含有量、得られた被覆組成物の意図する用途、およびこの用途に望まれる低表面エネルギー性の程度に依存する。
【0032】
低表面エネルギー性を得るために、得られたポリイソシアネートブレンドは、固形分に基づいて最少で、0.002wt%、好ましくは0.02wt%、より好ましくは0.2wt%のシロキサン基(MW44)、および固形分に基づいて最大で、10wt%、好ましくは7wt%、より好ましくは3wt%のシロキサン基(MW44)を含有すべきである。10wt%より多いシロキサン基含有量も低表面エネルギー被覆剤を与えるのに適しているが、より多い量を使用することによってさらに改善が得られるわけではない。本発明のポリイソシアネート混合物のシロキサン含有量、および得られるポリイソシアネートブレンドの所望のシロキサン含有量を知ることによって、ポリイソシアネート混合物および他のポリイソシアネートの相対量が容易に求められる。
【0033】
本発明によれば、得られるブレンドが本発明のポリイソシアネート混合物に必要とされる最少シロキサン含有量を有する限り、本発明のポリイソシアネート混合物はいずれも、他のポリイソシアネートとブレンドすることができる。しかし、ブレンドされるポリイソシアネート混合物は、好ましくは5wt%、より好ましくは10wt%の最少シロキサン含有量を有し、好ましくは50wt%、より好ましくは40wt%、最も好ましくは30wt%の最大シロキサン含有量を有する。次に、これらのいわゆる「濃縮物」を他のポリイソシアネートとブレンドして、ポリイソシアネートブレンドを形成し、このブレンドを使用して低表面エネルギー特性を有する被覆剤を製造しうる。
【0034】
シロキサン高含有量を有する濃縮物を製造し、それをシロキサン不含有ポリイソシアネートとブレンドすることによって、いくつかの利点が得られる。先ず、1つの濃縮物を製造するだけで、多くの生成物を低表面エネルギーポリイソシアネートに変換することができる。商業的に入手可能なポリイソシアネートと濃縮物とをブレンドすることによってそのような低表面エネルギーポリイソシアネートを製造することにより、シロキサン含有およびシロキサン不含有の両形態の各製品を別々に製造する必要がない。シロキサン最大含有量によって生じうる1つの不都合は、小部分の出発ポリイソシアネートアダクトの全てのイソシアネート基が反応しうることである。イソシアネート基を含有しないこれらの分子は、得られた被覆剤に、反応して入ることができず、それによって、最終被覆剤の特性に悪影響を及ぼしうる。
【0035】
本発明の生成物に好ましい反応相手は、ポリヒドロキシポリエステル、ポリヒドロキシポリエーテル、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリラクトン、ポリヒドロキシポリウレタン、ポリヒドロキシポリエポキシド、および場合により低分子量である、ポリウレタン被覆剤技術から既知の多価アルコールである。特にブロック形態の、ポリアミン、例えば、ポリケチミン、オキサゾリジンまたはポリアルジミンも、本発明の生成物に好適な反応相手である。反応性希釈剤としても作用しうる第二級アミノ基含有ポリアスパラギン酸誘導体(アスパルテート)も好適である。
【0036】
被覆組成物を製造するために、ポリイソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分の量は、イソシアネート基(ブロックまたは非ブロック形態で存在)対イソシアネート反応性基の当量比が約0.8〜3、好ましくは0.9〜1.5となるように選択される。被覆組成物は、周囲温度または高温で硬化しうる。
【0037】
硬化を加速させるために、被覆組成物は、既知のポリウレタン触媒、例えば、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルアミノシクロヘキサン、N-メチル-ピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]-オクタンおよびN,N'-ジメチルピペラジン;または金属塩、例えば、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、亜鉛-2-エチルカプロエート、錫(II)-エチルカプロエート、ジブチル錫(IV)-ジラウレートおよびモリブデングリコレートを含有しうる。
【0038】
本発明の生成物は、一成分被覆組成物、好ましくはポリウレタン被覆組成物の有用な出発物質でもあり、該組成物において、イソシアネート基が既知のブロッキング剤でブロックされた形態で使用される。ブロッキング反応は、既知の方法を使用して、好ましくは高温(例えば、約40〜160℃)で、任意に、前記の第三級アミンまたは金属塩のような好適な触媒の存在下に、イソシアネート基を好適なブロッキング剤と反応させることによって行われる。
【0039】
好適なブロッキング剤は、下記のものを包含する:モノフェノール、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノールおよびtert.-ブチルフェノール;第三級アルコール、例えば、tert.-ブタノール、tert.-アミルアルコールおよびジメチルフェニルカルビノール;エノールを容易に形成する化合物、例えば、アセト酢酸エステル、アセチルアセトンおよびマロン酸誘導体、例えば、マロン酸ジエチルエステル;第二級芳香族アミン、例えば、N-メチルアニリン、N-メチルトルイジン、N-フェニルトルイジンおよびN-フェニルキシリジン;イミド、例えば、スクシンイミド;ラクタム、例えば、ε-カプロラクタムおよびδ-バレロラクタム;ピラゾール、例えば3,5-ジメチルピラゾール;オキシム、例えば、ブタノンオキシム、メチルアミルケトキシムおよびシクロヘキサノンオキシム;メルカプタン、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、2-メルカプトベンズチアゾール、α-ナフチルメルカプタンおよびドデシルメルカプタン;並びにトリアゾール、例えば1H-1,2,4-トリアゾール。
【0040】
本発明のポリイソシアネート混合物は、二成分水性被覆組成物におけるポリイソシアネート成分としても使用しうる。これらの組成物において有用であるために、ポリイソシアネート混合物を、外部乳化剤とのブレンドによるか、または陽イオン、陰イオンまたは非イオン基を含有する化合物との反応によって、親水性にしうる。親水性化合物との反応は、シロキサン含有化合物を組み込むアロファネート化反応の前または後に行いうる。ポリイソシアネートを親水性にする方法は、米国特許第5194487号および第5200489号に開示され、これらに開示の内容は参照として本明細書に組み入れられる。改質ポリイソシアネート混合物の減少した表面張力は、顔料の分散および基材の湿潤を向上させる。
【0041】
被覆組成物は、他の添加剤、例えば、顔料、染料、充填剤、均展剤および溶剤も含有しうる。被覆組成物は、被覆される基材に、溶液状態で、またはメルトから、ペインティング、ロール塗、流し込み、吹付のような通常の方法によって適用しうる。
【0042】
本発明のポリイソシアネート混合物を含有する被覆組成物は、優れた乾燥時間を有し、金属性基材に驚くほどよく付着し、非常に耐光性であり、熱に対して色安定性であり、耐摩耗性に優れた被覆剤を与える。それらは、高い硬さ、弾性、極めて優れた耐薬品性、高光沢、優れた耐候性、優れた耐環境腐食性および優れた顔料着色性も有する。特に、該被覆組成物は優れた表面外観および優れた清浄性を有する。
【0043】
本発明を下記の実施例によってさらに説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。実施例における全ての部およびパーセントは特に指定しなければ重量による。
【実施例】
【0044】
実施例において、アロファネート基含有量は、ウレタン基のアロファネート基への100%変換を想定した理論含有量に対する値である。
【0045】
シロキサンアルコール0411
分子量約1000の、ブチルで開始しカルビノールで停止したポリジメチルシロキサンアルコール(Chisso Corp.からSilaplane FM-0411として販売)。
【0046】
シロキサンアルコール4411
分子量約1000の、カルビノールで停止したポリジメチルシロキサンジオール(Chisso Corp.からSilaplane FM-4411として販売)。
【0047】
ポリイソシアネート3400
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートから製造され、イソシアネート含量21.5%、モノマージイソシアネート含量<0.50%、25℃における粘度200mPa.sおよび表面張力40dyne/cmを有する、ウレトジオンおよびイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(Bayer Material ScienceからDesmodur N 3400として販売)。
【0048】
ポリイソシアネート3600
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートから製造され、イソシアネート含量22.8%、モノマージイソシアネート含量<0.25%、25℃における粘度1145mPa.s、および表面張力45dyne/cmを有する、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(Bayer Material ScienceからDesmodur N 3600として販売)。
【0049】
ポリイソシアネート2410
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートから製造され、イソシアネート含量23.6%、モノマージイソシアネート含量<0.30%、25℃における粘度640mPa.s、および表面張力40dyne/cmを有する、イソシアヌレートおよびイミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート(Bayer Material ScienceからDesmodur XP 2410として販売)。
【0050】
ポリイソシアネート4470
イソホロンジイソシアネートから製造され、イソシアネート含量11.9%、モノマージイソシアネート含量<0.50%、25℃における粘度670mPa.s、および表面張力40dyne/cmを有し、酢酸n-ブチル中の70%溶液としての、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(Bayer Material ScienceからDesmodur Z 4470 BAとして販売)。
【0051】
ポリイソシアネート3200
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートから製造され、イソシアネート含量23%、モノマージイソシアネート含量<0.70%、25℃における粘度1750mPa.s、および表面張力47dyne/cmを有する、ビウレット基含有ポリイソシアネート(Bayer Material ScienceからDesmodur N 3200として販売)。
【0052】
液体試料の表面張力
ウイルヘルミー・プレート法(フレーム付スライドガラス)を使用して、表面張力を測定した。試料を、Cahn DCA 312動的接触角分析器で分析した。全ての試料を分析前に撹拌した。
【0053】
薄膜試料の表面エネルギー
水およびヨー化メチレン、極性および非極性溶媒の前進角をそれぞれ、Rame-Hartゴニオメーターを使用して測定した。極性および分散性成分を包含する全固体表面エネルギーを、Owens Wendt法によって前進角を使用して計算した。
【0054】
実施例1
ポリイシソアネート混合物1の製造
機械撹拌器、冷水コンデンサー、加熱マントルおよび窒素導入口を取り付けた1Lの三つ口丸底フラスコに、ポリイソシアネート3600 693g(3.76当量、実滴定値に基づく)およびシロキサンアルコール0411 7g(0.007当量)を加えた。反応物を撹拌し110℃に加熱すると共に、合計0.10gのオクタン酸第一錫を混合物に添加した。110℃で5時間加熱した後に、NCO含量が22.46%の理論値に達し;熱源を除去し、冷水/氷浴を適用した。粘度は25℃において1320mPa.sであり、液体の表面エネルギーは22.6dyne/cm2であった。
【0055】
実施例2〜10
ポリイシソアネート混合物2〜10の製造
種々のポリイソシアネートおよび種々のタイプおよび量のシロキサンを使用して、他のポリイソシアネート混合物を実施例1と同様に製造した。比較例では、シロキサンアルコールが低表面エネルギーを与えるのに必要であることを示すために、イソブタノールを使用した。比較例4および5は、それぞれ、実施例1および2と同当量のアルコールを使用する。実施例1〜10の詳細を表1に示す。
【0056】
【表1−1】

【0057】
【表1−2】

【0058】
実施例11〜14
湿分硬化被覆剤の製造
表2に示すポリイソシアネート混合物を、約200mPa.sの粘度が得られるまで酢酸エチルで希釈し、次に、固形分に基づいて1wt%のジブチル錫ジラウレートを添加することによって、湿分硬化被覆剤を製造した。2ミルの引落しバー(drawdown bar)を使用して、被覆剤を標準的な熱可塑性ポリオレフィン(TPO)パネル上に引落した。被覆剤を、周囲条件下に実験台上で一晩硬化させた。実施例11〜14の詳細を表2に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
実施例15〜18
二成分被覆組成物の製造
表3に示すポリイソシアネート混合物と、三官能性ポリエステルポリオール(Desmophen 670A-80、Bayer Material Science LLCから販売)とをNCO:OH当量比1.05:1.00で混合し、ポリイソシアネート/ポリオールブレンド100部につきジブチル錫ジラウレート0.05gを添加することによって、二成分被覆組成物を製造した。2ミルの引落しバーを使用して、被覆剤を標準的な熱可塑性ポリオレフィン(TPO)パネル上に引落した。被覆剤を、周囲条件下に実験台上で一晩硬化させた。実施例15〜18の詳細を表3に示す。
【0061】
【表3】

【0062】
実施例19〜25
濃縮物としてのポリイソシアネート混合物の使用
実施例1、2、4、5および10のポリイソシアネート混合物1gを、表4に示す未改質ポリイソシアネート9gに手で混合した。得られたこのポリイソシアネート混合物は、低表面張力値を有し、これは、本発明のポリイソシアネート混合物を未改質ポリイソシアネートにより希釈できる濃縮物として使用しうることを示している。詳細を表4に記載する。
【0063】
【表4】

【0064】
このデータは、実施例1、2および10のポリイソシアネート混合物がシロキサン基不含の未改質ポリイソシアネートで希釈でき、しかも低表面張力を与えることを示している。実施例4および5の比較ポリイソシアネートの、同じ未改質ポリイソシアネートでの希釈は、高表面エネルギーを変化させなかった。
【0065】
実施例26〜31
湿分硬化被覆剤の製造
表5に示すポリイソシアネート混合物を、約200mPa.sの粘度が得られるまで、酢酸エチルで希釈し、次に、固形分に基づいて1wt%のジブチル錫ジラウレートを添加することによって、湿分硬化被覆剤を製造した。2ミルの引落しバーを使用して、被覆剤を標準的な熱可塑性ポリオレフィン(TPO)パネル上に引落した。被覆剤を、周囲条件下に実験台上で一晩硬化させた。実施例26〜31の詳細を表5に示す。
【0066】
【表5】

【0067】
このデータは、濃縮物から製造したポリイソシアネート混合物を使用して製造した湿分硬化被覆剤が、同量のシロキサン基を使用して直接的に製造したポリイソシアネート混合物から製造した被覆剤と同じ低い表面エネルギーを有していたことを示す。比較ポリイソシアネートから製造した被覆剤は、高い表面エネルギーを有していた。
【0068】
実施例32〜37
二成分被覆組成物の製造
表6に示すポリイソシアネート混合物と、三官能性ポリエステルポリオール(Desmophen 670A-80、Bayer Material Science LLCから販売)とをNCO:OH当量比1.05:1.00で混合し、ポリイソシアネート/ポリオールブレンド100部につきジブチル錫ジラウレート0.05gを添加することによって、二成分被覆組成物を製造した。2ミルの引落しバーを使用して、被覆剤を標準的な熱可塑性ポリオレフィン(TPO)パネル上に引落した。被覆剤を、周囲条件下に実験台上で一晩硬化させた。実施例32〜37の詳細を表6に示す。
【0069】
【表6】

【0070】
このデータは、濃縮物から製造したポリイソシアネート混合物を含有する二成分被覆組成物から形成した被膜が、同量のシロキサン基を使用して直接的に製造したポリイソシアネート混合物を含有する二成分被覆組成物から形成した被膜と同じ低い表面エネルギーを有していたことを示す。比較ポリイソシアネートから形成した被膜は、高い表面エネルギーを有していた。
【0071】
本発明を例示目的で前記に詳しく記載したが、そのような記載は例示目的にすぎず、請求の範囲によって限定される以外は、本発明の精神および範囲を逸脱せずに当業者によってそれらに変更を加えうるものと理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) 5〜35wt%のNCO含量および3wt%未満のモノマージイソシアネート含量を有し、ポリイソシアネートアダクトから製造され;
ii) ウレタン基より多い当量のアロファネート基が存在する量、かつ、25℃で1ヶ月間の保存においてポリイソシアネート混合物が安定かつ均質に維持される量で、アロファネート基を含有し;
iii) シロキサン基(SiO、MW44として計算)を0.002〜50wt%の量で含有する
ポリイソシアネート混合物であって、
前記パーセントは、ポリイソシアネート混合物の固形分に基づき、シロキサン基は、イソシアネート基と、炭素原子に直接的に結合した1個またはそれ以上のヒドロキシル基および1個またはそれ以上のシロキサン基を含有する化合物とを反応させることによって組み込まれる
ポリイソシアネート混合物。
【請求項2】
シロキサン基が、イソシアネート基と、炭素原子に直接的に結合した1個のヒドロキシル基および1個またはそれ以上のシロキサン基を含有する化合物とを反応させることによって組み込まれる請求項1に記載のポリイソシアネート混合物。
【請求項3】
該ポリイソシアネートアダクトが、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから製造されるイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを含んで成る請求項1又は2に記載のポリイソシアネート混合物。
【請求項4】
固形分に基づいて0.2〜10wt%のシロキサン基を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のポリイソシアネート混合物。
【請求項5】
固形分に基づいて10〜40wt%のシロキサン基を含有する請求項1〜3に記載のポリイソシアネート混合物。
【請求項6】
i) 5〜35wt%のNCO含量および3wt%未満のモノマージイソシアネート含量を有し、ポリイソシアネートアダクトから製造され;
ii) ウレタン基より多い当量のアロファネート基が存在する量、かつ、25℃で1ヶ月間の保存においてポリイソシアネート混合物が安定かつ均質に維持される量で、アロファネート基を含有し;
iii) シロキサン基(SiO、MW44として計算)を0.002〜50wt%の量で含有する
ポリイソシアネート混合物
(ただし、前記パーセントは、ポリイソシアネート混合物の固形分に基づく)
の製造法であって、
a) ポリイソシアネートアダクトのイソシアネート基の一部と、ポリイソシアネートアダクト1モルにつき0.01〜500ミリモルの、炭素原子に直接的に結合した1個またはそれ以上のヒドロキシル基および1個またはそれ以上のシロキサン基を含有する化合物とを反応させて、ウレタン基を形成し;
b) 工程a)の前、その間、またはその後に、アロファネート化触媒を添加し;
c) ii)の条件を満たすために、充分な量の工程a)で形成されたウレタン基をアロファネート基に変換し;
d) 触媒毒の添加および/または触媒の熱的失活によって、所望NCO含量においてアロファネート化反応を停止し、モノマージイソシアネートを除去せずにポリイソシアネート混合物を回収する、
工程を含んで成る製造法。
【請求項7】
シロキサン基が、イソシアネート基と、炭素原子に直接的に結合した1個のヒドロキシル基および1個またはそれ以上のシロキサン基を含有する化合物とを反応させることによって組み込まれる請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該ポリイソシアネートアダクトが、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートから製造されるイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを含んで成る請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
イソシアネート基用ブロッキング剤によって任意にブロックされた請求項1に記載のポリイソシアネート混合物、および所望によりイソシアネート反応性基を有する化合物を含有する一または二成分被覆組成物。

【公開番号】特開2006−283025(P2006−283025A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94125(P2006−94125)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(503349707)バイエル・マテリアルサイエンス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (178)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience LLC
【Fターム(参考)】