説明

低誘電率を有する材料及びその製造方法

具体的にはプロピレンではない、炭素含有ガスのプラズマ重合によって高度架橋ポリプロピレン材料を製造する方法が開示され、高度架橋ポリプロピレン材料は、低い比誘電率、高い熱安定性、及び強化された機械的特性を示す。前記方法及び材料は、マイクロチップ製造における層間誘電体堆積の用途に適しているが、これに限定されない。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、高度架橋ポリプロピレン様材料及びそのような材料を製造する方法に関する。好ましい実施形態は、たとえば二酸化ケイ素と比較して低誘電率に調整することができる制御可能な誘電率(k値)を有し、またセラミックスの機械的特性にほぼ等しい機械的特性を示すことができる高度架橋ポリプロピレン材料に関する。この高度架橋ポリプロピレン材料は、超小型電子加工技術における使用に、同様に保護コーティング、潤滑コーティング及び耐力コーティングとしてより幅広い用途に、また他の多くの使用に適している。これらの使用として、これら調整可能な誘電特性を活用することができる光電子用途が挙げられる。
【0002】
[発明の背景]
材料の誘電率は、材料に電位を印加した場合に貯蔵されるエネルギーを表す。誘電率は、真空中で貯蔵されるエネルギーに対して定義され、材料の静的比誘電率(relative static permittivity)と称される場合もある。誘電率は多くの場合記号ε又はKで表されるが、マイクロチップ製造の分野では通常文字kで示され、この文字命名を本文書では採用し、誘電率を「k値」と称する。
【0003】
マイクロチップにおいては、導電部(導電線やトランジスタなど)間に誘電体層が設けられる。デバイスの小型化が続く流れの中、誘電体層はより薄く、導電部は互いにより近づく。より高い動作周波数においては、様々な回路素子間の容量性クロストークによりスイッチング周波数が制限され、さらに熱性能を制限する熱が発生する。
【0004】
誘電体層に蓄積される容量電荷は、誘電体層が形成される材料の誘電率(k値)に正比例する。そのため、より低い誘電率を有する材料により、より高速のスイッチング周波数が可能となり、熱損失及びクロストークが低減される。
【0005】
従来、シリコンマイクロチップにおける誘電体層を形成するために、二酸化ケイ素(SiO)及び窒化ケイ素(Si)が使用されている。これらの材料は、半導体マイクロチップに使用される製造プロセスに適しており、低コストで信頼性のある解決策を提供する。しかし、SiO及びSiの固有のk値は高すぎると考えられ、より低い有効k値を実現するために、一般に多孔質構造を有するSiO及びSiを堆積させることによって、又はよりk値が低い材料をSiO及びSiにドープすることによって下げなければならない。
【0006】
半導体マイクロチップにおける使用に適し、SiO及びSiをベースとする膜よりも低いk値を有する新たな誘電材料を開発するために、様々な試みが行われている。広義には、2つのカテゴリの材料、「硬」層をもたらす材料及び「軟」層をもたらす材料について研究されている。
【0007】
硬質層材料としては、ドープした二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、チタニア、二酸化ハフニウムなど、比較的剛性のセラミック材料が挙げられる。これらの材料の層は、数ある技法の中でも化学気相成長(CVD)、特にプラズマ化学気相成長(PECVD)及びスパッタリングにより作製することができる。
【0008】
硬質層材料の利点としては、高い周波数であっても、それら材料の化学的一貫性(chemical consistency)、比較的高い破壊電圧及び低い(熱)損失が挙げられる。硬質層材料に使用される作製技法はまた、高度に繰り返し可能で、シリコンなど現在のマイクロ電子材料に対して拡大縮小可能である。
【0009】
しかしながら、硬質層材料にはいくつかの欠点がある。たとえば、硬質層材料とその硬質層材料が形成されている基板との間の界面の力により層間剥離(delamination)が生じる可能性があるため、一定のしきい値(一般的には1μm前後)を上回る厚さを有するそのような材料の層を作製することが困難である。これら界面の力は硬質層材料の厚さに比例し、一般的に使用されるPECVD蒸着法に固有である。特に、硬質層材料とその硬質層材料が形成されている基板との間の界面は、これら2層間の干渉歪み(coherency strain)、表面エネルギー差、転位エネルギー歪み、及び硬質層材料と基板との異なる熱膨張速度によって生じる応力を受ける。製造プロセスそれ自体の結果として、熱応力が生じる又は支配する可能性があり、その結果硬質層材料の層間剥離が大きな課題となる可能性がある。この問題は、硬質層材料及び基板の熱膨張係数を一致させることによって緩和されるが、これにより材料の選択が厳しく制限される。
【0010】
軟質層材料には、それらに固有の柔軟性によるこれらの欠点はない。そのような軟質層材料の例としては、ポリイミドなど、スピンオングラス及びスピンオン高分子が挙げられる。
【0011】
残念ながら、スピンオン高分子は一般に熱安定性が比較的悪い。この特性を改善するためには、たとえば熱又は放射線を加えることにより、高分子を硬化させることが多くの場合必要である。典型的な硬化プロセスは、高分子の種類に応じて数秒間〜数時間、一般に500℃を下回る温度における高分子のベーキンングを伴う。この硬化プロセスでは多くの場合、望ましくない副生成物が生成され、また製造プロセスに加工ステップ及び時間遅延が追加される。
【0012】
スピンオンプロセスでは、溶媒を使用して高分子の薄膜を作製する。溶媒はプロセス中に蒸発するよう意図されているが、硬化後であっても、ある程度の量の溶媒が通常材料中に残存し、その結果材料の不一致及び不純物が生じる。スピンオン高分子中に存在するこれらの不純物により、比較的低いk値を実現することが可能であるにもかかわらず、マイクロチップ製造における誘電材料としてのそれらスピンオン高分子の用途が制限される。特に、膜中の水及び溶媒分子が無線周波エネルギーを吸収し、その結果作業中に電力損失及び膜劣化が生じることがわかっている。
【0013】
Biomaterials、7(2)巻、1986年3月、155〜157ページの論文「Characterisation of plasma polymerised polypropylene coatings」には、R.Sipehia及びA.S.Chawlaにより、基板上にプラズマ重合ポリプロピレン膜を形成する方法が開示され、この方法においては、無線周波数プラズマ反応器内でプロピレン単量体を低圧で重合させる。プロピレンの重合によるポリプロピレンの形成は、プラズマからのエネルギー共役によると見込まれる。
【0014】
この一般的な分野における他の従来技術の方法が、米国特許第4632844号、米国特許第4312575号及び米国特許第5000831号に開示されている。
【0015】
[発明の概要]
本発明は、高度架橋ポリプロピレン様材料を製造する方法、及びそのような材料組み込んだ電子回路や光電子回路などのデバイスを提供しようとするものである。
【0016】
本発明の一態様によれば、高度架橋ポリプロピレン材料を製造する方法が提供される。この方法は、反応チャンバを設けるステップと、複数の炭素含有ガスから1種又は複数種の炭素含有ガスを選択するステップと、前記チャンバに前記1種又は複数種の選択された炭素含有ガスを供給するステップと、前記チャンバにプラズマを打ち込み、前記プラズマにより前記1種又は複数種のガスを解離させてメチルラジカルを含む相にするステップと、前記解離した相を核形成させることにより、好ましくは高紫外線照射下で、高度架橋ポリプロピレン材料を作り出すステップとを含む。
【0017】
有利には、ポリプロピレン材料は、繰返し構造単位の複数のポリマー鎖を含み、6つの構造単位当たり平均少なくとも1つの架橋及び/又は隣接するポリマー鎖間の複数の架橋を有する。
【0018】
この方法によって作製されるポリプロピレン材料は、従来のポリプロピレンと比較して、非常に低い誘電率、優れた構造特性及び高い融点と共に、強化された機械的特性を含めた大幅に向上した特性を示すことが見出されている。これにより、集積回路、電子回路又は光電子回路用誘電体層又は絶縁層としてを含めた、幅広い用途に適している材料が作製される。保護コーティング、潤滑コーティング、耐力コーティング及び/又は耐熱コーティングを設けることなども、非常に多くの他の用途において適切である。
【0019】
以下で説明するように、この方法によって製造される材料はポリプロピレン様であると考えられる。この材料はポリプロピレンの性質を示すが、三次元架橋の発生率が高く、従来のポリプロピレンと比較して大幅に向上した特性を有する。したがって、この材料を本明細書中ではポリプロピレン材料と称するが、この定義は、教示する方法によって形成され、本明細書中に開示する特性を有する高分子材料を網羅することを理解されたい。
【0020】
1種又は複数種の選択された炭素含有ガスは、アセチレン、アセトン、エチレン、エタノール、メタン及びプロピレンのガス若しくは蒸気の群から選択されることが好ましい。最も好ましくは、アセチレンとアセトンの組合せを使用する。他の諸実施形態においては、アセチレン又はアセトン単独、アセチレン又はアセトンと他の任意のガスとの混合物を使用することができる。
【0021】
この点に関して、出発材料としてプロピレンを使用する必要なしに、高度三次元架橋ポリプロピレン材料を製造することが可能であることが判明している。他の炭素含有ガス又は蒸気を使用することが可能である。言い換えれば、この方法では、プロピレン又はプロパンを含まない炭素含有ガスの選択肢のうち1種又は複数種を使用することができる。
【0022】
様々な炭素含有ガスのいずれかからのこのポリプロピレン材料の生成は、プラズマを打ち込むことにより、炭素含有入力ガスが解離されてメチルラジカルを含む相になる結果として可能であることが見出されている。この方法により、それらメチルラジカルがCH鎖分子と融合し、高度架橋ポリプロピレン材料を形成する。このプロセスにおいて紫外線照射を行うことにより、三次元架橋が促進され、増強される。
【0023】
この特徴には、より多様な投入材料のプロセスへの投入を可能とし、したがって、プロセスに望まれる、また最終生成物の特性に基づいて投入材料を選択することが可能であるという利点がある。
【0024】
入力ガスは、アセトンなどの蒸気を含むことができる。したがって、本明細書中のガスについての言及は、蒸気も網羅することを理解されたい。
【0025】
好ましくは、プラズマが紫外線成分を含み、この紫外線成分により、ポリプロピレン材料における架橋の生成が増進される。この紫外線成分は、有利にはポリプロピレン材料をその合成中に紫外線硬化させる効果を有する。
【0026】
実用的実施において、この方法は、チャンバ内に第1及び第2の電気電極を設けるステップを含み、核形成ステップが、第1の電極と第2の電極の間に電位差を印加することを含む。
【0027】
一実施形態において、この方法では、第1の電極及び第2の電極の一方上に配置される基板を設ける。核形成ステップは、第1の電極と第2の電極の間に電位差を印加して、有核材料を電極上に堆積させ、それにより基板上に高度架橋ポリプロピレン材料層が形成されるようにすることを含む。
【0028】
したがって、この実施形態においては、典型的にはデバイスの表面でよい基板上に直接ポリプロピレン材料が形成される。この基板は電気回路又は電子回路の一部であってもよく、電気回路又は電子回路において、高度架橋ポリプロピレン材料は基板上に電気絶縁層を形成する。言い換えれば、この特徴により、本明細書中に教示する特に有利な特性を示す誘電体層を、電子デバイス上に直接形成することができる。
【0029】
別の実施形態においては、「雪」のような成長と類似していると記載することができる粒子状又は薄片状であるポリプロピレン材料を、プラズマ相において核とすることができる。この実施形態においては、有利にはこの方法が、ポリプロピレン材料を回収し、続いて基板又はデバイス上に材料を堆積させるステップを含む。このステップは、溶液中にポリプロピレン材料を懸濁又は溶解させることによって行われる。懸濁又は溶解した材料はその後、スプレーコーティング、スピンオンコーティング、静電コーティングによって、又は他の任意の適切な方法によって基板上に堆積させることができる。
【0030】
好ましくは、この方法は、少なくとも1種の補助ガスを含むキャリアガスをチャンバに供給するステップを含む。補助ガスは、水素、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン又は他の希ガスのうち1種又は複数種を含む。補助ガスは、プラズマ内でガス状成分の強化解離を促進させることにより、層(たとえば薄膜)、薄片又は粒子の形の高度架橋ポリプロピレン材料を生成する。補助ガスは、解離用に選択される1種又は複数種の炭素含有ガスに対して高いイオン化ポテンシャルを示すこともできる。言い換えれば、1種又は複数種のガスは、全プラズマエネルギーを、また高分子層の成長に関与するプラズマ中のイオン化種の相対数を増大させながら、炭素含有ガスを比較的低いエネルギー化で確実にイオン化することができる助けとなる。
【0031】
材料をアニールすることも好ましい。アニール(annealing)によりポリプロピレン材料の誘電率を変化又は減少させることができることが判明している。
【0032】
実際には、たとえば真空中、又は不活性ガスの1種若しくは複合を使用する制御されたガス環境下でアニールステップを行うことが好ましい。
【0033】
有利には、この方法は、プラズマ核形成又は合成ステップ中、非プラズマ手段によってチャンバ内で追加の加熱を提供するステップを含む。
【0034】
実用的な一実施形態は以下のステップ、電極に接する基板をチャンバ内に設けるステップと、チャンバ内の対電極に電圧を印加することによってチャンバ内にプラズマを打ち込むことにより、基板上に材料層を形成するステップとを含み、プラズマは紫外線成分を有し、この紫外線成分が三次元の高分子の架橋を増進して、形成された材料に機械的完全性及び熱安定性を与える。
【0035】
本発明の別の態様によれば、本明細書中に教示されている方法によって得られる高度架橋ポリプロピレン材料が提供される。
【0036】
本発明の特定の態様により、複数の繰返し構造単位で形成される複数のポリマー鎖を含む高度架橋ポリプロピレン材料が提供される。この高度架橋ポリプロピレン材料は、6つの構造単位毎に少なくとも一度の炭素−炭素二重結合、及び/又は隣接する鎖を結合する炭素−炭素二重結合を含む。
【0037】
この高度架橋ポリプロピレン材料は、以下の特性、1.5GPaを超えるヤング率、少なくとも10MPaの硬度、及び1.5〜2.6のk値のうちいずれか1つ又は複数を有することができる。
【0038】
本発明の別の態様によれば、本明細書中に教示されている方法によって得られる高度架橋ポリプロピレン材料層を備える基板が提供される。
【0039】
本発明の別の態様により、本明細書中に教示されている方法によって得られる高度架橋ポリプロピレン材料で形成される少なくとも1つの誘電体層を備える集積回路が提供される。
【0040】
本明細書中に教示する方法により、比較的低い誘電率を有する層の形の高度架橋ポリプロピレン材料を製造することができる。さらに、ポリプロピレン中に形成される三次元架橋により、材料又は層が相対的に熱安定性を確実に有し、またAshby後にセラミックと一致する機械的特性を確実に示す。この層のPECVDによる生成は、溶媒も水も利用しない。教示の方法によって生成される層の結果として生じる稠度(consistency)、熱安定性及び低誘電率により、集積回路の製造における誘電体層としての使用に適切となる。有利には、本発明は、ポリプロピレンポリマー鎖とそれらポリマー鎖間の架橋とを共に作り出すための単一のプロセスステップを提供し、これら架橋をもたらすために追加の硬化ステップを必要としない。
【0041】
より低い圧力では、基板上に連続層として架橋ポリプロピレンを形成することができる。好ましい方法によれば、望ましい場合に基板上に連続層を生成するためには、5Torr未満となるように圧力を選択する。他の好ましい方法においては、特にプラズマ相において形成される薄片又はナノ粒子として架橋ポリプロピレンが望ましい場合、5Torrを超えるように圧力を選択する。
【0042】
ポリプロピレン層中の機械的応力は典型的に、基板へのイオン衝撃のより大きなエネルギーにより、圧力に反比例する。イオン衝撃が、数ある考慮事項の中でもプラズマへと結合する出力の使用、圧力及び電極構成によって制御することができるプラズマ形成プロセスの本質的な部分である。当業者は、他のプロセスによりイオン衝撃を実施することもできる。とりわけ、このイオン衝撃は、基板への層の付着力及び表面エネルギーに影響を及ぼす。したがって、好ましい諸実施形態においては、チャンバ内の圧力が200mTorrを超えるように選択する。
【0043】
架橋ポリプロピレン層内の機械的応力もまた、プラズマ電極に加えられる単位面積当たりの出力の関数である。加える出力が大きくなればなるほど、架橋ポリプロピレン層の成長速度が大きくなるが、層中の機械的応力も大きくなる。そのような訳で、好ましい諸実施形態においては、プラズマ電極の単位面積当たりに加えられる出力は0.25ワット/cm未満である。より好ましくは、電極の単位面積当たりに加えられる出力は0.1ワット/cm未満である。電極に対する単位面積当たりに加えられる出力により、機械的応力をさらに下げることができる。
【0044】
好ましくは、層のイオン衝撃を制御することによってポリプロピレン層を形成したときにポリプロピレン層に対する損傷が最小限に抑えられるように、プラズマ及びバイアス条件を準備する。したがって、基板を電気的に接地して高品質の膜を生成することができる。
【0045】
高分子材料における高い三次元架橋度により、従来のポリプロピレンよりも高い溶融温度がもたらされる。この架橋は、構造の三次元すべてに広がることができる。これにより、広範囲の機能に架橋ポリプロピレン材料を使用することが可能となる。さらに、このような高分子材料は、最小限のクリープ及び強化された機械的特性から恩恵を受ける。
【0046】
本明細書中に教示するタイプのポリプロピレン層によって提供される集積回路は、誘電体層として二酸化ケイ素を採用する従来の集積回路よりも効果的に作動することが可能である。これは、本明細書中に教示する架橋ポリプロピレン層の誘電率又はk値が二酸化ケイ素の誘電率又はk値よりもはるかに小さいからである。これにより、層に貯蔵されるエネルギーが削減され、それに応じて干渉が低減されることにより、より速い切り替え時間が可能となる。
【0047】
さらなる実施形態においては、2層以上の誘電体スタックを設け、その上で前記ポリプロピレン層を一般的な二酸化ケイ素又は窒化ケイ素層のサンドイッチ構造と組み合わせる、又はサンドイッチ構造内に包み込むことが可能である。
【0048】
本発明の別の態様によれば、高度架橋ポリプロピレン材料を製造する方法が提供される。この方法は、反応チャンバを設けるステップと、プロピレンを含まない1種又は複数種の選択された炭素含有ガスを前記チャンバに供給するステップと、前記チャンバにプラズマを打ち込み、前記プラズマにより前記1種又は複数種のガスを解離させて、メチルラジカルを含む相とするステップと、前記解離した相を核形成させることにより、高度架橋ポリプロピレン材料を作り出すステップを含む。
【0049】
本発明のこの態様では、請求項1に付け加えられる又は関係している従属請求項のいずれか又は各々に記載されている特徴を含めた、本明細書中に教示する好ましい特徴のいずれも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
添付図面を参照して、ほんの一例としての本発明の好ましい諸実施形態についてこれから説明する。
【図1】プラズマ化学気相成長装置を示す図である。
【図2A】第1の架橋ポリプロピレン材料のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを示す図である。
【図2B】第2の架橋ポリプロピレン材料のFTIRスペクトルを示す図である。
【図3】ポリプロピレンポリマー鎖の構造単位を示す図である。
【図4A】第1の架橋ポリプロピレン材料のFTIRスペクトルに対するアニールの影響を示す図である。
【図4B】第2の架橋ポリプロピレン材料のFTIRスペクトルに対するアニールの影響を示す図である。
【図5】架橋ポリプロピレン材料を含むコンデンサデバイスを示す図である。
【図6】架橋ポリプロピレン材料のk値に対するアニールの影響を示す図である。
【図7】架橋ポリプロピレン材料を含む集積回路を示す図である。
【図8】架橋ポリプロピレン材料を含む代替の集積回路を示す図である。
【0051】
[好適な実施形態の詳細な説明]
図1を参照すると、プラズマ化学気相成長(PECVD)用装置1が、チャック3を包囲するチャンバ2を備え、チャック3上に基板4が設置されている。基板4は、この実施形態においてはシリコンで形成されている。しかしながら、他の材料を基板として使用することもできる。たとえば、ゲルマニウムなどの半導体材料を使用することができる。或いは、金属を使用することもできる。
【0052】
チャンバ2の最上部には、ガス注入口及びプラズマ電極として機能するシャワーヘッド5がある。より具体的には、シャワーヘッド5は注入口6を有し、この注入口6を通してシャワーヘッド5がPECVDプロセスで使用する原料ガスを受け取る。また、シャワーヘッド5は複数の出口7を有し、これら出口7を通して原料ガスをシャワーヘッド5からチャンバ2へと排出することができる。シャワーヘッド5は好ましくは金属製である。シャワーヘッド5はこの実施形態においては電極として機能するが、追加又は代替の電極構造を使用することもできる。
【0053】
シャワーヘッド5に電圧を印加することができる電源8を設ける。好ましい諸実施形態においては、電源8が13.56MHz前後の周波数で交流(AC)を供給する。他の周波数を使用することもできるが、好ましくは少なくとも1Hzである。しかしながら、他の諸実施形態においては、電源8は異なる周波数でACを提供することが、又は直流(DC)を流すことができる。それでもやはり、ACは電極における電荷蓄積のリスクをネゲート(negate)するため好ましく、したがってプラズマをより低い出力レベルで起こすことが可能にする。出力を切り替える、又はバイポーラ出力線形に制御することによりプラズマと結合させて、ガスを解離させ、またイオン衝撃を最小限に抑えることができる。電源8によって供給される電力を制限して、さもなければイオン衝撃によって生じることになる堆積層への損傷を回避する。
【0054】
チャンバ2の底部にはガス出口9があり、このガス出口9を通してチャンバ2内のガスを真空ポンプ10を用いて排出させることができる。この実施形態においては、真空ポンプ10がターボ分子ポンプである。別の実施形態においては、真空ポンプ10がロータリポンプである。真空ポンプ10は、5×10−7Torr前後までチャンバ2内の圧力を低下させることができる。
【0055】
アセチレン(C)補給器11も設けられる。アセチレンに対する代替の炭素含有ガスを使用することもできる。アセチレン補給器11により、質量流量コントローラ12によって制御される速度でチャンバにアセチレンガスが供給される。アセチレン補給器11からのアセチレンの供給をろ過するためにフィルタ13を含むこともできる。補助ガス補給器14を設けることもできる。補助ガス補給器14により補助ガスが供給され、この補助ガスもまた、質量流量コントローラ12を通ってチャンバへ挿入される。必要に応じて、さらなる補助ガス供給器(図示せず)を設け、やはり質量流量コントローラ12に補助ガスを供給するように配置する。したがって、質量流量コントローラ12は、チャンバ2中のアセチレンガスと1種又は複数種の補助ガスとの相対的割合を調節することができる。チャンバ2へ供給される、アセチレンガスと1種又は複数種の補助ガスとの組合せは、原料ガスとして知られている。この原料ガスは、アセチレンとアセトンとの組合せを含有することができる。
【0056】
代替又は追加の補助ガスを使用することもできるが、好ましい実施形態における補助ガスは水素である。アセチレン補給器11は通常加圧され、多孔質材料を含む。アセチレンガスは、多孔質材料内の液体アセトン(CHCOCH)中に貯蔵される。アセトンは揮発性炭化水素であるため、アセチレン補給器11によって供給されるガスは多くの場合、好ましくは純粋なアセチレンではなく、アセチレンとアセトンとの組合せであることがわかる。一部の実施形態においては、原料ガスがこのアセトンの少なくとも一部を、以下に記載する架橋ポリプロピレン材料の生成を向上させることができるため、確実に保有することが好ましい。
【0057】
この実施形態における質量流量コントローラ12は、アセチレンの一部を含む原料ガスを供給するように配置される。このアセチレンの割合は、要件に応じて任意の値を取ることができるが、好ましい実施形態においては0.1%〜25%である。例示的な原料ガスが、アセチレン5%と水素95%とを含む。水素成分は、アルゴンなどの不活性ガス、又はアルゴンと水素など、不活性ガスと還元ガスとの混合物に置き換えることができる。アセチレン5%は、アセチレンとアセトンとの組合せ5%に置換することができる。
【0058】
このPECVD装置1を使用して基板4上に材料を堆積させるためには、まずチャンバ2を真空ポンプ10によって排気する。その後、アセチレン供給器11及び1つ又は複数の補助ガス供給器14から質量流量コントローラ12を介してチャンバ2へと原料ガスを供給する。ここから、真空ポンプ10を使用してチャンバ2内の定圧を維持する。チャンバと真空ポンプとの間の加減弁を使用することによって、又はガスの流量を調節することによって、この圧力の調節を実現することもできる。好ましい一実施形態においては、この圧力を200mTorrを超えるように調節する。より低い圧力では、基板4へのイオン衝撃のエネルギーがより高く、ポリプロピレン層に損傷を与えることがあり、特に、動作条件によりさらにプラズマ不安定性を生じる。
【0059】
原料ガスがチャンバ2内にあると、チャンバ2内のプラズマを起こすために、電源8がAC又はDCをシャワーヘッド5に供給する。プラズマはその後定常状態で維持され、PECVDのプロセスが起こる。その結果、基板上に高度架橋ポリプロピレン膜が堆積される。ヒータ(図示せず)を設けることにより、基板に追加の熱を加えて架橋ポリプロピレン膜の熱安定性を増大させることが可能である。好ましい諸実施形態においては、ヒータを使用して100℃〜1000℃、より好ましくは200℃〜500℃、最も好ましくは250℃〜300℃で熱を加える。このプロセス中の紫外線プラズマ衝撃を使用することもできる。
【0060】
架橋ポリプロピレンが生じるメカニズムは、チャンバ2内の圧力によって異なる。約5Torrを上回る圧力では、具体的な動作条件に応じて、高度架橋ポリプロピレンがプラズマ内で生成され、その後基板上に堆積される。約5Torrを下回る圧力では、基板4自体に直接高度架橋ポリプロピレンが生成される。これら2つの圧力間の差が、架橋ポリプロピレン膜又は材料の特性に影響を及ぼす。
【0061】
約5Torrを上回ると、高度架橋ポリプロピレンがプラズマ相内で核を成し、共に沈降して基板4上に層を形成する複数の別個の粒子を含む。その結果、層がどのような雰囲気中に設置されているとしても、空で残された領域が層内に存在する。これは、空気のk値は非常に低い(約1)であるため、有効k値の点で有益な効果である。しかしながら、プラズマ相内で核となる材料は、追加の層の結合を促進するように平滑な上面もたらさない。必要に応じて、後処理により層を平坦化して、デバイス構造への集積用に非常に平滑な表面を作り出すことも、又は適切なエポキシとの混合により薄膜の生成を可能とすることもできる。
【0062】
約5Torrを下回る圧力では、架橋材料が基板4上で直接核を成す。その物理的特性は、特に平滑表面を有する基板4上に連続層を形成するため異なる。
【0063】
図2A及び2Bは、フーリエ変換赤外(FTIR)分光装置から得られる、プラズマ相内(以後「材料A」)及び基板上(以後「材料B」)で核を成す材料のスペクトル201、204を示す。従来から製造されているポリプロピレンの対照サンプルのスペクトル202も示す。
【0064】
5Torrを上回る圧力で生成される材料A201と、5Torrを下回る圧力で堆積される材料B204とが、いくつかの吸収ピークをポリプロピレンの対照サンプル202と共有することが、図2A及び2Bからわかる。このことから、材料AもBも共に、ポリプロピレン様骨格構造を有する(すなわち、ポリプロピレンポリマー鎖を含む)ことが推測される。しかしながら、材料A及びBのスペクトル201、204の追加のピークは、標準ポリプロピレン202とは異なることを示している。特に、材料A及びBのスペクトル201、204は共に、C=C二重結合(親油性結合)と関連するピークを示す。この結合はポリマー鎖の架橋と関連し、材料の温度安定性を強化する巨視的効果を有し、また低クリープや改善された機械的完全性など特定の機械的利点をもたらす架橋の増大と関連している。
【0065】
プラズマ内のエネルギーは、ポリマー鎖間の架橋の生成に役立つ。このエネルギーは通常紫外線照射を含むが、他の形で放出させることもできる。プラズマを含有する紫外線照射を使用すると、たとえば、特異な高分子生成と硬化プロセスステップとを効果的に組み合わせることができ、優れた巨視的特性を有する架橋ポリプロピレン層の直接生成に役立つ。プラズマは紫外線成分を有し、好ましくはより高エネルギーのプラズマ種、イオン及び電子も有する。
【0066】
図3は、従来のポリプロピレンポリマー鎖の構造単位ビルディングブロックを示す。この単位を繰り返して線状ポリマー鎖を提供する。架橋は、線状鎖が互いに接続される点である。
【0067】
図2A及び2Bにおける材料A及びBのスペクトル201、204の分析により、構造単位数に対する材料中のC=C結合数の推定が可能となる。図2Aはポリエステルのスペクトル203も示し、このスペクトル203を使用して、FTIR分光計における様々な結合のピーク断面を推定する。これら結合の相対断面を計算すると、SpC−H結合とC=C結合とのそれらのスペクトル201、204におけるピーク比率を比較することによって、材料A及びBの構造単位当たりのC=C結合数を推定することが可能である。
【0068】
上記分析を利用すると、材料A及びBが、平均してポリマー鎖の6単位毎に少なくとも一度C=C結合を示すことがわかる。好ましい諸実施形態においては、この比率を4単位に一度まで増大させることができる。C=C結合は、ポリマー鎖間の架橋に起因する。これは、そのようなポリマー鎖における高レベルの架橋であり、優れた熱安定性及び無視できる程度のクリープを含めた巨視的に見た利点をもたらす。
【0069】
図3に示す単一の構造単位は、プロピレン、又はより一般的にはプロペンとして知られている。したがって架橋率により、鎖中のプロペン単位数と比較した架橋数が定義される。
【0070】
PECVD法によって生成される高度架橋ポリプロピレンは、従来のポリプロピレンよりも優れた熱安定性を示す。特に、従来のポリプロピレンの融点は160℃前後であるが、高度架橋ポリプロピレンの融点は少なくとも300℃である。好ましい諸実施形態においては、融点をさらにもっと上昇させることができる。たとえば、高度架橋ポリプロピレン材料をそのPECVD合成時に加熱すると、後のアニールと同様、高度架橋ポリプロピレン材料の融点がさらに上昇する。紫外線プラズマ衝撃とアニールとの組合せを使用して、ポリプロピレンの材料特性及び架橋をさらに強化することができる。好ましくは、高度架橋ポリプロピレンの融点は少なくとも350℃である。
【0071】
図4A及び4Bは、それぞれ材料A及びBの熱安定性を示す。ある範囲の温度で真空中10分間材料をアニールし、アニールした結果のFTIRスペクトルをその後分析した。従来から製造されているポリプロピレンの対照サンプルについてのスペクトル202も図4A及び4Bに示す。
【0072】
図4Aに示す材料Aのスペクトルにより、1000℃の温度におけるアニールの後でさえ材料がその構造を保持していることが実証される。これは、この温度においても特性吸収帯が保持されていることによって説明される。同様に、図4Bに示す材料Bのスペクトルにより、最大400℃のアニール温度まで材料がその構造を保持することが実証される。
【0073】
材料A及びBのスペクトルにおける吸収帯の相対強度の差が、異なる温度におけるアニールの結果として観測される。これらの差は、少なくとも部分的には、架橋をもたらすポリマー鎖間の結合の変化に起因することがある。特に、アニールによりC=C二重結合が芳香族結合に置換されると推測されている。芳香族結合が炭素原子の共役環を含み、より高い安定性を示す。一般に、芳香族結合中には6個の炭素原子がある。750℃を上回るアニール温度においては、C=C二重結合が完全に芳香族結合に置換される。
【0074】
高度架橋ポリプロピレンの安定性は、そのような高温においては高分子では並外れている。その結果、この材料を劣化なくより幅広い条件において使用することが可能である。これは、ポリマー鎖間の高い三次元架橋度に起因する。
【0075】
材料A及びBの全体構造は、図4A及び4Bで実証されているように高温におけるアニールの間中無傷のままであるが、材料の巨視的特性が変化することがある。アニールプロセスを使用して材料を熱「硬化」させることにより、材料を後に加熱した場合に生じる巨視的変化を制限することができる。この追加のアニールステップは、好ましくは少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも200℃、最も好ましくは少なくとも300℃の温度で行われる。
【0076】
従来のポリプロピレンと比較して強化された熱安定性と同様に、高度架橋ポリプロピレン材料は改善された機械的特性、特に1.5GPaを超えるヤング率及び少なくとも10MPaの硬度を有する。さらに、高度架橋材料は無視できるほどのクリープ、強化された機械的特性を示し、したがって工業用セラミックスにより酷似している。
【0077】
これにより、材料中のC=C二重結合が、鎖間の相対運動を低減又は抑制する三次元ネットワーク又はマトリックス中の高度架橋ポリマー鎖の結果であるという結論が支持される。最小限のクリープは、標準ポリプロピレンと比較して生成される材料を強化する高度架橋ポリマー鎖の結果として観測される。
【0078】
従来のポリプロピレンと比較した高度架橋ポリプロピレンの機械的及び熱的特性により、集積回路の製造における層間誘電体の用途を含めた様々な用途に、高度架橋ポリプロピレンがより適するようになる。特に、プラズマ相中で核となる高度架橋材料のk値は1.5前後、一実施形態においては1.6±0.5と測定され、また基板上の直接核形成により形成される高度架橋材料のk値は2.5前後、一実施形態においては2.24±0.15と測定される。これらの値は、成長条件に基づき調整することができる。
【0079】
高度架橋ポリプロピレン材料のk値は、マイクロチップにおいて誘電体層として従来から使用されている物質である二酸化ケイ素のk値、3.9前後よりもはるかに低い。さらに、高度架橋ポリプロピレン材料のk値は、図6で実証されているようにアニールによってさらに向上する。アニールステップは、質量の損失により材料を大幅には削減させないように思われるが、これは厚さの減少及び付随するk値の増大を反映するはずである。それどころか驚くべきことに、k値の減少が観測される。
【0080】
図5は、架橋ポリプロピレン材料を含むコンデンサデバイスを示す。図7は、架橋ポリプロピレン材料を含む集積回路を示す。図8は、架橋ポリプロピレン材料を含む代替の集積回路を示す。
【0081】
当然のことながら、本明細書中に教示する方法及び装置は、RF及びDCプラズマだけでなく、誘導結合プラズマ(ICP)も同じように使用することができる。
【0082】
本発明について記載の実施形態は例にすぎない。記載の実施形態に対する修正、変化及び変更を当業者であれば思い付くであろう。これら修正、変化及び変更は、特許請求の範囲及びその等価物において定義される本発明の範囲から逸脱することなく加えることができる。
【0083】
本願が優先権を主張する英国特許出願第0906680.4号における、またこの出願に添付されている要約書における開示は、参照により本願に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度架橋ポリプロピレン材料を製造する方法であって、
反応チャンバを設けるステップと、
複数の炭素含有ガスから1種又は複数種の炭素含有ガスを選択するステップと、
前記チャンバに前記1種又は複数種の選択された炭素含有ガスを供給するステップと、
前記チャンバ内にプラズマを打ち込み、前記プラズマにより前記1種又は複数種のガスを解離させてメチルラジカルを含む相にするステップと、
前記解離した相を核形成させることにより、高度架橋ポリプロピレン材料を作り出すステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記ポリプロピレン材料が、繰返し構造単位の複数のポリマー鎖を含み、6つの構造単位当たり平均少なくとも1つの架橋及び/又は隣接するポリマー鎖間の複数の架橋を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高度架橋ポリプロピレン材料が、6つのsp炭素−水素結合毎に炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマが紫外線成分を有し、前記紫外線成分が、前記ポリプロピレン材料中の架橋の生成を増進させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記紫外線成分UVが前記ポリプロピレン材料を硬化させる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記チャンバ内に第1及び第2の電気電極を設けるステップを含み、前記核形成ステップが、前記第1の電極と前記第2の電極の間に電位差を印加するサブステップを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
電圧が、前記電極の単位面積当たりの出力0.1ワット/cm未満に対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
電圧が、前記電極の単位面積当たりの出力0.05ワット/cm未満に対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の電極及び前記第2の電極の一方の上に配置される基板を設けるステップを含み、前記核形成相が、前記第1の電極と前記第2の電極の間に電位差を印加して、前記核形成した相を前記電極上に堆積させ、それにより前記基板上に高度架橋ポリプロピレン材料の層が形成されるサブステップを含む、請求項6、7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板が電気又は電子回路の一部であり、前記高度架橋ポリプロピレン材料の前記堆積により、前記基板上に電気絶縁層が設けられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリプロピレン材料層が、絶縁中間層又は誘電体中間層の形で複数の電気部品又は電気相互接続の上に設けられる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリプロピレン材料層が、集積回路における層間誘電体として、プリント回路基板の層間誘電体として、コンデンサにおける、又は光電子部品若しくは光電子デバイスを含む他の任意の電気部品における層間誘電体として設けられる、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリプロピレン材料が、プラズマ相において核形成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリプロピレン材料を回収し、続いて基板上に前記材料を堆積させるステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記回収したポリプロピレン材料を、溶液中に懸濁又は溶解させる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記堆積が、スプレーコーティング、スピンオンコーティング又は静電コーティングによるものである、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記チャンバに少なくとも1種の補助ガスを含むキャリアガスを供給するステップを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の補助ガスが、水素、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン又は他の希ガスのうち1種又は複数種を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種の補助ガスが、前記プラズマ内で前記ガス状成分の強化解離を促進させることにより、薄膜、薄片又は粒子の形の高度架橋ポリプロピレン材料を生成する、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1種の補助ガスが、解離用に選択される1種又は複数種の炭素含有ガスに対して高いイオン化ポテンシャルを示す、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記チャンバ内の圧力が、200mTorrを超えるように設定される、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記チャンバ内の圧力が、前記解離ステップ中5Torrを超えるように設定される、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記チャンバ内の圧力が、前記解離ステップ中5Torr未満に設定される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記材料をアニールするステップを含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記アニールステップが、前記有核ポリプロピレン材料の誘電率を変化又は減少させるように行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
アニールが100℃を超える温度で行われる、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
アニールが200℃を超える温度で行われる、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
アニールが300℃以上の温度で行われる、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項29】
前記アニールステップが、少なくとも10分間行われる、請求項24〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記アニールステップが真空中、又は制御されたガス環境下で行われる、請求項24〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記制御されたガス環境が、不活性ガスの1種又は組成物を使用する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記プラズマ核形成又は合成ステップ中、非プラズマ手段によって前記チャンバ内で追加の加熱を提供するステップを含む、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリプロピレン材料の追加の非プラズマ加工を行うステップを含む、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記1種又は複数種の選択された炭素含有ガスが、アセチレン、アセトン、エチレン、エタノール、メタン及びプロピレンのガス若しくは蒸気の群から選択される、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記炭素含有ガスが、アセチレンとアセトンの組合せである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
低誘電率又はk値を示す高度架橋ポリプロピレン材料を基板上に製造する方法であって、
電極に接する基板を前記チャンバ内に設けるステップと、
前記チャンバ内の対電極に電圧を印加することによってチャンバ内にプラズマを打ち込むことにより、前記基板上に材料層を形成するステップと
を含み、前記プラズマは紫外線成分を有し、前記紫外線成分が三次元の高分子の架橋を増進して、前記形成された材料に機械的完全性及び熱安定性を与える、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記プラズマを生成するために加えられる出力の切り替えによって、前記プラズマのエネルギーを制御し、それによって、有核ポリプロピレン材料への損傷を最小限に抑えるステップを含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
所定の平均プラズマ出力を実現するように切り替えを行う、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法によって得られる高度架橋ポリプロピレン材料。
【請求項40】
複数の繰返し構造単位で形成される複数のポリマー鎖を含む高度架橋ポリプロピレン材料であって、6つの構造単位毎に少なくとも一度の炭素−炭素二重結合及び/又は隣接する鎖を結合する炭素−炭素二重結合を含む高度架橋ポリプロピレン材料。
【請求項41】
6つのsp炭素−水素結合毎に、平均少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、請求項40に記載の高度架橋ポリプロピレン材料。
【請求項42】
ナノ粒子若しくは薄片の形の、又は連続膜としての、請求項39、40又は41に記載の高度架橋プラズマポリプロピレン材料。
【請求項43】
電気的活性コーティング、光学機能コーティング、保護コーティング、潤滑コーティング、耐力コーティング及び/又は耐熱コーティングの1つ又は複数の形である、請求項39〜42のいずれか一項に記載の高度架橋プラズマポリプロピレン材料。
【請求項44】
1.5GPaを超えるヤング率を有する、請求項39〜43のいずれか一項に記載の高度架橋プラズマポリプロピレン材料。
【請求項45】
少なくとも10MPaの硬度を有する、請求項39〜44のいずれか一項に記載の高度架橋プラズマポリプロピレン材料。
【請求項46】
1.5〜2.6のk値を有する、請求項39〜45のいずれか一項に記載の高度架橋プラズマポリプロピレン材料。
【請求項47】
請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法によって得られた高度架橋ポリプロピレン材料の層を備える基板。
【請求項48】
請求項1〜38のいずれか一項に記載の方法によって得られる高度架橋ポリプロピレン材料で形成される少なくとも1つの誘電体層を備える集積回路。
【請求項49】
前記層が当該集積回路の導電素子間に配置される、請求項48に記載の集積回路。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−524136(P2012−524136A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505226(P2012−505226)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000772
【国際公開番号】WO2010/119263
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(507374170)サレイ ナノシステムズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】