説明

低速電子線用蛍光体、その製造方法および蛍光表示管

【課題】 少量の導電性付与材としての導電性酸化物ナノ粒子を添加することで、簡易な製造工程で輝度を高くできる低速電子線用蛍光体、その製造方法およびこの低速電子線用蛍光体を用いた蛍光表示管を提供する。
【解決手段】 蛍光体粒子表面に導電性酸化物ナノ粒子が付着されてなり、上記導電性酸化物ナノ粒子の平均粒子径が、5 〜 100nm であり、上記導電性酸化物ナノ粒子は、蛍光体全体に対して0.01〜10 重量%含まれており、蛍光表示管は上記低速電子線用蛍光体を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低速電子線用蛍光体、その製造方法およびこの低速電子線用蛍光体を用いた蛍光表示管に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光表示管、FEDなどに用いられる低速電子線用蛍光体には、蛍光体励起用入射電子を蛍光体表面から速やかに陽極に逃がす必要があるため導電性であることが要求される。しかしながら、緑色発光のZnO:Zn、赤色発光のSnO2:Eu以外の蛍光体、すなわちZnS、CaS、ZnGa24、SrTiO3、CaTiO3、ZnCdS、Y23、Y22Sなどの蛍光体は十分な導電性を有していないため、導電性付与材として蛍光体の特性を阻害しない導電材料、すなわち、インジウム錫オキサイド(ITO)、In23、SnO2、ZnOなどの導電性酸化物を蛍光体粒子に対し 1 〜 20 重量%程度添加して導電性を付与していた。
これらの導電性付与材自身は発光せず、多量になると輝度を低下させるので、蛍光体に導電性を付与するための必要最小限の量を、かつ導電性付与材自身凝集させずに蛍光体表面に付着させる必要がある。
【0003】
しかしながら、上記導電性付与材は、十分分散させて蛍光体表面に付着させても、印刷形成用の蛍光体ペーストを作製するために、有機溶剤、有機バインダーと導電性粒子付着蛍光体を混練する際に導電性粒子が蛍光体表面から一部剥離してしまうという問題があった。
そのため、従来は、必要以上の導電性付与材としての導電性粒子を添加する必要があり、そのため輝度を落としてしまっていた。この問題を解決するため、導電性粒子を固着させる方法として、蛍光体ペースト中でも溶解しない水溶性バインダーで接着させる方法が知られている(特許文献1参照)。しかし、この方法は、導電性粒子を水溶性バインダーによって蛍光体表面に均一被着させることで、上記導電性粒子の剥離等の問題は解決しているものの、工程が複雑であり、大量生産には不向きであるという問題があった。
【特許文献1】特開昭61−127783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、少量の導電性付与材としての導電性酸化物ナノ粒子を添加することで、簡易な製造工程で輝度を高くできる低速電子線用蛍光体、その製造方法およびこの低速電子線用蛍光体を用いた蛍光表示管の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の低速電子線用蛍光体は、蛍光体粒子表面に導電性酸化物ナノ粒子が付着されてなり、上記導電性酸化物ナノ粒子の平均粒子径が 5 〜 100nm であることを特徴とする。
上記低速電子線用蛍光体において、上記導電性酸化物ナノ粒子は、蛍光体全体に対して0.01〜10 重量%含まれていることを特徴とする。
【0006】
本発明の低速電子線用蛍光体の製造方法は、平均粒子径 5 〜 100 nm の導電性酸化物ナノ粒子を有機溶剤に分散させる工程と、得られた分散液に低速電子線用蛍光体粒子を混合分散させる工程と、導電性酸化物ナノ粒子が表面に付着した低速電子線用蛍光体粒子を分散させている上記有機溶剤を蒸発させる工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の蛍光表示管は、陰極より発生した低速電子線を陽極基板上に形成された上記低速電子線用蛍光体に照射して該蛍光体を発光させる低速電子線用蛍光体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
導電性酸化物ナノ粒子の平均粒子径が 5 〜 100nm であり、表面エネルギーが従来の導電性粒子に比較して非常に大きい。このナノ粒子が低速電子線用蛍光体表面に付着されるとこの表面エネルギーが小さくなるためナノ粒子が蛍光体表面から脱落しなくなる。その結果、添加量を抑えることができ、また、輝度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で使用できる導電性酸化物ナノ粒子は、平均粒子径が 5 〜 100nm 、好ましくは 5 〜 50nm である。平均粒子径が 5 nm 未満であると、ナノ粒子同士の凝集が生じ、後述する製造方法において、有機溶剤への分散が困難になる。また、100nm をこえると、蛍光体粒子への付着力が低下する。また、本発明において平均粒子径は、例えば比表面積法によって測定できる。
導電性酸化物ナノ粒子の粒子径が 100nm 以下、特に 50nm 以下になることにより、表面積が著しく増大する。表面積が増大することにより、表面活性が大きくなり表面エネルギーは従来の導電性粒子(平均粒子径が約 0.3 μm )に比較して非常に大きくなる。このため、一旦蛍光体粒子上に分散・付着させると、この表面エネルギーが小さくなって付着力が非常に強くなる。その結果、蛍光体ペーストを作製するため、有機溶剤、有機バインダーと導電性粒子付着蛍光体を混練しても蛍光体表面からナノ粒子が剥離し難くなる。
【0010】
本発明で使用できる導電性酸化物ナノ粒子の平均粒子径は、低速電子線用蛍光体の平均粒子径との比較においては、[導電性酸化物ナノ粒子の平均粒子径/低速電子線用蛍光体の平均粒子径]=[ 1/10 〜 1/100 ]であることが好ましい。 1/10 をこえると、蛍光体粒子への付着力が低下し、また、輝度が低下する。 1/100 未満であるとナノ粒子同士の凝集が生じる。
【0011】
上記平均粒子径の導電性酸化物ナノ粒子は、従来使用されてきた導電性酸化物の平均粒径の約 1/6 以下である。このため、添加する必要最小量も従来の導電性酸化物粒子に比べ 1/2〜1/5 ですむという特徴を有する。
【0012】
本発明で使用できる導電性酸化物ナノ粒子の種類を例示すると、ZnO、In23、インジウム錫オキサイド(ITO)、SnO2、Nb25、TiO2、WO3等がある。これら導電性酸化物ナノ粒子は単独でも混合物としても使用できる。
酸化物ナノ粒子は、気相法で製造された微粒子が好ましい。好ましい製造方法は、特開平11−278838号公報に記載されている方法があり、ZnOを例にとれば、金属亜鉛を消費アノード電極とし、カソード電極からアルゴンガスのプラズマフレームを発生させ、金属亜鉛を加熱、蒸発させ、その金属亜鉛蒸気を酸化、冷却する方法が挙げられる。In23の場合においても、原料に金属インジウムを用いることで酸化物ナノ粒子を製造することができる。
【0013】
本発明に使用できる低速電子線用蛍光体粒子は、蛍光表示管に用いられる低速電子線によって容易に発光する蛍光体を使用できる。例えば、硫化物蛍光体として、(Zn,Cd)S系を母体とする(Zn,Cd)S:Ag,Cl蛍光体、ZnS系を母体とする(ZnS:Mn、ZnS:Au,Al、ZnS:Ag,Cl、ZnS:Cu,Al)蛍光体、また、酸化物蛍光体として(Zn,Mg)O:Zn蛍光体、ZnGa24:Mn蛍光体、(Zn,Mg)Ga24:Mn蛍光体、(Zn,Al)Ga24:Mn蛍光体、ZnSiO4:Mn蛍光体、SrTiO3:Pr,Al蛍光体、SnO2:Eu蛍光体、Y22S:Eu蛍光体、CaTiO3:Pr蛍光体などを例示できる。なお、蛍光体の平均粒子径は、 0.5 〜 5 μm である。
【0014】
低速電子線用蛍光体粒子の表面に上記導電性酸化物ナノ粒子を付着させて、本発明の低速電子線用蛍光体となる。導電性酸化物ナノ粒子は、蛍光体全体(蛍光体粒子+酸化物ナノ粒子)に対して 0.01〜10 重量%、好ましくは 0.1〜8 重量%配合される。0.01 重量%未満であると、導電性が付与できず輝度が維持できない。また、10 重量%をこえると輝度が低下を始める。
【0015】
導電性酸化物ナノ粒子を表面に付着させた低速電子線用蛍光体粒子は、導電性酸化物ナノ粒子を有機溶剤に分散させる第1の工程と、得られた分散液に低速電子線用蛍光体粒子を混合分散させる第2の工程と、導電性酸化物ナノ粒子が表面に付着した低速電子線用蛍光体粒子を分散させている上記有機溶剤を蒸発させる第3の工程とを含む。
第1の工程に用いることができる有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。これらの中でアルコール系溶剤が、蒸発時の溶剤残渣が少ないことから好ましい。
上記有機溶剤に分散させる方法としては、導電性酸化物ナノ粒子を溶剤に懸濁させた後に、超音波ホモジナイザーなどを用いて機械的に分散させることが好ましい。
【0016】
導電性酸化物ナノ粒子を分散させた後に、この分散液に蛍光体粒子を混合して再度超音波ホモジナイザーなどを用いて機械的に分散させる。その後有機溶剤を蒸発除去することにより、導電性酸化物ナノ粒子が表面に付着した低速電子線用蛍光体が得られる。有機溶剤を蒸発除去の方法は、減圧下での蒸発除去、室温での蒸発除去、凍結乾燥での蒸発除去等が採用できる。
【0017】
上記低速電子線用蛍光体は、印刷ペーストとして調製された後に基板上に印刷、乾燥、焼成することにより陽極基板が得られる。この工程を経ても導電性酸化物ナノ粒子は蛍光体表面に付着している。このため、従来使用されている導電材より少量であっても輝度が低下せず、輝度がより向上する。
印刷ペーストは、上記低速電子線用蛍光体およびバインダー樹脂を溶媒に溶解して得られる。
バインダー樹脂としては低速電子線用蛍光体に使用されている公知の樹脂が使用できる。好適なバインダー樹脂は、セルローズ誘導体であり、エチルセルローズ、メチルセルローズ、酢酸セルローズ、カルボキシメチルセルローズ等が挙げられる。
上記溶媒は、スクリーン印刷用に採用されている従来公知の溶媒を用いることができる。そのような溶媒としては、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテートなどのカルビトール類、α-テルピネオール、2-フェノキシエタノールなどの高沸点溶媒が挙げられる。
印刷ペーストを用いて印刷、乾燥、焼成する工程は、陽極パターン上に公知の方法によって行なうことができる。
【0018】
本発明の蛍光表示管について図1により説明する。図1は蛍光表示管の断面図である。
蛍光表示管1は、陽極基板7と、この陽極基板7上方にグリット8と陰極9とを設け、フェースガラス10およびスペーサガラス11を用いて封着して真空引きして形成される。陰極9より発生した低速電子線が陽極基板7上の蛍光体層6に射突して発光する。
陽極基板7は、ガラス基板2上に銀を主成分とする導電性ペーストを印刷塗布法により、またはアルミニウムの薄膜法により配線層3を形成した後、スルーホール4aを除くほぼ全面にわたって低融点フリットガラスペーストの印刷塗布法により絶縁層4を形成し、このスルーホール4aを介して電気的に接続された陽極電極5をグラファイトペーストの印刷塗布法により形成する。この陽極電極5上に、蛍光体層6を印刷塗布法より塗布したのち焼成して陽極基板7が得られる。
蛍光体層6は、印刷塗布法より塗布・焼成した後も導電性酸化物ナノ粒子が蛍光体表面に均一に付着している。このため、少量でも発光輝度が向上する。
【実施例】
【0019】
実施例1〜実施例7
平均粒径 50 nm の酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を有機溶剤であるイソプロピルアルコール(IPA)に懸濁させ 300 W の超音波ホモジナイザーで十分分散させる。その後、平均粒径 3μm の ZnS:Ag,Cl 蛍光体を所定量投入し再度超音波ホモジナイザーでZnOナノ粒子とZnS:AgCl蛍光体粒子を十分分散させる。その後この懸濁液をロータリーエバボレーターを使用し懸濁液を撹拝しながらIPAを蒸発させるとZnOナノ粒子が表面に強固に付着したZnS:Cu,Al蛍光体が得られた。
ZnOナノ粒子が表面に付着したZnS:Cu,Al蛍光体粒子の電子顕微鏡写真を図2に示す。図2に示すように、ZnOナノ粒子が表面に均一に付着している。
導電性酸化物ナノ粒子は、蛍光体全体(酸化物ナノ粒子+蛍光体粒子)に対して、 0.1 重量%(実施例1)、 0.5 重量%(実施例2)、 1.0 重量%(実施例3)、 1.5 重量%(実施例4)、 2.0 重量%(実施例5)、 4.0 重量%(実施例6)、 6.0 重量%(実施例7)、それぞれ配合した。
各実施例で得られた蛍光体を用いて作製した印刷ペーストを印刷塗布法より塗布したのち焼成して陽極基板を得た。その後図1に示す蛍光表示管を組み立て、酸化物ナノ粒子濃度をパラメータにとり発光輝度を測定した。結果を図3に示す。
【0020】
比較例1〜比較例6
平均粒径 50 nm の酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子に代えて、平均粒径 300 nm の酸化亜鉛(ZnO)粒子を用いる以外は実施例1と同様にしてZnO粒子が表面に付着したZnS:Cu,Al蛍光体を得た。ZnO粒子の配合量は、蛍光体全体(酸化物粒子+蛍光体粒子)に対して、 1.5 重量%(比較例1)、 2.0 重量%(比較例2)、 4.0 重量%(比較例3)、 6.0 重量%(比較例4)、 8.0 重量%(比較例5)、 10.0 重量%(比較例6)である。
実施例1と同様に図1に示す蛍光表示管を組み立て、酸化物粒子濃度をパラメータにとり発光輝度を測定した。結果を図3に示す。
【0021】
実施例8および比較例7
平均粒径 50 nm の酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を有機溶剤であるイソプロピルアルコール(IPA)に懸濁させ 300 W の超音波ホモジナイザーで十分分散させる。その後、平均粒径 2μm の ZnGa24:Mn 蛍光体を所定量投入し再度超音波ホモジナイザーでZnOナノ粒子とZnGa24:Mn蛍光体粒子を十分分散させる。その後この懸濁液をロータリーエバボレーターを使用し懸濁液を撹拝しながらIPAを蒸発させるとZnOナノ粒子が表面に強固に付着したZnGa24:Mn蛍光体が得られた。
導電性酸化物ナノ粒子は、蛍光体全体(酸化物ナノ粒子+蛍光体粒子)に対して、 6.0 重量%配合した。
一方、比較例7として、平均粒径 300 nm の酸化亜鉛(ZnO)粒子を蛍光体全体(酸化物ナノ粒子+ZnGa24:Mn 蛍光体粒子)に対して、 12.0 重量%配合した。
得られた蛍光体を用いて実施例1と同様に蛍光表示管を組み立て発光輝度を測定した結果、実施例8の発光輝度は比較例7を 100 として 130 であった。
【0022】
実施例9および比較例8
平均粒径 50 nm の酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を有機溶剤であるイソプロピルアルコール(IPA)に懸濁させ 300 W の超音波ホモジナイザーで十分分散させる。その後、平均粒径 2μm の SrTiO3:Pr 蛍光体を所定量投入し再度超音波ホモジナイザーでZnOナノ粒子とSrTiO3:Pr蛍光体粒子を十分分散させる。その後この懸濁液をロータリーエバボレーターを使用し懸濁液を撹拝しながらIPAを蒸発させるとZnOナノ粒子が表面に強固に付着したSrTiO3:Pr蛍光体が得られた。
導電性酸化物ナノ粒子は、蛍光体全体(酸化物ナノ粒子+蛍光体粒子)に対して、 8.0 重量%配合した。
一方、比較例8として、平均粒径 300 nm の酸化亜鉛(ZnO)粒子を蛍光体全体(酸化物ナノ粒子+SrTiO3:Pr 蛍光体粒子)に対して、 14.0 重量%配合した。
得られた蛍光体を用いて実施例1と同様に蛍光表示管を組み立て発光輝度を測定した結果、実施例9の発光輝度は比較例8を 100 として 140 であった。
【0023】
実施例10および比較例9
平均粒径 50 nm の酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子を有機溶剤であるイソプロピルアルコール(IPA)に懸濁させ 300 W の超音波ホモジナイザーで十分分散させる。その後、平均粒径 3μm の CaTiO3:Pr 蛍光体を所定量投入し再度超音波ホモジナイザーでZnOナノ粒子とCaTiO3:Pr蛍光体粒子を十分分散させる。その後この懸濁液をロータリーエバボレーターを使用し懸濁液を撹拝しながらIPAを蒸発させるとZnOナノ粒子が表面に強固に付着したCaTiO3:Pr蛍光体が得られた。
導電性酸化物ナノ粒子は、蛍光体全体(酸化物ナノ粒子+蛍光体粒子)に対して、 4.0 重量%配合した。
一方、比較例9として、平均粒径 300 nm の酸化亜鉛(ZnO)粒子を蛍光体全体(酸化物ナノ粒子+CaTiO3:Pr 蛍光体粒子)に対して、 10.0 重量%配合した。
得られた蛍光体を用いて実施例1と同様に蛍光表示管を組み立て発光輝度を測定した結果、実施例10の発光輝度は比較例9を 100 として 140 であった。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の蛍光体は、平均粒子径が、5 〜 50nm の導電性酸化物ナノ粒子が蛍光体粒子表面に付着しているので、付着量が少量であっても高い発光輝度が得られる。このため、この蛍光体を用いた蛍光表示管は、初期輝度に優れ、表示品位が優れるので、各種の蛍光表示管に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】蛍光表示管の断面図である。
【図2】蛍光体粒子の電子顕微鏡写真である。
【図3】酸化物粒子濃度をパラメータにとり発光輝度を測定した結果である。
【符号の説明】
【0026】
1 蛍光表示管
2 ガラス基板
3 配線層
4 絶縁層
5 陽極電極
6 蛍光体層
7 陽極基板
8 グリット
9 陰極
10 フェースガラス
11 スペーサガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体粒子表面に導電性酸化物ナノ粒子が付着されてなる低速電子線用蛍光体であって、
前記導電性酸化物ナノ粒子の平均粒子径が、5 〜 100nm であることを特徴とする低速電子線用蛍光体。
【請求項2】
前記導電性酸化物ナノ粒子は、蛍光体全体に対して0.01〜10 重量%含まれていることを特徴とする請求項1記載の低速電子線用蛍光体。
【請求項3】
平均粒子径 5 〜 100 nm の導電性酸化物ナノ粒子を有機溶剤に分散させる工程と、得られた分散液に低速電子線用蛍光体粒子を混合分散させる工程と、前記有機溶剤を蒸発させる工程とを備えることを特徴とする低速電子線用蛍光体の製造方法。
【請求項4】
陰極より発生した低速電子線を陽極基板上に形成された蛍光体に照射して該蛍光体を発光させる蛍光表示管において、前記蛍光体が請求項1または請求項2記載の低速電子線用蛍光体であることを特徴とする蛍光表示管。


【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−299118(P2006−299118A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123922(P2005−123922)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000117940)ノリタケ伊勢電子株式会社 (38)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】