説明

住宅の床下の出入口構造

【課題】 住宅の床下の出入口構造において、床下の点検や清掃などを容易に行えるようにする。
【解決手段】本発明の住宅の床下の出入口構造は、床下の換気をする換気装置が住宅の基礎に複数設けられた住宅の床下の出入口構造において、複数の換気装置のうち少なくとも1つを、人の出入りが可能な出入口を備えると共に出入口を開閉自在とした開閉型ユニットとし、開閉型ユニット以外の換気装置を、人の出入りが不能な閉鎖型ユニットとしていることを特徴とするものである。なお、開閉型ユニットは、基礎に取り付けられると共に出入口が形成された枠部と、枠部に出入口を開閉するように取り付けられる通気板とを備えており、開閉型ユニットの枠部と通気板との間に、枠部と通気板との間の隙間を目隠しするコーキング部を設けているのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の床下の出入口構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に戸建ての住宅や集合住宅のような小・中規模の住宅は、地面に打設された基礎の上に建物を組み立てて建築される。このようにして建築された住宅は床下空間(以下、単に床下という)を隔てて地面に接しており、地面や基礎に用いられるコンクリートなどから水分が蒸散しやすいため、床下には湿気が溜まりやすい。
床下に湿気が溜まると、カビやシロアリなどの病害虫が発生したり、木材や金属材の腐食を起こしたりする虞がある。
また、床下には給排水の配管、電気配線、又は電話線などが配設されており、これらにトラブルが起こったときや定期点検の折には床下に作業員が出入りすることがある。また、床下に病害虫などが発生した場合にも駆除や清掃のために床下に作業員が出入りすることがある。そこで、例えば特許文献1では、住宅の床下に出入りできる出入口を床面に設けておき、この出入口を塞ぐ蓋部材を必要に応じて開閉することで床下への作業員の進入を許容できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−140302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、床面に出入口を設けると、このような出入口は他の部分より目立ちやすいため、室内の美観を損なう虞がある。そこで、特許文献1では出入口をキッチンに設けられた床下貯蔵庫の上に設けて、室内の美観を損なわないように配慮している。
しかし、このような床下貯蔵庫には通常食品などの貯蔵品が収納されているため、収納庫を移動させて出入りするためには貯蔵品をすべて収納庫内から移動させる必要がある。つまり、特許文献1の床下構造では、点検や清掃に先だって面倒で大がかりな作業が必要となり、点検作業や清掃作業の効率を考えると好ましいものとは言えなかった。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、床下の点検や清掃などを容易に行うことができる住宅の床下の出入口構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じている。
即ち、本発明に係る住宅の床下の出入口構造は、床下の換気をする換気装置が住宅の基礎に複数設けられた住宅の床下の出入口構造において、前記複数の換気装置のうち少なくとも1つを、人の出入りが可能な出入口を備えると共に当該出入口を開閉自在とした開閉型ユニットとし、前記開閉型ユニット以外の換気装置を、人の出入りが不能な閉鎖型ユニットとしていることを特徴とするものである。
発明者は、住宅の基礎には床下の換気のために換気装置(換気口)が形成されているので、この換気装置を人の出入りが可能な出入口として用いることはできないかと考えた。そして、複数の換気装置のうち少なくとも1つを、人が出入りできるよう開閉する開閉型ユニットとすることで、床下の点検作業や清掃作業などが容易に行えるようになることを知見して、本発明を完成させたのである。
【0007】
それゆえ、本発明に係る住宅の床下の出入口においては、出入口を確保するためにいちいち貯蔵品を移動させる手間をかけることなく、床下の点検作業や清掃作業などを容易に行うことができる。
なお、このように換気装置を開閉可能にすると、防犯上好ましくない場合もある。このような場合は、前記開閉型ユニットを前記基礎に取り付けられると共に前記出入口が形成された枠部と、当該枠部に前記出入口を開閉するように取り付けられる通気板とを備えたものとした上で、さらに前記開閉型ユニットの枠部と通気板との間に、当該枠部と通気板との間の隙間を目隠しする目隠し部を設けると良い。
【0008】
このようにすれば、開閉型ユニットを閉鎖型ユニットと見分ける上で目印となる枠部と通気板との間の隙間が目立たなくなり、開閉型ユニットと閉鎖型ユニットとの見分けがつき難くなって高い防犯効果を発揮させることができる。
また、前記目隠し部材にコーキング剤を用いる場合には、通気板の縁部には、前記コーキング剤によりコーキングを行ったコーキング部と、当該コーキング剤を設けない非コーキング部とが形成されているのが好ましい。
このように通気板の縁部の一部だけをコーキングしてコーキング部とし、残りを非コーキング部としておけば、コーキング部が通気板の縁に沿って有端且つ連続したものとなり、いずれかの端を起点としてコーキング部を簡単に切る(切り込みを入れる)ことが可能となる。その結果、点検や清掃で床下に入りたいときには短時間でコーキング部を取り除いて床下に入ることができ、床下の点検や清掃などの作業効率をさらに向上させることができる。
【0009】
なお、前記通気板の上縁部を前記非コーキング部とすると共に、前記上縁部以外の縁部を前記コーキング部とすることができる。
また、前記通気板に、前記床下の外部との換気を可能とする通気孔を形成し、前記通気孔より上側の前記通気板の縁部を前記非コーキング部とすると共に、前記通気孔より下側の前記通気板の縁部を前記コーキング部とすることもできる。
このようにすれば、枠部と通気板との隙間、言い換えれば通気板の縁部を目立たなくできるだけでなく、通気孔より下側の部分における防水性を高めることができるようになる。
【0010】
さらに、前記開閉型ユニットには、前記枠部に対する通気板の開閉を検知するセンサを設けても良い。
このようにすれば、開閉型ユニットを開閉して不審者が侵入したことを察知することが可能となり、防犯効果をさらに高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る住宅の床下の出入口構造により、床下の点検作業や清掃作業などを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る床下の出入口構造の間取り図である。
【図2】換気装置の取付状態を示す斜視分解図である。
【図3】開閉型ユニットの開閉動作を示す図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】開閉型ユニットと閉鎖型ユニットとを正面から見た図である。
【図7】通気板のコーキング状態を示す図である。
【図8】従来例の出入口構造の間取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の住宅の床下の出入口構造1を図面に基づき説明する。
まず、本発明の床下の出入口構造(以下、単に床下構造1という)1は、戸建ての家屋やアパートなどの集合住宅のような小・中規模の住宅の基礎2に適用されるものである。このような住宅は、地面Gに打設された基礎2(コンクリート布基礎)の上に建物3が組み立てられており、建物3と地面Gとの間には床下4(床下空間)が形成されている。
図1に示されるように、基礎2は、地面Gに打設されたコンクリートで形成されており、建物3(住宅)の周囲に沿って配設された外壁5と、建物3(住宅)の内側に配設された内壁6とで構成されている。この基礎2で床下4は複数の床下区画4aに区切られており、また基礎2には所定間隔で複数の凹部8が形成されている。そして、これらの凹部8のうち外壁5に形成されたものにはそれぞれ換気装置7が配備されている。
【0014】
なお、以降の説明において、基礎2で囲われた内側(床下空間)を床下構造1を説明する際の内部、外側(室外)を外部という。また、図4の上下を換気装置7を説明する際の上下、図5の左右を換気装置7を説明する際の左右とする。
図2に示されるように、凹部8は、外壁5の天面5aを地面Gに向かってコの字状に凹ませた部分であり、外壁5の内外を貫通するように形成されている。凹部8は、左右の側面5L、5Rと底面5Bとを備えている。凹部8の左右の側面5L、5R及び底面5Bは、いずれも内部に水が浸入し難いように外側に向かってテーパ状(傾斜状)に形成されている。また、左右の側面5L、5Rの屋外に面する縁には、外部に向かうにつれて左右方向の開口幅が大きくなるように段差状に形成された段部15L、15Rがそれぞれ形成されている。
【0015】
外壁5の天面5aには、板状に形成された住宅の外壁パネル16が垂直に起立して載置されている。この外壁パネル16の下側にはアルミなどの押出材(型材)で形成された水切り部材17が取り付けられている。
換気装置7は、人や病害虫の侵入を防げるように板状に形成されており、また内外を貫通するように形成された換気用の孔(換気孔21)を通じて床下4に外気を流出入させて床下4の換気を可能とする装置である。
さて、従来の床下構造において床下に出入りする場合は、例えば図8に示されるように床下4(床下4に設けられた排水管14)に対して人の出入りが可能なハッチ10を床に設ければ、ハッチ10から経路Rを通って点検場所や清掃場所に作業員が入ることができ、点検や清掃を行うことも可能となる。
【0016】
ところが、このようなハッチ10は、室内の美観を損なう心配がない床下貯蔵庫の中などに設けられることが多い。それゆえ、ハッチ10をあけて床下4への進入経路Rを確保するためにはまず床下貯蔵庫の貯蔵品などを移動させたり貯蔵庫自体を取り出して進入口を確保したりする必要がある。つまり、点検や清掃に先立って大がかりで面倒な作業が必要であり、点検や清掃の作業効率を著しく悪くしていた。また、収納庫に附着している床下の土が室内に持ち込まれ、衛生上問題があることが多かった。
そこで、本発明の床下構造1では、床に設けたハッチ10の代わりに複数の換気装置7のいずれかを開閉して床下4に出入りできるようにしている。詳しくは、図1に示されるように、複数の換気装置7のうち少なくとも1つを、人の出入りが可能な出入口11を備えると共に出入口11を開閉自在とした開閉型ユニット12とし、開閉型ユニット12以外の換気装置7を人の出入りが不能な閉鎖型ユニット13として、外部から開閉型ユニット12を経由して点検や清掃を行う配管等14に至る経路Rを通って作業員が直接床下4に出入りできるようにしている。
【0017】
本実施形態では、図1に示されるように外壁5の凹部8に設けられた換気装置7のうち、1つを開閉型ユニット12とし、他の換気装置7を閉鎖型ユニット13としている。開閉型ユニット12が配備される箇所は、点検作業や清掃作業時にアプローチしやすいように排水管、水道管、又は電気配線などの配管等14(点検対象や清掃対象)に近い方が好ましい。なお、図1の例は、配管等14が設けられた床下区画4aの換気装置7が開閉型ユニット12とされ、それ以外が閉鎖型ユニット13とされている。
図2〜図5に示すように、開閉型ユニット12は、基礎2の凹部8に嵌め込み状態で取り付けられる枠部18と、この枠部18に取り付けられる通気板19とを備えている。
【0018】
枠部18は、左右一対の枠部材18L、18Rと上下一対の枠部材18T、18Bとを端部同士で連結させて、凹部8の左右方向及び上下方向の幅よりやや小さいサイズに形成されている。枠部18の中央には人(作業員)がくぐり抜けられる程度の大きさに開口した出入口11が形成されており、この出入口11を閉鎖可能な大きさの通気板19が枠部18に対して回動自在に枢支されている。
枠部18の左枠部材18Lには左方向に張り出した左張り出し部20Lが、また右枠部材18Rには右方向に張り出した右張り出し部20Rがそれぞれ形成されている(図5参照)。左右張り出し部20L、20Rは凹部8に形成された段部15L、15Rにそれぞれ嵌入可能な大きさに形成されている。
【0019】
通気板19は、枠部18の出入口11を閉鎖可能な大きさに形成された板部材であり、上下軸回りに回動自在に枠部18に対して取り付けられている。通気板19には床下4の内外に連通するスリット状の通気孔21が形成されており、この通気孔21を介して床下4の換気が可能となっている。
図3〜図5に示すように、上述の開閉型ユニット12は基礎2の凹部8に以下のような手順で取り付けることができる。まず枠部18を凹部8に挿し込む。次に、図4、図5に示すように、凹部8に挿し込まれた枠部18に対しては、ボルトなどの締結具を用いて固定する。このとき、枠部18と水切り部材17の間や枠部18と凹部8との間には隙間ができるので、これらの隙間をコーキング剤25などを用いて埋める。このようにすれば、開閉型ユニット12を凹部8に水密状態で取り付けることができる。
【0020】
このような開閉型ユニット12に対して、人の出入りができない閉鎖型ユニット13は、開閉型ユニット12と異なった構造を備えている。次に、閉鎖型ユニット13について説明する。
閉鎖型ユニット13は、凹部8に対してこの凹部8を閉鎖するものであって、出入口11は形成されていないものである。くわしくは、閉鎖型ユニット13は、開閉型ユニット12とは異なり、枠部18と通気板19とが別部材として形成されておらず、枠部18と通気板19とが一体化したものである。また、閉鎖型ユニット13は、締結具やコーキング剤25を用いて凹部8に対して嵌め込まれて開閉不能となっている。
【0021】
さて、開閉型ユニット12は、枠部18に対して通気板19が回動可能に取り付けられるため、両者の相対回動を許容できるように枠部18と通気板19との間に隙間が形成されており、正面から見るとこの隙間が視認できるようになっている。一方、閉鎖型ユニット13は、開閉型ユニット12のように枠部18と通気板19とが別部材となっていないので、枠部18と通気板19との間に隙間が形成されておらず、正面から見ても隙間は視認できない。つまり、通気板19の縁に沿った隙間が正面から見えるかどうかで、開閉型ユニット12と閉鎖型ユニット13とを見分けることができる。
【0022】
ところが、このように複数の換気装置7のうちどれが開閉型ユニット12であるかが一目瞭然であると、外部から泥棒などの侵入を許容しやすくなる虞がある。そこで、図6(a)に示されるように、本発明の床下構造1では、開閉型ユニット12の枠部18と通気板19との間に通気板19の縁部26を目隠しする目隠し部材22を設けている。このように枠部18と通気板19との間に目隠し部材22を設ければ、図6(b)に示した閉鎖型ユニット13に対して開閉型ユニット12を区別する上で特徴となる枠部18と通気板19との隙間が目立たなくなり、開閉型ユニット12を閉鎖型ユニット13との見分けが簡単に付かなくなって、高い防犯効果を発揮させることができる。
【0023】
目隠し部材22は、枠部18と通気板19との隙間を隠すコーキング剤である。このコーキング剤は、通気板19又は枠部18と同色であり、通気板19と枠部18との隙間を目立たなくして通気板19の縁部26を目隠しできるようになっている。通気板19の縁部26はコーキング剤により下側の一部分だけがコーキングがされ、残りの部分はコーキングされることはない。つまり、通気板19の全周に亘る縁部26のうち、このコーキングを行った部分(下側の一部分)が有端のコーキング部23とされ、コーキングされることがない残りの部分、言い替えればコーキング剤を設けない部分が非コーキング部24とされている。
【0024】
このように通気板19の縁部26に沿ってこの縁部26の下側の一部分だけをコーキングして有端なコーキング部23とすれば、コーキング部23により通気板19と枠部18との隙間が目隠しされると共にシールされ、縁部26を目隠しすると共に通気板19が開閉可能であるにも関わらず開閉型ユニット12の防水性を高めることができる。
上述のように通気板19の縁部26を部分的にコーキングする場合には、図7に示すような部分だけをコーキングすることができる。
図7(a)の例は、上縁部26Uを残して残りの縁部26を全てコーキングしたものである。つまり、図7(a)の例では、通気板19の全周に亘る縁部26のうち、このコーキング剤を設けない上縁部26Uが非コーキング部24とされ、コーキングを行った左右縁部26L、26R及び下縁部26Bがコーキング部23とされている。また、コーキング部23は左右縁部26L、26Rと下縁部26Bとに跨って連続して設けられており、枠部18の下側の隙間を全てシールしている。
【0025】
図7(a)の例では、水切り部材17に隠されて見えにくい通気板19の上縁部26Uだけが非コーキング部24とされているので、開閉型ユニット12に近づかなければ非コーキング部24を確実に視認することはできないので、開閉型ユニット12と閉鎖型ユニット13との見分けも付きにくくなり、高い防犯効果を奏することが可能となる。
また、図7(b)の例は、通気孔21を境として通気孔21の下側だけをコーキングしたものである。図7(b)の例では、通気板19の全周に亘る縁部26のうち、通気孔21の下縁より下側の部分がコーキング部23とされ、通気孔21より上側の部分が非コーキング部24とされている。
【0026】
このように通気孔21の下縁より下側の部分を全てをコーキングすれば、浸水があった場合も通気孔21の高さまで水位が高くならなければ水が床下に入り込むことがない。それゆえ、コーキング部23によるシール効果で床下4への浸水を防止することができる。また、コーキング部23の長さが短くて済むため、コーキング作業を短時間で簡単に済ませることができ、作業効率にも優れている。さらに、非コーキング部24の大部分は図7(a)の場合と同様に水切り部材17に隠されて見えにくくなっているので、開閉型ユニット12と閉鎖型ユニット13との見分けも付きにくく、高い防犯効果を維持することも可能となる。
【0027】
さらに、図7(c)の例は、通気板19の上縁部26Uの一部のみを残して、残りの縁部26を全てコーキングしたものである。図7(c)の例では、通気板19の全周に亘る縁部26のうち、このコーキング剤が設けられることがない上縁部26Uの一部だけが非コーキング部24とされ、それ以外の上縁部26U、左右縁部26L、26R及び下縁部26Bが全てこのコーキングが行われており、コーキング部23とされている。図7(c)の例では、上縁部26Uの一部を除き全ての縁部26がコーキングされている(コーキング部23とされている)ため、防犯性を高めると共に防水性にも優れている。
【0028】
次に、図7(a)のように左右縁部26L、26R及び下縁部26Bをコーキングする場合を例に挙げて、開閉型ユニット12の開閉動作を説明する。
開閉型ユニット12を回動する場合は、まず予め設置されていたコーキング剤(コーキング部23)をカッターなどで切る必要がある。図7(a)のようにコーキング剤が設けられている場合は、コーキング部23は左右縁部26L、26R及び下縁部26Bに跨って連続して設けられており、その端は左右縁部26L、26Rの上側の隅Pに位置している。それゆえ、例えばカッターを用いて位置Pから下方に向かって右側のコーキング部23に切り込みを入れ、次にコーキング部23に水平方向に沿って下縁部26Bに切り込みを入れ、最後に左側のコーキング部23に下端から上端まで切り込みを入れれば、通気板19と縁部26との間のコーキング部23を全て切断することができる。そして、コーキング部23を切断した後に、通気板19を枠部18に対して回動させれば、出入口11が開いて作業員が床下に出入りできるようになる。
【0029】
特に、非コーキング部24が形成されているため、当該非コーキング部24を見ることによって、通気板19と枠部18との隙間の位置が分かり、これにより、コーキング剤23に隠れている隙間の位置も推測することができる。その結果、コーキング剤23に対して隙間の対応する位置に切り込みを容易に入れることが可能となり、隙間に沿ってコーキング剤23を切断することができる。
このように、コーキング剤23によって通気板19と枠部18との隙間が隠れている場合でも、非コーキング部24を利用することによって隙間に沿うようにコーキング剤23を切断できるため、開閉型ユニット12を回動させるためのコーキング剤23の切断作業を非常にスムーズに進めることができる。
【0030】
一方、開閉型ユニット12を閉じる場合は、粗方、コーキング部23を取り除いて開閉型ユニット12を閉じ、再度コーキングをすれば良い。このようにすれば、コーキング部23により枠部18と通気板19との隙間が目隠しされて閉鎖型ユニット13と開閉型ユニット12との見分けがつかない状態にすることができる。
なお、開閉型ユニット12には、通気板19と枠部18との間に通気板19が枠部18に対して開閉しないように施錠する鍵が設けられている。このような鍵により床下構造1の防犯性を更に高めることができる。
【0031】
また、通気板19と枠部18との間に枠部18に対して通気板19の開閉したことを検知するセンサ(図示略)を設けることもできる。このようなセンサとしては、例えば枠部18と通気板19との間にリミットスイッチを設けておき、枠部18に対して通気板19の開けるとリミットスイッチが通気板19の回動を検知するようなものを採用することができる。このようなセンサを設けることで、防犯効果をさらに強化することができ、床下構造1のセキュリティをより高めることが可能となる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態では複数の換気装置7のうち1つが開閉型ユニット12とされ、残りが閉鎖型ユニット13とされたものを例示して本発明の床下構造1を説明した。しかし、開閉型ユニット12は2つ以上設けられていても良い。
例えば、上記実施形態では目隠し部材22としてコーキング剤を用いたものを例示したが、目隠し部材22にはコーキング剤以外のもの、例えば目隠し板として耐候性のある可塑性の目地材のようなものを通気板19の縁部26に沿って設けても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 床下構造
2 基礎
3 建物
4 床下
4a 床下区画
5 外壁
5B 基礎(外壁)の底面
5L 基礎(外壁)の左側面
5R 基礎(外壁)の右側面
5a 基礎(外壁)の天面
6 内壁
7 換気装置
8 凹部
10 ハッチ
11 出入口
12 開閉型ユニット
13 閉鎖型ユニット
14 排水管
15L左段部
15R右段部
16 外壁パネル
17 水切り部材
18 枠部
18L左板部材
18R右板部材
19 通気板
20L左張り出し部
20R右張り出し部
21 通気孔
22 目隠し部材
23 コーキング部
24 非コーキング部
25 コーキング剤
26 縁部
G 地面
R (進入)経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下の換気をする換気装置が住宅の基礎に複数設けられた住宅の床下の出入口構造において、
前記複数の換気装置のうち少なくとも1つを、人の出入りが可能な出入口を備えると共に当該出入口を開閉自在とした開閉型ユニットとし、
前記開閉型ユニット以外の換気装置を、人の出入りが不能な閉鎖型ユニットとしていることを特徴とする住宅の床下の出入口構造。
【請求項2】
前記開閉型ユニットは、前記基礎に取り付けられると共に前記出入口が形成された枠部と、当該枠部に前記出入口を開閉するように取り付けられる通気板とを備えており、
前記開閉型ユニットの枠部と通気板との間に、当該通気板の縁部を目隠しする目隠し部材を設けていることを特徴とする請求項1に記載の住宅の床下の出入口構造。
【請求項3】
前記目隠し部材にコーキング剤を用い、
前記通気板の縁部には、前記コーキング剤によりコーキングを行ったコーキング部と、当該コーキング剤を設けない非コーキング部とが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の住宅の床下の出入口構造。
【請求項4】
前記通気板の上縁部を前記非コーキング部とすると共に、前記上縁部以外の縁部を前記コーキング部とすることを特徴とする請求項3に記載の住宅の床下の出入口構造。
【請求項5】
前記通気板に、前記床下の外部との換気を可能とする通気孔を形成し、
前記通気孔より上側の前記通気板の縁部を前記非コーキング部とすると共に、前記通気孔より下側の前記通気板の縁部を前記コーキング部とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の住宅の床下の出入口構造。
【請求項6】
前記開閉型ユニットに、前記枠部に対する通気板の開閉を検知するセンサを設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の住宅の床下の出入口構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−17163(P2011−17163A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161751(P2009−161751)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000104847)三洋ホームズ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】