説明

作業支援システム

【課題】作業者が各工程を容易且つ確実に実施できるように作業を支援する作業支援システムを提供すること。
【解決手段】作業支援システムでは、部品箱の重量を初期化する重量初期化処理を実行する(S14)。次いで、工程に対応した部品をマニュアルから特定して、その部品を示した画像をヘッドマウントディスプレイに表示する(S15)。その後、作業者が手に取った部品を検出し(S16)、作業者が手に取った部品が適切部品か否かを判断する(S17)。適切部品ではないと判断された場合には(S17:NO)、警告表示をする(S18)。一方、適切部品であると判断された場合には(S17:YES)、その適切部品に対応した組み立て方法を表示する(S20)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の工程からなり、作業者が各工程に対応した部品を組み立てる作業において、前記複数の工程の実施順序及び各工程に対応した部品の組み立て方法を含む所定のマニュアルに従ってなされる作業を支援する作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の工程からなり、作業者が各工程に対応した部品を組み立てる作業がある。さらに、そのような作業のうち、複数の工程の実施順序及び各工程に対応した部品の組み立て方法を含む所定のマニュアルに従ってなされる作業がある。このような作業では、作業者は、作業中にマニュアルを参照しながら、定められた実施順序、且つ、定められた組み立て方法で各工程を実施しなければならない。しかし、作業者の不注意等によって、それらが守られないことがある。そこで、特許文献1に記載の発明では、現在作業すべき作業対象物にスポット光を照射している。これにより、作業者は、どの作業対象物に対して作業をすべきかを容易に判断できるので、各工程の実施順序が間違えるということが低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−130639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、各工程で実施すべき部品の組み立て方法を調べつつ作業者は各工程を実施しなければならないので、作業者に負担がかかり、また、間違った組み立て方法で部品が組み立てられる虞があるという問題点がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、実施順序及び組み立て方法が定められた複数の工程に対応した部品を作業者が組み立てる作業において、作業者が各工程を容易且つ確実に実施できるように作業を支援する作業支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の作業支援システムは、複数の工程からなり、作業者が各工程に対応した部品を組み立てる作業において、前記複数の工程の実施順序及び各工程に対応した部品の組み立て方法を含む所定のマニュアルに従ってなされる作業を支援する作業支援システムであって、前記作業者に装着され、実物に重畳して画像を表示するヘッドマウントディスプレイと、前記マニュアルを記憶するマニュアル記憶手段と、前記作業者が手に取った部品を検出する取得部品検出手段と、前記作業者が現在実施している工程が終了したか否かを判断する工程終了判断手段と、前記工程終了判断手段が終了したと判断した一連の工程を記憶する終了工程記憶手段と、前記終了工程記憶手段に記憶されている一連の工程と、前記マニュアル記憶手段に記憶されている前記複数の工程の実施順序とを参照して、次に実施すべき工程を特定することによって、前記取得部品検出手段が検出した部品が、前記マニュアルに含まれている前記複数の工程の実施順序に合った工程の部品である適切部品か否かを判断する適切部品判断手段とを備え、前記ヘッドマウントディスプレイは、前記マニュアルに含まれている前記複数の工程の実施順序及び前記終了工程記憶手段に記憶されている一連の工程を参照して、作業者が次に実施すべき工程を表示し、且つ、前記適切部品判断手段が前記適切部品ではないと判断した場合には警告表示をする一方、前記適切部品であると判断した場合にはその適切部品に対応した前記組み立て方法を、前記マニュアル記憶手段から読み出して表示することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の作業支援システムは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記各工程は、組み立ての必要な部品の個数(以下、規定個数という)が規定されており、前記工程終了判断手段は、前記適切部品判断手段によって前記適切部品であると判断された場合に、その適切部品の個数を検出する個数検出手段と、前記個数検出手段によって検出された前記適切部品の個数を記憶する個数記憶手段とを有し、前記個数記憶手段に記憶されている前記適切部品の個数が、前記規定個数に達したか否かを判断することによって、前記作業者が現在実施している工程が終了したか否かを判断することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の作業支援システムは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記工程終了判断手段は、前記複数の工程ごとに、作業が実施された場合の組み立て物の重量を記憶する組み立て物重量記憶手段と、実際の組み立て物の重量を検出する組み立て物重量検出手段とを有し、前記組み立て物重量検出手段が検出した前記実際の組み立て物の重量と、前記組み立て物重量記憶手段に記憶されている前記組み立て物の重量とが一致するか否かを判断することによって、前記作業者が現在実施している工程が終了したかを判断することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の作業支援システムは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記各工程に対応した部品は、それぞれ部品箱に入れられており、前記取得部品検出手段は、各部品箱にどの部品が入っているかを示す対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、前記各部品箱の重量を逐次検出する部品箱重量検出手段と、前記部品箱重量検出手段が今回検出した重量が、前回に検出した重量に比べて減少したか否かを判断する重量変化判断手段とを有し、前記対応関係記憶手段に記憶されている前記対応関係を参照して、前記重量変化判断手段によって重量が減少したと判断された部品箱に入っている部品を特定することによって、作業者が手に取った部品を検出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の作業支援システムは、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記各工程に対応した部品は、それぞれ部品箱に入れられており、前記取得部品検出手段は、各部品箱にどの部品が入っているかを示す対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、前記各部品箱に設けられ、光の入力量を逐次検出する光検出手段とを有し、前記光検出手段によって今回検出された光の入力量が前回の入力量に比べて減少した場合に、その光検出手段が設けられた前記部品箱に入っている部品を、前記対応関係記憶手段に記憶されている前記対応関係を参照して特定することによって、作業者が手に取った部品を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の作業支援システムによれば、実物に重畳して画像を表示するヘッドマウントディスプレイが作業者に装着される。また、マニュアル記憶手段には、複数の工程の実施順序及び各工程に対応した部品の組み立て方法を含む所定のマニュアルが記憶されている。また、取得部品検出手段は、作業者が手に取った部品を検出する。また、工程終了判断手段は、作業者が現在実施している工程が終了したかを判断する。また、終了工程記憶手段には、工程終了判断手段が終了したと判断した一連の工程が記憶される。また、適切部品判断手段は、終了工程記憶手段に記憶されている一連の工程と、マニュアル記憶手段に記憶されている複数の工程の実施順序とを参照して、次に実施すべき工程を特定することによって、取得部品検出手段が検出した部品が、マニュアルに含まれている複数の工程の実施順序に合った工程の部品である適切部品か否かを判断する。そして、マニュアルに含まれている複数の工程の実施順序及び終了工程記憶手段に記憶されている一連の工程を参照して、ヘッドマウントディスプレイは、作業者が次に実施すべき工程を表示する。さらに、ヘッドマウントディスプレイは、適切部品判断手段が前記適切部品ではないと判断した場合には警告表示をする一方、適切部品であると判断した場合にはその適切部品に対応した組み立て方法を、マニュアル記憶手段から読み出して表示する。
【0012】
したがって、作業者は、ヘッドマウントディスプレイに次に実施すべき工程が表示されるので、作業者は、次にどの工程を実施すべきかを容易に判断できる。そして、仮に作業者が適切部品ではない部品を組み立てようとした場合であっても、ヘッドマウントディスプレイに警告表示がされるので、間違った順序で各工程が実施されるのを防止できる。一方、作業者が適切部品を組み立てようとした場合には、ヘッドマウントディスプレイにその適切部品の組み立て方法が表示されるので、作業者は、その適切部品を適切に組み立てることができる。さらに、実物に重畳して画像を表示するヘッドマウントディスプレイにマニュアルが表示されるので、作業者は作業対象物を視認しつつ、マニュアルも視認できるので、作業者は作業がやりやすい。すなわち、作業者は、各工程を容易且つ確実に実施できる。
【0013】
また、請求項2の作業支援システムによれば、各工程は、組み立ての必要な部品の個数(規定個数)が規定されている。そして、個数検出手段は、適切部品判断手段によって適切部品であると判断された場合に、その適切部品の個数を検出する。工程終了判断手段は、個数検出手段によって検出された適切部品の個数が、規定個数に達したか否かを判断することによって、作業者が現在実施している工程が終了したか否かを判断している。これにより、作業者が現在実施している工程が複数の規定個数の部品を組み立てる工程であっても、その工程が終了したか否かを判断できる。
【0014】
また、請求項3の作業支援システムによれば、組み立て物重量記憶手段には、工程ごとに、作業が実施された場合の組み立て物の重量が記憶される。また、組み立て物重量検出手段は、実際の組み立て物の重量を検出する。そして、工程終了判断手段は、組み立て物重量検出手段が検出した実際の組み立て物の重量と、組み立て物重量記憶手段に記憶されている組み立て物の重量とが一致するか否かを判断することによって、作業者が現在実施している工程が終了したかを判断する。このように、重量で判断することにより、簡易な構成で確実に、作業者が現在実施している工程が終了したかを判断できる。
【0015】
また、請求項4の作業支援システムによれば、各工程に対応した部品は、それぞれ部品箱に入れられている。そして、作業者が手に取った部品が入れられていた部品箱の重量は減少する。一方、それ以外の部品箱の重量は減少しない。そこで、対応関係記憶手段には、各部品箱にどの部品が入っているかを示す対応関係が記憶されている。また、部品箱重量検出手段は、各部品箱の重量を逐次検出する。さらに、重量変化判断手段は、部品箱重量検出手段が今回検出した重量が、前回に検出した重量に比べて減少したか否かを判断する。そして、取得部品検出手段は、対応関係記憶手段に記憶されている対応関係を参照して、重量変化判断手段によって重量が減少したと判断された部品箱に入っている部品を特定することによって、作業者が手に取った部品を検出する。このように、部品箱の重量に基づいて、簡易な構成で確実に、作業者が手に取った部品を検出できる。
【0016】
また、請求項5の作業支援システムによれば、各工程に対応した部品は、それぞれ部品箱に入れられている。そして、対応関係記憶手段には、各部品箱にどの部品が入っているかを示す対応関係が記憶されている。また、光の入力量を逐次検出する光検出手段が、各部品箱に設けられている。ここで、作業者が部品を手に取るために部品箱に手を入れると、その部品箱に設けられた光検出手段が検出する光の入力量はその手に遮られて減少すると考えられる。そこで、取得部品検出手段は、光検出手段によって今回検出された光の入力量が前回の入力量に比べて減少した場合に、その光検出手段が設けられた部品箱に入っている部品を、対応関係記憶手段に記憶されている対応関係を参照して特定することによって、作業者が手に取った部品を検出する。このように、作業者が部品を手に取るために部品箱に手を入れたか否かを光の入力量によって検出することによって、簡易な構成で確実に、作業者が手に取った部品を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】作業支援システム500の概略構成及び使用場面を示す斜視図である。
【図2】制御部110の詳細な構成を示した図である。
【図3】記憶装置300の記憶領域を示した概念図である。
【図4】記憶装置300のマニュアル記憶領域301に記憶されている組み立て土台51のマニュアル91を示したテーブル3010の概念図である。
【図5】記憶装置300の部品情報記憶領域302に記憶されている各部品21〜28に関する情報を示したテーブル3020である。
【図6】作業支援処理のメインルーチンを示したフローチャートである。
【図7】重量初期化処理の詳細を示したフローチャートである。
【図8】取得部品検出処理の詳細を示したフローチャートである。
【図9】変形例2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る作業支援システムの実施形態を説明する。図1は本実施形態の作業支援システム500の概略構成及び使用場面を示す斜視図である。図1に示すように、作業支援システム500は、ヘッドマウントディスプレイ100と、当該ヘッドマウントディスプレイ100とネットワーク400を介して接続された記憶装置300とから構成される。この作業支援システム500は、一例として、図1に示す複数の組み立て土台51、52・・・のいずれかに、所定のマニュアル91・・・に従って、部品21〜28を組み立てる作業を支援するシステムである。具体的には、組み立て作業をする作業者Pに、ヘッドマウントディスプレイ100を装着させて、そのヘッドマウントディスプレイ100に部品21(部品名A)〜部品28(部品名H)の組み立て方法等をマニュアル91として表示する。尚、本実施形態では、組み立てる部品としては、部品21〜28の8種類である。以下、作業支援システム500の詳細について説明する。
【0019】
図1に示すように、ヘッドマウントディスプレイ100は、眼鏡型のフレーム部101、制御部110及び光走査部130を備えている。フレーム部101は、作業者Pの目元に装着される眼鏡型形状をしており、レンズに相当する部分の前方に、一方からの光を透過し他方からの光を反射するハーフミラーが設けられている。制御部110は、作業者Pの腰の辺りに設けられ各種演算処理を実行する。また、光走査部130は、フレーム部101に固定され、制御部110から供給される画像信号に基づいて生成した画像光を2次元的に走査することにより画像を表示することによって、画像信号に応じた画像をハーフミラーを介して作業者Pに視認させる。すなわち、ヘッドマウントディスプレイ100は実物に重畳して画像を表示する。
【0020】
図2は制御部110の詳細な構成を示した図である。図2に示すように、制御部110はCPU111、プログラムROM112、フラッシュROM113、RAM114、光走査部インターフェース115、VRAM116、外部機器インターフェース118、周辺機器インターフェース119、電源スイッチ120、電源ランプ121及び操作スイッチ群122を備えている。
【0021】
CPU111は、プログラムROM112に記憶されているプログラムに従って各種演算処理を実行する。具体的には、作業者Pが部品21〜28を組み立てる作業をする際に、その作業を支援する作業支援処理を実行する。詳細はフローチャートを参照して後述する。フラッシュROM113はいわゆるフラッシュメモリであり、各種情報を記憶するために用いられる。また、RAM114は各種情報を一時的に記憶するものであり、作業支援処理の実行時において用いられる変数nの記憶領域等が設けられている。
【0022】
光走査部インターフェース115は光走査部130と接続するためのインターフェースである。VRAM116は光走査部130に送信する画像を一時的に記憶するものである。外部機器インターフェース118は各種外部機器と接続するためのインターフェースである。本実施形態では外部機器インターフェース118に図1に示す記憶装置300が接続されている。周辺機器インターフェース119は各種周辺機器と接続するためのインターフェースである。本実施形態では周辺機器インターフェース119に電源スイッチ120、電源ランプ121、操作スイッチ群122、部品重量センサ11〜18、土台重量センサ61、62・・・、作業物重量センサ81が接続されている。
【0023】
電源スイッチ120はCPU111等に駆動電力を供給する電源のオンオフを切り替えるためのスイッチである。また電源ランプ121は電源スイッチ120がオンされたときに点灯し、オフのときには消灯するランプである。作業者Pは、この電源ランプ121によって、電源がオンされているか否かが把握できる。また操作スイッチ群122は、作業者Pが各種操作指示をするスイッチである。
【0024】
一方、図1に示す部品21〜28はそれぞれ部品箱1〜8の中に入れられている。具体的には、部品21は部品箱1に、部品22は部品箱2に、部品23は部品箱3に、部品24は部品箱4に、部品25は部品箱5に、部品26は部品箱6に、部品27は部品箱7に、部品28は部品箱8に入れられている。そして、部品箱1〜8はそれぞれ、上に載っている重量を検出する部品重量センサ11〜18の上に載っている。具体的には、部品重量センサ11の上に部品箱1が、部品重量センサ12の上に部品箱2が、部品重量センサ13の上に部品箱3が、部品重量センサ14の上に部品箱4が、部品重量センサ15の上に部品箱5が、部品重量センサ16の上に部品箱6が、部品重量センサ17の上に部品箱7が、部品重量センサ18の上に部品箱8が載っている。それら部品重量センサ11〜18は、例えば、荷重に応じて電圧等を出力する公知の重量センサ素子で構成される。
【0025】
そして、部品重量センサ11〜18は、その重量センサ素子から出力される電圧値に基づいて、部品21〜28が入れられた部品箱1〜8の重量を逐次検出するとともに、その重量を示した信号をBloototh(登録商標)等の通信規格に則って無線で周辺機器インターフェース119に入力している(図2参照)。これによって、CPU111は部品21〜28が入れられた部品箱1〜8の重量を把握できる。また、部品箱1〜8にはそれぞれID番号が付されている。具体的には、部品箱1には「1」のID、部品箱2には「2」のID、部品箱3には「3」のID、部品箱4には「4」のID、部品箱5には「5」のID、部品箱6には「6」のID、部品箱7には「7」のID、部品箱8には「8」のIDが付されている。そして部品重量センサ11〜18は、上に載っている部品箱1〜8のIDについても無線で周辺機器インターフェース119に入力している。
【0026】
また、土台重量センサ61は、組み立て土台51の重量を検出するセンサであり、部品重量センサ11〜18と同様に、その重量を示した信号を無線で周辺機器インターフェース119に入力している。同様に、土台重量センサ62は組み立て土台52の重量を逐次検出するとともに、その重量を示した信号を周辺機器インターフェース119に入力している。尚、組み立て土台51、52以外の組み立て土台についても、土台重量センサでその重量が検出されている。
【0027】
また、作業物重量センサ81は、作業者Pが現在作業している組み立て土台51及びそれに組み立てられた部品21〜28の総重量(以下、「組み立て物重量」ともいう。)を逐次検出するとともに、その組み立て物重量を示した信号を周辺機器インターフェース119に入力している。
【0028】
また、図1に示す記憶装置300には、例えばハードディスクドライブが用いられ、ヘッドマウントディスプレイ100に表示させる画像等が記憶されている。図3は記憶装置300の記憶領域を示した概念図である。図3に示すように、本実施形態の記憶装置300には、上記マニュアルを記憶するマニュアル記憶領域301と各部品21〜28に関する情報を記憶する部品情報記憶領域302が設けられている。マニュアル記憶領域301には、組み立て土台51、52・・・ごとのマニュアル91・・・が各々記憶されている。これらマニュアル91・・・で示される作業は、複数の工程からなる大工程が複数ある。各工程を実施する実施順序は定められている。作業者Pは、各工程において、部品21〜28のいずれかを単数又は複数、組み立て土台51、52等に組み立てる作業をする。尚、大工程間では実施順序は定められておらず、作業者Pはどの大工程から実施してもよい。
【0029】
以下、マニュアルの一例として、組み立て土台51のマニュアル91(図1参照)を例示して説明する。図4は、記憶装置300のマニュアル記憶領域301(図3参照)に記憶されているマニュアル91の内容を示したテーブル3010である。図4に示すように、テーブル3010は、大工程区分欄3011、大工程中の順序欄3012、部品名称欄3013、規定個数欄3014、組み立て方法欄3015、取得個数記憶欄3016及び工程終了フラグ記憶欄3017からなる。大工程区分欄3011は、一例として、3つの大工程1,2,3に区分されている。また、大工程中の順序欄3012には各大工程1,2,3における作業の実施順序(大工程中の順序)が記憶されている。
【0030】
また、部品名称欄3013には部品21〜28の名称が記憶されている。尚、本実施形態では、部品21の名称は「A」、部品22の名称は「B」、部品23の名称は「C」、部品24の名称は「D」、部品25の名称は「E」、部品26の名称は「F」、部品27の名称は「G」、部品28の名称は「H」としている。また、規定個数欄3014には各工程において組み立ての必要な部品21〜28の個数である規定個数が記憶されている。また、組み立て方法欄3015には、各工程における各部品21〜28を組み立て土台51に組み立てる方法(例えば部品21〜28を組み立て土台51のどの位置に組み立てれば良いのか)を示した画像X1.gif〜Z3.gifが記憶されている。この各画像X1.gif〜Z3.gifがマニュアル91として、ヘッドマウントディスプレイ100に表示される。また、取得個数記憶欄3016には、作業者Pが作業を行っているときに、実際に作業者Pが部品21〜28を手に取った合計個数Mが記憶される。尚、作業支援処理の開始時点においては、合計個数Mはゼロに設定されている。また、工程終了フラグ記憶欄3017には各工程が終了したことを示す工程終了フラグ(flag)が記憶される。尚、作業支援処理の開始時点においては、工程終了フラグはOFF(flag=0)に設定されている。
【0031】
図4に示すように、大工程区分欄3011は、3つの大工程1,2,3に区分されている。大工程1は4つの工程(1〜4)からなり、1番目の工程は一つの部品21(部品名称A)を組み立て土台51に組み立てる工程であり、2番目の工程は四つの部品22(部品名称B)を組み立て土台51に組み立てる工程であり、3番目の工程は一つの部品23(部品名称C)を組み立て土台51に組み立てる工程であり、4番目の工程は一つの部品24(部品名称D)を組み立て土台51に組み立てる工程である。また大工程2は4つの工程(1〜4)からなり、1番目の工程は三つの部品25(部品名称E)を組み立て土台51に組み立てる工程であり、2番目の工程は一つの部品26(部品名称F)を組み立て土台51に組み立てる工程であり、3番目の工程は一つの部品23(部品名称C)を組み立て土台51に組み立てる工程であり、4番目の工程は一つの部品27(部品名称G)を組み立て土台51に組み立てる工程である。また大工程3は3つの工程(1〜3)からなり、1番目の工程は一つの部品28(部品名称H)を組み立て土台51に組み立てる工程であり、2番目の工程は一つの部品26(部品名称F)を組み立て土台51に組み立てる工程であり、3番目の工程は二つの部品22(部品名称B)を組み立て土台51に組み立てる工程である。尚、マニュアル91以外のマニュアル92等についても、マニュアル91と同様に構成されている。
【0032】
図3に示す記憶装置300の部品情報記憶領域302には各部品21〜28に関する情報が記憶されている。図5はその各部品21〜28に関する情報を示したテーブル3020である。このテーブル3020が記憶装置300の部品情報記憶領域302に記憶されている。図5に示すように、テーブル3020は、部品区分欄3021、部品名称欄3022、部品箱ID欄3023、総重量欄3024、1個あたりの部品重量欄3025とからなる。部品区分欄3021は各部品21〜28の区分を示した情報が記憶されている。そして部品名称欄3022には部品21〜28の名称が記憶されている。部品箱ID欄3023には、対応する部品21〜28が入れられている部品箱1〜8のID番号が記憶されている。図5に示すように、部品21は部品箱1に、部品22は部品箱2に、部品23は部品箱3に、部品24は部品箱4に、部品25は部品箱5に、部品26は部品箱6に、部品27は部品箱7に、部品28は部品箱8に入れられていることがわかる。また、各部品21〜28がどの部品箱1〜8に入っているのか作業者Pに容易に把握させるために、各部品箱1〜8は、中に入っている部品21〜28の名称A〜Hがその表面に記されている。
【0033】
一方、総重量欄3024には、部品重量センサ11〜18からの信号に基づいて、各部品箱1〜8に入っている各部品21〜28の総重量WT1〜WT8が記憶される。すなわち、部品21の総重量WT1、部品22の総重量WT2、部品23の総重量WT3、部品24の総重量WT4、部品25の総重量WT5、部品26の総重量WT6、部品27の総重量WT7、部品28の総重量WT8が記憶される。また、1個あたりの部品重量欄3025には各部品21〜28の1個あたりの重量WΦ1〜WΦ8が記憶される。すなわち、部品21の重量WΦ1、部品22の重量WΦ2、部品23の重量WΦ3、部品24の重量WΦ4、部品25の重量WΦ5、部品26の重量WΦ6、部品27の重量WΦ7、部品28の重量WΦ8が記憶されている。
【0034】
続いて、作業者Pが部品21〜28を組み立てる作業をする際に、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部110のCPU111によって実行される作業を支援する作業支援処理について、フローチャートを参照して説明する。尚、図6は、ヘッドマウントディスプレイ100の制御部110のCPU111が実行する作業支援処理のメインルーチンを示したフローチャートである。この作業支援処理は、作業者Pが操作スイッチ群122の中の作業支援処理の開始を指示するスイッチを操作したときに開始される。以下「表示」とは、光走査部130にて作業者Pの網膜に画像を投影して、作業者Pにその画像を視認させることをいう。
【0035】
先ず、組み立て土台51、52・・・のいずれかを選択するように指示する画像をヘッドマウントディスプレイ100に表示して、作業者Pに、操作スイッチ群122を用いて組み立て土台51、52・・・のいずれかを選択させる(S11)。この際、作業者Pは組み立て土台51を選択したとする。次いで、複数のマニュアル91・・・のうち組み立て土台51用のマニュアル91を記憶装置300のマニュアル記憶領域301から読み出して、RAM114に記憶する(S12)。次いで、大工程1,2,3のいずれかを選択するように指示する画像をヘッドマウントディスプレイ100に表示して、作業者Pに、操作スイッチ群122を用いて大工程1,2,3のいずれかを選択させる(S13)。ここでM=0とする(S13)。尚、大工程1,2,3にも順番がある場合はその旨画像で案内される。次いで、部品21〜28を含む部品箱1〜8の重量を初期化する重量初期化処理を実行する(S14)。図7は重量初期化処理の詳細を示したサブルーチンのフローチャートである。以下、重量初期化処理の詳細について説明する。
【0036】
先ず、RAM114に記憶されている変数nに1を代入する(S131)。次いで部品重量センサ11〜18から逐次入力される信号のうち、変数nのIDの部品箱1〜8に対応した信号を取得する(S132)。この場合、部品21を含む部品箱1の重量を取得することになる(S132)。そして、その重量から予め定められた部品箱1の重量を差し引いた部品21の総重量WT1を、記憶装置300に記憶されているテーブル3020の総重量欄3024に記憶する(S133)。次いで、変数nを1加算する(S134)。すなわち、変数nが「2」になる(S134)。次いで、変数nが部品21〜28の種類の総数である「8」より大きいか否かを判断する(S135)。この場合、小さいと判断される(S135:NO)と、S132の処理に戻り、部品箱2に入っている部品22の総重量WT2が総重量欄3024に記憶される(S132、S133)。次いで、変数nを1加算する(S134)。そして総重量欄3024に総重量WT1〜WT8の全てが記憶されると、変数nが9となり、8より大きくなるので(S135:YES)、図7のフローチャートの処理を終了する。
【0037】
説明を図6のフローチャートの処理に戻り、S14の処理の後、S13にて選択された大工程1,2,3の最初の工程に対応した部品21〜28をマニュアル91から特定して、その部品21〜28を適切部品として、その適切部品を示した画像を表示する(S15)。さらに、マニュアル91を参照して、適切部品の組み立てが必要な個数(規定個数)も表示する(S15)。例えば、大工程2が選択された場合には、大工程2の最初の工程においては、3個の部品25(図4参照)が必要であることを示した画像が表示されることになる。これにより、作業者Pは、現在の工程において、どの部品21〜28が何個必要なのかを容易に把握できる。そしてその適切部品を示した画像は、ヘッドマウントディスプレイ100に表示されるので、作業者Pは部品箱1〜8から容易に適切部品を手に取ることができる。
【0038】
続いて、作業者Pが実際にどの部品21〜28を何個手に取ったかを検出する取得部品検出処理を実行する(S16)。図8は取得部品検出処理の詳細を示したフローチャートである。以下、図8に示すフローチャートを参照して、取得部品検出処理の詳細について説明する。
【0039】
先ず、RAM114に記憶されている変数nに1を代入する(S161)。次いで部品重量センサ11〜18から逐次入力される信号のうち、変数nのIDの部品箱1〜8に対応した信号を取得する(S162)。この場合、部品21を含む部品箱1の重量を取得することになる(S162)。そして、その重量から予め定められた部品箱1の重量を差し引いた部品21の現在の総重量W1を算出する(S162)。次いで数式1により部品21が部品箱1から取られた個数mを検出する(S163)。尚、数式1においてnは変数nである。WΦnは変数nのIDの部品箱1〜8に入っている部品A〜Hの1個の重量である。Wnは、変数nのIDの部品箱の現在の部品の総重量(以下、「現総重量」という。)であり、WTnは、変数nのIDの部品箱の部品の今回の総重量の測定の前の測定時の部品の総重量(以下、「前総重量」という。)である。
【0040】
m=(WTn−Wn)/WΦn・・・(数式1)
【0041】
この場合、(WT1−W1)/WΦ1によってmを検出することになる。例えば、作業者Pが部品箱1から部品21を2個取ったとすると、S162にて算出される現総重量W1は、前総重量WT1に対して2個の部品21の重量(2×WΦ1)だけ少ない値になる。すなわち、W1=WT1−2×WΦ1となる。この式を数式1に代入すると、m=2となる。つまり個数mが検出できる。
【0042】
次いでS163にて検出されたmの値がゼロか否か、すなわち部品21が取られていないか否かを判断する(S164)。m=0でない場合は(S164:NO)、変数nと個数mの値を出力する(S165)。m=0の場合(S164:YES)若しくはS165の処理の後、変数nの値を1加算する(S166)。すなわち、変数nが「2」となる。次いで、変数nが部品21〜28の種類の総数である「8」より大きいか否かを判断する(S167)。この場合、小さいと判断される(S167:NO)。その後、S162の処理に戻り、IDが「2」の部品箱2に入っている部品22が取られたか否か、取られた場合にはその個数mを検出する(S162〜S165)。そして、部品21〜28の全てに対してS162〜S165の処理が実行された場合には、変数nが9となり、8より大きくなるので(S167:YES)、図8のフローチャートの処理を終了する。このようにして、変数n、個数mが出力される。例えば、IDが「5」の部品箱5に入っている部品25が1個取られたとすると、変数nが「5」、個数mが「1」として出力され(S165)、他の変数nに対しては、個数mは出力されない(S164:YES)。
【0043】
説明を図6のフローチャートの処理に戻り、記憶装置300の部品情報記憶領域302に記憶されているテーブル3020(図5参照)を参照して、S16にて出力された変数nの値に対応する部品箱1〜8のIDを特定する(S17)。そして、そのIDに対応する部品箱1〜8に入っている部品21〜28と、S15にて指示した部品21〜28とが一致しているか否かを判断する(S17)。一致していない場合には(S17:NO)、作業者Pが手に取った部品は適切部品ではないことを警告表示する(S18)。これにより、作業者Pは誤った部品21〜28を手に取ったことを容易に把握できる。そして、再度、適切部品を示した画像を表示して(S15)、実際にどの部品21〜28が取られたのかを検出する(S16)。尚、mが負の場合は部品を戻しただけで取得していないのでS17の判定はNOとなり、部品が戻されたという警告が表示され(S18)、S15及びS16の処理を行う。
【0044】
一方S17において、作業者Pが手に取った部品21〜28が適切部品である場合には(S17:YES)、図4に示すマニュアル91の取得個数記憶欄3016に記憶されている合計個数Mのうちの、適切部品に対応する合計個数MにS16にて出力された個数mの値を加算する(S19)。例えば、現在の工程が大工程2の最初の工程であるとして、S16にて出力された個数mが「1」とすると、Mの値は(M+m)=1となる。次いで、マニュアル91の組み立て方法欄3015に記憶されている組み立て方法を示した画像X1.gif〜Z3.gifのうち、現在の工程に対応した組み立て方法を示した画像X1.gif〜Z3.gifを表示する(S20)。これにより、作業者Pは部品21〜28の組み立て方法を容易に把握することができる。そして組み立て方法を示した画像X1.gif〜Z3.gifはヘッドマウントディスプレイ100に表示されるので、作業者Pは組み立て土台51及び/又は部品21〜28を視認しつつ、組み立て方法を示した画像も視認できるので、作業者Pは作業がやりやすい。すなわち、作業者Pは、各工程を容易且つ確実に実施できる。
【0045】
次いで、マニュアル91の取得個数記憶欄3016に記憶されている合計個数Mが、規定個数欄3014に記憶されている規定個数に達したか否かを判断することによって、現在の工程が終了したか否かを判断する(S21)。すなわち、合計個数Mが規定個数に達しているときには現在の工程が終了と判断する一方で、合計個数Mが未だ規定個数に達していないときには現在の工程は未だ終了していないと判断する(S21)。現在の工程が未だ終了していない場合は(S21:NO)、再度、重量初期化処理を実行して(S14)、適切部品を示した画像を表示する(S15)。そして上述したS14〜S21の処理を実行する。
【0046】
一方、現在の工程が終了した場合には(S21:YES)、マニュアル91の工程終了フラグ記憶欄3017の現在の工程に対応した領域に、工程終了フラグを立てる(flag=1)。また、ここで、M=0にリセットする(S22)。次いで、工程終了フラグ記憶欄3017に記憶されている工程終了フラグと、大工程中の順序欄3012に記憶されている実施順序とを参照して、次に実施すべき工程があるか否かを判断することによって、現在実施している大工程1,2,3が終了したか否かを判断する(S23)。例えば、現在の工程が大工程2であるとして、2番目までの工程に対して工程終了フラグが立てられている場合には、次は3番目の工程、すなわち部品23を1個組み立てる工程であると特定しつつ、未だ大工程2は終了していないと判断する(図4参照)。そして現在実施している大工程1,2,3が未だ終了していない場合には(S23:NO)、上述したS14〜S23の処理を再度実行する。
【0047】
この際、S15において、S23にて特定した次の工程に対応する適切部品を示した画像を表示する(S15)。そしてこの適切部品が取られていない場合には(S17:NO)、警告表示をする(S18)。また適切部品が取られた場合には(S17:YES)、図4に示すマニュアル91の取得個数記憶欄3016に記憶されている合計個数Mのうちの、適切部品に対応する合計個数MにS16にて出力された個数mの値を加算する(S19)。このような処理を経て、現在実施している大工程1,2,3の各工程に対する工程終了フラグを立てていく(S22)。
【0048】
そして、現在実施している大工程1,2,3の各工程のすべてに対して、工程終了フラグが立てられた場合、すなわち現在実施している大工程1,2,3が終了した場合には(S23:YES)、各工程に対する工程終了フラグが立てられているかを参照することによって、大工程1,2,3すべてが終了したか否かを判断する(S24)。未だ終了していない場合には(S24:NO)、S13に戻って、未だ実施されていない大工程1,2,3のいずれかを選択するように指示する画像を表示して、作業者Pに、操作スイッチ群122を用いて大工程1,2,3のいずれかを選択させる(S13)。その後、上述したS14〜S24の処理を実行する。
【0049】
そして大工程1,2,3すべてが終了した場合には(S24:YES)、組み立て土台51に対する作業が終了したことを示す土台フラグを立てる(S25)。次いで、S25にて立てられた土台フラグを参照して、他の組み立て土台52、53・・・に対する作業のすべてが終了したかを判断する(S26)。終了していない場合は(S26:NO)、S11に戻って、残りの組み立て土台52、53・・・のいずれかを選択するように指示する画像を表示して、作業者Pに、操作スイッチ群122を用いて組み立て土台52、53・・・のいずれかを選択させる(S11)。そして選択された組み立て土台52、53・・・に対して、上述したS12〜S26の処理を実行する。例えば、S11において組み立て土台52が選択された場合には、組み立て土台52のマニュアル92を記憶装置300から読み出して(S12)、そのマニュアル92に従って、S13〜S26の処理を実行する。そして組み立て土台51、52、53・・・すべてに対する作業が終了した場合には(S26:YES)、作業支援処理のメインルーチンを終了する。
【0050】
以上、本実施形態の作業支援システム500によれば、ヘッドマウントディスプレイ100に次に実施すべき工程が表示されるので、作業者Pは、次にどの工程を実施すべきかを容易に判断できる。そして、仮に作業者Pが適切部品ではない部品を組み立てようとした場合であっても、ヘッドマウントディスプレイ100に警告表示がされるので、間違った順序で各工程が実施されるのを防止できる。一方、作業者Pが適切部品を組み立てようとした場合には、ヘッドマウントディスプレイ100にその適切部品の組み立て方法が表示されるので、作業者Pは、その適切部品を適切に組み立てることができる。さらに、実物に重畳して画像を表示するヘッドマウントディスプレイ100に組み立て方法が表示されるので、作業者Pは組み立て土台51、52・・・及び/又は部品21〜28を視認しつつ、組み立て方法を示した画像も視認できるので、作業者Pは作業がやりやすい。すなわち、作業者Pは、各工程を容易且つ確実に実施できる。
【0051】
また、本実施形態の作業支援システム500によれば、各工程は、組み立ての必要な部品の個数(規定個数)が規定されている。そして、その適切部品が取られた個数mが検出される。個数mが、規定個数に達したか否かを判断することによって、作業者Pが現在実施している工程が終了したか否かを判断している。これにより、作業者Pが現在実施している工程が複数の規定個数の部品を組み立てる工程であっても、その工程が終了したか否かを判断できる。
【0052】
また本実施形態の作業支援システム500によれば、各工程に対応した部品21〜28は、それぞれ部品箱1〜8に入れられている。そして、作業者Pが手に取った部品21〜28が入れられていた部品箱1〜8の重量は減少する。一方、それ以外の部品箱1〜8の重量は減少しない。そこで、図5に示すテーブル3020には、各部品箱1〜8にどの部品21〜28が入っているかを示す対応関係が記憶されている。また、部品重量センサ11〜18は、各部品箱1〜8の重量を逐次検出する。さらに、CPU111は、部品重量センサ11〜18が今回検出した重量が、前回に検出した重量に比べて減少したか否かを判断する(S16)。そして、CPU111は、テーブル3020に記憶されている対応関係を参照して、部品重量センサ11〜18によって重量が減少したと判断された部品箱1〜8に入っている部品21〜28を特定することによって、作業者Pが手に取った部品21〜28を検出する(S16)。このように、部品箱1〜8の重量に基づいて、簡易な構成で確実に、作業者Pが手に取った部品21〜28を検出できる。
(変形例1)
【0053】
上記実施形態では、作業者Pが現在実施している工程が終了したか否かを、適切部品が取られた個数mが、規定個数に達したか否かで判断していた。しかし、作業者Pが現在実施している工程が終了したか否かの判断方法はこれに限られない。例えば、記憶装置300に、工程ごとに、部品21〜28が組み立てられた後の組み立て土台51、52・・・の重量を記憶装置300(組み立て物重量記憶手段)に予め記憶させておく。さらに、現在作業している組み立て土台51、52・・・の実際の重量を作業物重量センサ81(組み立て物重量検出手段)で逐次検出する。そして、その作業物重量センサ81が検出した実際の組み立て土台51、52・・・の重量と、記憶装置300に記憶されている組み立て土台51、52・・・の重量とが一致するか否かを判断することによって、作業者Pが現在実施している工程が終了したかを判断する。
(変形例2)
【0054】
上記実施形態では、作業者Pが手に取った部品21〜28を部品箱1〜8の重量に基づいて検出していた。しかし、作業者Pが手に取った部品21〜28を検出する方法はこれに限らない。例えば、図9に示すように、レーザーを常時出力する光出力手段としてのレーザー出力器71を各部品箱1〜8に設けるとともに、そのレーザー出力器71と対向する位置にレーザーを受信する光検出手段としてのレーザー受信器72を各部品箱1〜8に設ける。このようにレーザー出力器71とレーザー受信器72とを設けると、レーザー出力器71とレーザー受信器72との間を遮るものがないかぎりは、レーザー受信器72には常時レーザーが入力される。そして、作業者Pが手を入れた部品箱1〜8のレーザー受信器72には、レーザーの入力が少なくなる。そのレーザー受信器72が設けられた部品箱1〜8を特定することによって、作業者Pがどの部品21〜28を手に取ったのかを検出できる。この場合、図9に示すレーザー出力器71及びレーザー受信器72が本発明の「光検出手段」に相当する。
【符号の説明】
【0055】
500 作業支援システム
1〜8 部品箱
11〜18 部品重量センサ(部品箱重量検出手段)
21〜28 部品
91、92 マニュアル
51、52 組み立て土台
61、62 土台重量センサ
71 レーザー出力器
72 レーザー受信器(光検出手段)
81 作業物重量センサ(組み立て物重量検出手段)
100 ヘッドマウントディスプレイ
101 フレーム部
110 制御部
111 CPU
130 光走査部
300 記憶装置(組み立て物重量記憶手段)
301 マニュアル記憶領域(マニュアル記憶手段)
302 部品情報記憶領域
3010 テーブル
3011 大工程区分欄
3012 大工程中の順序欄
3013 部品名称欄
3014 規定個数欄
3015 組み立て方法欄
3016 取得個数記憶欄(個数記憶手段)
3017 工程終了フラグ記憶欄(終了工程記憶手段)
3021 部品区分欄
3022 部品名称欄(対応関係記憶手段)
3023 部品箱ID欄(対応関係記憶手段)
3024 総重量欄
3025 1個当たりの部品重量欄
S16 取得部品検出手段、個数検出手段、重量変化判断手段
S21 工程終了判断手段
S17 適切部品判断手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程からなり、作業者が各工程に対応した部品を組み立てる作業において、前記複数の工程の実施順序及び各工程に対応した部品の組み立て方法を含む所定のマニュアルに従ってなされる作業を支援する作業支援システムであって、
前記作業者に装着され、実物に重畳して画像を表示するヘッドマウントディスプレイと、
前記マニュアルを記憶するマニュアル記憶手段と、
前記作業者が手に取った部品を検出する取得部品検出手段と、
前記作業者が現在実施している工程が終了したか否かを判断する工程終了判断手段と、
前記工程終了判断手段が終了したと判断した一連の工程を記憶する終了工程記憶手段と、
前記終了工程記憶手段に記憶されている一連の工程と、前記マニュアル記憶手段に記憶されている前記複数の工程の実施順序とを参照して、次に実施すべき工程を特定することによって、前記取得部品検出手段が検出した部品が、前記マニュアルに含まれている前記複数の工程の実施順序に合った工程の部品である適切部品か否かを判断する適切部品判断手段とを備え、
前記ヘッドマウントディスプレイは、前記マニュアルに含まれている前記複数の工程の実施順序及び前記終了工程記憶手段に記憶されている一連の工程を参照して、作業者が次に実施すべき工程を表示し、且つ、前記適切部品判断手段が前記適切部品ではないと判断した場合には警告表示をする一方、前記適切部品であると判断した場合にはその適切部品に対応した前記組み立て方法を、前記マニュアル記憶手段から読み出して表示することを特徴とする作業支援システム。
【請求項2】
前記各工程は、組み立ての必要な部品の個数(以下、規定個数という)が規定されておおり、
前記工程終了判断手段は、
前記適切部品判断手段によって前記適切部品であると判断された場合に、その適切部品の個数を検出する個数検出手段と、
前記個数検出手段によって検出された前記適切部品の個数を記憶する個数記憶手段とを有し、
前記個数記憶手段に記憶されている前記適切部品の個数が、前記規定個数に達したか否かを判断することによって、前記作業者が現在実施している工程が終了したか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記工程終了判断手段は、
前記複数の工程ごとに、作業が実施された場合の組み立て物の重量を記憶する組み立て物重量記憶手段と、
実際の組み立て物の重量を検出する組み立て物重量検出手段とを有し、
前記組み立て物重量検出手段が検出した前記実際の組み立て物の重量と、前記組み立て物重量記憶手段に記憶されている前記組み立て物の重量とが一致するか否かを判断することによって、前記作業者が現在実施している工程が終了したかを判断することを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記各工程に対応した部品は、それぞれ部品箱に入れられており、
前記取得部品検出手段は、
各部品箱にどの部品が入っているかを示す対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
前記各部品箱の重量を逐次検出する部品箱重量検出手段と、
前記部品箱重量検出手段が今回検出した重量が、前回に検出した重量に比べて減少したか否かを判断する重量変化判断手段とを有し、
前記対応関係記憶手段に記憶されている前記対応関係を参照して、前記重量変化判断手段によって重量が減少したと判断された部品箱に入っている部品を特定することによって、作業者が手に取った部品を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記各工程に対応した部品は、それぞれ部品箱に入れられており、
前記取得部品検出手段は、
各部品箱にどの部品が入っているかを示す対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
前記各部品箱に設けられ、光の入力量を逐次検出する光検出手段とを有し、
前記光検出手段によって今回検出された光の入力量が前回の入力量に比べて減少した場合に、その光検出手段が設けられた前記部品箱に入っている部品を、前記対応関係記憶手段に記憶されている前記対応関係を参照して特定することによって、作業者が手に取った部品を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−211623(P2010−211623A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58420(P2009−58420)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】