説明

作業支援システム

【課題】作業者の身体部分の移動軌跡を利用して、正しい手順で作業が行われたか否かをより適切に判定することができる作業支援システムを提供する。
【解決手段】作業者の身体部分に保持された送信手段10と、送信手段10から送信される信号を受信する受信手段20と、制御手段30と、を備え、制御手段30は、受信手段20が受信した送信手段10からの信号に基づいて作業空間K内における作業者の身体部分の位置を検出し、作業空間Kに対応する仮想座標系が設定された仮想作業空間内における作業者の身体部分の位置、及び作業者の身体部分の軌跡である作業軌跡を求めることが可能である。そして仮想作業空間内における所定位置には、所定範囲で区切られた判定領域が順番とともに設定されており、制御手段30は、仮想作業空間内にて求めた作業軌跡が、予め決められた順番に判定領域を通過したか否かを判定することで作業の良否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者による作業を支援する作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の製造現場では、オートメーション化が進み、種々のロボット等の機械が、種々の作業を行っている。しかし、機械化が困難な作業や、少量生産品の組付け作業等では、機械による作業でなく作業者による作業が行われる。
一般的に、作業者による作業では、疲れや集中力の低下等により、作業手順の抜けや間違い等による欠品等の不良が発生する確率が、機械による作業と比較して高い傾向にある。
ここで、作業者の作業状態を検出する方法として、例えば特許文献1に記載された従来技術には、作業者の手指に磁気式3次元位置姿勢センサを装着させ、3次元作業空間内における作業者の手指の動作をモーションキャプチャ装置で検出して移動軌跡を求める仮想試作システムが開示されている。そして、求めた移動軌跡を用いて、3次元モデルの移動状態を表示画面に再現し、作業性の評価に利用している。
また特許文献2に記載された従来技術には、作業者の手指に装着して地磁気及び加速度に関するデータを送信する携帯測定装置と、携帯測定装置からのデータを受信するトレースデータ処理装置を用いて、受信したデータの特徴量を抽出し、予め記憶している標準データと比較して、作業の的確性を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−117886号公報
【特許文献2】特開2009−187527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来技術では、3次元作業空間内における作業者の手指の移動軌跡を求めて作業性の評価を行っているが、作業者の手順の抜けや間違い等を判定するものではない。
また特許文献2に記載された従来技術では、移動軌跡を求めておらず、測定開始から所定時間経過した時点で所定の特徴量が検出されたか否かを判定しており、作業者の手順の抜けや間違い等を適切に判定できない可能性がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、作業者の身体部分の移動軌跡を利用して、正しい手順で作業が行われたか否かをより適切に判定することができる作業支援システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る作業支援システムは次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、作業者の身体部分に保持された送信手段と、前記作業者の作業空間における所定位置に配置されて前記送信手段から送信される信号を受信する受信手段と、制御手段と、を備えた作業支援システムである。
前記制御手段は、前記受信手段が受信した前記送信手段からの信号に基づいて前記作業空間内における前記作業者の前記身体部分の位置を検出し、前記作業空間に対応する仮想座標系が設定された仮想作業空間内において、検出した前記作業者の前記身体部分の位置を当てはめて前記仮想作業空間内における前記作業者の前記身体部分の位置、及び前記作業者の前記身体部分の軌跡である作業軌跡を求めることが可能である。
そして前記仮想作業空間内における所定位置には、所定範囲で区切られた判定領域が順番とともに設定されており、前記制御手段は、前記仮想作業空間内にて求めた作業軌跡が、予め決められた順番に前記判定領域を通過したか否かを判定することで作業の良否を判定する。
【0006】
この第1の発明によれば、仮想作業空間内において、作業者の作業結果である作業軌跡が、判定領域を通過したか否かを判定することで、作業手順が正しい手順であったか否か、適切に判定することができる。
また、予め設定した順番で判定領域を通過したか否かを判定することで、作業手順における重要ポイントを適切に判定することができる。
また、送信手段と判定領域は複数設けることが可能であり、なおかつ同じ手順で判定領域を複数設定することもできる。例えば2つの送信手段が、2個所の判定領域を同時に通過しなければ「否」と判定することも可能である。
【0007】
次に、本発明の第2の発明は、作業者の身体部分に保持された送信手段と、前記作業者の作業空間における所定位置に配置されて前記送信手段から送信される信号を受信する受信手段と、制御手段と、を備えた作業支援システムであって、前記制御手段は、前記受信手段が受信した前記送信手段からの信号に基づいて前記作業空間内における前記作業者の前記身体部分の位置を検出することで前記作業空間内における前記作業者の前記身体部分の軌跡である作業軌跡を求めることが可能である。
前記制御手段には、前記作業軌跡の基準となる基準軌跡が記憶されており、前記基準軌跡における所定の軌跡位置には、所定範囲で区切られた判定領域が順番とともに設定されている。
そして前記制御手段は、求めた作業軌跡と、記憶されている前記基準軌跡とを比較して、予め決められた順番に前記判定領域を通過したか否かを判定することで作業の良否を判定する。
【0008】
この第2の発明によれば、お手本である基準軌跡と、実際の作業者の作業結果である作業軌跡とを比較することで、作業手順が正しい手順であったか否か、適切に判定することができる。
また、予め設定した順番で判定領域を通過したか否かを判定することで、作業手順における重要ポイントを適切に判定することができる。
また、送信手段と判定領域は複数設けることが可能であり、なおかつ同じ手順で判定領域を複数設定することもできる。例えば2つの送信手段が、2個所の判定領域を同時に通過しなければ「否」と判定することも可能である。
【0009】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る作業支援システムであって、前記制御手段は、求めた作業軌跡のそれぞれを記憶する。
更に、作業の否を判定した場合に否と判定した作業軌跡または判定領域を表示するとともに表示した作業軌跡または判定領域において否と判定した根拠に関する軌跡の部分または判定領域を識別可能に表示する異常個所表示手段を備えている。
【0010】
この第3の発明によれば、作業の良否の判定結果が「否」であった場合、表示された作業軌跡または判定領域における、どの個所が「否」と判定された作業であるか、一目瞭然であるので、「否」と判定された作業結果の解析が容易である。
【0011】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係る作業支援システムであって、前記制御手段には、各判定領域に対応付けて、各判定領域における作業に関する関連情報が記憶されている。
更に、前記作業者の前記身体部分の位置が各判定領域に達する毎に当該判定領域に対応付けられている関連情報を表示する関連情報表示手段を備えている。
【0012】
この第4の発明によれば、送信手段を保持した作業者の身体部分が重要ポイントである判定領域に到達すると、関連情報が表示される。例えばこの関連情報として対象の重要ポイントにおける作業の注意事項や次の動作等を表示させると、より効果的に作業者の作業を支援することができる。
【0013】
次に、本発明の第5の発明は、上記第4の発明に記載の作業支援システムであって、前記判定領域に対応付けられている前記関連情報には、当該判定領域の次に通過するべき判定領域の位置に関する情報である次判定領域位置情報が含まれている。
更に、前記作業空間内における前記作業者の作業の動画あるいは静止画の少なくとも一方を撮影する撮影手段と、撮影した動画あるいは静止画を表示し、前記関連情報を表示した際に当該関連情報に含まれている前記次判定領域位置情報に基づいて、表示している動画あるいは静止画における次の判定領域に対応する位置を特定し、特定した位置を識別可能となるように表示する次判定領域表示手段と、を備えている。
【0014】
この第5の発明では、作業空間内の様子は撮影手段で撮影されて表示されている。そして、送信手段を保持した作業者の身体部分が、判定領域に達すると、関連情報の一部として、表示されている動画内あるいは静止画内において、現在の判定領域での作業を終えた後、次に向かうべき判定領域が識別可能に表示される。
これにより、作業の正しい手順を、作業者に、適切なタイミングで指示することができるので便利である。
【0015】
次に、本発明の第6の発明は、上記第1の発明〜第5の発明のいずれか1つに係る作業支援システムであって、前記制御手段には、作業の開始から最初の前記判定領域までの時間または前記判定領域のいずれか1つから次の前記判定領域までの時間または最後の前記判定領域から作業の終了までの時間である基準中間通過時間、あるいは作業の開始から作業の終了までの時間である基準作業時間、の少なくとも1つが記憶されている。
そして、前記制御手段は、更に、前記作業軌跡を求める際に作業時間を計測し、当該作業軌跡および判定領域に対応する作業時間と、記憶されている前記中間通過時間あるいは前記基準作業時間と、を比較して作業の良否を判定する。
【0016】
この第6の発明によれば、作業手順の判定において、決められた領域を順番に通過したか否かの判定に加えて、作業の開始から終了に要した時間や、各判定領域から次の判定領域までに要した時間等を判定することで、更に適切に、作業手順が正しい手順であったか否かを判定することができる。
【0017】
次に、本発明の第7の発明は、上記第1の発明〜第6の発明のいずれか1つに係る作業支援システムであって、更に、前記受信手段または前記制御手段の少なくとも一方にて受信可能な存在信号を発信する存在信号発信手段を備え、前記判定領域における少なくとも1つは、作業者の身体部分に保持された前記送信手段が通過する際、当該作業者が所定部材を用いて作業をする必要がある必須部材有判定領域として設定されており、前記存在信号発信手段は、前記作業者が前記所定部材を用いた場合に前記存在信号を発信する。
そして、前記制御手段は、前記必須部材有判定領域については、当該必須部材有判定領域を前記送信手段が通過する際に前記存在信号発信手段からの存在信号を検出したか否かを判定することで、当該必須部材有判定領域を正常に通過したか否かを判定する。
【0018】
この第7の発明によれば、所定部材を用いた作業が必要な判定領域については、判定を行う際、所定部材を用いた際に発信される存在信号の有無と、送信手段を保持した作業者の身体部分が必須部材有判定領域を正しく通過したか否か、の双方により、より正確な判定を行うことができる。なお、存在信号発信手段は、接触式、非接触式等にかかわらず、また信号の伝送手段は、無線式、有線式等にかかわらず、存在信号発信手段は、作業者が所定部材を用いた際に存在信号を発信する。そして当該存在信号を受信手段または制御手段の少なくとも一方にて検出できればよく、存在信号発信手段の配置場所は、作業空間の内外に関係なく配置することができる。
【0019】
次に、本発明の第8の発明は、上記第1の発明〜第7の発明のいずれか1つに係る作業支援システムであって、更に、前記作業空間内における前記作業者の作業の動画あるいは静止画の少なくとも一方を撮影する撮影手段と、前記動画あるいは前記静止画を記録する映像記録手段あるいは前記動画あるいは前記静止画を表示する画像表示手段の少なくとも一方と、を備えている。
【0020】
この第8の発明によれば、撮影手段が撮影した動画や静止画を、映像記録手段に記録したり、画像表示手段を用いて表示させたり、作業軌跡を重ね合わせたりもしくは並列して表示することにより、送信手段や作業軌跡の情報だけでなく、作業者の身体の姿勢や製品の状態等を映し出すことができる。なおかつ基準軌跡の作業の際の作業者の姿勢や製品の状態等を比較することができるので、作業性を向上させる支援をすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の作業支援システム1の全体構成を説明する図である。
【図2】作業者の手に保持する送信手段10の例を説明する図である。
【図3】受信手段20が、センサユニット11から送信される信号に基づいて、3次元空間である作業空間K内におけるセンサユニット11の位置を検出する様子を説明する図である。
【図4】作業空間K内におけるセンサユニット11の軌跡である作業軌跡を、制御手段30にて表示した例を説明する図である。
【図5】制御手段30にて、作業軌跡の判定の結果、「否」と判定した個所を識別可能に表示する例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
●[作業支援システム1の全体構成(図1)]
図1に示すように、作業支援システム1は、対象となる作業が行われる作業空間Kの一部に設けられた受信手段20と、作業者の身体部分に保持される送信手段10と、受信手段20に接続された制御手段30、にて構成される。
送信手段10は、一定時間毎(例えば200msec毎)に、超音波や赤外線等の送信信号を無線にて送信する。
受信手段20は、送信手段10から送信された送信信号を受信し、受信した送信信号に基づいた検出信号を制御手段30に出力する。
制御手段30は、例えば表示手段を備えたパーソナルコンピュータであり、受信手段20から入力された検出信号に基づいて、作業空間K内における送信手段10の位置を特定し、作業空間K内における送信手段10の移動軌跡である作業軌跡を求め、求めた作業軌跡を表示し、当該作業軌跡による作業の良否を判定する。
【0023】
●[作業者の身体部分に保持する送信手段10の例(図2)]
次に図2を用いて、作業者の身体部分に保持する送信手段10の例について説明する。
なお、本実施の形態の説明では、作業者の身体部分として、作業者の手に送信手段10を保持する例を説明する。
送信手段10の例としては、図2(A)〜(C)に示す3種類の例について説明する。
送信手段10の第1の例は、図2(A)に示すように、手首と人差し指に保持される保持部材13と、保持部材13における人差し指の近傍となる手の甲側の位置に固定されたセンサユニット11と、電源と制御回路を収容する収容部材12等にて構成されている。
センサユニット11は、例えば超音波を出力する超音波送波素子11Aと、赤外線を出力する複数の赤外送信素子11Bと、ベース部材11C等にて構成されている。
収容部材12には、例えば電池等の電源と、超音波送波素子11A及び赤外送信素子11Bを駆動する駆動信号を出力する制御回路等が収容されている。制御回路は、一定時間毎に、超音波送波素子11A及び赤外送信素子11Bに駆動信号を出力し、超音波送波素子11A及び赤外送信素子11Bから超音波及び赤外線を出力させる。
【0024】
送信手段10の第2の例は、図2(B)に示すように、5本の指先部をカットした手袋状の保持部材13と、保持部材13における小指の近傍となる手の甲側の位置に固定された超音波送波素子11Aと、保持部材13における手首の周囲となる手の甲側に固定された複数の赤外送信素子11Bと、赤外送信素子11Bに対して指先方向と反対側における保持部材13に固定された収容部材12等にて構成されている。この例では、図2(A)に示す第1の例に対して、人差し指の動作がより自由になり作業がしやすくなるとともに収容部材12を保持部材13と一体としているので、収容部材12が作業の邪魔になりにくい。
【0025】
送信手段10の第3の例は、図2(C)に示すように、5本の指先部をカットした手袋状の保持部材13と、保持部材13における手首の近傍となる手の甲側の位置に固定された複数の赤外送信素子11Bと、赤外送信素子11Bに対して指先方向と反対側における保持部材13に固定された超音波送波素子11Aと、超音波送波素子11Aに対して指先方向と反対側における保持部材13に固定された収容部材12等にて構成されている。この例では、図2(B)に示す第2の例に対して、更に小指の動作がより自由になり、より作業性が良い。
なお、送信手段10は、図2(A)〜(C)の例の他にも、種々の形態とすることが可能であり、送信手段10の形態については、特に限定しない。
【0026】
●[3次元空間である作業空間K内におけるセンサユニット11の位置の検出方法(図3)]
次に図3(A)〜(C)を用いて、作業空間K内における送信手段10におけるセンサユニット11の位置の検出方法の例について説明する。
まず作業空間Kに、X軸、Y軸、Z軸の直交座標を設定する。
そして、作業空間K内の所定位置(この場合、原点(0、0、0))に、受信手段20を配置する。図1に示す例では、作業空間Kにおける上端部に受信手段20が配置されている。
受信手段20は、センサユニット11から送信される超音波を受信する超音波受信手段と、センサユニット11から送信される赤外線を受信する赤外線受信手段と、受信した超音波及び赤外線に基づいてセンサユニット11の位置に関する情報に換算する処理手段と、を備えている。
例えば受信手段20は、作業空間K内のセンサユニット11から送信される超音波及び赤外線に基づいて、図2(A)に示す、距離d、角度θx、角度θy(すなわち、極座標(d、θx、θy))を求める。
距離dは、センサユニット11と受信手段20との間の距離である。
角度θxは、図2(B)に示すXZ平面において原点(0、0、0)とセンサユニット11とを結ぶ直線と、Z軸とがなす角度である。
角度θyは、図2(C)に示すYZ平面において原点(0、0、0)とセンサユニット11とを結ぶ直線と、Z軸とがなす角度である。
そして制御手段30は、受信手段20から極座標(d、θx、θy)に関する情報を受け取り、センサユニット11の直交座標上の位置であるP(X1、Y1、Z1)に変換する。
なお、制御手段30にて極座標を直交座標に変換することなく制御手段にて極座標を用いて処理しても良いし、受信手段20にて直交座標を求めて制御手段30に出力しても良い。また、受信手段20を4個以上設け、センサユニット11とのそれぞれの距離を同時に求め、制御手段の仮想作業空間内にあらかじめ設定したそれぞれの受信手段の仮想位置を中心にしたそれぞれの距離を半径とする仮想球を描いて、仮想作業空間内のセンサユニット11の座標を求めても良い。その場合、センサユニット11に配置される送信手段は、超音波送波素子11A、赤外送信素子11Bの片方だけであっても良い。
座標の種類や、受信手段と制御手段のどちらでどのような座標を求めるかは特に限定しない。制御手段30にて、センサユニット11の座標に基づいてセンサユニット11の移動軌跡を認識することができれば良い。
【0027】
●[制御手段30に表示される作業軌跡の例(図4)]
次に図4を用いて、制御手段30の表示手段に表示される作業軌跡の作成方法の概要について説明する。
制御手段30は、表示手段に、仮想作業空間36、37を表示している。仮想作業空間36は、実際の作業空間Kの平面図(上から見た図)を示しており、仮想作業空間37は、実際の作業空間Kの正面図(横から見た図)を示している。
作業者の手に保持されたセンサユニット11は、実際の作業空間K内において、一定時間毎(例えば200msec毎)に超音波と赤外線を送信する。
受信手段20は、当該超音波と赤外線を受信し、センサユニット11の極座標(d、θx、θy)を求めて制御手段30に出力する。
制御手段30は、受信手段20から入力された極座標(d、θx、θy)から、直交座標上の位置であるP(x[i]、y[i]、z[i])に変換し、当該P(x[i]、y[i]、z[i])の位置を仮想作業空間36、37の中にプロットし、前回の位置P(x[i−1]、y[i−1]、z[i−1])と、直線またはスプライン曲線等で接続して移動軌跡を作成していき、仮想作業空間36、37に作業軌跡を作成する。
なお、制御手段30は、仮想作業空間36、37にP(x[i]、y[i]、z[i])をプロットして結んでいくのでなく、3次元仮想作業空間内にP(x[i]、y[i]、z[i])をプロットして結んでいき、3次元仮想作業空間内の作業軌跡の平面図と正面図を作成し、それぞれの仮想作業空間36、37に作業軌跡を表示するようにしてもよい。
【0028】
なお、制御手段30には、対象作業の軌跡の基準(手本)となる基準軌跡TRstd(図5参照)が記憶されている。
また、基準軌跡TRstdの所定の軌跡位置には、所定範囲で区切られた判定領域が順番とともに設定されている。図5に示す例では、基準軌跡TRstdには、判定領域1(符号37A)、判定領域2(符号37B)、判定領域3(符号37C)が、1、2、3の順番とともに設定されている。
この基準軌跡TRstdと、実際の作業者による作業の軌跡である作業軌跡とを比較して作業の良否を判定するが、基準軌跡TRstdの全体が一致する必要はない。例えば作業品αに、部品A、部品B、部品Cの順番にて各部品を組み付ける場合、欠品なく作業が行われたか否かを判定するには、部品Aの取り付け位置と、部品Bの取り付け位置と、部品Cの取り付け位置を、順番に経由した作業軌跡であるか否かを判定すればよい。例えば部品Aの取り付け作業が終わった位置から部品Bを取り付けるべき位置までの手の移動経路については、基準軌跡TRstdと一致しなくても特に構わない。
【0029】
次に基準軌跡TRstdの作成方法の例について説明する。
基準軌跡TRstdの作成を所望する作業者は、作業空間Kに実際の作業品を配置し、送信手段10を手に取り付けて起動させ、図4に示す制御手段30の画面30Aにて、開始/停止ボタン31を押して軌跡の作成を開始する。
例えば作業品に対して部品A、部品B、部品Cを組み付ける場合、作業者は、作業空間K内の作業品に対して、正しい作業手順にて部品A、部品B、部品Cを順番に組み付け、作業が完了したら画面30Aの開始/停止ボタン31を押して軌跡の作成を停止する。
次に作業者は、判定領域1(符号37A、36A)を設定するために、部品Aを組み付ける位置に手を移動してセンサユニット11から信号を送信させて、画面30AのCP設定ボタン34Bを押す。この作業にて、その時点におけるセンサユニット11の位置を中心とした所定半径の球状の判定領域1(符号37A、36A)が設定される。
同様にして、作業者は、判定領域2(符号37B、36B)を設定するために、部品Bを組み付ける位置に手を移動してCP設定ボタン34Bを押して判定領域2(符号37B、36B)を設定する。また、同様に、作業者は、判定領域3(符号37B、36B)を設定するために、部品Cを組み付ける位置に手を移動してCP設定ボタン34Bを押して判定領域3(符号37C、36C)を設定する。
必要とする判定領域の設定が終わったら、作業者は、画面30Aの基準軌跡登録ボタン34Aを押して、判定領域が設定された基準軌跡TRstdを、制御手段30に登録する。
【0030】
次に、基準軌跡TRstdを用いて、作業者の作業を支援する手順について説明する。
制御手段30の表示手段には、画面30Aの仮想作業空間36、37に、対象とする作業に対応する基準軌跡TRstdが判定領域とともに表示されている。
作業者は、手に付けた送信手段10を起動し、画面30Aの開始/停止ボタン31を押して作業軌跡の作成を開始させ、作業が完了したら開始/停止ボタン31を押す。これにより、仮想作業空間36に作業軌跡TR36が作成され、仮想作業空間37に作業軌跡TR37が作成される。
なお、図4の仮想作業空間36における作業軌跡TR36は、スタート位置36Sから開始され、終了位置36Eまでの一筆書き状の軌跡(平面図)である。また図4の仮想作業空間37における作業軌跡TR37は、スタート位置37Sから開始され、終了位置37Eまでの一筆書き状の軌跡(正面図)である。
【0031】
そして制御手段30は、作成された作業軌跡と、記憶されている基準軌跡TRstdとを比較し、予め決められた順番に、各判定領域を通過したか否かを判定することで、作業の良否を判定する。
図4に示す例では、判定領域として判定領域1(符号36A、37A)、判定領域2(符号36B、37B)、判定領域3(符号36C、37C)が設定されており、制御手段30は、作業軌跡TR36、TR37が、判定領域1−判定領域2−判定領域3の順番で、各判定領域を通過しているか否かを判定することで、作業の良否を判定する。
制御手段30は、判定領域1、2、3のそれぞれを通過したと判定した場合、図4に示す画面30Aにおいて、チェックポイント判定部32における対象となる判定領域の番号を、作業者が認識可能となるように表示する。例えば判定領域1を通過した判定した場合、制御手段30は、チェックポイント判定部32における「1」の部分を青色に変更して表示する。そして制御手段30は、予め設定した判定領域1〜3の全てを、通過したと判定した場合、チェックポイント判定部32における「1」、「2」、「3」の部分を青色に変更して表示する。そして制御手段30は、チェックポイント判定部32の全てを青色で表示し、更に正しい順番で通過したと判定した場合、総合判定部33にて、作業の「良」を示す○を識別可能となるように表示する。
【0032】
●[作業の良否判定にて「否」と判定された個所の表示の例(図5)]
ここで、例えば判定領域1、2、3が設定されている場合に、判定領域2が通過されなかった場合の例を図5に示す。図5の例は、図4に示す画面30Aにおける仮想作業空間37内に表示される作業軌跡TR37、及び基準軌跡TRstdの例を示しており、作業軌跡TR37を実線にて示し、基準軌跡TRstdを点線にて示している。
作業軌跡TR37は、スタート位置37Sから終了位置37Eまでの軌跡であり、基準軌跡TRstdは、スタート位置80Sから終了位置80Eまでの軌跡である。
【0033】
この例では、作業者は作業軌跡TR37のスタート位置37Sから判定領域1(符号37A)までは、正しい作業を行っていたが、判定領域1(符号37A)から判定領域2(符号37B)までの経路において判定領域2(符号37B)を通る経路をスキップして判定領域3(符号37C)を通過して作業を終了していることがわかる。この場合は、判定領域2に対応する作業である部品Bの組み付けが行われずに欠品していることが推定される。
【0034】
この場合、制御手段30は、図4の画面30Aにおけるチェックポイント判定部32の「2」の部分の表示を、正しく通過された場合の表示に変更しない。これにより、制御手段30は、総合判定部33にて、作業の「否」を示す×等を識別可能となるように表示する。
なお、作業の結果の良否を総合判定部33に表示する代わりに、「良」の場合はチャイム音、「否」の場合はブザー音(アラーム音)等、音声で作業の良否判定の結果を報知してもよい。
【0035】
また、制御手段にて、作業軌跡のそれぞれを記憶し、「否」と判定した作業に対する作業軌跡TR37(図5参照)の表示において、「否」と判定した根拠となる軌跡の部分を識別可能に表示する異常個所表示手段を備えても良い。なお、異常個所表示手段は、制御手段と表示手段にて構成される。
図5に示す例では、通過されなかった判定領域2(符号37B)が点滅や赤色等にて識別可能に表示され、判定領域2に向かわずに判定領域3に向かった軌跡部分TRerを、点滅や赤色等にて識別可能に表示する。以上の説明では、「否」と判定した根拠となる作業軌跡の部分と、通過しなかった判定領域の双方を識別可能に表示する例を説明したが、判定領域を表示することなく作業軌跡のみを表示して「否」と判定した根拠の部分を識別可能に表示しても良いし、作業軌跡を表示することなく判定領域のみを表示して通過しなかった判定領域を識別可能に表示しても良い。
以上により、作業抜け(部品の欠品)等を判定することが可能であり、作業者の作業を適切に支援することができる。
【0036】
また、動画または静止画の少なくとも一方を撮影可能な撮影手段と、映像記録手段とを備え、求めた作業軌跡上における位置に対応させて動画または静止画の少なくとも一方を撮影して記録するようにしてもよい。この場合、作業が「否」と判定された作業軌跡の部分に対応付けて記録された動画または静止画を画像表示手段を用いて再生することで、作業の抜け等の原因を検証する際に利用することができる。
また、撮影手段が撮影して記録した動画や静止画を、画像表示手段を用いて表示させたり、作業軌跡を重ね合わせたりもしくは並列して表示することにより、送信手段や作業軌跡の情報だけでなく、作業者の身体の姿勢や製品の状態等を映し出すことができる。なおかつ基準軌跡の作業の際の作業者の姿勢や製品の状態等を比較することができるので、作業性を向上させる支援をすることもできる。
なお、撮影手段は固定式であってもよいし、作業軌跡の動きに追従する可動式であってもよい。また、画像表示手段は、制御手段と表示手段にて構成される。また映像記録手段と画像表示手段は、少なくとも一方を備えるようにしても良い。
【0037】
●[その他の機能]
以上、本実施の形態の説明では、予め決められた判定領域を、決められた順番で通過したか否かで作業の良否を判定したが、更に、作業に要した時間を、作業の良否の判定に加えてもよい。なお作業に要した時間として、作業の開始から終了までの作業全体の時間の他にも、各判定領域を通過するまでの時間という具合に作業全体の中の一部の作業に要した時間も、作業に要した時間として、作業の良否の判定に加えてもよい。
例えば制御手段30には、基準軌跡に対応付けて基準作業時間が予め設定されている。
そして制御手段30は、求めた作業軌跡TR36、TR37が、予め設定された全ての判定領域を、決められた順番や時間に通過し、更に、基準作業時間内に作業が終了された場合に、作業の「良」を判定する。なお、作業に要した時間の計測方法については、制御手段30は、開始/停止ボタン31が押されて作業軌跡の作成を開始してから、開始/停止ボタン31が押されて作業軌跡の作成を停止するまでの時間を計測すればよい。全ての判定領域を正しい順番で通過しても、作業時間が基準作業時間よりも長い場合、制御手段30は、作業の「否」を判定し、作業時間オーバーであることを表示する。
【0038】
また例えば制御手段30には、作業の開始から最初の判定領域までの時間、ある判定領域から次の判定領域までの時間、最後の判定領域から作業の終了までの時間、を示すそれぞれの基準通過時間が予め設定されている。
そして制御手段30は、判定領域を通過した際、あるいは作業の終了を検出した際、対応付けられている基準通過時間と、実際に要した時間とを比較し、判定領域を通過し且つ基準通過時間内である場合に作業の「良」を判定するようにしても良い。
なお、上記の基準作業時間(作業軌跡の開始から終了までの全体に要した時間)と、基準通過判定時間(作業軌跡における一部の軌跡部分に要した時間)と、の少なくとも1つが設定されて判定するように構成されていても良い。
また、判定領域毎に、前回の判定領域を通過してから今回の判定領域に達するまでに要した時間を記録しておくことで、どの作業が非効率であるかを検証することができる。そして撮影手段と映像記録手段を用いて記録した動画や静止画を用いて、非効率な作業を表示手段に再現することで、効率的な作業となるように改善する支援をすることができる。
【0039】
また、総合判定部33の表示は、上記の○と×だけでなく、○、×、三角形を表示させるようにしてもよい。また、○、×等の記号の代わりに数値を用いても良い。例えば、全ての判定領域を正しい順番で通過し、且つ作業時間も基準作業時間内であった場合は「○」や「100点」、全ての判定領域を通過したが順番が異なる場合、あるいは全ての判定領域を正しい順番で通過したが作業時間が基準作業時間をオーバーした場合は「三角」や「(100点以下の数値)」(経過時間のオーバー分を差し引いた数値等)、いずれかの判定領域を通過しなかった等、「○」にも「三角」にも該当しない場合は「×」、と表示させるようにしてもよい。
この場合、「○」、「三角」のどちらも、作業後の作業品は良品であるが、作業そのものは「○」の作業のほうが生産性において好ましい、ということになる。もちろん、「×」の場合は、作業後の作業品は良品でない可能性が高い。
【0040】
また、他の機能して、図4の関連情報表示38について説明する。
制御手段30には、基準軌跡TRstdの各判定領域のそれぞれに対応付けて、関連情報が記憶されている。例えば判定領域1が作業品の所定個所に部品Aを組み付ける作業の場合、関連情報には、図4の関連情報表示38に示すように、部品Aの外観、部品Aの組み付け位置等、判定領域1における作業の注意事項や次の動作等が記憶されている。
そして作業支援システム1は、作業軌跡TR36、TR37が判定領域1(符号36A、37A)に到達した場合に判定領域1に対応付けられている関連情報を表示する(図4の関連情報表示38を参照)関連情報表示手段を備えている。なお、関連情報表示手段は、制御手段と表示手段にて構成される。
これにより、より適切に作業者の作業を支援することができる。
【0041】
以上の説明では、判定領域の設定方法として、基準軌跡TRstdを作成してから、所望する判定領域に送信手段が位置するように作業者の手を持っていき、判定領域を設定したが、基準軌跡TRstdを作成した後、制御手段30を用いて仮想作業空間内に座標や空間領域を直接入力することによって判定領域を設定しても良い。
また、基準軌跡TRstdを作成することなく、所望する判定領域に送信手段が位置するように作業者の手を持っていき、判定領域を設定しても良いし、基準軌跡TRstdを作成することなく、制御手段30を用いて仮想作業空間内に座標や空間領域を直接入力することによって判定領域を設定しても良い。
【0042】
また、作業者の身体部分が判定領域を通過しても、当該判定領域での作業において、所定部材(例えば所定の工具やカウンタ等)を用いた作業が必要な場合もある。この場合、判定領域を時間内に通過しただけでは、正しい作業が行われたとは限らない。判定領域に達した際に所定部材を用いられたか否かを判定する必要がある。
そこで、受信手段または制御手段の少なくとも一方にて受信可能な存在信号を発信する存在信号発信手段を用いる。存在信号発信手段は、接触した際に存在信号を発信する接触型であっても、非接触で存在信号を発信する非接触型であってもよい。また、存在信号を受信手段や制御手段に伝送する手段は、無線式でも有線式でも構わない。
この存在信号発信手段は、所定部材あるいは所定部材の周囲に設けられており、作業者が所定部材を用いると、存在信号発信手段から存在信号が発信されるように構成されている。また存在信号発信手段は、作業者が所定部材を用いた際に存在信号を発信し、当該存在信号を受信手段または制御手段の少なくとも一方にて検出できればよいので(位置まで検出できなくても良い)、作業空間の内外に関係なく存在信号発信手段を配置することができる。
そして判定領域における少なくとも1つは、所定部材を用いて作業する必要がある必須部材有判定領域として設定されている。
そして制御手段は、必須部材有判定領域については、判定を行う際、所定部材を用いた際に発信される存在信号の有無と、送信手段を保持した作業者の身体部分が必須部材有判定領域を通過したか否か、の双方に基づいて、作業の良否を判定する。なお、更に時間も考慮して判定してもよい。
【0043】
また、作業を「踊り」とした場合、本実施の形態にて説明した作業支援システムを、「踊り」を支援するシステムとして利用することもできる。
例えば、手首や足首に送信手段を装着し、踊りを行う空間を作業空間、所定の音楽の流れる時間を作業時間とする。そして各判定領域を、予め設定した時間どおりに、順番に送信手段が通過するか否かを判定することで、その作業(踊り)の是非を判定することができる。また、判定を数値によって表示することも可能であり、遊戯として利用することもできる。また、踊りや遊戯の他にも、拳法やヨガ等の型や、エクササイズ等の運動の動作の判定にも応用することができる。
なお、「作業」が製造現場での組み付け作業の場合、所定部材は、例えば特定の工具や部品箱、カウンタ等であり、「作業」が踊り等の場合、所定部材は、例えば特定の楽器や特定の装飾品等であり、「作業」が拳法等の場合、所定部材は、例えば特定の武具や武器等である。このように「所定部材」には、作業に応じて、作業に必要な種々のものが適用される。
なお、「作業」が製造現場での組み付け作業の場合、図4に示す開始/停止ボタン31を、作業工程一巡終了時に操作するカウンタの代わりに利用すると、便利である。例えば、図4に示す表示手段の開始/停止ボタン31の周囲を必須部材有判定領域に設定しておき、開始/停止ボタン31が押された際、制御手段にて、擬似的に、開始/停止ボタン31から存在信号が発信されて当該存在信号を受信した、と判断させるように構成すれば良い。
【0044】
また、動画あるいは静止画の少なくとも一方を撮影可能な撮影手段を備え、撮影した動画あるいは静止画をリアルタイムに制御手段の表示手段に表示し、判定領域に達すると、表示手段に表示している動画あるいは静止画において、次の判定領域の位置を指示するようにして作業を支援することもできる。
例えば、判定領域に対応付けられている各関連情報には、当該判定領域の次に通過するべき判定領域の位置に関する情報である次判定領域位置情報が含まれている。
制御手段は、関連情報に含まれている次判定領域位置情報に対応する位置が、表示手段に表示している(作業空間の)動画あるいは静止画の中の、どの位置に相当するか、を認識可能となるように構成されている。
そして作業支援システム1は、関連情報を表示した際に当該関連情報に含まれている次判定領域位置情報に基づいて、表示している動画あるいは静止画における次の判定領域に対応する位置を特定し、特定した位置を識別可能となるように表示する次判定領域表示手段を備えても良い。なお、次判定領域表示手段は、制御手段と表示手段にて構成される。例えば、表示している(作業空間の)動画あるいは静止画において、次に通過するべき判定領域を○印等で囲み、当該○印を点滅させたり、○印を周囲とは異なる色彩で目立たたせ、作業者が識別可能となるように表示する。
【0045】
本発明の作業支援システム1は、本実施の形態で説明した外観、構成、処理、表示例等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
本実施の形態にて説明した作業支援システム1にて、作業軌跡や映像等を記録しておくと、不具合の解析等に利用することができるので便利である。また、記録した作業軌跡を利用して、日々の日報や、作業時間の集計等を行うことも可能である。
また、本実施の形態では、基準軌跡と作業軌跡の「位置のずれ」については特に判定しなかったが、位置のずれが所定距離内であるか否かを判定して作業の良否を判定するようにしてもよい。
また、送信手段と判定領域は複数設けることが可能であり、例えば同じ手順で2つの送信手段が、2個所の判定領域を同時に通過しなければ「否」と判定することも可能である。
また、本実施の形態にて説明した画像表示手段、異常個所表示手段、関連情報表示手段、次判定領域表示手段等にて用いる表示手段(モニタ装置等)は、少なくとも2つ以上を共通の表示手段としても良いし、それぞれ別々の表示手段としても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 作業支援システム
10 送信手段
11 センサユニット
11A 超音波送波素子
11B 赤外送信素子
12 収容部材
13 保持部材
20 受信手段
30 制御手段
36、37 仮想作業空間
36A、37A 判定領域1
36B、37B 判定領域2
36C、37C 判定領域3
38 関連情報
TRstd 基準軌跡
TR36、TR37 作業軌跡
K 作業空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の身体部分に保持された送信手段と、
前記作業者の作業空間における所定位置に配置されて前記送信手段から送信される信号を受信する受信手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記受信手段が受信した前記送信手段からの信号に基づいて前記作業空間内における前記作業者の前記身体部分の位置を検出し、前記作業空間に対応する仮想座標系が設定された仮想作業空間内において、検出した前記作業者の前記身体部分の位置を当てはめて前記仮想作業空間内における前記作業者の前記身体部分の位置、及び前記作業者の前記身体部分の軌跡である作業軌跡を求めることが可能であり、
前記仮想作業空間内における所定位置には、所定範囲で区切られた判定領域が順番とともに設定されており、
前記制御手段は、前記仮想作業空間内にて求めた作業軌跡が、予め決められた順番に前記判定領域を通過したか否かを判定することで作業の良否を判定する、
作業支援システム。
【請求項2】
作業者の身体部分に保持された送信手段と、
前記作業者の作業空間における所定位置に配置されて前記送信手段から送信される信号を受信する受信手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記受信手段が受信した前記送信手段からの信号に基づいて前記作業空間内における前記作業者の前記身体部分の位置を検出することで前記作業空間内における前記作業者の前記身体部分の軌跡である作業軌跡を求めることが可能であり、
前記制御手段には、前記作業軌跡の基準となる基準軌跡が記憶されており、
前記基準軌跡における所定の軌跡位置には、所定範囲で区切られた判定領域が順番とともに設定されており、
前記制御手段は、求めた作業軌跡と、記憶されている前記基準軌跡とを比較して、予め決められた順番に前記判定領域を通過したか否かを判定することで作業の良否を判定する、
作業支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業支援システムであって、
前記制御手段は、求めた作業軌跡のそれぞれを記憶し、
更に、作業の否を判定した場合に否と判定した作業軌跡または判定領域を表示するとともに表示した作業軌跡または判定領域において否と判定した根拠に関する軌跡の部分または判定領域を識別可能に表示する異常個所表示手段を備えている、
作業支援システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業支援システムであって、
前記制御手段には、各判定領域に対応付けて、各判定領域における作業に関する関連情報が記憶されており、
更に、前記作業者の前記身体部分の位置が各判定領域に達する毎に当該判定領域に対応付けられている関連情報を表示する関連情報表示手段を備えている、
作業支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の作業支援システムであって、
前記判定領域に対応付けられている前記関連情報には、当該判定領域の次に通過するべき判定領域の位置に関する情報である次判定領域位置情報が含まれており、
更に、
前記作業空間内における前記作業者の作業の動画あるいは静止画の少なくとも一方を撮影する撮影手段と、
撮影した動画あるいは静止画を表示し、前記関連情報を表示した際に当該関連情報に含まれている前記次判定領域位置情報に基づいて、表示している動画あるいは静止画における次の判定領域に対応する位置を特定し、特定した位置を識別可能となるように表示する次判定領域表示手段と、を備えている、
作業支援システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の作業支援システムであって、
前記制御手段には、作業の開始から最初の前記判定領域までの時間または前記判定領域のいずれか1つから次の前記判定領域までの時間または最後の前記判定領域から作業の終了までの時間である基準中間通過時間、あるいは作業の開始から作業の終了までの時間である基準作業時間、の少なくとも1つが記憶されており、
前記制御手段は、更に、前記作業軌跡を求める際に作業時間を計測し、当該作業軌跡および判定領域に対応する作業時間と、記憶されている前記中間通過時間あるいは前記基準作業時間と、を比較して作業の良否を判定する、
作業支援システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の作業支援システムであって、
更に、前記受信手段または前記制御手段の少なくとも一方にて受信可能な存在信号を発信する存在信号発信手段を備え、
前記判定領域における少なくとも1つは、作業者の身体部分に保持された前記送信手段が通過する際、当該作業者が所定部材を用いて作業をする必要がある必須部材有判定領域として設定されており、
前記存在信号発信手段は、前記作業者が前記所定部材を用いた場合に前記存在信号を発信し、
前記制御手段は、前記必須部材有判定領域については、当該必須部材有判定領域を前記送信手段が通過する際に前記存在信号発信手段からの存在信号を検出したか否かを判定することで、当該必須部材有判定領域を正常に通過したか否かを判定する、
作業支援システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の作業支援システムであって、
更に、
前記作業空間内における前記作業者の作業の動画あるいは静止画の少なくとも一方を撮影する撮影手段と、
前記動画あるいは前記静止画を記録する映像記録手段もしくは前記動画あるいは前記静止画を表示する画像表示手段の少なくとも一方と、を備えている、
作業支援システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−25578(P2013−25578A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159977(P2011−159977)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【特許番号】特許第4932048号(P4932048)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(308031108)内浜化成株式会社 (18)
【Fターム(参考)】