説明

作業機の故障診断支援システム

【課題】作業機の故障箇所を手間を掛けずに素早く推定することができるようにする。
【解決手段】作業機1の各部位における動作状況をネットワークを介して送信する状況送信手段51と、動作状況を受信して当該動作状況から作業機1の故障を診断する故障診断手段52と、修理実績を有する故障診断用データベース53とを備え、故障診断手段52は、作業機1の各部位における動作状況を取り込む状況取込部55と、状況取込部55に取り込まれた各部位の動作状況と修理実績とを基に故障を自動的に推定する故障推定部56とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックホー等の作業機の故障診断支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、バックホー等の作業機は、様々な建設現場等にて使用されおり、故障した際は、迅速な対応が求められている。建設現場にて作業機1の故障の原因を突き止め、修理することも可能あるが、近年の作業機は構造が複雑化しているのが実情であり、直ちに故障原因を突き止めるのは容易ではない。
このようなことに鑑み、作業機の故障を診断するシステムとして様々なものが開発されてきている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、建設機械と情報管理センタにそれぞれ設けられた通信装置により相互に信号を送受信して、故障診断を行う建設機械の故障診断方法であって、建設機械の故障に関する第1の信号を建設機械で生成し、通信装置を介して建設機械から情報管理センタへ第1の信号を送信する第1の工程と、第1の信号が送信されると、この第1の信号に基づいて情報管理センタで故障箇所を特定するための第2の信号を生成し、通信装置を介して情報管理センタから建設機械へ第2の信号を送信する第2の工程と、第1の信号および第2の信号に関する故障情報をオペレータに報知する第3の工程とを含むシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−332664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の故障診断方法では、作業機の表示装置に故障を診断するための多くの質問を表示し、この質問に対して作業機を操作するオペレータが回答しなければ、故障を診断することができず、作業機の故障箇所を診断するのに非常に手間がかかっていた。
本発明は上記問題点に鑑み、作業機の故障箇所を手間を掛けずに素早く推定することができる作業機の故障診断支援システムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、作業機の各部位における動作状況をネットワークを介して送信する状況送信手段と、前記動作状況を受信して当該動作状況から作業機の故障を診断する故障診断手段と、修理実績を有する故障診断用データベースとを備え、前記故障診断手段は、作業機の各部位における動作状況を取り込む状況取込部と、前記状況取込部に取り込まれた各部位の動作状況と修理実績とを基に故障を自動的に推定する故障推定部とを備えている点にある。
【0007】
前記故障推定部は、前記修理実績における各部位の動作状況と、前記状況取込部に取り込まれた各部位の動作状況とを照合することにより故障を推定することが好ましい。
前記状況送信手段は、前記作業機に備えられて作業機の各部位の動作状況を画像に変換して表示する表示装置と、前記表示装置に表示された画像を読み取りネットワークを介して送信する通信機器とを備えていることが好ましい。
【0008】
前記表示装置は、1の動作状況を1の画像データに変換すると共に、前記1の動作状況とは異なる他の動作状況を他の画像データに変換するコード変換部と、前記1の画像データと前記他の画像データとを表示する表示部とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業機の故障箇所を手間を掛けずに素早く推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】故障診断支援システムの構成図である。
【図2】表示装置の構成図を示したものである。
【図3】表示装置の正面全体図を示したものである。
【図4】記憶部に記憶されている動作情報を模したものである。
【図5】動作情報の画像を表示するまでの操作手順を示したものである。
【図6】故障推定部を起動させたときの画面を示したものである。
【図7】故障診断用データベースに記憶されている内容を模したものである。
【図8】動作情報から故障を推定するまでの流れを示したものである。。
【図9】作業機の全体側面図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図9は、作業機の故障診断支援システムにおける作業機の一例を示したものである。
まず、作業機について説明する。なお、本発明の作業機の故障診断支援システムに適用される作業機は、この実施形態に示した作業機に限定されない。
図9に示すように、作業機(バックホー)1は、下部の走行装置2と、上部の旋回体3とを備えている。
【0012】
走行装置2は、ゴム製覆帯を有する左右一対の走行体4を備え、両走行体4を走行モータMで駆動するようにしたクローラ式走行装置が採用されている。また、該走行装置2の前部にはドーザ5が設けられている。
旋回体3は、走行装置2上に旋回ベアリング11を介して上下方向の旋回軸回りに左右旋回自在に支持された旋回台12と、該旋回台12の前部に備えられた作業装置13(掘削装置)とを有している。旋回台12上には、エンジン,ラジエータ,運転席9,燃料タンク,作動油タンク等が設けられている。運転席9の周囲には、作業機1に関する様々な情報を表示する表示装置25が設けられている。運転席9は、旋回台12上に設けられたキャビン14により囲まれている。
【0013】
作業装置13は、旋回台12の前部に左右方向の中央部よりやや右寄りにオフセットして設けられた支持ブラケット16に上下方向の軸心回りに左右揺動自在に支持されたスイングブラケット17と、該スイングブラケット17に基部側を左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて上下揺動自在に支持されたブーム18と、該ブーム18の先端側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて前後揺動自在に支持されたアーム19と、該アーム19の先端側にスクイ・ダンプ動作可能に設けられたバケット20とを備えている。
【0014】
スイングブラケット17は、旋回台12内に備えられたスイングシリンダの伸縮によって揺動され、ブーム18は、該ブーム18とスイングブラケット17との間に介装されたブームシリンダ22の伸縮によって揺動され、アーム19は、該アーム19とブーム18との間に介装されたアームシリンダ23の伸縮によって揺動され、バケット20は、該バケット20とアーム19との間に介装されたバケットシリンダ21の伸縮によってスクイ・ダンプ動作される。
【0015】
図1に示すように、作業機の故障診断支援システム50は、作業機1から送られてきた動作状況に基づいて作業機1の故障診断を行うものである。
この故障診断支援システム50は、状況送信手段51と、故障診断手段52と、故障診断用データベース53とを備えている。
状況送信手段51は、故障診断をするために作業機1の各部位における動作状況を送信するためのもので、作業機1の動作状況を画像に変換して表示する表示装置25と、この表示装置25に表示された画像を読み取ってネットワークを介して画像内の動作状況を送信する通信機器45とを備えている。
【0016】
図2、3に示すように、表示装置25は、作業機1の各種設定などを行うための入力部26と、作業機1に関する情報を表示する表示部27と、CPU等から構成された制御部28と、不揮発性メモリ等から構成された記憶部29とを備えている。
制御部28には、例えば、燃料センサから出力された燃料(残量)、水温センサから出力された水温、エンジンオイルの不足の有無を検出するエンジンオイル圧力スイッチ、入力部26から出力された各種入力信号、エンジン回転数が入力される。また、制御部28には、その他のセンサからの信号や当該表示装置25に接続したその他の制御機器からの信号が入力されるようになっている。
【0017】
表示部27は、文字や図形等を可変して表示する可変表示部30と、点灯及び消灯することにより作業機1の状態を表す固定表示部31とを備えている。
固定表示部31は、作業機1の駆動時において、点灯することにより注意や警告を促す警告注意ランプ31aと、点灯することによりエンジンオイルの不足を示すオイルランプ31bと、点灯することによりバッテリーの電力不足を示すバッテリーランプ31cと、点灯することにより作業機1が高速で走行していることを示す走行ランプ31dとを備えている。上述した警告注意ランプ31a、オイルランプ31b、バッテリーランプ31c、走行ランプ31dは、消灯によりそれぞれに対応した状態が起きてないことを示している。なお、固定表示部31は、点灯及び消灯により作業機1に関する情報を示すものであれば、警告注意ランプ31a、オイルランプ31b、バッテリーランプ31c、走行ランプ31d以外のものであってもよい。
【0018】
可変表示部30は、例えば、液晶により構成されていて、液晶のドット表示を可変することにより、作業機1が動作したときの状態を表示したり、作業機1の操作等の案内を表示する。
入力部26は、複数のボタンスイッチSW(SW1,SW2,SW3,SW4,SW5)を備えている。これら複数のボタンスイッチSWは、可変表示部30に隣接して左右に並列して設けられ、各ボタンスイッチには所定の機能を具備したものとなっている。
【0019】
例えば、ボタンスイッチSW1は、作業機1の各種設定を行うものであり、ボタンスイッチSW2は、作業モードを吊り下げの作業モードにするためのものであり、ボタンスイッチSW3は、作業装置13のアーム17の揺動範囲を制限設定するためのものであり、ボタンスイッチSW4は、ユーザに可変表示部30によって一定の案内(インホメーション)をするためのものであり、ボタンスイッチSW5は、可変表示部30の表示を切り替えるためのものである。なお、複数のボタンスイッチSWは、可変表示部30の下部側に表示された各矢印Y等に対応して、矢印Y等を選択するスイッチとしても動作するようになっている。また、各ボタンスイッチは、上述した機能を有するものに限らず、その他の機能を有するものであってもよい。
【0020】
記憶部29は、様々な動作部の動作状況を記憶することができるものである。具体的には、図4に示すように、エンジンの回転数、バッテリーの電圧、スタータのON/OFF状況、水温センサの動作電圧、燃料センサの電圧、エンジンオイル圧力スイッチの電圧、アクセルセンサの電圧、AIモータの電流など、様々な動作部の動作状況を記憶することができる。なお、作業機1には、様々な機器等が搭載されているが、動作する機器のことを動作部という。
【0021】
また、記憶部29には、蓄積された動作状況(動作情報)を外部へ送るために、送り先(例えば、メールアドレス、IPアドレス)が予め記憶されている。さらに、記憶部29には、作業機1を識別(特定)するためのコードが記憶されている。
制御部28は、コード変換手段40と、画像表示手段41と、画像位置変更手段43とを備えている。これらコード変換手段40、画像表示手段41、画像位置変更手段43は、CPU等の制御部28に組み込まれたプログラム等により構成されている。
【0022】
コード変換手段40は、記憶部29に記憶された動作状況(動作情報)を外部に送るために、動作状況を画像データ(例えば、2次元コード)に変換するものである。この実施の形態では、コード変換手段40は、記憶部29に記憶された動作情報をQR(Quick Response)コードに変換するものである。なお、コード変換手段40は、動作情報を、例えば、携帯電話、ネットブックコンピュータなど様々な通信機器45によって読み込むことができる画像データに変換するものであれば良く、変換後の画像はQRコードに限定されない。
【0023】
このコード変換手段40では、動作情報の情報量が多く、1つのQRコードに変換できない場合は、まず、全ての動作情報のうち一部の動作情報(1の動作情報)を1のQRコード(画像データ)に変換すると共に、この1の動作情報とは異なる他の動作情報を他のQRコード(画像データ)に変換することにしている。図4に示すように、例えば、コード変換手段40は、記憶部29に記憶された動作情報のうち、記憶番号が1〜4まで第1グループの動作情報(1の動作情報)をQRコードに変換して、記憶番号が5〜8までの第2グループの動作情報(他の動作情報)をQRコードに変換する。
【0024】
このように、第1グループと第2グループとは、後述するように動作情報として1つにまとめられる。
なお、コード変換手段40は、動作情報を画像データに変換する際は、記憶部29に記憶されている送り先(例えば、メールアドレス、IPアドレス)及び作業機1を特定するためのコードをQRコードに変換している。
【0025】
画像表示手段41は、記憶部29に記憶された動作情報を外部に送るために、QRコード(画像データ)に変換されたものをそれぞれ表示部27に表示させるものである。QRコード(画像データ)を表示させる手順に合わせて画像表示手段41について説明する。
図5に示すように、まず、通常画面が表示されている状態にてボタンスイッチSW5押しながらキースイッチONにすると、「診断」、「設定」等の項目が表示される。ここで、「診断」の項目を選択する(診断の項目にカーソルを合わせてボタンスイッチSW5を押す)と、「診断送信」の項目が表示される。「診断送信」の項目を選択する(診断送信の項目にカーソルを合わせてボタンスイッチSW5を押す)と、記憶部29内の動作情報がコード変換手段40によってQRコードに変換され、変換された1のQRコードと、他のQRコードとが画像表示手段41によって可変表示部30に並べて表示されることになる。この画像表示手段41は、QRコードを表示する際に、QRコードの個数に対応してQRコードの下側に番号を表示する。このQRコードの個数に対応して番号を表示することにより、作業者が携帯電話等を用いてQRコードを読み込む際での混同を防止することができる。
【0026】
なお、表示装置25において、作業機1の故障が生じたときに自動的に動作情報を表示するようにしてもよい。
画像位置変更手段43は、可変表示部に表示された1のQRコード及び/又は他のQRコードの位置を変更するものである。例えば、可変表示部30に1のQRコード、他のQRコードとが表示されている状態において、QRコードを示す番号をボタンスイッチSWによって選択し、可変表示部30の下部側に表示された各矢印Y等に対応するボタンスイッチSWを選択すると、画像位置変更手段43が選択した番号に対応するQRコードの全体を矢印Y応じた方向にシフトさせる。これにより、QRコードは、可変表示部の画面上にて、縦横(x方向、y方向)に移動することになる。
【0027】
通信機器45は、カメラ付き携帯電話等であって、カメラにて表示装置25の可変表示部30に表示されたQRコードを読み込むことにより、QRコード内の動作情報を取り込むことができるものである。また、通信機器45は、通信機能を用いてQRコード内に格納された送信先(例えば、電子メールアドレス)に、QRコードの情報、即ち、動作情報を電子メールを用いて送信することができるものである。動作情報を有する電子メールは、ネットワークに接続された電子メールサーバ57に保存されるようになっている。なお、電子メールサーバ57は、電子メールを送受信して所定のクライアント(コンピュータ)に、配送するものであるが、説明の便宜上、通信機器45から送られてきた電子メールを一括して保存するものを含めて電子メールサーバ57として説明する。
【0028】
故障診断手段52は、動作状況を受信して当該動作状況から作業機1の故障を診断するものであって、コンピュータ(パーソナルコンピュータ)から構成されている。
このコンピュータ(故障診断手段52)は、状況取込部55と、故障推定部56とを備えている。これら状況取込部55、故障推定部56は、コンピュータ52に格納されたプログラム等から構成されている。
【0029】
状況取込部55は、作業機1の各部位における動作状況を取り込むものであって、電子メールサーバ57にアクセスして電子メールサーバ57から動作情報を取り込むようになっている。
故障推定部56は、状況取込部55に取り込まれた動作状況と故障診断用データベース53に格納された修理実績とに基づいて故障を自動的に推定するものである。具体的には、故障推定部56は、状況(症状)から故障を推定するためのアプリケーションソフトから構成されていて、当該アプリケーションソフトを起動すると、図6に示すような画面がコンピュータ52の表示部(モニタ)に表示される。同図に示すように、故障推定部56(アプリケーションソフト)は、各部位の状況(症状)を入力するための複数の項目と、各部位の症状に対する回答を有しており、送られてきた各部位の動作状況(動作情報)から症状の項目に自動的に回答がなされるようになっている。
【0030】
即ち、故障推定部56は、状況取込部55に各部位の動作状況が取り込まれると、各部位の動作状況から症状の項目に対して自動的に回答をするようになっている。故障推定部56は、例えば、送られてきた動作状況からブーム電磁弁の抵抗値を読み取り、その抵抗値が6〜15Ωの間であれば自動的に回答は「はい」となる。
そして、故障推定部56は、上述したように状況取込部55に取り込まれた各部位の動作状況(各部位の症状とその回答)と、故障診断用データベース53に格納された修理実績における各部位の動作状況を照合することにより故障を推定する。即ち、故障推定部56は、各部位の症状と、その回答のパターンから診断結果に示すように、故障と思われる内容(推定原因)を表示すると共に、故障に対応した処置事項を表示するようになっている。
【0031】
故障推定部56における故障の推定方法を、故障診断用データベース53と共に詳しく説明する。
故障診断用データベース53は、故障診断のために用いられるデータベースであって、例えば、コンピュータ52に具備されている。図7に示すように、故障診断用データベース53内には、作業機1の故障を直した修理実績から故障部位を推定するために、複数の修理した内容(例えば、修理内容A、B、C・・・)と、修理を行ったときの各部位の症状(例えば、1〜19)に関する回答(例えば、○:はい ×:いいえ)とが関連付けられて記憶されている。
【0032】
即ち、複数の修理内容と、修理を行ったときの各部位の症状に関する回答とが修理実績であり、過去の修理実績がまとめられて故障診断用データベース53に納められている。例えば、故障診断用データベース53には、修理内容が「A」であるときは、各部位(1〜19)の症状に関して1番と4番と11番の部位についての回答が「はい」を示すデータが格納されている。同様に、修理内容が「B」であるときは、各部位(1〜19)の症状に関して2番と4番と10番と12番の部位についての回答が「はい」を示すデータが格納されている。
【0033】
図8に示すように、故障推定部56は、まず、作業機1から送られてきた動作状況に基づいて各部位の症状及びその回答のパターンを求め、そのパターンと故障診断用データベース53に納められている各部位の症状及び回答のパターンとを照合して、これらが一致する修理内容を抽出して、この修理内容から故障を推定している。例えば、図8に示すように、故障推定部56は、作業機から送られてきた動作状況から1番目、4番目、11番目の症状が「○」であり、それ以外が「×」となるパターンを求め、このパターンと故障診断用データベース内の各パターンとを照合して、その結果、修理内容が「A」であることを決定し、この修理内容から故障を推定する。ここで、故障推定部56は、各部位の症状及び回答のパターンから修理内容を決定しているが、故障内容と修理内容は表裏の関係であるため、修理内容が分かれば、当然に故障内容を見つけ出すことができる。例えば、修理内容が「コントローラ交換」であると、いうまでもなくコントローラが故障していることが分かるため、故障推定部56は、その内容(修理内容)から故障(推定原因)は「コントローラが故障」と決定することができる。
【0034】
作業機1の故障診断支援システム50においては、例えば、ユーザが作業機1の動作情報をQRコードとして表示装置25に表示し、この表示装置25に表示したQRコードをカメラ付き携帯電話にて読み込み、読み込まれたQRコード内のデータを電子メールにてメールサーバに送信し、作業機1をレンタルしてるレンタル会社は、当該レンタル会社のコンピュータ52からメールサーバにアクセスを行い、動作情報の電子メールを受信することにより、作業機1の動作情報を取得することができる。そして、レンタル会社は、コンピュータ52の故障推定部56によって動作情報から自動的に故障を推定して、故障と思われる部分を通信機器45(携帯電話)にて素早くユーザ等に伝えることができる。なお、上記の説明では、レンタル会社を例にとり説明したが、これに限らず、作業機1を製造するメーカであっても、作業機1の修理を専門とする修理会社であってもよい。
【0035】
本発明の故障診断支援システムによれば、作業機1の各部位における動作状況をネットワークを介して送信する状況送信手段51と、動作状況を受信して当該動作状況から作業機1の故障を診断する故障診断手段52と、修理実績を有する故障診断用データベース53とを備え、故障診断手段52は、作業機1の各部位における動作状況を取り込む状況取込部55と、状況取込部55に取り込まれた各部位の動作状況と修理実績とを基に故障を自動的に推定する故障推定部56とを備えている。
【0036】
これによれば、作業機1の各部位における動作状況を状況送信手段51に送信するだけで、状況取込部55により動作状況が取り込まれ、故障推定部56によって自動的に故障を推定することができる。即ち、状況取込部55及び故障推定部56によって、作業機1の故障箇所を手間を掛けずに素早く推定することができる。
故障推定部56は、修理実績における各部位の動作状況と、状況取込部55に取り込まれた各部位の動作状況とを照合することにより故障を推定している。状況送信手段51は、作業機1に備えられて作業機1の各部位の動作状況を画像に変換して表示する表示装置25と、表示装置25に表示された画像を読み取りネットワークを介して送信する通信機器45とを備えている。
【0037】
これによれば、ユーザが作業機1の動作状況を示す画像を表示装置25に表示し、この表示装置25に表示した画像を通信機器45にて読み込み、読み込まれた画像をネットワークを介して故障診断手段52に送信するだけで、動作状況から故障を診断することができる。
表示装置25は、1の動作状況を1の画像データに変換すると共に、1の動作状況とは異なる他の動作状況を他の画像データに変換するコード変換部と、1の画像データと他の画像データとを表示する表示部とを備えている。
【0038】
これによれば、作業機の動作状況のデータ量が膨大であっても、そのデータ(動作状況)を表示装置25により複数の画像として表示し、ぞれぞれの当該画像を通信機器45によって送ることが可能となり、動作状況のデータ量の制限なく送信することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。作業機1は、バックホーに限らず、トラクタやコンバインなどであってもよい。
【0039】
表示装置25は、動作状況を画像に変換するものであればよく、複数の画像を変換するものに限定されない。また、故障診断支援システム50では、電子メール(電子メールサーバ57)を用いて作業機1の動作情報を送信して、その後、動作情報を電子メールサーバ57を介して故障診断手段(コンピュータ)52に送信するようにしているが、電子メール(電子メールサーバ57)を用いなくても、携帯電話45等から直接をコンピュータ52に動作情報をアップロードしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 作業機
51 状況送信手段
52 故障診断手段
53 故障診断用データベース
55 状況取込部
56 故障推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の各部位における動作状況をネットワークを介して送信する状況送信手段と、前記動作状況を受信して当該動作状況から作業機の故障を診断する故障診断手段と、修理実績を有する故障診断用データベースとを備え、
前記故障診断手段は、作業機の各部位における動作状況を取り込む状況取込部と、前記状況取込部に取り込まれた各部位の動作状況と修理実績とを基に故障を自動的に推定する故障推定部とを備えていることを特徴とする作業機の故障診断支援システム。
【請求項2】
前記故障推定部は、前記修理実績における各部位の動作状況と、前記状況取込部に取り込まれた各部位の動作状況とを照合することにより故障を推定することを特徴とする請求項1に記載の作業機の故障診断支援システム。
【請求項3】
前記状況送信手段は、前記作業機に備えられて作業機の各部位の動作状況を画像に変換して表示する表示装置と、前記表示装置に表示された画像を読み取りネットワークを介して送信する通信機器とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の作業機の故障診断支援システム。
【請求項4】
前記表示装置は、1の動作状況を1の画像データに変換すると共に、前記1の動作状況とは異なる他の動作状況を他の画像データに変換するコード変換部と、前記1の画像データと前記他の画像データとを表示する表示部とを備えていることを特徴する請求項3に記載の作業機の故障診断支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−74639(P2011−74639A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226186(P2009−226186)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】