説明

作業機械の把持装置及びこれを備えた作業機械

【課題】装置の著しい大型化を招くことなく把持部材の高い強度を確保しながら、当該把持部材における複数種の把持部の交換を可能にする。
【解決手段】把持装置16は、作業腕の先端部に取付けられる把持装置本体17と、これに開閉方向に回動可能に支持される一対の把持部材18A,18Bと、その開閉駆動を行う駆動装置19とを備える。少なくとも一方の把持部材は、それぞれ把持部25aを含む複数種の着脱部と、把持装置本体17に回動中心軸27回りに回動可能に連結されて各着脱部25を選択的に着脱可能に保持する保持部22と、その着脱のための結合具23とを含む。着脱部25は、回動中心軸27と平行な着脱部側貫通孔が設けられた被拘束部25bが形成される。保持部22は、被拘束部25bを開閉方向から拘束する開閉方向拘束部26a,26bと、被拘束部25bが着脱部側貫通孔と平行な方向から結合具23を介して締結される保持壁とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械の作業腕の先端に設けられ、建築解体作業や産業廃棄物の解体分別作業等を目的として処理対象物を把持するのに用いられる把持装置、及びこれを備えた作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械の作業腕の先端に設けられる把持装置として、前記作業腕に取付けられる把持装置本体と、この把持装置本体に回動可能に連結されて互いに開閉するように動作可能な一対の把持部材と、これらの把持部材を開閉駆動する駆動装置とを備えたものが知られている。
【0003】
さらに、このような把持装置の中には、一台の把持装置で複数種の把持動作を可能にするために、前記把持部材が、把持部を含む部分と、この把持部を着脱可能に保持して前記駆動装置により駆動される部分とに分割されたものも知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、図11に示すような切断機が開示されている。この切断機は、切断機本体101と、この切断機本体101に軸103を中心として回動可能に支持される一対のブラケット102と、これらのブラケット102を開閉方向に作動させる油圧シリンダ104と、各ブラケット102に着脱可能に取付けられる刃105とを備える。各ブラケット102およびこれに装着される刃105には、互いに面接触可能なフランジ102a,105aがそれぞれ形成されるとともに、各刃105にはブラケット102側に突出するボス106が形成され、ブラケット102には前記ボス106が嵌入される孔107が設けられる。そして、当該嵌入を伴いながら前記両フランジ102a,105aが互いに重ねられた状態で、これらフランジ102a,105aをその厚み方向に貫通するボルト108により各刃105が対応するブラケット102に着脱可能に締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭54−168687号マイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記図11に示される構造では、左右の刃105が処理対象物109を把持(切断機では切断)する際、当該刃105とブラケット102との接合部分におけるボス106やボルト108に大きなせん断荷重が加わる。このようなせん断荷重に耐え得る強度を確保するには、前記ボス106や前記ボルト108の径を拡大せざるを得ず、これに伴い、ブラケット102や刃105の大型化、さらには、前記ボルト108を挿通するためのフランジ102a,105aの突出量の増加は免れ得ない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、作業機械の把持装置であって、装置の著しい大型化を招くことなく把持部材の高い強度を確保しながら、当該把持部材における複数種の把持部の交換が可能な把持装置、及びこれを備えた作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、先端が変位可能な作業腕をもつ作業機械の当該作業腕の先端部に設けられ、処理対象物を把持する把持装置であって、前記作業腕の先端部に取付けられる把持装置本体と、前記把持装置本体に互いに平行な回動中心軸回りに回動可能に支持され、その回動により、前記処理対象物の把持および開放を行うように互いに開閉する第1の把持部材および第2の把持部材と、前記開閉を行うように前記第1の把持部材および前記第2の把持部材を回動させる駆動装置とを備え、前記第1の把持部材及び第2の把持部材のうちの少なくとも一方の把持部材は、前記処理対象物に接触してこれを把持する把持部を含む複数種の着脱部と、前記把持装置本体に回動可能に連結され、前記各着脱部を選択的に着脱可能に保持する保持部と、この保持部に前記着脱部を着脱可能に結合する結合具とを含み、前記着脱部のうち前記把持部と反対側の端部に被拘束部が形成され、この被拘束部にはこれを前記回動中心軸と平行な方向に貫通する、前記結合具が挿入可能な着脱部側貫通孔が設けられ、前記保持部は、前記被拘束部を前記開閉方向の少なくとも外側から拘束する開閉方向拘束部と、この開閉方向拘束部により拘束される被拘束部に対してその着脱部側貫通孔と平行な方向から重なることが可能な保持壁とを有し、この保持壁に、前記着脱部側貫通孔と合致する、前記結合具が挿入可能な保持部側貫通孔が設けられ、前記結合具は、前記着脱部側貫通孔および前記保持部側貫通孔の双方に挿入された状態で前記被拘束部を前記保持壁に結合するものである。
【0009】
なお、ここでいう「着脱部側貫通孔」および「保持部側貫通孔」は、いずれも結合具が隙間をもって挿通可能な単なる貫通孔であってもよいし、そのうちの一方が前記結合具を構成するボルトと螺合可能なねじ孔であってもよい。前者の場合、例えば前記ボルトにナットが螺合されればよい。また、前記結合具はボルトに限らず、例えば結合用のピンであってもよい。
【0010】
また本発明は、前記把持装置と、移動可能な作業機械本体と、この作業機械本体に搭載され、当該作業機械に対して先端が変位するように動作可能な作業腕とを備え、この作業腕の先端に前記把持装置が取付けられる作業機械である。
【0011】
前記把持装置およびこれを備えた作業機械によれば、複数種の着脱部の中から適当なものを把持部材の保持部に着脱可能に保持させることにより、共通の装置を用いて複数種の把持動作を行うことが可能である。しかも、前記保持部は、その保持壁に結合具によって結合される被拘束部を開閉方向の少なくとも外側から拘束する開閉方向拘束部を有するので、当該拘束により、前記結合具に大きなせん断荷重が加わることを防ぐことができる。さらに、当該被拘束部および当該保持壁にそれぞれ、これらを前記回動中心軸と平行な方向に貫通する(換言すれば両把持部材が開閉する面に対して直交する方向に貫通する)ように着脱部側貫通孔および保持部側貫通孔が設けられるので、従来のようにボルト挿通のためのフランジ等を把持部材から外向きに突設する必要がなく、コンパクトな構造で前記ボルト等の結合具の応力軽減を図ることができる。
【0012】
ここで、前記着脱部の被拘束部は、この被拘束部を前記着脱部側貫通孔が貫通する方向と平行な方向を厚み方向として当該厚み方向の寸法が前記開閉方向に沿う方向の寸法よりも小さい板状をなし、当該厚み方向と直交する平面上に並ぶ複数の位置にそれぞれ前記着脱部側貫通孔が設けられているものが、好適である。
【0013】
この装置によれば、前記被拘束部の寸法のうち前記開閉方向に沿う方向の寸法を大きく設定することにより、処理対象物から受ける反力に対抗するための被拘束部のせん断強度を確保しながら、着脱部側貫通孔と平行な方向の寸法を小さく抑えることにより、結合構造をコンパクトにまとめることが可能である。さらに、前記着脱部側貫通孔の貫通方向に対して直交する平面上に複数の着脱部側貫通孔を設けることにより、コンパクトな構造を維持しながら前記被拘束部の面積を利用して着脱部側貫通孔の数を増やすことができ、これにより、結合具による結合強度を高めることができる。
【0014】
この把持装置の好ましい態様(第1の態様)としては、前記駆動装置が、前記第1の把持部材の保持部と前記第2の把持部材の保持部とに連結されてこれらの把持部材を開閉させるように伸縮する把持駆動シリンダを含み、前記第1の把持部材及び第2の把持部材のうちの少なくとも一方の把持部材が、さらに、前記把持駆動シリンダの伸縮に連動するようにこの把持駆動シリンダに連結されかつ前記保持部に対して所定範囲内でのみ相対変位可能となるように当該保持部に係合される係合部材と、ばね部材とを有し、このばね部材は、前記把持駆動シリンダの駆動に伴い前記係合部材と前記保持部とを所定の位置関係に保持しつつ前記把持駆動シリンダの駆動力を前記把持部材本体に伝えるとともに、前記着脱部およびこれを保持する保持部が前記処理対象物から受ける反力により弾性変形して前記係合部材に対する前記保持部の変位を許容し、かつ、その弾発力が前記把持部に把持力として伝えられるように、前記保持部と前記係合部材との間に設けられるものが、挙げられる。
【0015】
この第1の態様に係る把持装置では、大きな把持力による処理対象物の把持と、微細な把持力の調整との双方が可能になる。具体的に、把持駆動シリンダの作動による前記両把持部材の閉動作に伴って当該把持部材の把持部が処理対象物に接触する当初は、この処理対象物から受ける反力によって着脱部およびこれを保持する保持部が前記ばね部材の弾性変形を伴いながら前記把持駆動シリンダに固定された係合部材に対して相対的に変位する。この段階では、前記把持駆動シリンダの駆動力にかかわらず、前記ばね部材の弾性変形量に相当する弾発力のみが把持力として前記処理対象物に伝えられる。従って、前記ばね部材の弾発力を利用した微小な把持力の調整が可能である。その後、前記係合部材に対する前記保持部の相対変位が許容範囲の限界まで達すると、それ以上は当該相対変位ができなくなるため、把持駆動シリンダの駆動力がそのまま前記係合部材、前記保持部、および着脱部の把持部を介して処理対象物に伝達され、これにより、大きな力での把持作業が可能になる。
【0016】
しかも、前記ばね部材の弾発力および把持駆動シリンダの駆動力はともに保持部に伝えられるので、当該保持部に保持される着脱部の種類に関係なく、前記の把持力調整効果が達成される。
【0017】
この態様の他、第2の態様として、前記両把持部材の保持部が、前記回動中心軸回りに回動可能となるように前記把持装置本体に連結され、かつ、前記駆動装置により駆動される被駆動部分と、この被駆動部分に前記回動中心軸と平行な軸回りに所定の範囲内でのみ相対回動可能となるように連結され、前記開閉方向拘束部および前記保持壁を含む保持側部分とを有し、前記両把持部材が、さらにばね部材を有し、このばね部材は、前記被駆動部分と前記保持側部分とを所定の位置関係に保持しつつ前記駆動装置の駆動力を前記被駆動部分から前記保持側部分に伝えるとともに、前記保持側部分およびこの保持側部分が保持する着脱部が前記処理対象物から受ける反力により弾性変形して前記被駆動部分に対する前記保持側部分の変位を許容し、かつ、その弾発力が前記把持部に把持力として伝えられるように、前記保持部と前記係合部材との間に設けられるものも好適である。
【0018】
この第2の態様に係る把持装置においても、大きな把持力による処理対象物の把持と、微細な把持力の調整との双方が可能になる。具体的に、駆動装置の作動による前記両把持部材の閉動作に伴って当該把持部材の把持部が処理対象物に接触する当初は、この処理対象物から受ける反力によって保持側部分が前記ばね部材の弾性変形を伴いながら被駆動部分に対して相対的に後退変位する。この段階では、前記駆動装置の駆動力にかかわらず、前記ばね部材の弾性変形量に相当する弾発力が把持力として前記処理対象物に作用する。従って、前記ばね部材の弾発力を利用した微小な把持力の調整が可能である。その後、前記被駆動部分に対する前記保持側部分の相対変位が許容範囲の限界に達すると、それ以上は前記被駆動部分と前記保持側部分との相対変位が不能になるため、把持駆動シリンダの駆動力がそのまま前記両部分、および着脱部の把持部を介して処理対象物に伝達され、これにより、大きな力での把持作業が可能になる。
【0019】
しかも、前記着脱部は前記保持側部分に対して着脱されるため、当該着脱部の種類に関係なく、前記の把持力調整効果が達成される。
【0020】
また、前記第1の態様や前記第2の態様に代え、あるいはこれに加え、前記複数種の着脱部として、この着脱部の把持部が前記処理対象物から受ける反力による弾性的な撓み度合いが互いに異なる構造を有するものを含んでいれば、前記各着脱部における把持部の撓みを利用して把持力特性を変更することができる。
【0021】
例えば、前記複数種の着脱部として、この着脱部の把持部が前記処理対象物から保持部に保持された状態での当該保持部の回動中心軸から前記着脱部の把持部までの距離が互いに異なるものを含むのが、好適である。これらの着脱部同士の交換により、その把持部の前記回動中心軸を中心とする回動半径を異ならせることで、当該着脱部に作用する曲げモーメントを変えることができ、これにより当該把持部の撓み特性を変えることができる。
【0022】
特に、前記第1の態様や前記第2の態様に係る把持装置において、ばね部材による把持力調整の特性を変える場合に、当該ばね部材をその弾性係数の異なるものに交換する作業は必ずしも容易でないが、前記のように複数種の着脱部として、この着脱部の把持部が前記処理対象物から受ける反力による弾性的な撓み度合いが互いに異なる構造を有するものを含んでいれば、共通のばね部材を用いながらも、前記各着脱部における把持部の撓みを利用して把持力特性を変更することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、装置の著しい大型化を招くことなく、把持部材の高い強度を確保しながら、当該把持部材における複数種の把持部の交換ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る把持装置及びこれを備えた作業機械を示した図である。
【図2】図1に示される把持装置を拡大した正面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2の把持装置の把持動作を説明するための正面図であり、把持動作開始前の状態を示すものである。
【図5】図2の把持部材の把持動作を説明するための正面図であり、(a)は把持部と処理対象物Pとが接触を開始した状態、(b)は把持部が前記接触を保ちながら係合部材に対して後退変位した状態をそれぞれ示している。
【図6】図2の把持部材の把持動作を説明するための断面図であり、(a)は図5の(a)に対応する状態、(b)は図5の(b)に対応する状態をそれぞれ示している。
【図7】図2のVII−VII線断面図である。
【図8】図2に示される把持装置において図9の把持装置の把持動作を説明するための正面図であり、(a)は把持部材本体と処理対象物Pとが接触した状態、(b)は把持部材本体が後退変位した状態をそれぞれ示している。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る把持装置を示す断面図である。
【図10】図9の把持装置の把持動作を説明するための正面図であり、(a)は把持部材本体と処理対象物Pとが接触した状態、(b)は把持部材本体が後退変位した状態をそれぞれ示している。
【図11】従来の把持装置である切断機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る把持装置及びこれを備えた作業機械を示した図である。この図では、作業機械として油圧ショベル1を利用したものが例示されているが、本発明に係る作業機械はこれに限られず、先端が変位可能な作業腕をもつ様々の作業機械について本発明の適用が可能である。
【0027】
油圧ショベル1は、下部走行体2と、その上に旋回可能に搭載される上部旋回体3とを備えている。上部旋回体3は、旋回フレーム4を有し、旋回フレーム4上に、カウンタウェイト5、キャビン6、及び作業腕7が搭載される。
【0028】
前記作業腕7は、ブーム8及びアーム9と、これらをそれぞれ駆動するためのブームシリンダ10及びアームシリンダ11を備えている。ブーム8は、旋回フレーム4上に起伏可能に(すなわち旋回フレーム4の左右方向の軸回りに回動可能に)搭載され、ブームシリンダ10の伸縮により当該起伏方向に駆動される。アーム9は、ブーム8の先端部に回動可能に連結され、アームシリンダ11の伸縮により当該回動方向に駆動される。これらブーム8及びアーム9の回動動作と、旋回フレーム4の旋回動作との組み合わせにより、当該アーム8の先端部は、自在に変位することが可能である。
【0029】
なお、本発明に係る作業機械は、旋回可能なものに限られない。また、作業腕は、一の関節を有するもの、あるいは多数の関節を有するものであってもよい。
【0030】
前記アーム9の先端部には、通常、図略のバケットがバケットピン12を介して回動可能に取り付けられるとともに、バケットシリンダ14によって当該回動方向に駆動される。具体的には、アーム9にアイドラリンク15が回動可能に取り付けられるとともに当該リンク15がバケットシリンダ14に連結され、このアイドラリンク15に前記バケットが連結される。そして、前記バケットシリンダ14の伸縮によりリンク15及び図略のバケットが駆動される。そして、この実施の形態では、前記バケットに代えて作業アタッチメントとして把持装置16が着脱可能に装着される。
【0031】
この把持装置16は、図2にも示すように、把持装置本体17と、互いに対をなす第1の把持部材18A及び第2の把持部材18Bと、これらの把持部材18A、18Bを開閉方向に駆動するための駆動装置である把持駆動シリンダ19と、各把持部材18A、18B同士を回動可能に連結する連結ピン20とを備える。把持装置本体17は取付部材21に連結され、この取付部材21が前記アーム9及びアイドラリンク15に着脱可能に連結される。
【0032】
図2〜図4に両把持部材18A、18Bの詳細を示す。これらの把持部材18A,18Bは、例えば図4に示されるような処理対象物Pを両側から把持するためのもので、それぞれ、着脱部25と、保持部22と、複数本のボルト(結合具)23と、リンク部材31と、ばね部材であるコイルばね24と、を含む。
【0033】
前記着脱部25は、板状をなし、前記保持部22に着脱可能に保持されるとともに、その保持された状態で前記処理対象物Pを両側から把持するための把持部25aを有する。この把持部25aは、この実施の形態では、前記着脱部25の先端部に着脱可能に取付けられている。
【0034】
保持部22は、前記着脱部25を着脱可能に保持するための先端側プレート26Aと、この先端側プレート26Aをその厚み方向から挟む一対の基端側プレート26Bとを有し、両基端側プレート26Bは、これらを厚み方向に貫通する互いに平行な回動中心軸(この実施の形態ではピン)27を中心として回動可能となるように前記把持装置本体17にそれぞれ連結されている。前記着脱部25および両プレート26A,26Bは、いずれも、その厚み方向が前記回動中心軸27と平行となる姿勢で配置される。
【0035】
なお、前記先端側プレート26Aへの前記着脱部25の取付けは、前記ボルト23により行われる。そのための具体的な構造については後に詳述する。
【0036】
前記把持駆動シリンダ19は、油圧シリンダからなり、前記両保持部22の基端部同士の間に設けられ、これらの基端部にそれぞれ連結される。この把持駆動シリンダ19は、シリンダ本体19aと、このシリンダ本体19a内に収容されるピストン19bと、このピストン19bからシリンダ軸方向に沿って一方の側に延びるロッド19cとを有し、このロッド19cの先端部が第1の把持部材18Aの保持部22の基端部に回動可能に連結され、前記シリンダ本体19aのヘッド側端部が第2の把持部材18Bの保持部22の基端部に連結される。したがって、この把持駆動シリンダ19の伸縮により、前記両保持部22が開閉方向に駆動される。
【0037】
前記ロッド19cの先端部および前記シリンダ本体19aのヘッド側端部にはそれぞれ係合軸(係合部材)J2が固定される。これらの係合軸J2は、前記回動中心軸27と平行な姿勢で配置され、それぞれ前記各保持部22の基端側プレート26Bの基端部に係合される。詳しくは、図6に示すように両基端側プレート26Bおよびこれに重ねられた補強板26Cに貫通溝30が設けられ、これを前記係合軸J2がその軸方向に貫通し、この貫通溝30内で摺動可能となるように係合されている。従って、この係合軸J2は前記貫通溝30が形成されている範囲内でのみ保持部22に対して相対変位することが可能である。具体的に、この係合軸J2は、図6(a)に示されるように前記貫通溝30の内側端部(把持装置の中央に近い側の端部)に当接する位置と、同図(b)に示すように貫通溝30の外側端部に当接する位置との間で当該貫通溝30内で摺動可能である。
【0038】
前記リンク部材31は、前記係合軸J2の前記保持部22に対する相対変位と前記コイルばね24の伸縮とを連携させるためのもので、前記両基端側プレート26Bの外側に設けられた一対のレバープレート31aを備えている。
【0039】
両レバープレート31aの基端部は、前記係合軸J2よりも下方に位置して前記回動中心軸27と平行なリンク回動軸J1を中心として回動可能となるように基端側プレート26Bに連結されている。前記係合軸J2は、両レバープレート31aの途中部分を貫通するようにして当該部分に連結されている。
【0040】
両レバープレート31aの先端部には、前記両軸J1,J2と平行なばね接触軸J4が設けられ、このばね接触軸J4がコイルばね24に接触している。
【0041】
コイルばね24は、前記係合軸J2に装置内側(中心軸に向かう側)への付勢力を与えるもので、前記基端側プレート26Bに取付けられている。具体的に、この基端側プレート26Bには、前記係合軸J2よりも外側の位置で当該基端側プレート26Bを前記係合軸J2と平行に貫通するばね回動軸J3が設けられ、このばね回動軸J3に対してこれと直交する姿勢でばね支持軸28が連結され、このばね支持軸28が前記ばね回動軸J3回りに回動可能となっている。そして、このばね支持軸28の周囲にこれと同軸の状態で前記コイルばね24が設けられている。
【0042】
前記ばね支持軸28は、前記ばね接触軸J4をこれと直交する方向に貫通している。具体的には、図3に示すように、前記ばね接触軸J4にこれをその軸線と直交する方向に貫通する孔J41が設けられ、この孔J41に前記ばね支持軸28が挿通されており、このばね支持軸28に沿って前記ばね接触軸J4が摺動可能となっている。そして、このばね接触軸J4と前記ばね回動軸J3との間に前記コイルばね24が圧縮状態で介在している。
【0043】
前記係合軸J2が嵌められる貫通溝30は、前記リンク回動軸J1を中心とする円弧状に形成されている。従って、この貫通溝30内での前記係合軸J2の摺動(すなわち保持部22と係合軸J2との相対変位)は、この係合軸J2が挿通されているリンク部材31の前記リンク回動軸J1回りの回動に変換され、当該回動に伴い、当該リンク部材31に挿通されるばね接触軸J4と接触するコイルばね24がばね支持軸28に沿って伸縮する。従って、このコイルばね24の弾発力は前記係合軸J2からみて前記保持部22を閉じ方向(把持方向)に付勢する力として当該保持部22に作用する。
【0044】
次に、この保持部22に対する前記着脱部25の着脱のための構造について説明する。
【0045】
前記着脱部25のうち前記把持部25aと反対側の端部(基端部)には、被拘束部25bが形成されている。この被拘束部25bは、その先端側に隣接する部分よりも若干小幅で、その厚み方向が前記回動中心軸27と平行な略矩形の板状をなし、当該厚み方向の寸法D(図7)が前記開閉方向に沿う方向の幅寸法(図7ではL)よりも小さくなっている。
【0046】
この被拘束部25bには、これをその厚み方向に複数の着脱部側貫通孔25dが貫通している。これらの着脱部側貫通孔25dはねじ孔であり、前記厚み方向と直交する平面上に並ぶ複数の位置(図では縦横4箇所の位置)にそれぞれ配設されている。
【0047】
一方、前記保持部22を構成する先端側プレート26Aには、前記被拘束部25bを前記開閉方向の内側から拘束する内側拘束部26aと、当該開閉方向の外側から拘束する外側拘束部26bと、これらの拘束部(開閉方向拘束部)26a,26b同士の間に嵌め込まれる位置にある被拘束部25bに対してその着脱部側貫通孔25dと平行な方向から重なることが可能な保持壁とを有する。
【0048】
この保持壁は、図7に示すように、前記先端側プレート26Aに残された薄肉の側壁26cと、この側壁26cに重なった状態で接合される(肉厚確保用の)補強板29とで構成される。そのうち、前記側壁26cには、前記着脱部側貫通孔25dと合致するボルト挿通孔26dが貫設され、前記補強板29には、前記ボルト23の頭部を収容する座ぐり孔29aが形成される。これらの孔26d,29aは、互いに合致する保持部側貫通孔を構成し、この保持部側貫通孔から挿入されたボルト23の雄ねじ部分が前記着脱部側貫通孔25dにねじ込まれる(螺合される)ことにより、前記被拘束部25bが前記保持壁と重なった状態で当該保持壁に締結される。
【0049】
なお、前記開閉方向についての拘束部26a,26bのうち、内側拘束部26aは場合に応じて省略が可能である。少なくとも外側拘束部26bがあれば、後述のような把持動作時にボルト23に大きなせん断荷重が作用するのを防ぐことができる。
【0050】
また、前記ボルト23の螺合対象は前記着脱部側貫通孔25dに限られない。例えば、前記保持部側貫通孔が前記ボルト23と螺合可能なねじ孔であってもよいし、両ボルト孔が単なるボルト挿通孔であってこれに挿通されるボルト23にナットが螺合されることにより前記被拘束部25と前記保持壁との締結がされてもよい。
【0051】
さらに、本発明に係る結合具は前記のボルト23に限られない。例えば、前記貫通孔25d等に挿通されるピンと、その挿通状態にあるピンの先端部に係合されることにより当該ピンが前記貫通孔25d等から離脱するのを阻止する抜け止め具とで前記結合具が構成されてもよい。
【0052】
次に、この把持装置16の作用を説明する。
【0053】
この把持装置16では、把持駆動シリンダ19の伸縮により両把持部材18A、18Bが開閉方向に駆動され、処理対象物Pの把持動作が行われる。まず、図4に示すように、両把持部材18A、18Bが開いた状態で、当該把持部材18A、18Bにおける着脱部25の把持部25aが処理対象物Pの両外側に位置するように、作業腕7が操作される。そして、この位置で前記把持駆動シリンダ19が伸張方向に作動すると、この把持駆動シリンダ19に固定されている係合軸J2と保持部22との相対位置をコイルばね24が一定に保ちながら、両把持部材18A、18Bが閉じ方向に回動する。このときの前記相対位置は、図6(a)に示すように前記係合軸J2が前記保持部22の基端側プレート26Bにおける貫通溝30の内周面の内側端に当接するような位置である。
【0054】
前記の閉じ方向の回動により、図5(a)に示されるように前記処理対象物Pに把持部25aが接触する(図5の(a)参照)。その接触からしばらくは、係合軸J2がリンク回動軸J1回りのリンク部材31の回動を伴って貫通溝30内を摺動する(すなわち係合軸J2が保持部22に対して相対変位する)のみである。従って、把持駆動シリンダ19の伸長力が把持部材18A,18Bに直接伝えられることはないが、前記保持部22に対する前記係合軸J2の相対変位を許容するようにコイルばね24が圧縮変形してその弾発力が増し、この弾発力が把持力として前記保持部22を介して前記着脱部25の把持部25aに伝えられる。この弾発力の利用により、比較的簡単な操作で把持力の微調整を行うことが可能である。
【0055】
その後、前記貫通溝30内での係合軸J2の摺動が進んで図6(b)に示すように当該係合軸J2が当該貫通溝30の内周面の外側端に当たると、それ以上は当該係合軸J2が保持部22に対して相対変位できないため、当該係合軸J2に加えられている把持駆動シリンダ19の伸長力がそのまま保持部22さらには着脱部25の把持部25aに伝えられる。従って、この段階からは大きな把持力で処理対象物Pを把持することが可能である。
【0056】
一方、前記着脱部25は、前記保持部22の先端側プレート26Aに着脱可能に保持されるから、この着脱部25として互いに形状や構造、材質などが異なる複数種のものを用意しておき、適当に交換することによって、一台の把持装置16によって複数種の把持動作を行うことができる。しかも、この着脱部25は、その被拘束部25bが基端側プレート26B側の拘束部26a,26bにより開閉方向から拘束された状態で保持壁(側壁26cおよび補強板29)にボルト23で締結されるので、前記拘束部26a,26bによる被拘束部25bの拘束は、前記ボルト23に大きなせん断応力が発生するのを防ぐことができる。さらに、前記ボルト23が挿通される着脱部側貫通孔25dおよび保持部側貫通孔26d,29aは前記被拘束部25bおよび保持壁をその厚み方向に貫通するように設けられるので、従来のようにボルト挿通のためのフランジ等が把持部材から外向きに張り出すように設けられるものに比べてコンパクトな構造で、前記ボルト23の応力軽減を図ることができる。
【0057】
特に、図7に示すように、前記被拘束部25bが板状をなしていてその厚み方向(着脱部側貫通孔25d等の軸方向と平行な方向)の寸法Dが幅方向(開閉方向に沿う方向)の寸法Lよりも小さい断面形状を有していれば、当該厚み方向の寸法Dを小さく抑えながら把持動作時のせん断荷重に十分対抗できる強度を確保することができる。しかも、当該厚み方向と直交する平面上に並ぶ複数の位置にそれぞれ前記着脱部側貫通孔25dが設けられることにより、前記板状の被拘束部25bの面積を利用して着脱部側貫通孔25dの数を増やすことができ、これにより、これらのボルト23による締結強度を高めることができる。
【0058】
さらに、前記保持部22に着脱可能に保持される着脱部25として、この着脱部25の把持部25aが前記処理対象物から受ける反力による弾性的な撓み度合いが互いに異なる構造を有するものを備えておけば、ばね部材であるコイルばね24を取り替えることなく、このコイルばね24の弾発力を利用した把持力特性の変更をすることが可能である。
【0059】
例えば、図2に示される着脱部25に代え、図8に示される着脱部25′のように、この着脱部25が保持部22に保持された状態での当該保持部22の回動中心軸27から前記着脱部25の把持部25aまでの距離が図2に示される着脱部25よりも長いものを装着すれば、その把持部25aの前記回動中心軸27を中心とする回動半径を拡大することで当該把持部25aの撓み量を増加させることができ、これにより把持力特性を変更することが可能である。その他、当該着脱部25として、これを構成する材料の弾性係数や断面係数が互いに異なるものを備えるようにしても、同様に前記把持力特性の変更が可能である。
【0060】
このような着脱部の交換による把持力特性の変更は、前記コイルばね24の有無にかかわらず実現することが可能である。
【0061】
前記コイルばね24による把持力の微調整は、前記リンク部材31を省略しても実現することが可能である。その場合、前記コイルばね等のばね部材が前記係合軸J2と前記保持部22とに直接連結されればよい。
【0062】
あるいは、本発明の第2の実施形態として図9および図10に示すような把持装置16′によっても実現することが可能である。この把持装置16′は、前記作業腕7の先端に取付けられる把持装置本体17に対して回動可能な一対の把持部材42A、42Bと、これら把持部材42A、42Bを相対的に回動させる把持駆動シリンダ19とを備える。前記各把持部材42A,42Bは、前記把持装置本体17に対して回動中心軸40回りに回動可能に取り付けられた被駆動部分37と、この被駆動部分37に対して前記回動中心軸40と平行な回動軸41回りに回動可能に取り付けられた保持側部分38と、これら被駆動部分37と保持側部分38との間に介在するばね部材であるコイルばね39とをそれぞれ備え、前記各被駆動部分37にそれぞれ軸J5を中心として相対回動可能となるように前記把持駆動シリンダ19の両端部が連結されている。
【0063】
前記被駆動部分37は、前記把持駆動シリンダ19に対して回動可能に連結される基端側プレート37aと、前記回動軸41が設けられた先端側プレート37bとを有し、これら基端側プレート37aおよび先端側プレート37bを貫通する前記回動中心軸40によって前記把持装置本体17に回動可能に軸支されている。
【0064】
前記被駆動部分37と前記保持側部分38とは、図9に示す位置、すなわち、前記被駆動部分37の先端面37cと前記保持側部分38の基端面38cとが前記回動軸41回りの周方向に互いに離間した位置から、図10(b)に示す位置、すなわち、前記先端面37cと前記基端面38cとが相密着する位置までの間で互いに回動可能となるように、前記回動軸41を介して連結されている。
【0065】
前記コイルばね39は、前記回動中心軸40回りの被駆動部分37と保持側部分38との回動に伴い弾性変形するように、前記被駆動部分37と保持側部分38とに跨って設けられている。つまり、コイルばね39は、前記被駆動部分37の先端面37cと保持側部分38の基端面38cとを離間させるように被駆動部分37に対して保持側部分38を付勢している。
【0066】
前記保持側部分38には、前記第1の実施形態の着脱部25と同様の着脱部36が同様の保持構造によって着脱可能に保持される。すなわち、この着脱部36の先端には把持部36aが、基端には前記被拘束部25bと同様に板状で複数の着脱部側貫通孔を有する被拘束部36bがそれぞれ形成される一方、前記先端側プレート38には、前記被拘束部36bを開閉方向の内側から拘束する内側拘束部38aと、同方向外側から拘束する外側拘束部38bと、図9に示される補強板29を含む保持壁とが設けられ、この保持壁に複数の保持部側貫通孔が設けられている。そして、この保持部側貫通孔から前記着脱部側貫通孔にそれぞれボルト23が挿入されることにより、前記被拘束部36bが前記保持壁に対して前記両ボルト孔と平行な方向に重なった状態で締結される。
【0067】
この把持装置16′において、図9に示す状態から把持駆動シリンダ19を伸張させると、コイルばね39の介在により被駆動部分37と保持側部分38との位置関係が互いに保持されたまま、両把持部材42A、42Bが回動中心軸40回りに閉方向に回動する。この回動が進行して図10(a)に示すように保持側部分38に処理対象物Pが接触すると、当該処理対象物Pから受ける反力によって保持側部分38がコイルばね39の圧縮変形を伴いながら被駆動部分37に対して後退変位を開始する。この段階では、前記把持駆動シリンダ19の駆動力が直接着脱部36の把持部36aには伝えられず、前記コイルばね39の圧縮変形量に相当する弾発力が把持力として伝えられる。従って、前記第1の実施形態と同様、コイルばね39の弾発力を利用して把持力の微調整が可能である。
【0068】
前記被駆動部分に対する保持側部分38の相対回動量(後退変位量)が増加して前記被駆動部分37の先端面37cと保持側部分38の基端面38cとが当接すると、それ以上の前記相対回動が不能となるため、把持駆動シリンダ19の駆動力がそのまま被駆動部分37から保持側部分38に伝わる。従って、この段階からは大きな把持力での把持が可能となる。
【0069】
この第2の実施形態においても、前記保持側部分38に前記着脱部36が着脱可能に保持されることによって、前記コイルばね39による把持力微調整効果を確保しながら、着脱部36の交換による複数種の把持動作の実行が可能である。そして、その具体的な保持構造として前記第1の実施形態と同様の保持構造を採用することにより、コンパクトな構造でありながら、保持側部分38と着脱部36との締結のためのボルト23に大きなせん断荷重が加わるのを防ぐことができる。
【0070】
また、前記第1の実施形態と同様、複数種の着脱部36として、この着脱部36の把持部36aが前記処理対象物から受ける反力による弾性的な撓み度合いが互いに異なる構造を有するものを備えておけば、ばね部材であるコイルばね39を取り替えることなく、このコイルばね39の弾発力を利用した把持力特性の変更をすることが可能である。
【0071】
なお、本発明は前記各実施形態に示すようにばね部材を利用して把持力微調整を可能にするものに限られない。例えば図9に示される把持装置16′における保持部の被駆動部分37と保持側部分38とが一体であるもの(相対的に回動しないもの)においても、本発明の適用が可能である。
【符号の説明】
【0072】
J2 係合軸
P 処理対象物
1 油圧ショベル
7 作業腕
16,16′把持装置
17 把持装置本体
18A 第1の把持部材
18B 第2の把持部材
19 把持駆動シリンダ
22 保持部
23 ボルト
25 着脱部
25a 把持部
25b 被拘束部
25d 着脱部側貫通孔
26A 先端側プレート
26B 基端側プレート
26C 補強板
26a 内側拘束部(開閉方向拘束部)
26b 外側拘束部(開閉方向拘束部)
26c 側壁(保持壁を構成)
26d ボルト挿通孔(保持部側貫通孔)
27 回動中心軸
29 補強板(保持壁を構成)
30 貫通溝
31 リンク部材
36 着脱部
36a 把持部
36b 被拘束部
37 被駆動部分
38 保持側部分
38a 内側拘束部
38b 外側拘束部
40 回動中心軸
41 回動軸
42A,42B 把持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が変位可能な作業腕をもつ作業機械の当該作業腕の先端部に設けられ、処理対象物を把持する把持装置であって、
前記作業腕の先端部に取付けられる把持装置本体と、
前記把持装置本体に互いに平行な回動中心軸回りに回動可能に支持され、その回動により、前記処理対象物の把持および開放を行うように互いに開閉する第1の把持部材および第2の把持部材と、
前記開閉を行うように前記第1の把持部材および前記第2の把持部材を回動させる駆動装置とを備え、
前記第1の把持部材及び第2の把持部材のうちの少なくとも一方の把持部材は、前記処理対象物に接触してこれを把持する把持部を含む複数種の着脱部と、前記把持装置本体に回動可能に連結され、前記各着脱部を選択的に着脱可能に保持する保持部と、この保持部に前記着脱部を着脱可能に結合するための結合具とを含み、
前記着脱部のうち前記把持部と反対側の端部に被拘束部が形成され、この被拘束部にはこれを前記回動中心軸と平行な方向に貫通する、前記結合具が挿入可能な着脱部側貫通孔が設けられ、
前記保持部は、前記被拘束部を前記開閉方向の少なくとも外側から拘束する開閉方向拘束部と、この開閉方向拘束部により拘束される位置にある被拘束部に対してその着脱部側貫通孔と平行な方向から重なることが可能な保持壁とを有し、この保持壁に、前記着脱部側貫通孔と合致する、前記結合具が挿入可能な保持部側貫通孔が設けられ、
前記結合具は、前記着脱部側貫通孔および前記保持部側貫通孔の双方に挿入された状態で前記被拘束部を前記保持壁に結合することを特徴とする作業機械の把持装置。
【請求項2】
請求項1記載の作業機械の把持装置において、
前記着脱部の被拘束部は、この被拘束部を前記着脱部側貫通孔が貫通する方向と平行な方向を厚み方向として当該厚み方向の寸法が前記開閉方向に沿う方向の寸法よりも小さい板状をなし、当該厚み方向と直交する平面上に並ぶ複数の位置にそれぞれ前記着脱部側貫通孔が設けられていることを特徴とする作業機械の把持装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の作業機械の把持装置において、
前記駆動装置は、前記第1の把持部材の保持部と前記第2の把持部材の保持部とに連結されてこれらの把持部材を開閉させるように伸縮する把持駆動シリンダを含み、
前記第1の把持部材及び第2の把持部材のうちの少なくとも一方の把持部材は、さらに、前記把持駆動シリンダの伸縮に連動するようにこの把持駆動シリンダに連結されかつ前記保持部に対して所定範囲内でのみ相対変位可能となるように当該保持部に係合される係合部材と、ばね部材とを有し、このばね部材は、前記把持駆動シリンダの駆動に伴い前記係合部材と前記保持部とを所定の位置関係に保持しつつ前記把持駆動シリンダの駆動力を前記把持部材本体に伝えるとともに、前記着脱部およびこれを保持する保持部が前記処理対象物から受ける反力により弾性変形して前記係合部材に対する前記保持部の変位を許容し、かつ、その弾発力が前記把持部に把持力として伝えられるように、前記保持部と前記係合部材との間に設けられることを特徴とする作業機械の把持装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の作業機械の把持装置において、
前記両把持部材の保持部は、前記回動中心軸回りに回動可能となるように前記把持装置本体に連結され、かつ、前記駆動装置により駆動される被駆動部分と、この被駆動部分に前記回動中心軸と平行な軸回りに所定の範囲内でのみ相対回動可能となるように連結され、前記開閉方向拘束部および前記保持壁を含む保持側部分とを有し、
前記両把持部材は、さらにばね部材を有し、このばね部材は、前記被駆動部分と前記保持側部分とを所定の位置関係に保持しつつ前記駆動装置の駆動力を前記被駆動部分から前記保持側部分に伝えるとともに、前記保持側部分およびこの保持側部分が保持する着脱部が前記処理対象物から受ける反力により弾性変形して前記被駆動部分に対する前記保持側部分の変位を許容し、かつ、その弾発力が前記把持部に把持力として伝えられるように、前記保持側部分と前記係合部材との間に設けられることを特徴とする作業機械の把持装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の作業機械の把持装置において、
前記複数種の着脱部には、この着脱部の把持部が前記処理対象物から受ける反力による当該把持部の弾性的な撓み度合いが互いに異なる構造を有するものが含まれることを特徴とする作業機械の把持装置。
【請求項6】
請求項5記載の作業機械の把持装置において、
前記複数種の着脱部には、この着脱部の把持部が前記処理対象物から保持部に保持された状態での当該保持部の回動中心軸から前記着脱部の把持部までの距離が互いに異なるものが含まれることを特徴とする作業機械の把持装置。
【請求項7】
移動可能な作業機械本体と、
この作業機械本体に搭載され、当該作業機械に対して先端が変位するように動作可能な作業腕と、
この作業腕の先端に取付けられる請求項1〜6の何れか1項に記載の把持装置とを備えた作業機械。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−270475(P2010−270475A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121927(P2009−121927)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】