説明

作業機連結装置の電力供給回路

【課題】 連結枠に作業機を連結しかつ雌雄コネクタを結合して初めてトラクタ本体の電源と連結枠側の接続端子とが接続できるようにする。
【解決手段】 連結枠11と作業機12とが連結位置に至たるときに連動して雄コネクタ72と雌コネクタ71とが結合して、雄コネクタ72の連結枠側又は作業機側ハーネスに接続された接続端子81と雌コネクタ71の作業機側又は連結枠側ハーネスに接続された接続端子77とが接続される作業機連結装置の電力供給回路であって、連結枠側ハーネス67のコネクタの接続端子とトラクタ車体1の電源との間に電源用スイッチ回路101が設けられ、連結枠側ハーネス67のコネクタに、雄コネクタ72と雌コネクタ71との接続端子81,77同士が接続したことを検出して電源用スイッチ回路101を閉じる結合検出センサ108が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ装着型作業機への電力供給を行うための作業機連結装置の電力供給回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の作業機連結装置の電力供給回路にはトラクタ車体にリンク機構を介して連結された連結枠にトラクタ車体の電源に接続された連結枠側ハーネスが配置され、連結枠に連結される作業機に、搭載された電気機器に接続された作業機側ハーネスが配置され、連結枠側ハーネスと作業機側ハーネスとの一方に雄コネクタが設けられ、他方に前記雄コネクタと結合可能な雌コネクタが設けられ、連結枠と作業機とが連結位置に至たるときに連動して雄コネクタと雌コネクタとが結合して、雄コネクタの接続端子と雌コネクタの接続端子とが接続されるようにしたものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3661215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の作業機連結装置の電力供給回路では、作業機非連結状態で雌雄コネクタが非結合状態のとき、連結枠側の接続端子は常にトラクタ車体の電源に接続されているため、もの等が接触して不測に電流がもの等に流れることがある。
本発明は上記問題点に鑑み、連結枠に作業機を連結しかつ雌雄コネクタを結合して初めてトラクタ本体の電源と連結枠側の接続端子とが接続できるようにした作業機連結装置の電力供給回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
請求項1においては、トラクタ車体1にリンク機構5を介して連結された連結枠11にトラクタ車体1の電源に接続された連結枠側ハーネス67が配置され、連結枠11に連結される作業機12に搭載電気機器と接続された作業機側ハーネス68が配置され、
連結枠側ハーネス67と作業機側ハーネス68との一方に雄コネクタ72が設けられ、他方に前記雄コネクタ72と結合可能な雌コネクタ71が設けられ、連結枠11と作業機12とが連結位置に至たるときに連動して雄コネクタ72と雌コネクタ71とが結合して、雄コネクタ72の連結枠側又は作業機側ハーネスに接続された接続端子81と雌コネクタ71の作業機側又は連結枠側ハーネスに接続された接続端子77とが接続される作業機連結装置の電力供給回路であって、
連結枠側ハーネス67のコネクタの接続端子とトラクタ車体1の電源との間に電源用スイッチ回路101が設けられ、連結枠側ハーネス67のコネクタに、雄コネクタ72と雌コネクタ71との接続端子81,77同士が接続したことを検出して電源用スイッチ回路101を閉じる結合検出センサ108が設けられている点にある。
【0006】
請求項2においては、請求項1の発明において、結合検出センサ108は、雄コネクタ72と雌コネクタ71とが結合しながら雄コネクタ72の接続端子と雌コネクタ71の接続端子とが接続される後半期に作動するように構成されているものである。
請求項3においては、請求項1又は2の発明において、前記雄コネクタ72又は雌コネクタ71の一方に、雄接続端子77が設けられ、他方に雌接続端子81が設けられ、雄コネクタ72又は雌コネクタ71のうち雌接続端子81側のコネクタに雄接続端子77が嵌合する上下方向に貫通した嵌合溝84が設けられているものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1によれば、連結枠に作業機を連結しかつ雌雄コネクタを結合して初めてトラクタ車体の電源から連結枠側の接続端子への接続ができ、雄コネクタと雌コネクタとの接続端子同士の接続が外れると、結合検出センサが非検出状態になって電源用スイッチ回路が
開くため、雄コネクタと雌コネクタとの非結合時には、コネクタには電流が供給されなくなり、雄コネクタと雌コネクタとの非結合時にコネクタの接続端子にもの等が接触しても不測に電流が流れるのを防ぐことができる。
【0008】
請求項2によれば、雄コネクタと雌コネクタとが結合して雄コネクタの接続端子と雌コネクタの接続端子とが接続される後期にならなければ、電源用スイッチ回路が開いたままであるため、接続端子同士が接続される前期では雄コネクタ及び雌コネクタ側には電力が供給されず、この不完全な結合時点での接続を回避することができる。
請求項3によれば、トラクタ車体に作業機を連結する際に、雄コネクタの接続端子と雌コネクタの接続端子とが相対的に上下に移動しても、嵌合溝があるため雄コネクタの接続端子と雌コネクタの接続端子77との相対的な上下移動を許容して、雄コネクタの接続端子と雌コネクタの接続端子77とをスムーズに接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態を示す連結装置の側面断面図である。
【図2】同連結装置の正面図である。
【図3】同電力供給回路の電気回路図である。
【図4】同ホルダの断面側面図である。
【図5】同トラクタ後部と作業機の側面図である。
【図6】同トラクタ後部と作業機の背面図である。
【図7】同コネクタ部分の平面図である。
【図8】同コネクタの分解斜視図である。
【図9】第2実施形態を示すコネクタ部分の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1〜図8は本発明の第1実施形態を示している。図5及び図6において、1はトラクタ車体で、その後部上には左右一対のリフトアーム2を有する作業機昇降用油圧装置3が設けられ、後面下部からPTO軸4が突出されている。また、トラクタ車体1の後部には3点リンク機構5が設けられ、この3点リンク機構5のトップリンク6前端側はトラクタ車体1に固定のブラケット7に枢支連結され、左右各ロワーリンク8前端側はトラクタ車体1後部の左右側部に枢支連結され、各ロワーリンク8の前後方向中途部はリフトロッド9を介して左右リフトアーム2に連結されている。
【0011】
3点リンク機構5のトップリンク6及びロワーリンク8の後端部には連結枠11が設けられ、この連結枠11に代掻ハロー(作業機)12が着脱自在に連結されている。
この代掻ハロー12は、砕土、代掻機能を持ち、代掻ハロー12の中央部分12Aでは、入力軸20に伝達された動力がギヤケース13で変速され、伝動ケース15を介して伝動ケース15の下端部から左右両側に水平方向に突出する回転軸に伝達され、回転軸に設けられた作業ロ−タ18を回転駆動して砕土・代掻作業を行う、いわゆるセンタードライブの砕土・代掻装置を構成している。作業ロ−タ18の上方は、シールドカバー16により覆われており、このシールドカバー16の後端部に、後端位置に回転軸を介して均平板21を枢着したエプロン17の上端部が、回転軸を介して回動自在に枢着されている。
【0012】
代掻ハロー12の中央部分12Aに対し左右両側部分12B,12Bを展開位置と折り畳み位置とに移動保持できるように構成されている。そして、ねじ筒14aにねじ軸14bを伸縮自在に螺合してなる左右一対の伸縮機構14をそれぞれモータMの回転駆動により伸縮動作させ、これにより、中央部分12Aに対し左右両側部分12B,12Bを展開位置と折り畳み位置とに移動できるように構成されている。
【0013】
図4に示すように、前記PTO軸4からの動力は、自在継手19を介して、ギヤケース13の入力軸20に伝達され、この入力軸20から伝動機構を介して作業ロータ18に伝達されて、該作業ロータ18を回転駆動するように構成されている。
図1及び図2において、連結枠11は、角パイプによって正面視山形状に形成された主枠材22を有し、この主枠材22の上下中間部には該主枠材22の左右側部を連結する中間枠材23が設けられている。主枠材22の上部には上連結部24が設けられ、主枠材2
2の左右両側下端部には嵌合受具25が設けられ、左右の嵌合受具25は支持体26によって中間枠材23に連結されている。
【0014】
前記上連結部24は、その後部側が代掻ハロー12のトップマスト27に設けた左右方向の連結ピンによる上係合部28を下方から引っ掛け得るようにフック状に形成され、上連結部24の前部側にはトップリンク6後端が枢着されるピン29が設けられている。各嵌合受具25は、主枠材22の左右下端に固着された左右一対の側壁30を有し、左右側壁30の下面前部は底壁31によって連結され、左右側壁30の後端側上下中途部には後方から下連結部32が凹設されている。下連結部32上方側の左右側壁30後端は後面上部壁33で連結され、下連結部32下方側の左右側壁30は後方に突出されると共に後端が後面下部壁34で連結されている。
【0015】
したがって、嵌合受具25は上面側、前面側、下面側の底壁31と後面下部壁34との間及び下連結部32部分が開放状とされている。前記下連結部32には代掻ハロー12側の左右方向の連結ピンによりなる下係合部35が後方から係合可能とされており、この下係合部35は、代掻ハロー12の上部の左右に設けた図5に示すブラケット36に設けられている。
【0016】
各嵌合受具25の下連結部32の左右方向外側方にはそれぞれ左右ロワーリンク8の後端側が連結される連結ピン37が配置され、連結ピン37は側壁30の外面に当板38を介して固着されている。また、主枠材22の左右下端には、嵌合受具25の前上部に挿入されるプレート39が固着されている。
連結枠11の支持体26間にはホルダ40が左右軸廻り回動自在に設けられ、図4に示すようにこのホルダ40にはベアリング41を介して自在継手19後端側のヨーク42が回転自在に支持されている。このヨーク42はギヤケース13の入力軸20に嵌脱自在にスプライン嵌合される。
【0017】
各嵌合受具25の左右側壁30間にはロック部材51とねじりコイルバネ52とが組み込まれている。ロック部材51は筒状支軸54に回転自在に外嵌され、嵌合受具25の下連結部32に嵌入した下係合部35に下側から係合してその抜止めをすべく後部上面側に上向きの凹部53が形成されたフック形状とされている。
左右のロック部材51は連動部材56によって連動されるようになっている。この連動部材56は可撓性を有する丸棒材等によって正面視略山形状に形成され、上方に向けて左右方向内方に傾斜状の左右の側杆部57と、左右側杆部57の上端同志を連結する連結杆部58と、左右各側杆部57の下端から左右方向外方に延びてロック部材51の貫通孔55に左右方向内方側から挿通される枢軸部59とから構成されている。
【0018】
左右各ねじりコイルバネ52はロック部材51の左右方向外方側に配置されて支軸54上に套嵌され、一端側はプレート39の下端に接当し、他端側は連動部材56の枢軸部59上面後部側に接当していて、ロック部材51前部及び連動部材56を下方に、すなわちロック方向に付勢している。
連動部材56の連結杆部58の左右方向中央部にはアーム60の一端側が回動自在に外嵌され、アーム60の他端側は、連結枠11の中間枠材23に固着されたブラケット61の下部に枢軸62を介して枢支されている。また、アーム60には操作レバー63が固着されており、この操作レバー63は代掻ハロー12を上昇させた時にトラクタ上から操作可能とされている。操作レバー63を図1に鎖線で示す如く後側(ロック解除位置)に操作したときにロック部材51によるロックを解除し、操作レバー63を図1に実線で示す如く前側(ロック位置)に操作したときにロック部材51によるロックを可能にする。
【0019】
而して、上連結部24で上係合部28を掬い上げることにより、代掻ハロー12を上係合部28廻りに揺動させて一対の下連結部32に一対の下係合部35を係合させ、トラクタ車体1に代掻ハロー12を着脱自在に自動連結するようになっている。また、トラクタ車体1に後方突設したPTO軸4に連結された自在継手19と代掻ハロー12の入力軸20とが代掻ハロー12の着脱に連動して自動的に連動連結されるようになっている。
【0020】
図5、図7及び図8において、連結枠11にトラクタ車体1の電源に接続された連結枠側ハーネス67が配置され、作業機12側に伸縮機構14のモータM(代掻ハロー12へ
の搭載電気機器)に接続された作業機側ハーネス68が配置されている。連結枠側ハーネス67と作業機側ハーネス68とで電源ハーネス69が構成されている。
作業機側ハーネス68に雌コネクタ71が設けられ、雌コネクタ71は絶縁性を有する合成樹脂等により構成され、代掻ハロー12のトップマスト27の前側の上下方向の中途部等に設けられている。
【0021】
連結枠側ハーネス67に雌コネクタ71と結合可能な雄コネクタ72が設けられている。雄コネクタ72は絶縁性を有する合成樹脂等により構成され、連結枠11の中間枠材23上に設けられている。
雌コネクタ71は後部の左右方向中央がトップマスト27に対して上下方向の支持軸73廻りに左右揺動自在に支持されている。雌コネクタ71は前部が開口した平面視コの字状の雌上板体75と雌下板体76とを備え、雌上板体75と雌下板体76との間に左右一対の雄接続端子77を左右に離間した状態で挟持している。一対の雄接続端子77は前後方向及び上下方向に長い板状に形成されている。
【0022】
雄コネクタ72は後部左右両端を面取りした雄上板体79と雄下板体80とを備え、雄上板体79と雄下板体80との間に左右一対の雌接続端子81を左右に離間した状態で挟持している。一対の雌接続端子81は平面視Cの字形の板状に形成され、雌コネクタ71側に向けて開口しており、開口端部で雄接続端子77を弾性により着脱自在に挟持するようになっている。雄コネクタ72の左右両端の後部側に先細り状に傾斜した左右一対の案内面83が設けられており、この案内面83は、雌コネクタ71の内側面82の前部に対して摺動可能になっており、雄コネクタ72の一対の雌接続端子81に対して雌コネクタ71の一対の雄接続端子77が左右方向に一致するように位置決めし、これにより、連結枠11に対する作業機12の着脱に連動して雄コネクタ72と雌コネクタ71とが確実に着脱自在に結合するようになっている。
【0023】
雄コネクタ72(雄上板体79及び雄下板体80)に、雌コネクタ71の一対の雄接続端子77が嵌合する上下方向に貫通した嵌合溝84が設けられている。トラクタ車体1に作業機12を連結する際に、雄コネクタ72の雌接続端子81と雌コネクタ71の雄接続端子77とが相対的に上下に移動しても、嵌合溝84があるため雄コネクタ72の雌接続端子81と雌コネクタ71の雄接続端子77との相対的な上下移動を許容して、雄コネクタ72の雌接続端子81と雌コネクタ71の雄接続端子77とをスムーズに接続することができる。また、嵌合溝84によって雌接続端子81内に泥土が浸入しても、容易に排除することができる。
【0024】
図7に示すように、雄コネクタ72内に結合検出センサ108が組み込まれており、この結合検出センサ108はリミットスイッチ等の検出スイッチ108aで構成され、雄コネクタ72と雌コネクタ71との接続端子77,81同士が接続したことを検出する。結合検出センサ108は感知片108bを有し、感知片114bの雌コネクタ71側への突出長さは雄接続端子77の雄コネクタ72側への突出長さよりも短く形成され、これにより雄コネクタ72と雌コネクタ71とが結合しながら雄コネクタ72の雌接続端子81と雌コネクタ71の雄接続端子77とが接続されてその接続状態が多くなった後半期に結合検出センサ108が作動するように構成されている。
【0025】
図3はトラクタ車体1側の電源から作業機12側のモータMに電力を供給するための電力供給回路の回路図を示している。同図において、101は電源用スイッチ回路で、リレーコイル102とリレースイッチ103を備えるリレー回路により構成されている。104、105は抵抗、106はトランジスタ、107はダイオードで、リレーコイル102で発生する逆起電力をショートさせるためのものである。
【0026】
電源端子Vhはトラクタ車体1に搭載したバッテリ等の電源に接続されている。111,112は正逆転切替スイッチで、互いに連動して動き、一対のモータMを正転駆動、逆転駆動及び停止させるためのものである。この正逆転切替スイッチ111,112はトラクタ車体1に乗った作業者が切替操作できるように運転席の近傍に配置されている。
而して、結合検出センサ108が雄コネクタ72と雌コネクタ71との接続端子77,81同士が接続したことを検出してオンすると、トランジスタ106がオンしてリレーコ
イル102に電流が流れ、リレースイッチ103がオンする。その結果、トラクタ車体1側の電源からリレースイッチ103、正逆転切替スイッチ111,112を介して雄コネクタ72までの回路が接続され、そして、雄コネクタ72及び雌コネクタ71を介して一対のモータMに電力が供給可能になる。
【0027】
上記実施形態によれば、トラクタ車体1に代掻ハロー12を連結する場合、トラクタ車体1を代掻ハロー12前方に位置させ、3点リンク機構5を下げた状態でトラクタ車体1を後退させていく。そして、上連結部24が上係合部28の下側に達すれば後退を停止し、3点リンク機構5によって連結枠11を上昇させる。すると、上係合部28が上連結部24で引っ掛けられることによって、代掻ハロー12が吊り上げられて上係合部28廻りにトラクタ車体1側に回動し、左右下係合部35がロック部材51の後部を下方移動させながら左右嵌合受具25の下連結部32に係合し、係合後ロック部材51後部が上方移動して下係合部35がロックされる。
【0028】
このロック部材51のロック位置a(図1に実線で示す)では、アーム60が前傾状とされていて、ねじりコイルバネ52の付勢力はアーム60を枢軸62中心に前方に回動させようとする方向に作用して、ロック部材51前部を引き下げて後部を支軸54中心に上方回動させ、さらに、ロック部材51後端側下部のストッパ部64が嵌合受具25の後面下部壁34に接当してロック部材51後部の上方回動が規制され、ロック部材51がロック位置aに保持される。
【0029】
このとき、雄コネクタ72と雌コネクタ71とが互いに接近し、案内面83は、雌コネクタの内側面82の前部に対して摺動して、連結枠11に対する代掻ハロー12の着脱に連動して雌コネクタ71と雄コネクタ72とが着脱自在に結合する。雌コネクタ71と雄コネクタ72とが結合することにより、一対の雄接続端子77と一対の雌接続端子81が自動的に確実かつスムーズに接続される。また、このとき、結合検出センサ108が雄コネクタ72と雌コネクタ71との接続端子77,81同士が接続したことを検出してオンし、これにより電源スイッチ回路101が閉じる。その結果、トラクタ車体1側の電源から雄コネクタ72、雌コネクタ71及び正逆転切替スイッチ111,112を介して代掻ハロー12側の一対のモータM(電気機器)に電力を供給可能になる。
【0030】
従って、その後は、正逆転切替スイッチ111,112を操作することにより、一対のモータMに電力を供給して正転駆動又は逆転駆動する。一対のモータMの正転駆動により伸縮機構14を伸長させ代掻ハロー12を図6に実線で示す如く展開させることができ、また、一対のモータMの逆転駆動により伸縮機構14を縮小させ代掻ハロー12を図6に鎖線で示す如く上方に折り畳むことができる。
【0031】
次に、代掻ハロー12をトラクタ車体1から離反させる場合には、以下のようになされる。先ず、代掻ハロー12を上昇させてトラクタ車体1に接近させておき、操作レバー63を、図1に実線で示す上方位置から仮想線で示す下方位置に回動させる。すると、アーム60が枢軸62を中心として後方に回動し、該アーム60が前傾状態から立ち上がるので、連動部材56が上方に引き上げられ、これによって、ロック部材51後部が引き上げられて該ロック部材51前部が支軸54を中心として嵌合受具25の底壁31に接当するロック解除位置b(図1に仮想線で示す)まで下方移動する。
【0032】
このとき、連動部材56の枢軸部59の軸心と、連結杆部58のアーム60との連結部分の軸心とを結ぶ線分cがデッドポイントを越えるので、ねじりコイルバネ52の付勢力はアーム60を枢軸62中心に後方に回動させるように作用し、ロック部材51がロック解除位置bに保持されることとなる。そして、連結枠11を下降させて代掻ハロー12を接地させれば、先ず下係合部35が嵌合受具25から後方に外れ、次いで上連結部24が上係合部28から下方に外れる。
【0033】
この際に、雄コネクタ72と雌コネクタ71とが互いに離間し、連結枠11に対する代掻ハロー12の取り外し動作に連動して雌コネクタ71と雄コネクタ72との結合が外れ、一対の雄接続端子77と一対の雌接続端子81との接続が自動的に外れる。
従って、代掻ハロー12の着脱に連動して電源ハーネス69も自動的に着脱でき、電気を利用する代掻ハロー12において操縦者のトラクタへの乗り降りなしに電源の着脱が可
能になるし、代掻ハロー12着脱時の電源ハーネス69の外し忘れによる電源ハーネス69の切損事故もなくなる。また、このとき、結合検出センサ108が雄コネクタ72と雌コネクタ71との接続端子77,81同士が外れたことを検出してオフし、これにより電源スイッチ回路101が開く。その結果、トラクタ車体1側の電源から正逆転切替スイッチ111,112を介して雄コネクタ72に電力が供給されなくなる。このため、正逆転切替スイッチ111,112が正転駆動側及び逆転駆動側のどちら側に切り替えられていても、雄コネクタ72には電流が供給されなくなり、雄コネクタ72と雌コネクタ71との非結合時に雄コネクタ72の雌接続端子81にもの等が接触しても不測に電流が流れるのを防ぐことができる。
【0034】
また、結合検出センサ108は、雄コネクタ72と雌コネクタ71とが結合して雄コネクタ72の雌接続端子81と雌コネクタ71の雄接続端子77とが接続される後期に作動するように構成されているので、雄コネクタ72と雌コネクタ71とが結合して雄コネクタ72の雌接続端子81と雌コネクタ71の雄接続端子77とが接続される後期にならなければ、電源用スイッチ回路101が開いたままであるため、接続端子81,77同士が接続される前期では雄コネクタ72及び雌コネクタ71側には電力が供給されず、この時点での雄コネクタ72の雌接続端子81への接触による不都合を回避することができる。
【0035】
図9は第2実施形態を示し、作業機側ハーネス68に一対の雌コネクタ71(第1雌コネクタ71A、第2雌コネクタ71B)が設けられ、各雌コネクタ71は絶縁性を有する合成樹脂等により構成され、作業機12のトップマスト27の前側の上下方向中途部等に左右に離間して設けられている。
連結枠側ハーネス67に一対の雌コネクタ71にそれぞれ結合可能な一対の雄コネクタ72(第1雄コネクタ72A、第2雄コネクタ72B)が設けられている。各雄コネクタ72A,72Bは絶縁性を有する合成樹脂等により構成され、連結枠11の中間枠材23上に左右に離間して設けられている。
【0036】
第1雌コネクタ71A及び第2雌コネクタ71Bはそれぞれ上下方向の支持軸73廻りに左右揺動自在に支持されている。
第1実施形態の場合と同様に、第1雌コネクタ71A及び第2雌コネクタ71Bはそれぞれ平面視コの字状の雌上板体と雌下板体とを備え、雌上板体と雌下板体との間に雄接続端子77を挟持している。第1雌コネクタ71A及び第2雌コネクタ71Bの雄接続端子77は前後方向及び上下方向に長い板状に形成されている。
【0037】
第1雄コネクタ72A及び第2雄コネクタ72Bはそれぞれ後部左右両端を面取りした雄上板体と雄下板体とを備え、雄上板体と雄下板体との間に雌接続端子81を挟持している。第1雄コネクタ72A及び第2雄コネクタ72Bの雌接続端子81は平面視Cの字形の板状に形成され、第1雌コネクタ71A又は第2雄コネクタ72B側に向けて開口しており、開口端部で雄接続端子77を弾性により着脱自在に挟持するようになっている。
【0038】
そして、結合検出センサ108は、第1雌コネクタ71Aに突設された板状の雄端子115と、第1雄コネクタ72Aに組み込まれた板状の第1雌端子116と板状の第2雌端子117とを有している。第1雌端子116及び第2雌端子117の雄端子115への接触部分が、雌接続端子81の雄接続端子77への接触部分よりも前方に配置されており、これにより第1雄コネクタ72Aと第1雌コネクタ71Aとが結合して雄コネクタ72の雌接続端子81と雌コネクタ71の雄接続端子77とが接続される後期になると、雄コネクタ72と雌コネクタ71との接続端子77,81同士が接続したことを検出し、第1雌端子116と第2雌端子117との間に雄端子115が嵌合して結合検出センサ108がオンするように構成されている。その他の点は前記第1実施形態と同様の構成である。
【0039】
なお、前記実施形態では、連結枠11に連結される作業機として代掻ハロー12を連結するようにしているが、これに代え、ロータリ耕耘装置、播種機、施肥器その他の作業機を連結し、代掻ハロー12の伸縮機構14のモータMの代わりに肥料タンクの肥料繰出用のモータや薬剤タンクの薬剤繰出し用の駆動モータに接続するようにしてもよい。また、作業機12側に洗車ポンプを駆動するモータその他の電気機器を搭載して、作業機側ハーネス68をこれに接続するようにしてもよい。
【0040】
また、連結枠側ハーネス67に雌コネクタ71を設け、作業機側ハーネス68前記雌コネクタ71と嵌合可能な雄コネクタ72を設けるようにしてもよい。また、雌コネクタ71に雌接続端子を設け、雄コネクタ72に雄接続端子を設けるようにしてもよい。
また、前記実施形態では、1つの雌コネクタ71に一対の雄接続端子77が設けられ、1つの雄コネクタ72に雌接続端子81が設けられ、又は2つの雌コネクタ71と2つの雄コネクタ72が設けられているが、これに代え、雌コネクタ71及び雄コネクタ72を1つずつ設け、これらにそれぞれ1つの接続端子を設け、機体アースで戻ってくるようにすることも可能である。
【0041】
また、結合検出センサ108を無接触型のスイッチにより構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 トラクタ車体
5 3点リンク機構
11 連結枠
12 代掻ハロー(作業機)
67 連結枠側ハーネス
68 作業機側ハーネス
71 雌コネクタ
72 雄コネクタ
77 雄接続端子
81 雌接続端子
84 嵌合溝
101 電源用スイッチ回路
108 結合検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタ車体(1)にリンク機構(5)を介して連結された連結枠(11)にトラクタ車体(1)の電源に接続された連結枠側ハーネス(67)が配置され、連結枠(11)に連結される作業機(12)に搭載電気機器と接続された作業機側ハーネス(68)が配置され、
連結枠側ハーネス(67)と作業機側ハーネス(68)との一方に雄コネクタ(72)が設けられ、他方に前記雄コネクタ(72)と結合可能な雌コネクタ(71)が設けられ、連結枠(11)と作業機(12)とが連結位置に至たるときに連動して雄コネクタ(72)と雌コネクタ(71)とが結合して、雄コネクタ(72)の連結枠側又は作業機側ハーネスに接続された接続端子(81)と雌コネクタ(71)の作業機側又は連結枠側ハーネスに接続された接続端子(77)とが接続される作業機連結装置の電力供給回路であって、
連結枠側ハーネス(67)のコネクタの接続端子とトラクタ車体(1)の電源との間に電源用スイッチ回路(101)が設けられ、連結枠側ハーネス(67)のコネクタに、雄コネクタ(72)と雌コネクタ(71)との接続端子(81,77)同士が接続したことを検出して電源用スイッチ回路(101)を閉じる結合検出センサ(108)が設けられていることを特徴とする作業機連結装置の電力供給回路。
【請求項2】
結合検出センサ(108)は、雄コネクタ(72)と雌コネクタ(71)とが結合しながら雄コネクタ(72)の接続端子と雌コネクタ(71)の接続端子とが接続される後半期に作動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業機連結装置の電力供給回路。
【請求項3】
前記雄コネクタ(72)又は雌コネクタ(71)の一方に、雄接続端子(77)が設けられ、他方に雌接続端子(81)が設けられ、雄コネクタ(72)又は雌コネクタ(71)のうち雌接続端子(81)側のコネクタに雄接続端子(77)が嵌合する上下方向に貫通した嵌合溝(84)が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機連結装置の電力供給回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−100553(P2012−100553A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249774(P2010−249774)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】