説明

作業車の搬送状態検出構造

【課題】検出手段による搬送効率の低下や、搬送物との接触による検出手段の耐久性の低下を招くことなく、搬送手段による搬送物の搬送状態を検出手段により検出する。
【解決手段】送風機35の作用により搬送物を搬送する搬送手段4を備えた作業車の搬送状態検出構造において、搬送手段4による搬送物の搬送状態を検出する検出手段44を備え、検出手段44が、送風機35の駆動負荷を搬送物の搬送状態として検出するように構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機の作用により搬送物を搬送する搬送手段を備えた作業車の搬送状態検出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例であるフロントモーアやミッドマウントモーアなどにおいては、モーアで刈った草を、送風機の作用により、搬送物として走行車体の後部に備えた集草容器に向けて搬送するように構成した搬送手段を備えたものがある。そして、このような搬送手段を備えた作業車の搬送状態検出構造としては、搬送手段による搬送物の搬送経路である集草容器の内部に備えた圧力スイッチや回転センサなどの検出手段により、搬送手段による刈草の搬送状態として、集草容器の満杯状態を検出するように構成したものがある(例えば特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】特開2008−29286号公報
【特許文献2】特開平11−168941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の構成では、検出手段を集草容器の内部に備えることにより、検出手段が搬送負荷になって搬送手段による搬送物の搬送効率が低下する、あるいは、検出手段に搬送物が直に接触することにより検出手段の耐久性が低下する、などの不都合を招きやすくなっていた。
【0004】
本発明の目的は、検出手段による搬送効率の低下や、搬送物との接触による検出手段の耐久性の低下を招くことなく、搬送手段による搬送物の搬送状態を検出手段により検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1に記載の発明では、
送風機の作用により搬送物を搬送する搬送手段を備えた作業車の搬送状態検出構造において、
前記搬送手段による前記搬送物の搬送状態を検出する検出手段を備え、
前記検出手段が、前記送風機の駆動負荷を前記搬送物の搬送状態として検出するように構成してあることを特徴とする。
【0006】
この特徴構成によると、送風機の駆動負荷は、送風機の駆動トルクや、送風機が油圧モータで駆動される油圧式である場合は油圧モータの駆動圧により、又、送風機が電動モータで駆動される電動式である場合は電動モータの駆動電流により検知することができるので、検出手段を搬送手段による搬送物の搬送経路に備える必要がなくなる。
【0007】
ところで、送風機の作用により搬送物を搬送している最中に、送風機の搬送方向下手側において搬送物が溜まりだすと、その溜まった搬送物が搬送負荷になることにより、搬送風や搬送物が搬送方向下手側に向けて流れにくくなり、送風機の駆動負荷が変動する。そして、送風機の駆動負荷は、送風機の搬送方向下手側での搬送物の集積量に応じて変動し、その変動は、使用する送風機の特性により把握することができる。
【0008】
つまり、搬送手段に使用する送風機の特性から、送風機の搬送方向下手側での搬送物の集積量に応じて変動する送風機の駆動負荷を把握しておくことにより、検出手段により、送風機の駆動負荷を搬送物の搬送状態として精度良く検出することができる。
【0009】
従って、検出手段を集草容器の内部に備えることによる搬送効率の低下や、検出手段に搬送物が直に接触することによる検出手段の耐久性の低下を招くことなく、搬送手段による搬送物の搬送状態を検出手段によって精度良く検出することができる。
【0010】
ちなみに、検出手段により検出する搬送手段による搬送物の搬送状態とは、搬送手段の搬送終端に設けた容器での搬送物の収容状態や、搬送手段における搬送物の詰まり具合などである。
【0011】
本発明のうちの請求項2に記載の発明では、上記請求項1に記載の発明において、
前記検出手段の検出に基づいて前記搬送物の搬送状態を報知する報知手段を備えてあることを特徴とする。
【0012】
この特徴構成によると、搬送手段による搬送物の搬送状態を、報知手段によって作業者に容易かつ確実に認識させることができる。これにより、作業者は、そのときの搬送手段による搬送物の搬送状態に対する適当な処置を迅速に行うことができる。
【0013】
従って、搬送手段を使用した作業での作業効率を向上させることができる。
【0014】
本発明のうちの請求項3に記載の発明では、上記請求項1又は2に記載の発明において、
前記搬送物を収容する容器を備え、前記容器を収容姿勢と排出姿勢とに姿勢切り替え可能に構成してあることを特徴とする。
【0015】
この特徴構成によると、搬送手段による搬送物の搬送により、容器に集積される搬送物が多くなると、容器内の搬送物が搬送負荷になり、搬送風や搬送物が容器に向けて流れにくくなり、送風機の駆動負荷が変動する。そして、送風機の駆動負荷は、送風機の搬送方向下手側での搬送物の集積量に応じて変動する。
【0016】
つまり、検出手段により、送風機の駆動負荷を、容器での搬送物の収容状態として検出することができ、容器から搬送物を排出するのに適したタイミングを容易に知ることができる。
【0017】
そして、容器から搬送物を排出する際には、容器を収容姿勢から排出姿勢に切り替えることにより、容器内の搬送物を簡単かつ速やかに外部に排出することができる。
【0018】
しかも、検出手段の検出により排出タイミングを知る上において、容器の内部に検出手段を備える必要がないことにより、検出手段に対する配線を、容器の内部に検出手段を備えた場合のように、容器の姿勢を切り替える際に配線が容器などに引っ掛かって切断されないように配慮する必要もない。
【0019】
従って、検出手段に対する配線の容易化を図りながら、容器内の搬送物を排出する際の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例として、本発明に係る作業車の搬送状態検出構造を、作業車の一例であるフロントモーアに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1はフロントモーアの全体右側面図であり、この図に示すように、このフロントモーアは、走行車体1の前部に備えたモーア2により草を刈り、その刈った草を搬送物として、走行車体1の後部に備えた集草容器3に向けて搬送手段4により搬送して集草容器3に収容するように構成してある。
【0022】
走行車体1は、その前半部にステアリングホイール5や運転座席6などを配備して搭乗運転部7を形成してある。又、その後部に搭載したエンジン(図示せず)からの動力を左右一対の前輪8と左右一対の後輪9とに伝達する四輪駆動型で、ステアリングホイール5の操作で左右の後輪9を操舵する後輪操舵式に構成してある。
【0023】
図示は省略するが、走行車体1は、その搭乗運転部7の下方に静油圧式無段変速装置(以下、HSTと略称する)やトランスミッションケース(以下、T/Mケースと略称する)などを配備し、エンジンからの動力をHSTに伝達し、HSTの出力軸から取り出した変速後の動力を、T/Mケースの内部に備えた走行用のギア式変速装置などを介して左右の前輪8と左右の後輪9とに伝達する。又、HSTの入力軸から取り出した無変速動力を、T/Mケースの内部に備えた作業用のギア式減速装置やクラッチなどを介してモーア2に伝達する。
【0024】
図1に示すように、モーア2は、T/Mケースの下部に上下揺動可能に連結したモーア昇降用の第1リンク機構10を介して、走行車体1の前部に昇降可能に連結してある。第1リンク機構10は、T/Mケースの上部に上下揺動可能に備えた左右一対のリフトアーム11に連係リンク12を介して連結してある。左右のリフトアーム11は、T/Mケースの内部に備えた油圧シリンダ(図示せず)の作動により上下揺動する。油圧シリンダは、それに対する作動油の流れを、走行車体1に備えたモーア昇降用の第1制御弁(図示せず)を操作して切り替えることにより、その作動を制御することができる。第1制御弁は、運転座席6の右側方に配置した第1操作レバー13に連係機構(図示せず)を介して連係してある。
【0025】
つまり、第1操作レバー13を操作することにより、その操作に基づく油圧制御によってモーア2を昇降させることができ、モーア2の対地高さを調節することができる。
【0026】
尚、この実施形態では、モーア2として、そのハウジング14の内部に、縦向きの軸心を支点にして回転する複数のブレード(図示せず)を備えたロータリ式のものを例示しているが、左右向きの軸心を支点にして回転する刈刃を備えたリール式のものなどを採用してもよい。
【0027】
図2は集草容器3のローダンプ状態を示す要部の右側面図であり、図3は集草容器3のハイダンプ状態を示す要部の右側面図である。
【0028】
図1〜3に示すように、集草容器3は、走行車体1の後部に備えた左右一対の支持フレーム15や集草容器昇降用の第2リンク機構16などを介して、走行車体1の後部にダンプ揺動可能に連結してある。
【0029】
左右の支持フレーム15は、エンジンを覆うボンネット17の左右に位置するように、走行車体1の前後中間部に立設したアーチ状の保護フレーム18と、走行車体1の後端部に備えた支持アーム19とにわたって架設してある。各支持フレーム15の後部には、第2リンク機構16の装備を可能にするブラケット20を立設してある。
【0030】
第2リンク機構16は、左右のブラケット20に起伏揺動可能に連結した左右一対の第1リンク21や、左右の第1リンク21の遊端に起伏揺動可能に連結した左右一対の第2リンク22、などにより構成してある。左右の第1リンク21は、左右の支持フレーム15と左右の第1リンク21とにわたって架設した左右一対の第1油圧シリンダ23の作動により起伏揺動する。左右の第2リンク22は、それらの揺動支点側の端部に、それらと一体揺動する連係アーム24を備えている。左右の連係アーム24は、左右の第1リンク21の起立揺動に連動して左右の第2リンク22が起立揺動し、かつ、左右の第1リンク21の倒伏揺動に連動して左右の第2リンク22が倒伏揺動するように、左右一対の連係ロッド25を介して左右のブラケット20に連結してある。
【0031】
左右の第1油圧シリンダ23は、走行車体1に備えた集草容器昇降用の第2制御弁(図示せず)を操作して、左右の第1油圧シリンダ23に対する作動油の流れを切り替えることにより、それらの作動を制御することができる。第2制御弁は、運転座席6の右側方に配置した第2操作レバー26に連係機構(図示せず)を介して連係してある。
【0032】
つまり、第2操作レバー26を操作することにより、その操作に基づく油圧制御によって第2リンク機構16を屈伸作動させることができ、この屈伸作動により、集草容器3の高さ位置を、ボンネット17の直上に位置するローダンプ位置と、ボンネット17の後上方に位置するハイダンプ位置とに切り替えることができる。
【0033】
集草容器3は、その内部に導入された刈草搬送用の空気を外部に流出させる多孔の空気抜き部(図示せず)を備えた容器本体27に、この容器本体27に形成した排出口27Aを開閉する揺動式の蓋体28などを備えて構成してある。
【0034】
容器本体27は、その排出口側の端部に備えた左右一対のブラケット29を介して、左右の第2リンク22の遊端に、左右向きの軸心を支点にした揺動操作が可能となるように連結してある。そして、左右の第2リンク22と左右のブラケット29とにわたって架設した左右一対の第2油圧シリンダ30の作動により、その排出口27Aを車体後方に向けた収容姿勢と、その排出口27Aを地面に向けた排出姿勢とにわたって揺動変位する。又、その収容姿勢においては、第2リンク22に一体装備した支持具31により、その前端部を受け止め支持させてある。
【0035】
蓋体28は、その揺動支点側の端部に、それらと一体揺動する左右一対の連係アーム32を備えている。左右の連係アーム32は、容器本体27の収容姿勢から排出姿勢への揺動変位に連動して、蓋体28が容器本体27の排出口27Aを閉塞する閉姿勢から排出口27Aを開放する開姿勢に揺動変位し、かつ、容器本体27の排出姿勢から収容姿勢への揺動変位に連動して、蓋体28が容器本体27の排出口27Aを開放する開姿勢から排出口27Aを閉塞する閉姿勢に揺動変位するように、左右一対の連係ロッド33を介して左右の第2リンク22に連結してある。
【0036】
左右の第2油圧シリンダ30は、それらに対する作動油の流れを、走行車体1に備えた集排切り替え用の第3制御弁(図示せず)を操作して切り替えることにより、それらの作動を制御することができる。第3制御弁は、運転座席6の右側方に配置した第3操作レバー34に連係機構(図示せず)を介して連係してある。
【0037】
つまり、第3操作レバー34を操作することにより、その操作に基づく油圧制御によって、集草容器3を、その内部に刈草を収容する集草状態と、収容した刈草をローダンプ位置にて外部に排出するローダンプ状態とに切り替えることができる。又、第2操作レバー26と第3操作レバー34とを操作することにより、それらの操作に基づく油圧制御によって、集草容器3を、その内部に刈草を収容する集草状態と、収容した刈草をハイダンプ位置にて外部に排出するハイダンプ状態とに切り替えることができる。
【0038】
搬送手段4は、走行車体1の右側部に装備した遠心式の送風機35、モーア2におけるハウジング14の右端部に形成した排出口(図示せず)から送風機35の吸引口35Aにわたって架設した第1ダクト(案内管の一例)36、及び、送風機35の排出口35Bから集草容器3の容器本体27に形成した受入口27Bにわたって架設した第2ダクト(案内管の一例)37、などにより構成してある。
【0039】
送風機35は、油圧モータ38により駆動される油圧式で、その作動により、モーア2により刈った草を外気とともに第1ダクト36を介して吸引し、吸引した刈草及び外気を集草容器3に向けて第2ダクト37を介して吐出する。第1ダクト36は、送風機35により吸引される刈草及び外気を、モーア2の排出口から送風機35の吸引口35Aに案内する。第2ダクト37は、送風機35により吐出される刈草及び外気を、送風機35の排出口35Bから集草容器3の受入口27Bに案内する。
【0040】
図4は送風機35を駆動する油圧回路の構成を示す油圧回路図であり、この図に示すように、油圧回路は、エンジンにより駆動される油圧ポンプ39や、この油圧ポンプ39により圧送される作動油の流れを切り替える電磁式の制御弁40、などにより構成してある。
【0041】
図1〜4に示すように、制御弁40は、運転座席6の右側方に配置したオルタネートスイッチ41の操作に基づいて、油圧ポンプ39からの作動油を油圧モータ38に循環させる循環状態と、その循環を停止させる停止状態とに切り替わる。油圧モータ38は、作動油の循環により作動して送風機35を駆動し、作動油の循環停止により作動を停止して送風機35を停止させる。
【0042】
つまり、刈り取り作業の開始時に、オルタネートスイッチ41をオフ状態(通電停止状態)からオン状態(通電可能状態)に切り替え操作して送風機35を駆動させることにより、刈り取り作業時には、送風機35の作用により、モーア2により刈った草を集草容器3に搬送して収容することができる。又、刈り取り作業の中断時や終了時に、オルタネートスイッチ41をオン状態からオフ状態に切り替え操作して送風機35を停止させることにより、送風機35の作用による集草を停止させることができる。
【0043】
図1〜3に示すように、油圧ポンプ39は、その駆動構造の簡素化を図るために、走行車体1の後部に搭載したエンジンと隣接するように走行車体1の後端部に配備してある。
【0044】
ところで、遠心式の送風機35は、その特性として、風量が多くなるほど駆動負荷が大きくなり、風量が少なくなるほど駆動負荷が小さくなることが知られている。これにより、送風機35の作動により集草容器3に集草する作業車においては、集草容器3の集草量が少ないほど、集草容器3に向けて風が流れやすくなることにより、送風機35の風量が多くなり、送風機35の駆動負荷が大きくなる。逆に、集草容器3の集草量が多くなるほど、集草容器3に向けて風が流れにくくなることにより、送風機35の風量が少なくなり、送風機35の駆動負荷が小さくなる。そして、送風機35の駆動負荷は、送風機35が油圧式である場合、送風機35を駆動する油圧モータ38の駆動圧により検知することができる。
【0045】
つまり、この実施形態で例示したフロントモーアにおいては、送風機35を駆動する油圧回路における油圧モータ38の駆動圧を監視することにより、集草容器3の集草量を把握することができる。
【0046】
図5は、集草容器3の集草量と油圧モータ38の駆動圧との関係を示す図であり、この図に示すように、集草容器3の集草量が設定量aになった場合には、油圧モータ38の駆動圧が、そのときの集草量に対応する所定値bに達していることになる。
【0047】
そこで、図4に示すように、このフロントモーアにおいては、油圧回路における油圧ポンプ39から油圧モータ38にわたる供給油路42のうちの、制御弁40と逆止弁43との間に位置する油路部分42Aに、その油路部分42Aの油圧を油圧モータ38の駆動圧として検出する検出手段44を装備してある。検出手段44には、油路部分42Aの油圧が、集草容器3の集草量が満杯になった場合に得られる所定値よりも大きい間はオフ状態(通電停止状態)となり、所定値以下に低下するとオン状態(通電可能状態)になる圧力スイッチを採用してある。
【0048】
図6は、集草容器3の満杯を報知する満杯報知回路の構成を示す回路図であり、この図に示すように、満杯報知回路は、圧力スイッチ44、アクセルスイッチ45、第1リレースイッチ46、第2リレースイッチ47、ブザースイッチ48、及び、報知手段49としての表示灯50とブザー51、などにより構成してある。
【0049】
図示は省略するが、アクセルスイッチ45は、走行車体1に備えたアクセル設定器(図示せず)の操作位置が、作業用の設定領域内である場合にオン状態(通電可能状態)になり、作業用の設定領域から外れている場合にオフ状態(通電停止状態)になる。
【0050】
第1リレースイッチ46は、走行車体1に備えたキースイッチとオルタネートスイッチ41(図1〜3参照)の双方がオン操作されている場合にオン状態(通電可能状態)になり、それ以外の場合はオフ状態(通電停止状態)になる。
【0051】
第2リレースイッチ47は、圧力スイッチ44とアクセルスイッチ45と第1リレースイッチ46の全てがオン状態である場合にオン状態(通電可能状態)になり、それ以外の場合はオフ状態(通電停止状態)になる。
【0052】
ブザースイッチ48は、人為操作により、ブザー51への通電を可能にするオン状態と、ブザー51への通電を停止するオフ状態とに切り替わる。つまり、ブザースイッチ48の操作により、ブザー51を使用する状態と使用しない状態とを選択することができる。
【0053】
表示灯50は、第2リレースイッチ47がオン状態である場合に通電されて点灯し、第2リレースイッチ47がオフ状態である場合に通電が停止されて消灯する。
【0054】
ブザー51は、第2リレースイッチ47とブザースイッチ48の双方がオン状態である場合に通電されて作動し、それ以外の場合は通電が停止されて作動を停止する。
【0055】
つまり、満杯報知回路は、キースイッチをオン操作し、アクセル設定器を作業用の設定領域内に操作し、オルタネートスイッチ41をオン状態に切り替え操作した刈り取り作業状態において、集草容器3が満杯になると、ブザー51の使用を選択していない場合には、表示灯50を点灯させることにより、又、ブザー51の使用を選択している場合には、表示灯50の点灯とともにブザー51を作動させることにより、集草容器3が満杯になったことを報知する。
【0056】
そして、この報知に基づいて、刈り取り作業を中断し、所定の刈草排出位置まで移動した後、集草容器3をダンプ揺動させて集めた刈草を排出することにより、刈草が、第2ダクト37の内部や送風機35の内部に集積することを防止することができ、これにより、第2ダクト37の内部や送風機35の内部に集積した刈草を取り除くための手間を要することなく、刈り取り作業を再開することができる。
【0057】
又、送風機35を駆動する油圧回路に備えた圧力スイッチ44により集草容器3の満杯を検出することにより、集草容器3の満杯を検出する検出手段44を、集草容器3の内部や第2ダクト26の内部などに配備する必要がなくなり、これにより、その検出手段44を集草容器3の内部や第2ダクト26の内部などに配備することにより、その検出手段44が搬送負荷になって刈草の搬送効率が低下する、又は、検出手段44に刈草などが直に接触することにより検出手段44の耐久性が低下する、といった不都合が発生することを未然に回避することができ、又、検出手段44を集草容器3の内部に配備することにより、集草容器3の昇降時や集草容器3のダンプ揺動時に、検出手段44に対する配線が、集草容器3や第2リンク機構16などに引っ掛かって切断される、といった不都合が発生することを未然に回避することができる。
【0058】
〔別実施形態〕
【0059】
〔1〕作業車としては、送風機35の作用により刈草などの搬送物を搬送する搬送手段4を備えるものであれば、走行車体1における左右一対の前輪8と左右一対の後輪9との間にモーア2を装備したミッドマウントモーア、走行車体1におけるキャスター式の左右一対の前輪と独立駆動可能な左右一対の後輪との間にモーア2を装備したゼロターンモーア、リール式のモーアを備えたリールモーア、あるいは、集草専用のスイーパ、などであってもよい。
【0060】
又、貯留部から繰り出した肥料や薬剤などの搬送物を送風機35の作用により圃場に向けて搬送する搬送手段4を備えた施肥装置を装備する田植機やトラクタなどであってもよい。この場合、検出手段44が検出する送風機35の駆動負荷により、搬送手段4での搬送物の詰まり具合を検知することができる。
【0061】
〔2〕搬送手段4としては、軸流式の送風機35の作用により搬送物を搬送するように構成したものであってもよい。ちなみに、送風機35が軸流式である場合は、送風機35の搬送方向下手側において搬送物が溜まりだすと、その溜まった搬送物が搬送負荷になることにより、送風機35の駆動負荷が大きくなる。
【0062】
〔3〕送風機35としては、電動モータにより駆動される電動式のものであってもよく、又、エンジンからの動力により駆動されるものであってもよい。
【0063】
〔4〕検出手段44としては、送風機35の駆動トルクを検出するトルクセンサであってもよく、送風機35が油圧モータ38により駆動される油圧式のものであれば、油圧モータ38の駆動圧を検出する圧力センサ(圧力計)であってもよく、送風機35が電動モータにより駆動される電動式のものであれば、電動モータの駆動電流を検出する電流計であってもよい。
【0064】
〔5〕報知手段49としては、検出手段44が検出する搬送手段4による搬送物の搬送状態を、文字により報知する表示装置や、音声により報知する音声発生装置、あるいは、検出手段44が検出する搬送手段4による搬送物の搬送状態(例えば集草量など)の推移をグラフ表示により報知する表示装置、などであってもよい。
【0065】
〔6〕検出手段44の検出値が満杯判別用の閾値を超えたか否かを判別し、かつ、検出手段44の検出値が満杯判別用の閾値を超えた場合に報知装置49を作動させる満杯報知用の制御手段を設けるようにしてもよい。
【0066】
〔7〕検出手段44の検出値が詰まり判別用の閾値を超えたか否かを判別し、かつ、検出手段44の検出値が詰まり判別用の閾値を超えた場合に報知装置49を作動させる詰まり報知用の制御手段を設けるようにしてもよい。
【0067】
〔8〕検出手段44の検出値が満杯判別用の閾値又は詰まり判別用の閾値を超えた場合に、報知装置49を作動させるとともに送風機35を自動停止させるように構成してもよく、又、送風機35に加えてモーア2をも自動停止させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】フロントモーアの全体右側面図
【図2】集草容器のローダンプ状態を示す要部の右側面図
【図3】集草容器のハイダンプ状態を示す要部の右側面図
【図4】送風機を駆動する油圧回路の構成を示す油圧回路図
【図5】集草容器の集草量と油圧モータの駆動圧との関係を示す図
【図6】集草容器の満杯を報知する満杯報知回路の構成を示す回路図
【符号の説明】
【0069】
3 容器
4 搬送手段
35 送風機
44 検出手段
49 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機の作用により搬送物を搬送する搬送手段を備えた作業車の搬送状態検出構造であって、
前記搬送手段による前記搬送物の搬送状態を検出する検出手段を備え、
前記検出手段が、前記送風機の駆動負荷を前記搬送物の搬送状態として検出するように構成してあることを特徴とする作業車の搬送状態検出構造。
【請求項2】
前記検出手段の検出に基づいて前記搬送物の搬送状態を報知する報知手段を備えてあることを特徴とする請求項1に記載の作業車の搬送状態検出構造。
【請求項3】
前記搬送物を収容する容器を備え、前記容器を収容姿勢と排出姿勢とに姿勢切り替え可能に構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業車の搬送状態検出構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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