作業車両の原動部構造
【課題】作業車両の原動部の冷却効率を高める。
【解決手段】エンジンルーム(11)の内部に設けたエンジン(E)の外側に冷却ファン(12)を設け、冷却ファン(12)の外側にラジエータ(13)を設け、ラジエータ(13)の外側方に防塵ネット(16)を設け、ラジエータ(13)と防塵ネット(16)との間に、冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を許容する送風許容状態と、冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を遮断する遮風状態とに切り換え可能な切換手段(A)を設け、防塵ネット(16)と切換手段(A)の間の空間部に上方から下方に向けて送風する送風手段(20)を設け、切換手段(A)が遮風状態に切り換わった状態において送風手段(20)が作動する構成とする。
【解決手段】エンジンルーム(11)の内部に設けたエンジン(E)の外側に冷却ファン(12)を設け、冷却ファン(12)の外側にラジエータ(13)を設け、ラジエータ(13)の外側方に防塵ネット(16)を設け、ラジエータ(13)と防塵ネット(16)との間に、冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を許容する送風許容状態と、冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を遮断する遮風状態とに切り換え可能な切換手段(A)を設け、防塵ネット(16)と切換手段(A)の間の空間部に上方から下方に向けて送風する送風手段(20)を設け、切換手段(A)が遮風状態に切り換わった状態において送風手段(20)が作動する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業車両の原動部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、コンバイン等の作業車両におけるラジエータの防塵ネットの除塵装置において、ラジエータの外側に防塵ネットを設け、この防塵ネットの内側面に沿って上下方向あるいは前後方向に直線状に往復移動する遮風プレートを設け、防塵ネットに付着した塵埃を除去する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−262747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術では、防塵ネットの内側面に沿って遮風プレートを直線状に往復移動させ、この遮風プレートが密接する防塵ネット上の部位での吸入風を遮断して塵埃の吸着力を弱め、遮風プレートの外縁部における吸引風の流速が高まることで、この遮風プレートの外縁部に引き付けられた塵埃を遮風プレートの移動によって塵埃除去用の吸引口に誘導する構成である。このため、防塵ネットに刺さった藁屑などの除去が困難であり、遮風プレートの面積が狭いために除塵効果が低いという問題点があった。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
請求項1記載の発明は、エンジンルーム(11)の内部に設けたエンジン(E)の外側に冷却ファン(12)を設け、該冷却ファン(12)の外側にラジエータ(13)を設け、該ラジエータ(13)の外側方に防塵ネット(16)を設け、該ラジエータ(13)と防塵ネット(16)との間に、前記冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を許容する送風許容状態と、冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を遮断する遮風状態とに切り換え可能な切換手段(A)を設け、前記防塵ネット(16)と切換手段(A)の間の空間部に上方から下方に向けて送風する送風手段(20)を設け、前記切換手段(A)が遮風状態に切り換わった状態において送風手段(20)が作動する構成としたことを特徴とする作業車両の原動部構造とした。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記切換手段(A)を、上下方向に所定間隔を空けて複数設けた姿勢変更自在なシャッタ板(19,…)で構成し、該複数のシャッタ板(19,…)を冷却ファン(12)によって吸入される外気の流れに沿う横姿勢に姿勢変更して、上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の間に風路を夫々形成することで送風許容状態に切り換わり、該複数のシャッタ板(19,…)を夫々縦姿勢に姿勢変更して上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部どうしが夫々接することで遮風状態に切り換わる構成としたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の原動部構造とした。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記送風許容状態において、各シャッタ板(19,…)が防塵ネット(16)側が低い傾斜姿勢となる構成としたことを特徴とする請求項2記載の作業車両の原動部構造とした。
【0009】
請求項4記載の発明は、上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部間に弾性体(32)を介装したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の作業車両の原動部構造とした。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記防塵ネット(16)を、エンジンルーム(11)の側方に配置した下側ネット(16b)と、エンジンルーム(11)の上側の吸気室(72)に配置した上側ネット(16c)とより構成し、前記送風手段(20)の吸込口(20a)を上側ネット(16c)の内側に配置したことを特徴とする請求項1から請求項4いずれか一項に記載の作業車両の原動部構造とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によると、切換手段(A)によって送風許容状態に切り換えると、冷却ファン(12)の回転により、防塵ネット(16)の外側から内側に外気を吸入してラジエータ(13)を冷却することができる。そして、切換手段(A)によって遮風状態に切り換えると、冷却ファン(12)による吸入風を遮断し、送風手段(20)によって防塵ネット(16)の内側から外側へ送風して、防塵ネット(16)の外側面に付着している塵埃を除去することができる。この際、送風手段(20)によって上方から下方へ送風するので、防塵ネット(16)に付着した塵埃は、防塵ネット(16)の外側下方に向かって落下するので、除去した塵埃の再付着を防止でき、ラジエータ(13)の冷却効率を高めることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の間に風路を夫々形成することで送風許容状態に切り換わるので、このシャッタ板(19,…)が冷却ファン(12)によって吸入される外気の流れの抵抗になりにくく、ラジエータ(13)の冷却効率を高めることができる。また、複数のシャッタ板(19,…)を夫々縦姿勢に姿勢変更して上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部どうしが夫々接することで遮風状態に切り換わるので、冷却ファン(12)によって吸入される外気を確実に遮断でき、塵埃の除去効果を高めることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によると、上記請求項2記載の発明の効果に加えて、送風許容状態において、各シャッタ板(19,…)が防塵ネット(16)側が低い傾斜姿勢となるので、降雨時等、冷却ファン(12)による吸入風と共に防塵ネット(16)の内側に水滴が侵入するような作業条件においても、シャッタ板(19,…)に付着した水滴を防塵ネット(16)側に落とすことができ、ラジエータ(13)への水滴付着を防止して該ラジエータ(13)の錆等による腐食を防ぎ、冷却効率と耐久性を高めることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によると、上記請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加え、各シャッタ板(19,…)の上下端部に介装した弾性体(32)によって、遮風状態での各シャッタ板(19,…)間の風の漏れを防止し、防塵ネット(16)の除塵効果を高めて、ラジエータ(13)の冷却効率を高めることができる。
【0015】
請求項5記載の発明によると、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の発明の効果に加え、遮風状態において送風手段(20)を作動させても、下側ネット(16b)の外面に付着していた塵埃が上側ネット(16c)に付着せず、効率的に防塵ネット(16)外面の塵埃を除去することができ、ラジエータ(13)の冷却効率を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】操縦部、エンジン部の側面図である。
【図4】操縦部、エンジン部の正面図である。
【図5】防塵ネット部の正面図である。
【図6】防塵ネット部の側面図である。
【図7】防塵ネット部の正面図である。
【図8】ラジエータ部の斜視図である。
【図9】ラジエータの正面図、側面図である。
【図10】ラジエータの正面図、側面図である。
【図11】エンジン、脱穀部の側面図である。
【図12】コンバインの一部を省略した平面図である。
【図13】脱穀部の切断側面図である。
【図14】コンバインの一部を省略した背面図である。
【図15】脱穀部の選別風路部の斜視図である。
【図16】エンジンと燃料タンク部の平面図である。
【図17】エンジンと燃料タンク部の平面図、斜視図、背面図である。
【図18】エンジンと燃料タンク部の平面図、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示すこの発明の実施例について説明する。まず、図1及び図2に基づき本発明を備えたコンバインの全体構成について説明する。
コンバイン1の走行車体2の下方には、左右一対のクローラ走行装置3,3を配設し、走行車体2の右前側部に操縦部4を、その後方にグレンタンク6を配設し、左側部に脱穀部5を配設し、脱穀部5の後方に排藁処理装置7を配設している。操縦部4及び脱穀部5の前方には、植立穀稈を分草し、引起しながら刈取り、後方の脱穀部5に向けて搬送する刈取搬送部8を昇降自在に設けている。
【0018】
次に、図3及び図4に基づき操縦部4及びエンジンEの配置構成について説明する。
操縦部4の運転席10の下方部にエンジンルーム11を設け、エンジンEを配設している。エンジンEの進行方向右外側に冷却ファン12を軸架し、冷却ファン12の右外側にラジエータ13を配設し、ラジエータ13の外側方にオイルクーラ29及びインタクーラ30を配設している。
【0019】
そして、ラジエータカバー14は、図4に示すように、エンジンルーム11の外側枠体に着脱自在に取り付け、その内側部でラジエータ13を覆い、ラジエータカバー14の外側に設けた枠体15に防塵ネット16を張設している。しかして、冷却ファン12の冷却風を防塵ネット16を通過させ除塵しながらエンジンルーム11に供給し、ラジエータ13を冷却するようにしている。
【0020】
前記枠体15には防塵ネット16を設けるにあたり、ラジエータカバー14の下部に対向する下部網面16aと、ラジエータ13の外側部略全面に対向する中間網部(下側ネット)16bと、ラジエータ13上方の空間部に対向する上部網面(上側ネット)16cに分割構成し、これらの間を枠板で仕切っている。
【0021】
この枠体15の中間網面16bの前後両側に前後ステー18,18を配設している。前後ステー18,18には前後方向に長い多数のシャッタ板19,を該シャッタ板19,…の上側部位で前後方向の軸回りに回動自在に軸支し中間網部16bの全体に対向させている。
【0022】
そして、シャッタ板19,…の下側部位を下方に回動して上下方向に沿う姿勢にし、冷却風遮断状態となると、上下に隣接するシャッタ板19,…の上下端部が側面視オーバーラップして接合し冷却風路を閉鎖するようにしている。また、シャッタ板19,…を各々送風方向に沿う姿勢に変更し、送風許容状態となると、上下に隣接するシャッタ板19,…が離間し、内外方向の風路を形成し冷却風が流れるようにしている。
【0023】
この複数のシャッタ板19,…及びその姿勢変更機構を、切換手段Aと総称する。
また、図5及び図6に示すように、前後ステー18,18にシャッタ板19,…の内側上部を前後方向のピン19aで回動自在に軸支し、前後ステー18,18の上部に開閉作動アーム23を前後方向のピン23aで軸支し、この開閉作動アーム23の先端に上下方向に長い連結プレート24をピン連結し、連結プレート24に所定間隔毎に取り付けているピン25,…をシャッタ板19,…の先端部に枢支連結している。
【0024】
前後ステー18,18には円弧状のガイド溝18b,…を所定間隔毎に構成して前記ピン25,…を係合し、操縦部4のレバーを操作し押し引きワイヤ26を介して開閉作動アーム23を回動すると、連結プレート24、ピン25,…を介してシャッタ板19,…が開閉される構成である。
【0025】
また、枠体15における上部網面16cの内側に吸気室72を形成し、下方のエンジンルーム11と仕切っている。上部網面16cに対向する内側部にブロワ(送風手段)20を配設し、ブロワ20の吸気口20aを上部網面16cの内側部に臨ませ、電動モータ(駆動手段)21で駆動し、その吹出し部20bを上側から下側に向け前記シャッタ板19,…に送風するようにしている。
【0026】
前記構成によると、シャッタ板19,…を正面視反時計方向に回動し遮風状態とすると、シャッタ板19,…の下側部には下側ほど外側に向いた傾斜面が形成され、その傾斜面と防塵ネット16の網面との間に所定間隔の上下方向の送風空間が形成される。しかして、ブロワ20からの風が下方に吹き出されると、下側ほど外側に傾斜した傾斜状に沿って防塵ネット16の内側から外側に流れ、防塵ネット16の外側面の塵埃を外側に吹き飛ばし除去することができる。
【0027】
また、シャッタ板19,…の上端側を上部屈折板19bに構成し、シャッタ板19,…が反時計方向に回動して遮風状態となると、上部屈折板19bの上部屈折板19bが隣接するシャッタ板19,…の軸支部近傍の凹部面19cに面接合し、良好な遮風状態となるようにしている。
【0028】
また、図7に示すように、上部屈折板19bが隣接するシャッタ板19,…の軸支部近傍を凹部面19cに構成し、この凹部面19cに面一状にインシュレータ(弾性体)32を取り付けると、インシュレータ32の剥がれを防止しながら接合閉鎖効果を高め、また、シャッタ板19,…の送風許容状態での冷却風の通過を円滑にし、遮風状態での冷却風の漏れを確実に防止し、防塵ネット16の除塵効果を高めることができる。
【0029】
また、エンジン停止時にシャッタ板19,…を送風許容状態としておくと、シャッタ板19,…の上部屈折板19b,…により防塵ネット16を通過した塵埃や水滴を外側下方に案内し、オイルクーラ29、インタクーラ30、ラジエータ13から離れた外側に落下させ、ラジエータ13のコア部の目詰りやサビつきを防止することができる。
【0030】
また、シャッタ板19,…を遮風状態とすると、上ガイド板31の内側端部にシャッタ板19,…の上部屈折板19bが接触し閉鎖するように構成しているので、上部網面16cを通過した外気が上ガイド板31の上面を通ってラジエータ13の外側面部に入りやすくなる。また、冷却ファン12の回転時にも吸引風量の防塵ネット16の通過量を減少させ、ブロワ20の吸入が容易となって風圧を高め、防塵ネット16の除塵効果を高めることができる。
【0031】
従来技術が、ラジエータ13の外側に網部とこの網部の枠部とからなるラジエータカバーを設け、ラジエータカバーの網部に沿って上下方向に直線状に往復移動可能な遮風プレートを設け、網部の遮風プレート密接する部分の吸引風を遮断して塵埃の吸着力を弱め、遮風プレートの外縁部における吸引風の流速を高めて、遮風プレートの往復移動によって外縁部に引き付けられた塵埃を吸引口に誘導する構成が、網体に刺さった藁屑などの除去が困難であり、遮風プレートの面積が狭いために塵埃除去風力が弱く、除塵効果が低いものであるのに対して、前記構成によると、シャッタ板19,…を送風許容状態として隣接するシャッタ板19,…の間に内外方向の風路を形成すると、冷却ファン12による冷却風が外側から内側に流れ、防塵ネット16で塵埃を除去した冷却風がラジエータ13、エンジンルーム11に流れ冷却することができる。
【0032】
また、シャッタ板19,…を遮風状態とし隣接するシャッタ板19,…を互いに接合してラジエータ13を覆い冷却風の外側から内側への流れを阻止し、次いで、電動モータ21でブロワ20を駆動すると、ブロワ20の吹出し部20bから上側から下側に向け風が吹き出され、シャッタ板19,…の下側ほど外側に傾斜した傾斜面により防塵ネット16の内側から外側に向けて送風し、防塵ネット16の外側面に付着している塵埃を除去することができる。
【0033】
また、ブロワ20からの強い風がシャッタ板19,…に沿って上側から下側に流れ下側ほど外側に傾斜している傾斜面に案内されて防塵ネット16に流れ、外側面に付着している塵埃を遠く下方へ排出し、防塵ネット16に再度付着することもなく効率的に除去することができる。
【0034】
次に、図8に基づきラジエータ13のコア部の除塵構成について説明する。
エンジンEのプーリ41からベルト伝動装置42を介してコンプレッサ43に動力を伝達し、コンプレッサ43からエアタンク44に空気を送り込み高圧空気を蓄える。そして、圧力センサ45でエアタンク44内の圧力を検出し所定値以上の圧力を検出すると、コントローラからの制御信号によりレギュレータ型バルブ46を開調節し、コアホース47に高圧空気を連続的にあるいは間欠的に送り、エアノズル48,…からラジエータ13のコア部に高圧空気を噴出し、滞積している塵埃を除去するようにしている。前記構成によると、ラジエータ13の目詰りを防止し、ラジエータ13の冷却性能を高めエンジンEのオーバーヒートを防止することができる。
【0035】
次に、図9により他の実施例について説明する。
エンジンEの冷却ファン12の外側にラジエータ13を対向配置し、ラジエータ13の外側に回転スクリーン51を配設している。この回転スクリーン51は、ラジエータ13のフレーム部に内外方向に沿うように遊転自在に軸支されているスクリーン軸51aと、スクリーン軸51aに取り付けたスクリーン51bと、スクリーン軸51aにおけるスクリーン51bの内側に固着している複数の羽根51cとで、構成している。そして、このスクリーン軸51aを内外方向(図9(A)の左右方向)に沿わせてラジエータ13のコア部中心部に対向配置し、スクリーン51bの中心を外側に膨出し、周辺部を内側に位置する円錐面に構成し、網面あるいは目抜き板で構成している。
【0036】
前記構成によると、冷却ファン12の回転により外側から内側に流れる冷却風により羽根51c、…が高速で回転し、スクリーン51cも高速で回転する。しかして、スクリーン51bの外側面に付着した塵埃を回転による遠心力で外周に飛ばして除塵し、冷却風とともに塵埃はラジエータ13の周辺部を通りエンジンEの周辺部を通り機外へ排出され、ラジエータ13の冷却効果を維持することができる。また、スクリーン51bの中心が外側に膨出し周辺部が内側に位置する円錐面に構成したので、塵埃の外周部への移動を円滑化し、除塵効果を高めることができる。
【0037】
また、図10に示すように、電動モータ52でスクリーン軸51aを駆動し回転スクリーン51及び羽根51cを回転するように構成してもよい。このように構成すると、羽根51cでラジエータ13に送風し、ラジエータ13の冷却効果を高めることができる。
【0038】
次に、図11〜図15に基づきコモンレール式燃料噴射装置を備えたコンバインのエンジンの燃料配管構成におけるエンジンEと燃料タンク61との間の燃料循環冷却構成について説明する。
【0039】
脱穀部5の唐箕ケース5aから選別風の流れる選別風路底板5bにおける一番受樋5c近傍の後上り傾斜面部5d下方に、燃料冷却装置62を配置している。この燃料冷却装置62は、底板62aに多数の冷却フィン62b,…を所定間隔毎に平行状に突出して構成し、例えばアルミなどの熱伝導率の良い材質で構成している。そして、冷却フィン62b,…を選別風路底板5bから選別風路内に突出し、選別風の流れる前後方向に沿わせて配設し選別風により冷却するようにしている。
【0040】
燃料タンク61を走行車体2の後部に設け、機体前側部の操縦部4下方にエンジンEを配設し、燃料タンク61とエンジンEとの間を燃料送りパイプ64と燃料戻りパイプ65とで接続し循環可能に構成している。そして、サブライポンプで高圧燃料を蓄圧室に送り、エンジンコントローラの制御で適切なタイミングで蓄圧室から各バルブに噴射するようにしている。また、燃料戻りパイプ65の中途部を迂回して前記燃料冷却装置62の例えば底板62aの下面に接触配置し、エンジンEからの戻り燃料を燃料冷却装置62を経由して冷却し、燃料タンク61に戻るようにしている。
【0041】
前記構成によると、燃料冷却装置62を脱穀部5の選別風路底板5bの下方で、且つ、選別風路底板5bの一番受樋5c近傍の後上り傾斜面部5d下方に配置しているので、藁屑類の飛散が少なく、クローラ走行装置3,3から跳ね上げられる小石や泥水等の影響を受けにくく、燃料冷却装置62、燃料戻りパイプ65の耐久性を高めながら戻り燃料を冷却することができる。また、脱穀物を選別する唐箕ケース5aの選別風を利用して燃料を冷却するので、特別な冷却手段を必要とせずコストの低減を図ることができる。また、燃料冷却装置62の冷却フィン62b,…を選別風路の前後方向に対して傾斜状に配置し、被選別物の多い部位に選別風を多く送り、選別性能を向上させたり、燃料冷却フィン62b,…の冷却効果を高めることもできる。
【0042】
次に、図16に基づき他の実施例について説明する。
エンジンルーム11にエンジンEを配設し、エンジンEの進行方向右外側に冷却ファン12を軸架し、冷却ファン12の右外側にラジエータ13を配設し、ラジエータカバー14の外側の枠体15に防塵ネット16を張設している。枠体15の防塵ネット16の側方に吸入口71aを設けている。枠体15の防塵ネット16の側方にサブ冷却風路71を設け、冷却ファン12の冷却風が外側から内側に冷却風が流れるように構成し、防塵ネット16の外側面から流れた塵埃をサブ冷却風路71に導き、ラジエータ13の側方を通してエンジンルーム11に流れるように構成している。
【0043】
また、燃料タンク61とエンジンEとの間を燃料送りパイプ64と燃料戻りパイプ65とで燃料が循環可能に接続し、燃料戻りパイプ65の中途迂回部に設けた前記燃料冷却装置62をサブ冷却風路71の吹出し口71bに臨ませて配置し、エンジンEからの戻り燃料を燃料冷却装置62、サブ冷却風路71の冷却風で冷却し、燃料タンク61に戻るようにしている。
【0044】
前記構成によると、ラジエータ13の水温上昇などの影響を受けずにサブ冷却風路71を流れる冷却風により戻り燃料を確実に冷却し、エンジンEでの燃料の燃焼性能を高めることができる。
【0045】
また、図17に示すように、サブ冷却風路71の内側面に燃料戻りパイプ65をジグザグ状に配設し、戻り燃料を冷却するようにしてもよい。
また、図18に示すように、サブ冷却風路71内にフィン65a,…付きの燃料戻りパイプ65を配設し、戻り燃料を冷却するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
11 エンジンルーム
12 冷却ファン
13 ラジエータ
16 防塵ネット
16b 下側ネット
16c 上側ネット
19 シャッタ板
20 ブロワ(送風手段)
20a 吸込口
32 弾性体
72 吸気室
A 切換手段
E エンジン
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業車両の原動部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、コンバイン等の作業車両におけるラジエータの防塵ネットの除塵装置において、ラジエータの外側に防塵ネットを設け、この防塵ネットの内側面に沿って上下方向あるいは前後方向に直線状に往復移動する遮風プレートを設け、防塵ネットに付着した塵埃を除去する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−262747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された技術では、防塵ネットの内側面に沿って遮風プレートを直線状に往復移動させ、この遮風プレートが密接する防塵ネット上の部位での吸入風を遮断して塵埃の吸着力を弱め、遮風プレートの外縁部における吸引風の流速が高まることで、この遮風プレートの外縁部に引き付けられた塵埃を遮風プレートの移動によって塵埃除去用の吸引口に誘導する構成である。このため、防塵ネットに刺さった藁屑などの除去が困難であり、遮風プレートの面積が狭いために除塵効果が低いという問題点があった。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、次の技術的手段を講じた。
請求項1記載の発明は、エンジンルーム(11)の内部に設けたエンジン(E)の外側に冷却ファン(12)を設け、該冷却ファン(12)の外側にラジエータ(13)を設け、該ラジエータ(13)の外側方に防塵ネット(16)を設け、該ラジエータ(13)と防塵ネット(16)との間に、前記冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を許容する送風許容状態と、冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を遮断する遮風状態とに切り換え可能な切換手段(A)を設け、前記防塵ネット(16)と切換手段(A)の間の空間部に上方から下方に向けて送風する送風手段(20)を設け、前記切換手段(A)が遮風状態に切り換わった状態において送風手段(20)が作動する構成としたことを特徴とする作業車両の原動部構造とした。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記切換手段(A)を、上下方向に所定間隔を空けて複数設けた姿勢変更自在なシャッタ板(19,…)で構成し、該複数のシャッタ板(19,…)を冷却ファン(12)によって吸入される外気の流れに沿う横姿勢に姿勢変更して、上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の間に風路を夫々形成することで送風許容状態に切り換わり、該複数のシャッタ板(19,…)を夫々縦姿勢に姿勢変更して上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部どうしが夫々接することで遮風状態に切り換わる構成としたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の原動部構造とした。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記送風許容状態において、各シャッタ板(19,…)が防塵ネット(16)側が低い傾斜姿勢となる構成としたことを特徴とする請求項2記載の作業車両の原動部構造とした。
【0009】
請求項4記載の発明は、上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部間に弾性体(32)を介装したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の作業車両の原動部構造とした。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記防塵ネット(16)を、エンジンルーム(11)の側方に配置した下側ネット(16b)と、エンジンルーム(11)の上側の吸気室(72)に配置した上側ネット(16c)とより構成し、前記送風手段(20)の吸込口(20a)を上側ネット(16c)の内側に配置したことを特徴とする請求項1から請求項4いずれか一項に記載の作業車両の原動部構造とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によると、切換手段(A)によって送風許容状態に切り換えると、冷却ファン(12)の回転により、防塵ネット(16)の外側から内側に外気を吸入してラジエータ(13)を冷却することができる。そして、切換手段(A)によって遮風状態に切り換えると、冷却ファン(12)による吸入風を遮断し、送風手段(20)によって防塵ネット(16)の内側から外側へ送風して、防塵ネット(16)の外側面に付着している塵埃を除去することができる。この際、送風手段(20)によって上方から下方へ送風するので、防塵ネット(16)に付着した塵埃は、防塵ネット(16)の外側下方に向かって落下するので、除去した塵埃の再付着を防止でき、ラジエータ(13)の冷却効率を高めることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の間に風路を夫々形成することで送風許容状態に切り換わるので、このシャッタ板(19,…)が冷却ファン(12)によって吸入される外気の流れの抵抗になりにくく、ラジエータ(13)の冷却効率を高めることができる。また、複数のシャッタ板(19,…)を夫々縦姿勢に姿勢変更して上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部どうしが夫々接することで遮風状態に切り換わるので、冷却ファン(12)によって吸入される外気を確実に遮断でき、塵埃の除去効果を高めることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によると、上記請求項2記載の発明の効果に加えて、送風許容状態において、各シャッタ板(19,…)が防塵ネット(16)側が低い傾斜姿勢となるので、降雨時等、冷却ファン(12)による吸入風と共に防塵ネット(16)の内側に水滴が侵入するような作業条件においても、シャッタ板(19,…)に付着した水滴を防塵ネット(16)側に落とすことができ、ラジエータ(13)への水滴付着を防止して該ラジエータ(13)の錆等による腐食を防ぎ、冷却効率と耐久性を高めることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によると、上記請求項2又は請求項3記載の発明の効果に加え、各シャッタ板(19,…)の上下端部に介装した弾性体(32)によって、遮風状態での各シャッタ板(19,…)間の風の漏れを防止し、防塵ネット(16)の除塵効果を高めて、ラジエータ(13)の冷却効率を高めることができる。
【0015】
請求項5記載の発明によると、請求項1から請求項4いずれか一項に記載の発明の効果に加え、遮風状態において送風手段(20)を作動させても、下側ネット(16b)の外面に付着していた塵埃が上側ネット(16c)に付着せず、効率的に防塵ネット(16)外面の塵埃を除去することができ、ラジエータ(13)の冷却効率を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】操縦部、エンジン部の側面図である。
【図4】操縦部、エンジン部の正面図である。
【図5】防塵ネット部の正面図である。
【図6】防塵ネット部の側面図である。
【図7】防塵ネット部の正面図である。
【図8】ラジエータ部の斜視図である。
【図9】ラジエータの正面図、側面図である。
【図10】ラジエータの正面図、側面図である。
【図11】エンジン、脱穀部の側面図である。
【図12】コンバインの一部を省略した平面図である。
【図13】脱穀部の切断側面図である。
【図14】コンバインの一部を省略した背面図である。
【図15】脱穀部の選別風路部の斜視図である。
【図16】エンジンと燃料タンク部の平面図である。
【図17】エンジンと燃料タンク部の平面図、斜視図、背面図である。
【図18】エンジンと燃料タンク部の平面図、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に示すこの発明の実施例について説明する。まず、図1及び図2に基づき本発明を備えたコンバインの全体構成について説明する。
コンバイン1の走行車体2の下方には、左右一対のクローラ走行装置3,3を配設し、走行車体2の右前側部に操縦部4を、その後方にグレンタンク6を配設し、左側部に脱穀部5を配設し、脱穀部5の後方に排藁処理装置7を配設している。操縦部4及び脱穀部5の前方には、植立穀稈を分草し、引起しながら刈取り、後方の脱穀部5に向けて搬送する刈取搬送部8を昇降自在に設けている。
【0018】
次に、図3及び図4に基づき操縦部4及びエンジンEの配置構成について説明する。
操縦部4の運転席10の下方部にエンジンルーム11を設け、エンジンEを配設している。エンジンEの進行方向右外側に冷却ファン12を軸架し、冷却ファン12の右外側にラジエータ13を配設し、ラジエータ13の外側方にオイルクーラ29及びインタクーラ30を配設している。
【0019】
そして、ラジエータカバー14は、図4に示すように、エンジンルーム11の外側枠体に着脱自在に取り付け、その内側部でラジエータ13を覆い、ラジエータカバー14の外側に設けた枠体15に防塵ネット16を張設している。しかして、冷却ファン12の冷却風を防塵ネット16を通過させ除塵しながらエンジンルーム11に供給し、ラジエータ13を冷却するようにしている。
【0020】
前記枠体15には防塵ネット16を設けるにあたり、ラジエータカバー14の下部に対向する下部網面16aと、ラジエータ13の外側部略全面に対向する中間網部(下側ネット)16bと、ラジエータ13上方の空間部に対向する上部網面(上側ネット)16cに分割構成し、これらの間を枠板で仕切っている。
【0021】
この枠体15の中間網面16bの前後両側に前後ステー18,18を配設している。前後ステー18,18には前後方向に長い多数のシャッタ板19,を該シャッタ板19,…の上側部位で前後方向の軸回りに回動自在に軸支し中間網部16bの全体に対向させている。
【0022】
そして、シャッタ板19,…の下側部位を下方に回動して上下方向に沿う姿勢にし、冷却風遮断状態となると、上下に隣接するシャッタ板19,…の上下端部が側面視オーバーラップして接合し冷却風路を閉鎖するようにしている。また、シャッタ板19,…を各々送風方向に沿う姿勢に変更し、送風許容状態となると、上下に隣接するシャッタ板19,…が離間し、内外方向の風路を形成し冷却風が流れるようにしている。
【0023】
この複数のシャッタ板19,…及びその姿勢変更機構を、切換手段Aと総称する。
また、図5及び図6に示すように、前後ステー18,18にシャッタ板19,…の内側上部を前後方向のピン19aで回動自在に軸支し、前後ステー18,18の上部に開閉作動アーム23を前後方向のピン23aで軸支し、この開閉作動アーム23の先端に上下方向に長い連結プレート24をピン連結し、連結プレート24に所定間隔毎に取り付けているピン25,…をシャッタ板19,…の先端部に枢支連結している。
【0024】
前後ステー18,18には円弧状のガイド溝18b,…を所定間隔毎に構成して前記ピン25,…を係合し、操縦部4のレバーを操作し押し引きワイヤ26を介して開閉作動アーム23を回動すると、連結プレート24、ピン25,…を介してシャッタ板19,…が開閉される構成である。
【0025】
また、枠体15における上部網面16cの内側に吸気室72を形成し、下方のエンジンルーム11と仕切っている。上部網面16cに対向する内側部にブロワ(送風手段)20を配設し、ブロワ20の吸気口20aを上部網面16cの内側部に臨ませ、電動モータ(駆動手段)21で駆動し、その吹出し部20bを上側から下側に向け前記シャッタ板19,…に送風するようにしている。
【0026】
前記構成によると、シャッタ板19,…を正面視反時計方向に回動し遮風状態とすると、シャッタ板19,…の下側部には下側ほど外側に向いた傾斜面が形成され、その傾斜面と防塵ネット16の網面との間に所定間隔の上下方向の送風空間が形成される。しかして、ブロワ20からの風が下方に吹き出されると、下側ほど外側に傾斜した傾斜状に沿って防塵ネット16の内側から外側に流れ、防塵ネット16の外側面の塵埃を外側に吹き飛ばし除去することができる。
【0027】
また、シャッタ板19,…の上端側を上部屈折板19bに構成し、シャッタ板19,…が反時計方向に回動して遮風状態となると、上部屈折板19bの上部屈折板19bが隣接するシャッタ板19,…の軸支部近傍の凹部面19cに面接合し、良好な遮風状態となるようにしている。
【0028】
また、図7に示すように、上部屈折板19bが隣接するシャッタ板19,…の軸支部近傍を凹部面19cに構成し、この凹部面19cに面一状にインシュレータ(弾性体)32を取り付けると、インシュレータ32の剥がれを防止しながら接合閉鎖効果を高め、また、シャッタ板19,…の送風許容状態での冷却風の通過を円滑にし、遮風状態での冷却風の漏れを確実に防止し、防塵ネット16の除塵効果を高めることができる。
【0029】
また、エンジン停止時にシャッタ板19,…を送風許容状態としておくと、シャッタ板19,…の上部屈折板19b,…により防塵ネット16を通過した塵埃や水滴を外側下方に案内し、オイルクーラ29、インタクーラ30、ラジエータ13から離れた外側に落下させ、ラジエータ13のコア部の目詰りやサビつきを防止することができる。
【0030】
また、シャッタ板19,…を遮風状態とすると、上ガイド板31の内側端部にシャッタ板19,…の上部屈折板19bが接触し閉鎖するように構成しているので、上部網面16cを通過した外気が上ガイド板31の上面を通ってラジエータ13の外側面部に入りやすくなる。また、冷却ファン12の回転時にも吸引風量の防塵ネット16の通過量を減少させ、ブロワ20の吸入が容易となって風圧を高め、防塵ネット16の除塵効果を高めることができる。
【0031】
従来技術が、ラジエータ13の外側に網部とこの網部の枠部とからなるラジエータカバーを設け、ラジエータカバーの網部に沿って上下方向に直線状に往復移動可能な遮風プレートを設け、網部の遮風プレート密接する部分の吸引風を遮断して塵埃の吸着力を弱め、遮風プレートの外縁部における吸引風の流速を高めて、遮風プレートの往復移動によって外縁部に引き付けられた塵埃を吸引口に誘導する構成が、網体に刺さった藁屑などの除去が困難であり、遮風プレートの面積が狭いために塵埃除去風力が弱く、除塵効果が低いものであるのに対して、前記構成によると、シャッタ板19,…を送風許容状態として隣接するシャッタ板19,…の間に内外方向の風路を形成すると、冷却ファン12による冷却風が外側から内側に流れ、防塵ネット16で塵埃を除去した冷却風がラジエータ13、エンジンルーム11に流れ冷却することができる。
【0032】
また、シャッタ板19,…を遮風状態とし隣接するシャッタ板19,…を互いに接合してラジエータ13を覆い冷却風の外側から内側への流れを阻止し、次いで、電動モータ21でブロワ20を駆動すると、ブロワ20の吹出し部20bから上側から下側に向け風が吹き出され、シャッタ板19,…の下側ほど外側に傾斜した傾斜面により防塵ネット16の内側から外側に向けて送風し、防塵ネット16の外側面に付着している塵埃を除去することができる。
【0033】
また、ブロワ20からの強い風がシャッタ板19,…に沿って上側から下側に流れ下側ほど外側に傾斜している傾斜面に案内されて防塵ネット16に流れ、外側面に付着している塵埃を遠く下方へ排出し、防塵ネット16に再度付着することもなく効率的に除去することができる。
【0034】
次に、図8に基づきラジエータ13のコア部の除塵構成について説明する。
エンジンEのプーリ41からベルト伝動装置42を介してコンプレッサ43に動力を伝達し、コンプレッサ43からエアタンク44に空気を送り込み高圧空気を蓄える。そして、圧力センサ45でエアタンク44内の圧力を検出し所定値以上の圧力を検出すると、コントローラからの制御信号によりレギュレータ型バルブ46を開調節し、コアホース47に高圧空気を連続的にあるいは間欠的に送り、エアノズル48,…からラジエータ13のコア部に高圧空気を噴出し、滞積している塵埃を除去するようにしている。前記構成によると、ラジエータ13の目詰りを防止し、ラジエータ13の冷却性能を高めエンジンEのオーバーヒートを防止することができる。
【0035】
次に、図9により他の実施例について説明する。
エンジンEの冷却ファン12の外側にラジエータ13を対向配置し、ラジエータ13の外側に回転スクリーン51を配設している。この回転スクリーン51は、ラジエータ13のフレーム部に内外方向に沿うように遊転自在に軸支されているスクリーン軸51aと、スクリーン軸51aに取り付けたスクリーン51bと、スクリーン軸51aにおけるスクリーン51bの内側に固着している複数の羽根51cとで、構成している。そして、このスクリーン軸51aを内外方向(図9(A)の左右方向)に沿わせてラジエータ13のコア部中心部に対向配置し、スクリーン51bの中心を外側に膨出し、周辺部を内側に位置する円錐面に構成し、網面あるいは目抜き板で構成している。
【0036】
前記構成によると、冷却ファン12の回転により外側から内側に流れる冷却風により羽根51c、…が高速で回転し、スクリーン51cも高速で回転する。しかして、スクリーン51bの外側面に付着した塵埃を回転による遠心力で外周に飛ばして除塵し、冷却風とともに塵埃はラジエータ13の周辺部を通りエンジンEの周辺部を通り機外へ排出され、ラジエータ13の冷却効果を維持することができる。また、スクリーン51bの中心が外側に膨出し周辺部が内側に位置する円錐面に構成したので、塵埃の外周部への移動を円滑化し、除塵効果を高めることができる。
【0037】
また、図10に示すように、電動モータ52でスクリーン軸51aを駆動し回転スクリーン51及び羽根51cを回転するように構成してもよい。このように構成すると、羽根51cでラジエータ13に送風し、ラジエータ13の冷却効果を高めることができる。
【0038】
次に、図11〜図15に基づきコモンレール式燃料噴射装置を備えたコンバインのエンジンの燃料配管構成におけるエンジンEと燃料タンク61との間の燃料循環冷却構成について説明する。
【0039】
脱穀部5の唐箕ケース5aから選別風の流れる選別風路底板5bにおける一番受樋5c近傍の後上り傾斜面部5d下方に、燃料冷却装置62を配置している。この燃料冷却装置62は、底板62aに多数の冷却フィン62b,…を所定間隔毎に平行状に突出して構成し、例えばアルミなどの熱伝導率の良い材質で構成している。そして、冷却フィン62b,…を選別風路底板5bから選別風路内に突出し、選別風の流れる前後方向に沿わせて配設し選別風により冷却するようにしている。
【0040】
燃料タンク61を走行車体2の後部に設け、機体前側部の操縦部4下方にエンジンEを配設し、燃料タンク61とエンジンEとの間を燃料送りパイプ64と燃料戻りパイプ65とで接続し循環可能に構成している。そして、サブライポンプで高圧燃料を蓄圧室に送り、エンジンコントローラの制御で適切なタイミングで蓄圧室から各バルブに噴射するようにしている。また、燃料戻りパイプ65の中途部を迂回して前記燃料冷却装置62の例えば底板62aの下面に接触配置し、エンジンEからの戻り燃料を燃料冷却装置62を経由して冷却し、燃料タンク61に戻るようにしている。
【0041】
前記構成によると、燃料冷却装置62を脱穀部5の選別風路底板5bの下方で、且つ、選別風路底板5bの一番受樋5c近傍の後上り傾斜面部5d下方に配置しているので、藁屑類の飛散が少なく、クローラ走行装置3,3から跳ね上げられる小石や泥水等の影響を受けにくく、燃料冷却装置62、燃料戻りパイプ65の耐久性を高めながら戻り燃料を冷却することができる。また、脱穀物を選別する唐箕ケース5aの選別風を利用して燃料を冷却するので、特別な冷却手段を必要とせずコストの低減を図ることができる。また、燃料冷却装置62の冷却フィン62b,…を選別風路の前後方向に対して傾斜状に配置し、被選別物の多い部位に選別風を多く送り、選別性能を向上させたり、燃料冷却フィン62b,…の冷却効果を高めることもできる。
【0042】
次に、図16に基づき他の実施例について説明する。
エンジンルーム11にエンジンEを配設し、エンジンEの進行方向右外側に冷却ファン12を軸架し、冷却ファン12の右外側にラジエータ13を配設し、ラジエータカバー14の外側の枠体15に防塵ネット16を張設している。枠体15の防塵ネット16の側方に吸入口71aを設けている。枠体15の防塵ネット16の側方にサブ冷却風路71を設け、冷却ファン12の冷却風が外側から内側に冷却風が流れるように構成し、防塵ネット16の外側面から流れた塵埃をサブ冷却風路71に導き、ラジエータ13の側方を通してエンジンルーム11に流れるように構成している。
【0043】
また、燃料タンク61とエンジンEとの間を燃料送りパイプ64と燃料戻りパイプ65とで燃料が循環可能に接続し、燃料戻りパイプ65の中途迂回部に設けた前記燃料冷却装置62をサブ冷却風路71の吹出し口71bに臨ませて配置し、エンジンEからの戻り燃料を燃料冷却装置62、サブ冷却風路71の冷却風で冷却し、燃料タンク61に戻るようにしている。
【0044】
前記構成によると、ラジエータ13の水温上昇などの影響を受けずにサブ冷却風路71を流れる冷却風により戻り燃料を確実に冷却し、エンジンEでの燃料の燃焼性能を高めることができる。
【0045】
また、図17に示すように、サブ冷却風路71の内側面に燃料戻りパイプ65をジグザグ状に配設し、戻り燃料を冷却するようにしてもよい。
また、図18に示すように、サブ冷却風路71内にフィン65a,…付きの燃料戻りパイプ65を配設し、戻り燃料を冷却するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
11 エンジンルーム
12 冷却ファン
13 ラジエータ
16 防塵ネット
16b 下側ネット
16c 上側ネット
19 シャッタ板
20 ブロワ(送風手段)
20a 吸込口
32 弾性体
72 吸気室
A 切換手段
E エンジン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルーム(11)の内部に設けたエンジン(E)の外側に冷却ファン(12)を設け、該冷却ファン(12)の外側にラジエータ(13)を設け、該ラジエータ(13)の外側方に防塵ネット(16)を設け、該ラジエータ(13)と防塵ネット(16)との間に、前記冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を許容する送風許容状態と、冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を遮断する遮風状態とに切り換え可能な切換手段(A)を設け、前記防塵ネット(16)と切換手段(A)の間の空間部に上方から下方に向けて送風する送風手段(20)を設け、前記切換手段(A)が遮風状態に切り換わった状態において送風手段(20)が作動する構成としたことを特徴とする作業車両の原動部構造。
【請求項2】
前記切換手段(A)を、上下方向に所定間隔を空けて複数設けた姿勢変更自在なシャッタ板(19,…)で構成し、該複数のシャッタ板(19,…)を冷却ファン(12)によって吸入される外気の流れに沿う横姿勢に姿勢変更して、上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の間に風路を夫々形成することで送風許容状態に切り換わり、該複数のシャッタ板(19,…)を夫々縦姿勢に姿勢変更して上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部どうしが夫々接することで遮風状態に切り換わる構成としたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の原動部構造。
【請求項3】
前記送風許容状態において、各シャッタ板(19,…)が防塵ネット(16)側が低い傾斜姿勢となる構成としたことを特徴とする請求項2記載の作業車両の原動部構造。
【請求項4】
上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部間に弾性体(32)を介装したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の作業車両の原動部構造。
【請求項5】
前記防塵ネット(16)を、エンジンルーム(11)の側方に配置した下側ネット(16b)と、エンジンルーム(11)の上側の吸気室(72)に配置した上側ネット(16c)とより構成し、前記送風手段(20)の吸込口(20a)を上側ネット(16c)の内側に配置したことを特徴とする請求項1から請求項4いずれか一項に記載の作業車両の原動部構造。
【請求項1】
エンジンルーム(11)の内部に設けたエンジン(E)の外側に冷却ファン(12)を設け、該冷却ファン(12)の外側にラジエータ(13)を設け、該ラジエータ(13)の外側方に防塵ネット(16)を設け、該ラジエータ(13)と防塵ネット(16)との間に、前記冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を許容する送風許容状態と、冷却ファン(12)によって防塵ネット(16)の外側から内側へ吸入される外気の通過を遮断する遮風状態とに切り換え可能な切換手段(A)を設け、前記防塵ネット(16)と切換手段(A)の間の空間部に上方から下方に向けて送風する送風手段(20)を設け、前記切換手段(A)が遮風状態に切り換わった状態において送風手段(20)が作動する構成としたことを特徴とする作業車両の原動部構造。
【請求項2】
前記切換手段(A)を、上下方向に所定間隔を空けて複数設けた姿勢変更自在なシャッタ板(19,…)で構成し、該複数のシャッタ板(19,…)を冷却ファン(12)によって吸入される外気の流れに沿う横姿勢に姿勢変更して、上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の間に風路を夫々形成することで送風許容状態に切り換わり、該複数のシャッタ板(19,…)を夫々縦姿勢に姿勢変更して上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部どうしが夫々接することで遮風状態に切り換わる構成としたことを特徴とする請求項1記載の作業車両の原動部構造。
【請求項3】
前記送風許容状態において、各シャッタ板(19,…)が防塵ネット(16)側が低い傾斜姿勢となる構成としたことを特徴とする請求項2記載の作業車両の原動部構造。
【請求項4】
上下に隣接する各シャッタ板(19,…)の上下端部間に弾性体(32)を介装したことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の作業車両の原動部構造。
【請求項5】
前記防塵ネット(16)を、エンジンルーム(11)の側方に配置した下側ネット(16b)と、エンジンルーム(11)の上側の吸気室(72)に配置した上側ネット(16c)とより構成し、前記送風手段(20)の吸込口(20a)を上側ネット(16c)の内側に配置したことを特徴とする請求項1から請求項4いずれか一項に記載の作業車両の原動部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図9】
【図10】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−71745(P2012−71745A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219041(P2010−219041)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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