説明

作業車両の無段変速操作装置

【課題】本発明では、作業車両に乗った作業者が走行速度の変更・維持が容易に出来ることを課題とする。
【解決手段】操縦席に座った作業者がグリップ部を片手で握って操作可能な位置に走行制御レバーを起立して設け、該走行制御レバーは中立位置で一定走行速度を維持する構成とし、走行制御レバーを前方に倒すと増速し、後方へ倒すと減速するように設定したことを特徴とする作業車両の無段変速操作装置とする。また、走行制御レバーのグリップ部に無段変速機構の制御設定を変更する複数のスイッチ類を設け、該複数のスイッチ類を指先で操作可能に設けた作業車両の無段変速操作装置とする。また、走行制御レバーのグリップ部に設けるスイッチ類として複数の作業条件に応じた速度をそれぞれ設定するアクセルメモリBスイッチとアクセルメモリAスイッチを設けたことを特徴とする作業車両の無段変速操作装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の無段変速操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両の走行装置は、ディーゼルエンジンで駆動され、駆動力伝動経路に無段変速装置を配置して走行変速域を幅広くしている。
そして、変速手段として前進ペダルと後進ペダルが設けられ、それぞれを踏み込むと前進側或いは後進側で高速に変速されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−24275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業車両は、凹凸の多い路面や圃場を走行しながら作業機を駆動するが、揺れる車体上の前進ペダルと後進ペダルを一定角度に踏み込んで走行速度を一定に維持することが困難な場合がある。
【0005】
このために、本発明では、作業車両の揺れる車体上に乗った作業者が走行速度の変更・維持が容易に出来る作業車両の無段変速操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、操縦席16に座った作業者がグリップ部25aを片手で握って操作可能な位置に走行制御レバー25を起立して設け、該走行制御レバー25は中立位置で一定走行速度を維持する構成とし、走行制御レバー25を前方に倒すと増速し、後方へ倒すと減速するように設定したことを特徴とする作業車両の無段変速操作装置とする。
【0007】
この構成で、作業車両の操縦席16に座った作業者が手で走行制御レバー25のグリップ部25aを握ったままで前後に倒すことで車体の揺れに影響を受け難い状態で走行速度の変更が行える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記走行制御レバー25のグリップ部25aに無段変速機構8の制御設定を変更する複数のスイッチ類27,28,29,30,31を設け、該複数のスイッチ類27,28,29,30,31を指先で操作可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の無段変速操作装置とする。
【0009】
この構成で、請求項1の作用に加えて、作業者は走行制御レバー25のグリップ部25aを握ったままで、スイッチ類27,28,29,30,31を指先で操作して無段変速機構8の制御設定を変更出来る。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記走行制御レバー25のグリップ部25aに設けるスイッチ類27,28,29,30,31として複数の作業条件に応じた速度をそれぞれ設定するアクセルメモリBスイッチ29とアクセルメモリAスイッチ30を設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の無段変速操作装置とした。
【0011】
この構成で、請求項1と請求項2の作用に加えて、走行制御レバー25のグリップ部25aを握ったままで、例えば、ロータリ作業や鋤作業に適した走行速度にアクセルメモリBスイッチ29やアクセルメモリAスイッチ30を押して素早く作業を続けられる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明で、走行速度の変更を作業者が走行制御レバー25のグリップ部25aを握って前後に倒すことで行えることで、機体の振動や左右揺動の影響を受け難く、凹凸の多い圃場で一定作業速度を維持し易い。
【0013】
また、請求項2或いは請求項3に記載の発明で、グリップ部25aを握ったままで、走行条件を指先でスイッチ類27,28,29,30,31を操作して変更出来るので、安全に素早く行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】走行速度制御装置の制御ブロック図である。
【図2】(a)走行速度制御装置のシステム構成図、(b)走行速度制御装置の他の実施形態を示すシステム構成図である。
【図3】走行速度制御装置の斜視図である。
【図4】ミッションケースの側面図である。
【図5】ミッションケースの側面図である。
【図6】作業車両の全体側面図である。
【図7】作業車両の全体平面図である。
【図8】作業車両のミッションケース部の側面図である。
【図9】作業車両の前後方向中間部の平面図である。
【図10】走行速度制御装置の斜視図である。
【図11】本発明実施例を示す走行制御レバーの斜視図である。
【図12】別実施例を示す走行制御レバーの斜視図である。
【図13】フルクローラ型トラクタの側面図である。
【図14】電動ロータリ装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
無段変速式作業車両の一例であるトラクタは、操縦部のフロア位置に無段変速機構8を内設した変速伝動装置1を搭載し、その側方位置に前進ペダル1a及び後進ペダル1bを配置する。変速伝動装置1は、エンジン10から伝動される走行動力を無段階に変速して後輪23に伝えて前後進の走行車速を調節し、この変速伝動装置1を前進ペダル1a及び後進ペダル1bのペダル踏み込み操作或いは走行制御レバー25のポテンショセンサ26からの制御信号に応じて変速制御するための走行速度制御装置を設けている。
【0016】
この走行速度制御装置のコントローラ5は、図1の制御ブロック図に示すセンサ信号の入力と制御信号の出力を行う。
コントローラ5の入力側は、前進ペダル1aと後進ペダル1bの踏込み位置を検出するペダルセンサ3sと、走行速度を検出する車速センサ4aと、エンジンスロットルの開度を検出するスロットルセンサ4bと、変速伝動装置1のオイル温度を検出する油温センサ4cと、無段変速機構8のトラニオン軸8aによる速度調節部の回動位置を検出するトラニオンセンサ7sと、走行制御レバー25の回動位置を検出するポテンショセンサ26と、走行制御レバー25の作業位置、路上位置、後進位置への回動をそれぞれ検出する作業位置センサ33と路上位置センサ34と後進位置センサ35と、ロータリ作業に設定するアクセルメモリAスイッチ30と、鋤作業に設定するアクセルメモリBスイッチ29と、エンジン設定回転数を上昇させるメモリアップ調整スイッチ28と、エンジン設定回転数を降下させるメモリダウン調整スイッチ27及び走行速度を自動的に変速する自動変速スイッチ31等である。
【0017】
コントローラ5の出力側は、無段変速機構8のトラニオン軸8aを回動する油圧シリンダ6aの電磁式油圧制御弁6bと、エンジン10の回転速度と制御するエンジンスロットル36である。
【0018】
図2(a)は、前進ペダル1aと後進ペダル1bの走行速度制御装置のシステム構成図である。この走行速度制御システムは、踏込み操作可能に配設した前進ペダル1a及び後進ペダル1bの踏込み動作を検出する入力側と、ペダル操作と対応するように、無段変速機構8の速度調節部を目標速度位置に調節駆動する出力側と、入力側の検出信号に基づいて出力側の機器制御処理を行なうコントローラ5とから構成されている。
【0019】
コントローラ5の入力側は、前進ペダル1a及び後進ペダル1bと、それぞれのペダル1a,1bから連結する前進ロッド2a,後進ロッド2bと、これら前進ロッド2a,後進ロッド2bの進退動作を共通の回動軸3回りに互いに異なる方向の回動動作に変換するクランクレバー3a,3bと、これらクランクレバー3a,3bの回転角によってペダルの踏込み位置を検出するペダルセンサ3sとから構成し、このほか必要により、車速センサ4a,スロットルセンサ4b,油温センサ4c等を設け、それぞれの検出信号をデジタルコントローラ(走行速度制御部)5に入力する。
【0020】
出力側は、電磁式油圧制御弁6bによって伸縮作動するアクチュエータである油圧シリンダ6aと、その伸縮作動を受けて支軸7a回りに回動動作するクランクレバー7と、このクランクレバー7の回動角によってトラニオン軸8aによる速度調節部の回動位置を検出するトラニオンセンサ7sと、クランクレバー7からロッド7bを介して連結する無段変速機構8とから構成する。この無段変速機構8は、HSTと略称される静油圧式前後進無段変速機構であり、その速度調節部であるトラニオン軸8aの回動角度によって伝動速度が調節されることにより、作業車両の前後進と走行速度を無段階に調節する。
【0021】
この場合において、無段変速機構8の調節速度については、他の構成例を図2(b)に示すように、必要により、前記油圧式シリンダ6aに代えて、電動モータ6cを用いてクランクレバー7をギヤ駆動する電動アクチュエータにより構成することができる。
【0022】
次に、前進ペダル1aと後進ペダル1bの具体的な構成について説明する。コントローラ5の入力側については、その斜視図を図3に示すように、前進ペダル1a,後進ペダル1b、前進ロッド2a,後進ロッド2b、回動軸3、クランクレバー3a,3b、及び、ペダルセンサ3sを単一のペダルリンクユニットとして構成し、機体に後付けできるように構成している。
【0023】
このペダルリンクユニットの内部構成は、図4の側面図に示すように、無段変速装置8を内設してトラクタ等の作業車両の速度を調節する変速伝動装置1の側方部において、前進ペダル1a及び後進ペダル1bを共通の支軸1cによって近接して並行配置し、それぞれのペダル1a,1bから連結するアジャスタ付きの前進ロッド2a,後進ロッド2bの後端部にクランクレバー3a,3bを連結し、これらクランクレバー3a,3bは共通の回動軸3回りに前進ロッド2a,後進ロッド2bの進退動作を互いに異なる方向の回動動作に変換し、一体に設けた作用アーム3eにペダルセンサ3sを配置し、その揺動角度を検出する。
【0024】
前記ペダル1a,1bやペダルセンサ3s及び前進ロッド2a,後進ロッド2bは、変速伝動装置1に対してマウント支持されたフロアFに取り付けているので、変速伝動装置1からの振動、即ち、機体側からの振動が抑制され、ペダルセンサ3sの検出精度を向上させることができる。
【0025】
前記ペダルリンクユニットである入力側のユニットは、前進ペダル1a、後進ペダル1bの一方を踏込み操作すると、対応する前進ロッド2a,後進ロッド2b及びクランクレバー3a,3bを介して共通の回動軸3回りに回動され、その作用アーム3eを介してペダルセンサ3sがペダル踏込み操作と対応して移動し回動角度を検出する。また、他方のペダルを踏込み操作すると、対応するクランクレバー3a,3bが逆方向に回動され、その結果ペダルセンサ3sにより逆方向の回動角度が検出される。
【0026】
出力側については、図5に示すように、変速伝動装置1の側面部に沿って油圧シリンダ6aを配置し、そのピストンロッドと連結するクランクレバー7を支軸7aによって軸支し、このクランクレバー7の揺動角度を検出するトラニオンセンサ7sを配置すると共に、このクランクレバー7から枢支延出するロッド7bの前端部に変速伝動装置1のトラニオン軸8aと一体のクランクレバーであるトラニオンアーム8bを連結し、これらを変速伝動装置1の側面部に取り付け構成し、前記入力側のペダルリンクユニットと並ぶように構成している。また、トラニオンアーム8bにはカム8cを形成し、このトラニオンアーム8bをニュートラル位置に復帰させるようにニュートラルスプリング8dによってカム8cに作用するニュートラルアーム8eを付設している。
【0027】
前記出力側の構成により、油圧制御される油圧シリンダ6aのピストンロッドが進退動作すると、クランクレバー7とロッド7bを介してトラニオンアーム8bと一体のトラニオン軸8aが回動されて、変速伝動装置1に内設の無段変速装置8の可変油圧モータの斜板が回動して伝動速度が調節され、トラニオン軸8aの調節位置を検出するトラニオンセンサ7sの信号に基づいて油圧シリンダ6aを伸縮制御することにより、所要の速度調節が可能となる。また、油圧シリンダ6aの制御油圧を開放すると、ニュートラルアーム8eの作用力を受けるカム8cによりトラニオンアーム8bが所定の中立位置に戻されて機体走行が停止する。
【0028】
走行速度制御部5による制御は、前進ペダル1a及び後進ペダル1bの踏込み操作をペダルセンサ3sが検出すると、その信号に応じてトラニオン軸8aの目標速度位置を決定し、トラニオン軸8aが目標速度位置に等しくなるまでトラニオンセンサ7sの信号に基づいて油圧シリンダ6aを電磁式油圧制御弁6bによって制御する。その結果、ペダル操作に応じて機体の走行速度を調節することができる。
【0029】
次に、図6乃至図10に示す前進ペダル1a及び後進ペダル1bの支持構成について説明する。
ミッションケース11の上側にはフロアFを配設し、このフロアFの前側左右中央部からハンドルポスト13を立ち上げ、ハンドルポスト13の上端部にステアリングハンドル14を取り付けると共に、ハンドルポスト13の上面部に操作パネル15を設け、フロアFの後側部には操縦席16を設けている。
【0030】
また、ミッションケース11の上側にはフロアFを配設するにあたり、ミッションケース11の左右中央部を前後方向に突出している突出部11aに構成し、ミッションケース11の左右両側部にフロア取付枠体19を介して左右フロアFa,Fbを取り付けている。そして、左右フロアFa,Fbの後側部に左右フェンダ17a,17bを取り付け、左右フロアFa,Fbの前側部左右両側に左右サイドステップ18a,18bを取り付けている。
【0031】
また、右フロアFbの左右中央部下面にペダル支持用のブラケット12を固着し、このブラケット12に左右方向の回動軸3を右フロアFbの下方部位で、且つ、ミッションケース11の右横側方に位置するように配置し、この回動軸3により前進ペダル1a及び後進ペダル1bを左右に並設状に軸支している。そして、右フロアFbの上側に突出するように前進ペダル1a及び後進ペダル1bの上端延出部に足踏み部を設け、この足踏み部をブラケット12よりも右側へオフセットするように構成している。
【0032】
また、前進ペダル1a,後進ペダル1bの後端部には、前進ロッド2a,後進ロッド2bの前側端部を枢支連結してその後側端部を後方へ延出し、機体内側寄りの前進ペダル1a側にはニュートラル復帰用のスプリング21を取り付け、また、機体外側寄りの後進ロッド2bを右フロアFbより遠くなる下方で且つ左右外側部位に配置している。
【0033】
前記構成によると、機体内側寄りの前進ペダル1aにはニュートラル復帰用のスプリング21を取り付け、機体外側寄りの後進ロッド2bをフロアFより遠くなる下方で且つ左右外側部位に配置することにより、後進ペダル2bの位置調整をスプリング21が邪魔にならずに容易に行なうことができる。
【0034】
また、ミッションケース11の右側前側部にマウントブラケット20を取り付け、このマウントブラケット20には、右フロアFbの下方部位で、且つ、ミッションケース11の下面よりも上方に位置するように、電磁式油圧制御弁6bと、電磁式油圧制御弁6bで伸縮作動する油圧シリンダ6aを取り付けている。なお、このマウントブラケット20には右フロアFbの前側部を支持している。
【0035】
また、ミッションケース11の右側方の右フロアFbの下方位置には、電磁式油圧制御弁6b及び油圧シリンダ6aを配設し、ミッションケース11の左側方の左フロアFaの下方位置には、電磁式油圧制御弁6b制御用のコントローラ5を配設している。
【0036】
また、ミッションケース11の右側方の右フロアFbの下方位置に、ペダルセンサ3s及び油圧シリンダセンサ6sを配設するにあたり、前進ペダル1a,後進ペダル1b及び油圧シリンダ6aの後方で、且つ、右フロアFbの下方近くに配置し、また、ペダルセンサ3s及び油圧シリンダセンサ6sを互いに近接配置している。
【0037】
また、右フロアFbの左右中央部下面にペダル支持用のブラケット12をボルト・ナットで着脱自在に固着し、ブラケット12に前進ペダル1a及び後進ペダル1bを左右並列状態で軸支している。
【0038】
また、ミッションケース11の左右中央部を前後方向に突出した突出部11aに構成し、フロアF取付用のフロア取付枠体19を、前後方向に沿っている左右前後方向取付枠体19f,19fと、左右前後方向取付枠体19f,19fの後端部から下方に延出している左右上下方向取付枠体19r,19rにより側面視でL字型に構成している。この左右前後方向取付枠体19f,19fの前側端部を左右マウントブラケット20,20を介してミッションケース11の左右上部にボルト・ナットで取り付けている。そして、左右前後方向取付枠体19fの中央寄り部分をミッションケース11の中央寄り上部にボルト・ナットで取り付け、左右上下方向取付枠体19r,19rをミッションケース11の後部にボルト・ナットで取り付けている。
【0039】
この左右前後方向取付枠体19f,19fの上面に左右フロアFa,Fbを取り付けている。この右フロアFbの左右中央寄り下面に取り付けているマウントブラケット19aを介して、電磁式油圧制御弁6b及び油圧シリンダ6aを右フロアFbの下方に位置するように取り付けている。また、この右前後方向取付枠体19fの下方部位に取り付けているブラケット12に、前進ペダル1a,後進ペダル1b、前進ロッド2a,後進ロッド2b、クランクレバー3a,3bからなるペダルリンクユニットを取り付けている。また、ミッションケース11の左側方の左フロアFaの下方位置には、電磁式油圧制御弁6b制御用のコントローラ5を配設している。
【0040】
また、無段変速機構8と、前進ペダル1a,後進ペダル1bに連係している前進ロッド2a,後進ロッド2bと、これら前進ロッド2a,後進ロッド2bの進退動作を共通の回動軸3回りに互いに異なる方向の回動動作に変換するクランクレバー3a,3bからなるペダルリンクユニットを、ミッションケース11の右側方に配置し、前進ペダル1a,後進ペダル1bを平面視で無段変速機構8の右外側寄りに配置している。
【0041】
また、ミッションケース11には右フロアFbを取り付け、右フロアFbの左右中央寄り下面に取り付けているブラケット12を介して、ペダルリンクユニットである前進ペダル1a、後進ペダル1bと、前進ロッド2a,後進ロッド2bと、これら前進ロッド2a,後進ロッド2bの進退動作を共通の回動軸3回りに互いに異なる方向の回動動作に変換するクランクレバー3a,3bとを取り付けている。
【0042】
また、ペダルリンクユニットを構成する前進ロッド2a,後進ロッド2bと、これら前進ロッド2a,後進ロッド2bの進退動作を共通の回動軸3回りに互いに異なる方向の回動動作に変換するクランクレバー3a,3bと、クランクレバー3a,3bの回転角によってペダルの踏込み位置を検出するペダルセンサ3sとを、平面視で前輪22及び後輪23の内側寄りに配置している。
【0043】
次に、ハンドルポスト13或いは操縦席16の近傍に設ける走行制御レバー25の構成を、図11と図12で説明する。
図11に示す走行制御レバー25は、前方へ倒すと前進速度を増速し、後方へ倒すと減速して停止を経て後進速度を増速し、前後中立位置で走行速度を維持するようにポテンショセンサ26からコントローラ5へ信号を出力する。
【0044】
また、この走行制御レバー25のグリップ部25aの左側面にはメモリダウン調整スイッチ27とメモリアップ調整スイッチ28を設け、後側面に自動変速スイッチ31を設け、上面にアクセルメモリBスイッチ29とアクセルメモリAスイッチ30を設け、作業者がグリップ部25aを握ったままでこれらのスイッチ類を指先で操作可能にしている。
【0045】
図12に示す別実施例の走行制御レバー25は、変速ガイド溝32に沿ってシフトする走行制御レバー25で、前側の作業位置にシフトすると作業位置センサ33がオンされて作業走行に適した走行速度に設定され、前側の路上走行位置にシフトすると路上位置センサ34がオンされて路上走行に適した走行速度に設定され、後側の後進位置にシフトすると後進位置センサ35がオンされて後進走行に設定される。
【0046】
この走行制御レバー25のグリップ部25aの左側面にはメモリダウン調整スイッチ27とメモリアップ調整スイッチ28を設け、作業位置や路上走行位置や後進位置に走行制御レバー25をシフトした状態でメモリダウン調整スイッチ27とメモリアップ調整スイッチ28を押すとその設定速度を昇降できる。また、グリップ部25aの左側面に設けるアクセルメモリBスイッチ29とアクセルメモリAスイッチ30を走行制御レバー25が中立位置で押すとロータリ作業や鋤作業に適した走行速度に設定される。これらのスイッチ類は作業者がグリップ部25aを握ったままで指先で操作可能にしている。
【0047】
以上の如く、作業者が走行制御レバー25のグリップ部25aを握ったままでメモリダウン調整スイッチ27とメモリアップ調整スイッチ28及びアクセルメモリBスイッチ29とアクセルメモリAスイッチ30を指先で操作可能にしているので、作業条件に適した走行速度や負荷状態に応じたエンジン回転数の変更が適宜に行え、旋回中に走行速度低下させて機体を安定させることも容易に行える。
【0048】
なお、コントローラ5は、前進ペダル1aと後進ペダル1bの踏込みをペダルセンサ3sから入力し、走行制御レバー25の前後回倒信号をポテンショセンサ26から受けてどちらかの信号で制御するのであるが、ポテンショセンサ26からの信号入力が有るとペダルセンサ3sからの信号入力を無視するようにしている。このことで、走行制御レバー25で走行速度の制御を行っている際に誤って前進ペダル1a或いは後進ペダル1bを踏み込むことがあっても走行速度が思いがけなく変化するのを防いでいる。
【0049】
図13は、クローラ走行装置40を電動モータで駆動するフルクローラトラクタで、電動モータに給電するバッテリ43を座席39の支持フレーム41の左右側部で左右フェンダ42の下部に、後方から差し込んで取り付けるようにしている。バッテリ43を左右に設けることでそのバッテリ43を小型化出来て、軽く取り扱いが容易になる。
【0050】
なお、フルクローラトラクタで、クローラ走行装置40の駆動をエンジンで行い、旋回時のみ電動モータの駆動力を利用するようにするか、作業機駆動をエンジンで行いクローラ走行装置40の駆動を全て電動モータで行うと、旋回動作がスムースになる。
【0051】
また、エンジンを騒音の低いガソリンエンジンとして、このガソリンエンジンで充電器を駆動し、トラクタの走行駆動とPTO軸駆動を電動モータで行うようにすることも考えられる。
【0052】
また、フルクローラトラクタに限らず車輪型トラクタにおいて走行装置を電動モータで駆動する場合は、駆動負荷を検出してその負荷程度によって負荷音をオーディオスピーカから発生させるようにすると、作業状態を負荷音で判断できるようになる。この場合に走行系の駆動負荷と作業系の駆動負荷で負荷音を異ならせるとさらに作業状態が分り易い。
【0053】
さらに、オーディオスピーカからの負荷音は、通常オーディオ音と同時或いは負荷音のみにしても良く、負荷音用のスピーカを別に設け、指向性を持たせて負荷音の発生位置を変化させることも良い。
【0054】
図14は、電動ロータリ作業機で、ロータリフレーム46の左右側枠48,49の片側に電動モータ51を取り付け、チェン伝動50で耕耘刃45を取り付けたロータリ軸44を駆動する。電動モータ51への給電はロータリフレーム46の支持アーム47に設ける入力端子52R,Lをトラクタ側の出力端子53R,Lと連結して行い、ロータリフレーム46に取り付けたロータリ制御ボックス54とトラクタ本体側制御ボックスを無線通信で制御データの交信を行う。入力端子52R,Lと出力端子53R,Lの連結は、入力端子52R,Lの軸端を出力端子53R,Lに差し込んでスプリング56で端子面を圧接してヘヤピン55で止める。
【0055】
一般的なトラクタでは、ロータリ作業中に旋回する場合には、ロータリ作業機を旋回前に上昇し旋回後に降下させるが、この旋回中はエンジン負荷が軽減するのでエンジン回転を低下させるようにした場合に、走行変速装置をシフトアップして走行速度が低下しないようにすると良い。
【符号の説明】
【0056】
16 操縦席
25 走行制御レバー
25a グリップ部
27 メモリダウン調整スイッチ
28 メモリアップ調整スイッチ
29 アクセルメモリBスイッチ
30 アクセルメモリAスイッチ
31 自動変速スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦席(16)に座った作業者がグリップ部(25a)を片手で握って操作可能な位置に走行制御レバー(25)を起立して設け、該走行制御レバー(25)は中立位置で一定走行速度を維持する構成とし、走行制御レバー(25)を前方に倒すと増速し、後方へ倒すと減速するように設定したことを特徴とする作業車両の無段変速操作装置。
【請求項2】
前記走行制御レバー(25)のグリップ部(25a)に無段変速機構8の制御設定を変更する複数のスイッチ類(27),(28),(29),(30),(31)を設け、該複数のスイッチ類(27),(28),(29),(30),(31)を指先で操作可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の無段変速操作装置。
【請求項3】
前記走行制御レバー(25)のグリップ部(25a)に設けるスイッチ類(27),(28),(29),(30),(31)として複数の作業条件に応じた速度をそれぞれ設定するアクセルメモリBスイッチ(29)とアクセルメモリAスイッチ(30)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の無段変速操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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