説明

作業車両

【課題】作業車両の前輪操舵シリンダのカバーにおいて、油圧シリンダの操舵ロッドを簡単な構成のカバーにより被覆し、油圧シリンダへの泥水の侵入を効果的に防止する。
【解決手段】フロントアクスルケース12の左右両側部に左右前輪4,4付きの左右前輪支持ケース14,14を操舵自在に設け、前記フロントアクスルケース12に左右方向に沿うように支持されている前輪操舵シリンダ16の操舵ロッド16aの左右伸縮により前記左右前輪支持ケース14,14を操舵可能に構成し、所定幅の前側板19aと後側板19bとを側面視逆U型に屈曲接続して下部開口部19cの構成されている左右シリンダカバー19,19で前記操舵ロッド16aの外周部を被覆し、該左右シリンダカバー19,19の前記下部開口部19cの開口状態を維持できる取付手段を介して前記フロントアクスルケース12に支持したことを特徴とする作業車両とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。特に、作業車両の前輪操舵シリンダのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタのパワーステアリング装置において、縦方向のフレームの前側部にフロントアクスルハウジングを左右方向に沿うように支持し、フロントアクスルハウジングの前側部にパワーステアリング用の油圧シリンダを左右方向に沿わせて取り付け、油圧シリンダの左右両側で伸縮するピストンで左右前輪を操舵するものは、公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−56511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の技術では、超湿田で作業をしているときにパワーステアリング用の油圧シリンダが土中に埋没すると、油圧シリンダの左右両側部から泥水が侵入し、耐久性が低下するという不具合があった。
【0005】
そこで、本発明は、パワーステアリング用の油圧シリンダを強固なカバーによって被覆し、油圧シリンダへの泥水の侵入を少なくし耐久性を高めようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、フロントアクスルケース(12)の左右両側部に左右前輪(4,4)付きの左右前輪支持ケース(14,14)を操舵自在に設け、前記フロントアクスルケース(12)に左右方向に沿うように支持されている前輪操舵シリンダ(16)の操舵ロッド(16a)の左右伸縮により前記左右前輪支持ケース(14,14)を操舵可能に構成し、所定幅の前側板(19a)と後側板(19b)とを側面視逆U型に屈曲接続して下部開口部(19c)の構成されている左右シリンダカバー(19,19)で前記操舵ロッド(16a)の外周部を被覆し、該左右シリンダカバー(19,19)の前記下部開口部(19c)の開口状態を維持できる取付手段を介して前記フロントアクスルケース(12)に支持したことを特徴とする作業車両とする。
【0007】
請求項2の発明は、前記左右シリンダカバー(19,19)を前記フロントアクスルケース(12)に支持するにあたり、前記フロントアクスルケース(12)に取り付けている左右内側取付ステー(20,20)の取付穴と、左右外側取付ステー(21,21)の取付穴と、前記左右シリンダカバー(19,19)の前側板(19a)下部の取付穴と、後側板(19b)下部の取付穴とに取付ボルト(26,26)を挿入し、且つ、該取付ボルト(26,26)には前記左右シリンダカバー(19,19)の取付穴よりも大径のカラー(25,25)を介装して、左右シリンダカバー(19,19)の下部開口部19cが狭くならないように規制しながら前記フロントアクスルケース(12)に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記左右シリンダカバー(19,19)を前記フロントアクスルケース(12)に支持するにあたり、前記左右シリンダカバー(19,19)の前側板(19a)下部の取付穴と、後側板(19b)の下部の取付穴とに取付ボルト(26,26)を挿入し、且つ、該取付ボルト(26,26)には前記左右シリンダカバー(19,19)の取付穴よりも大径のカラー(25,25)を介装して、左右シリンダカバー(19,19)の下部開口部(19c)が狭くならないように規制しながら前記フロントアクスルケース(12)に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によると、前輪操舵シリンダ(16)の操舵ロッド(16a)の外周部を側面視逆U字型の左右シリンダカバー(19,19)で被覆し、操舵ロッド(16a)の上側部、前後両側部を覆い下方を開口しているので、左右シリンダカバー(19,19)を簡単な構成としコストを低減しながら操舵ロッド(16a)の上側部、前後両側部への泥土の飛散を防止することができる。また、左右シリンダカバー(19,19)の下方の下部開口部19cを取付手段により狭くならないようにフロントアクスルケース(12)に支持しているので、超湿田での作業中に前輪操舵シリンダ(16)が沈むようなことがあっても、湿田の耕盤が浅くなり前輪操舵シリンダ(16)が地表面から浮上すると、左右シリンダカバー(19,19)の下部開口部(19c)から泥土が落下排出され、前輪操舵シリンダ(16)への泥土の侵入を少なくし、耐久性を向上させることができる。
【0010】
請求項2の発明によると、請求項1の発明の前記効果に加えて、左右内側取付ステー(20,20)、左右外側取付ステー(21,21)、取付ボルト(26,26)及びカラー(25,25)により、左右シリンダカバー(19,19)の下部開口部(19c)が狭くならないように規制しながら取り付けているので、左右シリンダカバー(19,19)の変形を防止し、泥土の下方への落下を円滑にすることができる。
【0011】
請求項3の発明によると、請求項1の発明の前記効果に加えて、取付ボルト(26,26)及びカラー(25,25)により、左右シリンダカバー(19,19)の下部開口部19cが狭くならないように規制しながら取り付けているので、左右シリンダカバー(19,19)の変形を防止し、泥土の下方への落下を円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】トラクタ全体の側面図。
【図2】トラクタ全体の正面図。
【図3】トラクタ前側部の一部省略した切断平面図。
【図4】トラクタ前側部の一部省略した側面図。
【図5】トラクタ前側部の一部省略した切断正面図、平面図。
【図6】トラクタ前側部の一部省略した正面図。
【図7】トラクタ前側部の一部省略した側面図。
【図8】トラクタ前側部の一部省略した正面図。
【図9】トラクタ後側部の一部省略した側面図、平面図。
【図10】トラクタ前側部の一部省略した斜視図。
【図11】ミッションケースの切断側面図。
【図12】トラクタ後部の切断平面図、側面図、正面図。
【図13】トラクタ後部の切断平面図、側面図、正面図。
【図14】トラクタ後部の切断平面図、側面図、正面図。
【図15】トラクタ前側部の側面図、正面図。
【図16】燃料置き台の側面図。
【図17】トラクタの一部省略した側面図。
【図18】トラクタの一部省略した平面図。
【図19】トラクタ後部の側面図、背面図、平面図。
【図20】昇降レバーの背面図。
【図21】トラクタの一部省略した側面図、クラッチペダルの側面図。
【図22】駐車ブレーキペダルの側面図。
【図23】トラクタの側面図、排気パイプの断面図。
【図24】トラクタの平面図。
【図25】前輪操舵シリンダの切断平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいてこの発明を農業用トラクタに施した実施例について説明する。
【0014】
まず、図1及び図2に基づき本発明を実施するトラクタTの全体構成について説明する。トラクタTは走行車体1の前側部にエンジン(図示省略)を搭載し、エンジンをボンネット2で被覆し、エンジンの回転動力を、ミッションケース3内の伝動機構の主変速装置、副変速装置で変速し、左右前輪4,4及び左右後輪5,5へ伝達している。
【0015】
また、ミッションケース3の後側上部には、作業機昇降用の油圧シリンダ(図示省略)を内装しているシリンダケース6を設け、このシリンダケース6の後側部に左右リフトアーム7,7を上下回動自在に軸架し、油圧シリンダ(図示省略)のピストンの伸縮作動により、リフトアーム7,7を上下回動するように構成している。また、ミッションケース3の後側上部には、上部リンクと左右下部リンクからなる3点リンク機構8を設けて、各種作業機を連結するようにしている。
【0016】
また、エンジンの後方には、ハンドルコラム9を立設してステアリングハンドル10を設け、ハンドルコラム9の後方にシート11を設けている。
【0017】
次に、図3乃至図5に基づき左右前輪4,4の操舵構成について説明する。
【0018】
走行車体1の前側フレーム1aの下部にはフロントアクスルケース12の左右中心部を前後方向の軸心回りに回動自在に支架し、ミッションケース3から走行車体1の前側に向けて延出した前輪伝動取出軸13をフロントアクスルケース12の軸支部に挿入し動力を伝達している。また、フロントアクスルケース12の左右両側部には、左右前輪支持ケース14,14を縦軸回りに操舵回動自在に支持し、左右前輪支持ケース14,14に左右前輪4,4を支架し、前輪伝動軸13からフロントアクスルケース12内の前輪伝動装置を経由して左右前輪4,4に動力を伝達している。
【0019】
フロントアクスルケース12の後側上部のブラケット12aには、パワーステアリング用の前輪操舵シリンダ16を左右方向に沿わせて取り付け、前輪操舵シリンダ16の操舵ロッド16aの左右両側部を左右に突出し、操舵ロッド16aの左右両側部に屈折自在の左右操舵リンク17,17の内側部をねじ込み連結し、その外側端部を左右前輪支持ケース14,14のアーム部に連結している。前輪操舵シリンダ16の左右両側部にはオイルシール23,23を装着し、左右操舵リンク17,17の屈折部をゴム製のブーツ22で被覆している。
【0020】
また、ステアリングハンドル10の操舵操作により、ステアリング制御弁(図示省略)を切り替え作動し、左右ホース(図示省略)を経由して前輪操舵シリンダ16に油圧を給排し、操舵ロッド16aを左右に移動させ、左右操舵リンク17,17を介して左右前輪支持ケース14,14を操舵回動し左右前輪4,4を操舵している。
【0021】
また、前記前輪操舵シリンダ16の操舵ロッド16aの外周部には左右シリンダカバー19,19を設けている。この左右シリンダカバー19,19は、所定幅の前側板19aと後側板19bと屈曲接続して側面視逆U型に構成し、下部に下部開口部19cを構成している。
【0022】
次に、図3及び図5のフロントアクセルケース12の左側に示す、左右シリンダカバー19,19の取付構成(第1実施例)について説明する。
【0023】
フロントアクスルケース12の中央部には正面視でへの字状に屈折している左右内側取付ステー20,20の内側部をボルトで取り付けて左右両側に延出し、フロントアクセルケース12の左右両側部には、左右外側取付ステー21,21の左右両側部を取り付けている(左右前輪支持ケース14,14取付用のボルト21aを利用して取り付けている。)。この左右内側取付ステー20,20、左右外側取付ステー21,21を重ね合わせた自由端部に、左右シリンダカバー19,19を取付ボルト26,26により取り付け、左右シリンダカバー19,19により左右前輪操舵シリンダ16,16の操舵ロッド16aの左右両側部を上側から被覆している。
【0024】
そして、左右シリンダカバー19,19の前側板19a下部の取付穴、後側板19b下部の取付穴と、左右外側取付ステー21,21の重合部の取付穴とを合致させて、左右取付ボルト26,26を挿入し、且つ、取付ボルト26,26には左右シリンダカバー19,19の取付穴よりも大径のカラー25,25を介装し、その両端部を左右シリンダカバー19,19の前側板19a、後側板19bに圧接し、下部開口部19cが狭くならないように規制しながら締め付け固定している。
【0025】
トラクタのパワーステアリング装置において、前輪操舵シリンダ16の操舵ロッド16aを左右に伸縮する構成であると、操舵ロッド16aに対してシリンダカバーを設ける場合には、シリンダカバーを次のように構成する必要がある。即ち、前輪操舵シリンダ16の左右両側部に固定する小径筒部と、操舵ロッド16aの屈折連結部を被覆する大径のブーツを被覆する大径筒部とを一体構成する必要があった。そこで、小径筒部と大径筒部とをプレス加工により構成する必要があり、コスト高となる問題があった。
【0026】
そこで、本発明ではシリンダカバー19,19を前側板19aと後側板19cとをU字状に折り曲げて接続した単純な構成としてコストの低減を図り、そのカバー形状が変形しないようの取付構成を工夫し、前記問題点を解消しようとするものである。
【0027】
前記構成によると、左右方向に沿った前輪操舵シリンダ16の操舵ロッド16aの外周部を側面視逆U字型の左右シリンダカバー19,19で被覆し、操舵ロッド16aの上側部、前後両側を覆い下部開口部19cにより開口した構成であるので、操舵ロッド16aの上側部、前後両側からの泥土の飛散を防止することができる。また、この左右シリンダカバー19,19の下方の下部開口部19cを取付ボルト26に介装したカラー25,25により狭くならないように規制しながら取り付けているので、超湿田での作業で前輪操舵シリンダ16が沈むような悪条件の場合でも、耕盤が浅くなり前輪操舵シリンダ16が地表面から浮上すると、左右シリンダカバー19,19の下部開口部19cから泥土が落下排出され、前輪操舵シリンダ16への泥土が侵入しにくくなり、耐久性を向上させることができる。
【0028】
次に、図3及び図5のフロントアクセルケース12の右側に示す、左右シリンダカバー19,19を取付構成(第2実施例)について説明する。
【0029】
フロントアクスルケース12の中央部後側上部に前輪操舵シリンダ16を左右方向に沿わせて取り付け、前輪操舵シリンダ16の操舵ロッド16aの左右両側部を側面視で逆U字型の左右シリンダカバー19,19で上方から被覆し、下部開口部19cにより下方を開口させている。そして、左右シリンダカバー19,19の前側板19a下部の取付穴と、後側板19bの下部の取付穴と、フロントアクセルケース12の後側上部のボス部12a,12aに前後に沿わせた後方開口の取付穴12b,12bとに、取付ボルト26,26を挿入し、且つ、取付ボルト26,26には左右シリンダカバー19,19の取付穴よりも大径のカラー25,25を介装し、左右シリンダカバー19,19の下部開口部19cが狭く変形しないように規制し締め付け固定している。
【0030】
前記構成によると、前記第1実施例と同様の効果を奏するものである。
【0031】
次に、図6及び図7について説明する。前輪操舵シリンダ16の左右両側部には筒体状のゴムカバー24,24を嵌合装着している。そのゴムカバー24,24の左右方向中間部に内周側へ突出するリップ部24a,24aを構成して前輪操舵シリンダ16の左右両側部を閉鎖し、リップ部24a,24aの内周部を操舵ロッド16aの外周部に密着摺動するようにし、ゴムカバー24,24の外側筒体24b,24bにより操舵ロッド16aの内側部を被覆し、操舵ロッド16aが内側に移動し短縮すると、ブーツ22によりゴムカバー24,24の外側開口部を閉鎖するように構成している。
【0032】
しかして、筒体状のゴムカバー24,24のリップ部24a,24aが操舵ロッド16aの外周面に付着している泥を掻き落とし、前輪操舵シリンダ16内への侵入を防止することができる。
【0033】
次に、図8に基づきシリンダカバー19の取付構成の第3実施例について説明する。
【0034】
フロントアクスルケース12の中央部後側上部に前輪操舵シリンダ16を左右方向に沿わせて取り付け、前輪操舵シリンダ16の操舵ロッド16aの左右両側部を側面視で逆U字型の左右シリンダカバー19,19により上方から被覆し下方の下部開口部19cを開口させている。このシリンダカバー19,19の内側部に逆U字状の小径の取付筒体19d,19dを一体的に構成して、左右シリンダカバー19,19の左右両側部に嵌合し、取付筒体19d,19dの前後取付穴を合致させて、カラー25を介装した取付ボルト26,26を挿入し、締め付け固定している。前記構成によると、取付構成を簡単にしながら、前記第1実施例と同様の効果を奏するものである。
【0035】
次に、図9について説明する。ミッションケース3の左右両側には左右ステップ32,32を取り付け、この右ステップ32の下方を通して前後方向に沿うように吸入油圧パイプ31aを配設し、この吸入油圧パイプ31aの前側端部を油圧ポンプ(図示省略)に接続している。吐出油圧パイプ31bをミッションケース3の側方を通してシリンダケース6内の作業機昇降用の昇降シリンダに圧油を供給するようにしている。また、吸入油圧パイプ31aには右ステップ32の下方に位置するようにカートリッジ型のフィルタ33を設け、フィルタ33の下方には保護カバー34を設けている。
【0036】
この保護カバー34は、側面視でその前側部34aを後下がり傾斜状にしてフィルタ33の前側下部を覆い、その後側部34bを水平状にしてフィルタ33の下部を覆い、フィルタ34の後方を開放するようにし、右ステップ32のミッションケース3への取付用ブラケットを利用して保護カバー34を取り付けている。
【0037】
前記構成によると、取付構成を簡素にしながら、前側から飛散する泥土をカバー34の前側部34aの後下がり傾斜状部分で後側下方へ案内ながら排除し、泥土の堆積を防止しながらフィルタ33の保護をすることができる。
【0038】
次に、図10及び図11に基づきミッションケース3とフロントアクスルケース12のブリーザパイプ36構成について説明する。機体の前側部に設けているフロントアクスルケース12の上部から第1ブリーザパイプ36aを上方へ延出し、ラジエータ37支持用のラジエータフレーム38に支持し、上端部で空気の給排をするようにしている。ミッションケース3の上部から第2ブリーザパイプ36bを前側に向けて延出し、フロントアクセルケース12の上部側で且つ第1ブリーザパイプ36aの接続部近傍に設けた穴に接続している。ミッションケース3に油圧機器用のオイルを注入し、フロントアクセルケース12に伝動装置潤滑用のオイルを注入している。前記構成によると、ミッションケース3及びフロントアクスルケース12の空気の給排を纏めて行なうことができ、メンテナンス作業を簡単化することができる。
【0039】
次に、図12に基づき駐車ブレーキワイヤ41の配索構成について説明する。ミッションケース3の後部に左右リヤーアクスルケース42,42を設け、左右リヤーアクスルケース42,42の前側部にブラケット43a,43aを介して、支持パイプ43を左右方向に沿わせて取り付けている。また、ミッションケース3の左右一側には駐車ブレーキレバー44を左右方向の軸で軸支し、左右駐車ブレーキワイヤ41f,41rを取り付けている。そして、左駐車ワイヤ41fを左側ブレーキ装置に連結し、また、右駐車ワイヤ41rを支持パイプ43内を通してミッションケース3の右側に導き、その先端を右側ブレーキ装置に連結している。前記構成によると、右駐車ワイヤ41rが作業中に作物等に引っ掛かるようなこともなく、安全確実に配索することができる。なお、支持パイプ43にハーネスや、油圧ホースを挿通するようにしてもよい。
【0040】
また、ミッションケース3の後側上部に一体構成で左右方向に沿った支持穴(図示省略)を構成し、右駐車ワイヤ41rを支持穴内を通して右側に導くようにしてもよい。
【0041】
また、図13のように構成してもよい。ミッションケース3の後部上方にはシートフレーム46を取り付け、このシートフレーム46を鞍状に構成して、その上部には左右方向に沿うように支持穴46aを設け、ミッションケース3の左右両側には左右フェンダ(図示省略)を取り付けている。そして、駐車ブレーキワイヤ41をシートフレーム46の鞍状構成に沿わせて配索し、支持穴46a内を通して左右両側に配索する。
【0042】
また、図14のように構成してもよい。ミッションケース3の後部上方にシートフレーム46を設け、このシートフレーム46を正面視鞍状に構成し、この鞍状構成の左右方向中間部下方に正面視逆U字型の支持パイプ48を設け、その左右両側下部をシートフレーム46の左右枠体に固定する。そして、駐車ブレーキワイヤ41等を支持パイプ48内を通して左右両側に配索する。前記構成によると、シートフレーム46を強固に構成しながら、駐車ワイヤ41を安全に配索することができる。
【0043】
次に、図15及び図16に基づき燃料タンク51の満量検出構成について説明する。
【0044】
ミッションケース3の左右両側に燃料タンク51,51を配設し、燃料タンク51から給油パイプ52を機体側方に向けて延出し、給油パイプ52の側方に燃料置き台53を設けている。この燃料置き台53は機体フレーム部に支持されていて、機体側面に沿わせて折り畳み収納したり、あるいは、側方に突出し燃料缶55を載置できるように変更できる構成である。また、機体フレーム部には燃料供給検出スイッチ54を設け、燃料置き台53が側方へ突出し燃料缶載置可能状態となると、スイッチがONし、コントローラの燃料給油モードが入りとなるように構成している。
【0045】
しかして、燃料置き台53が側方へ突出し燃料缶載置可能状態となると、燃料供給検出スイッチ54がONし、コントローラの燃料給油モードが入りとなる。そして、燃料タンク51が燃料満タンになり、燃料センサが燃料の満タンを検出すると、ブザー報知をし、燃料供給量を安全容易に行なうことができる。
【0046】
次に、図17及び図18に基づき油圧ホースの配索構成について説明する。
【0047】
ミッションケース3の前側部にエンジンEを取り付け、エンジンEの左右一側に油圧ポンプ61を設けている。ミッションケース3の後側下部に吸入ホース62の始端側を接続し、吸入ホース62の中端部にフィルタ64を設け、終端側を油圧ポンプ61に接続している。また、油圧ポンプ61に吐出ホース63の始端側を接続し、吐出ホース63の終端側を後方へ延出し、ミッションケース3の後側上部に設けたシリンダケース6の側壁部の連結穴に吐出ホース63の終端側をねじ込み接続し、更に、昇降制御弁67を経由して昇降シリンダ(図示省略)に油圧を送り、リフトアーム7,7を昇降するようにしている。
【0048】
また、吐出ホース63の終端側を前記シリンダケース6に接続するにあたり、シリンダケース6の側壁に厚い接続板66を取り付け、吐出ホース63の終端側部を接続板66の連結穴にねじ込み接続し、また、リリーフ弁65の接続ホース65aを接続板66の連結穴にねじ込み接続し、接続板66の連結穴を通して昇降制御弁67に油圧が流れるように構成している。
【0049】
前記構成によると、吐出ホース63の終端側と、リリーフ弁65の接続ホース65aの昇降制御弁67側への接続構成を簡素化し、コストの低減を図ることができる。
【0050】
次に、図19及び図20に基づき作業機の昇降レバー71について説明する。
【0051】
シリンダケース6には作業機昇降用の昇降制御弁67を設け、昇降制御弁67には左右方向の軸71aにより昇降レバー71を回動自在に支持し、昇降レバー71を前側下方(図19の右側)に回動すると作業機が下降し、後側上方へ回動すると作業機が上昇するように構成している。そして、昇降レバー71を上側レバー71bと下側レバー71cとに分割し、下側レバー71cの上部のピン71dに上側レバー71bを左右方向に調節自在に支持し、ピン71dにスプリング72を介装し、上側レバー71を押圧し起立状態となるように付勢している。
【0052】
しかして、昇降レバー71の昇降操作位置の中途部に係止部73を設け、最上昇位置から係止部73までの通常作業で頻繁に使用する範囲は昇降レバー71を自由に操作することができる。また、スプリング72に押圧されている起立状態の昇降レバー71が係止部73に当接規制されると、昇降レバー71の上側レバー71bを左右一側にスプリング72に抗して回動すると、昇降レバー71の上側レバー71bが係止部73から離脱し、最下降位置まで操作でき、作業機を最下降位置へ下降させることができる。
【0053】
前記構成によると、昇降レバー71により作業機を頻繁に昇降する範囲を迅速容易に操作することができ、また、頻度の少ない最下降位置への操作も容易に切り換え操作することができる。
【0054】
次に、図21に基づきクラッチペダル76も支持構成について説明する。
【0055】
ミッションケース3の前側上方に位置するフロア77と、フロア77の前側部上方から上方へ突出するパネルフレーム77aと、ミッションケース3の後側部上方に位置するフェンダ77bを一体的に組み付け、これら組み付け体をゴムマウント77c,…を介してミッションケース3に取り付け、上下振動自在に構成している。このパネルフレーム77aにクラッチペダル76を左右方向の軸回りに回動自在に支持し、このクラッチペダル76のクラッチ切り位置近傍には、一体的に構成されている係止フック79及び係止ロッド79aを軸支し、クラッチペダル76のピン76aを係止フック79で引っ掛け、クラッチペダル76をクラッチ切り位置にロックできるように構成している。そして、係止フック79の切りロック状態の係止ロッド79aの下方には、ミッションケース3側に取り付けているストッパ78を設け、クラッチペダル76がこれ以上の下方へ移動しないように構成している。
【0056】
クラッチペダル76をクラッチ切り状態で長期間放置すると、フロア77の沈み込みにより、クラッチペダル76の遊びが増大することがある。しかし、前記構成によると、長期間にわたりクラッチペダル76のクラッチ切り状態を継続する例えば製品の出荷輸送時には、クラッチペダル76を係止フック79により切り状態で係止する。すると、ストッパ78によりクラッチペダル76のこれ以上下方への移動が阻止され、クラッチペダル76の沈み込みを防止し遊びの増加を防止することができる。
【0057】
次に、図22に基づき駐車ブレーキペダル81の作動構成について説明する。フロア77、パネルフレーム77a、フェンダ77bを一体的に組み付け、ミッションケース3にこれらをゴムマウント77c,…を介して上下振動自在に取り付けたトラクタにおいて、パネルフレーム77aに駐車ブレーキペダル81を軸支し、ミッションケース3に駐車ロック部材82を回動自在に軸支し、駐車ブレーキペダル81のアーム部と駐車ロック部材82とを連動ケーブル83で連動連結している。
【0058】
しかして、駐車ブレーキペダル81を制動位置に踏み込むと、図22(B)に示すように、駐車ロック部材82が起立回動する。すると、駐車ロック部材82の下方にミッションケース3側に取り付けた駐車ストッパ84が当接し、駐車ブレーキペダル81のこれ以上の下方への移動が阻止される。
【0059】
前記構成によると、長期間にわたり駐車ブレーキペダル81の制動状態を継続しても、駐車ブレーキペダル81が制動状態となると、駐車ロック部材82により駐車ブレーキペダル81の下方への移動が阻止され、駐車ブレーキペダル81の遊びの増加を防止することができる。
【0060】
次に、図23及び図24に基づきエンジンの排気構成について説明する。
【0061】
エンジンEの排気をマフラ85を経由して排気パイプ86に導き、排気パイプ86を右側方から後方へ延出し、キャビン87の右側前枠体パイプ87a、上側右枠体パイプ87bの中空部を通してキャビン87の後方へ導き、排気するように構成している。
【0062】
また、キャビン87の右側前枠体パイプ87a及び上側右枠体パイプ87bを、図24(B)に示すように、放熱フィン86a,…の多数構成されている排気パイプ86を、放熱フィン87c,…の構成されている右側前枠体パイプ87a及び上側右枠体パイプ87bで覆っている。そして、右側前枠体パイプ87a、上側右枠体パイプ87bのパイプ断面を大径部87dと小径部87eで構成し、排気パイプ86の周面に接触させたり離間させたりし、大径部87dと排気パイプ86とをグラスウールのパッキンを介装してビス止めしている。また、キャビン87の天井部に共鳴管88を載置し、共鳴管88を排気パイプ86に接続している。
【0063】
前記構成によると、エンジンEの排気パイプ86をキャビン87の枠体部を通して後方に導き排出するので、運転者の視界を良好にし、排気の放熱効果を高め、騒音の低減を図ることができる。
【0064】
次に、図25に基づき前輪操舵シリンダ16の操舵ロッド16aの他の実施例について説明する。操舵ロッド16aには高周波焼き入れを施して硬質クロム鍍金をしている。前輪操舵シリンダ16の左右両側にはロッドカバー筒体18,18を内装し、ロッドカバー筒体18,18には外側ダストシール91a、中間ダストシール91b,内側ダストシール91cを施して多重構成とし、外側ダストシール91aの外周部に金属管91dを装着している。前記構成によると、前輪操舵シリンダ16の油漏れや泥水の侵入を防止し、操舵ロッド16aの損傷を防止し耐久性を高めることができる。
【符号の説明】
【0065】
4 前輪
12 フロントアクスルケース
14 左右前輪支持ケース
16 前輪操舵シリンダ
16a 操舵ロッド
19 シリンダカバー
19a 前側板
19b 後側板
19c 下部開口部
20 内側取付ステー
21 外側取付ステー
25 カラー
26 取付ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントアクスルケース(12)の左右両側部に左右前輪(4,4)付きの左右前輪支持ケース(14,14)を操舵自在に設け、前記フロントアクスルケース(12)に左右方向に沿うように支持されている前輪操舵シリンダ(16)の操舵ロッド(16a)の左右伸縮により前記左右前輪支持ケース(14,14)を操舵可能に構成し、所定幅の前側板(19a)と後側板(19b)とを側面視逆U型に屈曲接続して下部開口部(19c)の構成されている左右シリンダカバー(19,19)で前記操舵ロッド(16a)の外周部を被覆し、該左右シリンダカバー(19,19)の前記下部開口部(19c)の開口状態を維持できる取付手段を介して前記フロントアクスルケース(12)に支持したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記左右シリンダカバー(19,19)を前記フロントアクスルケース(12)に支持するにあたり、前記フロントアクスルケース(12)に取り付けている左右内側取付ステー(20,20)の取付穴と、左右外側取付ステー(21,21)の取付穴と、前記左右シリンダカバー(19,19)の前側板(19a)下部の取付穴と、後側板(19b)下部の取付穴とに取付ボルト(26,26)を挿入し、且つ、該取付ボルト(26,26)には前記左右シリンダカバー(19,19)の取付穴よりも大径のカラー(25,25)を介装して、左右シリンダカバー(19,19)の下部開口部19cが狭くならないように規制しながら前記フロントアクスルケース(12)に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記左右シリンダカバー(19,19)を前記フロントアクスルケース(12)に支持するにあたり、前記左右シリンダカバー(19,19)の前側板(19a)下部の取付穴と、後側板(19b)の下部の取付穴とに取付ボルト(26,26)を挿入し、且つ、該取付ボルト(26,26)には前記左右シリンダカバー(19,19)の取付穴よりも大径のカラー(25,25)を介装して、左右シリンダカバー(19,19)の下部開口部(19c)が狭くならないように規制しながら前記フロントアクスルケース(12)に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−174567(P2011−174567A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39834(P2010−39834)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】