説明

作物整列装置

【課題】汲上搬送コンベアから落下した作物が振分板上を滑って機外に飛び出すことを防止し、作物を確実に整列搬送装置に乗せて整列搬送させる作物整列装置を提供する。
【解決手段】作物Nを汲上搬送する汲上搬送装置17の搬送終端部から作物Nを受けて搬送する左右第1整列搬送装置48,48と、汲上搬送装置17の搬送終端部から作物Nを受けて左右第1整列搬送装置48,48に送る振分部材80と、左右第1整列搬送装置48,48の搬送終端部から作物Nを受けて搬送する左右第2整列搬送装置56,56を本体機枠1に設けた作物整列装置において、振分部材80を、振分部材80の前端部から搬送方向下手側ほど下方に傾斜させた第1振分部材30と、該第1振分部材30の終端部よりも前端部を高く構成した第2振分部材31から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物を整列しながら搬送する作物整列装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業洗浄整列選別装置等の作物整列装置において、貯留タンクで一時貯留された作物を汲上搬送コンベアで搬送し、山型状の振分板で左右に振り分け、左右の整列搬送ベルトに振り分けるものがある。
【特許文献1】特開2005−238165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の従来技術では、山型状の振分板に落下した作物が落下の勢いで振分板の終端部まで滑って行き、機外に飛び出して落下の衝撃で傷付くとともに、搬送経路に作物を拾い上げて戻さねばならないという問題点がある。
【0004】
また、作業場所の広さに合わせて汲上搬送コンベアと整列搬送ベルトとをL字状に配置したときに、外側の整列搬送ベルトに汲上搬送コンベアの搬送終端部から作物を移動させる引継シュータが十分な傾斜を確保できず、引継シュータの途中で作物が止まってしまい、整列搬送作業が停滞してしまうという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、作物(N)を貯留する貯留部(4)と、該貯留部(4)に貯留された作物(N)を搬送方向下手側で且つ上方に搬送する汲上搬送装置(17)と、該汲上搬送装置(17)の搬送終端部から作物(N)を受けて搬送方向下手側へと搬送する左右第1整列搬送装置(48,48)と、汲上搬送装置(17)の搬送終端部から作物(N)を受けて左右第1整列搬送装置(48,48)の左右いずれか一側に送る振分部材(80)と、左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送終端部から作物(N)を受けて搬送方向下手側へと搬送する左右第2整列搬送装置(56,56)と、該振分部材(80)に形成する左右第2整列搬送装置(56,56)から落下した作物(N)を落下させる左右開口部(33a,33a)と、該左右開口部(33a,33a)から作物(N)を受けて貯留部(4)に送る左右移動部材(64,64)とを本体機枠(1)に設けた作物整列装置において、該振分部材(80)を、振分部材(80)の前端部から搬送方向下手側ほど下方に傾斜させた第1振分部材(30)と、該第1振分部材(30)の終端部よりも前端部を高く構成した第2振分部材(31)とから構成したことを特徴とする作物整列装置とした。
【0006】
従って、第1振分部材(30)の終端部よりも第2振分部材(31)の前端部の方が高くなるので、第1振分部材(30)を移動する作物(N)は第2振分部材(31)の前端部で止められて左右第1整列搬送装置(48,48)の左右いずれか一側に移動させられるので、作物(N)が左右第1整列搬送装置(48,48)及び左右第2整列搬送装置(56,56)に乗ることなく、また左右開口部(33a,33a)に入ることなく機外に飛び出すことを防止できる。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記第2振分部材(31)の前端部に左右開口部(33a,33a)を形成し、該左右開口部(33a,33a)の前側に作物(N)を左右第1整列搬送装置(48,48)から左右第2整列搬送装置(56,56)へ案内する案内部材(59,59)を設けると共に、前記第1振分部材(30)の搬送終端部に左右延設部材(61,61)を左右開口部(33a,33a)方向に延設したことを特徴とする請求項1記載の作物整列装置とした。
【0008】
従って、第2振分部材(31)の前端部に左右開口部(33a,33a)を形成したことによって、左右第1整列搬送装置(48,48)から左右第2整列搬送装置(56,56)に引き継がれる際に落下する作物(N)や第1振分部材(30)の終端近くで左右に移動する作物(N)が左右開口部(33a,33a)に円滑に落下するので、作物(N)が左右第2整列搬送装置(56,56)に整列させられずに乗ることや左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送終端部に複数の作物(N)が詰まって整列搬送作業が滞ることが防止できる。
【0009】
また、左右第1整列搬送装置(48,48)から左右第2整列搬送装置(56,56)に引き継がれる作物(N)の姿勢が乱れていても、作物(N)は案内部材(59,59)によって搬送姿勢を整えられて左右第2整列搬送装置(56,56)に搬送されるので、左右開口部(33a,33a)に落下する作物(N)を少なくすることができる。
【0010】
また、第1振分部材(48,48)の搬送終端部に左右延設部材(61,61)を左右開口部(33a,33a)方向に延設したことによって、第1振分部材(48,48)と案内部材(59,59)との間の空間部が無くなるので、この空間部に作物(N)が入り込んで詰まることを防止することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記第2振分部材(31)の左右開口部(33a,33a)の終端部よりも後側に、左右側板(34,34)を左右第2整列搬送装置(56,56)に近接させて設けたことを特徴とする請求項1及び2記載の作物整列装置とした。
【0012】
従って、左右第2整列搬送装置(56,56)に近接させて第2振分部材(31)に設けた左右側板(34,34)が、左右開口部(33a,33a)に落下することなく左右第2整列搬送装置(56,56)に整列搬送されている作物(N)の搬送姿勢を安定させるので、作物(N)を安定した姿勢で左右第2整列搬送装置(56,56)の搬送終端部から排出することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記左右第1整列搬送装置(48,48)を搬送終端側の回転軸(51)を回動支点(P)として回動自在に構成したことを特徴とする請求項1乃至3記載の作物整列装置とした。
【0014】
従って、左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送始端側の高さを変更することにより、作物(N)の大きさや種類、傷みやすさ等の条件に応じて汲上搬送装置(17)と左右第1整列搬送装置(48,48)との落差を調節することができる。
【0015】
また、左右第1整列搬送装置(48,48)の回動支点(P)を搬送終端側の回転軸(51)としたことによって、左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送始端側の高さを変更しても左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送終端部と左右第2整列搬送装置(56,56)の搬送始端部との配置関係が変わらないので、効率よく作物(N)を引き継ぐことができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記本体機枠(1)と貯留部(4)及び汲上搬送装置(17)の下部に設ける支持機枠(3)との間に昇降部材(2)を設けたことを特徴とする請求項1乃至4記載の作物整列装置とした。
【0017】
従って、汲上搬送装置(17)と左右第1整列搬送装置(48,48)とをL字状に配置したときでも、昇降部材(2)で貯留部(4)及び汲上搬送装置(17)の下部に設けた支持機枠(3)を上方に移動させることによって、汲上搬送装置(17)の搬送終端部と左右第1整列搬送装置(48,48)との搬送始端部との落差を大きくすることができる。
【0018】
また、貯留部(4)の高さを変更することによって、貯留部(4)と作物(N)の投入手段との落差を小さくすることができる。
請求項6記載の発明は、前記汲上搬送装置(17)の搬送終端部を上下方向に移動自在に設けると共に、搬送始端側の従動回転体(12)を前後方向に移動自在に設けたことを特徴とする請求項1乃至5記載の作物整列装置とした。
【0019】
従って、汲上搬送装置(17)の搬送終端部を上下方向に移動自在に設けたことによって、汲上搬送装置(17)の搬送終端部と左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送始端部との落差を変更することができる。
【0020】
また、汲上搬送装置(17)の搬送始端側の従動回転体(12)を前後方向に移動自在に設けたことによって、従動回転体(12)の前後位置を調節するだけで搬送終端部の上下高さを調節することができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明の効果は、第1振分部材(30)を移動する作物(N)を第2振分部材(31)で左右第1整列搬送装置(48,48)の左右いずれか一方に落下させることによって、作物(N)が機外に飛び出すことを防止できるので、落下の衝撃で作物(N)が傷付くことが防止されて作物(N)の品質が向上すると共に、機外に飛び出した作物(N)を回収して搬送経路に戻す作業が省略されるので、作業能率が向上する。
【0022】
請求項2記載の発明の効果は、請求項1記載の発明の効果に加えて、左右開口部(33a,33a)を第2振分部材(31)の前端部に形成したことによって、左右第2整列搬送装置(56,56)に乗らなかった作物(N)を左右開口部(33a,33a)に円滑に落下させることができるので、作物(N)は左右第2整列搬送装置(56,56)に一本ずつ適切な姿勢で搬送されて作業能率が向上すると共に、左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送終端部に複数の作物(N)が詰まって整列搬送作業が滞ることが防止され、作業能率が向上する。
【0023】
また、案内部材(59,59)が作物(N)の搬送姿勢を整えてから左右第2整列搬送装置(56,56)に搬送することによって、左右開口部(33a,33a)に落下する作物(N)を少なくすることができるので、左右開口部(33a,33a)から左右移動部材(64,64)に落下する衝撃で作物(N)が傷つくことが防止されて作物(N)の品質が向上すると共に、作業時間が短縮されるので作業者の労力が軽減される。
【0024】
そして、第1振分部材(30)と案内部材(59,59)との間の空間部が無くなることによって、この空間部に作物(N)が入り込んで詰まることが防止することができるので、作物(N)が整列搬送経路を塞いで整列作業を停滞してしまうことが防止されて作業能率が向上すると共に、第1振分部材(30)もしくは案内部材(59,59)の端部で作物(N)が傷付くことが防止されて作物(N)の品質が向上する。
【0025】
請求項3記載の発明の効果は、請求項1及び2記載の発明の効果に加えて、左右第2整列搬送装置(56,56)に近接させて設けた第2振分部材(31)に設けた左右側板(34,34)が左右第2整列搬送装置(56,56)に整列搬送されている作物(N)の搬送姿勢を安定させるので、作物(N)を安定した姿勢で左右第2整列搬送装置(56,56)の搬送終端部から排出することによって、左右第2整列搬送装置(56,56)に適切な姿勢で乗った作物(N)が左右開口部(33a,33a)や機外に落下することを防止できるので、落下の衝撃で作物(N)が傷付くことが防止されて作物(N)の品質が向上すると共に、先行する作物(N)と後続の作物(N)との前後距離が開き過ぎることを防止でき、作業能率が向上する。
【0026】
請求項4記載の発明の効果は、請求項1乃至3記載の発明の効果に加えて、作物(N)の大きさや種類、傷みやすさ等の条件に応じて汲上搬送装置(17)と左右第1整列搬送装置(48,48)との落差を調節することができるので、整列対象が傷付きやすい時は落差を小さくすることにより、落下の衝撃で作物(N)が傷付くことが防止されるので作物(N)の品質が向上する。
【0027】
また、整列対象が傷付きにくい、あるいは大型である場合は、落差を大きくすることによって、左右第1整列搬送装置(48,48)の受け入れ容量を増やすことができるので、多くの作物(N)を一度に受け取ることができて作業能率が向上すると共に、汲上搬送装置(17)と左右第1整列搬送装置(48,48)との間に作物(N)が詰まって作業が中断されてしまうことが防止されるので、作業能率が向上する。
【0028】
そして、左右第1整列搬送装置(48,48)の回動支点(P)を搬送終端側の回転軸(51)とし、左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送始端側の高さを変更しても左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送終端部と左右第2整列搬送装置(56,56)の搬送始端部との配置関係が変わらない構成としたことによって、左右第2整列搬送装置(56,56)は左右第1整列搬送装置(48,48)から効率よく作物(N)を引き継ぐことができるので、作業能率が向上する。
【0029】
請求項5記載の発明の効果は、請求項1乃至4記載の発明の効果に加えて、昇降部材(2)を動作させて支持機枠(3)を上方に移動させることによって、汲上搬送装置(17)の搬送終端部と左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送始端部との落差を変更することができるので、汲上搬送装置(17)の搬送終端部から左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送始端部に引継部材等を掛け渡す際に十分な傾斜を確保され、作物(N)の引継が滞りなく行われて作業能率が向上する。
【0030】
また、作物(N)の大きさや種類、傷みやすさ等の条件に応じて汲上搬送装置(17)と左右第1整列搬送装置(48,48)との落差を調節することができるので、整列対象が傷付きやすい時は落差を小さくすることにより、落下の衝撃で作物(N)が傷付くことが防止されるので作物(N)の品質が向上する。
【0031】
そして、整列対象が傷付きにくい、あるいは大型である場合は、落差を大きくすることによって、左右第1整列搬送装置(48,48)の受け入れ容量を増やすことができるので、多くの作物(N)を一度に受けられて作業能率が向上すると共に、汲上搬送装置(17)と左右第1整列搬送装置(48,48)との間に作物(N)が詰まって作業が中断されてしまうことが防止されるので、作業能率が向上する。
【0032】
さらに、貯留部(4)の高さを変更することによって、貯留部(4)と作物(N)の投入手段との落差を小さくすることができるので、落下の衝撃で作物(N)が傷付くことが防止されて作物(N)の品質が向上すると共に、貯留部(4)の高さを作物(N)の投入手段に合わせることによって、作物(N)の貯留部(4)への投入を滞りなく行うことができるので、作業能率が向上する。
【0033】
請求項6記載の発明の効果は、請求項1乃至5記載の発明の効果に加えて、汲上搬送装置(17)の搬送終端部と左右第1整列搬送装置(48,48)との落差を変更することができるので、汲上搬送装置(17)の搬送終端部から左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送始端部に引継部材等を掛け渡す際に十分な傾斜を確保され、作物(N)の引継が滞りなく行われて作業能率が向上する。
【0034】
また、作物(N)の大きさや種類、傷みやすさ等の条件に応じて汲上搬送装置(17)と左右第1整列搬送装置(48,48)との落差を調節することができるので、整列対象が傷付きやすい時は落差を小さくすることにより、落下の衝撃で作物(N)が傷付くことが防止されるので作物(N)の品質が向上する。
【0035】
そして、整列対象が傷付きにくい、あるいは大型である場合は、落差を大きくすることによって、左右第1整列搬送装置(48,48)の受け入れ容量を増やすことができるので、多くの作物(N)を一度に受けられて作業能率が向上すると共に、汲上搬送装置(17)と左右第1整列搬送装置(48,48)との間に作物(N)が詰まって作業が中断されてしまうことが防止されるので、作業能率が向上する。
【0036】
さらに、汲上搬送装置(17)の搬送始端側の従動回転体(12)を前後方向に移動自在に設けたことによって、従動回転体(12)の前後位置を調節するだけで搬送終端部の上下高さを調節することができるので、作業者は汲上搬送装置(17)の構成部品を外すことなく上下高さを変更することができるので、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明の実施の形態について、一実施例としてホッパ4に貯留された人参Nを汲上搬送コンベア17で汲上搬送し、左右整列搬送装置58,58で左右1本ずつ人参Nを整列させながら搬送終端部へと搬送する作物整列装置について説明する。
【0038】
図1〜図7に示すように、作物整列装置は、投入された人参Nをホッパ に貯留する貯留部Aと、貯留部Aのホッパ4に貯留された人参Nを搬送方向下手側に汲上搬送して終端部より排出する汲上搬送部Bと、汲上搬送部Bの終端部から落下する人参Nを搬送方向上手側の左右第1整列搬送コンベア48,48もしくは第1振分板30で受けて、左右1本ずつ人参Nを整列させて搬送終端部から排出する整列搬送部Cとをメインフレーム1に取り付けて構成される。
【0039】
まず、貯留部Aについて説明する。
図1及び図2で示すように、メインフレーム1の搬送方向上手側前部にパンタグラフ式の油圧ジャッキ2の下部を回転自在に取り付け、該油圧ジャッキ2の上部を支持フレーム3に取り付ける。そして、該支持フレーム3の上部に人参Nを貯留するホッパ4を取り付け、該ホッパ4の搬送方向上手側の前端部に下り傾斜姿勢の傾斜板4aを取り付けると共に、ホッパ4の左右両側端部に夫々下り傾斜姿勢の左右傾斜板4b,4bを取り付けることによって、貯留部Aが構成される。
【0040】
上記構成によれば、油圧ジャッキ2を昇降させることによってホッパ4と後述する汲上搬送部Bを構成する汲上搬送コンベア17とが連動して昇降するため、汲上搬送コンベア17の搬送終端部と後述する整列搬送部Cを構成する左右第1整列搬送コンベア48,48との落差を人参Nの品種やサイズによって変更することができるので、落下の衝撃で人参Nが傷付くことが防止されて人参Nの商品価値が向上する。
【0041】
そして、人参Nのサイズが大きい場合は、汲上搬送コンベア17の搬送終端部と左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部との間に人参Nが詰まることを防止できるので、作業が中断されることなく、作業能率が向上する。
【0042】
また、人参Nのサイズが大きい場合、汲上搬送コンベア17の搬送終端部と左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部との間の空間部が大きいほど人参Nが一度に入る量が増加するため、多くの人参Nを左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部に待機させることができ、作業能率が向上する。
【0043】
さらに、整列装置Cを汲上搬送部Bに対して略直角に配置する場合、汲上搬送コンベア17を上昇させることによって、汲上搬送コンベア17の左右一側から落下する人参Nを左右第1整列搬送コンベア48,48の左右一側に引き継ぐ後述する引継シュータ を取り付けても十分な下り傾斜角度を確保することができるので、人参Nの引継が滞りなく行われて作業能率が向上する。
【0044】
そして、ホッパ4の上下位置が変更できることによって、ホッパ4に人参Nを投入するコンテナや軽トラの荷台、作物洗浄装置等の人参投入手段(図示せず)との落差を小さくすることができるので、落下の衝撃で人参Nが傷付くことが防止されて人参Nの商品価値が向上すると共に、人参Nをホッパ4へ滞りなく投入することができるので、作業能率が向上する。
【0045】
なお、本実施例ではホッパ4を取り付けた支持フレーム3を油圧ジャッキ2で昇降させる構成としているが、油圧ジャッキ2は電動ジャッキや空圧ジャッキ、あるいはハンドル5を取り付けて回転させる手動ジャッキとしてもよく、また油圧、電動、空圧等により伸縮するシリンダに置き換えても同様の効果を奏することができる。
【0046】
次に、汲上搬送部Bについて説明する。
図1及び図2に示すように、前記ホッパ4の上部に左右側板6,6を取り付けると共に、該左右側板6,6の後端部に左右汲上側板7,7を後上り傾斜姿勢に取り付ける。また、該左右汲上側板7,7の後端部左右間に左右駆動スプロケット9,9を左右両端に軸着した駆動シャフト8を回転自在に取り付け、左右側板6,6と左右汲上側板7,7の境目に左右テンションスプロケット11,11を軸着した左右中間シャフト10を回転自在に取り付けると共に、左右側板6,6の前端部に左右従動スプロケット13,13を軸着した従動シャフト12を回転自在に取り付ける。そして、該左右駆動スプロケット9,9と左右テンションスプロケット11,11と左右従動スプロケット13,13とに左右伝動チェーン14,14を無端状に巻き掛ける。さらに、該左右伝動チェーン14,14の左右間に人参Nを搬送方向下手側へ搬送する複数の搬送ローラ15・・・を回転自在且つ等間隔に取り付けると共に、前記左右汲上側板7,7の終端部左右間に人参Nを排出する左右排出シュータ16,16を取り付けて、汲上搬送コンベア17を構成する。
【0047】
なお、この左右排出シュータ16,16は金属、プラスチック等の硬質部材で構成すると排出位置が安定しやすく、塩化ビニルやスポンジ等の軟質部材で構成すると汲上搬送コンベア17の搬送終端部の直下の、後述する左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部に乗せることができ、効率よく人参Nを整列搬送させることができると共に、左右排出シュータ16,16の端部に人参Nが接触して傷付くことが防止できるので、人参Nの商品価値が向上する。
【0048】
そして、メインフレーム1の後部に支持台18を取り付け、該支持台18の上部に機体前後方向にスライド移動自在なスライド板19を取り付け、該スライド板19の上部に汲上搬送コンベア17と後述する左右整列搬送装置58,58に駆動力を供給する駆動モータ20を取り付ける。また、前記左右汲上側板7,7の左右一側に機体上下方向及び機体前後方向に移動自在に汲上伝動ケース21を取り付け、該汲上伝動ケース21の内側上部に出力スプロケット22を前記駆動シャフト8の左右一側の端部に軸着して配置し、汲上伝動ケース21の内部下部に入力スプロケット23を入力軸に軸着して取り付けると共に、該出力スプロケット22と入力スプロケット23との間に伝動チェーン24を無端状に巻き掛ける。さらに、該入力スプロケット23の入力軸の左右一端に従動プーリ25を軸着し、前記駆動モータ20の機体外側の出力軸に駆動プーリ26を軸着すると共に、該駆動プーリ26と従動プーリ25との間に伝動ベルト27を無端状に巻き掛けることによって、汲上搬送部Bが構成される。
【0049】
上記構成によれば、駆動モータ20を載置したスライド板19が機体前後方向にスライド移動自在であると共に、駆動モータ20の動力を汲上搬送コンベア17の駆動シャフト8に伝道する汲上伝動ケース21が機体上下方向及び機体前後方向に移動自在であることによって、貯留部Aの油圧ジャッキ2によってホッパ4と汲上搬送コンベア17とを上昇させると駆動モータ20と汲上伝動ケース21とが適切な位置に自動的に移動するので、駆動モータ20や汲上伝動ケース21を着脱することなくホッパ4及び汲上搬送コンベア17の上下高さを変更することができるので、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0050】
なお、汲上搬送部Bの一部を、下記のように変更してもよい。
図8で示すように、汲上搬送部Bに設ける左右汲上側壁66,66の上端部に左右上部ベアリングユニット68,68を装着した左右スライドフレーム67,67を機体上下方向に移動自在に内装する。そして、左右上部ベアリングユニット68,68の左右間に駆動シャフト8を回転自在に装着する。また、該左右上部ベアリングユニット68,68の外側部に、螺子孔を設けた左右上部移動部材69,69を取り付け、該左右上部移動部材69,69の底面に伸縮自在な左右上部スプリング71,71を取り付けると共に、左右規制版72,72を前記左右汲上側壁66,66に内装する。さらに、該左右上部移動部材69,69の螺子孔に、上部中央部に六角孔を設けると共に下部に螺子溝を形成した左右上部押込部材72,72を取り付ける。そして、該左右上部押込部材72,72の六角孔に左右上部押込部材72,72を上下移動させる左右ハンドル73,73を取り付ける。
【0051】
なお、該左右ハンドル73,73は同一の部材であるため、一つだけにすると部品点数の軽減になり、資源の節約を図ることができる。また、左右上部押込部材72,72に設ける孔は、六角形でなくともよい。
【0052】
また、左右側板6,6の前端部左右外側に左右下部ベアリングユニット74,74を前後方向に移動自在に装着し、該左右下部ベアリングユニット74,74の左右間に従動シャフト12を回転自在且つ前後方向移動自在に装着する。そして、該左右下部ベアリングユニット74,74よりも搬送方向下手側に左右規制板75,75を取り付け、該左右規制板75,75を貫通させて左右移動規制ボルト76,76を伸縮自在な左右規制スプリング77,77を介して左右下部ベアリングユニット74,74に取り付け、左右下部ベアリングユニット74,74の前後方向への移動を規制する。
【0053】
さらに、該左右下部ベアリングユニット74,74の外側部に、螺子孔を設けた左右下部移動部材78,78を取り付けると共に、該左右下部移動部材78,78の螺子孔に、前部中央部に六角孔を設けると共に後部に螺子溝を形成した左右下部押込部材79,79を左右下部スプリング80,80を介して取り付ける。また、左右下部押込部材79,79の六角孔に左右下部押込部材79,79を前後移動させる左右ハンドル73,73を取り付ける。
【0054】
該左右ハンドル73,73は、前記左右上部押込部材72,72を上下移動させるものと共用とすることによって、いっそう部品点数の軽減になり、いっそう資源の節約を図ることができる。さらに、ハンドル73一つで左右上部押込部材72,72及び左右下部押込部材79,79を移動させると、さらに部品点数が軽減でき、よりいっそうの資源の節約を図ることができる。また、左右下部押込部材79,79に設ける孔は、六角形でなくともよい。
【0055】
上記構成によれば、左右移動規制ボルト76,76を外して左右下部ベアリングユニット74,74を前後移動自在にし、ハンドル73によって左右下部押込部材79,79を移動させて従動シャフト12の前後位置を変更すると共に、左右上部移動部材69,69を移動させて駆動シャフト8の上下位置を変更することによって、部品を外したりすることなく汲上搬送コンベア17の上下高さを変更することができるので、人参Nの平均的なサイズが小さめである場合や割れ易い品種である場合、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部を上昇させて汲上搬送コンベア17と左右第1整列搬送コンベア48,48との落差を小さくすることによって、落下の衝撃で人参Nが傷付くことが防止されて人参Nの商品価値が向上する。逆に、人参Nの平均的なサイズが大きい場合には、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部を下降させて汲上搬送コンベア17と左右第1整列搬送コンベア48,48との落差を大きくし、空間部を広く確保することによって、汲上搬送コンベア17と左右第1整列搬送コンベア48,48との間に人参Nが詰まって搬送作業が中断されることが防止されて作業能率が向上すると共に、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部に人参Nを多く乗せることができる。
【0056】
また、左右下部ベアリングユニット74,74よりも搬送方向下手側に左右規制板75,75を取り付け、左右規制板75,75を貫通させて左右移動規制ボルト76,76を伸縮自在な左右規制スプリング77,77を介して左右下部ベアリングユニット74,74に取り付けたことによって、従動シャフト12が搬送方向下手側に移動し過ぎることを防止できるので、汲上搬送コンベア17の左右伝動チェーン14,14にたるみが生じて搬送作業が停滞したり、中断されたりすることが防止される。
【0057】
次に、整列搬送部Cについて説明する。
図1〜図6に示すように、前記メインフレーム1の後側上部に整列搬送フレーム28を取り付け、該整列搬送フレーム28の左右両側に左右側板29,29を取り付ける。そして、該左右側板29,29の左右間中央部で且つ搬送方向上手側に、搬送方向下手側ほど下方傾斜させた、汲上搬送コンベア17の搬送終端部から排出される人参Nを後述する左右第1整列搬送コンベア48,48の左右いずれか一方に振り分ける山型の第1振分板30を取り付け、該第1振分板30の後部に前端部が第1振分板の後端部よりも上方に位置する、第1振分部材30の上部を終端部まで移動してきた人参Nを左右第1整列搬送コンベア48,48の左右いずれか一方に移動させる第2振分板31を取り付ける。なお、第1振分板30と第2振分板31とは、一体の振分板80を分割して構成すると取り外しや取り付けが容易になり、メンテナンス性が向上する。
【0058】
なお、該第1振分板30の上面に平坦な塩化ビニル板等を敷設すると、人参Nが滑り落ちやすくなるため、作業能率が向上すると共に、第2振分板31まで移動しなかった人参Nが第1振分板30上に取り残されることが防止できる。
【0059】
また、該第2振分板31の前端部に人参Nが衝突した際の衝撃を緩和するゴム材等で構成する弾性板32を取り付け、第2振分部材31の左右側壁34,34を前端部から後方に向かって切り欠き、後述する左右第2整列搬送コンベア56,56から人参Nを落下させる左右内側開口部33a,33aを形成すると共に、該左右内側開口部33a,33aの後端部から第2振分部材31の終端部に亘って左右側壁34,34を左右第2整列搬送コンベア56,56の機体内側端部方向に屈曲させる。さらに、前記左右側板29,29に左右外側開口部33b,33bを第2振分部材31に形成した左右内側開口部33a,33aと略同じ長さに切り欠いて形成する。
【0060】
なお、左右開口部33,33の長さは240mm〜400mm程度に設定しておくと、平均的な長さ(120〜200mm)の人参Nが2本同時に左右開口部33,33に入り込んできても左右開口部33,33に詰まることが防止されるので、作業者が詰まった人参Nを取り除く必要がなくなり、作業能率が向上する。
【0061】
さらに、前記左右側板29,29の前端部左右間に左右第1駆動プーリ35,35を軸着すると共に略中央部に整列伝動ケース40に内装する整列出力スプロケット37を軸着した第1整列駆動シャフト36を回転自在且つ上下動自在に取り付け、該整列出力スプロケット37と整列伝動ケース40に内装する整列入力スプロケット38との間に整列伝動チェーン39を無端状に巻き掛ける。そして、前記駆動モータ20の機体内側の出力軸に出力プーリ41を軸着し、整列入力スプロケット38の入力軸に入力プーリ42を軸着すると共に、該出力プーリ41と入力プーリ42とに伝動ベルト43を無端状に巻き掛ける。
【0062】
また、前記左右側板29,29の左右間で且つ第1振分板30の後端部近傍に左右第1従動プーリ44,44を軸着すると共に略中央部に伝動スプロケット45を軸着した左右第1整列従動シャフト46を回転自在且つ上下動自在に取り付け、該左右第1従動プーリ44,44と左右第1駆動プーリ35,35とに断面形状凹型の左右第1整列搬送ベルト47,47を無端状に巻き掛けて、左右第1整列搬送コンベア48,48を構成する。
【0063】
なお、該左右第1整列搬送ベルト47,47は、左右第1外側整列搬送ベルト47o,47o、左右第1内側整列搬送ベルト47i,47i、左右第1中央整列搬送ベルト47c、47cに分割したものを巻き掛けてもよい。
【0064】
そして、前記左右側板29,29の左右間で且つ第2振分板31の前端下部に左右第2駆動プーリ49,49を軸着すると共に略中央部に受動スプロケット50を軸着した第2整列駆動シャフト51を回転自在に取り付けると共に、該受動スプロケット50と伝動スプロケット49との間に整列伝動チェーン52を無端状に巻き掛ける。また、左右側板29,29の終端部左右間に左右第2従動プーリ53,53を軸着した第2整列従動シャフト54を回転自在に装着する。さらに、該左右第2従動プーリ53,53と左右第2駆動プーリ49,49とに断面形状凹型で且つ前記左右第1整列搬送ベルト47,47よりも左右幅の細い左右第2整列搬送ベルト55,55を無端状に巻き掛けて左右第2整列搬送コンベア56,56を構成する。そして、該左右第2整列搬送コンベア56,56の第2整列駆動シャフト51と前記左右第1整列コンベア48,48の左右第1整列従動シャフト46との左右両側端部を左右連結プレート57,57で連結し、第2整列駆動シャフト51を回動支点Pとして左右第1整列コンベア48,48を搬送始端側で機体上下方向に回動する構成とすることによって、左右整列搬送装置58,58が構成される。
【0065】
なお、左右第2整列搬送ベルト55,55は、左右第2外側整列搬送ベルト55o,55o、左右第2内側整列搬送ベルト55i,55iに分割したものを巻き掛けてもよい。
また、前記左右内側開口部33a,33a及び左右外側開口部33b,33bの前端部に左右第2選別搬送コンベア56,56に乗った人参Nの姿勢を搬送方向に沿わせながら整える左右前側矯正ガイド59,59、59,59を取り付けると共に、後端部には左右第2整列搬送コンベア56,56からはみ出した人参Nの姿勢を整えて左右内側開口部33a,33aもしくは左右外側開口部33b,33bに人参Nが落下するのを防止する左右後側矯正ガイド60,60、60,60を取り付ける。そして、左右第1振分板30の後部左右端と左右前側矯正ガイド59,59、59,59との間に、左右内側開口部33a,33a上に突出する左右突出部材61,61を取り付ける。
【0066】
なお、左右前側矯正ガイド59,59、59,59及び左右後側矯正ガイド60,60、60,60は塩化ビニルやスポンジ等の軟質部材で構成すると、人参Nが接触しても人参Nを傷つけないため、人参Nの商品価値が向上する。また、左右前側矯正ガイド59,59、59,59及び左右後側矯正ガイド60,60、60,60の厚みを1〜2mm程度とすると、左右前側矯正ガイド59,59、59,59及び左右後側矯正ガイド60,60、60,60は接触する人参Nの姿勢をたわみながら整えることができるため、人参Nの搬送を妨げたり抵抗となって搬送方向上手側に押し返したりすることが防止されるので、人参Nが左右第2整列搬送コンベア56,56の搬送始端側に詰まることや、先行する人参Nが後続の人参Nに当たって搬送を妨げる事が防止され、整列搬送作業の能率が向上する。
【0067】
さらに、前記整列搬送フレーム28の後端部で且つ左右整列搬送装置58,58の搬送終端部に人参Nを一本ずつ排出する左右整列排出シュータ62,62を下り傾斜姿勢で取り付け、前記左右内側開口部33a,33aの下方に左右内側開口部33a,33aから落下する人参Nを機体外側方向に排出し後述する左右フィードバックシュータ64,64に送る左右リターンシュータ63,63を機体外側方向に下り傾斜姿勢に取り付けると共に、該左右リターンシュータ63,63の外側端部に、左右リターンシュータ63,63及び左右外側開口部33b,33bから人参Nを受けてホッパ4に移動させる左右フィードバックシュータ64,64を搬送方向上手側に向かって下方傾斜させて、且つ着脱自在に取り付けることによって、整列搬送部Cが構成される。
【0068】
なお、左右リターンシュータ63,63及び左右フィードバックシュータ64,64の上面に平坦な塩化ビニル板等を敷設しておくと、人参Nに加わる落下の衝撃が吸収されるので、人参Nが傷付くことが防止されて商品価値が向上する。また、平坦な塩化ビニル板等を敷設することにより、人参Nが左右リターンシュータ63,63や左右フィードバックシュータ64,64を滑り落ちやすくなるので、左右リターンシュータ63,63や左右フィードバックシュータ64,64上で停止した人参Nを人手でホッパ4に戻す作業が省略されるので、作業者の労力が軽減されると共に、整列搬送作業の自動化を計ることができる。
【0069】
上記構成によれば、第1振分板30を搬送方向下手側ほど下方傾斜させると共に、第2振分板31の前端部を第1振分板の後端部よりも上方に位置させたことによって、汲上搬送コンベア17の終端部から排出され、第1振分板30の上面を滑って搬送方向下手側に移動する人参Nを第1振分板30の終端部までに左右第1整列搬送コンベア48,48の左右いずれか一側に送ることができるので、整列搬送作業の自動化を計ることができて作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0070】
また、第2振分板31の前端部に弾性板32を取り付けたことによって、第1振分板30の終端部まで移動した人参Nを傷つけることなく左右第1整列搬送コンベア48,48の左右いずれか一側に移動させることができるので、人参Nの商品価値が向上し、整列搬送作業の自動化を計ることができて作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0071】
そして、第2振分部材31の左右側壁34,34に左右内側開口部33a,33aを形成すると共に、左右側壁29,29に左右外側開口部33b,33bを形成したことによって、左右第2整列搬送コンベア56,56に不安定な姿勢のまま乗った人参Nや、複数本同時に乗った人参Nを落下させることができるので、左右第2整列搬送コンベア56,56から排出される人参Nを安定した姿勢で且つ1本ずつ排出することができ、排出時に人参N同士がぶつかって傷付くことが防止されて人参Nの商品価値が向上すると共に、作物整列搬送装置の後部に人参Nのサイズや形状に応じて選別作業を行う選別装置を設置する場合、一本ずつ人参を投入することにより、誤選別を減少させることができる。
【0072】
さらに、左右内側開口部33a,33aの下方に左右リターンシュータ63,63を設け、左右リターンシュータ63,63の外側端部に左右リターンシュータ63,63と左右外側開口部33b,33bから落下する人参Nをホッパ4に移動させる左右フィードバックシュータ64,64を搬送方向上手側ほど下方傾斜させて設けたことによって、左右第2整列搬送コンベア56,56から落下した人参Nを自動的にホッパ4に戻して自動的に再度搬送することができるので、作業の無人化を計ることができると共に、作業者の労力を軽減することができる。
【0073】
また、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端側を機体上下方向に回動できる構成としたことによって、人参Nの平均的なサイズが小さめである場合や割れ易い品種である場合、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部を上昇させて汲上搬送コンベア17と左右第1整列搬送コンベア48,48との落差を小さくすることによって、落下の衝撃で人参Nが傷付くことが防止されて人参Nの商品価値が向上する。逆に、人参Nの平均的なサイズが大きい場合には、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部を下降させて汲上搬送コンベア17と左右第1整列搬送コンベア48,48との落差を大きくし、空間部を広く確保することによって、汲上搬送コンベア17と左右第1整列搬送コンベア48,48との間に人参Nが詰まって搬送作業が中断されることが防止されて作業能率が向上すると共に、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端部に人参Nを多く乗せることができる。
【0074】
加えて、左右第2整列搬送コンベア56,56の第2整列駆動シャフト51を回動支点Pとしたことによって、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端側の上下位置を変更しても搬送終端側の上下位置は殆ど変化しないので、左右第1整列搬送コンベア48,48の搬送始端側の上下位置に係らず左右第1整列搬送コンベア48,48から左右第2整列搬送コンベア56,56に人参Nを円滑に引き継ぐことができるので、作業能率が向上する。
【0075】
そして、左右第2整列搬送ベルト55,55の幅を左右第1整列搬送ベルト47,47の幅よりも狭くしたことによって、左右第1整列搬送ベルト47,47に複数本乗っていた人参Nを引継の際に左右内側開口部33a,33aもしくは左右外側開口部33b,33bに落下させることができるので、人参Nを確実に一本ずつ整列させながら搬送することができる。
【0076】
さらに、左右内側開口部33a,33a及び左右外側開口部33b,33bの前端部に左右前側矯正ガイド59,59、59,59を設けたことによって、左右第1整列搬送コンベア48,48から左右第2整列搬送コンベア56,56に引き継がれる人参Nの搬送姿勢が乱れていても、左右前側矯正ガイド59,59、59,59が搬送姿勢を整えるので、引継の際に全ての人参Nが落下して整列搬送され終わった人参Nと整列搬送中の人参Nとの間隔が開き過ぎることが防止されるので、作業能率が向上する。また、左右内側開口部33a,33a及び左右外側開口部33b,33bの後端部に左右後側矯正ガイド60,60、60,60を設けたことによって、左右第2整列搬送コンベア56,56で人参Nの搬送姿勢が乱れることがあっても、搬送姿勢を正されて排出されるので、排出の前に全ての人参Nが落下して整列搬送され終わった人参Nと整列搬送中の人参Nとの間隔が開き過ぎることが防止されるので、作業能率が向上する。
【0077】
また、左右第1振分板30の後部左右端と左右前側矯正ガイド59,59、59,59との間に、左右内側開口部33a,33a上に突出する左右突出部材61,61を取り付けたことによって、第1振分板30の終端部近傍から左右第2整列搬送コンベア56,56に移動する人参Nが第1振分板30の終端部と左右前側矯正ガイド59,59、59,59との間の空間部に入り込んでしまうことが防止されるので、整列搬送作業が中断されること無く作業能率が向上すると共に、人参Nが空間部に入り込んだ際に傷付くことが防止されて、人参Nの商品価値が向上する。
【0078】
そして、左右内側開口部33a,33aの後端部から第2振分部材31の終端部に亘って、左右側壁34,34を左右第2整列搬送コンベア56,56の機体内側端部方向に屈曲させたことによって、左右側壁34,34の端部が左右第2整列搬送コンベア56,56の搬送終端部を移送される人参Nの姿勢を安定させるので、排出時の人参Nの姿勢の乱れを防止できる。
【0079】
なお、図7で示すように、整列搬送部Cは汲上搬送部Bに対して同じ搬送方向に配置するだけでなく、汲上搬送部Bの搬送方向に対して直角姿勢に配置することもできるが、その際には汲上搬送コンベア17と、汲上搬送コンベア17に対して離間する側の整列搬送装置58との間に引継シュータ65を取り付けて、左右整列搬送装置58,58いずれにも人参Nが投入されるようにすると、作業能率を落とすことなく、作物整列装置の汲上搬送部Bと整列搬送部Cとのレイアウトを自在に変更することができ、作業場所のスペースに応じた配置が可能となる。
【0080】
なお、該引継シュータ65の傾斜角度が緩く、人参Nの移動が滞る場合は、貯留部Aの油圧ジャッキ2を上げて汲上搬送部Bの上下高さを変更して傾斜角度をきつくすればよい。
【0081】
人参Nの数が少ないなど、作業条件によっては汲上搬送コンベア17近傍の整列搬送装置58だけで整列搬送を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】作物整列装置の側面図
【図2】作物整列装置の平面図
【図3】作物整列装置の上下高さを変更した側面図
【図4】作物整列装置の伝動機構図
【図5】整列搬送部の部分拡大平面図
【図6】整列搬送部の断面背面図
【図7】整列搬送部の配置方向を変更した作物整列装置の平面図
【図8】作物整列装置の別実施例の側面図
【符号の説明】
【0083】
1 メインフレーム(本体機枠)
2 油圧ジャッキ(昇降部材)
3 支持フレーム(支持機枠)
4 ホッパ(貯留部)
12 従動シャフト(従動回転体)
17 汲上搬送コンベア(汲上搬送装置)
30 第1振分板(第1振分部材)
31 第2振分板(第2振分部材)
33a,33a 左右内側開口部(左右開口部)
34,34 左右側板
48,48 左右第1整列搬送コンベア(左右第1整列搬送装置)
51 第2整列駆動シャフト(回転軸)
56,56 左右第2整列搬送コンベア(左右第2整列搬送装置)
59,59 左右前側矯正ガイド(案内部材)
61,61 左右突出部材(左右延設部材)
64,64 左右フィードバックシュータ(左右移動部材)
80 振分板(振分部材)
N 人参(作物)
P 回動支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物(N)を貯留する貯留部(4)と、該貯留部(4)に貯留された作物(N)を搬送方向下手側で且つ上方に搬送する汲上搬送装置(17)と、該汲上搬送装置(17)の搬送終端部から作物(N)を受けて搬送方向下手側へと搬送する左右第1整列搬送装置(48,48)と、汲上搬送装置(17)の搬送終端部から作物(N)を受けて左右第1整列搬送装置(48,48)の左右いずれか一側に送る振分部材(80)と、左右第1整列搬送装置(48,48)の搬送終端部から作物(N)を受けて搬送方向下手側へと搬送する左右第2整列搬送装置(56,56)と、該振分部材(80)に形成する左右第2整列搬送装置(56,56)から落下した作物(N)を落下させる左右開口部(33a,33a)と、該左右開口部(33a,33a)から作物(N)を受けて貯留部(4)に送る左右移動部材(64,64)とを本体機枠(1)に設けた作物整列装置において、
該振分部材(80)を、振分部材(80)の前端部から搬送方向下手側ほど下方に傾斜させた第1振分部材(30)と、該第1振分部材(30)の終端部よりも前端部を高く構成した第2振分部材(31)とから構成したことを特徴とする作物整列装置。
【請求項2】
前記第2振分部材(31)の前端部に左右開口部(33a,33a)を形成し、該左右開口部(33a,33a)の前側に作物(N)を左右第1整列搬送装置(48,48)から左右第2整列搬送装置(56,56)へ案内する案内部材(59,59)を設けると共に、前記第1振分部材(30)の搬送終端部に左右延設部材(61,61)を左右開口部(33a,33a)方向に延設したことを特徴とする請求項1記載の作物整列装置。
【請求項3】
前記第2振分部材(31)の左右開口部(33a,33a)の終端部よりも後側に、左右側板(34,34)を左右第2整列搬送装置(56,56)に近接させて設けたことを特徴とする請求項1及び2記載の作物整列装置。
【請求項4】
前記左右第1整列搬送装置(48,48)を搬送終端側の回転軸(51)を回動支点(P)として回動自在に構成したことを特徴とする請求項1乃至3記載の作物整列装置。
【請求項5】
前記本体機枠(1)と貯留部(4)及び汲上搬送装置(17)の下部に設ける支持機枠(3)との間に昇降部材(2)を設けたことを特徴とする請求項1乃至4記載の作物整列装置。
【請求項6】
前記汲上搬送装置(17)の搬送終端部を上下方向に移動自在に設けると共に、搬送始端側の従動回転体(12)を前後方向に移動自在に設けたことを特徴とする請求項1乃至5記載の作物整列装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−234695(P2009−234695A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81147(P2008−81147)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】