説明

作用期間が延長された新規ベータミメティックス、それらの製造方法及び薬剤としてのそれらの使用

本発明は、一般式1の化合物(式中、基R1、R2及びR3は、特許請求の範囲及び本明細書中に記載の意味を有することが可能である)、それらの製造方法、及び薬剤としての、特に炎症性及び閉塞性気管支疾患の治療のための、それらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式1の化合物、それらの製造方法、及び医薬組成物としての、特に炎症性及び閉塞性呼吸器愁訴の治療のための、それらの使用に関する;
【化1】

(式中、基R1、R2及びR3は、特許請求の範囲及び本明細書中に記載の意味を有していてもよい)。
【背景技術】
【0002】
ベータミメティックス(β-アドレナリン作用薬)は、従来技術から公知である。それらは、様々な治療分野において良好に作用するために使用されてもよい。
疾患の薬物治療に関して、多くの場合、より長い作用期間を有する薬剤を製造することが望ましい。一般的に、これにより、頻繁に薬物を再投与する必要なしに、治療効果を達成するのに必要とされる体内の活性物質濃度の長期保証が確実となる。さらに、より長い間隔での活性物質の投与は、高度に患者の満足度に貢献する。長期活性を有する薬物の他の主な利点は、その徴候が夜の後半に専ら現れる疾患又は病気の場合に明らかである。就寝前の、長期活性を有する薬物の単回適用は、患者に相当な簡便性を与え、生活の質の向上を表すと考えられる。1日1回投与(単回投与)による治療により使用され得る医薬組成物を製造することが特に望ましい。1日1回の薬物の使用には、1日一定の回数薬物を規則的に服用することに比べ、患者が比較的速く慣れることができるという利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、長期活性により特徴付けられ、また、長期活性を有する医薬組成物を製造するために使用され得る、ベータミメティックスを提供することである。本発明の特別な目的は、それらの長期持続作用により、1日1回投与用の薬物を製造するために使用され得るベータミメティックスを製造することである。本発明のさらなる目的は、それらの長期持続作用により、炎症性又は閉塞性呼吸器愁訴の治療のための、1日1回投与用の薬物を製造するために使用され得る、新規ベータミメティックスを製造することである。
上記目的の他に、また、本発明は、非常に強力なだけでなく、β2-アドレナリンレセプターに関する高度な選択性により特徴付けられるベータミメティックスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべきことに、上記課題は、一般式1の化合物により解決されることが見い出された。
従って、本発明は、一般式1の化合物に関する;
【化2】

{式中、R1は、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R2は、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R3は、炭素数1〜4のアルキル又はフェニル(それらは所望により一置換又は多置換されていてもよい)を表し;又は
R2とR3は、一緒になって、-CH2-CH2-及び-CH2-CH2-CH2-から選ばれる二重に結合する基(double-bonded group)を表す}。
【0005】
好ましくは、式中、
R1が、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R2が、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R3が、炭素数1〜4のアルキル又はフェニル(それらは所望により、炭素数1〜3のアルキル、CF3、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、-OCF3、-CHF2、-NHCOCH3及び-NHSO2CH3から選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換、三置換又は四置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、-CH2-CH2-及び-CH2-CH2-CH2-から選ばれる二重に結合する基を表す、一般式1の化合物である。
【0006】
また、好ましいものは、式中、
R1が、炭素数1〜4のアルキル、好ましくはメチルを表し;
R2が、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R3が、炭素数1〜4のアルキル又はフェニル(それらは所望により、メチル、エチル、CF3、メトキシ、エトキシ及びヒドロキシから選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換、三置換又は四置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、-CH2-CH2-及び-CH2-CH2-CH2-から選ばれる二重に結合する基を表す、一般式1の化合物である。
【0007】
また、好ましいものは、式中、
R1が、炭素数1〜4のアルキル、好ましくはメチルを表し;
R2が、炭素数1〜4のアルキル、好ましくはメチルを表し;
R3が、炭素数1〜4のアルキル、好ましくはメチル、又はフェニル(それらは所望により、メチル、CF3、メトキシ及びヒドロキシから選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換、三置換又は四置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、二重に結合する基、-CH2-CH2-を表す、一般式1の化合物である。
【0008】
本発明による一般式1の好ましい化合物は、式中、
R1が、メチル又はエチル、好ましくはメチルを表し;
R2が、メチルを表し;
R3が、メチル、エチル又はフェニル(それらは所望により、メチル、CF3、メトキシ及びヒドロキシから選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換、三置換又は四置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、二重に結合する基、-CH2-CH2-を表すものである。
特に好ましいものは、式中、
R1が、メチルを表し;
R2が、メチルを表し;
R3が、メチル又はフェニル(それらは所望により、メチル、エチル及びヒドロキシから選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換又は三置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、二重に結合する基、-CH2-CH2-を表す、一般式1の化合物である。
【0009】
また、本発明による好ましいものは、式中、
R1が、メチルを表し;
R2が、メチルを表し;
R3が、メチル又はフェニルを表すか、又は
R2とR3が、一緒になって、二重に結合する基、-CH2-CH2-を表す、一般式1の化合物である。
【0010】
本発明による格別重要なものの例としては、以下の一般式1の化合物が挙げられる:
・4-[2-(1,1-ジメチル-プロピルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール;
・4-[1-ヒドロキシ-2-(1-メチル-シクロペンチルアミノ)-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール;
・4-{2-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール;
・4-{2-[1,1-ジメチル-2-フェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール;
・4-{2-[1,1-ジメチル-2-(2,3,5,6-テトラ-メチル-フェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール;
・4-[2-(1,1-ジメチル-2-o-トリル-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール。
【0011】
本発明は、所望により個々の光学異性体、個々のエナンチオマー又はラセミ体の混合物の形態、遊離塩基又は薬理学的に許容され得る酸の対応する酸付加塩の形態にある、一般式1の化合物に関する。
本発明による一般式1の化合物は、所望により、それらの個々の光学異性体、個々のエナンチオマー又はラセミ体の混合物の形態において生じてもよく、また、文献から公知の方法を使用して純粋な形態に分離されてもよい。もし、化合物が鏡像異性的に純粋な形態において使用されるならば、R-エナンチオマーが好ましい。
【0012】
酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、硝酸、マレイン酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸;シュウ酸、コハク酸及びp-トルエンスルホン酸、好ましくは塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、フマル酸及びメタンスルホン酸から選ばれる薬理学的に許容され得る酸と形成される塩を意味する。
特に規定しない限り、アルキル基は、炭素数1〜4の直鎖又は分岐アルキル基である。以下のものが例として挙げられる:メチル、エチル、プロピル又はブチル。場合によっては、略語Me、Et、Prop又はBuが、メチル、エチル、プロピル又はブチルを表すために使用される。特に規定しない限り、プロピル及びブチルの定義は、当該基の全ての可能な異性体形を含む。従って、例えば、プロピルは、n-プロピル及びイソ-プロピルを含み、ブチルはイソ-ブチル、sec.ブチル及びtert-ブチル等を含む。
【0013】
上記酸付加塩のうち、塩酸、メタンスルホン酸、安息香酸及び酢酸の塩が、本発明により特に好ましい。
本発明による化合物は、当技術分野に既に公知の方法と同様に製造してもよい。好適な製造方法は、例えばUS 3657244から公知であり、その文献の内容はここに含まれるものとする。
以下に記載の合成例を使用して、本発明をより十分に説明する。それらは、以下に記載の目的物に本発明を制限することなく、方法の例として説明することを単に意図するものである。
【実施例1】
【0014】
4-[2-(1,1-ジメチル-プロピルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール
【化3】

a) 2-(1,1-ジメチル-プロピルアミノ)-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノン;
αブロモ-2-メトキシ-3,4-ジフェニルメチレンジオキシアセトフェノン(US 3657244により得られる)42.5gを、1,1-ジメチルプロピルアミン30gと、エタノール150ml中、攪拌しながら3時間還流した。溶媒を、減圧下で留去し、残渣をジエチルエーテルと合わせ、水で二回抽出した。溶媒を減圧下で留去した後、残っている残渣を酢酸エチルに溶解し、塩酸エーテル(ethereal hydrochloric acid)で酸性化した。沈殿した結晶を吸引ろ過し、酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗った。
収量:26g(56%、ヒドロクロライド);融点=174〜176℃。
【0015】
b) 1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-(1,1-ジメチル-プロピルアミノ)-エタノン:
2-(1,1-ジメチル-プロピルアミノ)-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノン 25gを、15%塩酸メタノール50mlと、攪拌しながら2時間還流した。溶媒を、減圧下で留去し、残渣をアセトニトリルに溶解し、酢酸エチルと合わせた。沈殿した結晶を吸引ろ過し、アセトニトリル及びジエチルエーテルで洗った。
収量:15g(92%) 塩酸塩としての化合物。
さらなる精製に関して、遊離塩基を、通常の条件下、塩酸塩から遊離させ、その後メタノールに懸濁し、等モル量の安息香酸と合わせ、加熱してもよい。このようにして得られた結晶を吸引ろ過し、ジエチルエーテルで洗った。
融点=151〜154℃(ベンゾエート)。
【0016】
c) 4-[2-(1,1-ジメチル-プロピルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール:
1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-(1,1-ジメチループロピルアミノ)-エタノン 6.5gを、メタノール125ml中、触媒としての酸化白金0.1gで水素化した。触媒を吸引ろ過し、溶媒を減圧下で留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、沈殿した結晶を吸引ろ過し、酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗った。
収量:5.5g(85%;ベンゾエート);融点=172〜174℃。
【実施例2】
【0017】
4-[1-ヒドロキシ-2-(1-メチル-シクロペンチルアミノ)-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール
【化4】

a) 1-メチル-シクロペンチルアミン:
シアン化ナトリウム66.5gを氷酢酸150mlに溶解した。硫酸300ml及び氷酢酸150mlの溶液を、5〜10℃で、シアン化ナトリウム溶液に滴下して加えた。1-メチル-シクロペンタノール 126gをこの混合物に加えた。得られた混合物を一晩静置した。その後、水210ml及び、氷で冷却しながら、水1.5リットル中に水酸化ナトリウム770gを含む溶液をそれらに加えた。混合物を4時間還流し、アミンを水蒸気蒸留により単離した。留出物を濃塩酸で酸性化し、ジエチルエーテルで抽出し、その後50%水酸化ナトリウム溶液でアルカリ性にした。残渣を分留した。(Bp 760mm=114〜115℃)。
収量:45g(36%)。
【0018】
b) 1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2-(1-メチル-シクロペンチルアミノ)-エタノン:
α-ブロモ-2-メトキシ-3,4-ジフェニルメチレンジオキシアセトフェノン 35gを、エタノール150ml中、1-メチル-シクロペンチルアミン 45gと、1時間還流した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をジエチルエーテル中に溶解し、水で抽出し、溶媒を減圧下で留去した。残っている残渣をアセトニトリルに溶解し、塩酸で酸性化し、得られた結晶を単離した。
収量:19g(48%;ヒドロクロライド);融点=173℃(分解)
【0019】
c) 1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-(1-メチル-シクロペンチル-アミノ)-エタノン:
1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-2-(1-メチル-シクロペンチルアミノ)-エタノン 19gを、15%塩酸メタノール190ml中、攪拌しながら2時間還流した。溶媒を減圧下で留去し、残っている残渣をアセトニトリルに溶解した。沈殿した結晶を、ジエチルエーテルで洗った。
収量:11g(88%;塩酸塩);融点=187〜189℃(分解)。
【0020】
d) 4-[1-ヒドロキシ-2-(1-メチル-シクロペンチルアミノ)-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール:
1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-(1-メチル-シクロペンチル-アミノ)-エタノンヒドロクロライド 5gを、メタノール200ml中、PtO2 0.2gで水素化した。触媒を吸引ろ過し、溶媒を減圧下で留去した。残っている残渣をエタノールに溶解し、安息香酸ナトリウム5gと合わせた。表題の化合物を、そのベンゾエートの形態で単離した。
収量:4.5g(70.5%;ベンゾエート);融点=179〜180℃。
【実施例3】
【0021】
4-{2-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール
【化5】

a) 2-クロロメチル-1,3,5-トリメチル-ベンゼン:
メシチレン400gを、パラホルムアルデヒド130gと合わせ、塩酸2リットルを、60〜70℃で7時間以内にパイプで入れた。その後、その混合物をベンゼンで抽出し、その後、有機層を2N水酸化ナトリウム溶液で洗った。残渣を分留した。
収量:204g(36%);bp15 =130〜140℃
【0022】
b) (2,4,6-トリメチル-フェニル)-アセトニトリル;
シアン化ナトリウム66gを、攪拌しながら、水100ml及びエタノール140ml中において、澄明な溶液が形成されるまで還流した。2-クロロメチル-1,3,5-トリメチル-ベンゼン 136gを、この溶液に、ゆっくりと滴下して加え、混合物を攪拌しながら3時間還流した。それを、水1リットルで希釈し、ベンゼン200mlで3回抽出した。合わせた有機層を水で洗い、溶媒を減圧下で留去した。残渣を分留した。
収量:92g(72%);bp15=145〜153℃。
【0023】
c) (2,4,6-トリメチル-フェニル)-酢酸:
(2,4,6-トリメチル-フェニル)-アセトニトリル 155gを、水1.1リットル及び50℃に加熱した濃硫酸915mlを含む溶液に加えた。混合物を、攪拌しながら6時間還流した。その後、反応混合物を、氷3kgに注いだ。固形物を吸引ろ過し、水で洗った。
収量:131g(86%);融点=163〜166℃。
【0024】
d) メチル(2,4,6-トリメチル-フェニル)-アセテート:
(2,4,6-トリメチル-フェニル)-酢酸 173gを、濃塩酸131ml及びメタノール1.1l中において、攪拌しながら3時間還流した。溶媒を減圧下で留去し、水層をジエチルエーテルで二回抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で二回抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去した。残渣を分留した。
収量:116g(57%);bp15=140℃。
【0025】
e) 2-メチル-1-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-プロパン-2-オール:
表題の化合物97g(79%)を、ジエチルエーテル1.2l中のマグネシウム38g及びヨウ化メチル222g、及びメチル(2,4,6-トリメチル-フェニル)-アセテート 116gから、グリニャール反応において標準条件下で製造した。bp15=140℃。
【0026】
f) N-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチル]-ホルムアミド:
氷酢酸90ml及びシアン化カリウム33gを、氷で冷却しながら合わせた。その後、硫酸90ml及び氷酢酸90mlを20℃で滴下して加えた。2-メチル-1-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-プロパン-2-オール 65gを、一定温度で溶液にゆっくりと加えた。添加が終了した後、混合物をさらに1時間攪拌した。混合物を氷水上に注ぎ、炭酸ナトリウム溶液で中和し、ジエチルエーテルで抽出した。溶媒を、減圧下で留去し、残渣を分留した。
収量:55g(74%);bp0.1=155℃。
【0027】
g) 1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチルアミン:
N-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチル]-ホルムアミド 61gを、水酸化カリウム35gと、エチレングリコール155ml中、攪拌しながら9時間還流し、反応が終了した後、混合物を氷1kg上に注いだ。水層をジエチルエーテルで3回抽出し、溶媒を減圧下で留去した。残渣を分留した。
収量:48g(89%);bp15=135〜140℃。
【0028】
h) 2-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチルアミノ]-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノン:
α-ブロモ-2-メトキシ-3,4-ジフェニルメチレンジオキシアセトフェノン 42.5gを、1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチルアミン 22g及び炭酸カリウム17gと、エタノール150ml及びアセトニトリル50ml中、攪拌しながら3時間還流した。固形物をろ過して除き、溶媒を減圧下で留去した。残渣を少量のアセトニトリルに溶解し、塩酸エーテルと合わせた。沈殿した結晶を吸引ろ過し、アセトニトリル及び酢酸エチルで洗った。
収量:25g(44%;ヒドロクロライド);融点=240〜250℃。
【0029】
i) 1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチルアミノ]-エタノン:
2-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチルアミノ]-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノンヒドロクロライド 17gを、15%塩酸メタノール170mlと、攪拌しながら90分間還流した。溶媒を減圧下、大部分留去した。残っている残渣を結晶化した。結晶をろ過し、ジエチルエーテルで洗った。
収量:10g(80%;ヒドロクロライド)、融点=199〜201℃。
【0030】
j) 4-{2-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール:
1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-[1,1-ジメチル-2-(2,4,6-トリメチル-フェニル)-エチルアミノ]-エタノン-ヒドロクロライド 9gを、メタノール125ml中、酸化白金(IV)0.4gで水素化した。触媒をろ過し、溶媒を減圧下で留去した。残渣を、酢酸エチル50mlに溶解し、沈殿した結晶を吸引ろ過し、ジエチルエーテル及び酢酸エチルで洗った。
収量:6g(67%、ヒドロクロライド);融点=98〜105℃。
【実施例4】
【0031】
4-[2-(1,1-ジメチル-2-フェニル-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール
【化6】

a) 2-(1,1-ジメチル-フェニルエチルアミノ)-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノン:
α-ブロモ-2-メトキシ-3,4-ジフェニルメチレンジオキシアセトフェノン 45gを、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアミン 39gと、エタノール200ml中、3時間還流した。反応混合物を濃塩酸で酸性化し、水と合わせた。沈殿した結晶を吸引ろ過し、水、トルエン及び酢酸エチルで連続的に洗った。
収量:34g(61%、ヒドロクロライド);融点=167〜170℃
【0032】
b) 1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-(1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアミノ)-エタノン:
2-(1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアミノ)-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノンのHCl塩34gを、15%塩酸メタノール340ml中、2時間還流した。その後、溶媒を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチルに溶解した。沈殿した固形物を吸引ろ過し、酢酸エチル及びジエチルエーテルで洗った。
収量:18g(77%、ヒドロクロライド);融点192〜196℃。
【0033】
c) 4-{2-[1,1-ジメチル-2-フェニル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール:
1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-(1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアミノ)-エタノンヒドロクロライド 10gを、メタノール200ml中、PtO2 0.5gで水素化した。触媒を吸引ろ過し、溶媒を減圧下で留去した。残っている残渣を、アセトニトリル200mLに溶解し、安息香酸ナトリウム5gと合わせ、15分間還流した。過剰の安息香酸ナトリウムをろ過した後、ろ液に析出した生成物をろ過し、アセトニトリル及びジエチルエーテルで洗った。
収率:64.5%(ベンゾエート);融点149〜150℃。
【実施例5】
【0034】
4-{2-[1,1-ジメチル-2-(2,3,5,6-テトラ-メチル-フェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール
【化7】

a) 2-[1,1-ジメチル-2-(2,3,5,6-テトラメチル-フェニル)-エチルアミン]-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノン:
α-ブロモ-2-メトキシ-3,4-ジフェニルメチレンジオキシアセトフェノン 28.5g、1,1-ジメチル-2-(2,3,5,6-テトラメチル-フェニル)-エチルアミン 11g及び炭酸ナトリウム8gを、エタノール100ml及びアセトニトリル10mlの溶液中、3時間還流した。その後、無機塩をろ過し、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、塩酸エーテルで酸性化し、ジエチルエーテルと合わせた。沈殿した固形物をろ過し、ジエチルエーテルで洗い、その後、水中で沸騰させた。ろ過及び乾燥後に生成物を得た。
収量11g(ヒドロクロライド);融点194〜198℃。
【0035】
b) 1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-[1,1-ジメチル-2-(2,3,5,6-テトラメチル-フェニル)-エチルアミン]-エタノンの製造:
2-[1,1-ジメチル-2-(2,3,5,6-テトラメチル-フェニル)-エチルアミン]-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノン-ヒドロクロライド 11gを、15%塩酸メタノール110ml中、1.5時間還流した。粗生成物を吸引ろ過し、アセトニトリルで洗い、その後、メタノール/ジエチルエーテルから沈殿させた。
収量:7g(ヒドロクロライド);融点213〜215℃(分解)。
【0036】
c) 4-{2-[1,1-ジメチル-2-(2,3,5,6-テトラ-メチル-フェニル)-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオールの製造:
1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-[1,1-ジメチル-2-(2,3,5,6-テトラメチル-フェニル)-エチルアミン]-エタノン-ヒドロクロライド 7gを、メタノール100ml中、酸化白金(IV)0.2gで水素化した。その後、触媒をろ過し、溶媒を留去した。残渣を水20mlに溶解し、1N 塩酸と合わせた。冷却して沈殿した結晶をろ過し、氷水で洗い、乾燥後、酢酸エチルから再結晶した。
収量:5g;融点165〜168℃。
【実施例6】
【0037】
4-[2-(1,1-ジメチル-2-o-トリル-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオール
【化8】

a) 2-(1,1-ジメチル-2-o-トリル-エチルアミン)-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノンの製造:
α-ブロモ-2-メトキシ-3,4-ジフェニルメチレンジオキシアセトフェノン 26g、1,1-ジメチル-2-o-トリル-エチルアミン 10g及び炭酸ナトリウム9.5gを、アセトニトリル中、3時間還流した。無機塩をろ過し、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、塩酸エーテルで酸性化し、そこで出発アミンを沈殿させ、吸引ろ過した。ろ液へのジエチルエーテルの添加の後、生成物を結晶化した。
収量10g(30%;ヒドロクロライド);融点180〜184℃。
【0038】
b) 1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-(1,1-ジメチル-2-o-トリル-エチルアミン)-エタノンの製造:
2-(1,1-ジメチル-2-o-トリル-エチルアミン)-1-(4-メトキシ-2,2-ジフェニル-ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イル)-エタノン-ヒドロクロライド 10gを、15%塩酸メタノール100ml中、1.5時間還流した。反応混合物を蒸発させ、残渣を酢酸エチルから再結晶した。ろ過後、得られた固形物をジエチルエーテルで洗った。
収量6g(85%;ヒドロクロライド);融点198〜201℃(分解)。
【0039】
c) 4-[2-(1,1-ジメチル-2-o-トリル-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-3-メトキシ-ベンゼン-1,2-ジオールの製造:
1-(3,4-ジヒドロキシ-2-メトキシ-フェニル)-2-(1,1-ジメチル-2-o-トリル-エチルアミン)-エタノン-ヒドロクロライド 4gを、通常の条件下、メタノール50ml中、酸化白金(IV)0.2gで水素化した。その後、触媒をろ過し、溶媒を留去した。残渣をアセトニトリル100ml及び安息香酸ナトリウム3gと合わせた。それを20分間還流し、無機物質を濾過した。ろ液から結晶化した生成物を吸引ろ過し、アセトニトリルから再結晶した。
収量2.4g(ベンゾエート);融点114℃。
【0040】
一般式1の化合物は、治療分野においてそれらの用途が広いことにより特徴付けられることが見い出された。特に言及すべきは、本発明による一般式1の化合物が、ベータミメティックスとしてのそれらの医薬的有効性により好ましく使用されるというそれらの用途についてである。
それらとしては、例えば、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療、助産術における早期分娩の阻止(子宮収縮抑制)、房室ブロックにおける心臓洞律動の回復、並びに徐脈性心リズム症候の排除(elimination of bradycardic heart rhythm disorders)(抗不整脈)、心血管ショック(cardiovascular shock)の治療(血管拡張及び心拍出量の増加)、並びに皮膚の掻痒及び炎症の治療が挙げられる。
【0041】
一般式1の化合物は、それら自体又は一般式1の他の活性物質と共に使用されてもよい。また、一般式1の化合物は、他の薬理学的活性物質とのコンビネーションにおいて使用されてもよい。それらは、特に、抗コリン薬、抗アレルギー薬、PAF拮抗薬、PDE-IVインヒビター、ロイコトリエン拮抗薬、p38キナーゼインヒビター、EGFRキナーゼインヒビター及び副腎皮質ステロイド、並びにそれらの活性物質のコンビネーションであってもよい。
【0042】
一般式1の化合物と共に使用してもよい好ましい抗コリン薬の例は、チオトロピウム塩、イプラトロピウム塩、オキシトロピウム塩、WO 02/32899から公知の化合物の塩、
トロペノール-N-メチル-2,2-ジフェニルプロピオネート、
スコピン N-メチル-2,2-ジフェニルプロピオネート、
スコピン N-メチル-2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテート及び
トロペノール N-メチル-2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテート
並びに、WO 02/32899から公知の化合物の塩
トロペノール N-メチル-3,3',4,4'-テトラフルオロベンジレート、
スコピン N-メチル-3,3',4,4'-テトラフルオロベンジレート;
スコピン N-メチル-4,4'-ジクロロベンジレート、
スコピン N-メチル-4,4'-ジフルオロベンジレート、
トロペノール N-メチル-3,3'-ジフルオロベンジレート、
スコピン N-メチル-3,3'-ジフルオロベンジレート及び
トロペノール N-エチル-4,4'-ジフルオロベンジレートであって、所望により水和物及び溶媒和化合物の形態にあるものから選ばれる化合物である。塩は、上記カチオンの他に、クロライド、ブロミド及びメタンスルホネートから選ばれる単一の負電荷を有するアニオンを対イオンとして含むそれらの化合物を意味する。
【0043】
特に好ましくは、本発明の範囲内の活性物質は、上記構造のブロミド又はメタンスルホネートである。
本発明の範囲内で格別興味深いものは、例えば、抗コリン薬である、チオトロピウムブロミド、イプラトロピウムブロミド、オキシトロピウムブロミド、トロペノール2,2-ジフェニルプロピオネート-メトブロミド(methobromide)、スコピン 2,2-ジフェニルプロピオネート-メトブロミド、スコピン 2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテート-メトブロミド、トロペノール 2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテート-メトブロミド、トロペノール 3,3',4,4'-テトラフルオロベンジレート-メトブロミド、スコピン 3,3',4,4'-テトラ-フルオロベンジレート-メトブロミド; スコピン 4,4'-ジクロロベンジレート-メトブロミド、スコピン 4,4'-ジフルオロベンジレート-メトブロミド、トロペノール 3,3'-ジフルオロベンジレート-メトブロミド、スコピン 3,3'-ジフルオロベンジレート-メトブロミド及びトロペノール 4,4'-ジフルオロベンジレート-エチルブロミドが挙げられ、チオトロピウムブロミド、イプラトロピウムブロミド、トロペノール 2,2-ジフェニルプロピオネート-メトブロミド、スコピン 2,2-ジフェニルプロピオネート-メトブロミド、スコピン 2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテート-メトブロミド及びトロペノール 2-フルオロ-2,2-ジフェニルアセテート-メトブロミドが特に重要である。
【0044】
本発明による一般式1の化合物の他に、他の活性物質としてチオトロピウムブロミドを含有する薬物コンビネーションは、本発明により特に好ましい。このコンビネーションは、喘息又はCOPD、特にCOPDの治療に特に重要である。特に、極めて重要なものは、WO 02/30928から公知のその結晶性一水和物の形態において、又はWO 03/000265から公知のその結晶性無水物の形態において、チオトロピウムブロミドを含む、それらのコンビネーションである。
本発明の範囲内において、一般式1の化合物と共に、所望により使用してもよい副腎皮質ステロイドは、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン(mometasone)、シクレソニド(ciclesonide)、ロフレポニド(rofleponide)、GW 215864、KSR 592、ST-126及びデキサメタゾンから選らばれる化合物であってもよい。好ましくは、本発明の範囲内において、副腎皮質ステロイドは、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレソニド及びデキサメタゾンから選ばれ、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン及びシクレソニドが重要であり、ブデソニド及びフルチカゾンが特に重要である。場合によっては、本特許出願の範囲内において、ステロイドという用語は、副腎皮質ステロドという単語の代わりにそれ自体使用される。本発明の範囲内のステロイドの言及には、ステロドから形成されてもよい塩又は誘導体のへの言及が含まれる。可能な塩又は誘導体の例としては;ナトリウム塩、スルホベンゾエート、ホスフェート、イソニコチネート、アセテート、プロピオネート、リン酸二水素、パルミテート、ピバレート又はフロエートが挙げられる。また、場合によっては、副腎皮質ステロイドは、それらの水和物の形態において生じてもよい。
【0045】
一般式1の化合物とのコンビネーションとして、本発明により使用してもよいPDE-IVインヒビターの例としては、エンプロフィリン、ロフルミラスト、アリフロ、 Bay-198004、CP-325,366、BY343、D-4396 (Sch-351591)、V-11294A、Z-15370及びAWD-12-281から選ばれる化合物が挙げられる。好ましいPDE-IVインヒビターは、エンプロフィリン、ロフルミラスト、アリフロ、Z15370及びAWD-12-281から選ばれるが、AWD-12-281が本発明による一般式1の化合物とのコンビネーション・パートナーとして特に好ましい。また、本発明の範囲内で、上記PDE-IVインヒビターの言及には、存在してもよい薬理学的に許容され得るそれらの酸付加塩への言及が含まれる。上記PDE-IVインヒビターにより形成されてもよい生理学的に許容され得る酸付加塩は、本発明により、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸から選ばれる塩から選ばれる医薬的に許容され得る塩を意味する。本発明により、アセテート、ヒドロクロライド、ヒドロブロミド、スルフェート、ホスフェート及びメタンスルホネートから選ばれる塩が、本明細書において好ましい。
【0046】
本発明の範囲内において、所望により、一般式1の化合物と共に使用してもよいドパミンアゴニストという用語は、ブロモクリプチン、カベルゴリン、α-ジヒドロエルゴクリプチン、リスリド、ペルゴリド、プラミペキソール、ロキシンドール(roxindol)、ロピニロール、タリペキソール、テルグリド及びビオザン(viozan)から選ばれる化合物を表す。本発明の範囲内で、一般式1の化合物とのコンビネーション・パートナーとして、プラミペキソール、タリペキソール及びビオザンから選ばれるドパミンアゴニストを使用することが好ましく、プラミペキソールが特に重要である。上記ドパミンアゴニストの言及には、本発明の範囲内において、存在してもよい薬理学的に許容され得るそれらの酸付加塩及び水和物への言及が含まれる。上記ドパミンアゴニストにより形成されてもよい、生理学的に許容され得るそれらの酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸及びマレイン酸の塩から選ばれる、医薬的に許容され得る塩を意味する。
【0047】
一般式1の化合物とのコンビネーションとして本発明により使用されてもよい抗アレルギー薬の例としては、エピナスチン、セチリジン、アゼラスチン、フェキソフェナジン、レボカバスチン、ロラタジン、ミゾラスチン、ケトチフェン、エメダスチン、ジメチンデン、クレマスチン、バミピン、セクスクロロフェニラミン(cexchloropheniramine)、フェニラミン、ドキシラミン、クロロフェノキサミン(chlorophenoxamine)、ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、エバスチン、デスロラチジン(desloratidine)及びメクリジンが挙げられる。本発明による一般式1の化合物とのコンビネーションにおいて、本発明の範囲内で使用してもよい好ましい抗アレルギー薬は、エピナスチン、セチリジン、アゼラスチン、フェキソフェナジン、レボカバスチン、ロラタジン、エバスチン、デスロラチジン及びミゾラスチンから選ばれ、エピナスチン及びデスロラチジンが特に好ましい。また、上記抗アレルギー薬の言及には、本発明の範囲内において、存在してもよい薬理学的に許容され得るそれらの酸付加塩への言及が含まれる。
【0048】
一般式1の化合物とのコンビネーションとして本発明により使用してもよいPAF拮抗薬の例としては、4-(2-クロロフェニル)-9-メチル-2-[3-(4-モルホリニル)-3-プロパノン-1-イル]-6H-チエノ-[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン及び6-(2-クロロフェニル)-8,9-ジヒドロ-1-メチル-8-[(4-モルホリニル)カルボニル]-4H,7H-シクロ-ペンタ-[4.5]チエノ-[3,2-f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピンが挙げられる。
本発明による一般式1の化合物とのコンビネーションとして使用してもよいEGFRキナーゼインヒビターの例としては、特に、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-7-[4-((R)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-ブチルオキシ]-6-[(ビニルカルボニル)アミノ]-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-7-[4-((S)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-ブチルオキシ]-6-[(ビニルカルボニル)アミノ]-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-7-(2-{4-[(S)-(2-オキソ-テトラヒドロフラン-5-イル)カルボニル]-ピペラジン-1-イル}-エトキシ)-6-[(ビニルカルボニル)アミノ]-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-7-[2-((S)-6-メチル-2-オキソ-モルホリン-4-イル)-エトキシ]-6-[(ビニルカルボニル)アミノ]-キナゾリン、4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-[(4-{N-[2-(エトキシカルボニル)-エチル]-N-[(エトキシカルボニル)メチル]アミノ}-1-オキソ-2-ブテン-1-イル)アミノ]-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン及び4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-[3-(モルホリン-4-イル)-プロピルオキシ]-7-メトキシ-キナゾリンが挙げられる。また、上記EGFRキナーゼインヒビターの言及には、本発明の範囲内において、存在してもよい薬理学的に許容され得るそれらの酸付加塩への言及が含まれる。EGFRキナーゼインヒビターにより形成されてもよい生理学的又は薬理学的に許容され得るそれらの酸付加塩は、本発明により、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸の塩から選ばれる医薬的に許容され得る塩を意味する。酢酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸及びメタンスルホン酸の塩から選ばれるEGFRキナーゼインヒビターの塩が、本発明により好ましい。
【0049】
本発明による一般式1の化合物とのコンビネーションとして使用してもよいp38キナーゼインヒビターの特に好ましい例としては、1-[5-tert-ブチル-2-p-トリル-2H-ピラゾール-3-イル]-3-[4-(2-モルホリン-4-イル−エトキシ)ナフタレン-1-イル]-尿素; 1-[5-tert-ブチル-2-p-トリル-2H-ピラゾール-3-イル]-3-[4-(2-(1-オキソチオモルホリン-4-イル)エトキシ)ナフタレン-1-イル]-尿素; 1-[5-tert-ブチル-2-(2-メチルピリジン-5-イル)-2H-ピラゾール-3-イル]-3-[4-(2-ピリジン-4-イル-エトキシ)ナフタレン-1-イル]-尿素; 1-[5-tert-ブチル-2-(2-メトキシピリジン-5-イル)-2H-ピラゾール-3-イル]-3-[4-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)ナフタレン-1-イル]-尿素又は1-[5-tert-ブチル-2-メチル-2H-ピラゾール-3-イル]-3-[4-(2-モルホリン-4-イル-エトキシ)ナフタレン-1-イル]-尿素が挙げられる。また、上記p38キナーゼインヒビターの言及には、本発明の範囲内において、存在してもよい薬理学的に許容され得るそれらの酸付加塩への言及が含まれる。p38キナーゼインヒビターにより形成されてもよい生理学的又は薬理学的に許容され得るそれらの酸付加塩は、本発明により、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸及びマレイン酸の塩から選ばれる医薬的に許容され得る塩を意味する。
【0050】
一般式1の化合物が、他の活性物質と共に使用されるならば、上記化合物の部類のステロイド、PDE IVインヒビター又は抗コリン薬とのコビネーションが特に好ましい。抗コリン薬とのコンビネーションが特に重要である。
一般式1の化合物を投与する好適な製剤としては、例えば、錠剤、カプセル剤、坐剤及び液剤等が挙げられる。本発明による化合物の吸入投与は、本発明により(特に、喘息又はCOPDの治療に)特に重要である。医薬的な活性化合物の含量は、全体として、組成物の0.05〜90質量%、好ましくは0.1〜50質量%であると考えられる。好適な錠剤は、例えば、活性物質を、公知の賦形剤、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトース、崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン又はアルギン酸、結合剤、例えばデンプン又はゼラチン、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク及び/又は放出遅延用薬剤、例えばカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、又は酢酸ポリビニルと混合することにより得てもよい。また、錠剤は、幾つもの層を含んでいてもよい。
【0051】
コーティング錠は、錠剤コーティング用に通常使用される物質、例えばコリドン又はセラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖で、錠と類似的に製造されたコアを被覆することにより、しかるべく製造してもよい。遅延放出を達成するか又は不適合を防ぐため、コアは多層からなっていてもよい。同様に、錠剤コーティングは、場合により上記の錠剤用賦形剤を使用して、遅延放出を達成するために多層からなっていてもよい。
本発明による活性物質又はそれらのコンビネーションを含有するシロップ又はエリキシルは、甘味剤、例えば、サッカリン、シクラメート、グリセロール又は糖及び風味増強剤(flavour enhancer)、例えば香料、例えばバニリン又はオレンジ抽出物をさらに含んでいてもよい。また、それらは、懸濁補助剤又は増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、湿潤剤、例えば、脂肪アルコールと酸化エチレンの縮合生成物、又は保存剤、例えばp-ヒドロキシベンゾエートを含んでいてもよい。
【0052】
液剤は、通常の方法、例えば、等張化剤、保存剤、例えばp-ヒドロキシベンゾエート又は安定化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩の添加により、所望により乳化剤及び/又は分散剤を使用し、もし、水を希釈剤として使用するならば、例えば有機溶媒を可溶化剤又は溶解補助剤として使用してもよく、また液剤を注入バイアル又はアンプル又は注入ボトルに移してもよい。
一つ以上の活性物質又は活性物質のコンビネーションを含有するカプセル剤は、例えば活性物質を不活性担体、例えばラクトース又はソルビトールと混合し、それらをゼラチンカプセルに詰めることにより製造してもよい。
【0053】
好適な坐剤は、この目的のために提供される担体、例えば中性脂肪又はポリエチレングリコール又はそれらの誘導体と混合することにより製造してもよい。
使用してもよい賦形剤としては、例えば水、医薬的に許容され得る有機溶媒、例えばパラフィン(例えば、石油留分)、植物油(例えば、ラッカセイ油又はゴマ油)、単官能性又は多官能性アルコール(例えば、エタノール又はグリセロール)、担体、例えば天然鉱物パウダー(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク)、合成鉱物パウダー(例えば、高分散性ケイ酸及びシリケート)、糖(例えば、ショ糖、ラクトース及びグルコース)、乳化剤(例えば、リグニン、亜硫酸排液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。
【0054】
経口用に関して、錠剤は、明記した担体の他に、添加剤、例えばクエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウムを、様々な追加的な物質、例えば、デンプン、好ましくはジャカイモデンプン、ゼラチン等と一緒に、明らかに含んでいてもよい。滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクを使用し、錠剤を製造してもよい。水性懸濁剤の場合、活性物質は、上記賦形剤に加えて、様々な風味増強剤又は着色剤と合わせてもよい。
喘息又はCOPDの治療用の一般式1の化合物の好ましい使用において、吸入に好適な製剤又は医薬製剤を使用することが、本発明により特に好ましい。吸入用製剤としては、吸入用パウダー、噴霧剤含有定量エアロゾル又は噴霧剤非含有吸入用溶液が挙げられる。本発明の範囲内において、また、噴霧剤非含有吸入用溶液という用語には、濃縮物、又は無菌のすぐに使える(ready-to-use)吸入溶液が含まれる。本発明の範囲内に使用してもよい製剤を、本明細書の次の箇所において、より詳細に記載する。
【0055】
本発明により使用してもよい吸入用パウダーは、それら自体又は好適な生理学的に許容され得る賦形剤との混合物のいずれかにおいて、1を含んでいてもよい。
もし、活性物質1が、生理学的に許容され得る賦形剤との混合物において存在するならば、以下の生理学的に許容され得る賦形剤は、本発明によるこれらの吸入用パウダーを製造するために使用されてもよい:単糖(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖(例えば、ラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖及び多糖(例えば、デキストラン)、多価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はそれら賦形剤の混合物。好ましくは単糖又は二糖が使用され、ラクトース又はグルコースの使用が好ましく、特には、排他的ではないが、それらの水和物の形態におけるものである。本発明の目的に関して、ラクトースが特に好ましい賦形剤であり、ラクトース一水和物が最も好ましい。
【0056】
本発明による吸入用パウダーの範囲内において、賦形剤の最大平均粒度は、250μm以下、好ましくは10〜150μm、最も好ましくは15〜80μmである。場合によっては、平均粒度1〜9μmの、より微細な賦形剤画分を、上記賦形剤に加えることが好適と考えられてもよい。また、これらのより微細な賦形剤は、上記の可能な賦形剤の群から選ばれる。最終的に、本発明による吸入用パウダーを製造するために、好ましくは平均粒度0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μmの微粉化した活性物質1を賦形剤混合物に加える。成分を粉砕し、微紛化し、最終的に一緒に混合することにより、本発明による吸入用パウダーを製造する方法は、従来技術から公知である。本発明による吸入用パウダーを、従来技術から公知の吸入器を使用して投与してもよい。
【0057】
本発明による、噴霧ガスを含有する吸入エアロゾルは、噴霧ガスに溶解されるか又は分散された形態において、化合物1を含んでいてもよい。化合物1は、別々の製剤又は共通の製剤に含まれ、そこで化合物1は、共に溶解されているか、共に分散されているか、又は各場合において、単に一方の成分が溶解され、他方が分散されていてもよい。吸入エアロゾルを製造するために使用してもよい噴霧ガスは、従来技術から公知である。好適な噴霧ガスは、炭化水素、例えばn-プロパン、n-ブタン又はイソブタン及びハロ炭化水素、例えば、TG134a及びTG227から選ばれるハロゲン化アルカン誘導体及びそれらの混合物から選ばれる。
また、噴霧式吸入エアロゾルは、他の成分、例えば、共溶媒、安定化剤、界面活性剤、抗酸化剤、滑沢剤及びpH調整剤を含んでいてもよい。すべてのそれらの成分は当技術分野において公知である。
上記の本発明による噴霧式吸入エアロゾルは、当技術分野に公知の吸入器(MDI=計量式吸入器)を使用して投与してもよい。
【0058】
さらに、本発明による活性物質1は、噴霧剤非含有の吸入用溶液及び懸濁液の形態において投与されてもよい。使用される溶媒は、水性又はアルコール性、好ましくはエタノール性溶液であってもよい。溶媒は、水だけ又は水とエタノールの混合物であってもよい。水と比較したエタノールの相対比は、限定されるものではないが、最大にして、好ましくは70体積%以下、より具体的には60体積%以下、最も好ましくは30体積%以下である。体積の残りは水から構成される。1を含有する溶液又は懸濁液は、好適な酸を使用して、pH2〜7、好ましくは2〜5に調節される。pHは、無機酸又は有機酸から選ばれる酸を使用して調整してもよい。特に好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に好適な有機酸の例としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。好ましい無機酸は、塩酸及び硫酸である。また、活性物質の一つと酸付加塩を既に形成している酸を使用することは可能である。有機酸のうち、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。必要に応じて、特に、それらの酸性化特性に加えて他の特性、例えば香料、抗酸化剤又は錯化剤としての特性を有する酸、例えばクエン酸又はアスコルビン酸の場合、上記酸の混合物を使用してもよい。本発明により、pHを調整するために塩酸を使用することが特に好ましい。
【0059】
要求に応じて、安定化剤又は錯化剤として、エデト酸(EDTA)又はそれらの公知の塩の一つ、エデト酸ナトリウムの添加は、これらの製剤に不必要である。他の態様は、この化合物又はこれらの化合物を含んでいてもよい。好ましい態様において、エデト酸ナトリウムをベースとした含量は、100mg/100ml未満、好ましくは50mg/100ml未満、より好ましくは20mg/100ml未満である。一般的に、エデト酸ナトリウムの含量が0〜10mg/100mlの吸入用溶液が好ましい。
【0060】
共溶媒(co-solvent)及び/又は他の賦形剤を、噴霧剤非含有吸入用溶液に添加してもよい。好ましい共溶媒は、ヒドロキシル基又は他の極性基を含むもの、例えばアルコール、特にイソプロピルアルコール、グリコール、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロール、ポリオキシエチレンアルコール及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。本明細書中、賦形剤及び添加剤という用語は、活性物質ではないが、生理学的に好適な溶媒中において活性物質(又は複数の活性物質)に配合されて活性物質の製剤の質的な特性を向上させることができる任意の薬理学的に許容可能な物質を表す。好ましくは、これらの物質は、薬理学的作用を持たないか、又は望ましい治療に関連して、その薬理学的作用が感知され得ないか、又は少なくとも望ましくない薬理学的作用を持たない。賦形剤及び添加剤としては、例えば、界面活性剤、例えば大豆レシチン、オレイン酸、ソルビタンエステル、例えばポリソルベート、ポリビニルピロリドン、他の安定化剤、錯化剤、抗酸化剤及び/又は保存剤であって、完成した医薬製剤の保存期限を保証するか又は延期するもの、香料、ビタミン及び/又は当技術分野に公知の他の添加剤が挙げられる。また、添加剤としては、薬理学的に許容され得る塩、例えば、等張化剤としての塩化ナトリウムが挙げられる。
【0061】
好ましい賦形剤としては、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸(例えば、pHを調整するために既に使用されていないことを条件とする)、ビタミンンA、ビタミンE、トコフェロール及び人体に生じる同様のビタミン及びプロビタミンが挙げられる。
保存剤を、病原体の混入から製剤を防護するために使用してもよい。好適な保存剤は、当技術分野において公知のもの、具体的には塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸又はベンゾエート、例えば安息香酸ナトリウムであって、従来技術から公知の濃度におけるものである。上記保存剤は、濃度50mg/100ml以下、より好ましくは5〜20mg/100mlにおいて好ましく存在する。
好ましい製剤は、溶媒の水及び活性物質の他に、塩化ベンザルコニウム及びエデト酸ナトリウムのみを含む。他の好ましい態様において、エデト酸ナトリウムは存在しない。
本発明による化合物の投与量は、投与方法及び治療されるべき愁訴に、当然かなり依存する。吸入により投与される場合、一般式1の化合物は、μg範囲の量でさえ、高い効力により特徴付けられる。また、一般式1の化合物は、μg範囲を超えて効果的に使用されてもよい。従って、投与量は、例えばグラムの範囲であってもよい。特に、吸入以外の経路により投与される場合、本発明による化合物は、より多い量において投与されてもよい(例えば、1〜1000mgの範囲であるが、それに限定されない)。
【0062】
以下の製剤例は、本発明の範囲を制限することなく、本発明を説明するものである:
医薬製剤の例
A) 錠剤
1錠当たり


【0063】
微細な活性物質、ラクトース及びトウモロコシデンプンの一部を一緒に混合した。混合物を篩い、その後、ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、練り、湿式造粒し、乾燥させた。その顆粒、残りのトウモロコシデンプン及びステアリン酸マグネシウムを篩い、一緒に混合した。混合物を好適な形及び大きさの錠剤に圧縮した。
B) 錠剤
1錠当たり


【0064】
微細な活性物質、トウモロコシデンプンの一部、ラクトース、微結晶性セルロース及びポリビニルピロリドンを一緒に混合し、その混合物を篩い、残りのトウモロコシデンプン及び水と混ぜ、顆粒を形成し、乾燥して篩った。これらに、カルボキシメチルナトリウムデンプン及びステアリン酸マグネシウムを加え、それらを一緒に混合し、その混合物を好適な形及び大きさの錠剤に圧縮した。
C) アンプル溶液


【0065】
活性物質を水に、それ自体のpHで又は所望によりpH5.5〜6.5で溶解し、塩化ナトリウムを加え、等張液を作成した。得られた溶液をろ過し、発熱物質を除去し、ろ液を無菌条件下で、その後滅菌及びヒートシールされるアンプルに移した。アンプルは、活性物質5mg、25mg及び50mgを含んでいた。

D) 計量エアロゾル


【0066】
懸濁液を、従来の計量バルブつきエアロゾル容器に移した。好ましくは、50μlの懸濁液を、各作動で放出した。また、活性物質は、必要に応じて、より多い量で放出されてもよい(例えば、0.02質量%)。
E) 液剤
(mg/100ml)


【0067】
この液剤を、従来の方法により製造してもよい。
F) 吸入用パウダー

【0068】
吸入用パウダーを、個々の成分を混合することにより従来の方法において製造した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式1の化合物;
【化1】

{式中、R1は、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R2は、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R3は、炭素数1〜4のアルキル又はフェニル(それらは所望により一置換又は多置換されていてもよい)を表し;又は
R2とR3は、一緒になって、-CH2-CH2-及び-CH2-CH2-CH2-から選ばれる二重に結合する基を表す}。
【請求項2】
式中、
R1が、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R2が、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R3が、炭素数1〜4のアルキル又はフェニル(それらは所望により、炭素数1〜3のアルキル、CF3、メトキシ、エトキシ、ヒドロキシ、フッ素、塩素、臭素、-OCF3、-CHF2、-NHCOCH3及び-NHSO2CH3から選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換、三置換又は四置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、-CH2-CH2-及び-CH2-CH2-CH2-から選ばれる二重に結合する基を表す、請求項1に記載の一般式1の化合物。
【請求項3】
式中、
R1が、炭素数1〜4のアルキル、好ましくはメチルを表し;
R2が、炭素数1〜4のアルキルを表し;
R3が、炭素数1〜4のアルキル又はフェニル(それらは所望により、メチル、エチル、CF3、メトキシ、エトキシ及びヒドロキシから選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換、三置換又は四置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、-CH2-CH2-及び-CH2-CH2-CH2-から選ばれる二重に結合する基を表す、請求項1又は2に記載の一般式1の化合物。
【請求項4】
式中、
R1が、炭素数1〜4のアルキル、好ましくはメチルを表し;
R2が、炭素数1〜4のアルキル、好ましくはメチルを表し;
R3が、炭素数1〜4のアルキル、好ましくはメチル、又はフェニル(それらは所望により、メチル、CF3、メトキシ及びヒドロキシから選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換、三置換又は四置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、二重に結合する基、-CH2-CH2-を表す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の一般式1の化合物。
【請求項5】
式中、
R1が、メチル又はエチル、好ましくはメチルを表し;
R2が、メチルを表し;
R3が、メチル、エチル又はフェニル(それらは所望により、メチル、CF3、メトキシ及びヒドロキシから選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換、三置換又は四置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、二重に結合する基、-CH2-CH2-を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の一般式1の化合物。
【請求項6】
式中、
R1が、メチルを表し;
R2が、メチルを表し;
R3が、メチル又はフェニル(それらは所望により、メチル、エチル及びヒドロキシから選ばれる一つ以上の基により、一置換、二置換又は三置換されていてもよい)を表すか、又は
R2とR3 が、一緒になって、二重に結合する基、-CH2-CH2-を表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の一般式1の化合物。
【請求項7】
式中、
R1が、メチルを表し;
R2が、メチルを表し;
R3が、メチル又はフェニルを表すか、又は
R2とR3が、一緒になって、二重に結合する基、-CH2-CH2-を表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の一般式1の化合物。
【請求項8】
個々の光学異性体、個々のエナンチオマー又はラセミ体の混合物の形態、及び遊離塩基又は薬理学的に許容され得る酸の対応する酸付加塩の形態にある、請求項1〜7のいずれか1項に記載の一般式1の化合物。
【請求項9】
医薬組成物としての、請求項1〜8のいずれか1項に記載の一般式1の化合物の使用。
【請求項10】
ベータミメティックスが治療上の有益性を提供することができる疾患の治療用医薬組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の一般式1の化合物の使用。
【請求項11】
喘息、COPD、助産術における早期分娩(子宮収縮抑制)、房室ブロック、並びに徐脈性心リズム症候(抗不整脈)、心血管ショック(血管拡張及び心拍出量の増加)、並びに皮膚の掻痒及び炎症の治療用医薬組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか1項に記載の一般式1の化合物の使用。
【請求項12】
活性物質として、請求項1〜8のいずれか1項に記載の一般式1の一つ以上の化合物を、所望により従来の賦形剤及び/又は担体とのコンビネーションにおいて含む、医薬製剤。
【請求項13】
一つ以上の一般式1の化合物の他に、抗コリン薬、抗アレルギー薬、PAF拮抗薬、PDE IVインヒビター、ロイコトリエン拮抗薬、p38キナーゼインヒビター、EGFRキナーゼインヒビター及び副腎皮質ステロイドから選ばれる少なくとも一つの他の活性物質、又は活性物質のコンビネーションを含む、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
一つ以上の一般式1の化合物の他に、活性物質としてチオトロピウムブロミドをまた含む、請求項13に記載の医薬製剤。

【公表番号】特表2006−502207(P2006−502207A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542369(P2004−542369)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010661
【国際公開番号】WO2004/033412
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(503137975)ベーリンガー インゲルハイム ファルマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (129)
【Fターム(参考)】