説明

使用性に優れる固形石鹸

【課題】 固形石鹸において、固形石鹸の強度を損なうことなく、形状の面でその使用性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】 固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面において、石鹸の上下の2つの当該面を貫通する、4〜10個の穿孔を設ける。前記穿孔の形状としては、前記穿孔1個の垂直方向への投影面積が25〜50mmであることが好ましく、前記穿孔の投影面積の総和が、固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面の投影面積に対して、1〜10%であることが好ましく、穿孔の垂直方向への投影された図形の形状が円であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固形石鹸に関し、更に詳細には、使用性に優れる形状を有する固形石鹸に関する。
【背景技術】
【0002】
固形石鹸、更に詳細には、脂肪酸のナトリウム石鹸を主剤とする固形石鹸は、古来より洗浄料として広く使用されてきている。固形石鹸は使用の歴史が長く、且つ、洗浄力にも優れる為、長い間使用されてきている。しかしながら、その使用性において欠点が存しないわけではなく、例えば、固形であるため、泡立てにくく、又、界面活性剤としての特質もあるため、石鹸自体が滑りやすく、手で保持、固定しにくく、泡立てのための擦過行為中に滑って落としやすいことなどが大きな欠点として指摘できる。特に、洗浄行為に於いて泡立てることは、汚れを落としやすくする点と、皮膚上に石鹸成分を残存させずに、残存石鹸分による刺激発現を抑制すると言う点で重要な要素である。その一方、固形石鹸は石鹸の作るゲル構造で構造を形成しており、いわば「固形の水溶液」という性質を有するが為に、周囲に存する水分を石鹸のゲル構造に取り込んで軟化する欠点も存した。この様な欠点を改良するために、固形石鹸を粉末化して軟化を防ぐと同時に水への溶解性を改善する技術(例えば、特許文献1を参照)や、固形石鹸の中央に穴を穿ち、ドーナツ型の構造に加工する技術(例えば、特許文献2を参照)などが例示できる。しかしながら、粉末状の石鹸では水へのような異性は向上するものの、泡立てはネットなどの補助具がないと徒に周囲に散乱するだけで使用性は向上しない。又、ドーナッツ型の石鹸では泡立ちの向上や保持のし易さの向上は存するものの、表面積が増えるが故の吸湿、軟化の促進と、穿孔が存するが故の石鹸強度の低下という欠点が存した。即ち、固形石鹸において、形状の面でその使用性を向上させるものは得られていないと言える。
【0003】
他方、固形石鹸において、固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面において、石鹸の上下の2つの当該面を貫通する、4〜10個の穿孔を有する、構成のものは全く知られておらず、この様な構成を採用することにより、固形石鹸の強度を維持しつつ、使用性を著しく向上できることは全く知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2005−213250号公報
【特許文献2】特開2001−271099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、固形石鹸において、固形石鹸の強度を損なうことなく、形状の面でその使用性を向上させる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、固形石鹸において、固形石鹸の強度を損なうことなく、形状の面でその使用性を向上させる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面において、石鹸の上下の2つの当該面を貫通する、4〜10個の穿孔を有すると言う構成を採用することにより、泡立て性、保持性などの固形石鹸の使用性が顕著に向上できることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)固形石鹸であって、固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面において、石鹸の上下の2つの当該面を貫通する、4〜10個の穿孔を有する固形石鹸。
(2)前記穿孔1個の垂直方向への投影面積が25〜50mmであることを特徴とする固形石鹸。
(3)前記穿孔の投影面積の総和が、固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面の投影面積に対して、1〜10%であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の固形石鹸。
(4)穿孔の垂直方向への投影された図形の形状が円であることを特徴とする(1)〜(3)何れか1項に記載の固形石鹸。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固形石鹸において、固形石鹸の強度を損なうことなく、形状の面でその使用性を向上させる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の固形石鹸は、固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面において、石鹸の上下の2つの当該面を貫通する、4〜10個、より好ましくは6〜8個の穿孔を有することを特徴とする。穿孔の数は多すぎると穿孔の効果は頭打ちであるにもかかわらず、固形石鹸の物理的強度を損なう場合が存し、少なすぎる穿孔の効果を発揮しない場合が存するためである。又、穿孔のあける方向としては、最も広い面積を有する面において、石鹸の上下の2つの当該面を貫通する必要が存し、他の面積の小さい2つの面を貫通する方向では、穿孔の使用性向上効果を奏しないばかりか、固形石鹸の強度を著しく損なうことが存するためである。ここで、本発明に言う固形石鹸とは、最も大きい投影面の面積が25〜150cmの固形の洗浄料であり、手で保持して該洗浄料を直接被洗浄部位に、或いは、一度タオルやスポンジなどの擦過媒体に擦過して含浸させたのち、該洗浄料含浸擦過媒体を被洗浄部位に擦過させて、洗浄を行う形態で使用する洗浄料の総称であり、その洗浄成分としては通常脂肪酸石鹸が用いられるが、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムのようなアシル化アミノ酸塩等を使用することも可能である。又、前記脂肪酸石鹸としては、ナトリウム塩を使用する場合が多いが、所望により、カリウム塩やトリエタノールアミン塩などを使用することも出来る。これは、この様な固形洗浄料である固形石鹸の形態を取ることにより、主たる洗浄成分の種類を問わず、保持して擦過しにくい、泡立ちが遅い、表面から洗浄成分が溶け出して、洗浄に適した濃度に達するまでに時間を要すると言う共通の課題が存するためであり、本願発明がこの共通の課題を解決するものであるためである。
【0009】
本発明の固形石鹸の必須構成要素である穿孔は、その断面積、即ち、貫通した2つの面の面における穴の面積、より詳しく述べれば、前記穿孔1個の垂直方向への投影面積は、25〜50mmであることが好ましく、26〜38mmであることがより好ましい。これはかかる穿孔が、固形石鹸を擦過する際に、生じた泡沫を剪断せしめ、複数の泡沫に分割させる作用を発揮するのであるが、穿孔が小さすぎると、泡沫の分割で生じる子泡沫のバラツキが大きくなる場合が存し、大きすぎると泡沫を分割できなくなり、泡の肌理を損なう場合が存するためと、穿孔の断面積が小さすぎると使用後の水切れが阻害され、湿潤、膨潤した洗浄料で穴がふさがれ、固形石鹸全体が含水ゲル化し、軟化する場合が存し、大きすぎると物理的な固形石鹸の強度を損なう場合が存する為の二つの理由からである。又、この理由から、穿孔の総面積が同一であっても、個数が本発明の好適範囲と異なる場合には、本発明の効果を奏しない場合が存し好ましくない。又、前記穿孔の形状は特段の限定はされず、円筒形、四角柱形、三角柱形、楕円柱形、前方後円柱形などが例示できるが、特に円筒形が好ましい。これは、後記の如く、ドリルで特に容易に穿孔できるからである。
【0010】
本発明の固形石鹸は、常法に従って製造することが出来る。穿孔を構築するには、常法に従うものであれば特段の限定はされない。
【0011】
具体的には、例えば、穿孔部を円筒形にかたどったゴム型を用いて、溶融した固形石鹸成分を流し込み、冷却固化させて、ゴム型をはずす方法や、機械練りなどの通常の工程で穿孔を有さない固形石鹸を作成し、しかる後にドリルなどを用いて穿孔し、穿孔を設ける方法などが好ましく例示できる。特に好ましい方法は、後者の固形石鹸を作成し、その後、ドリルなどで穿孔する方法である。
【0012】
本発明の固形石鹸を構成する成分としては、前述の如くに、通常の固形石鹸に準ずることが出来る。具体的には、例えば、洗浄成分としては、ラウリン酸石鹸、ミリスチン酸石鹸、パルミチン酸石鹸、ステアリン酸石鹸、ベヘン酸石鹸、オレイン酸石鹸、イソステアリン酸石鹸などの脂肪酸石鹸が好ましく例示でき、該脂肪酸石鹸を構成するアルカリとしては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、トリエタノールアミンやモノエタノールアミンなどの有機アミン、アルギニンやリシンなどの塩基性アミノ酸などが例示できる。かかるアルカリは単独でも2種以上の組合せでも良い。又、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ナトリウム等を脂肪酸石鹸に代えて使用することも出来る。
【0013】
前記洗浄成分以外に、本発明の固形石鹸は、通常化粧料や洗浄料で使用される任意の成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等の脂肪酸石鹸やN−アシルアミノ酸塩に相当しないアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤;エタンホスホン酸塩、ペンテト酸塩、エチドロン酸塩などの抗酸化剤などが好ましく例示できる。
【0014】
本発明の固形石鹸を構成する石鹸組成物の調整は、通常の固形石鹸の世間組成物の調整に準じて行えば良く、例えば、トリグリセライドをアルカリや水とともに加熱し、石鹸素地を作成し、これに適宜添加物を加え、再溶融し、所望によりペレット化し、熱ロールにかけて水分調整などを行い、型打ち乃至は流し込み成型すればよい。
【0015】
本発明の固形石鹸は、固形石鹸であって、固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面において、石鹸の上下の2つの当該面を貫通する、4〜10個の穿孔を有すると言う構成を採用することにより、皮膚乃至はスポンジなどの擦過媒体に擦過しただけで肌理の細かい、ねっとりとしたクリーム状の泡沫を形成し、これを用いて洗浄することにより、その大きな表面積の効果によって、汚れをより効果的に落とすことが出来ると同時に、脂肪酸乃至は脂肪酸石鹸の残存を抑制し、使用に於いてかかる残存によって生じる刺激発現を抑制でき、以て安全性を高めることが出来る。更に、石鹸の使用時の保持性も向上でき、使用途中で滑って手から落とすことも抑制できる。
【0016】
以下に、実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0017】
以下に示す処方で固形石鹸を作成し、これに6mmφの穿孔を6つ穿ち、本発明の固形石鹸を得た。即ち、処方成分を加熱溶融し、14cm×10cm×3cmの金型の枠に流し込み、冷却固化させて型をはずして固形石鹸を得た。図1に示す様に、この固形石鹸に3個ずつ2列の穿孔を14cm×10cmの2つの面を貫通するように、ドリルで設け、本発明の固形石鹸1を得た。比較例1としてこの固形石鹸に13mm×13mmの正方形の穿孔を1つ設けたものも同様に作成した。
【0018】
グリセリン 10質量%
マルチトール 3質量%
エタノール 15質量%
水酸化ナトリウム 7質量%
ソルビトール 4質量%
ステアリン酸 10質量%
パルミチン酸 10質量%
ラウリン酸 15質量%
グラニュー糖 10質量%
ベヘニルアルコール 1質量%
水 5質量%
【0019】
<試験例1>
穿孔前の固形石鹸(対照例)、固形石鹸1、比較例1とを用いて泡立て試験を行った。泡立て試験は、水を含ませたスポンジ上を水にしとらせた石鹸を10往復擦過させ、得られた泡を試験管に取り、その容量を泡立て直後、5分後、10分後に計測した。結果を表1に示す。これより、同じ石鹸組成の固形石鹸でありながら、本発明の固形石鹸は優れた泡立ち作用を有することが判る。
【0020】
【表1】

【0021】
<試験例2>
前記対照例、固形石鹸1、比較例1を用いて、強度試験(落下試験)を行った。即ち、1.5mlの高さより、コンクリートの床にこれらのサンプルを自然落下させ、破損の有無を調べた。例数は5例ずつ行った。結果を表2に示す。これより、本発明の固形石鹸は充分な強度を有していることが判る。
【0022】
【表2】

【実施例2】
【0023】
実施例1の対照例の固形石鹸に6mmφの穿孔を2個、3個、2個の3列7個あけた。泡立ち試験直後の泡容積は51mlであり、落下試験の破損個数は0/5個であった。
【実施例3】
【0024】
実施例1の対照例の固形石鹸に8mmφの穿孔を2個、3個、2個の3列7個あけた。泡立ち試験直後の泡容積は49mlであり、落下試験の破損個数は0/5個であった。
【実施例4】
【0025】
実施例1の対照例の固形石鹸に6mmφの穿孔を3個、3個、3個の3列9個あけた。泡立ち試験直後の泡容積は53mlであり、落下試験の破損個数は1/5個であった。穿孔の数は10個が限度と思われる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、使用勝手の良い固形石鹸に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の固形石鹸1を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形石鹸であって、固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面において、石鹸の上下の2つの当該面を貫通する、4〜10個の穿孔を有する固形石鹸。
【請求項2】
前記穿孔1個の垂直方向への投影面積が25〜50mmであることを特徴とする、請求項1に記載の固形石鹸。
【請求項3】
前記穿孔の投影面積の総和が、固形石鹸を構成する面の内、最も広い面積を有する面の投影面積に対して、1〜10%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固形石鹸。
【請求項4】
穿孔の垂直方向への投影された図形の形状が円であることを特徴とする請求項1〜3何れか1項に記載の固形石鹸。

【図1】
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【公開番号】特開2007−84732(P2007−84732A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−277082(P2005−277082)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】