説明

侵入検知装置

【課題】 誤報発生の原因把握を容易にして、不要な警備出動を低減させることが可能な検知履歴表示機能付き侵入検知装置を提供する。
【解決手段】 検知履歴表示回路10により発報時を含む所定時間帯にわたってセンサ検知情報の履歴を、監視エリアVAの映像に付加してモニタ6の画面に表示させるので、発報に至る履歴の表示により、誤報の原因の把握を容易にできるから、不要な出動を低減することができる。また、発報情報表示回路16による複数のエリアブロックごとに表示される該エリアブロック内の発報情報に基づいて、誤報の原因の把握が容易になるので、感度調整制御部21によりセンサ3およびカメラ1の感度を容易に適切に調整することができ、不要な警備出動を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視エリアを撮影するカメラおよび物体の存在を検知するセンサを用いて、不法に侵入した物体を検知する侵入検知装置に関し、特にその誤報発生の原因把握の容易化に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の侵入検知装置は、例えば一般住宅や工場のような建物の屋外または屋内などの警戒現場に設置されて、カメラが常時監視エリアを撮影しており、監視エリア内に不法に侵入した物体をセンサが検知して発報したときに、その撮影した映像を監視ステーションに伝送して当該モニタの画面に表示するようになっている。この装置は、発報があれば警備員が出動態勢をとる警備サービスなどに用いられる。センサには例えば受動型赤外線方式のセンサ(PIRセンサ)やマイクロ波応用のレーダセンサ(MWセンサ)などが使用される。
【0003】
この場合、監視エリアを撮影した映像は一旦メモリに記憶されて、この映像が監視ステーションに間欠的に伝送される。監視ステーションではこの伝送された映像を見て、警備出動するに値する侵入者や検知対象が映っていない場合、または、発報時の前後の映像記録が伝送されているときにそれを再生しても怪しい映像が映っていない場合や該映像記録自体が伝送されていない場合には、監視先へ確認の電話を入れるか警備出動するという手順が採られている。また、留守宅の監視を行っている時には、電話を入れることなく警備出動することになる。
【0004】
従来の侵入検知装置の一例として、監視エリアを撮影するカメラおよび物体の存在を検知するセンサの両方を用い、監視エリアを撮像した映像に複数のエリアブロックを重畳してモニタ画面に表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3278085号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように発報があって発報時の映像が確認された場合であっても実際には警備出動する必要がないことも多い。例えば、(1)犬、猫などの小動物が通過して発報されたが、間欠伝送された映像では、通過したときの瞬間映像が伝送もれになっていて確認できない場合、(2)鳥などの小動物がセンサのすぐ前を高速で通過して発報されたが、伝送された映像には不法侵入物と認められるものが映っていない場合、(3)背景となっている物体(草木など)が風によって揺れてセンサにより侵入物と誤検知されたものの、もともと不法侵入物は存在しておらず、伝送された映像に何も映っていない場合である。これらの場合、発報時の映像ではその原因を明らかにできないため、誤報であるにもかかわらず、上記手順で警備出動することとなる。このため、不要な警備出動を低減させることが困難であり、警備会社の負担が大きいという問題があった。
【0006】
また、監視ステーションにおいて、誤報発生の原因を明らかにするため、発報時に逐一メモリに記憶された監視エリアの映像を全て伝送させて確認させるのは、時間と手間がかかり、警備会社の負担が大きくなりすぎる。
【0007】
一方、特に侵入者が多くないにもかかわらず、発報が頻繁に生じるような場合は、センサやカメラの感度の問題による誤報であり、これらの感度を適切に調整する必要があるが、発報と発報時の映像だけではその原因を明確に把握できないため、警戒現場でその原因を実際に確認したうえで調整することとなり、その結果、やはり不要な警備出動を低減できないという問題もあった。
【0008】
本発明は、前記問題点を解決して、誤報発生の原因把握を容易にして、不要な警備出動を低減させることが可能な検知履歴表示機能付き侵入検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一構成にかかる侵入検知装置は、監視エリアを撮影するカメラと物体の存在を検知するセンサを備え、監視エリアの映像をモニタの画面に表示するとともに、不法に侵入した物体を検知したセンサからのセンサ検知情報に基づいて発報するものであって、前記モニタの画面に、前記監視エリアの映像に付加して、前記発報時を含む所定時間帯にわたって前記センサ検知情報の履歴を表示させる検知履歴表示回路を備えている。
【0010】
この構成によれば、検知履歴表示回路により発報時を含む所定時間帯にわたってセンサ検知情報の履歴を、監視エリアの映像に付加してモニタの画面に表示させるので、発報に至る履歴の表示により、誤報発生の原因把握を容易にできるから、不要な警備出動を低減することができる。
【0011】
本発明の他の構成にかかる検知履歴表示機能付き侵入検知装置は、監視エリアを撮影するカメラと物体の存在を検知するセンサを備え、監視エリアの映像をモニタの画面に表示するとともに、不法に侵入した物体を検知したセンサからのセンサ検知情報およびカメラからの画像検知情報の少なくとも1つに基づいて発報するものであって、前記モニタの画面に、前記監視エリアの映像に付加して、前記発報時を含む所定時間帯にわたって前記センサ検知情報および画像検知情報の履歴を表示させる検知履歴表示回路を備えている。
【0012】
この構成によれば、発報時を含む所定時間帯にわたってセンサ検知情報および画像検知(画像センシング)情報の履歴を、監視エリアの映像に付加してモニタの画面に表示させるので、発報に至る履歴の表示により、誤報発生の原因把握をより容易にできるから、不要な警備出動を低減することができる。
【0013】
好ましくは、複数種類のセンサが設けられ、前記センサ検知情報は複数種類のセンサからの検知情報である。前記センサの種類は検知線の相違による。また、好ましくは、前記モニタの画面に表示された移動物体に物体マーカを施す物体検出回路を備えている。この場合、移動物体の移動状態を容易に把握できるので、誤報発生の原因把握をより容易にできる。
【0014】
本発明のまた他の構成にかかる検知履歴表示機能付き侵入検知装置は、監視エリアを撮影するカメラと物体の存在を検知するセンサを備え、監視エリアの映像をモニタの画面に表示するとともに、不法に侵入した物体を検知したセンサからのセンサ検知情報およびカメラからの画像検知情報の少なくとも1つに基づいて発報するものであって、前記モニタの画面に、前記監視エリアの映像に予め重畳表示された複数のエリアブロックごとに該エリアブロック内のセンサおよびカメラの少なくとも1つの発報頻度および検知レベルの少なくとも1つを表示させる発報情報表示回路と、該エリアブロック内の発報情報表示に基づき、センサおよびカメラの感度を調整する感度調整制御部とを備えている。
【0015】
この構成によれば、発報情報表示回路による複数のエリアブロックごとに表示される該エリアブロック内の発報情報に基づいて、誤報発生の原因把握が容易になるので、感度調整制御部によりセンサおよびカメラの感度を容易に適切に調整することができ、不要な警備出動を低減することができる。
【0016】
好ましくは、前記モニタの画面に、前記監視エリアの映像に付加して、前記発報時を含む所定時間帯にわたって前記センサ検知情報および画像検知情報の履歴を表示する検知履歴表示回路を備え、前記感度調整制御部は、前記発報情報表示と、前記検知履歴表示回路部により表示されたセンサ検知情報および画像検知情報とに基づいてセンサ感度を調整するものである。この場合、複数のエリアブロックごとに表示される該エリアブロック内の発報情報と、発報に至る履歴の表示とに基づいて、誤報発生の原因把握がより容易になるので、センサおよびカメラの感度をより容易に適切に調整することができる。
【0017】
好ましくは、複数種類のセンサが設けられ、前記感度調整制御部は、各センサごとにセンサ感度を調整する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る検知履歴表示機能付き侵入検知装置を示す概略斜視図であり、図2は、そのブロック構成図である。図1のように、本装置は、例えば一般住宅や工場のような建物の屋外または屋内における所定の警戒現場内に不法に侵入する人体のような物体Qを検知するものであり、警戒現場に臨む箇所には監視エリアVAを撮影するカメラ1と、該箇所における建物の壁や柱Pに監視エリアVで物体Qの存在を検知するセンサ3(3a、3b)とが設置される。この例では、センサ3の監視エリアVよりもカメラ1の監視エリアVAの方が広く設定されている。センサ3は、監視エリアVについて設定された複数のエリアブロックV0〜Vn内を物体Qが移動するときに、その物体Qからの検知線の受信量の変化に基づいて、物体Qを検知する。
【0019】
図2のように、本装置は、例えばマイクロコンピュータで構成される制御部8によって全体が制御され、監視エリアVAの映像を監視ステーション7に設けられたモニタ6の画面に表示させるとともに、不法に侵入した物体Qを検知したセンサ3からのセンサ検知情報およびカメラ1からの画像検知情報に基づいて、物体Qが所定の侵入条件をみたしたときに監視ステーション7に発報するように制御されている。監視ステーション7にはモニタ6のほかに制御スイッチ18が設けられており、監視ステーション7を除いた装置本体Aは、制御部8を介して当該監視ステーション7の制御スイッチ(操作部)18により遠隔操作される。
【0020】
センサ3には、例えば受動型赤外線方式のセンサ(PIRセンサ)3aおよびマイクロ波応用のレーダセンサ(MWセンサ)3bの2種類のセンサが用いられており、物体Qを検出すると、それぞれ信号処理回路4a、4bを介してセンサ検知情報を出力する。PIRセンサでは、一定量以上の赤外線を発する物体を検知すると、MWセンサでは、マイクロ波を発信させて移動物体からの反射波によって、例えばドップラー効果の利用により移動物体の形状や速度などを検知すると、検知信号(センサ検知情報)を出力する。センサ3による検知では、検知信号が所定レベル以上であるとき発報する。なお、PIRセンサ3a、MWセンサ3bにはそれぞれ感度調節部3as、3bsが設けられて(図4)、これら各感度調整部3as、3bsは、例えば手動調整用の感度ボリュウムおよび自動調整用の自動感度設定部(図示せず)を備えており、後述する例で使用される。
【0021】
また、カメラ1には、例えばCCDカメラが用いられており、CCDカメラからの動画信号は、屋内に設置された画像処理回路2において、増幅や同期信号の付加などの所定の信号処理が施されて、モニタ6の画面に表示可能な画像信号に変換し、一旦メモリ5に記憶されて、この画像信号が重畳回路9に間欠的に出力される。なお、CCDカメラに代えてビデオカメラ等を用いてもよい。また、カメラ1にも、感度調節部1sが設けられており(図4)、例えば感度表によるモードスイッチにより感度が調整される。
【0022】
物体検出回路11は、画像処理回路2からの画像信号に含まれる一定以上の大きさの移動物体を抽出して画像検知(画像センシング)情報を得るとともに、その抽出した移動物体を示す物体マーカをモニタ6の画面上に表示するためのブロック表示位置信号を出力する画像処理、つまり周知の画像処理技術であるモーションディテクションの画像処理を行うものである。具体的には、画像信号中に含まれる輝度信号のうちの一定量以上(例えば一定パルス以上)が一定時間内に一定幅以上変化したときに、その輝度信号が一定以上の大きさの移動物体によるものであると判別して画像検知情報を得るとともに、その移動物体の位置に、矩形の枠のような物体マーカからなるモーションディテクションブロック(図示せず)を表示するためのブロック表示位置信号を、制御部8および物体マーカ表示回路12に出力する。この画像検知情報には移動物体の形状大きさ、速度のほかに移動方向なども含まれる。カメラ1による検知では前記輝度信号が所定レベル以上であるとき発報する。物体マーカ表示回路12は、ブロック表示位置信号が入力したときに、物体マーカ表示信号を生成して、表示切換回路13を介して重畳回路9に供給する。なお、物体マーカ表示回路12を省略して、物体マーカを表示させないようにしてもよい。
【0023】
本発明にかかる侵入検知装置は、前記モニタ6の画面に、前記監視エリアVAの映像に付加して、前記発報時を含む所定時間帯にわたって前記センサ検知情報および画像検知情報の履歴を表示する検知履歴表示回路10を備えている。この検知履歴表示回路10は、制御部8から出力された検知履歴表示信号に基づき検知履歴を表示するもので、以下、検知履歴表示回路10について詳細に説明する。
【0024】
前記制御部8は、上記したPIRセンサ3aによって検知された赤外線の受光量、MWセンサ3bによって検知された移動物体の形状大きさや速度などのセンサ検知情報、およびカメラ1によって検知された画像検知(画像センシング)情報に基づいて、検知された移動物体が不法侵入者であるか、小動物であるか、または単なる草木の揺れなどであるのかを判定して、それぞれの検知履歴表示信号を出力する。例えば、以下のレベル1〜4の段階に分類されて、移動物体を判定し検知履歴表示信号が出力される。この検知履歴表示信号は、一旦メモリ14に記憶され、制御部8から検知履歴表示回路10に与えられる。
【0025】
レベル1:センサ検知情報および画像検知情報があり、いずれも侵入条件をみたしたことにより侵入者と判定して発報した。
レベル2:センサ検知情報および画像検知情報により侵入物体があると判別できるものの、発報要件をみたしていないことにより発報せず。
レベル2は、例えば、侵入物体があるが、サイズが小さくて鳥や猫とみなせる場合や、速度が速すぎて監視エリアを通過してしまい発報する必要がない場合である。
レベル3:センサ検知情報も画像検知情報もなく、侵入物体とみなされないが、信号変化が認められる。
レベル3は、例えば、背景の草木の揺れや、監視エリア内でのドア、窓の開け閉め、カーテンの揺れの場合などである。
レベル4:信号変化が何ら認められない。
【0026】
前記重畳回路9は、制御スイッチ(操作部)18内における表示選択操作によって(図5)、画像処理回路2からの画像信号に、検知履歴表示回路10から表示切換回路13を介して供給された前記検知履歴表示信号を重畳することにより、モニタ6の画面に表示された監視エリアVAの映像に付加して検知履歴が表示される。この検知履歴は、前記判定に応じた検知表示マークとして、図3に示すように、モニタ6の画面に表示された監視エリアVAの映像(図示せず)に付加して、例えば画面上部のヒストリー表示部6Hに表示される。この検知表示マークには、発報の原因の把握を容易にするため、この例における小動物(犬)や草木のような具体的なイラストのほかに、○、△、□のような図形(色別を含む)や記号なども用いられる。この検知履歴表示により、例えば、レベル3、レベル2を頻発して、レベル1の発報に至った場合は、小動物がカメラやセンサに徐々に近づいたことや、草木の揺れが段々激しくなったことが、誤報要因であったと把握できる。
【0027】
また、重畳回路9により、前記物体マーカ表示回路12から表示切換回路13を介し供給された物体マーカ表示信号を重畳してモニタ6の画面の映像に矩形の枠からなる物体マーカが重ね表示されるので、移動物体の移動状態を容易に把握できる。なお、制御スイッチ(操作部)18を別途装置本体Aにも設けて、当該装置本体Aで操作できるようにしてもよい。
【0028】
上記構成の侵入検知装置の動作を説明する。
まず、図2の監視ステーション7へ発報がある。このとき警備会社の監視員はモニタ6の画面の映像を見るが、間欠伝送のために、何も映っていない。そこで、制御スイッチ18を操作して、モニタ6の画面のヒストリー表示部6Hを表示させて該表示部分を見る。図3のように発報の前後数秒に小動物(犬)の検知表示マークが入っているので、この発報を誤報と判断できる。念のため、監視先に電話をかけるが不在であった。この場合、警備員は警備出動しない。
【0029】
こうして、本発明によれば、発報時を含む所定時間帯にわたってセンサ検知情報および画像検知情報の履歴を、監視エリアVAの映像に付加してモニタ6の画面に表示させるので、発報に至る履歴の表示により、誤報発生の原因把握を容易にできるから、不要な警備出動を低減することができる。
【0030】
なお、この実施形態では、センサ検知情報および画像検知情報に基づいて発報し、両情報の履歴を表示しているが、センサ検知情報のみに基づいて発報し、センサ検知情報のみの履歴を表示するようにしてもよい。
【0031】
つぎに、第2実施形態について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る侵入検知装置を示すブロック構成図である。第2実施形態は、第1実施形態と異なり、エリアブロック表示回路15、発報情報表示回路16および感度調整制御部21を備えており、エリアブロック内の発報情報表示に基づきセンサ3およびカメラ1の感度を調整する。その他の構成は図1と同様である。なお、第2実施形態では、第1実施形態のように監視会社の監視ステーション7にモニタ6が設置される場合だけでなく、図4のように、個人住宅や工場内などのモニタリングステーション17にモニタ6が設置される場合も含まれる。
【0032】
前記エリアブロック表示回路15は、モニタ6の画面に、監視エリアVAの映像に重畳して、各センサ3ごとにその監視エリアVに設定された複数のエリアブロックV0〜Vnに応じたエリアブロックを表示させる。このエリアブロック表示信号はメモリ14に記憶され、制御部8からエリアブロック表示回路15に与えられる。前記重畳回路9は、画像処理回路2からの画像信号に、前記エリアブロック表示回路15から表示切換回路13を介し供給されたエリアブロック表示信号を重畳することにより、モニタ6の画面における監視エリアVAの映像に矩形の枠からなるエリアブロックが重ね表示される。図5は、例えばPIRセンサについて監視エリアVAの画像にエリアブロックが重畳表示された状態を示す。
【0033】
発報情報表示回路16は、モニタ6の画面に表示されたエリアブロックごとに、センサ3ごとに各センサ3からの発報頻度や検知レベルの発報情報を、赤や青の色の種類を変えて表示させるか、または色の濃淡で表示させる。この発報情報表示信号はメモリ14に記憶され、制御部8から発報情報表示回路15に与えられる。上記と同様に前記重畳回路9により、モニタ6の画面における監視エリアVAの映像に前記発報情報が重ね表示される。
【0034】
前記感度調整制御部19は、モニタリングステーション17における制御スイッチ18内に設けられて、前記発報情報表示と、前記検知履歴表示回路部により表示されたセンサ検知情報または画像検知情報とに基づいてセンサ3およびカメラ1の感度を調整するものである。PIRセンサ3a、MWセンサまたはカメラ1の検知による誤報が多いときは、PIRセンサ3a、MWセンサ3bまたはカメラ1の各感度調整部に対して、それぞれ感度を下げる調整が行われる。
【0035】
図6に示すように、制御スイッチ18内に例えばPIRセンサ3aおよびMWセンサ3b用の手動スイッチが設けられており、各制御スイッチ18は、感度調整制御部(センサ感度切替スイッチ)21、表示選択部(表示選択スイッチ)20を有している。表示選択スイッチ20は、前記履歴情報を表示するヒストリー表示と、発報頻度や検知レベルを表示する発報情報表示との切り替えを行う。センサ感度切替スイッチ21は、発報情報に基づいてセンサ感度を調整するスイッチであり、例えばセンサ感度高(H)、センサ感度中(M)、センサ感度低(L)の3段階の切り替えを行う。なお、図示していないが、カメラ1の感度の調整用のスイッチも制御スイッチ18内に別途設けられている。また、制御スイッチ(操作部)18を別途装置本体Aにも設けて、当該装置本体Aで操作できるようにしてもよい。
【0036】
上記構成の侵入検知装置の動作を説明する。
まず、図4のモニタリングステーションへ発報がある。このとき、警備会社の監視員はモニタ6の画面の監視エリアVAの映像を見るが、間欠伝送のため、何も映っていない。そこで、警備員は、制御スイッチ18の表示選択スイッチ20で「ヒストリー表示」を選択して、モニタ6の画面のヒストリー表示部6Hを見る。発報の前後数秒に草木の揺れマークが入っている。つぎに、表示選択スイッチ20で「発報情報表示」を選択すると、映像における草木のエリアブロックで発報頻度が多いので、この発報を誤報と判断できる。その後、制御スイッチ18のセンサ感度切替スイッチ21で感度調整部3as、3bsを介してセンサ3a、3bの感度を下げる。最後に、モニタ6の画面のヒストリー表示部6Hを見て、誤報が減ったことを確認する。こうして、誤報の問題が解決したので、警備員は警備出動しない。
【0037】
また、モニタ6で表示された特定のエリアブロックの「発報情報表示」で、例えばPIRセンサ3aの発報頻度が大で、MWセンサ3bの発報頻度が小の場合、当該エリアブロックに急に太陽光が入ったことによる誤報と判断される。この場合、PIRセンサ3aの感度のみが低く調整されて、MWセンサ3bの感度は調整されない。これにより、誤報を減らすことができ、警備員は感度調整のために警備出動しない。
【0038】
こうして、本発明によれば、複数のエリアブロックごとに表示される該エリアブロック内の発報情報に基づいて、発報の原因の把握が容易になるので、センサ3およびカメラ1の感度を容易に適切に調整することができ、不要な警備出動を低減することができる。
【0039】
なお、この実施形態では、センサ3およびカメラ1の感度調整を制御スイッチ18により手動で行っているが、該エリアブロック内の発報情報に基づき自動で行ってもよい。
【0040】
また、この実施形態では、発報情報表示と、センサ検知情報または画像検知情報とに基づいて感度を調整しているが、発報情報表示のみで感度を調整するようにしてもよい。また、検知履歴を表示して、これにも基づいて感度を調整しているが、検知履歴表示を省略し、これに基づく感度調整を行わなくてもよい。
【0041】
なお、各実施形態では、受動型赤外線方式のPIRセンサとMWセンサの2種類のセンサを用いているが、これに代えて能動型赤外線方式のAIRセンサや超音波センサなどを用いてもよく、またこれらのセンサを3種類以上用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係る侵入検知装置を示す概略斜視図である。
【図2】図1の侵入検知装置を示すブロック構成図である。
【図3】モニタの画面を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る侵入検知装置を示すブロック構成図である。
【図5】モニタの画面を示す図である。
【図6】制御スイッチの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1:カメラ
3:センサ
3a:PIRセンサ
3b:MWセンサ
6:モニタ
10:検知履歴表示回路
11:物体検出回路
16:発報情報表示回路
18:制御スイッチ
21:感度調整制御部
Q:物体
V、VA:監視エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視エリアを撮影するカメラと物体の存在を検知するセンサを備え、監視エリアの映像をモニタの画面に表示するとともに、不法に侵入した物体を検知したセンサからのセンサ検知情報に基づいて発報する侵入検知装置であって、
前記モニタの画面に、前記監視エリアの映像に付加して、前記発報時を含む所定時間帯にわたって前記センサ検知情報の履歴を表示させる検知履歴表示回路を備えている侵入検知装置。
【請求項2】
監視エリアを撮影するカメラと物体の存在を検知するセンサを備え、監視エリアの映像をモニタの画面に表示するとともに、不法に侵入した物体を検知したセンサからのセンサ検知情報およびカメラからの画像検知情報の少なくとも1つに基づいて発報する侵入検知装置であって、
前記モニタの画面に、前記監視エリアの映像に付加して、前記発報時を含む所定時間帯にわたって前記センサ検知情報および画像検知情報の履歴を表示させる検知履歴表示回路を備えている侵入検知装置。
【請求項3】
請求項1または2において、複数種類のセンサが設けられ、前記センサ検知情報は複数種類のセンサからの検知情報である侵入検知装置。
【請求項4】
請求項2において、さらに、
前記モニタの画面に表示された移動物体に物体マーカを施す物体検出回路を備えている侵入検知装置。
【請求項5】
監視エリアを撮影するカメラと物体の存在を検知するセンサを備え、監視エリアの映像をモニタの画面に表示するとともに、不法に侵入した物体を検知したセンサからのセンサ検知情報およびカメラからの画像検知情報の少なくとも1つに基づいて発報する侵入検知装置であって、
前記モニタの画面に、前記監視エリアの映像に予め重畳表示された複数のエリアブロックごとに該エリアブロック内のセンサおよびカメラの少なくとも1つの検知による発報頻度および検知レベルの少なくとも1つを表示させる発報情報表示回路と、
該エリアブロック内の発報情報表示に基づき、センサおよびカメラの感度を調整する感度調整制御部とを備えている、
侵入検知装置。
【請求項6】
請求項5において、さらに、前記モニタの画面に、前記監視エリアの映像に付加して、前記発報時を含む所定時間帯にわたって前記センサ検知情報および画像検知情報の履歴を表示させる検知履歴表示回路を備え、
前記感度調整制御部は、前記発報情報表示と、前記検知履歴表示回路部により表示されたセンサ検知情報および画像検知情報とに基づいてセンサおよびカメラの感度を調整する侵入検知装置。
【請求項7】
請求項5または6において、複数種類のセンサが設けられ、前記感度調整制御部は、各センサごとにセンサ感度を調整する侵入検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−41785(P2007−41785A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−224294(P2005−224294)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】