説明

便器装置

【課題】 便座装置にに設けた送信手段と便器側に設けた受信手段との間で通信ができない時、いずれが故障しているかが簡単に判る。
【解決手段】 便座側リモコン信号受信部13で受信した便座側リモコン装置12から送信された便器洗浄用のリモコン信号の情報を便器2側に向けて送信するための送信手段5を便座装置3に設ける。便器2側に上記送信手段5から送信された信号を受信する受信手段6を設け、受信手段6で受信した送信手段5から送信された信号の情報に基づいて便器洗浄手段1を制御して便器洗浄を行うことで通常モードにおける便器洗浄を行う。故障点検モードの際に、便座装置3を便器2から外して便座側リモコン装置12から直接受信手段6に向けて便器洗浄のリモコン信号を送信した際にのみ該便器洗浄のリモコン信号を受信手段6側で受付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座側リモコン装置からのリモコン信号を便座側で受信し、更に、そのリモコン信号の情報が便器洗浄用の情報の場合には便座装置に設けた送信手段から便器側に設けた受信手段に向けて送信して該受信手段で受信した情報に基づいて便器洗浄を行うようにした便器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から便器洗浄手段と、便座装置とを備えた便器装置が特許文献1により知られている。この特許文献1に示される従来例にあっては、便器洗浄手段と、便座装置とが一つの装置ブロックとして便器に組み込まれており、この一つの装置ブロックに着座・離座検出手段を設けると共に制御部を設け、着座・離座検出手段による着座・離座を検出し、この検出結果に基づいて制御部により局部洗浄手段の制御と便器洗浄手段の制御をおこなっている。
【0003】
上記特許文献1に示された従来例にあっては、便器洗浄手段と、便座装置とが一つの装置ブロックとして便器に組み込まれているため、便座装置のみを形状や色や機能の異なる他の便座装置と交換しようとしても不可能であり、多様な顧客のニーズに対応できないという問題がある。また、便座装置は汚れやすいので取り外して掃除したりする場合、上記のような一体型のものは便座装置部分を取り外して簡単に掃除することができないという問題があり、更に、長期間の使用中に便座装置部分が損傷したりしやすいが、この場合でも便座装置部分のみを交換するということができず、局部洗浄手段と便器洗浄手段とが備わっている装置ブロック全体を交換する必要があり、交換に要するコストが高くなってしまうという問題がある。
【0004】
これを解決するため、便器洗浄手段を備えた便器に、これとは別体の便座装置を着脱自在に取付け、便座装置に着座・離座検出手段で検出した着座・離座情報を無線信号で送信する送信手段を設け、便器側に上記送信された無線信号を受信する受信手段を設け、送信手段で送信された信号を受信手段で受信して該受信した信号に基づいて便器洗浄手段により便器洗浄を行うようにした便器装置を考えた。これだと、上記のように便座装置側と便器洗浄手段を備えた便器側とを配線で接続したものに比べて配線に邪魔されることなく掃除ができ、更に、便座装置を取り外して掃除したり、保守点検したりするのが容易に行え、また、便座装置のみを交換することができ、交換に要するコストも低くなる。
【0005】
しかしながら、このように、便座装置に送信手段を設け、便器側に受信手段を設けて無線により通信するようにしたものにおいては、送信手段、受信手段で通信ができなくなった場合、送信手段側が故障しているのか、受信手段側が故障しているのかが分からず、両方を分解して点検する必要があり、非常に手間がかかるという新たな問題が発生することがわかった。
【特許文献1】特開平9−195356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、便座装置に設けた送信手段と便器側に設けた受信手段との間で無線で通信するものにおいて、通信ができなくなった場合に、送信手段側が故障しているのか、受信手段側が故障しているのかが簡単に判り、修理が容易に行える便器装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る便器装置は、便器洗浄手段1を備えた便器2と、上記便器2に着脱自在に取付けられる便座側機能部8を備えた便座装置3と、便座側機能部を操作するためのリモコン信号、便器洗浄のリモコン信号を送信することができる便座側リモコン装置12とを有する便器装置Aにおいて、該便器装置Aに通常モードと故障点検モードとを設け、便座装置3に上記便座側リモコン装置12からのリモコン信号を受信するための便座側リモコン信号受信部13を設け、便座側リモコン信号受信部13で受信した上記便座側リモコン装置12から送信された便器洗浄用のリモコン信号の情報を便器2側に向けて送信するための送信手段5を便座装置3に設け、便器2側に上記送信手段5から送信された信号を受信する受信手段6を設け、受信手段6で受信した送信手段5から送信された信号の情報に基づいて便器洗浄手段1を制御して便器洗浄を行うことで通常モードにおける便器洗浄を行い、上記故障点検モードの際に、便座装置3を便器2から外して便座側リモコン装置12から直接受信手段6に向けて便器洗浄のリモコン信号を送信した際にのみ該便器洗浄のリモコン信号を受信手段6で受信して該信号を受け付けて便器洗浄を行うように制御することを特徴とするものである。
【0008】
このような構成とすることで、送信手段5から受信手段6に通信できなくなった場合、便器装置Aを通常モードから故障点検モードに切り換えると共に便座装置3を便器2から外し、便座側リモコン装置12を便器2側の受信手段6側に向けて便座側リモコン装置12から便器洗浄のリモコン信号を送信して、該信号を受け付けて便器洗浄を行った場合は、受信手段6側は故障しておらず、送信手段5側が故障していると判り、また、上記の場合に受信手段6側で便座側リモコン装置12からの便器洗浄のリモコン信号を受付けないと、少なくとも受信手段6が故障していることが判るので、故障の修理が容易に行えることになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、便座装置と便器側とで通信ができなくなった場合に、便座装置に設けた送信手段側が故障しているのか、便器側に設けた受信手段側が故障しているのかが簡単に判り、修理が容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0011】
便器2はボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1を備えた水洗便器である。添付図面に示す実施形態では図2乃至図4に示すように便器2の後部の内部にターントラップブロック16を内装し、便器2の後部のターントラップブロック16を配設した部分の上方位置には便器制御部ケース21が設けてあり、更に、便器2には便器洗浄用管路18が設けてあって、該便器洗浄用管路18の一端が水道管のような水供給管25に止水栓20を介して接続してある。
【0012】
ターントラップブロック16のケース内には図2、図7に示すような変形性を有する材料で筒状に形成した可動自在なターントラップ17が設けてあり、ターントラップ17の一端部がボウル部15の出口26に接続してある。ターントラップ17はターントラップブロック16のケース外面側に設けた駆動モータ19によりターントラップ17の他端が上を向く姿勢と下を向く姿勢との間で可動自在となっている。
【0013】
また、便器2の後部の上面側に設けた便器制御部ケース21内には図3に示すように、便器洗浄用配管18の途中に便器洗浄弁22を設けると共に該便器洗浄弁22及び上記駆動モータ19を制御するためのマイコンよりなる便器側制御部14が設けてあり、本発明においては、上記便器洗浄弁22、ターントラップ17を駆動する駆動モータ19によりボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1が構成してある。また、便器制御部ケース21内には赤外線信号のような無線信号の受信手段6が設けてあり、更に、図1、図7に示すように上記受信手段6とは別の便器側リモコン信号受信部44が設けてある。
【0014】
便器側リモコン装置43には図1に示すように、大便洗浄用の便器洗浄スイッチ操作釦9aと、小便洗浄用の便器洗浄スイッチ操作釦9bとが設けてあり、便器側リモコン装置43の大便洗浄用の便器洗浄スイッチ操作釦9aを操作することで大便洗浄用のリモコン信号を送信し、この信号を便器側リモコン信号受信部44で受信し、該受信信号に基づいて便器側制御部14により便器洗浄手段1を制御して洗浄水により便器2の大便洗浄を行い、また、便器側リモコン装置43の小便洗浄用の便器洗浄スイッチ操作釦9bを操作することで小便洗浄用のリモコン信号を送信し、この信号を便器側リモコン信号受信部44で受信し、該受信信号に基づいて便器側制御部14により便器洗浄手段1を制御して洗浄水により便器2の小便洗浄を行うようになっている。この場合、大便用の洗浄は後述のように洗浄水の量が多く、小便用の洗浄は後述のように洗浄水の量が少ない。
【0015】
なお、図示を省略しているが便器制御部ケース35に便器側リモコン装置43からのリモコン信号を受信するための便器側リモコン信号受信部44を設けることに加え、更に、便器制御部ケース35自体に大便洗浄用の便器洗浄スイッチ操作釦9a、小便洗浄用の便器洗浄スイッチ操作釦9bを有する操作部を設けて、上記と同様の便器洗浄を行えるようにしてもよい。
【0016】
また、便器制御部ケース21の前部の下部には受信手段6と前後に対向する位置には図2に示すように受信側窓30が設けてあり、便器制御部ケース21の前部の上部は前方に向けて突出した張り出し部31となっており、張り出し部31の下方が凹段部32となっており、図5に示すように該凹段部32の奥に上記受信側窓30が設けてある。
【0017】
便器2の後部上面の上記便器制御部ケース21を設けた部分より前位置の中央部には便座固定金具33が取付けてある。この便座固定金具33は上記のように便器制御部ケース21を便器2の後部上面に取付けた後に便器2に取付けられるものであり、この便座固定金具33の取付けに当たっては便器制御部ケース21を基準にして取付け位置の調整をして取付けるようになっている。
【0018】
図5、図6に示すように、便座固定金具33には前後方向に長くなったガイドレール34aと、被係合部34bとが設けてある。
【0019】
便座装置3は装置の主体を構成する便座制御部ケース35に便座36と、便蓋37とを回動自在に取付けて構成してある。
【0020】
便座制御部ケース35の下面部には図6に示すように、前記便座固定金具33に設けたガイドレール34aに前方より差し込まれる係合部材39aが設けてあり、この係合部材39aには係合部39bが設けてある。また、便座制御部ケース35の後端部の下部は後方に向けて突出した後方突出部40となっており、この後方突出部40の後方突出端面には図5に示すように送信手段5と前後方向に対向する位置に送信側窓41が設けてある。
【0021】
便座制御部ケース35には便座側機能部8、便座側制御部11、送信手段5が設けてある。
【0022】
便座装置3を便器2に対して取付けるには便座装置3の下面部に設けた係合部材39aを便座固定金具33に設けたガイドレール34aに前方から後方に向けてスライドして差し込んで係合部39bを被係合部34bに図6のように係合することで便座装置3を便器2に取付けるものである。なお、便座装置3の取外しに当たっては便座装置3を上方に持ち上げて係合部39bと被係合部34bとの係合を外した状態で便座装置3を前方に引き出すことで取り外すことができる。
【0023】
このガイドレール34a、被係合部34bを有する便座固定金具33の構成、係合部39bを有する係合部材39aの構成はこの種の便座装置3の取付けに当たって公知のものであり、例えば特開2000−116570号公報などにより従来から公知となっている技術を採用することができるので、詳細な説明は省略する。
【0024】
便座装置3を便器2に取付けた状態で、便座装置3の便座制御部ケース35の後面下部の後方突出部40が便器2の後部上面に取付けてある便器制御部ケース21の前部の下部の凹段部32に嵌り込む。この状態で凹段部32の奥面に設けた受信側窓30と、後方突出部40の後方突出端面に設けた送信側窓41とが互いに近接対向し、送信側窓41、受信側窓30を介して便座制御部ケース35内に設けた送信手段5と便器制御部ケース21内に設けた受信手段6とが一直線状に対向し、送信手段5から送信された赤外線信号のような無線信号が受信手段6に正確に受信できるようになっている。つまり、本発明においては、送信手段5と受信手段6とにより非接触伝送手段を構成している。
【0025】
便座装置3に設けた局部洗浄手段8aの配管には図4に示すように水道管のような水供給管25から洗浄水を供給するためのフレキシブル管29が接続してある。
【0026】
便座制御部ケース35内には図1の制御ブロック図に示すように、人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段8a、人体の局部洗浄をした後に温風又は冷風により人体の局部を乾燥させるための乾燥手段8b、便器2内の脱臭を行うための脱臭手段8c等の便座側機能部8、マイコンよりなる便座側制御部11、送信手段5が設けてある。また、便座制御部ケース35には操作部38、便座側リモコン装置12からのリモコン信号を受信するための便座側リモコン信号受信部13が設けてある。
【0027】
操作部38や便座側リモコン装置12にはそれぞれ便座側機能部8を操作するための複数の便座側機能部操作用のスイッチ操作釦45と、便器洗浄スイッチ操作釦9とが設けてある。
【0028】
更に、便座装置3には着座・離座検出手段4が設けてあり、この着座・離座検出手段4は例えば便座36に設けてある。
【0029】
そして、着座・離座検出手段4からの信号が便座側制御部11に入力されることで便座側機能部8を制御したり、送信手段5により赤外線信号のような信号が送信される。送信手段5から送信された着座信号や離座信号は便器制御部ケース21内に設けた受信手段6で受信され、受信手段6で受信した信号は便器側制御部14に入力され、この入力された信号に基づいて便器側制御部14により便器洗浄手段1を制御してボウル部15内に水を流して便器洗浄を行うものである。
【0030】
上記着座・離座検出手段4からの信号で便座側機能部8を制御したり、便器洗浄手段1を制御したりするのは便座36に座って用を足す男子の大便、女子の大小便の場合である。
【0031】
本発明の便器装置Aの動作をまず男子の大便、女子の大小便の場合につき説明する。使用者が便座装置3の便座36に着座すると、着座・離座検出手段4により着座が検出され、着座後離座すると離座が検出される。着座・離座検出手段4により着座、離座が検出されると、便座側制御部11に着座信号や離座信号が入力され、この着座信号や離座信号により便座側制御部11により複数の便座側機能部8のうち1又は複数が制御される。この場合、一例を挙げると、例えば、着座信号が入力されると便座側機能部8の一つである脱臭手段8cがオンとなって脱臭を開始し、その後、離座信号が入力されると、離座信号の入力後一定時間経過後に脱臭手段8cがオフとなるように制御される。また、着座信号が入力されると人体の局部を洗浄するための局部洗浄手段8aの動作受付けが可能な状態となり、その後、離座信号が入力されると局部洗浄手段8aの動作受付け可能な状態が終了して動作受け付けができないように制御されるものであり、便座制御部ケース35に設けた操作部38や便座側リモコン装置12を操作して局部洗浄手段8aをオンさせる信号を便座側制御部11に入力した場合、便座側制御部11により上記動作受付けが可能な着座している期間だけ局部洗浄手段8aを動作させるように制御し、上記動作受付けができない時(つまり着座していない時)は局部洗浄手段8aを動作させないようになっている。これにより着座していない時に誤って局部洗浄手段8aが動作して温水のような洗浄水を誤噴出することがないようにしている。
【0032】
更に、着座・離座検出手段4により着座、離座が検出されると送信手段5により赤外線信号のような信号が送信される。送信手段5から送信された着座信号や離座信号は便器制御部ケース21内に設けた受信手段6で受信され、受信手段6で受信した信号は便器側制御部14に入力され、この入力された信号に基づいて便器側制御部14により便器洗浄手段1を制御してボウル部15内に水を流して便器洗浄を行うものである。
【0033】
ここで、例えば、着座・離座検出手段4で着座を検知してから所定時間(例えば10秒)経過すると着座確定として、その後、離座した場合には離座信号が送信手段5から送信され、受信手段6でこれを受信すると便器側制御部14に設けたカウント手段によりカウントを開始し、カウントを開始してから一定時間(例えば10秒)の間に着座信号を受信しない場合は上記一定時間(10秒)経過後に便器洗浄手段1をオンとなるように制御して便器洗浄を行うものであり、便器側制御部14に設けたカウント手段によりカウントを開始してから一定時間(例えば10秒)の間に着座信号を受信するとカウントを停止し、この場合はカウントを開始してから一定時間経過しないので便器洗浄手段1による便器洗浄は行わない。
【0034】
上記のような着座・離座検出手段4からの信号に基づいて行われる便器洗浄は、男子の大便、女子の大小便の場合であるので、洗浄水量が多く、これを便宜上大便洗浄という。
【0035】
一方、男子の小便の場合は便座36に座ることなく立って用を足し、その後、操作部38や便座側リモコン装置12に設けた便器洗浄スイッチ操作釦9を操作する。便器洗浄スイッチ操作釦9を操作すると、送信された信号が便座側制御部11を経て、送信手段5から赤外線信号のような無線信号として受信手段6側に送信され、受信手段6で受信した信号は便器側制御部14に入力され、この入力された信号に基づいて便器側制御部14により便器洗浄手段1を制御してボウル部15内に水を流して便器洗浄を行うものである。この場合の便器洗浄は男子の小便であるため、洗浄水量は少ない。これは小便洗浄である。
【0036】
また、便器側リモコン装置43の大便洗浄用の便器洗浄スイッチ操作釦9aを操作して大便洗浄用のリモコン信号を送信すれば、該リモコン信号を便器側リモコン信号受信部44で受信して便器側制御部14に入力され、この入力された信号に基づいて便器側制御部14により便器洗浄手段1を制御してボウル部15内に水を流して便器洗浄を行うものであり、この場合は大便洗浄となって洗浄水の量が多い。また、便器側リモコン装置43の小便洗浄用の便器洗浄スイッチ操作釦9bを操作して小便洗浄用のリモコン信号を送信すれば、該リモコン信号を便器側リモコン信号受信部44で受信して便器側制御部14に入力され、この入力された信号に基づいて便器側制御部14により便器洗浄手段1を制御してボウル部15内に水を流して便器洗浄を行うものであり、この場合は小便洗浄となって洗浄水の量が少ない。
【0037】
図7には本実施形態における便器洗浄手段1による便器洗浄の動作の例を示している。本実施形態においては、便器洗浄弁22、ターントラップ17を駆動する駆動モータ19によりボウル部15を水で洗浄するための便器洗浄手段1が構成してあり、図7(f)は便器洗浄手段1がオフの状態、つまり、溜め水復帰状態(待機状態)であり、この状態ではターントラップ17他端の開口部が上を向いてターントラップ17及びボウル部15内に水Wが溜まっている。この状態で便器洗浄手段1がオンとなって便器洗浄が開示されると、まず、便器洗浄弁22が開となって図7(a)の矢印に示すように水Wがボウル部15に流れ出す、次に、図7(b)、図7(c)のように駆動モータ19を正転させてターントラップ17の他端の開口が下を向くようにターントラップ17を回動してボウル部15及びターントラップ17内に溜まっている水Wをターントラップ17の他端から排出することで水Wと共に汚物を排出する。次に、駆動モータ19を逆転させて図7(d)のようにターントラップ17を回動させてターントラップ17の他端の開口が上を向くようにする。この間、便器洗浄弁22が開となっていて図7(e)のようにターントラップ17の他端の開口部が上を向いた状態でもボウル部15内に水Wが供給され、図7(f)のように他端の開口部が上を向いたターントラップ17及びボウル部15内に水Wが溜まると便器洗浄弁22が閉となり、図7(f)の溜め水復帰状態(待機状態)になる。
【0038】
上記のようにして便器2のボウル部15の洗浄を行うのであるが、大便洗浄と小便洗浄とで洗浄水量を変えるには、例えば、前述の大便洗浄の場合は、図7(c)の状態から駆動モータ19を逆転させるまでの時間を長くして便器洗浄弁22から供給される洗浄水の供給時間を長くし、小便洗浄用の場合は図7(c)の状態から駆動モータ19を逆転させるまでの時間を短くして便器洗浄弁22から供給される洗浄水の供給時間を短くする。
【0039】
上記のように便座装置3からの便器2側に信号を送信して便器2側に備えた便器洗浄手段1の制御をするに当たって、無線信号として送受信するものであるから、現場施工の際に便器洗浄手段1を備えた便器2側と、便座装置3側とを配線で接続する工事が必要でなく、便器2に便座装置3を取付けるだけでよくて現場施工が簡略化できるものである。
【0040】
また、便座装置3側の送信手段5と便器2側の受信手段6とを配線で接続する必要がないので、便座装置3として、形状、色、形態(機能)が異なる種々のものを用意し、顧客の好みの便座装置3を便器洗浄手段1を備えた便器2に取付けことで、送信手段5から送信した着座信号や離座信号を受信手段6で受信して便器洗浄を行うことができ、また、便座装置3が故障したり、損傷した場合でも、便座装置3のみを取り外して点検、修理ができ、また、別な便座装置3と交換することもできる。
【0041】
また、便座装置3を掃除する際に便座装置3側と便器2側とを接続する配線がないので配線に邪魔されることなく掃除ができる。
【0042】
ここで、送信手段5から送信する無線信号を赤外線信号とすることで、便座装置3の保守、点検や掃除のために便座装置3を便器2から取り外した際に、便座装置3を移動したり、床等に置いたり、触ったりして着座・離座検出手段により誤った着座・離座検出が行われて送信手段5から赤外線信号が送信されたとしても、便座装置3を外すことで送信手段5と受信手段6とが向かい合っていないため受信手段6で赤外線信号が受信されることがない。このため、便座装置3を外して掃除などをしている際に、誤った着座・離座検出結果に基づいて便座洗浄手段により誤って便器洗浄をすることがないことになる。
【0043】
上記のよう便座装置3側に設けた送信手段5から着座信号、離座信号を無線信号として送信し、便器2側に設けた受信手段6により上記着座・離座信号を受信して便器2に備えた便器洗浄手段1の制御をすることで、上記したような諸特徴を有するものであるが、上記のように便座装置に送信手段5を設け、便器2側に受信手段6を設けて無線により通信するようにしたものにおいては、送信手段5、受信手段6間で通信ができなくなった場合、送信手段5側が故障しているのか、受信手段6側が故障しているのかを簡単に調べる必要がある。
【0044】
本発明はこのように送信手段5、受信手段6間で通信ができなくなった場合に送信手段5、受信手段6のどちらが故障しているのかを簡単に調べることができるようにしたことに特徴がある。
【0045】
すなわち、本発明の便器装置Aは前述の通常モードとは別に故障点検モードを有している。通常モードから故障点検モードに切換えるには、例えば、まず、通常モードで送信手段5と受信手段6との間で通信ができない場合は、図8に示すように便座装置3を便器2から取り外すと共にこの便座装置3の取り外し前又は取り外し後に便座装置の電源を切る。次に、便器2側に設けた故障点検モード設定手段を操作して故障点検モードにする。
【0046】
故障点検モード設定手段としては、例えば、便器2側に故障点検モード設定用操作スイッチを設けてこの操作スイッチを操作することによりおこなってもよいが、上記のような特別な操作スイッチを設けることなく、便器2又は便器側リモコン装置43の大便洗浄用の便器洗浄スイッチ操作釦9a又は小便用の便器洗浄スイッチ操作釦9bを操作を上記故障点検モード設定用操作スイッチとして兼用してもよい。
【0047】
この場合は、通常モードの状態で便器装置Aの電源をいったん切断し、その後、便器側リモコン装置43又は便器制御部ケース35に設けた操作部の大便用の便器洗浄スイッチ操作釦9a又は小便用の便器洗浄スイッチ操作釦9b(実施形態では大便用の便器洗浄スイッチ操作釦9a)を押しながら便器装置Aへの電源の投入することで、所定時間(例えば3分間)だけ故障点検モードにすることができるようになっている。上記故障点検モードの間は例えば報知手段10により「ピッ、ピッ」というような警報音を出して故障点検モードであることを報知するようにする。故障点検モードは所定時間(例えば3分間)経過すると自動的に通常モードに切り換るものである。
【0048】
本発明においては、上記故障点検モードの状態の時のみ、便座側リモコン装置12の便器洗浄スイッチ操作釦9を操作して送信される便器洗浄のリモコン信号を受信手段6を経て便器側制御部14で受付けるように便器側制御部14が構成してある。
【0049】
ここで、上記便座側リモコン装置12の便器洗浄スイッチ操作釦9を操作して送信される便器洗浄のリモコン信号を受信手段6で受信するには便座側リモコン装置12を便器2側に設けた受信手段6に対向させて送信する必要があり、このため、図8に示すように、故障点検モードにするに当たってあらかじめ便座装置3を便器2から外し、その後、上記のようにして故障点検モードにし、便座側リモコン装置12を便器2側に設けた受信手段6に対向させて便器洗浄のリモコン信号を受信手段6に向けて送信するのである。
【0050】
したがって、受信手段6が故障していない場合は、上記故障点検モードの状態で便座側リモコン装置12の便器洗浄スイッチ操作釦9を操作して便器洗浄のリモコン信号を便器2側に設けた受信手段6に直接送信するとこのリモコン信号を受付けて便器洗浄手段1を制御して便器洗浄を行い、他方、受信手段6が故障していない場合は、便器洗浄を行わないことになる。これにより、故障点検モードの状態で上記のように便座側リモコン装置12からの便器洗浄のリモコン信号を受信手段6で受信して便器洗浄を行えば受信手段6は故障してなくて、送信手段5が故障していることが判るので、送信手段5を分解して修理すればよい。また、故障点検モードの状態で上記のように便座側リモコン装置12からの便器洗浄のリモコン信号を送信しても受信が受付けられず、便器洗浄が行われなければ少なくとも受信手段6が故障していることが判るので、受信手段6を分解して修理すればよい。
【0051】
ところで、上記実施形態においては、便器2にターントラップ17を設けて封水をし、ターントラップ17を駆動することで排水するようにした便器装置Aの例を示したが、ターントラップ17を設けることなく、ロータンクを設けてロータンク内の排水口を開閉する便器洗浄弁22を開としてロータンク内の水をボウル部15に流して便器洗浄を行うもの、あるいは、水道直結式で、便器洗浄弁22を開として水道水を直接ボウル部15内に流して便器洗浄を行うものであってもよく、この場合には便器洗浄弁22により便器洗浄手段1が構成される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の制御ブロック図である。
【図2】本発明の便器装置の断面図である。
【図3】同上の上部カバーを外した状態の平面図である。
【図4】同上の斜視図である。
【図5】同上の便器に便座装置を取付ける前の状態の斜視図である。
【図6】同上の便器に取付けた便座固定金具に便座装置を取付けている部分の断面図である。
【図7】(a)乃至(f)は同上の洗浄手段による便器洗浄の動作順序を示す説明図である。
【図8】同上の故障点検モードにおける点検状態をしめし、(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は正面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 便器洗浄手段
2 便器
3 便座装置
5 送信手段
6 受信手段
8 便座側機能部
12 便座側リモコン装置
A 便器装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器洗浄手段を備えた便器と、上記便器に着脱自在に取付けられる便座側機能部を備えた便座装置と、便座側機能部を操作するためのリモコン信号、便器洗浄のリモコン信号を送信することができる便座側リモコン装置とを有する便器装置において、該便器装置に通常モードと故障点検モードとを設け、便座装置に上記便座側リモコン装置からのリモコン信号を受信するための便座側リモコン信号受信部を設け、便座側リモコン信号受信部で受信した上記便座側リモコン装置から送信された便器洗浄用のリモコン信号の情報を便器側に向けて送信するための送信手段を便座装置に設け、便器側に上記送信手段から送信された信号を受信する受信手段を設け、受信手段で受信した送信手段から送信された信号の情報に基づいて便器洗浄手段を制御して便器洗浄を行うことで通常モードにおける便器洗浄を行い、上記故障点検モードの際に、便座装置を便器から外して便座側リモコン装置から直接受信手段に向けて便器洗浄のリモコン信号を送信した際にのみ該便器洗浄のリモコン信号を受信手段で受信して該信号を受け付けて便器洗浄を行うように制御することを特徴とする便器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−328830(P2006−328830A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−154714(P2005−154714)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】