説明

便座装置

【課題】 便座・便蓋の着脱作業を容易に行うことができ、且つ便座と便蓋を分離させることなく便座の側面全体の拭き掃除を行うことができる便座装置を提供する。
【解決手段】 開閉装置40,50を内蔵させた軸支部12を有するケーシング10と、開閉装置に基端部が固定されて先端部を軸支部の左右側面から突出させたヒンジピン60と、ヒンジピン60に装着可能で左右一対の便座装着アーム22を有する便座20と、ヒンジピン60に装着可能であり左右一対の便蓋装着アーム32を有する便蓋30とを備えた便座装置において、一対の便座装着アーム22の間に設けた空間部Qに軸支部12及び便蓋装着アーム32を配置し、ヒンジピン60に便蓋及び便座を装着して便蓋を閉じた状態において便座装着アーム32の外側側面の全体を露出させ、便座及び便蓋は、便座装着アーム22及び便蓋装着アーム32を連結した状態でヒンジピン60から着脱可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座、便蓋の開閉装置を備えた便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洋式便器の便座、便蓋の開閉機構を備えた便座装置については、従来、様々な方式のものが開発されているが、便座、便蓋の開閉動作の中心となる部位に、ヒンジピン(軸)を着脱可能に保持する軸支部を設け、この軸支部に、ヒンジピンを保持したり、解除したりするための回転式受け部を設けた便座装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−65543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の便座装置は、ヒンジピン(軸)の軸支部に近い位置に便座が、その外側に便蓋が装着される構成であり、便座の外側側面のうち回転中心にあたる部位は常に便蓋で覆われている。そのため、便座装置を拭き掃除する際に、便座装置の側面全体を拭くには便座と便蓋を分離させる必要があった。
【0005】
また、便座、便蓋をケーシングから外す際に操作する操作体が便座と軸支部の間の狭い領域に設けられてるので、操作性に改善の余地があった。
【0006】
本発明は、便座・便蓋の着脱作業を容易に行うことができ、且つ便座と便蓋を分離させることなく便座の側面全体の拭き掃除を行うことができる便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、内部に開閉装置を内蔵させた軸支部を有するケーシングと、前記開閉装置に基端部が固定されて先端部を前記軸支部の左右両側面から突出させた2本のヒンジピンと、前記ヒンジピンに装着可能であり左右一対の便座装着アームを有する便座と、前記ヒンジピンに装着可能であり左右一対の便蓋装着アームを有する便蓋と、を備えた便座装置において、前記一対の便座装着アームの間に空間部を設け、当該空間部に前記軸支部及び前記便蓋装着アームを配置してなり、前記ヒンジピンに前記便蓋及び便座を装着して便蓋を閉じた状態において前記便座装着アームの外側側面の全体を便座装置の側方に露出させてなり、前記便座及び便蓋は、前記便座装着アーム及び便蓋装着アームを連結した状態で前記ヒンジピンから着脱可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の便座装置によれば、便座・便蓋の着脱作業を容易に行うことができ、且つ便座と便蓋を分離させることなく便座の側面全体の拭き掃除を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
便座装置の全体構成について説明する。図1は便座装置の平面図、図2は便蓋を閉じた状態を示す斜視図、図3は便蓋を開いた状態を示す斜視図、図4は便座を開いた状態を示す斜視図、図5は便座装置の右側面図である。なお、以下の説明で、前後左右の方向を示す場合には、図1の前後、左右の方向に基にしている。
【0010】
便座装置は、ケーシング10と、ケーシング10に対して回動自在な便座20と、ケーシング10に対して回動自在な便蓋30とで構成されている。
【0011】
ケーシング10は前方に向かって下り傾斜となる上面部11を備え、上面部11のほぼ中央にはケーシング10の一部を上方に膨らませて形成した、便座20及び便蓋30を支持する軸支部12を有している。軸支部12の中央には人体検知センサ及び着座センサ30が内蔵されている。また、ケーシング10の前端には鉛直面からなる前端面14を設け、前端面14の中央部には便座装置が設置される大便器100のボウルの内周面に沿い且つボウルの前方にわずかに突出する湾曲凹面14aを形成している。また、この便座装置は、ケーシング10の内部に人体局部を洗浄する衛生洗浄機能部(図示せず)を内蔵しており、湾曲凹面14aの中央には、人体局部洗浄用のノズルを出し入れするための開口部を開閉自在に覆うカバー15a、洗浄後の人体局部に温風を噴射する温風噴射口を開閉自在に覆うカバー15bを設けている。
【0012】
軸支部12は断面が蒲鉾形状であり、図13に示すように、右側内部に便座開閉装置40を、左側内部に便蓋開閉装置50を内蔵している。これらの開閉装置は、モータを備えた電動開閉装置あるいは便座20・便蓋30が閉じる際の速度を制限するダンパー装置のいずれかを採用することができる。そして、軸支部12の左右側面から相反する方向に突出させて、便座20及び便蓋30を装着するヒンジピン60R,60Lを設けている。ヒンジピン60R,60Lは、便座開閉装置40及び便蓋開閉装置50に基端部62R,62Lが保持されて、先端部63R,63L側に便座20及び/又は便蓋30が装着される。
【0013】
ケーシング10の上面部11の後方寄りには、トイレに入室した人を熱的に検知する焦電センサ16及び便座装置に動作を指示するリモコンからの信号を受ける受信部17を設けている。また、便座装置の状態を示す3連のLED表示部18を内蔵している。なお、図示しないが、ケーシング10の側面の前方寄りにLED照明装置を内蔵し、リモコンに光を照射している。
【0014】
以下、便座・便蓋開閉機構について説明する。図8は便座、便蓋の着脱機構を示す断面図である。便座開閉装置40及び便蓋開閉装置50は、前述したように、それぞれヒンジピン60R,60Lの基端部62R,62Lを保持している。ヒンジピン60R,60Lは、図15(b)に示すように、円柱体61R,61Lの両端部を平坦面となし、先端部63R,63Lはさらにハンマー形状に膨らませている。ヒンジピン60R,60Lの円柱体61R,61Lの一部及びハンマー形状の先端部63R,63Lは、軸支部12の左右側面をそれぞれ貫通してケーシング10の側方に露出している。便座開閉装置40に保持されるヒンジピン60Rには、円柱体61Rの途中に周方向に突き出す突出部64Rを取り付けている。この突出部64Rは後述するようにヒンジピン60Rの回転止め及び抜け止めの役割を成す。なお、便蓋開閉装置50に保持されるヒンジピン60Lは、もう一方のヒンジピン60Rよりも短寸であり、突出部64は形成されていない。
【0015】
次に、便蓋30の構造について説明する。図7は、便蓋の構造を示す斜視図である。便蓋30は、便座20と略同じ大きさであり閉じたときに便座20の上面を覆うカバー体31と、カバー体31の後方左右の下面に設けられた左右一対の便蓋装着アーム32R,32Lと、カバー体31の下面に取り付けられて便座20の上面に当接するクッション33と、を備えている。カバー体31は、その後端縁が直線状であり、便蓋30が閉じたときに、大便器100の前方に立っている人から見て便座20及び軸支部12が便蓋30で隠れるようになっている。一対の便蓋装着アーム32R,32Lはヒンジピン60R,60Lを脱着するための切欠き321R,321Lを有している(図10参照)。便蓋装着アーム32R,32Lはカバー体31の下面に延在するので、その間を開いた空間部Pとすることができ、便蓋装着アーム32R,32Lを軸支部12の左右側面に相対させるようにヒンジピン60R,60Lに装着させた状態で軸支部12がその空間部Pに配置される。また、右側の便蓋装着アーム32Rには後述するヒンジ部70が左右にスライド可能に内蔵され、左側の便蓋装着アーム32Lにはヒンジピン60Lのハンマー形状の先端部63Lを回転不能に保持するヒンジピン受け体90が内蔵されている。そして、左側の便蓋装着アーム32Lの外側面には、一方の便座装着アーム22Lに差し込まれる固定軸34が設けられている。
【0016】
次に、便座20の構造について説明する。図6は便座の構造を示す斜視図である。便座20は、中央に開口を有する座面部21と、座面部21の後方左右に設けられた左右一対の便座装着アーム22R,22Lと、座面部21の下面に取り付けられて大便器100の上面に当接するクッション23と、を備えている。また、座面部21の内部には座面を加熱するヒータを設けている。右側の便座装着アーム22Rはヒンジピン60Rを脱着するための切欠き221Rを有している(図10参照)。一対の便座装着アーム22R,22Lは座面部21の後方に延在するので、その間を空いた空間部Qとすることができ、便座装着アーム22R,22Lをヒンジピン60R及び便蓋30の固定軸34に装着された状態でケーシング10の軸支部12及び便蓋装着アーム32R,32Lがその空間部Qに配置されるようになっている。また、右側の便座装着アーム22Rには、ヒンジ部70の一部を回転可能に収める収納部25Rが形成され、さらに収納部25Rの外側面側にヒンジピン60Rのハンマー形状の先端部63Rを回転不能に保持するヒンジピン受け体80が内蔵されている。左側の便座装着アーム22Lには、便蓋装着アーム32Lの固定軸34を回転可能に収める収納部25Lが形成されている。
【0017】
次に、便座20と便蓋30を連結させる構造について説明する。図10は便座、便蓋の連結構造を示す図である。便座20及び便蓋30は、便座装着アーム22R,22Lと便蓋装着アーム32R,32Lが座蓋連結部材により連結された状態でヒンジピン60R,60Lに装着されており、ヒンジピン60R,60Lからの脱着時には便座20と便蓋30は連結した状態である。
【0018】
一対の便蓋装着アーム32R,32Lにはそれぞれ座蓋連結部材が設けられている。左側の便蓋装着アーム32Lについては、前述した固定軸34が座蓋連結部材に相当する。右側の便蓋装着アーム32Rには、その回転中心部に左右にスライド可能とされたヒンジ部70が座蓋連結部材に相当する。このヒンジ部70は、ヒンジピン60Rを回転自在に挿入可能な貫通孔72を有する環状体71の側面にヒンジピン60Rの着脱用切欠き73を形成し、環状体71の軸支部寄り側面に2本の延出部74を形成している。一方の延出部74にはヒンジ部70をスライドさせる際に操作する操作用突起75が形成されている。この操作用突起75を操作してヒンジ部70を軸支部側にスライドさせるとヒンジ部70は便蓋装着アーム32Rの便座装着アーム側側面から突出せずに便座装着アーム22Rに挿入されていない状態となり、軸支部12と反対側(=便座装着アーム22R側)にスライドさせるとヒンジ部70の一部が便蓋装着アーム32Rの便座装着アーム側側面から突出して便座装着アーム22Rの回転中心部に挿入される。このように、固定軸34及びヒンジ部70の一部が左右の便座装着アーム22R,22Lの回転中心部に挿入されることにより、便座装着アーム22R,22Lと便蓋装着アーム32R,32Lが連結する。なお、固定軸34及びヒンジ部70は、便座装着アーム22R,22Lの回転中心部に対して回転可能な状態である。
【0019】
また、ヒンジ部70を軸支部側にスライドさせると延出部74が便蓋装着アーム32Rの軸支部側側面から突出し、便蓋30をヒンジピン60Rに装着しようとすると延出部74が軸支部12に衝突するのでヒンジピン60Rへの装着が不可能となる。一方、ヒンジ部70を軸支部12と反対側(=便座装着アーム側)にスライドさせると延出部74が便蓋装着アーム32Rの軸支部側側面から突出しない状態となるので、便蓋30をヒンジピン60Rに装着することが可能となる。なお、ヒンジ部70を軸支部側にスライドさせても延出部74が便蓋装着アーム32Rから突出しないようにしてもよい。
【0020】
また、ヒンジ部70を便蓋装着アーム32Rに組み込んだ後に便蓋装着アーム32Rに抜け止め部材35を取り付け、また、ヒンジ部70を便座装着アーム側に最大限にスライドさせた状態で操作用突起75を便蓋装着アーム32Rの一部に係合させることで、ヒンジ部70が便蓋装着アーム32Rの左右側面から抜けないようにしている。
【0021】
次に、便座20と便蓋30をケーシング10から着脱する構造について説明する。図11〜図14は、便座20、便蓋30をケーシング10(ヒンジピン60)から取り外し、さらに再度装着する様子を示す図である。図11は便座・便蓋をケーシングから取り外す様子を示す正面図、図12は便座・便蓋をケーシングから取り外した状態を示す斜視図、図13は便座・便蓋をケーシングに装着する様子を示す正面図、図14は便座・便蓋をケーシングから取り外して大便器の上に置いた状態を示す斜視図である。
【0022】
便座20と便蓋30を連結させた状態でケーシング10から(ヒンジピン60R,60Lから)着脱させる。前述したとおり、右側の便座装着アーム22R及び左側の便蓋装着アーム32Lは、ヒンジピン受け体80,90を内蔵している。右側の便座装着アーム22Rに設けたヒンジピン受け体80は、内部にヒンジピン60Rのハンマー形状の先端部63Rを回転不能に保持する保持部81と、ヒンジピン60Rを保持部81から抜くために当該保持部81を部分的に切り欠いて形成した開口部82を有している。開口部82の直下には、便座装着アーム22Rからヒンジピン60Rの軸方向に突き出した軸26にコイルバネ27を介して取り付けた左右に移動可能な第一保持体28を配置している。この第一保持体28は、通常はコイルバネ27の付勢力により開口部82を塞いでおり、ヒンジピン60Rが抜けないように保持している。また、第一保持体28の先端は円弧状断面のガイド部281とし、第一保持体28の一部を操作部282としている。
【0023】
左側の便蓋装着アーム32Lに設けたヒンジピン受け体90は、やはり、内部にヒンジピン60Lのハンマー形状の先端部63Lを回転不能に保持する保持部91と、ヒンジピン60Lを保持部91から抜くために当該保持部91を部分的に切り欠いて形成した開口部92を有している。開口部92の直下には、便蓋装着アーム32Lからヒンジピン60Lの軸方向に突き出した軸36にコイルバネ37を介して取り付けた左右に移動可能な第二保持体38を配置している。この第二保持体38は、通常はコイルバネ37の付勢力により開口部92を塞いでおり、ヒンジピン60Lが抜けないように保持している。また、第二保持体38の先端は、円弧状断面のガイド部381となっている。
【0024】
便座20及び便蓋30は、前述したように、両者を連結させた状態でのみヒンジピン60R,60Lへの着脱が可能である。
【0025】
便座20及び便蓋30を装着する際には、第一保持体28及び第二保持体38のガイド部281,381の円弧面にヒンジピン60R,60Lのハンマー形状の先端部63R,63Lを突き当てた状態とし、便座20及び便蓋30を真下に下ろす。すると、左右のガイド部281,381がコイルバネ27,37を圧縮させて左右に開くので、ヒンジピン受け体80,90の保持部81,91の開口部82,92が露呈し、保持部81,91にヒンジピン60R,60Lの先端部63R,63Lが格納される。ヒンジピン60R,60Lが装着された後は、コイルバネ27,37の付勢力により第一保持体28及び第二保持体38は元の位置に戻り開口部82,92を塞ぎ、ヒンジピン60R,60Lを保持する。
【0026】
便座20及び便蓋30を取り外す際には、右側の便座装着アーム22Rに設けられた第一保持体28の操作部282を、コイルバネが圧縮する方向に指で開くと保持部81の開口部82が露呈するので、便座20及び便蓋30の右側を持ち上げてヒンジピン60Rをヒンジピン受け体80の保持部81から外す。すると、便座20の右側がヒンジピン60Rから外れた自由端となるので、便蓋装着アーム32Lの保持部91からもヒンジピン60Lが外れるようになる。
【0027】
このようにして、便座20及び便蓋30をケーシング10(ヒンジピン60R,60L)に装着し、また取り外しを行うことができる。
【0028】
次に、便座20の開き過ぎ防止構造及びヒンジピン60R,60Lの抜け止め構造について説明する。図16はヒンジピンによる便座の開き過ぎ防止機構及びヒンジピンの抜け止め防止機構を示す図である。ケーシング10には、通常、便座20の開き過ぎ防止のために、便座20がある角度まで開くとその一部が当接してその角度以上開くのを規制するストッパーを備えている。しかし、本実施形態においては、ケーシング10の上面部11はその全体が傾斜面となっているため、ストッパーが設けにくい構造である。
【0029】
そこで、本実施形態においては、便座20に回転不能に係合するヒンジピン60Rとケーシング10との間でストッパー機能を発揮するようにしている。前述したようにヒンジピン60Rは、その円柱体61の途中に周方向に突き出す突出部64を設けている。ヒンジピン60Rの基端部62Rが差し込まれるケーシング10の軸支部12の側面には、ケーシング10に一体的に固定される軸受部121R,121Lを設けている。右側の軸受部121Rは、ヒンジピン60Rの円柱体61及び突出部64を差し込み可能な貫通孔122をあけた壁部123を有すると共に、ヒンジピン60Rが所定の角度まで回転すると突出部64が突き当たる突状部124を点対称となる位置に2個有している。ヒンジピン60Rは、この軸受部121Rの貫通孔122に突出部64を差し込ませて基端部62Rを便座開閉装置40に保持させる。なお、軸受部121R,121Lは、ケーシング10と一体化させてもよい。
【0030】
ヒンジピン60Rに便座20及び便蓋30を装着させて、便座20、便蓋30を開くとそれに伴いヒンジピン60Rが回転する。ヒンジピン60Rが回転すると軸受部121Rの内部で突出部64が回転して突状部124に当接する。すると、ヒンジピン60Rはそれ以上回転しなくなる。すなわち、便座20の開き過ぎを防止する機構が得られる。また、ヒンジピン60Rの突出部64が軸受部121Rの壁部123に邪魔されて、ヒンジピン60Rの抜け止めがなされる。
【0031】
このように、ヒンジピン60Rの周方向に突き出させた突出部64が、便座20の開き過ぎ防止機構とヒンジピン60Rの抜け止め防止機構を兼用する役目を有している。
【0032】
なお、左側のヒンジピン60Lについても、同様の構成とすることができる。また、軸受部121Lにヒンジピン60Lの外周を挟持する複数のリブを設けてヒンジピン60Lを抜けにくくするようにしてもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の便座装置は、図3のように、軸支部12のヒンジピン60R,60Lに対して、便蓋装着アーム32R,32Lを内側に、便座装着アーム22R,22Lを外側の位置にして装着させている。このため、便座20の側面は、便蓋30の側面に邪魔されることなく、常に側方に露出した状態である。
【0034】
そのために、ケーシング10の側面と、便座20の側面及び便蓋30の側面を同一平面上に揃えることができる。よって、便座装置を拭き掃除する際に、従来、便座の側面の回転中心部位が便蓋で覆われているため、ヒンジピン60R,60Lから外さない限り隅々まで拭き掃除することができなかったのに対し、本実施形態では便座20及び便蓋30の側面が共に露出しているので、便座20及び便蓋30をヒンジピン60R,60Lに装着した状態においてサッと一拭きすることで細かな部分まで拭くことができるので、良好な清掃性が得られる。
【0035】
また、便蓋30が便座20の側面を覆わないので、便蓋30の薄さが目立ち、軽快な印象を抱かせることができる。
【0036】
さらに、便座装着アーム22を便蓋装着アーム32より外方に配置しているので、便座20の座面部21は傾斜がきつくなる便座装着アーム近傍領域を便座の側方端部に寄せることにより、使用者が便座20に座ったときに便座装着アーム22付近の傾斜が臀部に当たることが少なくなり、従来よりも良好な座り心地を得ることができる。
【0037】
また、本実施形態の便座装置は、便座装着アーム22R,22Lの内側に便蓋装着アーム32R,32Lを配置したため、便座20の座面部21の直ぐ直後に便蓋装着アーム32R,32Lが位置することになる。ケーシング10の軸支部12と便座装着アーム22R,22Lの間に便蓋装着アーム32R,32Lが位置するので、軸支部12と便座装着アーム22R,22Lの間に便座20に着座した人の臀部を落とし込むことがないように、軸支部12の左右側面にはヒンジピン60R,60Lの下方から前方を囲む壁体13が形成されている。(図14参照)
【0038】
この壁体13は、軸支部12の側面に連続して成形され、便蓋装着アーム32R,32Lと便座20の座面部21の後部との隙間を埋めるように設けられて、閉じた状態の便座20の座面部21の後部上端よりも上方に伸び、便蓋装着アーム32R,32Lの外周に沿う円弧面を上面131に備えた中空の略三角断面形状である。壁体13の上端縁132は、便座20を閉じた状態においては、便蓋装着アーム32R,32Lとの間にわずかな隙間しか存在しない。そのため、体格の大きな人が便座20に座り、臀部が便蓋装着アーム32R,32Lに達したとしても、便蓋装着アーム32R,32Lと便座20の座面部21の間の隙間に臀部を落とし込むようなことはない。
【0039】
また、壁体13には、便座20に内蔵したヒータに給電するための便座コード29を内蔵している。便座コード29は、壁体13の外側面に設けた開口133から取り出されて便座内のヒータに接続されている。便座20の内部には、便座コード29の一部を引き出し可能に収納する収納部(図示せず)を有しており、便座20及び便蓋30をケーシング10から外すとそれに伴い便座コード29が引き出されて便座20を移動させることが可能となる。この場合にも、便座コード29を引き出す開口133が便蓋装着アーム32Lを超えて便座装着アーム22R,22Lに隣接した位置となる壁体13の外側面にあるので、便蓋30の開閉により便座コードの表面を擦って傷つけるようなことはない。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の便座装置によれば、便座の外側側面の全体が便座装置の外側に露出しているので、便座と便蓋を分離させることなく便座の側面全体の拭き掃除を行うことができる。
【0041】
また、右側の操作部のみを操作しながら便座・便蓋を持ち上げれば便座・便蓋をヒンジピンから外すことができるので、便座・便蓋の着脱作業がいっそう容易になった。
【0042】
さらに、便座装着アームより内側に配置された便蓋装着アームと便座後端の隙間を埋める壁体を設けたので、便座に着座した人の臀部を当該隙間に落ち込むようなことがなく、座り心地を保つことができる。
【0043】
なお、便座の加熱方法として、本実施形態では座面部21に内蔵させたヒータとしたが、ケーシング10に内蔵させた温風発生源から温風を便座内に循環させる方式としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の便座装置の平面図
【図2】本発明の便座装置の便蓋を閉じた状態を示す斜視図
【図3】本発明の便座装置の便蓋を開いた状態を示す斜視図
【図4】本発明の便座装置の便座を開いた状態を示す斜視図
【図5】本発明の便座装置の右側面図
【図6】本発明の便座装置における便座の構造を示す斜視図
【図7】本発明の便座装置における便蓋の構造を示す斜視図
【図8】本発明の便座装置における便座、便蓋の着脱機構を示す断面図
【図9】本発明の便座装置におけるヒンジピン受け体を示す図
【図10】本発明の便座装置における便座、便蓋の連結構造を示す図
【図11】本発明の便座装置において、便座・便蓋をケーシングから取り外す様子を示す正面図
【図12】本発明の便座装置において、便座・便蓋をケーシングから取り外した状態を示す斜視図
【図13】本発明の便座装置において、便座・便蓋をケーシングに装着する様子を示す正面図
【図14】本発明の便座装置において、便座・便蓋をケーシングから取り外して大便器の上に置いた状態を示す斜視図
【図15】本発明の便座装置におけるヒンジピンを示す斜視図
【図16】本発明の便座装置における、ヒンジピンによる便座の開き過ぎ防止機構及びヒンジピンの抜け止め防止機構を示す図
【符号の説明】
【0045】
10 ケーシング
12 軸支部
13 壁体
20 便座
22(22R,22L) 便座装着アーム
28 第一保持体
30 便蓋
32(32R,32L) 便蓋装着アーム
40 便座開閉装置
50 便蓋開閉装置
60(60R,60L) ヒンジピン
62 基端部
63 先端部
70 連結部材
75 操作用突起
82 開口部
123 壁部(抜け止め防止壁)
124 突状部(ストッパー機構)
Q 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に開閉装置を内蔵させた軸支部を有するケーシングと、
前記開閉装置に基端部が固定されて先端部を前記軸支部の左右両側面から突出させた2本のヒンジピンと、
前記ヒンジピンに装着可能であり左右一対の便座装着アームを有する便座と、
前記ヒンジピンに装着可能であり左右一対の便蓋装着アームを有する便蓋と、
を備えた便座装置において、
前記一対の便座装着アームの間に空間部を設け、当該空間部に前記軸支部及び前記便蓋装着アームを配置してなり、前記ヒンジピンに前記便蓋及び便座を装着して便蓋を閉じた状態において前記便座装着アームの外側側面の全体を便座装置の側方に露出させてなり、
前記便座及び便蓋は、前記便座装着アーム及び便蓋装着アームを連結した状態で前記ヒンジピンから着脱可能としたことを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記ケーシングの側面と、便座装着アーム及び便蓋装着アームの外側側面を、略同一平面上に揃えたことを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記便座及び便蓋は、前記ヒンジピンの軸方向にスライド可能な連結部材により前記便座装着アーム及び便蓋装着アームを連結可能であり、
前記連結部材に、前記便座及び便蓋を前記ヒンジピンから外した状態で、スライド移動を可能とする操作部を設け、当該操作部を操作することで前記便座装着アームから前記連結部材が抜け出て前記便座と便蓋の連結を解除させることを特徴とする請求項1又は2記載の便座装置。
【請求項4】
前記便座装着アームに、前記ヒンジピンを前記便座に格納する際に通過させる開口部を開閉する第一保持体を設け、
前記第一保持体は前記開口部を閉じて前記便座の前記ヒンジピンからの抜脱を規制してなり、前記開口部を開いて前記便座から前記ヒンジピンを抜脱可能な状態にする操作部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項5】
前記ヒンジピンの下方を囲み、前記軸支部の側面に連設した壁体を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項6】
前記ヒンジピンの一部が前記ヒンジピンの回転に応じて前記ケーシングの内部に当接して、前記便座又は便蓋の開き過ぎ防止のストッパー機構となることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項7】
前記ケーシングに、前記ヒンジピンの一部が当接する抜け止め防止壁を設けたことを特徴とする請求項6記載の局部洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図8】
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【図10】
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【図15】
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