説明

便座装置

【課題】 帯電微粒子液を用いて便座表面を自動的に且つ速やかに除菌、脱臭することのできる便座装置を提供する。
【解決手段】 便器20上に設置される便座装置本体1と、便座装置本体1に開閉自在に接続される便座2と、霧化液を保持する霧化電極5に高電圧を印加することで帯電微粒子液を生成して放出する静電霧化装置4とを具備する便座装置であって、上記静電霧化装置4が、便座2表面に向けて帯電微粒子液を放出する構成である。これにより便座2表面を自動的に且つ速やかに除菌、脱臭する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便器上に設置される便座装置に関し、詳しくは便座装置の便座表面を除菌、脱臭するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器上に設置される便座装置に、静電霧化装置を備えることが提案されている(例えば特許文献1〜4参照)。しかし、上記便座装置は、静電霧化装置から放出される帯電微粒子液を便器内部やトイレ空間内に向けて放出するものであって、人体が直接接触することになる便座表面を帯電微粒子液によって直接的に除菌、脱臭する構成にはなっていない。便座表面を清潔に保つための技術としては、抗菌材を用いて便座を形成することも周知であるが、これは脱臭機能までを有するものではない。
【特許文献1】特開2005−155150号公報
【特許文献2】特開2005−155152号公報
【特許文献3】特開2005−336844号公報
【特許文献4】特開2005−336845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、帯電微粒子液を用いて便座表面を自動的に且つ速やかに除菌、脱臭することのできる便座装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明を、便器20上に設置される便座装置本体1と、便座装置本体1に開閉自在に接続される便座2と、霧化液を保持する霧化電極5に高電圧を印加することで帯電微粒子液を生成して放出する静電霧化装置4とを具備する便座装置であって、上記静電霧化装置4が、便座2表面に向けて帯電微粒子液を放出するものとする。上記構成の便座装置とすることで、人体が最も直接的に接触することになる便座2表面に対して帯電微粒子液を直接放出し、該帯電微粒子液の作用により便座2表面を自動的に且つ速やかに除菌、脱臭することが可能となる。
【0005】
また上記構成の便座装置にあっては、便座2への人体の着座を検知する着座センサ13を具備し、且つ上記静電霧化装置4が、着座センサ13により着座中を検知する間は便座2表面に向けての帯電微粒子液の放出を停止させるものであることが好適である。このようにすることで、帯電微粒子液を不必要に放出することを防止して静電霧化装置4を効率的に稼動させることが可能となる。
【0006】
また上記構成の便座装置にあっては、トイレ空間内への人体の入退室を検知する入退室センサ15を具備し、且つ上記静電霧化装置4が、入退室センサ15により入室を検知すると帯電微粒子液の生成を開始させるものであることが好適である。このようにすることで、帯電微粒子液を不必要に放出することを防止して静電霧化装置4を効率的に稼動させることが可能となる。
【0007】
また上記構成の便座装置にあっては、便座装置本体1に開閉自在に接続される便蓋3と、便蓋3の開閉を検知する開閉センサとを具備し、且つ上記静電霧化装置4が、開閉センサにより便蓋3が開いたことを検知する間は帯電微粒子液の生成を停止させ、便蓋3が閉じたことを検知すると帯電微粒子液の生成を開始させるものであることが好適である。このようにすることで、帯電微粒子液を不必要に放出することを防止して静電霧化装置4を効率的に稼動させることが可能となる。
【0008】
更に上記構成の便座装置にあっては、上記静電霧化装置4が、所定のセンサ検知から所定時間T経過後に生成を停止させるものであることが好適である。このようにすることで、静電霧化装置4を更に効率的に稼動させることが可能となる。
【0009】
更に上記構成の便座装置にあっては、上記静電霧化装置4が、帯電微粒子液を互いに異なる方向に向けて放出する複数の放出口10a,10bを備え、便座装置の使用状態に応じて放出口10a,10bを切換えるものであることも好適である。このようにすることで、例えば便座2に人体が着座する際にはトイレ空間に向けて帯電微粒子液を放出し、人体が着座しないときには便座2に向けて帯電微粒子液を放出するといったように、使用状態に合わせて放出方向を切換えて静電霧化装置4を更に効率的に稼動させることが可能となる。
【0010】
なお、以上述べた各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜組合せ可能である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明は、帯電微粒子液を用いて便座表面を自動的に且つ速やかに除菌、脱臭することができるという効果を奏する。
【0012】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、着座センサの検知結果に基づいて帯電微粒子液を不必要に放出することを防止し、静電霧化装置を効率的に稼動させることができるという効果を奏する。
【0013】
また請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、入退室センサの検知結果に基づいて帯電微粒子液を不必要に放出することを防止し、静電霧化装置を効率的に稼動させることができるという効果を奏する。
【0014】
また請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明の効果に加えて、便蓋の開閉センサの検知結果に基づいて帯電微粒子液を不必要に放出することを防止し、静電霧化装置を効率的に稼動させることができるという効果を奏する。
【0015】
また請求項5に係る発明は、請求項2〜4のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、センサ検知に基づいて静電霧化装置を更に効率的に稼動させることができるという効果を奏する。
【0016】
また請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか一項に係る発明の効果に加えて、使用状態に合わせて放出方向を切換えることで、静電霧化装置を更に効率的に稼動させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明するが、本文中に用いる前後、上下方向等の各方向は、トイレ空間内にて便器20上に便座装置本体1が設置された状態を規準とする。図1には、本発明の実施形態における一例の便座装置を示している。本例の便座装置は、ボウル状を成す便器20の後部上面に設置される便座装置本体1と、該便座装置本体1の前部に上下回動自在に連結される環状の便座2と、同じく該便座装置本体1の前部に上下回動自在に連結されて便座2の上面全体を覆う便蓋3とを備えている。上記便座装置本体1は、局部洗浄ノズル等を具備するものであるが、ここでは図示を省略している。
【0018】
本例においては、ナノメータサイズの粒径を含む微細なミスト状の帯電微粒子液を生成して放出する静電霧化装置4を、便蓋3の内面に設置している。この静電霧化装置4は図2に概略的に示すように、細長棒状の霧化電極5と、この霧化電極5に対して霧化液を供給する霧化液供給手段となるペルチェユニット6と、霧化電極5の先端部と対向する箇所に設置されるリング状の対向電極7と、対向電極7との間で霧化電極5に高電圧を印加することで静電霧化現象により霧化液を基に帯電微粒子液を生成する電圧印加手段8と、生成された帯電微粒子液を外部に放出するための放出流路9とで主体を形成している。上記ペルチェユニット6は冷却側6aと放熱側6bを有し、その冷却側6aに霧化電極5を連結させることで霧化電極5自体を冷却し、該霧化電極5の表面に霧化液となる結露水を直接生成させるものであるが、他の構成により霧化液供給手段を構成しても構わない。
【0019】
放出流路9は、上流端に霧化電極5及び対向電極7を位置させ、下流端に帯電微粒子液を放出する放出口10を開口させたものであるが、図示の如く、本例ではこの放出流路9を途中で二手に分岐させ、両方の分岐流路9a,9bのそれぞれに放出口10a,10bを設けている。両放出口10a,10bは互いに異なる方向(図示例では略90度相違する方向)に向けて開口している。一方の放出口10aの開口方向、つまり帯電微粒子液の放出方向は、便蓋3の内面に沿って便蓋3の先端に向かう方向(以下「先端方向A」という)であり、他方の放出口10bは、便蓋3の内面と略直交する方向(以下「直交方向B」という)である。また放出流路9中には、一対の分岐流路9a,9bの一方だけを上流側の放出流路9と連通させて他方を遮断する切り替え手段として、分岐流路9a,9bを択一的に遮断する遮壁11と、遮断する分岐流路9a,9bを切換えるように遮壁11を回動させるアクチュエータ12とを備えている。
【0020】
上記構成から成る便座装置においては、図3に示すような複数の使用状態がある。図3(a)に示す状態は、便座2及び便蓋3を共に閉じた状態である。この状態で、静電霧化装置4の放出口10aから先端方向Aに向けて帯電微粒子液を放出させると、放出された帯電微粒子液は便座2と便蓋3との隙間空間を通って便座2上面及び便蓋3内面に向けて噴霧され、この便座2上面及び便蓋3内面に付着して除菌や脱臭等を行う。また、静電霧化装置4は、便蓋3が便座2上面を覆う状態にて該便座2の中央開口部分と対向するように設けてあるので、静電霧化装置4の放出口10bから直交方向Bに向けて帯電微粒子液を放出すると、放出された帯電微粒子液は便座2に当たることなくそのまま便器20内に放出され。便器20内面に付着して除菌や脱臭等を行う。
【0021】
図3(b)に示す使用状態は、図1にも示す使用状態であり、便座2は便器20上に載置して閉じた状態にするとともに、便蓋3のみを上方に回動させて開いた状態である。この状態において便蓋3は、便座2の上面を覆うことなく、直立姿勢から先端を僅かに後方に倒した姿勢にて便座装置本体1に保持される。ここで静電霧化装置4の放出口10aから先端方向Aに向けて帯電微粒子液を放出させると、上方に向けて放出された帯電微粒子液はトイレ空間内に向けて噴霧され、該トイレ空間全体の除菌や脱臭等を行う。また、静電霧化装置4の放出口10bから直交方向Bに向けて帯電微粒子液を放出させると、前方に向けて放出された帯電微粒子液は直前に位置する便座2上面に付着して、該便座2上面の除菌や脱臭等を行う。
【0022】
図3(c)に示す状態は、便座2及び便蓋3を共に上方に回動させて開いた状態である。この状態において便座2及び便蓋3は共に、直立姿勢から先端を僅かに後方に倒した姿勢にて便座装置本体1に保持される。ここで静電霧化装置4の放出口10aから先端方向Aに向けて帯電微粒子液を放出させると、上方に向けて放出された帯電微粒子液は便座2と便蓋3との隙間空間を通って便座2上面及び便蓋3内面に向けて噴霧され、この便座2上面及び便蓋3内面に付着して除菌や脱臭等を行う。また、既述したように静電霧化装置4は、便蓋3が便座2上面を覆う状態にて該便座2の中央開口部分と対向するように設けてあるので、静電霧化装置4の放出口10bから直交方向Bに向けて帯電微粒子液を放出すると、前方に向けて放出された帯電微粒子液は便座2に当たることなく便器20の開口縁部分に付着し、該便器20の開口縁部分の除菌や脱臭等を行う。
【0023】
この便座2及び便蓋3の開閉は、それぞれに対応して便座装置本体1に設置してある開閉センサ(図示せず)により検知される。また、便座装置本体1には、便座2への人体の着座を検知する着座センサ13(図1参照)や、便器20が設置されるトイレ空間内への人体の入退室を検知する入退室センサ15も備えてあり、各センサの入力により判断される使用状態に応じて静電霧化装置4を駆動制御するようになっている。
【0024】
図4には、着座センサ13の検知結果に基づいて静電霧化装置4を駆動制御する場合の各制御例を示している。図4(a)に示す制御例では、着座センサ13により人体が便座2上面に着座していない状態(以下「着座オフ状態」という)にあると検知される場合には、静電霧化装置4において帯電微粒子液を生成及び放出させ、着座センサ13により人体が便座2上面に着座した状態(以下「着座オン状態」という)にあると検知される場合には、静電霧化装置4において帯電微粒子液の生成及び放出を停止させる制御を示している。即ち、着座オン状態になった時点で静電霧化装置4をオフとし、ここから着座オフ状態となった時点で静電霧化装置4をオンとする制御である。
【0025】
図4(b)に示す制御は別の制御例であり、静電霧化装置4はオフとして帯電微粒子液の生成及び放出は停止させておき、一旦着座オン状態となってから着座オフ状態になった時点で静電霧化装置4をオンにして帯電微粒子液を生成及び放出させ、所定時間T経過後に静電霧化装置4をオフにして帯電微粒子液の生成及び放出を停止する制御である。
【0026】
図4(c)に示す制御はまた別の制御例であり、着座センサ13により着座オフ状態にあると検知される場合には静電霧化装置4を間欠的にオンオフさせながら帯電微粒子液を生成及び放出させ、着座センサ13により着座オン状態にあると検知される間は静電霧化装置4をオフにして帯電微粒子液の生成及び放出を停止させる制御を示している。
【0027】
図4(d)に示す制御は更に別の制御例であり、着座センサ13により着座オフ状態にあると検知される場合には静電霧化装置4において帯電微粒子液を生成及び放出させ、着座センサ13により着座オン状態にあると検知される場合には、静電霧化装置4において帯電微粒子液を生成するとともに放出方向は強制的に先端方向Aに設定する制御を示している。着座オン状態において便座2及び便蓋3は図3(b)の姿勢にあるので、これにより人体が便座2上に着座しているときは該人体を避けて上方向に帯電微粒子液を放出させ、トイレ空間内の除菌、脱臭を行うものである。
【0028】
なお図4(a)〜(c)の制御例においては、着座センサ13により着座オフを検知する場合の帯電微粒子液の放出方向を、先端方向Aと直交方向Bのいずれに設定してあってもよい。ここで、例えば開閉センサにより図3(a)、(c)の使用状態を検知すれば先端方向A、図3(b)の使用状態を検知すれば直交方向Bとなるようアクチュエータ12を駆動させる制御とすれば、便座2上面が除菌、脱臭可能となる。また、開閉センサにより図3(c)の状態を検知すれば直交方向Bに向けて帯電微粒子液を放出するように制御すれば、便器20の開口縁部分が除菌、脱臭可能となる。
【0029】
図5には、入退室センサ15の検知結果に基づいて静電霧化装置4を駆動制御する場合の各制御例を示している。図5(a)に示す制御例では、入退室センサ15により人体が退室していると検知される場合には静電霧化装置4において帯電微粒子液を生成及び放出させておき、入退室センサ15により人体が入室していると検知される場合には静電霧化装置4において帯電微粒子液の生成及び放出を停止させる制御を示している。即ち、入室が検知された時点で静電霧化装置4をオフとし、ここから退室が検知された時点で静電霧化装置4をオンとする制御である。
【0030】
図5(b)に示す制御は別の制御例であり、静電霧化装置4はオフにして帯電微粒子液の生成及び放出を停止させておき、入退室センサ15により一旦入室を検知してから退室を検知した時点で静電霧化装置4をオンにして帯電微粒子液を生成及び放出させ、所定時間T経過後に静電霧化装置4をオフにして帯電微粒子液の生成及び放出を停止する制御である。
【0031】
図5(c)に示す制御はまた別の制御例であり、入退室センサ15により人体が退室していると検知される場合には原則的に静電霧化装置4をオフにして帯電微粒子液の生成及び放出は停止させておき、入退室センサ15により人体の入室を検知した時点で静電霧化装置4をオンにして帯電微粒子液を生成及び放出させ、退室が検知されてから所定時間T経過後に静電霧化装置4をオフにして、帯電微粒子液の生成及び放出を停止する制御である。更に、入室により静電霧化装置4がオンとなる間においても、着座センサ13によって着座オン状態を検知する間は、図4(a)〜(c)の各制御例と同様に静電霧化装置4をオフにして帯電微粒子液の生成及び放出を停止させている。
【0032】
入退室センサ15に基づいて静電霧化装置をオンにする場合の帯電微粒子液の放出方向についても、先端方向Aと直交方向Bのいずれに設定してあってもよい。即ち、開閉センサにより図3(a)、(c)の使用状態を検知すれば先端方向Aとなり、図3(b)の使用状態を検知すれば直交方向Bとなるように設定すれば便座2上面が除菌、脱臭可能となるが、これを他の方向に設定して、便器20の内部、開口縁部分、トイレ空間内を除菌、脱臭するように設けても構わない。例えば、退室検知時に開閉センサにより図3(c)の状態を検知するときに、直交方向Bに向けて帯電微粒子液を放出するように制御すれば、使用後の便器20の開口縁部分が除菌、脱臭可能となる。
【0033】
図6には、便蓋3の開閉を検知する検知センサに基づいて静電霧化装置4を駆動制御する場合の各制御を示している。図6(a)に示す制御例では、開閉センサにより便蓋3が閉じていると検知される場合には静電霧化装置4において帯電微粒子液を生成及び放出させておき、開閉センサにより便蓋3が開いたと検知される場合には静電霧化装置4において帯電微粒子液の生成及び放出を停止させる制御を示している。即ち、便蓋3が開いたと検知された時点で静電霧化装置4をオフとし、ここから便蓋3が閉じたと検知された時点で静電霧化装置4をオンとする制御である。
【0034】
図6(b)に示す制御は別の制御例であり、静電霧化装置4はオフにして帯電微粒子液の生成及び放出は停止させておき、開閉センサにより一旦便蓋3が開いてから閉じたことを検知した時点で静電霧化装置4をオンにして帯電微粒子液を生成及び放出させ、所定時間T経過後に静電霧化装置4をオフにして帯電微粒子液の生成及び放出を停止する制御である。
【0035】
図6(c)に示す制御はまた別の制御例であり、開閉センサにより便蓋3が閉じていると検知される場合には原則的に静電霧化装置4をオフにして帯電微粒子液の生成及び放出を停止させておき、開閉センサにより便蓋3が開いたことを検知した時点で静電霧化装置4をオンにして帯電微粒子液を生成及び放出させ、ここから便蓋3が閉じたことが検知されて所定時間T経過後に、静電霧化装置4をオフにして帯電微粒子液の生成及び放出を停止する制御である。更に、便蓋3が開いて静電霧化装置4がオンとなる間においても、着座センサ13によって着座オン状態を検知する間は、図4(a)〜(c)の各制御例と同様に静電霧化装置4をオフにして帯電微粒子液の生成及び放出を停止させている。
【0036】
開閉センサに基づいて静電霧化装置をオンにする場合の帯電微粒子液の放出方向についても、先端方向Aと直交方向Bのいずれに設定してあってもよい。即ち、開閉センサにより便蓋3の閉じた図3(a)の使用状態を検知するときに先端方向Aとなるよう設定すれば便座2上面が除菌、脱臭可能となる。また、便蓋3の開いた図3(b)、(c)の使用状態を検知するときに直交方向Bとなるよう設定すれば、このときに便座2が開いた図3(b)の状態であれば便座2上面が除菌、脱臭可能となり、便座2が閉じた図3(c)の状態であれば便器20の開口縁部分を除菌、脱臭可能となる。更に、これを他の方向に設定して、便器20の内部、開口縁部分、トイレ空間内を除菌、脱臭するように設けても構わない。
【0037】
図7には、本発明の実施形態における他例の便座装置を示している。上記した一例と同様の構成については詳しい説明を省略するが、本例においては、便座装置本体1に静電霧化装置4を設置していることに特徴を有している。図には便座2を閉じて便蓋3を開いた状態を示しているが、この状態において正面側の放出口10bから放出される帯電微粒子液(矢印D参照)が便座2の上面に向けて放出されるように設けている。便蓋3には静電霧化装置4を通す孔14が設けてある。便蓋3を閉じた場合にはこの孔14を通って放出口10bが便蓋3外面よりも上方に位置するように設けており、放出口10bから放出される帯電微粒子液が便蓋3外面に向けて噴霧されて除菌、脱臭を行うようになっている。また、便蓋3と共に便座2を開いた場合には、この放出口10bから放出される帯電微粒子液が便器20の開口縁部に向けて噴霧されて除菌、脱臭を行うように設けている。即ち、便座2及び便蓋3の開閉に応じて、便器20、便座2、便蓋3のいずれかに向けて放出口10bから帯電微粒子液を放出する構造である。
【0038】
なお本例にあっても静電霧化装置4には一対の放出口10a,10bを備え、便座装置の使用状態に応じて放出口10a,10bを切換えるように設定してある。具体的には、着座センサ13により着座オフ状態にあると検知される場合には放出口10bから前方の便座2に向けて帯電微粒子液を放出し、着座オン状態にあると検知される場合には放出口10aから上方に向けて帯電微粒子液を放出して(矢印C参照)トイレ空間内を除菌、脱臭するように設定してある。放出口10a,10bは一対に限定されず、三つ以上備えて切り替え自在としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態における一例の便座装置の設置状態を示す斜視図である。
【図2】同上の便座装置が備える静電霧化装置の説明図であり、(a)は一方の放出口を選択した場合、(b)は他方の放出口を選択した場合である。
【図3】同上の便座装置の各使用状態を示す説明図であり、(a)は全閉状態、(b)は便蓋のみ開いた状態、(c)は全閉状態である。
【図4】同上の静電霧化装置の着座センサに基づく駆動制御を説明するタイムチャートであり、(a)は制御例1、(b)は制御例2、(c)は制御例3、(d)は制御例4を示している。
【図5】同上の静電霧化装置の入退室センサに基づく駆動制御を説明するタイムチャートであり、(a)は制御例1、(b)は制御例2、(c)は制御例3を示している。
【図6】同上の静電霧化装置の便蓋の開閉センサに基づく駆動制御を説明するタイムチャートであり、(a)は制御例1、(b)は制御例2、(c)は制御例3を示している。
【図7】本発明の実施形態における足りえの便座装置の設置状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 便座装置本体
2 便座
3 便蓋
4 静電霧化装置
5 霧化電極
10a 放出口
10b 放出口
13 着座センサ
15 入退室センサ
20 便器
T 所定時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器上に設置される便座装置本体と、便座装置本体に開閉自在に接続される便座と、霧化液を保持する霧化電極に高電圧を印加することで帯電微粒子液を生成して放出する静電霧化装置とを具備する便座装置であって、上記静電霧化装置が、便座表面に向けて帯電微粒子液を放出するものであることを特徴とする便座装置。
【請求項2】
便座への人体の着座を検知する着座センサを具備し、且つ上記静電霧化装置が、着座センサにより着座中を検知する間は便座表面に向けての帯電微粒子液の放出を停止させるものであることを特徴とする請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
トイレ空間内への人体の入退室を検知する入退室センサを具備し、且つ上記静電霧化装置が、入退室センサにより入室を検知すると帯電微粒子液の生成を開始させるものであることを特徴とする請求項1に記載の便座装置。
【請求項4】
便座装置本体に開閉自在に接続される便蓋と、便蓋の開閉を検知する開閉センサとを具備し、且つ上記静電霧化装置が、開閉センサにより便蓋が開いたことを検知する間は帯電微粒子液の生成を停止させ、便蓋が閉じたことを検知すると帯電微粒子液の生成を開始させるものであることを特徴とする請求項1に記載の便座装置。
【請求項5】
上記静電霧化装置が、所定のセンサ検知から所定時間経過後に生成を停止させるものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の便座装置。
【請求項6】
上記静電霧化装置が、帯電微粒子液を互いに異なる方向に向けて放出する複数の放出口を備え、便座装置の使用状態に応じて放出口を切換えるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−240374(P2008−240374A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82970(P2007−82970)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】