説明

便座装置

【課題】温度検知センサの検知精度を向上し、便座ヒータの安全性、耐久性を向上することを目的とする。
【解決手段】便座装置110は着座面410Uを有し構成材料として金属を含む便座400と、着座面410Uの裏面に配置された複数の層を含むシート状の便座ヒータ450の内部に、互いに接触しないように配置された便座ヒータ450と温度検知センサ401aとを有する。便座ヒータ450と温度検知センサ401aはともに、第1の金属層451と第1の耐熱絶縁層456との間に配置されている。温度検知センサ401aは第1金属層451と第1の耐熱絶縁層456との間に線状ヒータ460と一緒に配置されるため、線状ヒータ460の熱と着座面410Uの温度を敏感に検知することができるとともに、第1の金属箔451と第1の耐熱絶縁層456とで挟持されることで密封状態となり防水性を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座ヒータと温度検知センサを有する便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の便座装置は、金属性の着座部を有する便座の内面(裏面)に、発熱体の上下を絶縁体で狭持した面状(シート状)の発熱体ユニットを貼り付け、便座の着座部の温度を検知するサーミスタを発熱体ユニットの下面に設け、前記サーミスタの検知データに基づき制御部は発熱体ユニットの通電を制御し、着座面が所定の温度なるように制御している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は特許文献1に記載された従来の便座装置を示すものであり、便座1はアルミまたはステンレス製の着座部2と樹脂製の下部部材3を上下に接合して構成されており、着座部2の下面には上下に樹脂シートからなる絶縁材4で発熱体5を狭持した発熱体ユニット6が配設してある。発熱体ユニット6の下面には着座部2の温度を検知するサーミスタ7と、発熱体ユニット6の過昇を検知するサーモスタット8と温度ヒューズ9が設置してある。
【特許文献1】特開2005−192896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来の便座装置においては、便座の着座面の温度をコントロールするために必要な温度検知センサであるサーミスタは発熱体ユニットの下面に貼り付けてあり、着座面からは二重の絶縁体を介して設置しているため検知精度が低下することが考えられ、十分な検知精度を得る観点からは改善の余地があった。
【0005】
また、上記の従来の便座装置においては、サーミスタが下絶縁体の下面に露出した状態で設置されているため、便座の内部に水が浸入し漏電等の支障が発生する可能性があり、十分な防水性を確保し、十分な便座装置の安全性及び耐久性を確保するという観点からは改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、温度検知センサの十分な検知精度を確保でき、便座ヒータと温度検知センサの十分な防水性も確保でき、優れた安全性と優れた耐久性を有する便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明は、使用者が着座するための着座面を有しており、構成材料として金属を含む便座と、前記便座の前記着座面の裏面に設置されており、前記着座面の形状に対応した形状を有するシート状の前記便座ヒータと、を有しており、前記便座ヒータが、熱伝導性を有する第1の金属層と、耐熱性及び絶縁性を有する第1の耐熱絶縁層と、を少なくとも含む複数の層と、前記第1の金属層と前記第1の耐熱絶縁層との間に配置される線状ヒータと、前記第1の金属層と前記第1の耐熱絶縁層との間に前記線状ヒータに接触しないように配置されており、前記便座の温度を検知する温度検知センサと、を有している、便座装置を提供する。
【0008】
これにより、本発明の便座装置において、温度検知センサは第1の金属層と第1の耐熱絶縁層との間に線状ヒータと一緒に配置されることになる。そのため、線状ヒータの熱と便座の着座面の温度を敏感に検知することができる。より詳しくは、温度検知センサは第
1の金属層と第1の耐熱絶縁層との間に線状ヒータと一緒に配置されるため、線状ヒータからの発熱と着座面の放熱の両方の影響を受ける第1の金属層の温度上昇が検知でき、便座の着座面の実際の温度上昇よりワンステップ早い温度検知ができる。そのため、温度検知のタイムラグを解消することで、便座ヒータの温度制御の十分な精度、温度検知の十分な精度確保することができるようになる。
【0009】
更に、本発明の便座装置において、温度検知センサと線状ヒータとは、第1の金属層と第1の耐熱絶縁層とで挟持されることで密封状態となり十分な防水性を確保しそれを維持することができるようになる。そのため、本発明の便座装置は、優れた安全性と優れた耐久性を有する便座装置を提供することができる。
【0010】
ここで、本発明の便座装置においては、(1)前記第1の金属層が前記便座の前記裏面に近い側に配置されており、 前記第1の耐熱絶縁層が第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に配置されていてもよい(請求項2)。また、本発明の便座装置においては、(2)前記第1の金属層が前記便座の前記裏面に近い側に配置されており、前記第1の耐熱絶縁層が第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に配置されていてもよい(請求項9)。
【0011】
上記の(1)の構成、及び(2)の構成のいずれの場合にも、便座装置において、温度検知センサと線状ヒータとは、第1の金属層と第1の耐熱絶縁層とで挟持された状態となるため、上述の本発明の効果を得ることができる。
【0012】
更に、本発明の便座装置においては、上述の本発明の効果をより確実に得る観点からは、上記の(1)の構成、及び(2)の構成のいずれの場合にも、第1の金属層に対し、温度検知センサ及び線状ヒータを介して対向配置される第2の金属層を更に設けることが好ましい。この場合、第1の金属層と第2の金属層との間に温度検知センサ及び線状ヒータが配置されるようになる。これにより、十分な温度検知精度と十分な防水性をより確実に得ることができる。
【0013】
また、本発明の便座装置においては、上述の本発明の効果をより確実に得る観点からは、上記の(1)の構成、及び(2)の構成のいずれの場合にも、第1の耐熱絶縁層に対し、温度検知センサ及び線状ヒータを介して対向配置される第2の耐熱絶縁層を更に設けることが好ましい。この場合、第1の耐熱絶縁層と第2の耐熱絶縁層との間に温度検知センサ及び線状ヒータが配置されるようになる。これにより、十分な温度検知精度と十分な防水性をより確実に得ることができる。
【0014】
上記(1)の構成に第2の金属層を更に設ける構成としては、以下の(1−1)及び(1−2)の構成が好ましくあげられる。
【0015】
すなわち、(1−1)前記第1の耐熱絶縁層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に、熱伝導性を有する第2の金属層が更に配置されている構成(請求項3)と、(1−2)前記第1の耐熱絶縁層よりも前記便座の前記裏面から近い側に、熱伝導性を有する第2の金属層が更に配置されている構成(請求項6)とが好ましくあげられる。
【0016】
更に、上述の(1−1)の構成に第2の耐熱絶縁層を更に設ける構成としては、以下の構成が好ましくあげられる。
【0017】
すなわち、(1−1−1)前記第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層が更に配置されている構成(請求項4、後述の第1実施形態及び図7を参照)と、(1−1−2)前記第1の金属層よりも前記便座の
前記裏面から近い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層が更に配置されている構成(請求項5)とが好ましくあげられる。
【0018】
更に、上述の(1−2)の構成に第2の耐熱絶縁層を更に設ける構成としては、以下の構成が好ましくあげられる。
【0019】
すなわち、(1−2−1)前記第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層が更に配置されている構成(請求項7)と、(1−2−2)前記第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から近い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層が更に配置されている構成(請求項8)とが好ましくあげられる。
【0020】
また、上記(2)の構成に第2の金属層を更に設ける構成としては、以下の(2−1)及び(2−2)の構成が好ましくあげられる。
【0021】
すなわち、(2−1)前記第1の耐熱絶縁層よりも前記便座の前記裏面から近い側に、熱伝導性を有する第2の金属層が更に配置されている構成(請求項10)と、(2−2)前記第1の耐熱絶縁層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に、熱伝導性を有する第2の金属層が更に配置されている構成(請求項11)とが好ましくあげられる。
【0022】
更に、本発明の便座装置においては、前記線状ヒータは、発熱線と、前記発熱線の外周面を覆うように配置されたエナメル層と、前記エナメル層の外周面を覆うように配置された絶縁被服層と、を有していることが好ましい(請求項12)。
【0023】
これにより、発熱線が第1の金属層(第2の金属層を設ける場合には第1の金属層及び第2の金属層)と電気的に接触することをより確実に防止できる。また、発熱線と温度検知センサとの接触をより確実に防止できる。
【0024】
また、本発明の便座装置においては、線状ヒータは、当該線状ヒータを挟む2つの層の略全面に屈曲蛇行しながら間隔を設けて配設されていることがこのましい。(請求項13)。
【0025】
線状ヒータを屈曲蛇行させて配置することで、限られた便座の裏面のスペースを有効活用しつつ便座の裏面における線状ヒータの接地面積を十分に確保できる。これにより、迅速な便座の暖房と精密な温度管理がより確実にできるようになる。
【0026】
また、これにより、温度検知センサは線状ヒータの発熱による第1金属層の温度上昇(第2金属層を設ける場合には第1金属層の温度上昇および第2金属層の温度上昇うちの少なくとも一方の温度上昇)をより敏感に検知することが可能となり、温度検知のタイムラグをより減少することができる。
【0027】
更に、この場合、本発明の便座装置は、前記線状ヒータの前記間隔が、当該線状ヒータが配設される前記裏面(便座の着座面の裏面)上の場所によって異なっており、前記間隔は、前記裏面のうち放熱量の多い部分において他の部分よりも狭くなっており、前記温度検知センサは、前記線状ヒータの前記間隔の狭い前記部分に、前記線状ヒータに接触しないように設置されている(請求項14)。
【0028】
この場合も、温度検知センサは線状ヒータの発熱による第1金属層の温度上昇(第2金属層を設ける場合には第1金属層の温度上昇および第2金属層の温度上昇うちの少なくとも一方の温度上昇)をより敏感に検知することが可能となり、温度検知のタイムラグをよ
り減少することができる。
【0029】
更に、この場合、便座の着座面の裏面のうち、使用者の肌にふれて放熱量が多くなる部分に線状ヒータを蜜に配設することができるので、使用者が着座した場合であっても便座の着座面の温度を設定温度に十分に保つことができるようになる。
【0030】
更に、この場合、温度検知センサが便座の着座面の裏面のうち、線状ヒータが配設されている間隔の狭い部分に、線状ヒータに接触しないように設置されている。すなわち、線状ヒータが粗に配置されている領域よりも線状ヒータが密に配置されている領域に温度検知センサが配置されているので、線状ヒータの過剰加熱が起きる兆候を当該過剰加熱が起こる可能性が高い領域(線状ヒータが密に配置されている領域)の近くで早期に察知できる。そのため、線状ヒータの過剰加熱によるオーバーシュートの発生をより確実に未然に防ぐことができる。
【0031】
また、本発明の便座装置においては、便座ヒータの端部が耐水性を有する封止部材で封止されていることが好ましい(請求項15)。これにより、第1の金属層と第1の耐熱絶縁層との間に一緒に配置された線状ヒータ及び温度検知センサの防水性がより高まるため、安全性と耐久性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、便座の十分な温度検知精度(温度検知センサの十分な検知精度)を確保でき、便座ヒータと温度検知センサの十分な防水性も確保でき、優れた安全性と優れた耐久性を有する便座装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する、なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
【0034】
(第1実施形態)
<1>便座装置およびそれを備える衛生洗浄装置の外観
図1は本発明の第1実施形態に係る便座装置110およびそれを備える衛生洗浄装置100を示す外観斜視図である。
【0035】
衛生洗浄装置100はトイレットルーム内に設置される。衛生洗浄装置100は便器700の上面に取り付けられる。衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400、蓋部500、人体検知装置600により構成される。
【0036】
本体部200には、便座部400および蓋部500が便座便蓋回動機構(図示せず)を介して電動で開閉可能に取り付けられている。また、本体部200には、ノズル部800と、図示しない洗浄水供給機構と、乾燥ユニット等が内蔵される。
【0037】
便座装置110は上記衛生洗浄装置100からノズル部800、線浄水供給機構、乾燥ユニットの機能を除いた構成である。
【0038】
図1では、本体部200の正面上部に設けられる着座センサ900が示されている。この着座センサ900は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ900は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部400上に使用者が存在することを検知する。
【0039】
また、洗浄水供給機構は、ノズル部800に接続されている。これにより、洗浄水供給
機構は、水道配管から供給される洗浄水をノズル部800に供給する。それにより、ノズル部800から使用者の局部に洗浄水が噴出される。
【0040】
遠隔操作装置300には、複数のスイッチが設けられている。遠隔操作装置300は、例えば便座部400上に着座する使用者が操作可能な場所に取り付けられる。
【0041】
人体検知装置600は、トイレットルームの入口等に取り付けられる。人体検知装置600の検知センサは、赤外線を検知する焦電センサであり、人体からの赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
【0042】
本体部200の制御部は、遠隔操作装置300、人体検知装置600および着座センサ610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の各部の動作を制御する。
【0043】
<2>衛生洗浄装置の動作、作用
以上のように構成された衛生洗浄装置は次のように動作する。
【0044】
非使用時において、冬季等の室温が低い場合は、便座部400が例えば約18℃となるように制御部により温度調整される。このときの温度を待機温度と称する。当然ながら夏季等で室温が高い場合には便座部400への通電は行わない。
【0045】
ここで、使用者が遠隔操作装置300の便座温度調整スイッチを操作することにより、便座設定温度が制御部に送信される。制御部は遠隔操作装置300から受信した便座設定温度を制御部の記憶部に記憶する。
【0046】
使用者がトイレットルームに入室すると、人体検知装置600が使用者の入室を検知する。それにより、使用者の入室検知信号が制御部90に送信される。
【0047】
人体検知装置600からの入室検知信号により使用者のトイレットルームへの入室を検知すると、制御部90は便座便蓋回動機構を駆動して便座部400と蓋部500を開放するとともに、便座部400の測定温度値および記憶部に記憶された便座設定温度に基づいて便座部400の便座ヒータの駆動を開始し、便座部400の温度が便座設定温度へと瞬時に上昇され、快適な温度の便座部400へ使用者が着座することが可能となる。
【0048】
使用者が用便終了後は、遠隔操作装置300を操作することにより、ノズル部800から洗浄水を噴出させ局部を洗浄し、また乾燥ユニットを駆動して洗浄後の局部の乾燥を任意に行うことができる。
【0049】
使用者がトイレットルームから退室すると、人体検知装置600の検知が終了し、検知信号が制御部90に送信されると、制御部90は便座部を待機温度に維持するとともに、便座便蓋回動機構を駆動して便座部400と蓋部500を閉成する。
【0050】
<3>便座装置
(3−a)便座装置の構成
図2は、便座装置110の構成を示す模式図である。上述のように、便座装置110は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400、蓋部500および入室検知センサ600を備える。 図2に示すように、本体部200は、制御部90、温度測定部401、ヒータ駆動部402、便座温調ランプRA1および着座センサ610を含む。
【0051】
また、便座部400は便座ヒータ450および温度検知センサであるサーミスタ401aを備える。
【0052】
制御部90は、例えばマイクロコンピュータからなり、使用者の入室および便座部400の温度等を判定する判定部、タイマ機能を有する計時部、種々の情報を記憶する記憶部、ならびに、ヒータ駆動部402の動作を制御するための通電率切替回路等を含む。
【0053】
本体部200の温度測定部401は、便座部400のサーミスタ401aに接続されている。これにより、温度測定部401は、サーミスタ401aから出力される信号に基づいて便座部400の温度を測定する。以下、サーミスタ401aを通じて温度測定部401により測定される便座部400の温度を測定温度値と称する。
【0054】
また、本体部200のヒータ駆動部402は、便座部400の便座ヒータ450に接続されている。これにより、ヒータ駆動部402は便座ヒータ450を駆動する。
【0055】
本実施形態において、便座装置110は次のように動作する。初期設定時では、制御部90がヒータ駆動部402を制御することにより、便座部400が例えば約18℃となるように温度調整される。このときの温度を待機温度と称する。
【0056】
ここで、使用者が遠隔操作装置300の便座温度調整スイッチ333を操作することにより、便座設定温度が制御部90に送信される。制御部90は、遠隔操作装置300から受信した便座設定温度を記憶部に記憶する。
【0057】
使用者がトイレットルームに入室すると、入室検知センサ600が使用者の入室を検知する。それにより、使用者の入室検知信号が制御部90に送信される。
【0058】
次に、通常の使用時の動作について説明する。制御部90の判定部は、入室検知センサ600からの入室検知信号により使用者のトイレットルームへの入室を検知する。そこで、判定部は、便座部400の測定温度値、および記憶部に記憶された便座設定温度に基づいて便座ヒータ450の駆動に関する特定のヒータ制御パターンを選択する。
【0059】
通電率切替回路は、選択されたヒータ制御パターンおよび計時部により得られる時間情報に基づいてヒータ駆動部402の動作を制御する。
【0060】
それにより、ヒータ駆動部402により便座ヒータ450が駆動され、便座部400の温度が便座設定温度へと瞬時に上昇される。
【0061】
(3−b)便座部の構造
図3は、便座部400の分解斜視図である。図4(a)は、便座部400の便座ヒータ450の平面図、図4(b)は、図4(a)の領域C72の拡大図である。図5は、便座部400の平面図である。図6は、図5の便座部400のC73−C73断面図である。図7は、図6のD部の詳細断面図である。
【0062】
図3に示すように、便座部400は、主としてアルミニウムにより形成された略楕円形状の上部便座ケーシング410、略馬蹄形状の便座ヒータ450および合成樹脂により形成された略楕円形状の下部便座ケーシング420を備える。
【0063】
図7に示すように上部便座ケーシング410は、アルミニウム板413により形成される。アルミニウム板413の上面にはアルマイト層412および表面化粧層411が形成される。表面化粧層411の上面が着座面410Uとなる。また、アルミニウム板413の下面には、塗装膜414が形成される。塗装膜414は、例えば膜厚40μmおよび150℃の耐熱性を有するポリエステル粉体塗装膜で形成し、高い絶縁性を備えている。塗
装膜414の下面に便座ヒータ450が粘着層452aを介して粘着されている。
【0064】
以下、着座した使用者から見て前方側を便座部400の前部とし、着座した使用者から見て後方側を便座部400の後部とする。
【0065】
図4(a)および図5に示すように、便座ヒータ450は、前部の一部が切り取られた略馬蹄状に形成される。なお、便座ヒータ450は、略楕円形状を有してもよい。便座ヒータ450は、例えばアルミニウムからなる第1の金属層451、第2の金属層453および線状ヒータ460を含む。
【0066】
線状ヒータ460は、シート中央部SE3からシート一方端部SE1までの領域およびシート中央部SE3からシート他方端部SE2までの領域において上部便座ケーシング410の形状に合わせて蛇行形状に配設される。
【0067】
具体的には、線状ヒータ460は、左右6列程度のU字状部を有するように形成される。これらのU字状部は、着座した使用者の大腿部の方向にほぼ沿って並行に配置される。各U字状部における線状ヒータ460の間隔は5mm程度である。
【0068】
線状ヒータ460のヒータ始端部460aおよびヒータ終端部460bは、便座部400の後部の一方側から引き出されるリード線470にそれぞれ接続される。
【0069】
さらに、図4(b)に示すように、蛇行形状の線状ヒータ460の経路中に熱応力緩衝部となる複数の折曲部CUが設けられる。
【0070】
図6に示すように、上部便座ケーシング410の外側の側辺に沿った領域G1における線状ヒータ460の間隔ds1および内側の側辺に沿った領域G3における線状ヒータ460の間隔ds3は、上部便座ケーシング410の中央部の領域G2における線状ヒータ460の間隔ds2よりも小さく設定される。それにより、上部便座ケーシング410の外側の側辺に沿った領域G1および内側の側辺に沿った領域G3では、中央部の領域G2に比べて線状ヒータ460が密に配列される。また、温度検知センサであるサーミスタ401aは線状ヒータ460が密に配列されている部分に設置されている。
【0071】
線状ヒータ460を屈曲蛇行させて配置することで、限られた便座部400の着座面410Uの裏面のスペースを有効活用しつつ、この裏面における線状ヒータ460の接地面積を十分に確保できる。これにより、迅速な便座部400の暖房と精密な温度管理がより確実にできるようになる。
【0072】
また、これにより、温度検知センサ(サーミスタ401a)は線状ヒータ460の発熱による第1金属層451の温度上昇および第2金属層453の温度上昇うちの少なくとも一方の温度上昇をより敏感に検知することが可能となり、温度検知のタイムラグをより減少することができる。
【0073】
更に、この場合、便座部400の着座面410Uの裏面のうち、使用者の肌にふれて放熱量が多くなる部分に線状ヒータ460を蜜に配設することができる。そのため、使用者が着座した場合であっても便座部400の着座面410Uの温度を設定温度に十分に保つことができるようになる。
【0074】
更に、この場合、温度検知センサ(サーミスタ401a)が便座400の着座面410Uの裏面のうち、線状ヒータ460が配設されている間隔の狭い部分に、線状ヒータ460に接触しないように設置されている。すなわち、線状ヒータ460が粗に配置されてい
る領域よりも線状ヒータ460が密に配置されている領域に温度検知センサ(サーミスタ401a)が配置されている。そのため、線状ヒータ460の過剰加熱が起きる兆候を当該過剰加熱が起こる可能性が高い領域(線状ヒータ460が密に配置されている領域)の近くで早期に察知できる。故に、線状ヒータ460の過剰加熱によるオーバーシュートの発生をより確実に未然に防ぐことができる。
【0075】
図7に示すように、第1の金属層451と粘着層452bとの間に第2の耐熱絶縁層455が形成される。また、粘着層452bと第2の金属層453との間に第1の耐熱絶縁層456が形成される。第2の耐熱絶縁層455は、例えば150℃の耐熱性を有する膜厚12〜25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)からなる。同様に、第1の耐熱絶縁層456は、例えば150℃の耐熱性を有する膜厚12〜25μmのPETからなる。
【0076】
線状ヒータ460とサーミスタ401aは、第1の金属層451と第1の耐熱絶縁層456との間に一緒に配置されている。
【0077】
そのため、サーミスタ401aは、線状ヒータ460の熱と便座部400の着座面410Uの温度を敏感に検知することができる。また、線状ヒータ460とサーミスタ401aは、第1の金属層451と第1の耐熱絶縁層456とで挟持されることで密封状態となり十分な防水性を確保しそれを維持することができるようになる。
【0078】
より詳しくは、本実施形態においては、線状ヒータ460とサーミスタ401aは、互いに対向する第1の耐熱絶縁層456及び第2の耐熱絶縁層455の間に一緒に配置されている。
【0079】
更に、本実施形態においては、互いに対向する第1の金属層451及び第2の金属層453の間に上述の第1の耐熱絶縁層456及び第2の耐熱絶縁層455が配置される構成を有している。そのため、サーミスタ401aは、線状ヒータ460の熱と便座部400の着座面410Uの温度を敏感に検知することがより確実にできる。また、線状ヒータ460とサーミスタ401aは、第1の金属層451及び第2の金属層453と、第1の耐熱絶縁層456及び第2の耐熱絶縁層455とで二重に挟持されることで密封状態となりより十分な防水性を確保しそれを維持することができるようになる。
【0080】
また、線状ヒータ460とサーミスタ401aは、第2の耐熱絶縁層455と粘着層452bの間に挟み込まれて配設してあり、線状ヒータ460とサーミスタ401aとは、第1の金属層451および第2の金属層453に対して、第2の耐熱絶縁層455及び第1の耐熱絶縁層456で確実に絶縁された構成となっている。これにより、線状ヒータ460と第1の金属層451との電気的接触、線状ヒータ460と第2の金属層453との電気的接触がより確実に防止される構成となっている。
【0081】
また、第1の金属層451と第2の金属層453の端面部分については電気絶縁性と防水性に優れた材質の封止部材700によって防水シールが施してあり、たとえ便座部400の内部に水が浸入しても第1の金属層451と第2の金属層453の内部には浸水することがなく、線状ヒータ460とサーミスタ401aの絶縁性を確実に確保することができる。
【0082】
このように、サーミスタ401aを第2の耐熱絶縁層455と第1の耐熱絶縁層456と封止部材700で防水絶縁構造を確保できるので、サーミスタ401a自身での防水絶縁構造が不要になり、温度検知センサとしての応答性をよくすることができ、瞬時に温度上昇する線状ヒータ460の温度検知を的確に行うことが可能となり、便座ヒータ450
の正確な温度制御が可能となっている。
【0083】
(3−c)便座ヒータの動作
次に、便座ヒータ450の動作について説明する。便座ヒータ450のヒータ始端部460aとヒータ終端部460bとの間に一定の電圧が印加されると、内部の発熱線463aを電流が流れ、この発熱線463aが発熱する。このとき、発生した熱は、発熱線463aからエナメル層463b、絶縁被覆層462、第2の耐熱絶縁層455および金属層451、を通って上部便座ケーシング410の着座面410Uに伝導する。
【0084】
線状ヒータ460は、絶縁被覆層462が260℃程度の耐熱性を有するペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)により形成されるため、絶縁被覆層462の厚みが例えば0.1〜0.15mmと薄くても、発熱線463aの100〜150℃への急速昇温時にもエナメル層463bが破壊されることが防止される。したがって、線状ヒータ460から着座面410Uへの熱伝導を迅速に進行させることにより、着座面410Uを急速に昇温させることができる。
【0085】
この場合、線状ヒータ460への通電開始から所定の最適温度に到達するのは5〜6秒と短時間であり、例えば、使用者がトイレットルームに入室して着座面410Uに着座するまでに要する7〜8秒より短時間である。したがって、使用者がトイレットルームに入室したことを入室検知センサ600により検知されると同時に線状ヒータ460に通電を開始しても、使用者が着座するまでには着座面410Uを十分に最適温度に到達させることができる。
【0086】
さらに、図6の着座面410Uの内側の領域G3および外側の領域G1は、中央部の領域G2に比べて放熱性が高い。本実施形態では、内側の領域G3および外側の領域G1では、中央部の領域G2に比べて線状ヒータ460が密に配列される。したがって、使用者が着座面410Uに着座した瞬間に温度むらおよび冷感を感じることがない。
【0087】
一方、線状ヒータ460は、全長10m程度と長く、発熱線463aの急速昇温に伴って急速な膨張が発生し、結果として長さ方向に伸張する。また、通電が停止された場合は、発熱線463aの温度が低下し、収縮により元の長さに戻る。つまり、発熱線463aには熱膨張および熱収縮による熱応力歪が反復して形成される。
【0088】
線状ヒータ460と第1の金属層451、第2の金属層453との密着が弱く、または線状ヒータ460と着座面410Uとの間に隙間が形成された場合、熱応力歪全体がそれらのうちの最も動きやすい箇所に集中する。その結果、線状ヒータ460に比較的強い屈伸運動が発生し、その応力疲労の蓄積により発熱線463aの破断といった線状ヒータ460の破損が発生する。
【0089】
本実施形態では、線状ヒータ460に熱応力緩衝部として複数の折曲部が形成されるので、これらの折曲部が全体の熱応力歪を細かく分散させるとともに、折曲部が熱応力歪を吸収する作用をも果たす。したがって、折曲部での熱応力は極めて小さく、結果として微小な屈伸の発生に留まる。その結果、発熱線463aの破断という事態には至らず、線状ヒータ460の長寿命化および耐久性が向上する。
【0090】
なお、比較的放熱の多い着座面410Uの内側の領域G3および外側の領域G1では、中央部の領域G2に比べて線状ヒータ460の間隔を大きくし、折曲部の数を少なくてもよい。
【0091】
上記のように、線状ヒータ460の全長はほぼ10mと長く、かつ線状ヒータ460に
は折曲部が形成される。そのため、着座面410Uへの線状ヒータ460の装着時に、これらの線状ヒータ460の配列を維持および固定化する必要がある。線状ヒータ460を第1の金属層451,第2の金属層453で挟持した状態で線状ヒータ460を金属層451,453に密着させることによりユニット化された便座ヒータ450が構成される。したがって、線状ヒータ460の配列を強固に維持した状態で線状ヒータ460を着座面410Uに接着することができる。
【0092】
また、第1の金属層451,第2の金属層453により線状ヒータ460が挟持されるように構成されるので、第1の金属層451,第2の金属層453により均等に熱分散が行われる。それにより、線状ヒータ460が高温化することを防止することができる。また、着座面410Uが均熱化されるとともに、便座ヒータ450の破損が防止される。
【0093】
(3−d)便座装置の通電シーケンス
便座ヒータ450の駆動の制御は、便座ヒータ450を駆動する電力を大きく3つに変化させることにより行う。
【0094】
例えば、便座部400を第1の温度勾配で昇温させる場合、図2のヒータ駆動部402は約1200Wの電力で便座ヒータ450を駆動する(1200W駆動)。
【0095】
前述のように、便座ヒータ450の抵抗値は0.833Ω/mであり、全長10mである。したがって、便座ヒータ450の抵抗値は8.33Ωとなる。この抵抗値を有する便座ヒータ450に交流100Vが印加されると、(100V×100V)÷8.33Ω=1200Wの電力が発生する。すなわち、便座ヒータ450に交流電源の全周期に渡って電流を流すことにより、1200Wの電力が発生する。
【0096】
また、便座部400を第1の温度勾配よりもやや緩やかな第2の温度勾配で昇温させる場合、ヒータ駆動部402は約600Wの電力で便座ヒータ450を駆動する(600W駆動)。さらに、便座部400の温度を一定に保つ場合、ヒータ駆動部402は約50Wの電力で便座ヒータ450を駆動する(低電力駆動)。なお、低電力駆動とは、1200W駆動および600W駆動に比べて十分に低い電力(例えば、0W〜50Wの範囲内の電力)により便座ヒータ450を駆動することをいう。
【0097】
1200W駆動、600W駆動および低電力駆動の切替えは、制御部90の通電率切替回路が、ヒータ駆動部402から便座ヒータ450への通電を制御することにより行われる。
【0098】
ヒータ駆動部402には図示しない電源回路から交流電流が供給されている。そこで、ヒータ駆動部402は、通電率切替回路から与えられる通電制御信号に基づいて供給された交流電流を便座ヒータ450に流す。
【0099】
図8は、便座ヒータ450の駆動例および便座部400の表面温度の変化を示す図である。
【0100】
図8においては、便座部400の表面温度と時間との関係を示すグラフと、便座ヒータ450を駆動する際の通電率と時間との関係を示すグラフとが示されている。これら2つのグラフの横軸は共通の時間軸である。
【0101】
本実施形態では、使用者が予め暖房機能をオンし、便座設定温度を高く(38℃)設定した場合を想定する。
【0102】
冬季等室温が待機温度である18℃よりも低い場合、着座面410Uの温度をサーミスタ401aで検知した温度測定部401の信号により、制御部90は、便座部400の温度を18℃となるように温度調整する。このように、制御部90は、入室検知センサ600により使用者の入室が検知されるまでの待機期間D1の間、便座部400の表面温度が18℃で一定となるように、サーミスタ401aで検知しながら便座ヒータ450の低電力駆動を行う。
【0103】
制御部90は、時刻t1で入室検知センサ600により使用者の入室が検知された場合、突入電流低減期間D2の間、600W駆動を行う。なお、この600W駆動は、突入電流を十分に低減するために行う。この場合、便座部400の表面温度はやや緩やかな第2の温度勾配で上昇される。
【0104】
その後、制御部90は、突入電流低減期間D2の経過後の時刻t2で、便座ヒータ450の1200W駆動を開始し、第1の昇温期間D3の間便座ヒータ450の1200W駆動を継続する。この場合、便座部400の表面温度は上述の第1の温度勾配で上昇される。ここで、便座部400の表面温度は急激に上昇される。便座ヒータ450の1200W駆動は、便座部400の表面温度が所定温度(例えば30℃)に達するまで行われる。もちろん、この所定温度は暖房温度として設定された温度であってもよいが、この所定温度は暖房温度にまで十分に上昇した温度でなく、それよりも低くても、使用者が着座した際に冷たいという不快感情を生じない最低限界の温度(限界温度)であればよい。この限界温度は、発明者らの実施した被験者実験により約29℃であることがわかっている。
【0105】
このように、第1の昇温期間D3においては、便座部400の表面温度が1200W駆動により迅速に所定温度まで上昇される。それにより、使用者は便座部400を冷たいと感じることなく便座部400に着座することができる。
【0106】
また、上述のように、便座部400の表面温度を急激に上昇させると、その温度変化にオーバーシュートが生じる。しかしながら、本実施形態では、便座部400の表面温度が所定温度に達したときに便座ヒータ450の1200W駆動を600W駆動に切替える。したがって、便座部400の表面温度の変化がオーバーシュートした場合でも、その表面温度は便座設定温度を超えない。その結果、使用者が着座時に便座部400を熱いと感じることが防止される。
【0107】
続いて、制御部90は、第1の昇温期間D3の経過後の時刻t3で、便座ヒータ450の600W駆動を開始し、第2の昇温期間D4の間便座ヒータ450の600W駆動を継続する。この場合、便座部400の表面温度は上述の第2の温度勾配で上昇される。
【0108】
便座ヒータ450の600W駆動は、便座部400の表面温度をサーミスタ401aで検知しながら便座設定温度(38℃)に達するまで行われる。
【0109】
第2の温度勾配は第1の温度勾配よりも緩やかである。これにより、便座部400の表面温度の変化に大きなオーバーシュートが生じることが防止されるが、便座ヒータ450は熱容量を有しており、通電を早めに切断あるいは低減する必要があり、そのタイミングを的確に把握するためには温度上昇を的確に検知する温度検知センサが最も重要な要素であり、本実施形態のサーミスタ401aはこの機能を必要十分に備えている。
【0110】
制御部90は、第2の昇温期間D4の経過後の時刻t4で、便座ヒータ450の低電力駆動を開始し、第1の維持期間D5の間は、便座部400の表面温度をサーミスタ401aで検知しながら便座ヒータ450の低電力駆動を継続する。それにより、便座部400の表面温度が便座設定温度で一定となる。
【0111】
制御部90は、時刻t5で着座センサ290により使用者の便座部400への着座が検知された場合、低電力駆動の通電率を低下させ、第1の着座期間D6の間は、便座部400の表面温度をサーミスタ401aで検知しながら便座部400の表面温度が便座設定温度を維持するように便座ヒータ450の低電力駆動を継続する。本実施形態では、第1の着座期間D6は約10分に設定される。
【0112】
また、制御部90は、第1の着座期間D6の経過後の時刻t6で、低電力駆動の通電率をさらに低下させ、第2の着座期間D7の間は、便座部400の表面温度をサーミスタ401aで検知しながら便座部400の表面温度が便座設定温度よりもやや低い温度(36℃)に低下するように便座ヒータ450の低電力駆動を継続する。本実施形態では、第2の着座期間D7は約2分に設定される。
【0113】
制御部90は、第2の着座期間D7の経過後の時刻t7で、低電力駆動の通電率をさらに低下させ、第2の維持期間D8の間便座部400の表面温度が便座設定温度よりもやや低い温度(36℃)で一定となるように便座ヒータ450の低電力駆動を継続する。以下の説明では、第2の維持期間D8において一定に維持される期間便座部400の表面温度、すなわち便座設定温度よりもやや低い温度を維持温度と称する。
【0114】
上記のように、D4〜D8の間、制御部は、着座面410Uの温度を温度検知センサであるサーミスタ401aで検知した温度測定部401の信号により、便座部400の表面温度が所定の温度となるようにヒータ駆動部402を制御する。
【0115】
このように、本実施形態では、使用者が便座部400に着座した後、制御部90が徐々に便座部400の表面温度を低下させる。それにより、使用者が低温やけどすることが防止される。
【0116】
制御部90は、時刻t8で着座センサ290により使用者が便座部400から離れたことを検知すると、停止期間D9の間便座ヒータ450の駆動を停止する。それにより、便座部400の表面温度が低下する。
【0117】
制御部90は、便座部400の表面温度が18℃に達した時刻t9で、再び便座ヒータ450の低電力駆動を開始し、便座部400の表面温度が18℃で一定となるように待機期間D10の間便座ヒータ450の低電力駆動を維持する。
【0118】
このように温度勾配が徐々に緩やかになる場合、便座部400の温度変化により生じるオーバーシュートを十分に小さくすることができる。
【0119】
本実施形態では、使用者の便座部400への着座後、便座ヒータ450の駆動に用いる電力を調整することにより便座部400の表面温度を徐々に低下させているが、便座ヒータ450の駆動は使用者の便座部400への着座時に停止してもよい。この場合においても、使用者が低温やけどすることが防止される。
【0120】
上記のように、本実施形態では、時刻t8に使用者が便座部400から離れたことが検知されることにより便座ヒータ450の駆動が停止される旨を説明したが、便座ヒータ450の駆動の停止は、使用者が便座部400から離れたことが検知された時刻t8から一定時間(例えば1分間)経過後に行われてもよい。この場合、一度使用者が便座部400から離れた後に再度便意をもよおし、再度便座部400に着座する際にも、便座部400の表面温度が低下しない。これにより、使用者は快適に便座部400に着座することができる。
【0121】
1200W駆動時、600W駆動時および低電力駆動時における便座ヒータ450への通電状態を通電率切替回路の通電制御信号とともに説明する。
【0122】
以下の説明において、通電率とは交流電流の1周期に対して便座ヒータ450に交流電流を流す時間の割合をいう。
【0123】
図9(a)は1200W駆動時に便座ヒータ450を流れる電流の波形図、図9(b)は1200W駆動時に通電率切替回路からヒータ駆動部402に与えられる通電制御信号の波形図である。
【0124】
図9(b)に示すように、1200W駆動時における通電制御信号は常に論理「1」となる。ヒータ駆動部402は通電制御信号が論理「1」のときに電源回路から供給される交流電流を便座ヒータ450に流す(図8(a)太線部)。それにより、全周期の期間に渡って交流電流が便座ヒータ450に流れる。その結果、便座ヒータ450が約1200Wの電力で駆動される。
【0125】
図10(a)は600W駆動時に便座ヒータ450を流れる電流の波形図、図8(b)は600W駆動時に通電率切替回路からヒータ駆動部402に与えられる通電制御信号の波形図である。
【0126】
図10(b)に示すように、600W駆動時における通電制御信号は、ヒータ駆動部402に供給される交流電流と同じ周期のパルスからなる。パルスのデューティー比は50%に設定される。
【0127】
ヒータ駆動部402は通電制御信号が論理「1」のときに電源回路から供給される交流電流を便座ヒータ450に流す(図10(a)太線部)。それにより、半周期の期間交流電流が便座ヒータ450に流れる。その結果、便座ヒータ450が約600Wの電力で駆動される。
【0128】
図11(a)は低電力駆動時に便座ヒータ450を流れる電流の波形図、図11(b)は低電力駆動時に通電率切替回路からヒータ駆動部402に与えられる通電制御信号の波形図である。
【0129】
図11(b)に示すように、低電力駆動時における通電制御信号は、ヒータ駆動部402に供給される交流電流と同じ周期のパルスからなる。パルスのデューティー比は50%よりも小さく(例えば数%程度)に設定される。
【0130】
ヒータ駆動部402は通電制御信号が論理「1」のときに電源回路から供給される交流電流を便座ヒータ450に流す(図11(a)太線部)。各周期においては、パルス幅に相当する期間交流電流が便座ヒータ450に流れる。その結果、便座ヒータ450が例えば約50Wの電力で駆動する。
【0131】
上記の他、便座部400の温度を低くする場合、または便座装置110の暖房機能をオフしている場合等には、通電率切替回路はヒータ駆動部402に通電制御信号を与えない(通電制御信号を論理「0」に設定する)。これにより、ヒータ駆動部402は便座ヒータ450を駆動しない。
【0132】
ここで、一般に、電子機器に供給される電流が高調波成分を有する場合、ノイズが発生する。本実施形態では、上述のように便座ヒータ450の1200W駆動または600W
駆動を行う場合には、便座ヒータ450に供給される電流がサインカーブを描くように変化するので、電流の大きさが大きくなってもノイズの発生が十分に低減される。
【0133】
また、便座ヒータ450の低電力駆動を行う場合、便座ヒータ450に供給される電流は高調波成分を有するが、電流の大きさが1200W駆動時および600W駆動時に比べて非常に小さいので、ノイズの発生が十分に低減される。
【0134】
上記のように、本実施形態では、便座ヒータ450を1200W、600Wおよび約50Wの電力で駆動するとしているが、他の大きさの電力で便座ヒータ450を駆動してもよい。
【0135】
例えば、便座ヒータ450に半周期の期間交流電流を流す場合には、交流電流を流すタイミングを2周期または3周期等所定の周期の間隔で設定する。それにより、1200W、600Wおよび約50Wとは異なる大きさの電力で、ノイズの発生を十分に防止しつつ便座ヒータ450を駆動することができる。
【0136】
なお、本実施形態では、制御部90は通電制御信号が論理「1」のときに便座ヒータ450に電流を供給し、通電制御信号が論理「0」のときに便座ヒータ450への電流の供給を停止しているが、通電制御信号が論理「1」のときに便座ヒータ450への電流の供給を停止し、通電制御信号が論理「0」のときに便座ヒータ450に電流を供給してもよい。
【0137】
なお、便座ヒータ450のオンおよびオフは時間により制御されるため、時間の計測がずれると便座部400の温度が所定値を超えたり、所定値に達しない。そこで、時間の計測がずれないように、制御部90では、2つの計測源にて便座部400のオンの時間を計測する。1つの計測源として、制御部90のプログラムの実効速度を規定する発振子により便座ヒータ450のオンの時間を計測し、もう1つの計測源して、交流電圧の周期を基準として便座ヒータ450のオンの時間を計測する。これらの計測値の少なくとも一方が規定時間を超過すると、次の通電パターンに移行する。
【0138】
特に、便座に1200W通電される時間が正確に計測されることにより過昇温が確実に防止される。これにより、さらに機器の安全性が向上する。ここでは、計測源を複数設けることにより計測の精度を向上させる方法について記載したが、便座ヒータ450がフル通電される時間を計測し、強制的にヒータへの通電を遮断もしくは制限する方法であっても、同様の効果を得ることができる。
【0139】
(3−e)便座装置に関する効果
本実施形態の便座装置110においては、線状ヒータ460の発熱線463aで発生された熱がエナメル層463bおよび絶縁被覆層462を介して上部便座ケーシング410に伝達される。それにより、着座面410Uの温度が上昇する。
【0140】
ここで、エナメル層463bは十分な電気絶縁性を有する。そのため、エナメル層463bの厚さを小さくしても、発熱線463aと上部便座ケーシング410とを十分に絶縁することができる。また、それにより、絶縁被覆層462の厚さも小さくすることができる。
【0141】
したがって、この便座装置110においては、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とを確実に絶縁しつつ、エナメル層463bおよび絶縁被覆層462の厚さを小さくすることができる。この場合、エナメル層463bおよび絶縁被覆層462の熱容量を小さくすることができるので、発熱線463aで発生された熱を効
率よく着座面410Uに伝達することが可能となる。
【0142】
また、この便座装置110においては、上部便座ケーシング410にアルミニウム板413が用いられている。したがって、発熱線463aで発生された熱をさらに効率よく着座面410Uに伝達することができる。
【0143】
以上の結果、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とを確実に絶縁しつつ、着座面410Uを迅速に昇温させることが可能となる。
【0144】
また、発熱線463aの熱を効率よく着座面410Uに伝達することができるので、発熱線463aの発熱量を抑制することができる。それにより、エナメル層463bおよび絶縁被覆層462の耐久性が向上する。その結果、便座装置110の信頼性が向上する。
【0145】
また、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とを絶縁するためのエナメル層463bおよび絶縁被覆層462の厚さを小さくすることができるので、便座装置110の軽量化が可能となる。
【0146】
また、十分な耐熱性を有するエナメル層463bで発熱線463aを被覆しているので、絶縁被覆層462として耐熱性の低い材料を用いることができる。それにより、便座装置110の製品コストを確実に低減することができる。
【0147】
また、エナメル層463bがポリエステルイミドまたはポリアミドイミドにより形成される場合、ポリエステルイミドおよびポリアミドイミドは電気絶縁性および耐熱性に優れているので、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とをより確実に絶縁しつつ、着座面410Uを迅速に昇温させることが可能となる。
【0148】
さらに、エナメル層463bの厚さおよび絶縁被覆層462の厚さの合計が0.4mm以下である場合、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とを確実に絶縁しつつ、着座面410Uをより迅速に昇温させることができる。
【0149】
特に、エナメル層463bの厚さおよび絶縁被覆層462の厚さの合計が0.2mm以下である場合、着座面410Uをさらに迅速に昇温させることができる。
【0150】
また、絶縁被覆層462がエナメル層463bより耐熱性の低い材料からなるので、便座装置110の製品コストを十分に低減できる。
【0151】
また、線状ヒータ460が上部便座ケーシング410の裏面側に設けられる第1の金属層451と第2の金属層453との間に挟まれるように設けられるので、発熱線463aで発生された熱が第1の金属層451,第2の金属層453に効率よく伝達される。また、第1の金属層451の一面が上部便座ケーシング410の裏面に貼着されかつ第2の金属層453の一面が第1の金属層451の他面に貼着されている。それにより、発熱線463aから第1の金属層451,第2の金属層453に伝達された熱を上部便座ケーシング410の裏面全体に効率よく伝達することができる。それにより、着座面410Uの全体を均一に昇温させることができる。
【0152】
特に、第1の金属層451,第2の金属層453がアルミニウムからなる場合、発熱線463aで発生された熱を上部便座ケーシング410により迅速に伝達することができる。
【0153】
さらに、上部便座ケーシング410の裏面と金属層451との間に第2の耐熱絶縁層4
55が設けられる場合、第2の耐熱絶縁層455により発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とをより確実に絶縁することができる。
【0154】
また、リード線470と線状ヒータ460との接続部475が第1の金属層451と第2の金属層453との間に設けられるので、リード線470と線状ヒータ460との接続部475における発熱が第1の金属層451,第2の金属層453に伝達される。それにより、着座面410Uをより迅速に昇温させることができる。
【0155】
また、温度検知センサであるサーミスタ401a自身での防水絶縁構造が不要になり、瞬時に温度上昇した時でもサーミスタ401aの応答性をよくすることができる。
【0156】
さらに、線状ヒータ460の間隔が狭いところにサーミスタ401aを設置しているので、サーミスタ401aは、検知精度が向上し、便座ヒータ450が温度上昇すると瞬時に温度コントロールが開始される。
【0157】
[変形態様]
以上、本発明の好適な実施形態(第1実施形態)について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0158】
本発明の便座装置は、第1実施形態と異なる以下の構成を採用することが可能であり、以下の構成を採用する場合であっても、便座の十分な温度検知精度(温度検知センサの十分な検知精度)を確保でき、便座ヒータと温度検知センサの十分な防水性も確保でき、優れた安全性と優れた耐久性得ることができる。
【0159】
第1実施形態の便座装置110と異なる便座装置の構成のそれぞれについて図7を用いて説明する。すなわち、
(1)図7において、第2の金属層453及び第2の耐熱絶縁層455がなく、第1の金属層451が便座部400の着座面410Uの裏面に近い側に配置されており、第1の耐熱絶縁層456が第1の金属層451よりも便座部400の着座面410Uの裏面から遠い側に配置されている構成であってもよい(請求項2)。
(2)図7において、第2の金属層453及び第2の耐熱絶縁層455がなく、第1の金属層451と第1の耐熱絶縁層456との位置関係が図7に記載の位置関係と逆になっており、第1の金属層451が便座部400の着座面410Uの裏面に近い側に配置されており、第1の耐熱絶縁層456が第1の金属層451よりも便座部400の着座面410Uの裏面から遠い側に配置されていてもよい(請求項9)。
【0160】
上記の(1)の構成、及び(2)の構成のいずれの構成を採用する便座装置も、温度検知センサと線状ヒータとは、第1の金属層451と第1の耐熱絶縁層456とで挟持された状態となるため、本発明の効果を得ることができる。
【0161】
更に、本発明の効果をより確実に得る観点からは、上記の(1)の構成、及び(2)の構成のいずれの場合にも、第1の金属層451に対し、温度検知センサ(サーミスタ401a)及び線状ヒータ460を介して対向配置される第2の金属層453を更に設けることが好ましい。
【0162】
この場合、第1の金属層451と第2の金属層453との間に温度検知センサ(サーミスタ401a)及び線状ヒータ460が配置されるようになる。これにより、十分な温度検知精度と十分な防水性をより確実に得ることができる。
【0163】
また、本発明の効果をより確実に得る観点からは、上記の(1)の構成、及び(2)の
構成のいずれの場合にも、第1の耐熱絶縁層456に対し、温度検知センサ(サーミスタ401a)及び線状ヒータを介して対向配置される第2の耐熱絶縁層455を更に設けることが好ましい。この場合、第1の耐熱絶縁層456と第2の耐熱絶縁層455との間に温度検知センサ(サーミスタ401a)及び線状ヒータ460が配置されるようになる。これにより、十分な温度検知精度と十分な防水性をより確実に得ることができる。
【0164】
上記(1)の構成に第2の金属層453を更に設ける構成としては、以下の(1−1)及び(1−2)の構成が好ましくあげられる。すなわち、
(1−1)図7において、第2の耐熱絶縁層455が無い構成であり、第1の耐熱絶縁層456よりも便座部400の着座面410Uの裏面から遠い側に、熱伝導性を有する第2の金属層453が更に配置されている構成(請求項3)が好ましくあげられる。
(1−2)図7において、第2の耐熱絶縁層455が無い構成であり、第2の金属層453と第1の耐熱絶縁層456との位置関係が図7に記載の位置関係と逆になっており、第1の耐熱絶縁層456よりも便座部400の着座面410Uの裏面から近い側に、熱伝導性を有する第2の金属層453が更に配置されている構成(請求項6)が好ましくあげられる。
【0165】
更に、上述の(1−1)の構成に第2の耐熱絶縁層455を更に設ける構成としては、上述の(1−1−1)第1実施形態の便座装置の構成(請求項4)以外に、以下の(1−1−2)の構成が好ましくあげられる。すなわち、
(1−1−2)図7において、第1の金属層451と第2の耐熱絶縁層455との位置関係が図7に記載の位置関係と逆になっており、第1の金属層451よりも便座部400の着座面410Uの裏面から近い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層455が更に配置されている構成(請求項5)が好ましくあげられる。
【0166】
更に、上述の(1−2)の構成に第2の耐熱絶縁層455を更に設ける構成としては、以下の構成が好ましくあげられる。すなわち、
(1−2−1)図7において、第2の金属層453と第1の耐熱絶縁層456との位置関係が図7に記載の位置関係と逆になっており、第1の金属層451よりも便座部400の着座面410Uの裏面から遠い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層455が更に配置されている構成(請求項7)が好ましくあげられる。
(1−2−2)図7において、第1の金属層451と第2の耐熱絶縁層455との位置関係が図7に記載の位置関係と逆になっており、かつ、第2の金属層453と第1の耐熱絶縁層456との位置関係が図7に記載の位置関係と逆になっており、第1の金属層451よりも便座部400の着座面410Uの裏面から近い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層455が更に配置されている構成(請求項8)が好ましくあげられる。
【0167】
また、上述の(2)の構成に第2の金属層453を更に設ける構成としては、以下の(2−1)及び(2−2)の構成が好ましくあげられる。すなわち、
(2−1)図7において、第2の耐熱絶縁層455が無く、第1の金属層451と第2の金属層453との位置関係が図7に記載の位置関係と逆になっており、かつ、第1の耐熱絶縁層456の配置位置が、図7に記載の位置関係と逆であって、温度検知センサ(サーミスタ401a)及び線状ヒータ460よりも便座部400の着座面410Uの裏面に近い側になっている構成が好ましくあげられる。ここで、第2の金属層453は、第1の耐熱絶縁層456よりも便座部400の着座面410Uの裏面から近い側に配置されている(請求項10)。
(2−2)図7において、第2の耐熱絶縁層455が無く、第1の金属層451と第2の金属層453との位置関係が図7に記載の位置関係と逆になっており、かつ、第1の耐熱絶縁層456の配置位置が、図7に記載の位置関係と逆であって、温度検知センサ(サーミスタ401a)及び線状ヒータ460よりも便座部400の着座面410Uの裏面に近
い側になっている構成が好ましくあげられる。ここで、第2の金属層453は、第1の耐熱絶縁層456よりも便座部400の着座面410Uの裏面から遠い側に配置されている(請求項11)。
【産業上の利用可能性】
【0168】
以上のように、本発明の便座装置は、温度検知センサの検知精度を向上することができるので、他の暖房器具等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明の第1実施形態における便座装置および衛生洗浄装置の外観斜視図
【図2】本発明の第1実施形態における便座装置の構成を示す模式図
【図3】便座装置の便座部の分解斜視図
【図4】(a)は便座ヒータの平面図、(b)は(a)のC72領域の詳細図
【図5】便座装置の便座部の平面図
【図6】図5のC73−C73断面図
【図7】図6のD部の詳細断面図
【図8】便座ヒータの駆動例および便座部の表面温度の変化を示すタイムチャート
【図9】(a)は1200W駆動時に便座ヒータを流れる電流の波形図、(b)は1200W駆動時に通電率切替回路からヒータ駆動部に与えられる通電制御信号の波形図
【図10】(a)は600W駆動時に便座ヒータを流れる電流の波形図、(b)は600W駆動時に通電率切替回路からヒータ駆動部に与えられる通電制御信号の波形図
【図11】(a)は低電力駆動時に便座ヒータを流れる電流の波形図、(b)は低電力駆動時に通電率切替回路からヒータ駆動部に与えられる通電制御信号の波形図
【図12】従来の便座装置の便座の要部断面図
【符号の説明】
【0170】
110 便座装置
400 便座部(便座)
401a サーミスタ(温度検知センサ)
402 ヒータ駆動部
410U 着座面
450 便座ヒータ
451 第1の金属層
453 第2の金属層
455 第2の金属層
456 第1の耐熱絶縁層
462 絶縁被覆層
463a 発熱線
463b エナメル層
700 封止部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座するための着座面を有しており、構成材料として金属を含む便座と、
前記便座の前記着座面の裏面に設置されており、前記着座面の形状に対応した形状を有するシート状の前記便座ヒータと、
を有しており、
前記便座ヒータが、
熱伝導性を有する第1の金属層と、耐熱性及び絶縁性を有する第1の耐熱絶縁層と、を少なくとも含む複数の層と、
前記第1の金属層と前記第1の耐熱絶縁層との間に配置される線状ヒータと、
前記第1の金属層と前記第1の耐熱絶縁層との間に前記線状ヒータに接触しないように配置されており、前記便座の温度を検知する温度検知センサと、
を有している、
便座装置。
【請求項2】
前記第1の金属層が前記便座の前記裏面に近い側に配置されており、
前記第1の耐熱絶縁層が第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に配置されている、請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記第1の耐熱絶縁層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に、熱伝導性を有する第2の金属層が更に配置されている、請求項2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層が更に配置されている、請求項3に記載の便座装置。
【請求項5】
前記第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から近い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層が更に配置されている、請求項3に記載の便座装置。
【請求項6】
前記第1の耐熱絶縁層よりも前記便座の前記裏面から近い側に、熱伝導性を有する第2の金属層が更に配置されている、請求項2に記載の便座装置。
【請求項7】
前記第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層が更に配置されている、請求項6に記載の便座装置。
【請求項8】
前記第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から近い側に、耐熱性及び絶縁性を有する第2の耐熱絶縁層が更に配置されている、請求項6に記載の便座装置。
【請求項9】
前記第1の金属層が前記便座の前記裏面に近い側に配置されており、
前記第1の耐熱絶縁層が第1の金属層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に配置されている、請求項1に記載の便座装置。
【請求項10】
前記第1の耐熱絶縁層よりも前記便座の前記裏面から近い側に、熱伝導性を有する第2の金属層が更に配置されている、請求項9に記載の便座装置。
【請求項11】
前記第1の耐熱絶縁層よりも前記便座の前記裏面から遠い側に、熱伝導性を有する第2の金属層が更に配置されている、請求項9に記載の便座装置。
【請求項12】
前記線状ヒータは、
発熱線と、
前記発熱線の外周面を覆うように配置されたエナメル層と、
前記エナメル層の外周面を覆うように配置された絶縁被服層と、
を有している、
請求項1〜11のうちの何れか1項に記載の便座装置。
【請求項13】
前記線状ヒータは、当該線状ヒータを挟む2つの層の略全面に屈曲蛇行しながら間隔を設けて配設されている、請求項1〜12のうちの何れか1項に記載の便座装置。
【請求項14】
前記線状ヒータの前記間隔が、当該線状ヒータが配設される前記裏面上の場所によって異なっており、
前記間隔は、前記裏面のうち放熱量の多い部分において他の部分よりも狭くなっており、
前記温度検知センサは、前記線状ヒータの前記間隔の狭い前記部分に、前記線状ヒータに接触しないように設置されている、請求項13に記載の便座装置。
【請求項15】
前記便座ヒータの端部が耐水性を有する封止部材で封止されている請求項1または2に記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図7】
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