説明

係合構造および看板

【課題】 扉体の開閉および取り外しが容易な係合構造およびこの係合構造を有する看板を提供する。
【解決手段】 箱形のケース体1と、該ケース体1の正面側に設けられた開閉自在な扉体2とを備え、該扉体2が、表示物を掲示可能な窓部3を有し、前記ケース体1内には、前記窓部3を背面側から照射する光源4が設けられており、前記ケース体1の上部正面側には、上向きに突出する受部5が形成されており、該受部5の上面が円弧状であり、前記扉体2の上端がケース体1側に湾曲して略J字形の湾曲部6が形成されており、該湾曲部6が前記受部5に係合しており、前記ケース体1の上面には外接材7がネジ止めされていて、該外接材7と前記受部5とで、前記湾曲部6が摺動可能な間隙8が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方部材と他方部材との係合構造およびこの係合構造を有する看板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、箱形のケース体と、ケース体の正面側に設けられた扉体とを備え、扉体が表示物を掲示可能な窓部を有し、ケース体内には窓部を背面側から照射する光源が設けられた看板がある(たとえば、文献1)。こうした看板において、ケース体と扉体との取り付けについては、ケース体101の上端部にネジ止めした丁番103を介して扉体102を開閉自在に取り付けるか(図7)、扉体をケース体に直接ネジ止めするのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−337525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、扉体102を丁番103によって取り付けた場合、ケース体101内部の点検作業などを行うためには、作業者が扉体102を開けた状態で支持しておくか、または支持棒104などを設ける必要があった。また、扉体102を取り外すには、扉体102に丁番103を固定するネジをすべて取り外さなくてはならず、手間がかかっていた。さらに、扉体をケース体に直接ネジ止めした場合、ケース体内部の点検作業などを行うためには、その都度すべてのネジを取り外して扉体をケース体から取り外さなくてはならず、こちらも手間がかかっていた。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、扉体の開閉および取り外しが容易な係合構造およびこの係合構造を有する看板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のうち請求項1の発明は、一方部材と他方部材との係合構造であって、一方部材に形成された円弧状の受部と、他方部材に形成された略J字形の湾曲部とを備え、該湾曲部が前記受部に係合しており、一方部材には外接材が取り付けられていて、該外接材と前記受部とで、前記湾曲部が摺動可能な間隙が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のうち請求項2の発明は、箱形のケース体と、該ケース体の正面側に設けられた開閉自在な扉体とを備え、該扉体が、表示物を掲示可能な窓部を有し、前記ケース体内には、前記窓部を背面側から照射する光源が設けられており、前記ケース体の上部正面側には、上向きに突出する受部が形成されており、該受部の上面が円弧状であり、前記扉体の上端がケース体側に湾曲して略J字形の湾曲部が形成されており、該湾曲部が前記受部に係合しており、前記ケース体の上面には外接材がネジ止めされていて、該外接材と前記受部とで、前記湾曲部が摺動可能な間隙が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうち請求項1の発明によれば、一方部材と他方部材とが連結され、かつ、湾曲部が間隙を摺動することにより、一方部材に対して他方部材が受部を中心に回転動作可能であるから、一方部材に対して他方部材を扉や蓋として使用するのに好適である。さらに、間隙を広げることで一方部材と他方部材を容易に分離することができる。
【0009】
本発明のうち請求項2の発明によれば、ケース体の受部に扉体の湾曲部が係合しており、かつ外接材と受部とで湾曲部が摺動可能な間隙が形成されているから、扉体の下端部を正面側に引けば、湾曲部が間隙を摺動して、受部を中心に扉体を回転させて開けることができる。また、ネジを緩めて間隙を広げれば、扉体を取り外すことができる。この際、ネジを取り外す必要がないから、作業を短時間で行うことが可能であり、ネジをなくすこともない。このように構成した看板においては、ブレーカの復旧など短時間で終わる作業の場合、扉体の下端部を引いて開ければ、容易にケース体内部の作業が可能であり、点検や部品交換など長時間にわたる作業の場合、ネジを緩めて扉体を取り外せば、扉体を支持しておく必要がないので作業が容易であり、また支持棒などを設ける必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の係合構造を有する看板の扉体取付部分の拡大図。
【図2】扉体を開けた状態を示す説明図。
【図3】扉体を取り外した状態を示す説明図。
【図4】図6のA−A線断面図。
【図5】図6のB−B線断面図。
【図6】看板の正面図。
【図7】従来の看板の扉体取付部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の係合構造を有する看板の具体的な構成について、各図面に基づいて説明する。この看板は、図4〜図6に示すように、ケース体1と、扉体2とを備え、ケース体1が一方部材、扉体2が他方部材に相当する。ケース体1は、箱形で正面側が開口している。扉体2は、四周枠組みした枠体21に透明なアクリル板からなる表面板31を嵌め込んで窓部3を形成しており、ケース体1の正面側の開口部に設けられている。ケース体1と扉体2の取付部分については後述する。そして、樹脂板など光を透過する素材に文字、絵や写真などを表した表示物(図示省略)が、表面板31の背面側に設けられる。
【0012】
ケース体1の底面には、白色の反射板13が設けられており、その正面側には矩形平板状の導光板14が設けられている。この導光板14は、端面から進入した光を拡散させて一様に面発光させるもので、その上下辺には、光源4としてLEDライト4a,4bが取り付けられている。LEDライト4a,4bから発せられる光は、導光板14の端面から進入して、正面および背面から発光する。その際、導光板14の背面側には反射板13が設けられているので、背面から発せられた光は反射して正面方向に向かう。なお、導光板14は、ケース体1にネジ止めする導光板押さえ材15によって、上下縁部を押さえ付けて固定されている。そして、導光板14の正面側には、乳白色のアクリル板からなる透過板16が設けられている。これは、導光板14から発せられる光を直視するとまぶしいので、それをやわらげるためのものである。透過板16は、上部に鉤形の取付金具17を有し、ケース体1に形成された逆鉤形の吊下部18に吊り下げて取り付けられている。
【0013】
次に、ケース体1と扉体2の取付部分について詳述する。図1に示すように、ケース体1の上部正面側には、正面側に延び途中で屈曲して上側に延びる略L字形の支持部51が形成され、さらに支持部51の先端には受部5が左右にわたって形成されている。ただし、受部5の左右方向長さは看板の横幅を超えない。受部5は円柱を軸を通る面で切断した形状で、軸が左右方向と一致し、側面(曲面)が上を向いている。一方、扉体2については、枠体21の上縁部がケース体1側に向かって略J字形に湾曲して、湾曲部6が形成されている。湾曲部6の内周面の曲率は、受部5の上面の曲率と略同一であり、湾曲部6が受部5に係合すると、湾曲部6の内周面と受部5の上面とが略一致する。そして、ケース体1の上面には、平板状の外接材7がネジ止めされている。外接材7は、湾曲部6の外周面の曲率と略同一の曲率の曲面からなる曲面部71を有し、受部5と曲面部71との間に間隙8を形成している。湾曲部6は間隙8に挿入される形になっており、間隙8に沿って摺動可能であるが、湾曲部6が間隙8から抜けて扉体2がケース体1から外れることはない。なお、枠体21の下縁部および左右縁部についても上縁部と同様に湾曲しているが、これは上縁部の湾曲部6と形状を共通にしたものである。また、扉体2の下部には鍵(図示省略)が設けられ、扉体2が閉じた状態で、扉体2とケース体1とをロックできる。
【0014】
上記のとおり湾曲部6が間隙8に沿って摺動可能であるから、扉体2の下端部を正面側に引けば、受部5を中心に扉体2を回転させて開けることができる(図2)。そして、外接材7を固定しているネジを緩めて間隙8を広げれば、湾曲部6を間隙8から抜いて、扉体2をケース体1から取り外すことができる(図3)。
【0015】
なお、光源には一次電源から電力が供給されるものであり、ケース体内の導光板の周囲には、端子台、内部電源、スイッチおよびブレーカといった、電力供給及び安全のための装置が設けられている(図示省略)。一次電源としては、一般の家庭用電源が用いられる。
【0016】
このように構成した看板は、壁面などに設置され、LEDライトの発光により表示物を表示する。そして、扉体の下端部を正面側に引けば、従来の丁番により取り付けた扉体と同様に開けることができる。また、ネジを緩めて間隙を広げれば、扉体を取り外すことができ、この際ネジを取り外す必要がないから、作業を短時間で行うことが可能であり、ネジをなくすこともない。よって、ブレーカの復旧など短時間で終わる作業の場合、扉体の下端部を引いて開ければ、容易にケース体内部の作業が可能であり、点検や部品交換など長時間にわたる作業の場合、ネジを緩めて扉体を取り外せば、扉体を支持しておく必要がないので作業が容易であり、また支持棒などを設ける必要もない。
【0017】
本発明は上記の実施形態に限定されない。受部、湾曲部および外接板の形状は、同様の機能を有する限り、自由に設定できる。また、看板の係合構造以外の構成は、ケース体と扉体とを有するものであれば、どのようなものであってもよい。さらに、本発明の係合構造は、看板のほか、開閉する扉や蓋を有する種々の物品に適用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 ケース体
2 扉体
3 窓部
4 光源
5 受部
6 湾曲部
7 外接材
8 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方部材と他方部材との係合構造であって、
一方部材に形成された円弧状の受部(5)と、他方部材に形成された略J字形の湾曲部(6)とを備え、該湾曲部(6)が前記受部(5)に係合しており、一方部材には外接材(7)が取り付けられていて、該外接材(7)と前記受部(5)とで、前記湾曲部(6)が摺動可能な間隙(8)が形成されていることを特徴とする係合構造。
【請求項2】
箱形のケース体(1)と、該ケース体(1)の正面側に設けられた開閉自在な扉体(2)とを備え、該扉体(2)が、表示物を掲示可能な窓部(3)を有し、前記ケース体(1)内には、前記窓部(3)を背面側から照射する光源(4)が設けられており、
前記ケース体(1)の上部正面側には、上向きに突出する受部(5)が形成されており、該受部(5)の上面が円弧状であり、前記扉体(2)の上端がケース体(1)側に湾曲して略J字形の湾曲部(6)が形成されており、該湾曲部(6)が前記受部(5)に係合しており、前記ケース体(1)の上面には外接材(7)がネジ止めされていて、該外接材(7)と前記受部(5)とで、前記湾曲部(6)が摺動可能な間隙(8)が形成されていることを特徴とする看板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−38593(P2011−38593A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186557(P2009−186557)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(592050294)株式会社カシイ (5)
【Fターム(参考)】