説明

保守点検記録管理システム

【課題】
本発明は、設備機器の保守点検記録管理において、コンピュータ操作に不慣れな作業者でも現場での保守点検結果記録を容易に可能とし、現場環境に左右されず運用可能なシステムを提供する。
【解決手段】
本発明によれば、現場作業にコンピュータを必要とせず、対象設備機器にCPU及び大容量メモリーを内蔵した通信タグを取付け、一方で携帯型の専用情報記録検索装置を準備するのみで、容易に管理、更には所定のフォーマットにて記録を文書化可能とし上記課題を解決するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象設備機器の保守点検情報を音声にて記録し、必要時にその情報を音声にて再生、その音声情報を文字化し保守点検記録として出力する作業において、
保守点検記録を対象設備機器の現場で常に記録保管し、任意時点にその記録情報の読出しを可能
とし、しかも内部に演算機能を可能とするCPU及びデータベースの構築が可能な大容量メモリーを内蔵した通信タグを該設備機器に取付け、また一方、通信タグとの情報送受信、情報受信時の通信タグ内データベースからの引き出し情報の階層指定、音声録音再生等の機能実現指示に供する操作ボタン、音声録音用マイク、音声再生用スピーカ等が装備され、更に人為操作信号を受け種々機能を実現する制御部と、管理対象である保守点検記録要件相当情報である音声情報識別コードと一体化した音声情報を記憶する音声情報メモリー部を内蔵した携帯型の情報記録検索装置を用い、保守点検対象設備機器が特定された段階で、保守点検作業者が現場での記録作成に必要な設問形式音声フレーズガイダンスを事前に記録しておき、現場ではそのガイダンスに従い作業者が保守点検結果を音声録音する。また任意時に既述情報記録検索装置により通信タグ内情報を一定手順で読出し録音時と同一音声にてその内容を再生、聴覚確認し、更に必要に応じその音声情報を持ち帰り、音声データテキスト変換手段により文字変換し所定のフォーマットにて記録文書として出力することが可能であり、現場での保守点検記録作業はコンピュータシステムの介在がなくとも実現でき、コンピュータ操作に不慣れな保守点検作業者の現場作業の迅速化、無線LAN設備の存在しない偏狭地での現場作業の容易化を可能とする管理システム実現に寄与できる保守点検記録管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
設備機器に就いては、運用年数を経るにつれ、今日までの保守点検の経緯が把握しにくくなるケースが多々観られる。その原因としては、保守点検記録管理の不備、保守点検作業者の世代交代による
情報交換、引き継ぎ不足によるものが大部分を占めており、結果として最適な保守管理が施されず、不測のトラブル発生に至るケースもある。またコンピュータを使用し現場作業する例も見受けられるが、屋外を含む様々な環境下での作業を考慮した場合、現場でのコンピュータ使用が困難なケースも存在しており、これらは設備管理者の永遠の課題となっており、適切な解決手段が見出せていないのが実情である。
【0003】
このような背景において発案されたのが本発明である。保守点検結果記録の内容に漏れがなく、つまり現場にて保守点検作業をする人物の個性、能力レベルにその記載内容が大きく左右されることなく、更にそれら記録が該設備機器の付帯情報として確実に残される必要がある。またそれら作業が様々な現場環境下でも容易に可能でなければならない。
従来システム例としてはボイスレコーダーの活用が上げられる、この場合、作業者がその都度現場
で任意のフレーズを録音し、単なる音声メモとして残すものであり、その生音声を第三者が再生確認し確実な保守点検記録として状況把握すること、更にその音声記録をそのまま文書化することも困難であり、既述課題を全面的に解決することは不可能である。更にコンピュ−タシステムによりその運用管理をおこなっている例も見受けられるが、様々な現場作業環境を想定した場合、現場でのコンピュータ使用が無理なケースもあり、最適システムとして設備機器管理者に広く導入されることは困難と見られる。
【0004】
これまでの、音声適用による情報登録再生に関しては、対象物取付け用通信タグと専用の通信装置を適用したものが知られている。
(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−350485
【0005】
上記文献例では、対象物品個々に通信タグを装着し、それらとの交信を可能とする専用装置を準備し、物品管理者が事前に対象物品毎の物品名を音声録音にて登録、その情報は該物品付加通信タグにも識別子として登録されており、任意時点に対象物品付加通信タグ情報を専用装置にて読み取れば、該物品名が音声にて再生されるものであり、特に視覚障害者用に考案されたものである。
この場合、対象物品名が音声にて登録再生はなされるが、多くの対象情報を記録管理し、任意時点の特定情報の探索用に考案されたものではなく、課題は多く完成度は低いものと評価せざるを得ない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、対象設備機器の保守点検情報を音声にて記録し、必要時にその情報を音声にて再生、その音声情報を文字化し保守点検記録として出力する作業において、
保守点検記録を対象設備機器の現場で常に記録保管し、任意時点にその記録情報の読出しを可能
とし、しかも内部に演算機能を可能とするCPU及びデータベースの構築が可能な大容量メモリーを内蔵した通信タグを該設備機器に取付け、また一方、通信タグとの情報送受信、情報受信時の通信タグ内データベースからの引き出し情報の階層指定、音声録音再生等の機能実現指示に供する操作ボタン、音声録音用マイク、音声再生用スピーカ等が装備され、更に人為操作信号を受け種々機能を実現する制御部と、管理対象である保守点検記録要件相当情報である音声情報識別コードと一体化した音声情報を記憶する音声情報メモリー部を内蔵した携帯型の情報記録検索装置を用い、保守点検対象設備機器が特定された段階で、保守点検作業者が現場での記録作成に必要な設問形式音声フレーズガイダンスを事前に記録しておき、現場ではそのガイダンスに従い作業者が保守点検結果を音声録音する。また任意時に既述情報記録検索装置により通信タグ内情報を一定手順で読出し録音時と同一音声にてその内容を再生、聴覚確認し、更に必要に応じその音声情報を持ち帰り、既述音声データテキスト変換手段により文字化し所定のフォーマットにて記録文書として出力することが可能であり、現場での保守点検記録作業はコンピュータシステムの介在がなくとも実現でき、コンピュータ操作に不慣れな保守点検作業者の現場作業の迅速化、無線LAN設備の存在しない偏狭地での現場作業を容易にする管理システム実現が可能である。つまり、内部に演算機能を可能とするCPU及びデータベースの構築が可能な大容量メモリーを内蔵した通信タグを適用することにより、情報記録検索装置側では生音声情報のみを保有し、対象設備機器自身の固有管理情報つまり保守点検記録に相当する情報は通信タグ側が保有しており、この情報の中には階層化管理に関する情報も含んでいる。具体的に説明すれば、先ず保守点検結果を記録として残す場合、その記録に盛込むべき要件を定義し、各要件の属性認識の基、後々の記録情報有効活用の観点から情報を階層化ディレクトリー構造化配置する。そして保守点検作業者が現場での記録作成に必要な設問形式音声フレーズガイダンスを事前に記録しておき、現場ではそのガイダンスに従い作業者が保守点検結果を音声録音する。また任意時に既述情報記録検索装置により通信タグ内情報を一定手順で読出し録音時と同一音声にてその内容を再生するが、この場合、情報記録が階層化されているため、管理情報が多くとも最短パス経由にて対象情報の検索確認が可能である。例えば、期日を特定して、その保守点検記録内容を一通り確認する場合、具体的には、「点検日は?」と先ず発報され順次具体的期日が発報される、「平成19年5月20日」が対象期日であるならば、その時点で情報記録検索装置を操作し期日確定する、その後は「担当者氏名は?」「特許太郎」「トラブル現象は?」「風車軸受け付近から異音発生・・・・」という具合に該期日保守点検結果として記録されている情報が情報記録検索装置を操作することにより順次発報される。このように情報検索は極めて容易であり、音声記録によるハンディは全く生じず短時間に検索確認が可能である。更にこの一連の発報情報は該設備機器の期日特定の保守点検記録として情報記録検索装置に一時保存されているため、必要時この情報一式を音声データテキスト変換手段に転送し、文字変換し所定のフォーマットにて記録文書として出力することが可能であり極めて利便性の高いシステムとなっている。尚この音声データテキスト変換手段は、既にNECにて製品化されており、「VoiceGraphy」との商品名にて販売されている。
【0007】
つまり、背景技術においては、対象物品個々に通信タグを装着し、それらとの交信を可能とする専用装置を準備し、物品管理者が事前に対象物品毎の物品名を音声録音にて登録、その情報は該物品付加通信タグにも識別子として登録されており、任意時点に対象物品付加通信タグ情報を専用装置にて読み取れば、該物品名が音声にて再生されるものであり、特に視覚障害者用に考案された物である。この場合、対象物品名が音声にて登録再生はなされるが、多くの対象情報を記録管理し、任意時点の特定情報の探索用に考案されたものではないという点が大きな課題である。本発明ではそれら課題を
解決し実用性の高い保守点検記録管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1の保守点検記録管理システムは、保守点検対象設備機器の保守点検情報を音声にて記録し、必要時に該保守点検情報を音声にて再生し、その音声を文字化し保守点検記録として出力するシステムであって、
1)保守点検対象設備機器に取付けられ、該設備機器の保守点検記録を階層化ディレクトリー構造にて管理し、個々のディレクトリー情報に相当する音声情報識別コード、該音声情報識別コードの属する階層を示すディレクトリー階層指定コード、該音声識別情報コードの属する階層内記録順位を示すディレクトリー階層内順位コード、該音声情報識別コードが属する上位階層音声情報識別コードの該階層内記録順位を示すディレクトリー階層接続コード、記録情報を検索するための担当者コード、記録日付コードを記録するデータベースを内部に有し、外部から受信したこれらのコードを前記データベースに登録し、外部からの指令信号により前記データベース情報を検索し、これらのコードを送信し得るCPU内蔵型通信タグと、
2)少なくとも前記通信タグとの送受信手段、情報受信時の通信タグ内データベースからの引き出し情報の階層を指定するディレクトリー階層移動手段、情報送信時の通信タグ内データベースへの格納情報として前記音声情報識別コード、該音声情報識別コードの属する階層を示すディレクトリー階層指定コード、該音声識別情報の属する階層内記録順位を示すディレクトリー階層内順位コード、該音声情報識別コードが属する上位階層音声情報識別コードの該階層内記録順位を示すディレクトリー階層接続コード、記録情報を検索するための担当者コード、記録日付コード送信手段、音声録音再生の機能実現指示に供する操作ボタン手段、音声録音用マイク手段、音声再生用スピーカ手段、前記操作ボタン手段の操作信号を受け作動する制御部、前記音声録音用マイク手段から入力した音声フレーズと前記音声情報識別コードを一体化した音声情報を記憶する音声情報メモリー部を備えた前記通信タグとの交信可能な携帯型の情報記録検索装置と、
3)少なくとも前記情報記録検索装置からの情報転送手段、音声フレーズを文字変換する際にその変換精度向上を支援する言語モデル部、音声フレーズを文字変換する音声文字変換部、音声をモニターしながら変換後の音声フレーズの確認及び所定フォーマットに各音声フレーズをアサインし編集作業を行う編集部、編集した所定フォーマットを保守点検記録として印字する印字出力部を備えた音声データテキスト変換手段と、
を備え、保守点検作業者が設備機器保守点検記録の構成要件相当のディレクトリー数だけ音声フレーズ化し、前記情報記録検索装置により保守点検の際に音声情報として録音し、更にコード化し、該通信タグにコードを記録し、任意時に情報記録検索装置により該通信タグからコードを読出し順次音声変換し、聴覚確認が可能であり、更に必要に応じその音声情報を文字化し所定のフォーマットにて記録文書として出力することが可能である。保守点検現場は様々な環境が想定され、例えば偏狭地に設置された風力発電設備、市街地でも屋外作業が主体となる地下埋設の水道、ガス、電力/通信線配管管理等コンピュータの使用が不可能な状況も予測される、そのような場合でも、音声記録手段であるため周囲騒音以外障害はなく、殆どの作業現場での適用が可能である。また保守点検作業者が現場での記録作成に必要な設問形式音声フレーズガイダンスを事前に記録しておき、現場ではそのガイダンスに従い作業者が保守点検結果を音声録音する。この事前記録フレーズは作業記録としての個人差をなくし要件を確実に満たすため、更に所定の順序により記録作業を行わせるためのガイダンスであり、保守点検対象が特定された初期段階に記録しておくものである。本システムは現場の設備機器取り付け通信タグに保守点検記録のコード情報を総て記録しておき、そのコード情報を音声に置き換えるために携帯型の情報記録検索装置が必要になる。この場合、通信タグ内の階層化ディレクトリー構造は設備機器毎にユニークなものとなるが、情報検索記録装置は、音声情報の双方向変換機能しか有していないため、対象とする設備機器が変わっても全く問題なく兼用可能である。その場合、情報記録検索装置内の音声情報メモリー部の記憶容量が問題となるが、着脱式のメモリーとし、対象設備機器毎に差換え使用することも運用上考慮すべきである。つまり本システムは、設備機器に密着した現場にて半恒久的にその保守点検記録の保管を確実に可能とし、コンピュータ操作に不慣れな保守点検作業者の現場記録作業の迅速化、無線LAN設備の存在しない偏狭地での現場記録作業の容易化を可能とすることを特徴とする。
【0009】
次に本発明の請求項2の保守点検記録管理システムは、請求項1の保守点検記録管理システムにおいて、情報記録検索装置は、前記操作ボタン手段により、順次発報される事前記録設問形式音声フレーズガイダンスに従い、保守点検結果を音声にて記録し得ることを特徴とする。保守点検作業者が現場で記録作業を行う際、保守点検記録要件を保守点検作業者が自ら現場でその都度思考しなくとも、作業者自らの操作により順次発報される事前記録設問形式音声フレーズガイダンスに従い、当日の保守点検結果を自らの音声にて記録できるのである。
【0010】
次に本発明の請求項3の保守点検記録管理システムは、請求項1の保守点検記録管理システムにおいて、情報記録検索装置が、音声による保守点検記録を所定の印字フォーマットに対応した情報配列とし、該情報配列を前記音声データテキスト変換手段に転送し、音声データテキスト変換手段が、音声情報を文字化し、編集し、印字出力し得ることを特徴とする。現場での音声による保守点検記録を情報記録検索装置内で所定の印字フォーマットを意識した情報配列とし、その情報を音声データテキスト変換手段に転送、音声情報を文字化、編集、印字出力することにより記録の文書化が容易に可能となるのである。
【0011】
上述の如く、本発明の保守点検記録管理システムは、対象設備機器の保守点検情報を音声にて記録
し、必要時にその情報を音声にて再生、その音声情報を文字化し保守点検記録として出力する作業において、保守点検記録を対象設備機器の現場で常に記録保管し、任意時点にその記録情報の読出しを可能とし、しかも内部に演算機能を可能とするCPU及びデータベースの構築が可能な大容量メモリーを内蔵した通信タグを該設備機器に取付け、また一方、通信タグとの情報送受信、情報受信時の通信タグ内データベースからの引き出し情報の階層指定、音声録音再生等の機能実現指示に供する操作ボタン、音声録音用マイク、音声再生用スピーカ等が装備され、更に人為操作信号を受け種々機能を実現する制御部と、管理対象である保守点検記録要件相当情報である音声情報識別コードと一体化した音声情報を記憶する音声情報メモリー部を内蔵した小型軽量な可搬型の情報記録検索装置を用い、保守点検対象設備機器が特定された段階で、保守点検作業者が現場での記録作成に必要な設問形式音声フレーズガイダンスを事前に記録しておき、現場ではそのガイダンスに従い作業者が保守点検結果を音声録音する。また任意時に既述情報記録検索装置により通信タグ内情報を一定手順で読出し録音時と同一音声にてその内容を再生、聴覚確認し、更に必要に応じその音声情報を持ち帰り、既述音声データテキスト変換手段により文字変換し所定のフォーマットにて記録文書として出力することが可能であり、現場での保守点検記録作業はコンピュータシステムの介在がなくとも実現でき、コンピュータ操作に不慣れな保守点検作業者の現場作業の迅速化、無線LAN設備の存在しない偏狭地での現場作業の容易化を可能とし、極めて実効性の高い保守点検記録管理機能を有することを特徴とする。
【0012】
従って、本発明によれば保守点検記録作成の現場作業の迅速、容易化を確実に可能とし、記録管理用コンピュータシステムを必要とせず、現場環境に左右されず運用が可能である。対象設備機器にCPU及び大容量メモリーを内蔵した通信タグを取付け、一方で形態型の専用装置を準備するのみで、簡単に記録管理が可能となる。更に記録はすべて音声にてなされるため、コンピュータに不慣れな作業者でも容易に馴染め、また記録の文書化も市販の手段とリンクさせることにより容易に可能であり、現場作業を含めた従来の記録管理における課題解決に貢献するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、設備機器の保守点検記録管理において従来コンピュータシステムの支援がなければ限界が見られた管理機能を大幅に前進させるものであり、人的手間の削減のみならず管理に関する設備投資額を削減可能とし、保守点検記録管理の確実化に貢献するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、添付図面を参照して、この発明に関わる保守点検記録管理システムの実施の形態を詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、図示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
先ず、図1を基に保守点検記録管理システム運用イメージに就き説明する。
図は、現場において携帯型の情報記録検索装置を携えた保守点検作業員101が点検対象内部設置
構造物102に取付けられた通信タグ103と交信しつつ記録作業を行っている様子を比喩的に示したものであり、実際の運用方法を限定するものではない。
【0016】
次に、図2を基にシステム構成に就き説明する。
図は、本システムの構成要素である情報記録検索装置201と通信タグ103及び音声データテキスト変換手段231の内部構成を示している。情報管理分担としては情報記録検索装置201では、音声情報メモリー部208にて作業者もしくは作業管理者の生音声が総て録音されている、一方通信タグ103では、情報コードデータベース部226にて既述音声にリンクした音声情報識別コードのみが記憶されており、記録再生時は、通信タグ内記憶音声識別コードを読み出しそれを鍵として該生音声を引き出し再生する。音声情報識別コード生成アサイン部212は、既述の如く生音声の登録、再生時のキーとなり、常に生音声情報とリンクして使用される情報コードを生成、該音声情報に付加する機能を有する。ディレクトリー階層指定コード生成部213で生成したコード情報は、通信タグ内でのデータベース構築時に該音声情報識別コードが、どの階層に位置すべきであるかを定義するものである。ディレクトリー階層間接続コード生成部214で生成したコード情報は、通信タグ内でのデータベース構築時に該音声情報識別コードが上位階層内のどのコードに従属するかを定義するものである。ディレクトリー階層内順位コード生成部215は、階層内記録フレーズがディレクトリーとして階層内で何番目に記録されているかを示すものである。通信タグ内データベース情報記録検索司令部216は、通信タグとの通信をはじめとして諸々の制御の中枢機能部分である。音声情報記録検索機能部217は、記録検索の際の音声情報メモリー部208との情報やりとりの仲介機能を有している。保守点検記録印字用メモリー部218は、記録情報を文字化印字する場合に、該記録内容を一旦総て音声にて発報確認し、その後一連の情報を音声データテキスト変換手段に転送する。その場合、音声発報の順に従い該音声識別コードをプッシュダウン形式にて順次一時記憶するためのものである。情報解読機能部224は、受信した情報に付加されているコード情報を解読し、次工程に指示を与える機能を有している。情報コード記録検索制御部225は、情報コードデータベース部226へのコード情報記録、検索制御する機能を有する。
音声データテキスト変換手段231は、音声記録を文書化する一連の機能を有している。言語モデル部233は、音声文字変換232にて音声を文字化する際、その支援を行う機能を有しており、例えば保守点検対象機器に関わる技術用語及び人為作成済み記録等の文書を登録しておき、音声文字変換時、参考情報とすることにより音声文字変換の精度向上を図るものである。編集部234は、変換結果の部分的修正等を音声モニターしながら可能とする機能を有している。
【0017】
次に、図3を基に保守点検記録管理システム情報管理階層化ディレクトリーイメージに就き説明する。
図は、保守点検記録管理の一例として風力発電設備を例として、その記録要件管理体系をイメージとして示している。図示例は4階層の場合であるが、階層数は運用の都合に合わせ自由に設定可能である。
【0018】
次に、図4を基に情報記録処理フローに就き説明する。
図は、情報記録検索装置から通信タグへの音声フレーズの記録処理を示している。S403にて情報記録検索装置表面ボタン操作信号を受信して処理が開始される。S405は音声情報メモリー部への登録ステージであり、音声識別情報コードと生音声情報を一体として記憶させている。一方S406では通信タグ内部でデータベースを構築するのに必要なコード情報のみ送信している。S407までの処理で該階層の音声フレーズ記録が一応完了した場合、S409以降で記録済みの該階層生音声情報を再度順次聴取して行き、操作者が従属階層に音声フレーズを記録したいと考えている親となる該階層音声フレーズが探索できた時点、これがS413のYesのポイントとなり、以降は該階層フレーズに従属する下位従属階層フレーズに関する記録処理がなされ、更に下位階層への記録作業が同様に続けられる。
【0019】
次に、図5を基に情報記録処理フローに就き説明する。
図は、情報記録の際の、通信タグ内部の処理を示している。
受信した情報コードをS505にて解読し、データベースの所定エリアにS506にて格納している。
【0020】
次に、図6を基に情報検索処理フローに就き説明する。
図は、情報記録検索装置により点検日を指定した既記録情報を検索する例を示している。
この場合、日付指定すると、該日付の記録情報一式が検索可能となる。即ちその情報一式を文字化し所定フォーマット文書として出力すれば、該日付の記録書となる。S608までは順次記録されている日付が音声発報される、その発報内容を順次聴取確認して行き、目的とする日付に合致すれば、日付を特定し、S609に進む、ここで、鍵情報として該日付コードを記憶しておく。その後は情報記録検索装置のボタン操作により、既述鍵コードと共に情報検索指令を通信タグに送信し、該音声情報識別コードを受信、それを音声発報させ確認する。このボタン操作を繰返す毎に情報受信がなされる。そして総て受信すれば処理は終了となる。この処理中のS611及びS615にて通信タグから受信した音声情報識別コードを保守点検記録印字用メモリー部に転送している。これは、記録情報を既述の如く文書化するために必要な手順である。
【0021】
次に、図7を基に情報検索処理フローに就き説明する。
図は、情報記録検索装置による任意ディレクトリーの検索処理を示している。
この場合、上位階層から下位階層、更に下位階層、そして上位階層に戻る等、任意のパスで検索行為が可能である。S703にて情報記録検索装置表面ボタン操作信号を受信して処理が開始される。先ず最上位階層に記録されている音声フレーズを順次聴取して行き、操作者の検索対象とするフレーズが聴取できた時点、これがS706のYesのポイントとなり、以下更に該フレーズに下位従属する階層の音声フレーズの確認を行う。その結果、S713のYesのポイントが該階層記録フレーズ確認が完了したポイントに相当する。その後操作者はボタン操作により、更に該フレーズに従属するフレーズの聴取確認が可能となり、場合によってはボタン操作により上位階層に復帰、検索しフレーズの聴取確認も可能である。
【0022】
次に、図8を基に情報検索処理フローに就き説明する。
図は、情報記録検索装置により点検日を指定した場合の通信タグ内部処理例を示している。
この場合、情報記録検索装置から受信した鍵コード即ち、日付コードをベースにデータベース内の情報を読出し情報記録検索装置に送信する。即ちデータベースに記録されている情報の内、該日付コードが付加されている音声情報識別コードを検索し例えば、上位階層から下位階層へ、従属下位階層フレーズが存在しない場合は、同一階層内の次順位フレーズへと順次情報読出を行う。そのためにデータベース内情報読出しポイントを指定する階層ポインター(N)、階層内順位ポインター(n)の内容をプリセット操作し、読出し順序を制御している。この場合は4階層の例にて示している。
【0023】
次に、図9を基に情報検索処理フローに就き説明する。
図は、情報記録検索装置により任意ディレクトリー検索時の通信タグ内部処理を示している。
この場合、情報記録検索装置からの鍵コードの受信は無く、情報検索装置のボタン操作毎に階層移動、階層内フレーズ検索がなされる、従って、階層移動は、階層ポインター(N)階層内移動は階層内順位ポインター(n)の値を操作することにより送信対象音声情報識別コードの検索を行い、送信している。この場合は4階層の例にて示している。
【0024】
次に、図10を基に情報記録検索装置から通信タグに送信される情報フォーマットに就き説明する。
図はデータベース内にて記録管理される情報を示している。(1)(2)は鍵情報として活用するためのコードであり、(3)(4)(5)は階層化データベースを構築するための情報コードであり、(6)がデータベース内管理主体であるコードである。
【0025】
次に、図11を基に通信タグ内構築データベースメモリーマップイメージに就き説明する。
図は、データベースにて管理されているイメージを示しているが、(3)枠記載番号は階層を、(4)枠記載番号は階層内順位を示している。図中右の破線内生音声情報はデータベースには存在せず、各音声に合致するコード番号が(6)枠記載のものとなる。
【0026】
次に、図12を基に情報記録検索装置内音声情報メモリーマップイメージに就き説明する。
図は、音声情報メモリー部にて管理されているイメージを示しているが、音声情報識別コード及びそれにリンクした生音声情報が記録されている。図中に示される音声情報識別コード番号は、理解し易いよう図11記載の番号に一致させている。
【0027】
次に、図13を基に保守点検記録文字出力例に就き説明する。
図はあくまでも1例であり、任意フォーマットの作成が可能である。つまり枠内の番号(1)から(16)までのフレーズが総て記録要件であり、情報記録検索装置により日付特定にて、該記録情報を順次音声発報させた場合、この(1)から(16)までが順次読み出される。その読出し情報16個を総て一時記憶させ、その情報一式を音声データテキスト変換手段に転送し、処理することにより図に示すような文書が出力される。
【0028】
次に、図14を基に保守点検記録印字用メモリー部内音声情報識別コードマップ及び文字化イメージに就き説明する。
図示の如きメモリースタックが複数個存在する。このメモリースタックは上方からプッシュダウンして情報を書込み、順次記憶させている。この(1)〜(16)までが図13の同一番号フレーズに対応しており、(1)から順に読出し、文字変換処理を行い、図13のフォーマットに埋め込んでいる。
【0029】
次に、図15を基に音声発報手順に就き説明する。
図は、情報記録検索装置により点検日を指定した場合の情報検索による音声発報順序例を示している。
これは図14のメモリースタックに情報を記憶させていく順序に相当する音声フレーズの発報順序を示しており、図中の(1)〜(16)までの番号は図13、図14記載の番号に一致させている。
【0030】
さて、これまで本発明の実施の形態に就いて説明したが、本発明は既述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々異なる実施の形態に実施されてもよいものである。
【0031】
実施例において説明した各処理の内、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を人為作業にて行うことも可能である。またあるいは人為的に行うものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、既述文章中で示した処理手順、具体的名称に就いては、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また図示した各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、保守点検記録管理に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】保守点検記録管理システム運用イメージ
【図2】システム構成
【図3】保守点検記録管理システム情報階層化ディレクトリーイメージ
【図4】情報記録処理フロー(情報記録検索装置から通信タグへの音声フレーズの記録)
【図5】情報記録処理フロー(通信タグ内部)
【図6】情報検索処理フロー(情報記録検索装置より「点検日を指定」した既記録情報検索例)
【図7】情報検索処理フロー(情報記録検索装置による任意ディレクトリーの検索)
【図8】情報検索処理フロー(情報記録検索装置により「点検日を指定」した場合の通信タグ内部処理)
【図9】情報検索処理フロー(情報記録検索装置による任意ディレクトリー検索時の通信タグ内部処理)
【図10】情報記録検索装置から通信タグに送信される情報フォーマット
【図11】通信タグ内構築データベースメモリーマップイメージ
【図12】情報記録検索装置内音声情報メモリーマップイメージ
【図13】保守点検記録文字出力例
【図14】保守点検記録印字用メモリー部内音声情報識別コードマップ及び文字化イメージ
【図15】音声発報手順(情報記録検索装置により「点検日を指定」した場合の例)
【符号の説明】
【0034】
101 情報記録検索装置を携えた保守点検作業員
102 点検対象内部設置構造物
103 通信タグ
201 情報記録検索装置
203 アンテナ部
204 信号送受信部
205 音声入力部
206 手動操作部
207 電源部
208 音声情報メモリー部
209 音声再生部
210 スピーカ部
211 制御部
212 音声情報識別コード生成アサイン部
213 ディレクトリー階層指定コード生成部
214 ディレクトリー階層間接続コード生成部
215 ディレクトリー階層内順位コード生成部
216 通信タグ内データベース情報記録検索指令部
217 音声情報記録検索機能部
218 保守点検記録印字用メモリー部
221 アンテナ部
222 信号送受信部
223 電源部
224 情報解読機能部
225 情報コード記録検索制御部
226 情報コードデータベース部
231 音声データテキスト変換手段
232 音声文字変換部
233 言語モデル部
234 編集部
235 印字出力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守点検対象設備機器の保守点検情報を音声にて記録し、必要時に該保守点検情報を音声にて再生し、その音声を文字化し保守点検記録として出力するシステムであって、
1)前記保守点検対象設備機器に取付けられ、該設備機器の保守点検記録を階層化ディレクトリー構造にて管理し、個々のディレクトリー情報に相当する音声情報識別コード、該音声情報識別コードの属する階層を示すディレクトリー階層指定コード、該音声識別情報コードの属する階層内記録順位を示すディレクトリー階層内順位コード、該音声情報識別コードが属する上位階層音声情報識別コードの該階層内記録順位を示すディレクトリー階層接続コード、記録情報を検索するための担当者コード、記録日付コードを記録するデータベースを内部に有し、外部から受信したこれらのコードを前記データベースに登録し、外部からの指令信号により前記データベースを検索しコードを送信し得るCPU内蔵型通信タグと、
2)前記通信タグとの送受信手段、情報受信時の通信タグ内データベースからの引き出し情報の階層を指定するディレクトリー階層移動手段、前記音声情報識別コード、前記ディレクトリー階層指定コード、前記ディレクトリー階層内順位コード、前記ディレクトリー階層接続コード、前記担当者コード、前記記録日付コードの送信手段、音声録音再生の機能実現指示に供する操作ボタン手段、音声録音用マイク手段、音声再生用スピーカ手段、前記操作ボタン手段の操作信号を受け作動する制御部、前記音声録音用マイク手段から入力した音声フレーズと前記音声情報識別コードを一体化した音声情報を記憶する音声情報メモリー部を備えた携帯型の情報記録検索装置と、
3)前記情報記録検索装置からの情報転送手段、音声フレーズの文字変換精度向上を支援する言語モデル部、音声フレーズを文字変換する音声文字変換部、音声をモニターしながら変換後の音声フレーズの確認及び所定フォーマットに音声フレーズをアサインし編集作業を行う編集部、編集した所定フォーマットを保守点検記録として印字する印字出力部を備えた音声データテキスト変換手段と、
を備え、
保守点検作業者が設備機器保守点検記録の構成要件相当のディレクトリー数だけ音声フレーズ化し、前記情報記録検索装置により前記音声情報として録音しコード化し、前記通信タグにコードを記録し、任意時に前記情報記録検索装置により前記通信タグからコードを読出し順次音声変換し、更に必要に応じその前記音声情報を文字化し所定フォーマットにて記録文書として出力し得ることを特徴とする保守点検記録管理システム。
【請求項2】
前記情報記録検索装置は、前記操作ボタン手段により、順次発報される事前記録設問形式音声フレーズガイダンスに従い、保守点検結果を音声にて記録し得ることを特徴とする請求項1に記載の保守点検記録管理システム。
【請求項3】
前記情報記録検索装置が、音声による保守点検記録を所定の印字フォーマットに対応した情報配列とし、該情報配列を前記音声データテキスト変換手段に転送し、前記音声データテキスト変換手段が、音声情報を文字化し、編集し、印字出力し得ることを特徴とする請求項1に記載の保守点検記録管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−113397(P2010−113397A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283137(P2008−283137)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(507111494)株式会社マルチソリューション (15)
【Fターム(参考)】