説明

保持部付き便座

【課題】 幼児の年齢に伴い変化する便座へのアプローチや、姿勢保持を、便座の取付方向を変えることで一つの便座で対応できる保持部付き便座を提供する。
【解決手段】 本発明では、大便器後端部に固定する便座固定部と、前記便座固定部に可動接続された便座着座部を有し、前記便座固定部の両端から便座の略鉛直方向に突出した支持部と、支持部先端から便座着座部方向に略水平方向に突出した保持部分を有する便座に置いて、前記保持部が便座上方に位置する方向と、前記保持部が便座下方に位置する方向の、両方の取付が可能な保持部付き便座とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大便器用便座に係り、特に姿勢保持を安定させることに好適な保持部付き便座に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来の保持部付き便座は、保持部が便座前方に設置されている(例えば、特許文献1参照。)。
この構造では、低年齢の幼児が使用しているおまるのように前部保持部分を持って姿勢保持が可能である。しかしながら大便器の場合は、便器後方には給水管や洗浄レバーが配置されている為、おまるのように保持部と反対側からの便器へのアプローチができない。低年齢の幼児が便座に着座する時に、介助者が幼児を抱きかかえて便座に着座させる場合は、便座上方から着座させる為保持部が邪魔になることは無いが、年齢が上がるにつれ幼児自身で便座に着座する場合、便器前方からのアプローチは保持部が邪魔になる為、便器側方からのアプローチとなり、便器を乗り越える必要があった。この場合、便座を乗り越える際に、姿勢が不安定になるばかりか、幼児が便器に足を落として怪我をする問題があった。また、幼児が着座出来たとした場合でも、幼児の体形により足が床面に接地できないため、便器前方に設けられた保持部だけでは姿勢が安定しない問題もあった。その為、新たに前部に保持部分の無い便座に取り替えたり、足を保持できるようにステップを設ける必要があった。

【特許文献1】特開2002−159418号公報(第5頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、幼児の年齢に伴い変化する便座へのアプローチや、姿勢保持を、便座の取付方向を変えることで一つの便座で対応できる保持部付き便座を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、大便器後端部に固定する便座固定部と、前記便座固定部に可動接続された便座着座部を有し、前記便座固定部の両端から便座の略鉛直方向に突出した支持部と、支持部先端から便座着座部方向に略水平方向に突出した保持部分を有する便座に置いて、前記保持部が便座上方に位置する方向と、前記保持部が便座下方に位置する方向の、両方の取付が可能な保持部付き便座とした。これにより、便座上方に保持部が位置するように取り付けることで、保持部を持つことで姿勢を安定させることが可能となる。また、便座下方に保持部が位置するように取り付けることで、足置きとなり、便座に腰掛けた状態で床面に足が付かない場合でも、保持部に足を置くことで姿勢を安定して保持することが可能となる。
【0005】
また、請求項2記載の発明のよれば、前記便座部に、保持部とは逆側の略鉛直方向に突出した支持部と、前記支持部先端から略水平方向に突出した握り部を有する請求項1の保持部付き便座とした。これにより、便座下方に保持部が位置するように取り付けた場合、握り部は便器上方に配置され、握り部方向に向いて便座に着座した場合、保持部を足置きにして握り部を掴んで姿勢を保持することで、更に安定した姿勢保持が可能となる。
【0006】
また、請求項3記載の発明のよれば、保持部とは逆側の略鉛直方向に突出した支持部が、便座中央を中心として分割されていることを特徴とする請求項2の保持部付き便座とした。これにより、便座上方に保持部が位置するように取り付けた場合、握り部の支持部が便器後方に接続されている給水管との干渉を避けることが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、幼児の年齢に伴い変化する便座へのアプローチや、姿勢保持を、便座の取付方向を変えることで一つの便座で対応できる保持部付き便座を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施形態は、以下に記す構成からなる。
図1は、本発明の第一の実施形態を示す保持部付き便座の斜視図を、図2及び図3は保持部付き便座の斜視分解図を、図4は保持部付き便座の断面図を示す。便器100とタンク300は給水管200で接続されている。便座10は、便器100の便器本体100Aの便器上面100Dに設置されており、固定金具20のボルト部20Bを便座固定部10Bの穴10Cと便器本体100Aの穴100Bと、便座固定金具30の穴30Aに通し、便座固定金具30を便器固定面100Cに接触させ、ナット40をボルト部20Bにねじ込むことで、固定金具20の固定部20Aと便座固定金具30で便器本体100Aを挟み込んだ形で固定し、固定部分はカバー100Eにより隠蔽される。便座10は、着座部10Aと便座固定部10Bが図示しないヒンジで結合されている。便座固定部10Bには、着座部10Aが接続されている辺とは逆の辺に沿って支持部10Dが連接されており、支持部10Dの先端には略水平方向に保持部10Eが形成されている。図1〜4の設置状態は、主にタンク300に背を向けて便座10に着座する姿勢の場合を示しており、保持部10Eを便座10よりも上方に位置するようになっている。保持部10Eは、着座部10Aに使用者が着座した際に、手で握ったり肘をおく事で姿勢を保持する役目を果たす。
【0009】
ここで、保持部10Eの先端に荷重が負荷された場合、ボルト部20Bの中心位置か保持部10Eの先端までの距離Lを、便器上面100Dと便器固定面100Cの距離Hで割った値L/Hが小さいほど、モーメントの関係上便座固定部Bの取付強度が向上する。
【0010】
図5は、便座10を表裏逆にして便器100に固定した図である。この場合、保持部10Eは便座10よりも下方に位置することになる。床面まで足が届かないような小柄な使用者が、着座部10Aに着座した際に、図示しない保持部10Eの裏面は10eに足を乗せることで、姿勢を保持する役目を果たす。
【0011】
図6は、本発明の第二の実施形態を示す保持部付き便座の斜視図を示す。図6の設置状態は、図5と同様に、床面まで足が届かないような小柄な使用者が、着座部座10Aに着座した際に、図示しない保持部10Eの裏面は10eに足を乗せることで、姿勢を保持することを目的とした設置状態である。図6では、便座固定部10Bの、保持部10Eが設けられている方向とは逆方向(図6では上方向)に支持部10Fが設けられており、支持部10Fの上端には握り部10Gが略水平方向に設けられている。図6の形態では、幼児がおまるを使用するように、使用者はタンク300に向かって便座10に着座する姿勢となる。保持部10Eの裏面10eに足を乗せて姿勢を保持するだけでなく、握り部10Gを握ることにより、より安定した姿勢保持が可能となる。また、タンク300側に背を向けた状態で便座10に着座する姿勢に於いても、保持部10F及び握り部10Gは背もたれの役目を果たすことが可能である。
【0012】
図7は、本発明の第三の実施形態を示す保持部付き便座の斜視図を示す。給水管200は、便器100の後部中央に接続されることが多く、図6の構造を、保持部10Eを着座部10Aよりも上方に設置する形態をとった場合、支持部10Fが給水管200と干渉することになる。その為、支持部10Hは、給水管200の外径Dよりも大きな寸法の幅Wで2分割することで、給水管200との干渉を回避することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す保持部付き便座の斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態を示す保持部付き便座の斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態を示す保持部付き便座の斜視図である。
【図4】本発明の第一の実施形態を示す保持部付き便座の斜視図である。
【図5】本発明の第一の実施形態を示す保持部付き便座の断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態を示す保持部付き便座の斜視図である。
【図7】本発明の第三の実施形態を示す保持部付き便座の斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
100…便器
100A…便器本体
100B…穴
100C…便器固定面
100D…便器上面
100E…カバー
200…給水管
200D…外径
300…タンク
10…便座
10A…着座部
10B…便座固定部
10C…穴
10D…支持部
10E…保持部
10e…裏面
10F…保持部
10G…握り部
10H…支持部
20…固定金具
20B…ボルト部
30…便座固定金具
40…ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大便器後端部に固定する便座固定部と、前記便座固定部に可動接続された便座着座部を有し、前記便座固定部の両端から便座の略鉛直方向に突出した支持部と、支持部先端から便座着座部方向に略水平方向に突出した保持部分を有する便座に置いて、前記保持部が便座上方に位置する方向と、前記保持部が便座下方に位置する方向の、両方の取付が可能な保持部付き便座。
【請求項2】
前記便座部に、保持部とは逆側の略鉛直方向に突出した支持部と、前記支持部先端から略水平方向に突出した握り部を有する請求項1の保持部付き便座。
【請求項3】
保持部とは逆側の略鉛直方向に突出した支持部が、便座中央を中心として分割されていることを特徴とする請求項2の保持部付き便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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