保水性床材
【課題】床材表面に汚れが溜まりにくく、目詰まりしにくいため、透水性の機能を長期間維持できる保水性床材を提供すること。
【解決手段】床材表面に、足裏を支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有するものとした。
【解決手段】床材表面に、足裏を支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有するものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路、ガレージ、ベランダ、屋上等に敷設される床材に関するもので、特に、床材の内部に雨水等の水分を保持させることができる保水性床材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の保水性床材としては、例えば、ガラス粉砕粒子や陶器粉砕粒子を焼結した焼結板、素焼きタイル、素焼きレンガといった焼成板からなる多孔質材料で形成されたものがある。この保水性床材は、内径0.01mm〜0.1mmの微細な空隙を多数有しており、床材表面から雨水等の水分を吸収した後、床材の内部に存在する微細な空隙の中に水分を保持するものである。
しかしながら、この保水性床材は、床材の内部に空隙を有しているだけでなく、床材の表面にも空隙が露出しており、床材の表面に微細な凹部が上向きに多数形成されている。
そのため、床材の表面に粉塵やほこりが付着したり、履物の裏面の汚れなどが、足で踏み込まれて、微細な凹部にめり込んでしまいやすく、床材表面の美観が低下してしまう上、床材表面から水分を吸収する能力が著しく低下してしまうという問題があった。
【0003】
一方、保水性基板の表面に、部分的に非透水性塗料を塗布することにより、床材の表面に汚れが付着するのを軽減するようにした保水性床材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この保水性床材は、非透水性被膜を形成しないものに比べて、床材表面から水分を吸収する能力が低い上、透水性を有する部分が、非透水性被膜を形成した部分よりも低くなるため、透水性を有する部分に汚れが溜まりやすく、床材表面から水分を吸収する能力が一層低下してしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2003−105957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、床材表面に汚れが溜まりにくく、目詰まりしにくいため、透水性の機能を長期間維持できる保水性床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明の保水性床材は、床材表面に、足裏を支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有していることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、凹部が、深さ2mm〜5mm、ピッチ5mm〜25mmの凹溝であり、床材の縦断面形状が、波形、山形、もしくは鋸歯形であることを特徴とする。
本発明において、床材の縦断面形状を波形、山形、もしくは鋸歯形とした理由は、凹溝の内面に傾斜をつけることで、斜面部分に付着した汚れを雨水等で凹溝の底部に洗い流しやすくするためである。
本発明において、凹溝の深さを2mm〜5mmの範囲とした理由は、深さが2mm未満であると、足を強く踏み込んだときに、凹溝の内部に足裏が接触する恐れがあり、深さが5mmを超えると、凹溝による床材の体積減少が大きく、十分な保水性能が得られない恐れがあるからである。
また、本発明において、凹溝のピッチを5mm〜25mmの範囲とした理由は、ピッチが5mm未満であると、溝幅が狭すぎて、凹溝の内部がすぐに汚れで埋まってしまう恐れがあり、ピッチが25mmを超えると、足を強く踏み込んだときに、凹溝の内部に足裏が接触する恐れがあるからである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、凹溝の長さ方向の少なくとも一端が、床材の周縁で開口しているとともに、凹溝の底部が、長さ方向に1/200〜1/50の勾配で、開口端に向かって下方傾斜していることを特徴とする。
本発明において、凹溝の底部の勾配を1/200〜1/50とした理由は、勾配が1/200未満であると、十分な排水能力が得られにくい恐れがあり、1/50を超えると、傾斜が目立ちやすく、外観上好ましくないからである。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、凹溝の底部が、非透水性被膜で覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の保水性床材は、床材表面に、足裏を支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有しているので、床材の表面に粉塵やほこりが付着したり、履物の裏面の汚れなどが、足で踏み込まれて、凹部に押し固められてしまうのを防止できる。その結果、床材表面の美観および床材表面から水分を吸収する能力を長期間良好に保つことができる。
【0010】
また、凹部が、深さ2mm〜5mm、ピッチ5mm〜25mmの凹溝であり、床材の縦断面形状が、波形、山形、もしくは鋸歯形であるものでは、歩行時の違和感がない上、足を強く踏み込んでも、足裏が凹溝内に接触するのを確実に回避できる。
また、凹溝内に傾斜面を有するため、傾斜面に付着した汚れを雨水等で洗い流して凹溝の底部に集めることができ、傾斜面の目詰まりを防止できるため、床材表面から水分を吸収する能力をより一層長期間良好に保つことができる。
【0011】
また、凹溝の長さ方向の少なくとも一端が、床材の周縁で開口しているとともに、凹溝の底部が、長さ方向に1/200〜1/50の勾配で、開口端に向かって下方傾斜しているものでは、雨が降ったり、水まきをしたときに、凹溝内に流入した水が低い方向に流れ、開口端から排出されるため、凹溝の底部に溜まった汚れを容易に除去できる。
【0012】
また、凹溝の底部が、非透水性被膜で覆われているものでは、凹溝内に流入した水が、床材の内部に吸収されることなくスムーズに流れるため、凹溝の底部に溜まった汚れをより一層容易に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかる保水性床材の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の保水性床材1aは、内径0.01mm〜0.1mmの微細な空隙を多数有する多孔質材料からなる床材本体11と、床材本体11の後述する凹溝2aの底部21aを覆う非透水性被膜3aで構成されている。
床材本体11は、図1、図2に示すように、一辺約150mm、厚さ約15mmの平面視略正方形の板状に形成されている。床材本体11の表面には、図1、図2に示すように、多数の凹溝2aが、床材の一辺に略平行に連続して形成されており、床材本体11の縦断面形状が鋸歯形となっている。
凹溝2aは、図3、図4に示すように、深さH=5mm、ピッチW=5mmで形成されており、凹溝2aの長さ方向両端が、床材本体11の周縁に開口している。そして、隣り合う凹溝2a,2a間には、凸部4aが形成されている。
非透水性被膜3aは、凹溝2aの底部21aに沿って、エポキシ樹脂系塗料を幅L=3mmで塗布することにより形成されている。
さらに、凹溝2aの底部21aは、図5に示すように、勾配1/100で、凹溝2aの一方の開口端に向かって下方傾斜している。
【0014】
以上詳述したように、本実施形態の保水性床材1aによれば、床材本体11の表面に、所定深さの凹溝2aが所定ピッチで形成され、床材本体11の縦断面形状が鋸歯形であるので、足裏Pは、図6に示すように、多数の凸部4aに支持される。そのため、歩行時の違和感がない上、足を踏み込んでも、足裏Pが凹溝2aの内面に接触せず、床材表面に粉塵やほこりが付着したり、履物の裏面の汚れなどが、足で踏み込まれて、凹溝2aに押し固められてしまうのを確実に防止できる。また、凹溝2a内に傾斜面を有するため、傾斜面に自然に溜まる粉塵やほこりを雨水等で洗い流して凹溝2aの底部21aに集めることができ、傾斜面の目詰まりを防止できる。その結果、床材表面の美観および床材表面から水分を吸収する能力を長期間良好に保つことができる。
また、凹溝2aの長さ方向両端が、床材の周縁に開口しているとともに、凹溝2aの底部21aが、凹溝2aの一方の開口端に向かって下方傾斜しているので、雨が降ったり、水まきをしたときに、凹溝2a内に流入した水が低い方向に流れ、開口端から排出されるため、凹溝2aの底部21aに溜まった汚れを容易に除去できる。
さらに、凹溝2aの底部21aが、非透水性被膜3aで覆われているので、凹溝2a内に流入した水が、床材の内部に吸収されることなく流れ、凹溝2aの底部21aに溜まった汚れをより一層容易に排出することができる。
【0015】
ところで、保水性床材1aの敷設場所については、例えば、道路、ガレージ、ベランダ、屋上等が挙げられる。敷設場所の広さに応じて、必要数の保水性床材1aを並べて配置すればよい。また、保水性床材1aは、直接床上に敷設してもよいが、合成樹脂製の枠体の上に、接着剤などで固定し、ユニット式の床材として敷設してもよい。
【0016】
また、床材本体11の縦断面形状は、鋸歯形に限られず、図7に示す保水性床材1bのように、山形であってもよいし、図8に示す保水性床材1cのように、波形であってもよい。
さらに、凹溝の深さH、ピッチWは、上記実施形態の寸法に限られないが、足裏Pが凹溝の内面に接触しないように、深さHは2mm〜5mmの範囲、ピッチWは5mm〜25mmの範囲であることが必要である。
【0017】
また、本実施形態の保水性床材1aは、凹溝2aの溝方向が床材の一辺に略平行となるように形成されているが、これに限られず、図9に示す保水性床材1dのように、凹溝2aの溝方向が床材の対角線に略平行となるように形成されていてもよい。さらに、図10に示す保水性床材1eのように、凹溝2aの溝方向が床材表面の中央部から放射線状に形成されていてもよいし、図11に示す床材1fのように、凹溝2aの溝方向が床材の一辺に略平行となる部分と、床材の対角線に略平行となる部分とを組み合わせた形状であってもよい。
【0018】
また、凹溝2a〜2cの底部21a〜21cは、必ずしも勾配を有していなくてもよいが、1/200〜1/50の勾配で傾斜していることが好ましい。また、凹溝2aの底部21aが勾配を有する場合において、凹溝2aの長さ方向の必ずしも両端が、床材本体11の周縁に開口している必要はなく、少なくとも長さ方向の一端が、床材本体11の周縁に開口していればよい。
【0019】
さらに、凹溝2aの底部21aは、床材本体11の一端から他端に向かって傾斜する勾配に限られず、図12に示すように、床材本体の中央部から床材の両端に向かって傾斜していてもよい。この場合においても、凹溝2aの底部21aは、1/200〜1/50の勾配で傾斜していることが好ましい。
【0020】
また、凹溝2aの底部21aは、必ずしも非透水性被膜3aで覆う必要はないが、優れた排水効果を得るためには、凹溝2aの底部21aを幅L=1mm〜3mmで覆うことが好ましい。また、非透水性被膜3aは、床材本体11の内部に浸透しにくい性質のものであればよく、床材本体11を成形後に、塗料を塗布しても形成してもよいし、釉薬を塗布した後、床材本体11を焼成することによって形成してもよい。
なお、使用される塗料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系塗料などが挙げられる。
【0021】
さらに、本発明の保水性床材は、床材表面に、足裏Pを支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有していればよいので、突起部は、線状に形成される場合に限られず、例えば、点状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる保水性床材の一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示す保水性床材の凹溝の溝方向を示す説明図。
【図3】図1に示す保水性床材をX−X線で切断して示す縦断面図。
【図4】図3に示す保水性床材の凹溝を拡大して示す説明図。
【図5】図2に示す保水性床材の凹溝の底部の傾斜形状を示す模式図。
【図6】図1に示す保水性床材の上を歩行する様子を示す説明図。
【図7】凹溝の他の実施形態を拡大して示す説明図。
【図8】凹溝の他の実施形態を拡大して示す説明図。
【図9】凹溝の溝方向の他の実施形態を示す説明図。
【図10】凹溝の溝方向の他の実施形態を示す説明図。
【図11】凹溝の溝方向の他の実施形態を示す説明図。
【図12】凹溝の底部の傾斜形状の他の実施形態を示す模式図。
【符号の説明】
【0023】
1a〜1e 保水性床材
11 床材本体
2a〜2c 凹溝(凹部)
21a 凹溝の底部
21b 凹溝の底部
21c 凹溝の底部
3a〜3c 非透水性被膜
4a〜4c 凸部(突起部)
H 凹溝の深さ
W 凹溝のピッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路、ガレージ、ベランダ、屋上等に敷設される床材に関するもので、特に、床材の内部に雨水等の水分を保持させることができる保水性床材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の保水性床材としては、例えば、ガラス粉砕粒子や陶器粉砕粒子を焼結した焼結板、素焼きタイル、素焼きレンガといった焼成板からなる多孔質材料で形成されたものがある。この保水性床材は、内径0.01mm〜0.1mmの微細な空隙を多数有しており、床材表面から雨水等の水分を吸収した後、床材の内部に存在する微細な空隙の中に水分を保持するものである。
しかしながら、この保水性床材は、床材の内部に空隙を有しているだけでなく、床材の表面にも空隙が露出しており、床材の表面に微細な凹部が上向きに多数形成されている。
そのため、床材の表面に粉塵やほこりが付着したり、履物の裏面の汚れなどが、足で踏み込まれて、微細な凹部にめり込んでしまいやすく、床材表面の美観が低下してしまう上、床材表面から水分を吸収する能力が著しく低下してしまうという問題があった。
【0003】
一方、保水性基板の表面に、部分的に非透水性塗料を塗布することにより、床材の表面に汚れが付着するのを軽減するようにした保水性床材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この保水性床材は、非透水性被膜を形成しないものに比べて、床材表面から水分を吸収する能力が低い上、透水性を有する部分が、非透水性被膜を形成した部分よりも低くなるため、透水性を有する部分に汚れが溜まりやすく、床材表面から水分を吸収する能力が一層低下してしまうという問題がある。
【特許文献1】特開2003−105957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、床材表面に汚れが溜まりにくく、目詰まりしにくいため、透水性の機能を長期間維持できる保水性床材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明の保水性床材は、床材表面に、足裏を支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有していることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、凹部が、深さ2mm〜5mm、ピッチ5mm〜25mmの凹溝であり、床材の縦断面形状が、波形、山形、もしくは鋸歯形であることを特徴とする。
本発明において、床材の縦断面形状を波形、山形、もしくは鋸歯形とした理由は、凹溝の内面に傾斜をつけることで、斜面部分に付着した汚れを雨水等で凹溝の底部に洗い流しやすくするためである。
本発明において、凹溝の深さを2mm〜5mmの範囲とした理由は、深さが2mm未満であると、足を強く踏み込んだときに、凹溝の内部に足裏が接触する恐れがあり、深さが5mmを超えると、凹溝による床材の体積減少が大きく、十分な保水性能が得られない恐れがあるからである。
また、本発明において、凹溝のピッチを5mm〜25mmの範囲とした理由は、ピッチが5mm未満であると、溝幅が狭すぎて、凹溝の内部がすぐに汚れで埋まってしまう恐れがあり、ピッチが25mmを超えると、足を強く踏み込んだときに、凹溝の内部に足裏が接触する恐れがあるからである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、凹溝の長さ方向の少なくとも一端が、床材の周縁で開口しているとともに、凹溝の底部が、長さ方向に1/200〜1/50の勾配で、開口端に向かって下方傾斜していることを特徴とする。
本発明において、凹溝の底部の勾配を1/200〜1/50とした理由は、勾配が1/200未満であると、十分な排水能力が得られにくい恐れがあり、1/50を超えると、傾斜が目立ちやすく、外観上好ましくないからである。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、凹溝の底部が、非透水性被膜で覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の保水性床材は、床材表面に、足裏を支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有しているので、床材の表面に粉塵やほこりが付着したり、履物の裏面の汚れなどが、足で踏み込まれて、凹部に押し固められてしまうのを防止できる。その結果、床材表面の美観および床材表面から水分を吸収する能力を長期間良好に保つことができる。
【0010】
また、凹部が、深さ2mm〜5mm、ピッチ5mm〜25mmの凹溝であり、床材の縦断面形状が、波形、山形、もしくは鋸歯形であるものでは、歩行時の違和感がない上、足を強く踏み込んでも、足裏が凹溝内に接触するのを確実に回避できる。
また、凹溝内に傾斜面を有するため、傾斜面に付着した汚れを雨水等で洗い流して凹溝の底部に集めることができ、傾斜面の目詰まりを防止できるため、床材表面から水分を吸収する能力をより一層長期間良好に保つことができる。
【0011】
また、凹溝の長さ方向の少なくとも一端が、床材の周縁で開口しているとともに、凹溝の底部が、長さ方向に1/200〜1/50の勾配で、開口端に向かって下方傾斜しているものでは、雨が降ったり、水まきをしたときに、凹溝内に流入した水が低い方向に流れ、開口端から排出されるため、凹溝の底部に溜まった汚れを容易に除去できる。
【0012】
また、凹溝の底部が、非透水性被膜で覆われているものでは、凹溝内に流入した水が、床材の内部に吸収されることなくスムーズに流れるため、凹溝の底部に溜まった汚れをより一層容易に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明にかかる保水性床材の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の保水性床材1aは、内径0.01mm〜0.1mmの微細な空隙を多数有する多孔質材料からなる床材本体11と、床材本体11の後述する凹溝2aの底部21aを覆う非透水性被膜3aで構成されている。
床材本体11は、図1、図2に示すように、一辺約150mm、厚さ約15mmの平面視略正方形の板状に形成されている。床材本体11の表面には、図1、図2に示すように、多数の凹溝2aが、床材の一辺に略平行に連続して形成されており、床材本体11の縦断面形状が鋸歯形となっている。
凹溝2aは、図3、図4に示すように、深さH=5mm、ピッチW=5mmで形成されており、凹溝2aの長さ方向両端が、床材本体11の周縁に開口している。そして、隣り合う凹溝2a,2a間には、凸部4aが形成されている。
非透水性被膜3aは、凹溝2aの底部21aに沿って、エポキシ樹脂系塗料を幅L=3mmで塗布することにより形成されている。
さらに、凹溝2aの底部21aは、図5に示すように、勾配1/100で、凹溝2aの一方の開口端に向かって下方傾斜している。
【0014】
以上詳述したように、本実施形態の保水性床材1aによれば、床材本体11の表面に、所定深さの凹溝2aが所定ピッチで形成され、床材本体11の縦断面形状が鋸歯形であるので、足裏Pは、図6に示すように、多数の凸部4aに支持される。そのため、歩行時の違和感がない上、足を踏み込んでも、足裏Pが凹溝2aの内面に接触せず、床材表面に粉塵やほこりが付着したり、履物の裏面の汚れなどが、足で踏み込まれて、凹溝2aに押し固められてしまうのを確実に防止できる。また、凹溝2a内に傾斜面を有するため、傾斜面に自然に溜まる粉塵やほこりを雨水等で洗い流して凹溝2aの底部21aに集めることができ、傾斜面の目詰まりを防止できる。その結果、床材表面の美観および床材表面から水分を吸収する能力を長期間良好に保つことができる。
また、凹溝2aの長さ方向両端が、床材の周縁に開口しているとともに、凹溝2aの底部21aが、凹溝2aの一方の開口端に向かって下方傾斜しているので、雨が降ったり、水まきをしたときに、凹溝2a内に流入した水が低い方向に流れ、開口端から排出されるため、凹溝2aの底部21aに溜まった汚れを容易に除去できる。
さらに、凹溝2aの底部21aが、非透水性被膜3aで覆われているので、凹溝2a内に流入した水が、床材の内部に吸収されることなく流れ、凹溝2aの底部21aに溜まった汚れをより一層容易に排出することができる。
【0015】
ところで、保水性床材1aの敷設場所については、例えば、道路、ガレージ、ベランダ、屋上等が挙げられる。敷設場所の広さに応じて、必要数の保水性床材1aを並べて配置すればよい。また、保水性床材1aは、直接床上に敷設してもよいが、合成樹脂製の枠体の上に、接着剤などで固定し、ユニット式の床材として敷設してもよい。
【0016】
また、床材本体11の縦断面形状は、鋸歯形に限られず、図7に示す保水性床材1bのように、山形であってもよいし、図8に示す保水性床材1cのように、波形であってもよい。
さらに、凹溝の深さH、ピッチWは、上記実施形態の寸法に限られないが、足裏Pが凹溝の内面に接触しないように、深さHは2mm〜5mmの範囲、ピッチWは5mm〜25mmの範囲であることが必要である。
【0017】
また、本実施形態の保水性床材1aは、凹溝2aの溝方向が床材の一辺に略平行となるように形成されているが、これに限られず、図9に示す保水性床材1dのように、凹溝2aの溝方向が床材の対角線に略平行となるように形成されていてもよい。さらに、図10に示す保水性床材1eのように、凹溝2aの溝方向が床材表面の中央部から放射線状に形成されていてもよいし、図11に示す床材1fのように、凹溝2aの溝方向が床材の一辺に略平行となる部分と、床材の対角線に略平行となる部分とを組み合わせた形状であってもよい。
【0018】
また、凹溝2a〜2cの底部21a〜21cは、必ずしも勾配を有していなくてもよいが、1/200〜1/50の勾配で傾斜していることが好ましい。また、凹溝2aの底部21aが勾配を有する場合において、凹溝2aの長さ方向の必ずしも両端が、床材本体11の周縁に開口している必要はなく、少なくとも長さ方向の一端が、床材本体11の周縁に開口していればよい。
【0019】
さらに、凹溝2aの底部21aは、床材本体11の一端から他端に向かって傾斜する勾配に限られず、図12に示すように、床材本体の中央部から床材の両端に向かって傾斜していてもよい。この場合においても、凹溝2aの底部21aは、1/200〜1/50の勾配で傾斜していることが好ましい。
【0020】
また、凹溝2aの底部21aは、必ずしも非透水性被膜3aで覆う必要はないが、優れた排水効果を得るためには、凹溝2aの底部21aを幅L=1mm〜3mmで覆うことが好ましい。また、非透水性被膜3aは、床材本体11の内部に浸透しにくい性質のものであればよく、床材本体11を成形後に、塗料を塗布しても形成してもよいし、釉薬を塗布した後、床材本体11を焼成することによって形成してもよい。
なお、使用される塗料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系塗料などが挙げられる。
【0021】
さらに、本発明の保水性床材は、床材表面に、足裏Pを支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有していればよいので、突起部は、線状に形成される場合に限られず、例えば、点状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる保水性床材の一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示す保水性床材の凹溝の溝方向を示す説明図。
【図3】図1に示す保水性床材をX−X線で切断して示す縦断面図。
【図4】図3に示す保水性床材の凹溝を拡大して示す説明図。
【図5】図2に示す保水性床材の凹溝の底部の傾斜形状を示す模式図。
【図6】図1に示す保水性床材の上を歩行する様子を示す説明図。
【図7】凹溝の他の実施形態を拡大して示す説明図。
【図8】凹溝の他の実施形態を拡大して示す説明図。
【図9】凹溝の溝方向の他の実施形態を示す説明図。
【図10】凹溝の溝方向の他の実施形態を示す説明図。
【図11】凹溝の溝方向の他の実施形態を示す説明図。
【図12】凹溝の底部の傾斜形状の他の実施形態を示す模式図。
【符号の説明】
【0023】
1a〜1e 保水性床材
11 床材本体
2a〜2c 凹溝(凹部)
21a 凹溝の底部
21b 凹溝の底部
21c 凹溝の底部
3a〜3c 非透水性被膜
4a〜4c 凸部(突起部)
H 凹溝の深さ
W 凹溝のピッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材表面に、足裏を支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有していることを特徴とする保水性床材。
【請求項2】
凹部が、深さ2mm〜5mm、ピッチ5mm〜25mmの凹溝であり、床材の縦断面形状が、波形、山形、もしくは鋸歯形であることを特徴とする請求項1記載の保水性床材。
【請求項3】
凹溝の長さ方向の少なくとも一端が、床材の周縁で開口しているとともに、
凹溝の底部が、長さ方向に1/200〜1/50の勾配で、開口端に向かって下方傾斜していることを特徴とする請求項2記載の保水性床材。
【請求項4】
凹溝の底部が、非透水性被膜で覆われていることを特徴とする請求項2または3に記載の保水性床材。
【請求項1】
床材表面に、足裏を支持する多数の突起部と、隣接する突起部の間に形成される凹部とを備え、前記凹部が、足を踏み込んだときに足裏が接触しない程度の深さを有していることを特徴とする保水性床材。
【請求項2】
凹部が、深さ2mm〜5mm、ピッチ5mm〜25mmの凹溝であり、床材の縦断面形状が、波形、山形、もしくは鋸歯形であることを特徴とする請求項1記載の保水性床材。
【請求項3】
凹溝の長さ方向の少なくとも一端が、床材の周縁で開口しているとともに、
凹溝の底部が、長さ方向に1/200〜1/50の勾配で、開口端に向かって下方傾斜していることを特徴とする請求項2記載の保水性床材。
【請求項4】
凹溝の底部が、非透水性被膜で覆われていることを特徴とする請求項2または3に記載の保水性床材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−102938(P2009−102938A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277554(P2007−277554)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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