説明

保温材付き管及びその製造方法

【課題】廃材を簡単に分別してリサイクルする。
【解決手段】保温材付き管1は、樹脂製の直管状本管2と、本管2の外径に対応する内径を有して半割りされ、本管2の外周面に装着された設定された厚さの保温材3と、保温材3の外径に対応する内径を有して保温材3の外周面に嵌挿された樹脂製の外装管4とから構成される。そして、保温材3の内周面と外装管4の内周面との少なくとも一部が面接触し、その摩擦抵抗によって保温材3に対する外装管4の軸心方向の移動が防止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、寒冷地における水道管の水道水の凍結を防止する保温材付き管及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、水道管は地中に埋設されているが、河川等を横断する場合には、橋梁添架管として地上に敷設される。この場合、寒冷地においては、水道管の水道水が凍結するおそれがある。このような水道水の凍結を防止するため、橋梁に沿って水道管を敷設した後、水道管の外周面にロックウール等の保温材を被せるとともに、その外側に金属製ラッキング材を巻き回してバンド等で結束することによって橋梁添架管を施工している。
【0003】
このような橋梁添架管の施工は、足場等の施工条件が悪く、施工時間が長くなるという問題があることから、予め工場において本管、保温材及び金属製ラッキング材からなる保温材付き管を製造し、現場に保温材付き管を持ち込んで橋梁添架管として敷設している。例えば、特許文献1に示すように、高密度ポリエチレン管と平板鋼板を巻き回して突き合わせ部を溶接して形成された鋼管との隙間に発泡ポリウレタンを注入して製造された保温材付き管が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−201381公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した保温材付き管においては、発泡材注入時の発熱作用により、保温材及び該保温材と接する鋼管や補強層が一体化されることから、施工時や撤去時に発生する保温材付き管の廃材品をリサイクルしようとした場合に材料毎に分別することが困難であり、リサイクルするのにコストがかさむという問題があった。
【0006】
なお、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のオレフィン系樹脂は、無極性高分子であり、接着しにくいため、分離させることができる。
【0007】
また、保温材付き管を接続するに際して、電気融着継手を介して接合するためには、管端部の鋼管及び発泡層を剥ぎ取らなければならず、現場での作業が複雑化するとともに、手間がかかるという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、廃材を簡単に分別してリサイクルすることのできる保温材付き管及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の保温材付き管は、樹脂製の直管状本管と、本管の外径に対応する内径を有して少なくとも二分割され、本管の外周面に装着された設定された厚さの保温材と、保温材の外径に対応する内径を有して保温材の外周面に嵌挿された樹脂製の外装管とから構成され、保温材の内周面と外装管の内周面との少なくとも一部が面接触していることを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、保温材は径に対応して二分割され、あるいは、三個以上に分割されて本管に装着され、また、保温材に対して外装管が嵌挿されていることにより、施工時や撤去時に発生した保温材付き管の廃材品を材料毎に容易に分別でき、コストをかけずにリサイクルすることが可能となる。
【0011】
ここで、外装管の内径が保温材の外径と同一であれば、保温材の外周面と外装管の内周面とは、それらの真円度が低いことによって少なくとも一部が面接触し、それらの摩擦抵抗によって保温材に対する外装管の軸心方向の移動を防止できる。なお、保温材に対して外装管を圧入することにより、それらの摩擦抵抗を乗り越えることができる。
【0012】
本発明において、前記本管が水道配水用ポリエチレン管であり、保温材がロックウールよりも弾性率が大きな発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等の発泡材であり、また、外装管がカーボンブラック顔料を含む黒色のポリエチレン管であって、本管の曲げ強度が外装管の曲げ強度以上であるとともに、外装管の曲げ強度が保温材の曲げ強度よりも大きいことが好ましい。これにより、水道配水用ポリエチレン管を橋梁添架管のように地上に敷設する際に、水道水の凍結を確実に防止することができるとともに、耐侯性を向上させることができる。また、地震や津波などによって保温材付き管に大きな外力が作用した場合に、保温材付き管は水道配水用ポリエチレン管の曲げ強度にしたがって曲げ変形し、外装管の強度が水道配水用ポリエチレン管の曲げ変形に影響を与えることはない。
【0013】
本発明において、前記本管の各端部が、それらを電気融着する際のクランプ長さの半分以上に相当する長さ分保温材及び外装管の各管端面から突出していることが好ましい。これにより、保温材付き管を電気融着継手を介して接続する際、クランプを介して本管の端縁部を突き合わせて融着から冷却固化までの間確実に固定できる。
【0014】
本発明において、前記保温材に対する外装管の軸心方向の移動がビス、テープ、又は、Oリング等の抵抗手段を介して防止されることが好ましい。これにより、製造上の誤差によって保温材の外周面と外装管の内周面とに隙間が発生したとしても、抵抗手段を介して保温材に対する外装管の軸心方向の移動を防止できる。
【0015】
本発明において、前記本管につばを有するキャップがそれぞれ嵌挿され、キャップの内周面に設けたOリングを介して本管に対するキャップの軸心方向の移動が防止されるとともに、つばが保温材及び外装管の端縁部に突き当てられて保温材及び外装管の軸心方向の移動が防止されることが好ましい。これにより、本管に嵌挿されたキャップのつばによって保温材及び外装管の軸心方向の移動を防止できる。また、本管に対する異物の侵入を防止できる。
【0016】
本発明の保温材付き管の製造方法は、樹脂製の直管状本管の外周面に該本管の外径に対応する内径を有して少なくとも二分割された保温材を装着した後、保温材の外周面に該保温材の外径に対応する内径を有する樹脂製の外装管を嵌挿することを特徴とするものである。
【0017】
本発明によれば、樹脂製の直管状本管の外周面に、径に対応して二分割され、あるいは、三個以上に分割された保温材を装着し、次いで、保温材の外周面に外装管を嵌挿することにより、保温材付き管を簡単に製造することができる。しかも、施工時や撤去時に保温材付き管の廃材品が発生しても、本管に対して保温材を分別できるとともに、保温材に対して外装管を分別でき、コストをかけずにリサイクルが可能となる。
【0018】
ここで、外装管の内径が保温材の外径と同一であれば、保温材の外周面と外装管の内周面とは、それらの真円度が低いことによって少なくとも一部が面接触し、それらの摩擦抵抗によって保温材に対する外装管の軸心方向の移動を防止できる。なお、保温材に対して外装管を圧入することにより、それらの摩擦抵抗を乗り越えることができる。
【0019】
本発明の保温材付き管の製造方法は、樹脂製の直管状本管の外周面に該本管の外径に対応する内径を有して少なくとも二分割された保温材を装着した後、保温材の外径未満の内径を有する樹脂製の外装管を加熱し、保温材の外径以上の内径に膨張させて保温材の外周面に嵌挿することを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、樹脂製の直管状本管の外周面に、径に対応して二分割され、あるいは、三個以上に分割された保温材を装着し、次いで、保温材の外径未満の内径を有する外装管を加熱し、保温材の外径以上の内径に膨張させて保温材の外周面に嵌挿することにより、保温材付き管を簡単に製造することができる。しかも、施工時や撤去時に保温材付き管の廃材品が発生しても、本管に対して保温材を分別できるとともに、保温材に対して外装管を分別でき、コストをかけずにリサイクルが可能となる。また、冷却した外装管は、保温材としまりばめ状態となり、保温材に対する外装管の軸心方向の移動を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、廃材品を簡単に分別してリサイクルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の保温材付き管の一実施形態を示す半断面図である。
【図2】図1の保温材付き管の製造工程を説明する斜視図である。
【図3】図1の保温材付き管の製造工程を図2に続いて説明する斜視図である。
【図4】本発明の保温材付き管の保温材に対する外装管の移動を防止する抵抗手段の一例を示す部分半断面図である。
【図5】本発明の保温材付き管の保温材に対する外装管の移動を防止する抵抗手段の他の例を示す部分半断面図である。
【図6】本発明の保温材付き管の保温材に対する外装管の移動を防止する抵抗手段のもう一つの例を示す部分半断面図である。
【図7】図1の保温材付き管の接続構造を示す半断面図である。
【図8】図1の保温材付き管の接続工程を説明する側面図である。
【図9】図1の保温材付き管の接続工程を図8に続いて説明する側面図である。
【図10】図1の保温材付き管の接続工程を図9に続いて説明する側面図である。
【図11】図1の保温材付き管の接続工程を図10に続いて説明する側面図である。
【図12】保温材付き管継手を示す半断面図である。
【図13】図12の保温材付き管継手の製造工程を説明する側面図である。
【図14】保温材付き管継手の他の例を示す断面図である。
【図15】図14の保温材付き管継手の製造工程を説明する斜視図である。
【図16】図14の保温材付き管継手を構成する外装管の管状水平部及び管状垂直部を展開して示すシート状水平部及びシート状垂直部の平面図である。
【図17】図14の保温材付き管継手の製造工程を図15に続いて説明する斜視図である。
【図18】図14の保温材付き管継手の他の製造工程を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1には、本発明の保温材付き管1の一実施形態が示されている。
【0025】
この保温材付き管1は、水道配水用ポリエチレン管である本管2と、本管2の外径に対応する内径及び本管2を流れる水道水の凍結を防止するのに必要な厚さの外径を有して半割りされ、本管2の外周面に装着された発泡ポリスチレン等の保温材3と、保温材3の外径に対応する内径を有して保温材3の外周面に嵌挿されたポリエチレン管である外装管4とから構成されている。
【0026】
そして、保温材付き管1は、後述する電気融着継手5(図8参照)による接合に対応するように、本管2の長さが保温材3及び外装管4の長さよりも本管2をクランプによって固定するのに要する長さの半分以上に相当する長さ分保温材3及び外装管4の各端面からそれぞれ突出するように設定されている。
【0027】
また、地震や津波等によって接合部に過大な力が作用した際において、本管2の破損を防止するため、すなわち、本管2の曲げ変形に、外装管4や保温材3の曲げ強度が影響を与えないように、本管2の曲げ強度≧外装管4の曲げ強度>保温材3の曲げ強度に設定されている。
【0028】
ここで、保温材3の外径に対して外装管4の内径は、同一に設定されている。すなわち、ポリエチレン管等の樹脂管は、真円度が機械物に比較して低く、JIS B0401に規定される「寸法公差及びはめあい」をそのまま適用することはできないものの、輸送時等における保温材3に対する外装管4の軸心方向の移動を防止するためには一定のはめあい関係を維持する必要がある。例えば、保温材3の外径を基準として、外装管4の内径が同一であれば、発泡保温材3に対して外装管4を軸心方向から嵌挿することができる。この場合、樹脂管の真円度が低いことにより、保温材3の外周面と外装管4の内周面とは、少なくとも一部が面接触し、外装管4の嵌挿に際して摩擦抵抗が発生するが、保温材3の剛性が外装管4の剛性よりも低いことと相俟って、外装管4を圧入することにより、それらの摩擦抵抗を乗り越えることができる。そして、保温材3と外装管4との摩擦抵抗によって外装管4の軸心方向の移動を防止することができる。
【0029】
なお、本管2である水道配水用ポリエチレン管は、日本水道協会規格 JWWAK144に規定されるものである。また、保温材3である発泡ポリスチレンは市販品であって、発泡ポリスチレンに限らず、発泡ポリエチレンや発泡ポリウレタンであってもよい。さらに、外装管4であるポリエチレン管は、耐侯性を向上させるためカーボンブラック顔料によって黒色に形成されている。
【0030】
このような保温材付き管1を製造するには、押出成形された本管2を設定長さに切断した後、本管2の外周面に半割りされた保温材3A,3Aを装着し(図2参照)、粘着テープ等を利用して離脱しないように仮止めする。次いで、押出成形された外装管4を設定長さに切断した後、本管2及び該本管2に装着された保温材3を支持するとともに、仮止めを除去し、その軸心方向から外装管4を保温材3の外周面に嵌挿すればよい(図3参照)。
【0031】
この場合、製造上の誤差によって保温材3の外周面と外装管4の内周面とに隙間が発生し、輸送時等に保温材3から外装管4が軸心方向に移動するおそれがあるときには、保温材3と外装管4との間に抵抗手段を設け、外装管4の移動を防止すればよい。
【0032】
例えば、外装管4の少なくとも一端部に保温材3に向けてビスbをねじ込んで外装管4の移動を防止すればよい(図4参照)。また、外装管4の端縁外周面にテープ(図示せず)を巻き付けて保温材3に対する摩擦抵抗を増大させ、外装管4の移動を防止するようにしてもよい。
【0033】
さらには、保温材3の外周面と外装管4の内周面との間に一定の隙間を形成する一方、保温材3の各端内外周面に装着溝を形成するとともに、各装着溝にOリングsを配設し、本管2に対する保温材3の軸心方向の移動を防止するとともに、保温材3に対する外装管4の軸心方向の移動を防止するようにしてもよい(図5参照)。
【0034】
この場合、外装管4の嵌挿に際してOリングsによる摩擦抵抗が連続的に作用して外装管4の円滑な嵌挿を阻害するのを防止するため、まず、外装管4の挿入方向から見て遠方側の保温材3の端縁部にのみOリングsを配設した状態で外装管4を嵌挿し、保温材3の端縁を超えてなおも嵌挿した後、外装管4の挿入方向側の保温材3の端縁部にOリングsを配設し、その後、外装管4を引き戻すようにすれば、Oリングsによる摩擦抵抗が作用する長さを最小化することができ、外装管4を容易に嵌挿することができる。
【0035】
また、つばc1を有するキャップcを本管2の各端部にそれぞれ嵌挿し、キャップcのつばc1を保温材3及び外装管4の各端面に突き当てて保温材3及び外装管4の軸心方向の移動を防止するとともに、本管2に対する異物の侵入を防止するようにしてもよい。この場合、キャップcの内周面にOリングsを配設し、本管2に対するキャップcの軸心方向の移動を防止する(図6参照)。
【0036】
保温材付き管1の他の製造法としては、保温材3の外径に対して外装管4の内径をその外径未満に形成する一方、外装管4を加熱して保温材3の外径以上の内径に拡径させ、保温材3の外周面に嵌挿するようにしてもよい。外装管4が冷却すれば、その内径は保温材3の外径未満に縮径することから、外装管4は保温材3に対してしまりばめ状態となり、外装管4の軸心方向の移動を確実に防止できる。
【0037】
なお、前述した実施形態においては、本管2に装着する保温材3を二分割する場合を例示したが、本管2の外径が大きい場合には、保温材3を三個以上に分割してもよい。これにより、本管2の大きな外径に対応して製造が容易となる。この場合、周方向に均等割する必要はなく、施工手順等を考慮して分割個数とともに分割角度を決定すればよい。
【0038】
一方、このように構成された単位長さの保温材付き管1を順に接続して必要長さの保温材付き管10(図7参照)を得ることができる。以下、保温材付き管1を接続する要領について説明する。
【0039】
まず、保温材付き管1を軸心方向に沿って配置し、端縁部同士を対向させる。次いで、隣接する保温材付き管1の本管2の端縁部にわたって従来公知の電気融着継手5を配設し、本管2の端面を突き合わせた状態で電気融着継手5に通電し、電気融着継手5と各本管2とを融着して一体に接合する(図8参照)。
【0040】
この場合、電気融着継手5の外方には、本管2の外周面が設定長さ露出されていることから、本管2同士を図示しないクランプを介して融着から冷却固化するまでの間しっかりと固定することができる。
【0041】
隣接する保温材付き管1の本管2を接合したならば、クランプを外すとともに、電気融着継手5の端子部を削除した後(図9参照)、電気融着継手5の各端面と保温材付き管1の保温材3及び外装管4の端面間の幅を有するとともに、本管2の外径に対応する内径と保温材付き管1の外径に対応する外径とを有して半割りされ、発泡ポリウレタンや発泡ポリスチレン等からなる第1保温材6を各本管2の外周面に装着し(図10参照)、粘着テープ等で仮止めする。同様に、電気融着継手5の幅に相当する幅を有するとともに、電気融着継手5の外径に対応する内径と保温材付き管1の外径に対応する外径とを有して半割りされ、発泡ポリウレタンや発泡ポリスチレン等からなる第2保温材7を電気融着継手5に装着し(図11参照)、粘着テープ等で仮止めする。
【0042】
隣接する保温材付き管1の本管2及び電気融着継手5にそれぞれ第1保温材6及び第2保温材7を装着したならば、隣接する保温材付き管1の外装管4の端縁部にわたる幅の保護カバー8を巻き回し、保温材付き管1の外装管4の端縁部とともに、第1保温材6及び第2保温材7を被覆した後、保護カバー8の重ね合わせ部を防水テープ(図示せず)で密封する。また、保護カバー8の各端縁部に固定バンド9を巻き付けて保護カバー8を各保温材付き管1の外装管4に固定した後、保護カバー8の各端縁部と各保温材付き管1の外装管4の外周面との重ね合わせ部に防水テープ(図示せず)を貼着して保護カバー8の各端縁部を各保温材付き管1の外装管4に対して密封する(図7参照)。
【0043】
以下、このような接続作業を繰り返して設定長さの保温材付き管10を得ることができる。
【0044】
さらに、このような直管状の保温材付き管1を保温材付き管継手を介して軸心方向を変えて接続することもできる。以下、保温材付き管1を角度を変えて、例えば、45度変更して接続するエルボ状の保温材付き管継手21を図12に基づいて説明する。
【0045】
このエルボ状の保温材付き管継手21は、45度ベンドからなる本管22と、本管22の外周面に装着された発泡ポリウレタン等の保温材23と、保温材23の外周面に設けられたエルボ状の外装管24とから構成されている。
【0046】
ここで、本管22は、軸心を45度変更する円弧部分と、円弧部分の各端に連続する直管部分とからなり、保温材23及び外装管24は、少なくとも本管22の円弧部分を被覆している。そして、保温材23及び外装管24の各端面からそれぞれ突出される本管22の直管部分の長さは、電気融着継手5による接合に対応して、クランプによる固定に要する長さの半分以上に設定されている。
【0047】
このようなエルボ状の保温材付き管継手21を製造するには、本管22として市販の水道配水用ポリエチレン管製45度ベンドを用意し、該45度ベンドの保温に必要な保温材23の厚みに相当する隙間を有する内径のポリエチレン管を切断するとともに、それらを接合し、エルボ状の外装管24を製造する。具体的には、図13に示すように、必要な内径のポリエチレン管の端面を軸心に対して11.25度傾斜する傾斜面となるように切断し、それらの単位外装管241,242を本管22に挿通し、互いに傾斜面同士を突き合わせてバット融着接合し、エルボ状の外装管24を形成する。次いで、本管22及び外装管24を同心上に支持した後、それらの隙間に発泡ポリウレタンを注入し、発泡させて保温材23を形成するものである。
【0048】
この場合、本管22の外周面に紙や耐熱性樹脂フィルム等の被覆材を巻き付けることが好ましい。これにより、本管22に対して注入された発泡ポリスチレン等の保温材23がくっつくことを確実に防止できることから、将来的に本管22から保温材23を簡単に分離させてリサイクルすることができる。
【0049】
このようにしてエルボ状の保温材付き管継手21を製造したならば、直管状の保温材付き管1と電気融着継手5を介して接合した後、前述したように、保温材付き管1の本管2と、保温材付き管継手21の本管22とを第1保温材6及び第2保温材7によって被覆し、保護カバー8を巻き回して固定すればよい。
【0050】
また、保温材付き管継手としては、エルボに限定されず、例えば、チーズ状であっても構わない。
【0051】
具体的には、チーズ状の保温材付き管継手31は、図14に示すように、水道配水用ポリエチレン管製のチーズ、すなわち、T字状の本管32と、本管32の外周面形状に対応する内周面形状を有するとともに、T字状の本管32を流れる水道水の凍結を防止するのに必要な厚さの外周面形状を有して半割りされ、本管32の外周面に装着された発泡ポリスチレン等からなるT字状の保温材33と、保温材33の水平部331の外周面形状に対応する内周面形状に形成されて保温材33の水平部331に装着された管状水平部341及び保温材33の垂直部332の外周面形状に対応する内周面形状に形成されて保温材33の垂直部332に装着された管状垂直部342からなるポリエチレン製のT字状の外装管34とから構成されている。
【0052】
ここで、本管32は、電気融着継手5による接合に対応して、クランプによる固定に要する長さの半分以上の長さ分それぞれ保温材33及び外装管34の各端面から突出されている。
【0053】
このようなチーズ状の保温材付き管継手31を製造するには、T字状の本管32として市販のポリエチレン管製チーズを用意し、該本管32の外周面形状に対応する内周面形状を有するとともに、本管32を保温するのに必要な厚さの外周面形状を有して半割りされた保温材33A,33AをT字状の本管32に装着し(図15参照)、粘着テープ等で仮止めする。
【0054】
一方、T字状の保温材33の外周面形状に対応して、ポリエチレンシートからT字状の外装管34を形成する。具体的には、T字状の保温材33の水平部331の外周面形状に基づく展開図にしたがってポリエチレンシートからシート状水平部341Aを切り出すとともに、その垂直部332の外周面形状に基づく展開図にしたがってポリエチレンシートからシート状垂直部342Aを切り出す(図16参照)。
【0055】
次いで、図17に示すように、シート状水平部341Aを保温材33の水平部331の外周面に沿わせて湾曲させるととも、その突き合わせ部を融着して管状水平部341を形成する。同様に、シート状垂直部342Aを保温材33の垂直部332の外周面に沿わせて湾曲させるとともに、その突き合わせ部を融着して管状垂直部342を形成する。そして、管状水平部341及び管状垂直部342の突き合わせ部(交切線部)を溶接してT字状の外装管34を形成すれば、チーズ状の保温材付き管継手31を製造することができる。
【0056】
なお、図18に示すように、シート状水平部341AをT字状の本管32の水平部回りに湾曲させ、その突き合わせ部を融着して管状水平部341を形成し、また、シート状垂直部342AをT字状の本管32の垂直部回りに湾曲させ、その突き合わせ部を融着して管状垂直部342を形成し、管状水平部341及び管状垂直部342の突き合わせ部を溶接してT字状の外装管34を形成した後、T字状の本管32とT字状の外装管34との隙間に発泡ポリスチレン等を注入して発泡させ、保温材33を形成してチーズ状の保温材付き管継手31を製造することもできる。
【0057】
このようにして製造されたチーズ状の保温材付き管継手31を製造したならば、直管状の保温材付き管1と電気融着継手5を介して接合した後、前述したように、保温材付き管1の本管2と、保温材付き管継手31の本管32とを第1保温材6及び第2保温材7によって被覆し、保護カバー8を巻き回して固定すればよい。
【符号の説明】
【0058】
1 保温材付き管
2 本管(水道配水用ポリエチレン管)
3 保温材
4 外装管(ポリエチレン管)
5 電気融着継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の直管状本管と、本管の外径に対応する内径を有して少なくとも二分割され、本管の外周面に装着された設定された厚さの保温材と、保温材の外径に対応する内径を有して保温材の外周面に嵌挿された樹脂製の外装管とから構成され、保温材の内周面と外装管の内周面との少なくとも一部が面接触していることを特徴とする保温材付き管。
【請求項2】
請求項1に記載の保温材付き管において、前記本管が水道配水用ポリエチレン管であり、保温材がロックウールよりも弾性率が大きな発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等の発泡材であり、また、外装管がカーボンブラック顔料を含む黒色のポリエチレン管であって、本管の曲げ強度が外装管の曲げ強度以上であるとともに、外装管の曲げ強度が保温材の曲げ強度よりも大きいことを特徴とする保温材付き管。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の保温材付き管において、前記本管の各端部が、それらを電気融着する際のクランプ長さの半分以上に相当する長さ分保温材及び外装管の各管端面から突出していることを特徴とする保温材付き管。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つに記載の保温材付き管において、前記保温材に対する外装管の軸心方向の移動がビス、テープ、又は、Oリング等の抵抗手段を介して防止されることを特徴とする保温材付き管。
【請求項5】
請求項3に記載の保温材付き管において、前記本管につばを有するキャップがそれぞれ嵌挿され、キャップの内周面に設けたOリングを介して本管に対するキャップの軸心方向の移動が防止されるとともに、つばが保温材及び外装管の端縁部に突き当てられて保温材及び外装管の軸心方向の移動が防止されることを特徴とする保温材付き管。
【請求項6】
樹脂製の直管状本管の外周面に該本管の外径に対応する内径を有して少なくとも二分割された保温材を装着した後、保温材の外周面に該保温材の外径に対応する内径を有する樹脂製の外装管を嵌挿することを特徴とする保温材付き管の製造方法。
【請求項7】
樹脂製の直管状本管の外周面に該本管の外径に対応する内径を有して少なくとも二分割された保温材を装着した後、保温材の外径未満の内径を有する樹脂製の外装管を加熱し、保温材の外径以上の内径に膨張させて保温材の外周面に嵌挿することを特徴とする保温材付き管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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