説明

保護膜層を蒸着させる装置及び該装置を利用した蒸着方法

【課題】保護膜層を蒸着させる装置及び該装置を利用した蒸着方法を提供する。
【解決手段】基板投入口から基板が装入され基板がキャリアに装着される空間を提供するアンチ・ハイドレーション・モジュールと、アンチ・ハイドレーション・モジュールと連結され真空を維持するロードロック・チャンバと、ロードロック・チャンバと連結されキャリアに装着された基板が移送される複数の真空チャンバと、真空チャンバ内に設けられた蒸着室と、蒸着室内に設けられ基板上に保護膜層の元素材を蒸着させるターゲット部と、アンチ・ハイドレーション・モジュールとロードロック・チャンバと真空チャンバと蒸着室とに連続的に設けられキャリア上に装着された基板を移送させる移送部と、アンチ・ハイドレーション・モジュールとロードロック・チャンバと真空チャンバと蒸着室との境界部に設けられ各空間を選択的に開閉させるゲート弁と、を備えることで保護膜層を蒸着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護膜層を蒸着させる装置に係り、さらに詳細には、基板上に保護膜層を蒸着するときに水分の流入を防止し、水分の排気が容易な保護膜層を蒸着させる装置及び該装置を利用した蒸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、プラズマディスプレイパネル(PDP)は、複数の基板間に複数の放電電極を形成し、基板間の密閉された放電空間に放電ガスを注入した状態で、各放電電極に所定の電源を印加し、放電空間に発生する紫外線によって蛍光体層の蛍光物質を励起させ、発光した光を利用して画像を具現する平板表示装置(flat display device)をいう。
【0003】
PDPの製造工程について簡略に述べれば、次の通りである。
【0004】
第1基板の場合、第1基板上に第1放電電極を形成した後、これを埋め込むように第1誘電体層を印刷し、第1誘電体層の表面に保護膜層を形成する。第2基板の場合、第2基板上に第2放電電極を形成した後、これを埋め込むように第2誘電体層が印刷され、第2誘電体層上に放電セルを区画するための隔壁(バリアリブ)を形成し、隔壁の内側に、赤、緑、青の蛍光体層を塗布する。
【0005】
前記過程を介して完成した第1及び第2基板は、相互整列された状態で対向する内面エッジに対し、ガラスフリット(glass frit)でドーピングされて所定温度で熱処理する過程を介して相互封着させ、封着されたパネル間に残留する水分を始めとする不純物を除去するために、真空状態で排気を行う。次に、キセノン−ネオン(Xe−Ne)を主成分とする放電ガスを注入し、パネルに所定の電圧を印加してエージング(aging)放電させ、ICチップを装着して完成する。
【0006】
このとき、保護膜層は、二次電子放出係数の大きい素材、例えばMgOを利用して形成することによって、その表面から二次電子が放出されることによって、低電圧でガス放電が可能であるように誘導する。
【0007】
図1は、従来の一例による保護膜層を蒸着させる装置100を図示したものである。
【0008】
図面を参照すれば、基板101は、ロボット102によってキャリア(carrier)103上に装着される。
【0009】
前記キャリア103に装着された基板101は、第1ゲート弁104の開放によって、ロードロック・チャンバ105内に装入される。このとき、前記キャリア103は、ローラ119の駆動によって移送される。
【0010】
前記ロードロック・チャンバ105に装入されたキャリア103に装着された基板101は、バッファユニット−1チャンバ106側に移送される。前記バッファユニット−1チャンバ106から蒸着室111の上部、バッファユニット−2チャンバ108を経てリターンチャンバ109まで移送される間、ヒータ110によって前記基板101を工程温度まで加熱する。
【0011】
キャリア103に装着された基板101は、前記リターンチャンバ109下部で前記バッファユニット−2チャンバ108の下部を過ぎ、蒸着室チャンバ111の下部側に移送されつつ、MgO元素材が基板101上に蒸着される。前記基板101に蒸着されるMgO粒子は、プラズマまたは電子ビームソース112によって、炉(hearth)113上のMgO元素材を溶融させることによって蒸発する。
【0012】
蒸着された基板101は、前記バッファユニット−1チャンバ106の下部、ロードロック・チャンバ105、基板取り出し及び装入台114まで移送され、蒸着された基板101は、ロボット102によって取り出される。
【0013】
ところで、前記基板101上にMgO元素材を蒸着するとき、基板101を支持するキャリア103にも、MgO元素材の一部が蒸着される。MgO薄膜は、水分に露出される場合、水分と物理的または化学的に容易に結合を行う傾向がある。キャリア103に吸湿された水分は、蒸着装置100内で放出される場合、蒸着装置100の環境を変化させてMgO薄膜の特性を低下させる問題を引き起こす。また、前記キャリア103は、大気中に露出されることによって、水蒸気圧によって膜特性が低下する現象が発生することになる。
【0014】
かような問題を解決するために、図2に図示されているように、日本・キャノンアネルバ社のTOSS(Transfer Only Substrate System)方式の蒸着装置200は、キャリア203が真空チャンバ内のみで移送され、大気に露出されない構造である。
【0015】
図面を参照すれば、ロードロック・チャンバ205内に装入された基板201は、キャリアリターン・チャンバ(carrier return chamber)206でキャリア203上に装着される。新しい基板201がキャリア203に装着される前に、すでに蒸着された基板201は、キャリアリターン・チャンバ206下部からロードロック・チャンバ205側に移送され、基板が装着されていないキャリア203がキャリアリターン・チャンバ206の上部に移送され、新しい基板201を装着できる。
【0016】
ところで、キャノンアネルバ社のTOSS方式は、真空中でのみ移送されるために、キャリア203に付着したMgOによる水分吸収の問題を遮断できるが、真空中で基板201とキャリア203とを合着及び脱着しなければならないので、基板移送が複雑になるという問題点がある。
【0017】
最近になってパネル用基板は、多面取り工法が適用されるが、大型基板を固定した後でこれを分割し、所望するサイズのパネルに製造している。
【0018】
図3は、一般的な多面取用基板301と、キャリア303と、マスク305とを図示したものである。
【0019】
図面を参照すれば、大型サイズの基板301をキャリア303上に装着し、基板301の蒸着面の一部をマスク305で覆って所望サイズのパネルに製造する。図2のTOSS方式を適用する保護膜蒸着装置で、多面取用大型基板をキャリアリターン・チャンバ206まで移送するためには、ローラ駆動を使用する。
【0020】
このとき、基板301とローラとが接触しうる部分は、基板301のエッジ部分及びマスク305によって覆われている部分のみが可能となる。同じ蒸着装置で多様なサイズのパネルを製造するためには、ローラの間隔と位置とが変更されてこそ可能になる。基板301が初めからキャリア203に装着されて移送されるならば、ローラ間隔の問題は発生しないが、TOSS方式の場合には、キャリアリターン・チャンバ206までは基板301のみが移送されねばならないので、パネル機種の変更のためには、ローラの位置が再調整されねばならない。ローラ間隔を調整するためには、真空を解除せねばならず、再び蒸着するための条件を設定するまでには長時間が要求され、生産性低下の問題が発生してしまう。
【0021】
図4は、日本・UlVA社のCDA(Clean Dry Air)方式の蒸着装置400を示すが、TOSS方式の合着及び脱着が真空ではなく、乾燥した空気で管理される基板装入及び取り出し部404で行われる。新しく装着された基板401は、CDA通路部406を介してキャリア真空装入部407に移送され、ロードロック・チャンバ405を介して蒸着室411に装入される。
【0022】
ところで、CDA方式は、TOSS方式に比べて機種の変更が容易であるという点はあるが、MgOの付着したキャリア403が大気と接触することを完全に遮断できず、蒸着室411の不純物管理がTOSS方式ほどに良好ではない。また、長いCDA通路405の空気を乾燥空気に維持するための維持コストがかかってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、前記のような問題点を解決するためのものであり、キャリア上に基板が装着される基板ローディング部分にチャンバを構成し、窒素雰囲気を形成し、正圧を維持しつつ、外部の水分にキャリアが露出されることを防止するための保護膜層を蒸着させる装置、及び該装置を利用した蒸着方法を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記のような目的を達成するために、本発明の一側面による保護膜層を蒸着させる装置は、基板投入口から基板が装入され前記基板がキャリアに装着される空間を提供するアンチ・ハイドレーション・モジュールと、前記アンチ・ハイドレーション・モジュールと連結され真空を維持するロードロック・チャンバと、前記ロードロック・チャンバと連結され前記キャリアに装着された基板が移送される複数の真空チャンバと、前記真空チャンバ内に設けられた蒸着室と、前記蒸着室内に設けられ前記基板上に保護膜層の元素材を蒸着させるターゲット部と、前記アンチ・ハイドレーション・モジュールとロードロック・チャンバと真空チャンバと蒸着室とに連続的に設けられキャリア上に装着された基板を移送させる移送部と、前記アンチ・ハイドレーション・モジュールとロードロック・チャンバと真空チャンバと蒸着室との境界部に設けられ各空間を選択的に開閉させるゲート弁と、を備える。
【0025】
また、前記アンチ・ハイドレーション・モジュールの内部は、不活性雰囲気であることを特徴とする。
【0026】
また、前記基板投入口とアンチ・ハイドレーション・モジュールとの間には、ドアによって選択的に開閉され、前記基板が装入される通路を提供するスリットが形成されている。
【0027】
さらに、前記移送部は、前記キャリアを移送させるキャリアローラ、前記基板を移送させる基板ローラを備える。
【0028】
また、前記キャリアローラは、前記アンチ・ハイドレーション・モジュールと、ロードロック・チャンバと、真空チャンバと、蒸着室とを介して連続的に配されたことを特徴とする。
【0029】
さらに、前記基板ローラは、前記アンチ・ハイドレーション・モジュール内に設けられたことを特徴とする。
【0030】
本発明の他の側面による保護膜層を蒸着させる装置を利用した蒸着方法は、基板投入口からアンチ・ハイドレーション・モジュール内に基板が装入される段階と、前記装入された基板が上下移送部によってキャリアに装着される段階と、前記キャリアに装着された基板がロードロック・チャンバに移送される段階と、前記キャリアに装着された基板が複数の真空チャンバを通過する段階と、前記チャンバ間の蒸着室でターゲット部によって、前記基板上に保護膜層が蒸着される段階と、前記保護膜層が蒸着された基板が前記真空チャンバと、ロードロック・チャンバと、アンチ−ハイドレーションとを経由して取り出される段階とを含む。
【0031】
また、前記基板は、基板投入口とアンチ・ハイドレーション・モジュールとの間に設けられたスリットを介して、アンチ・ハイドレーション・モジュール内に装入されることを特徴とする。
【0032】
さらに、前記基板がキャリアに装着される段階では、前記基板に向けてキャリアローラによって支持されたキャリアが上昇する段階と、前記キャリアの上面を基板のエッジ下面に載置する段階と、前記基板を支持する基板ローラが下降し、基板から分離される段階と、前記基板の装着されたキャリアがキャリアローラによって移送する段階とを含む。
【0033】
さらに、前記チャンバの一部および前記蒸着室の中には上下分離板が設けられ、上部空間を通過するキャリアに装着された基板から蒸発した水分を外部に排出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明の保護膜層を蒸着させる装置及び該装置を利用した蒸着方法は、次のような効果を得ることができる。
【0035】
第一に、キャリアが大気に露出されないので、長時間使用しても蒸着室内部の水蒸気圧が増大せず、蒸着された保護膜層の一定の品質を確保することができる。
【0036】
第二に、キャリアが一定時間経過した後でも、蒸着室の水蒸気圧が増加しないため、蒸着装置の維持補修期間が延びて生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の一実施形態による保護膜層を蒸着させる装置について詳細に説明する。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態による保護膜層を蒸着させる装置500を図示したものである。
【0039】
図5を参照すれば、前記蒸着装置500は、アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部(anti-hydration loading module part)506と、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506と連通されたロードロック・チャンバ507と、前記ロードロック・チャンバ507と連通された複数の真空チャンバ508と、前記真空チャンバ508内に設けられた蒸着室509とを備える。
【0040】
前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506の前方には、基板投入部505上の基板501が移送される基板投入口515が別途のチャンバから構成されている。前記基板投入口515は、スリット516を介して前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506と連通している。前記基板投入口515は、不活性雰囲気を維持するアンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506の上端に結合され、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506で消耗される不活性ガスの量を最小化させている。
【0041】
前記スリット516は、基板投入部505上の基板501が装入可能な最小限のサイズに形成されており、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506の内部を正圧に維持する役割を行う。前記スリット516には、これを選択的に開閉するために、ドア513が設けられている。前記ドア513は、基板501が装入されるときに開放され、その以外には、前記スリット516を閉鎖させ、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506内部の不活性ガスの損失を防止している。
【0042】
前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506内には、窒素のような不活性ガスが注入されている。それにより、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506の内部は、不活性ガスの雰囲気を維持しているので、水蒸気圧が存在しない状態となる。
【0043】
前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506、ロードロック・チャンバ507、複数の真空チャンバ508、蒸着室509の内部には、キャリア503に装着された基板501を移送させるローラ512が設けられている。前記ローラ512は、図7Aに図示されているような前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506と、ロードロック・チャンバ507と、真空チャンバ508と、蒸着室509との内部を無限軌道運動を行うキャリアローラ512aと、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506内で、前記基板投入口515から装入される基板501をキャリア503上に装着するための基板ローラ512bとである。
【0044】
前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506内には、前記キャリアローラ512aと、基板ローラ512bとを上下に昇降させる上下移送部514が設けられている。前記上下移送部514は、油圧シリンダのような昇降手段によって昇降させることができる構造であれば、いずれか一つに限定されるものではない。前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506内では、キャリアローラ512aと、基板ローラ512bと、それらを昇降させる上下移送部514との作用によって、キャリア503に対して基板501の着脱が可能である。
【0045】
前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506とロードロック・チャンバ507との間には、第1ゲート弁504が設けられている。前記ロードロック・チャンバ507と真空チャンバ508間とのには、第2ゲート弁517が設けられている。それにより、前記ロードロック・チャンバ507は、前記キャリア503に装着された基板501の装入後、前記第1ゲート弁504と第2ゲート弁517とが前記ロードロック・チャンバ507の内部を遮蔽させ、前記ロードロック・チャンバ507の圧力を真空チャンバ508の圧力と同じように調節する。
【0046】
前記真空チャンバ508は、複数のゲート弁、すなわち第3ゲート弁518、第4ゲート弁519、第5ゲート弁520、第6ゲート弁521が設けられることによって、第1チャンバ508aと、第2チャンバ508bと、第3チャンバ508cと、第4チャンバ508dと、第5チャンバ508eとに区画される。前記真空チャンバ508は、複数のチャンバ508aないし508eに区画されることによって、真空維持を段階的に行え、いずれか1つのチャンバに異常が発生しても、当該チャンバのみをゲート弁で遮蔽することによって、修理が容易になされる。
【0047】
前記第3チャンバ508cと第4チャンバ508dとの間には、蒸着室509が設けられている。前記第3チャンバ508cと、蒸着室509と、第4チャンバ508dとには、複数のヒータ510が設けられており、上下分離板511が設けられている。前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506を介して投入されたキャリア503に装着された基板501は、前記ヒータ510によって加熱される。
【0048】
従来の図1、図2、図4の蒸着装置100,200,400は、加熱時にキャリアと基板から吸着された水分が放出され、蒸着室内部の水蒸気圧を増大させる。
【0049】
本実施形態では、前記蒸着室509を分離する上下分離板511が設けられているので、上下移送部514側に別途に真空ポンピングを行うこととなる。その場合、基板501やキャリア503から放出された水分は、蒸着のなされる蒸着室509の下部に移動せずに、排気されて蒸着室509内部の水蒸気圧を増大させない。前記ヒータ510は、前記上下分離板511によって分離された上下空間にそれぞれ設けられており、前記ヒータ510自体が上下分離板の役割を代替することも可能である。
【0050】
前記蒸着室509には、前記基板501上に保護膜層を形成するために、ターゲット部、例えばプラズマまたは電子ビームソース522が設けられており、前記プラズマまたは電子ビームソース522と隣接したところには、炉(hearth)523が設けられており、基板501上に蒸着されるMgOのような保護膜層の元素材は、プラズマまたは電子ビームソース522によって、炉523上の保護膜層の元素材を溶融して蒸発させることができる。
【0051】
前記のような構成を有する保護膜層を蒸着させる装置500の作用について、図5、図6Aないし図6C、図7A及び図7Bを参照しつつ述べれば、次の通りである。
【0052】
まず、図6Aに図示されているように、基板投入口515で、スリット516を介して基板501が装入される。このとき、前記キャリア503は、前記基板投入口515に搬出されないので、前記基板501と共に移送されずに、前記基板501のみ移送される。前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506内では、上下移送部514によって、ローラ512上のキャリア503が上昇することになる。
【0053】
次に、図6Bに図示されているように、前記キャリア503上には、前記基板投入口515を介して装入された基板501が装着される。前記基板501が装入された後には、前記スリット516は、ドア513によって密閉され、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506の内部を正圧に維持する。前記キャリア503上に装着された基板501が前記ロードロック・チャンバ507に進めば、図6Cに図示されているように、上下移送部514は下降する。
【0054】
前記キャリア503に対する基板501が装着される過程は、図7Aに図示されているように、前記スリット516を介して基板ローラ512b上に基板501が支持された状態で、アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506内に装入されれば、上下移送部514によって、キャリア503を支持するキャリアローラ512aが昇降することになる。
【0055】
このとき、前記キャリア503は、四角の枠状に形成されており、基板501は、板型ガラスによって形成されているので、前記基板501の下面は、基板ローラ512bによって支持され、前記キャリア503の下面は、キャリアローラ512aによって支持されているなど、互いに独立的に作用可能である。
【0056】
次に、図7Bに図示されているように、昇降されたキャリアローラ512aによって支持されたキャリア503の上面には、前記基板ローラ512bによって移送された基板501の下面が載置されることになる。前記基板501がキャリア503上に無事に載置されれば、前記基板ローラ512bは、前記上下移送部514によってアンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506の下部空間に下降する。
【0057】
それにより、前記キャリア503上には、基板501が装着され、前記キャリア503は、キャリアローラ512aによって、前記ロードロック・チャンバ507内に移送が可能である。また、前記基板ローラ512bは、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506の内部でのみ昇降することになる。
【0058】
次に、第1ゲート弁504が開放され、前記キャリア503に装着された基板501は、キャリアローラ512aの回転動によって、ロードロック・チャンバ507内に移送される。このとき、前記ロードロック・チャンバ507の内部は、真空ポンプを利用して圧力を第1真空チャンバ508aと相応するように調節する。
【0059】
次に、第2ゲート弁517が開放され、前記キャリア503に装着された基板501は、第1真空チャンバ508a、第2真空チャンバ508bを過ぎて、上下分離板511によって分離された第3真空チャンバ508c、蒸着室509、第4真空チャンバ508dの上部空間を過ぎることとなる。
【0060】
このとき、第3真空チャンバ508c、蒸着室509、第4真空チャンバ508dの上部空間には、複数のヒータ510が設けられているので、移送されるキャリア503に装着された基板501は、加熱されつつ水分を放出する。前記ヒータ510によって加えられる加熱温度は、約100ないし400℃、望ましくは250℃ほどである。放出された水分は、第3真空チャンバ508c、蒸着室509、第4真空チャンバ508dの上部空間側で、別途の真空ポンピングを介して外部に速かに排出される。
【0061】
次に、前記キャリア503に装着された基板501は、第5チャンバ508eを経由しつつリターンされるので、第4チャンバ508d、蒸着室509の下部空間を過ぎる。
【0062】
前記キャリア503に装着された基板501が蒸着室509の下部空間に移送されれば、保護膜層の元素材が基板501上に蒸着される。前記基板501に蒸着されるMgOのような保護膜層の粒子は、プラズマまたは電子ビームソース522によって、炉523上の保護膜層の元素材を溶融させることによって蒸発させる。
【0063】
蒸着された前記キャリア503に装着された基板501は、第3チャンバ508cの下部空間、第2チャンバ508b、第1チャンバ508aの方向に続けて移送され、第2ゲート弁517が開放されば、ロードロック・チャンバ507まで移送され、一定時間の冷却時間を経た後に、第1ゲート弁504の開放によって、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506に移送される。
【0064】
前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506に移送されたキャリア503に装着された基板501は、上下移送部514によるキャリアローラ512aと基板ローラ512bとの相互作用によって、前記アンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部506の上部に移動することになる。次に、ドア513がスリット506を開放し、前記基板501は、基板ローラ512bによって基板投入口515から取り出される。
【0065】
本発明は、図面に図示された一実施形態を参考にして説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者ならば、それらから多様な変形及び均等な他実施形態が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によってのみ決まるのである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の保護膜層を蒸着させる装置及び該装置を利用した蒸着方法は、キャリア上に基板が装着される基板ローディング部分にチャンバを構成して外部の水分にキャリアが露出されることを防止するための保護膜層を蒸着させる装置及び該装置を利用した蒸着方法を提供するものであって、蒸着された保護膜層の一定の品質を確保することができ、例えばPDD関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】従来の一例による保護膜層を蒸着させる装置を図示した構成図である。
【図2】従来の他の例による保護膜層を蒸着させる装置を図示した構成図である。
【図3】一般的なキャリアに実装された基板を図示した平面図である。
【図4】従来のさらに他の例による保護膜層を蒸着させる装置を図示した構成図である。
【図5】本発明の一実施形態による保護膜層を蒸着させる装置を図示した構成図である。
【図6A】図5のアンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部の部分を拡大図示した構成図である。
【図6B】図5のアンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部の部分を拡大図示した構成図である。
【図6C】図5のアンチ・ハイドレーション・ローディング・モジュール部の部分を拡大図示した構成図である。
【図7A】図5のキャリアについて、基板が装着される前の状態を概略的に図示した断面図である。
【図7B】図7Aのキャリアに対ついて、基板が装着された後の状態を概略的に図示した断面図である。
【符号の説明】
【0068】
100、200、400、500 蒸着装置
101、201、301、501 基板
102 ロボット
103、203、303、403、503 キャリア
104、504 第1ゲート弁
105、205、405、507 ロードロック・チャンバ
106 バッファユニット1チャンバ
108 バッファユニット2チャンバ
109 リターンチャンバ
110 ヒータ
111 蒸着室チャンバ
112 電子ビームソース
113 炉
114 基板取り出し及び装入台
119、512 ローラ
206 キャリアリターン・チャンバ
305 マスク
404 基板取り出し及び装入部
406 CDA通路部
407 キャリア真空装入部
411、509 蒸着室
505 基板投入部
506 アンチ・ハイドレーション・ローディングモジュール部
508 真空チャンバ
508a 第1チャンバ
508b 第2チャンバ
508c 第3チャンバ
508d 第4チャンバ
508e 第5チャンバ
511 上下分離板
512a キャリアローラ
512b 基板ローラ
513 ドア
514 移送部
515 基板投入口
516 スリット
517 第2ゲート弁
518 第3ゲート弁
519 第4ゲート弁
520 第5ゲート弁
521 第6ゲート弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板投入口から基板が装入され、前記基板がキャリアに装着される空間を提供するアンチ・ハイドレーション・モジュールと、
前記アンチ・ハイドレーション・モジュールと連結され、真空を維持するロードロック・チャンバと、
前記ロードロック・チャンバと連結され、前記キャリアに装着された基板が移送される複数の真空チャンバと、
前記真空チャンバ内に設けられた蒸着室と、
前記蒸着室内に設けられ、前記基板上に保護膜層の元素材を蒸着させるターゲット部と、
前記アンチ・ハイドレーション・モジュールと、ロードロック・チャンバと、真空チャンバと、蒸着室とに連続的に設けられ、キャリア上に装着された基板を移送させる移送部と、
前記アンチ・ハイドレーション・モジュールと、ロードロック・チャンバと、真空チャンバと、蒸着室との境界部に設けられ、各空間を選択的に開閉させるゲート弁とを備えることを特徴とする保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項2】
前記アンチ・ハイドレーション・モジュールの内部は、不活性雰囲気であることを特徴とする請求項1に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項3】
前記基板投入口とアンチ・ハイドレーション・モジュールとの間には、ドアによって選択的に開閉され、前記基板が装入される通路を提供するスリットが形成されたことを特徴とする請求項1に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項4】
前記真空チャンバは、多段で真空を維持するために、複数のチャンバに分離されたことを特徴とする請求項1に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項5】
前記チャンバ中の一部と蒸着室は、上下分離板によって上下空間に分離されたことを特徴とする請求項1に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項6】
前記チャンバ中の一部と蒸着室には、前記基板を加熱するヒータが設けられたことを特徴とする請求項5に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項7】
前記ターゲット部は、プラズマまたは電子ビームソースと、保護膜層の元素材が装着された炉とを備えることを特徴とする請求項1に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項8】
前記移送部は、前記キャリアを移送させるキャリアローラ、前記基板を移送させる基板ローラを備えることを特徴とする請求項1に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項9】
前記キャリアローラは、前記アンチ・ハイドレーション・モジュールと、ロードロック・チャンバと、真空チャンバと、蒸着室とを介して、連続的に配されたことを特徴とする請求項8に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項10】
前記基板ローラは、前記アンチ・ハイドレーション・モジュール内に設けられたことを特徴とする請求項8に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項11】
前記アンチ・ハイドレーション・モジュール内には、前記キャリアローラと、基板ローラを昇降させる上下移送部とがさらに設けられたことを特徴とする請求項10に記載の保護膜層を蒸着させる装置。
【請求項12】
基板投入口からアンチ・ハイドレーション・モジュール内に基板が装入される段階と、
前記装入された基板が上下移送部によってキャリアに装着される段階と、
前記キャリアに装着された基板がロードロック・チャンバに移送される段階と、
前記キャリアに装着された基板が複数の真空チャンバを通過する段階と、
前記真空チャンバ間に設けられた蒸着室のターゲット部によって、前記基板上に保護膜層が蒸着される段階と、
前記保護膜層が蒸着された基板が前記真空チャンバと、ロードロック・チャンバと、アンチ−ハイドレーションとを経由して取り出される段階とを含むことを特徴とする保護膜層を蒸着させる方法。
【請求項13】
前記基板は、基板投入口とアンチ・ハイドレーション・モジュールとの間に設けられたスリットを介して、アンチ・ハイドレーション・モジュール内に装入されることを特徴とする請求項12に記載の保護膜層を蒸着させる方法。
【請求項14】
前記基板が前記キャリアに装着される段階は、
前記キャリアが前記基板に向けて上昇する段階と、
前記キャリアの上面を基板のエッジ下面に載置する段階と、
前記基板を支持する基板ローラが下降し、基板から分離される段階と、
前記基板の装着されたキャリアが前記キャリアローラによって移送する段階と、を含むことを特徴とする請求項12に記載の保護膜層を蒸着させる方法。
【請求項15】
アンチ・ハイドレーション・モジュールの内部は、不活性雰囲気を維持することを特徴とする請求項12に記載の保護膜層を蒸着させる方法。
【請求項16】
前記ロードロック・チャンバでは、前記キャリアに装着された基板が移送された後でゲート弁を閉鎖し、隣接するように連通された前記真空チャンバの圧力と相応するように調節することを特徴とする請求項12に記載の保護膜層を蒸着させる方法。
【請求項17】
前記キャリアに装着された基板が、前記真空チャンバの一部と、前記真空チャンバの間に設けられた蒸着室とを通過するときに、前記真空チャンバの一部および前記蒸着室の内部に設けられたヒータを加熱してキャリアに装着された基板上の水分を蒸発させることを特徴とする請求項12に記載の保護膜層を蒸着させる方法。
【請求項18】
前記チャンバの一部および前記蒸着室の中には上下分離板が設けられ、上部空間を通過するキャリアに装着された基板から蒸発した水分を外部に排出させることを特徴とする請求項17に記載の保護膜層を蒸着させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2008−231575(P2008−231575A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76046(P2008−76046)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】