説明

保護部材付電線

【課題】多品種生産及び設計変更への柔軟な対応が可能な保護部材付電線を提供すること。
【解決手段】保護部材付電線1において、保護部材10は、本体部材3とカバー部材4とからなる。本体部材3は、電線2を敷設可能な複数の経路からなる経路網が一の面に沿って形成され、経路網内の複数の位置に複数の通気孔34が形成された部材である。電線2は、本体部材3における経路網内の一部の選択経路に沿って敷設されている。カバー部材4は、本体部材3の一の面を覆う熱可塑性樹脂のシートが本体部材3の通気孔34を通じた空気吸引により真空成形された部材である。真空成形により、カバー部材4には経路網に沿う窪み部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される保護部材付電線に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される電線は、保護部材が取り付けられることにより、枝分かれした経路に沿う予め定められた敷設形状に維持された状態で車両等に搭載されることが多い。保護部材付電線の組み立ては、例えば、電線を、組立図板上に敷設形状に沿って立設された治具に支持させつつ布線し、布線された電線を粘着テープにより結束し、さらに、電線における定められた部位に樹脂製の保護部材、又は電線を車体等の支持体に固定するための固定用部品であるクランプなどの装着部品を取り付けることによって行われる。
【0003】
従来の保護部材付電線の組み立て工程は、工程数及び治具などの必要器具が多く、作業負荷及び必要コストが大きい。そのため、より小さな作業負荷及びコストで組み立て可能な保護部材付電線が求められている。
【0004】
上記の要求に対し、例えば特許文献1には、成形用金型を用いて保護部材付電線を作製することが提案されている。特許文献1に示される保護部材付電線は、電線が、成形用金型における枝分かれした形状の溝内に布線され、さらに、樹脂がその成形用金型によってモールドされることにより作製される。これにより、電線と、枝分かれした形状で形成されるとともに電線の周囲を覆う樹脂製の保護部材と、を備えた保護部材付電線が作製される。
【0005】
特許文献1に示される保護部材付電線は、組立図板及び治具を用いることなく比較的簡易な工程によって作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−6129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示される保護部材付電線は、その作製のために電線の敷設形状ごとに異なる成形用金型を必要とする。また、成形用金型は、その設計及び製造のために大きな工数及びコストを要し、さらに、樹脂成形工程において、複数の成形用金型を取り替えつつ使用する手間は煩雑である。
【0008】
従って、特許文献1に示される保護部材付電線は、その設計及び製造に要する工数及びコストの面において、多品種生産及び設計変更への柔軟な対応が難しいという問題点を有している。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、多品種生産及び設計変更への柔軟な対応が可能な保護部材付電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る保護部材付電線は、以下に示す各構成要素を備える。
(1)第1の構成要素は、電線を敷設可能な複数の経路からなる経路網が一の面に沿って形成され、経路網内の複数の位置に複数の通気孔が形成された第一保護部材である。
(2)第2の構成要素は、第一保護部材における経路網内の一部の選択経路に沿って敷設された電線である。
(3)第3の構成要素は、電線が敷設された第一保護部材の一の面を覆う熱可塑性樹脂のシートが第一保護部材の通気孔を通じた空気吸引により真空成形された部材であり、第一保護部材の一の面を覆うとともに経路網に沿う窪み部が形成された第二保護部材である。なお、薄い板及びフィルムはシートの一例である。
【0011】
第2発明に係る保護部材付電線は、第1発明に係る保護部材付電線の構成を備え、さらに、当該保護部材付電線において、第一保護部材が、一の面に、相互間に経路の交差部を含む経路網を形成する複数の突起を備える。
【0012】
第3発明に係る保護部材付電線は、第2発明に係る保護部材付電線の構成を備え、さらに、当該保護部材付電線において、複数の突起が、保護部材の一の面において格子点を成す位置に配列されている。
【0013】
第4発明に係る保護部材付電線は、第1発明から第3発明のいずれかに係る保護部材付電線の構成を備え、さらに、当該保護部材付電線において、複数の突起各々が中空の突起である。
【発明の効果】
【0014】
第1発明において、第一保護部材及び第二保護部材のセットが、電線の一部を両側から挟むことにより電線の一部を覆う保護部材を構成している。そして、第1発明によれば、電線が、第一保護部材の経路網に含まれる複数の経路の中から選択された経路に沿う状態で敷設されるだけで、電線は、選択経路に沿う形状に維持される。また、第一保護部材の経路網における選択経路が変更されるだけで、1種類の第一保護部材を、多種類の保護部材付電線において共用すること、及び設計変更前後の保護部材付電線に適用することが可能となる。
【0015】
さらに、第一保護部材における経路網内の複数の位置に真空成形用の通気孔が形成されている。そして、第二保護部材は、熱可塑性樹脂のシートが第一保護部材の通気孔を用いて真空成形された部材である。その真空成形により、第二保護部材には、第一保護部材の経路網に沿う窪み部が形成される。そのため、第一保護部材の経路網の部分と第二保護部材の窪み部との間隔が、真空成形により狭められ、電線の厚みに応じた間隔に調節される。その結果、電線が、第一保護部材と第二保護部材との間で振動して騒音を発する事態が回避される。
【0016】
また、第2発明によれば、保護部材において、経路網が複数の突起により構成されるので、保護部材の経路網が簡単な構成により形成される。
【0017】
また、第3発明によれば、格子点を成す位置に配列された複数の突起が、格子状の経路網を形成するため、行方向及び列方向の部分経路の組合せにより、非常に多くの種類の経路を選択することができる。
【0018】
また、第4発明によれば、複数の突起が、中空の突起であるため、第一保護部材を軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る保護部材付電線1の平面図である。
【図2】保護部材付電線1の側断面図である。
【図3】支持体に固定された保護部材付電線1の側断面図である。
【図4】保護部材付電線1の製造方法を説明するための第1の図である。
【図5】保護部材付電線1の製造方法を説明するための第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であり、本発明の技術的範囲を限定する事例ではない。
【0021】
<保護部材付電線1の構成>
まず、図1から図3を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る保護部材付電線の構成について説明する。図1には保護部材付電線1の平面図が、図2には図1に示される保護部材付電線1を矢印Aからみた側断面図が、それぞれ示されている。また、図3には、支持体に固定された保護部材付電線1の側断面図が示されている。図2及び図3は、同じ位置での断面図である。
【0022】
保護部材付電線1は、電線2と、本体部材3及びカバー部材4からなる保護部材10とを備える。電線2は、例えば、車両等において各種電気機器間を相互接続する被覆電線などである。なお、保護部材付電線1が備える電線2は、1本の電線であってもよいし、複数本の電線からなる電線束であってもよい。
【0023】
本体部材3は、電線2を保護する部材として機能するとともに、電線2を定められた敷設形状に維持する形状規制部材として機能する。
【0024】
本体部材3は、平坦な矩形状のベース部31と、本体部材3の表裏の面のうちの一方の面(第一の面)のほぼ全域に亘る範囲内に立設された複数の突起32とを備える。各突起32は、中空の突起であり、本体部材3の第一の面において格子点を成す位置に配置されている。
【0025】
なお、各突起32は、平面視において、角が丸められた(アールがつけられた)多角形状(例えば、矩形状)とすることが好ましい。また、各突起32は、先端が僅かに細くなる形状(テーパー状)とすることが好ましい。
【0026】
また、図1及び図2に示される例において、各突起32は、中空の突起である。これにより、本体部材3を軽量化できるという利点が得られる。この場合、各突起32の底部及び頭頂部は閉じられていてもよいし、開口していてもよい。図2に示される例では、各突起32の頭頂部は閉じられており、各突起32の底部は開口している。
【0027】
複数の突起32の相互間に形成される隙間は、電線2の敷設が可能な複数の経路からなる経路網を形成し、その経路網は、経路の交差部を含む。本実施形態において、複数の突起32は、本体部材3の第一の面における格子点を成す位置に配列されている。これにより、本体部材3の第一の面には格子状の経路網が形成されている。
【0028】
電線2は、本体部材3の経路網内の経路から選択された一部の経路である選択経路に沿って敷設され、これにより、電線2は、選択経路に沿う形状に保持される。さらに、電線2は、選択経路に沿う状態で、その延在方向の定められた位置(固定位置)Pにおいて本体部材3に対して固定される。なお、複数の突起32のそれぞれが、角が丸められた多角形状であれば、突起32に沿って敷設された電線2が傷つきにくいという利点が得られる。
【0029】
また、本体部材3のベース部31には、その外縁部における複数の箇所においてクランプ孔33が形成されている。このクランプ孔33は、保護部材付電線1を車両の金属パネル又は樹脂製のパネルなどの支持体の定位置に固定するための固定用部品であるクランプ9が通される貫通孔である。
【0030】
また、本体部材3のベース部31には、経路網内における複数の箇所及びその他の外縁部における複数の箇所において通気孔34が形成されている。この通気孔34は、ごく小さなピンホール状の貫通孔であり、真空成形によってカバー部材4を成形する際に空気の吸引口として用いられる。なお、本体部材3は、第一保護部材の一例である。
【0031】
カバー部材4は、電線2が敷設された本体部材3の第一の面を覆う熱可塑性樹脂のシートが本体部材3の通気孔34を通じた空気吸引により真空成形された部材である。その真空成形により、カバー部材4には、本体部材3の経路網、即ち、本体部材3の第一の面において複数の突起32の間に形成される経路網に沿う窪み部41が形成されている。カバー部材4における窪み部41以外の部分は、本体部材3の突起32に接するベース部42である。
【0032】
カバー部材4は、例えば、ラミネートシートに採用される約100マイクロメートルから約300マイクロメートルの厚みのポリエステルのフィルムなどの熱可塑性樹脂のシートが真空成形された部材である。ここで、シートには、熱可塑性樹脂の薄い板なども含まれる。なお、カバー部材4は、第二保護部材の一例である。
【0033】
図1に示される例では、カバー部材4は透明の部材である。そのため、電線2が、本体部材3とカバー部材4との間に挟まれた後においても、電線2の配線状況を視認することができるため、配線の確認が容易となる。なお、ここに記載の透明という用語は、視認性を妨げない程度に光を透過することを意味し、完全な無色透明であることとの他、有色の透明及び半透明などの意味も含む。
【0034】
また、図3に示されるように、保護部材付電線1は、本体部材3及びカバー部材4のクランプ孔33,43及び支持体90の取付孔91に通されたクランプ9によって支持体90に固定される。このように、保護部材付電線1は、クランプ9をクランプ孔33に差し込むという簡単な作業により、車両の金属パネル又は樹脂パネルなどの支持体90の定位置に固定される。
【0035】
<保護部材付電線1の製造方法>
次に、保護部材付電線1を製造する方法について、図4を参照しながら説明する。図4は、保護部材付電線1を製造する方法を説明するための図である。
【0036】
上述したとおり、本体部材3の第一の面には、隣接する2つの突起32の間に形成された複数の部分経路の集合である格子状の経路網が形成されている。従って、行方向の部分経路及び列方向の部分経路の組合せにより、多数の経路の中から電線2の敷設経路を選択することができる。第1工程においては、本体部材3の第一の面に形成された経路網から電線2を敷設すべき経路が選択される。なお、第1工程の図示は省略されている。
【0037】
第2工程においては、電線2が、第1工程で選択された経路に沿って突起32の間を這わせるようにして本体部材3の第一の面上に敷設される。これによって、電線2が、本体部材3の第一の面に形成された経路網内の一部の選択経路に沿う形状で保持された状態となる。なお、第2工程の図示は省略されている。
【0038】
第3工程においては、ベース部31の端辺と電線2との交差位置である固定位置Pにおいて、電線2が本体部材3に対して固定される。電線2を本体部材3に固定する態様としては、例えば、電線2が、ベース部31に形成された固定用の一対の貫通孔に通されたバンドにより締結されることが考えられる。
【0039】
また、ベース部31の外縁にテープ巻き片が形成され、電線2とテープ巻き片とが、それらに巻き付けられた粘着テープ又は締結用のバンドによって束ねられることにより、電線2がベース部31に固定されることも考えられる。また、電線2が、接着剤によってベース部31に接着されることも考えられる。
【0040】
次に、第4工程及び第5工程において、真空成形工程が実施される。真空成形工程は、型枠部材51、シート支持部52及びヒータ53を含む真空成形装置50を用いて実施される。
【0041】
まず、第4工程において、図4に示されるように、カバー部材4の元となる熱可塑性樹脂のシート400が、その縁部においてシート支持部52によって支持された状態で、ヒータ53で加熱される。本実施形態においては、シート400には、本体部材3のクランプ孔33と重なるクランプ孔43が予め形成されている。シート400は、加熱により柔らかく成形しやすい状態となる。
【0042】
次に、第5工程において、図5に示されるように、加熱されたシート400が、型枠部材51によって支持された本体部材3の第一の面に被せられる。型枠部材51は、その表面が、本体部材3における第一の面と反対側の第二の面の形状に沿って形成された部材である。そのため、型枠部材51には、本体部材3のベース部31の部分をその第二の面の側の形状に沿って支えるベース支持部511と、本体部材3の突起32の部分をその第二の面の側の形状に沿って支える突起支持部512とが形成されている。
【0043】
さらに、本実施形態における型枠部材51には、重ねられた本体部材3及びシート400のクランプ孔33,43に貫通することにより、本体部材3及びシート400を位置決めする位置決め用突起部513が形成されている。
【0044】
また、型枠部材51には、本体部材3の複数の通気孔514各々と重なる位置において複数の通気孔514が形成されている。本体部材3が型枠部材51に支持された状態において、本体部材3の通気孔34と型枠部材51の通気孔514とは連通する。
【0045】
さらに、第5工程において、不図示の吸引装置により、型枠部材51における本体部材3に対向する側に対し反対側から空気の吸引が行われる。これにより、本体部材3の経路網内の空気が、通気孔34,514を通じて排出され、経路網内の圧力が下がる。そして、加熱されたシート400における経路網に対向する部分が、吸引力によって本体部材3側へ撓んで変形する。これにより、シート400は、経路網に沿う窪み部41が形成されたカバー部材4へと成形される。
【0046】
最後に、第6工程において、本体部材3とカバー部材4とが、それらが接触する部分において、超音波溶接又は接着剤による接着などによって接合される。これにより、本体部材3とカバー部材4とが、合体した状態で保持される。このようにして合体した本体部材3及びカバー部材4が保護部材10である。
【0047】
なお、カバー部材4と保護部材3とが、一方に形成された引っ掛かり部付きの突起部と他方に形成された孔の縁部とにより構成される抜け止め機構により合体した状態で保持されることも考えられる。以上の工程により、保護部材付電線1を得ることができる。
【0048】
<効果>
上記の実施の形態によれば、電線2が、本体部材3の経路網に含まれる複数の経路の中から選択された経路に沿う状態で敷設されるだけで、電線2は、選択経路に沿う形状に維持される。また、本体部材3の経路網における選択経路が変更されるだけで、1種類の本体部材3を、多種類の保護部材付電線1において共用すること、及び設計変更前後の保護部材付電線1に適用することが可能となる。
【0049】
さらに、保護部材付電線1において、本体部材3及びカバー部材4にクランプ孔33,43が形成されているため、保護部材付電線1は、クランプ孔33,43に通されたクランプ9により、車両のパネルなどの支持体90に対して簡単に固定される。
【0050】
また、本体部材3において、経路網が複数の突起32により構成されるので、本体部材3の経路網が簡単な構成により形成される。さらに、格子点を成す位置に配列された複数の突起32が、格子状の経路網を形成するため、行方向及び列方向の部分経路の組合せにより、非常に多くの種類の経路を選択することができる。さらに、複数の突起32が、中空の突起であるため、本体部材3を軽量化できる。
【0051】
また、真空成形により得られたカバー部材4には、本体部材3の経路網に沿う窪み部41が形成されている。そのため、本体部材3の経路網の部分とカバー部材4の窪み部41との間隔が、真空成形により狭められ、電線2の厚みに応じた間隔に調節される。その結果、電線2が、本体部材3とカバー部材4との間で振動して騒音を発する事態が回避される。
【0052】
<変形例>
保護部材付電線1を製造する工程において、本体部材3における選択経路以外の経路のみを含む領域、即ち、電線2が敷設されていない一部の領域を切り取る工程が実施されてもよい。これにより、保護部材付電線1の重量及び設置スペースをより低減することができる。
【0053】
また、上記の実施の形態においては、複数の突起32が形成されることにより本体部材3の第一の面に経路網が形成されることとしたが、経路網を形成する態様は、必ずしも突起を形成する態様に限らない。例えば、ベース部31に形成された溝(例えば、格子状の溝)が、経路網を形成してもよい。
【0054】
また、上記の実施の形態においては、複数の突起32が格子点を成す位置に配置されているが、本体部材3の第一の面に形成される経路網は、少なくとも選択可能な2以上の経路を含む経路網であればよい。つまり、本体部材3の第一の面に形成される経路網は、必ずしも格子状でなくともよく、また、必ずしも規則的でなくともよい。例えば、複数の突起32が、ベース部31上の同心の円周上に間隔をおいて配置されることが考えられる。この場合、放射状の経路と円周上の経路とが交わる経路網が形成される。また例えば、複数の突起32が不規則に配置されることにより、不規則な経路網が形成されてもよい。
【0055】
また、上記の実施の形態においては、本体部材3の第一の面のほぼ全域に経路網が形成されているが、経路網は第一の面の一部領域に形成されてもよい。
【0056】
また、上記の実施の形態においては、カバー部材4が、本体部材3に対して溶接、接着又は抜け止め機構により固定される例が示されている。しかしながら、カバー部材4が、本体部材3に対して溶接などにより固定されない場合も考えられる。この場合、本体部材3のクランプ孔33及びこれに重なるカバー部材4のクランプ孔43に通されるクランプ9が、本体部材3及びカバー部材4を合体した状態で保持する。
【0057】
また、上記の実施の形態において、本体部材3に形成される各突起32は、平面視において、角が丸められた多角形状であるとしたが、平面視において円形状であってもよい。また、各突起32が、中空の突起ではなく、棒状の突起などであることも考えられる。
【0058】
また、上記の各実施の形態において、本体部材3及びカバー部材4は、例えば、ポリプロピレン(PP)又はポリアミド(PA)などの樹脂の成形部材であることが考えられる。
【符号の説明】
【0059】
1 保護部材付電線
2 電線
3 本体部材
4 カバー部材
9 クランプ
31 保護部材のベース部
32 突起
33 本体部材のクランプ孔
34 本体部材の通気孔
41 カバー部材の窪み部
42 カバー部材のベース部
43 カバー部材のクランプ孔
50 真空成形装置
51 型枠部材
52 シート支持部
53 ヒータ
90 支持体
91 支持体の取付孔
400 熱可塑性樹脂のシート
511 ベース支持部
512 突起支持部
513 位置決め用突起部
514 型枠部材の通気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を敷設可能な複数の経路からなる経路網が一の面に沿って形成され、前記経路網内の複数の位置に複数の通気孔が形成された第一保護部材と、
前記第一保護部材における前記経路網内の一部の選択経路に沿って敷設された電線と、
前記電線が敷設された前記第一保護部材の前記一の面を覆う熱可塑性樹脂のシートが前記第一保護部材の前記通気孔を通じた空気吸引により真空成形された部材であり、前記第一保護部材の前記一の面を覆うとともに前記経路網に沿う窪み部が形成された第二保護部材と、を備えることを特徴とする保護部材付電線。
【請求項2】
請求項1に記載の保護部材付電線であって、
前記第一保護部材が、前記一の面に、相互間に前記経路の交差部を含む前記経路網を形成する複数の突起を備える保護部材付電線。
【請求項3】
請求項2に記載の保護部材付電線であって、
複数の前記突起が、前記保護部材の前記一の面において格子点を成す位置に配列されている保護部材付電線。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の保護部材付電線であって、
複数の前記突起各々が中空の突起である保護部材付電線。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−221916(P2012−221916A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90041(P2011−90041)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】