説明

信号処理方法及びそれを適用したパルスフォトメータ

【課題】ノイズの重畳した観測信号から容易にノイズを除去して脈波データを抽出して、
吸光度比を求めることにある。
【解決手段】異なる2つの波長の光を生体組織に照射して透過または反射した各波長の光を電気信号に
変換して得られた各波長の測定脈波データに対して前処理を施すステップと、
前記各波長の前記前処理された脈波データを複数の交流周波数帯域毎に分割して、交流周波数帯域毎に白色化処理をするステップとを含み、脈波信号とノイズ信号とを分離することを特徴とする信号処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の波長で測定した光電脈波を用いて生体情報を測定する装置、特に有効には呼吸器・循環器系の診断に用いられるパルスフォトメータの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
医療に際し、血液に含まれる吸光物質濃度測定として、酸素飽和度SpO2の測定、一酸化炭素ヘモグロビンやMetヘモグロビン等の特殊ヘモグロビンの濃度測定、注入色素濃度の測定を目的としたパルスフォトメータが知られている。
酸素飽和度SpO2の測定装置を特にパルスオキシメータと呼んでいる。
【0003】
パルスオキシメータの原理は、対象物質への吸光特性が異なる複数の波長の光を生体組織に透過させ、その透過光の光量を連続的に測定することで得られる脈波から対象物質の濃度を求めるものである。
本出願人は、特許第3270917号(特許文献1)において、異なる2つの波長の光を生体組織に照射して透過光から得られる2つの脈波のそれぞれの大きさを縦軸、横軸としてグラフを描き、その回帰直線を求め、その回帰直線の傾きに基づいて、動脈血中の酸素飽和度ないし吸光物質濃度を求めることを提案している。
この発明により、測定精度を高め、低消費電力化することができた。
しかし、各波長の脈波についての多くのサンプリングデータを用いて回帰直線ないしその傾きを求めるためには、なお多くの計算処理を要していた。
【0004】
【特許文献1】特許第3270917号 (請求項1、2、図2、図4)
【0005】
次に、本発明の前提である、動脈血酸素飽和度を測定するパルスオキシメータを例に挙げて原理を説明する。
なお、この技術は、パルスオキシメータに限られず、特殊ヘモグロビン(一酸化炭素ヘモグロビン、Metヘモグロビンなど)、血中に注入された色素などの血中吸光物質をパルスフォトメトリーの原理を用いて測定する装置(パルスフォトメータ)に適用できる。
【0006】
図 1に装置のブロック図を示す。パルスオキシメータを例にして説明する。
通常、測定は被測定部にプローブ1が装着される。
演算処理・制御部8で、異なる波長の光を発生する発生手段(LEDs)2、赤色発光ダイオード(以下R-LED)及び赤外光発光ダイオード(以下IR-LED)の発光タイミングが生成され、発光ダイオード駆動部4によってプローブ内のR-LED及びIR-LEDが交互に発光する。
LEDs2によって発せられた光は、プローブ装着部が装着された被測定部を透過しプローブ内の受光部PD(Photo Diode)3で受光される。
受光部PD3で光から電気に変換された信号は入力部5にて電圧に変換される。
この受光信号には、被測定部での脈動の光学特性を反映した成分がAC成分として現れる。
受光部PD3から得られた信号を、復調回路6で赤外光(IR)及び赤色光(R)の波長に分離・復調処理して、AD変換回路7によりそれぞれデジタル化された信号を演算処理・制御部8に与えて演算処理することによって、例えば、酸素飽和度SpO2を算出するものである。
【0007】
前記AD変換回路7によってデジタル化された赤外光(IR)及び赤色光(R)に対応する信号が、それぞれの測定脈波データを形成している。
組織の透過光の吸光度Aは、血液の減光度をAb、その他の組織の減光度をAtとすると、次式で表わされる。
【0008】
【数1】

【0009】
Iout:透過光強度
Iin:入射光強度
E:血液の吸光係数
C:血中のヘモグロビン濃度
D:血液の厚み
血液の動脈により血液の厚みがD+ΔDとなったとき、(1)式は次のようになる。
【0010】
【数2】

【0011】
(2)式―(1)式
【0012】
【数3】

【0013】
波長λ1,λ2それぞれについて(3)式は次のようになる。
【0014】
【数4】

【0015】
添字1,2はそれぞれ波長λ1,λ2に関するものであることを示している。(4)式÷
(5)式=ΦSとすると、
【0016】
【数5】

【0017】
となり、Δln(Iout1) ,Δln(Iout2)を測定してΦSを求め酸素飽和度SpO2を
【0018】
【数6】

【0019】
として求められる。
【0020】
このΔln(Iout1) ,Δln(Iout2)に脈動を反映した成分以外に、体動等の影響が重畳すると各波長の吸光度は
【0021】
【数7】

【0022】
En:ノイズ源の吸光係数
Cn:ノイズ源の濃度
Dn:ノイズ源の厚み変化
で表現され、脈動成分を反映した波形(脈波)のみは得られず、ノイズが重畳した信号が観測される。
この場合の吸光度比Φ’は
【0023】
【数8】

【0024】
となり、動脈血酸素飽和度とは一致しない。
図2(a)は各波長での所定時間毎の透過光強度データの対数を取り、その平均値をゼロとする処理もしくは低域除去フィルタ処理を行った波形である。
図2(a)のほぼ同時刻(脈波の周波数成分に比べて十分短い)に測定された波形データを用いて、横軸に赤外光の振幅、縦軸に赤色光の振幅として表したグラフを図2(b)に示す。
観測データが脈波成分のみを反映していれば、このグラフはほぼ直線上にのり、この直線の傾きが吸光度比Φsを表す。
しかし、図3(a)に示すようにノイズが重畳した場合、ノイズは脈波成分とは異なり、ノイズの吸光度比と動脈の吸光度比の合成された結果となる(図3(b))。
【0025】
上述の如く、測定された脈波データにノイズが含まれていると正確な吸光度比の測定ができないので、ノイズを除去する必要がある。
このノイズの除去の手法としては、従来から周波数解析手法及び独立成分分析が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
しかし、周波数解析手法では、測定された脈波データの信号成分の基本波或いはその高調波とノイズの周波数が重なった場合には、信号成分の抽出が困難になるという問題があった。
また、独立成分分析手法では、測定信号が測定脈波データ以上の独立成分に分解できないため、複数ノイズ源が存在した場合に分離が困難であるという問題があった。
【0027】
本願発明の課題(目的)は、ノイズの重畳した観測信号から容易にノイズを除去して脈波データを抽出して、吸光度比を求めることにある。
また、ノイズを除去した脈波データを用いたパルスフォトメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、異なる2つの波長の光を生体組織に照射して透過または反射した各波長の光を電気信号に変換して得られた各波長の測定脈波データに対して前処理を施すステップと、前記各波長の前記前処理された脈波データを複数の交流周波数帯域に分割して、各周波数帯域毎に白色化処理をするステップとを含み、脈波信号とノイズ信号とを分離する。(請求項1)
【0029】
また、前記白色化処理に独立成分分析を用いる。(請求項2)
また、請求項1乃至2のいずれかの方法で、異なる2つの波長の光を生体組織に照射して透過または反射した各波長の光を電気信号に変換して得られた各波長の測定脈波データを処理して分離した脈波信号とノイズ信号とにより、各周波数成分毎のS/N比を得る。(請求項3)
【0030】
また、請求項1乃至3のいずれかの方法で、異なる2つの波長の光を生体組織に照射して透過または反射した各波長の光を電気信号に変換して得られた各波長の測定脈波データを処理してノイズ成分と信号成分を分離するパルスフォトメータ。(請求項4)
また、前記分離された信号成分から、脈拍波形を得るパルスフォトメータ。
また、前記分離された信号成分から、脈の検出或いは周波数解析から脈拍数を算出するパルスフォトメータ。
【0031】
なお、参考例は、手順(ステップ)を限定した方法の発明であるが、各手順(ステップ)それぞれの機能を達成する手段として、装置の発明とすることも可能である。
【発明の効果】
【0032】
本発明では、予め既知の吸光度比を用いることで、脈波信号とノイズ信号とを分離、ノイズの軽減された脈波信号を取得することが可能である。
また、既知の吸光度比の利用にはアフィン変換を用い、観測信号を白色化(whitening)し、脈波信号とノイズ信号とを分離、ノイズの軽減された脈波信号を取得することが可能である。
また、脈波信号周波数帯域内を複数の範囲に分離し、周波数帯域毎の吸光度比主成分を求め、その同一性を利用することで観測信号にノイズが混入していないかを判定することができる。
また、既知の吸光度比を利用したアフィン変換は、既知の吸光度比を利用した一回目の回転と、ノイズを除去するのに適した係数を決定でき、ノイズの軽減された脈波信号を取得することが可能である。
また、ノイズの軽減された脈波信号から、脈の検出或いは周波数解析から脈拍数を求めることができる。
また、脈波信号周波数帯域内を複数の範囲に分離する事で、信号源の数を減らし、周波数範囲毎に白色化(whitening)する事で、脈波信号の吸光度比とノイズ信号の吸光度比とを求めることができる。
また、脈波信号とノイズ信号とを分離して得られるので、周波数毎のS/N比が求められ、信号の評価指標に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
・既知の吸光度比を利用して信号成分とノイズ成分を分離する方法
先ず、図1の構成のプローブ内の受光部PD(Photo Diode)3で受光した光を入力部5にて電圧に変換される。
この受光信号には、被測定部での脈動の光学特性を反映した成分がAC成分として現れる。
受光部PD3から得られた信号を、復調回路6で赤外光(IR)及び赤色光(R)の波長に分離・復調処理して、AD変換回路7によりそれぞれデジタル化する。
【0034】
この赤外光観測信号のデータを
IR={IRi;i=0,1,2,・・・・・}(11)
赤色光観測信号のデータを
R={Ri;i=0,1,2,・・・・・}(12)
観測信号の脈波成分を
S={Si;i=0,1,2,・・・・・}(13)
観測信号のノイズ成分を
N={Ni;i=0,1,2,・・・・・}(14)
とする。
図4に示すように、脈波成分の傾きをφ、ノイズ成分の傾きをψとすると、得られた観測信号(IRi,Ri)
【0035】
【数9】

【0036】
は信号成分:Si,雑音成分:Niの合成ベクトルXiとして表現される。
従って、
【0037】
【数10】

【0038】
【数11】

【0039】
Wの逆行列Aを観測データに作用させれば信号成分:Sと雑音成分:Nが分離できる。
これは、信号(S)成分を横軸へ、ノイズ(N)成分を縦軸へ変換することを表しており、白色化を実現する変換行列Aを求めると、
【0040】
【数12】

【0041】
となる。従って、
【0042】
【数13】

【0043】
を得る。
吸光度比Φは信号成分の傾きである。
傾きφと吸光度比Φの関係は、Φ=tanφである。
脈拍数に比べて十分短い時間内であれば、直前の値(例えば、10msec前)或いはノイズの混入がないと判断された過去の吸光度を既知の値として扱える。
また、後に記すような手法で求めたφの候補を用いる事も可能である。
次に、θは、θ=ψ―φ(20)
で表され、ψが不明なため、−φからπ/2−φの範囲でθの値を変化させ横(S)軸方向のノルムを最小となる角度として決定する。
得られたφ、θを用いた変換行列Aで観測信号を処理すると、横軸に信号成分、縦軸にノイズ成分が得られる。
具体的には、(19)式で表現される行列変換は、図3(b)に示される2種の観測信号IR、Rを座標軸として選んだ第1の座標系から図3(c)に示される信号成分およびノイズ成分を座標軸として選んだ第2の座標系への座標変換を意味している。
図4にはある時点t=tiにおける観測値(IRi、Ri)が示されており、当該観測値を表すベクトルXiは、信号成分ベクトルSiおよびノイズ成分ベクトルNiの合成ベクトルとなっている。上記の座標変換を実行するにあたり、まず信号成分ベクトルSiを変換後の座標系における横軸に一致させる操作を行なう。具体的には図4におけるベクトルSiを角度φだけ時計回りに回転させる操作を行なう。φの値は既知のΦの値を用いて上式より得られる。
(19)式におけるθはノイズ成分ベクトルNiを変換後の座標系における縦軸に一致させる操作に対応する係数である。図3(b)に示す波形は上記の観測値の集合であり、φの値を固定的にすれば当然にθの値は観測値毎に異なる。変換係数としてのθを単一値として定めるために、−φからπ/2−φの範囲でθを変化させ、横軸(信号成分)方向の値のばらつき度合い(ノルム)の変化を調べ、ノルムが最小となる値として最終的な値を決定する。
図3(b)を変換行列Aの処理によって得られたグラフを図3(c)に示す。
また、この処理によってノイズが分離されて得られた波形を図3(d)に示す。
処理前の周波数解析によって得られた赤外光及び赤色光のスペクトルを図5に示し、対応する処理後の信号成分及びノイズ成分の周波数解析によって得られたスペクトルを図6に示す。
【0044】
・脈拍数の算出方法
上記の変換処理によって抽出した信号波形からpeak-peakインターバルTs(図3(d))を求めることで、容易に脈拍数=1/Ts×60[beats/min]を求めることができる。
あるいは、処理前の周波数解析によって得られたスペクトル(図5)に比べ処理後の信号から周波数解析によって得られたスペクトル(図6)は、脈波の基本周波数fsが明確になる事から、脈拍数=fs×60[beats/min]として計算できる。
【0045】
・観測信号にノイズが混入していないかを判定する方法
観測信号を、所定の周波数範囲毎に分離する。
分離は連続した周波数範囲毎でも良いし、離散範囲の合成毎でも良い。
各周波数範囲毎に横軸(或いは縦軸)に赤外光の成分、それと直交する軸に赤色光の成分をとる。
図7は、横軸に赤外光の成分、縦軸に赤色光の成分をとったグラフである。
脈波周波数帯域全体及び分離後の周波数範囲毎に主成分に相当する傾きを求め、その値の同一性から単一信号か複数信号の合成かを判断する。
具体的に単一信号と判断する方法として、脈波周波数帯域全体及び分離後の周波数範囲全てが所定範囲内である事や、或いはパワー(power)の支配的な範囲の値と脈波周波数帯域全体の値とが所定範囲内である事などがある。
具体例として、図7,図8は、脈波周波数帯域全体と0.5Hz〜6Hz迄の範囲を0.5Hz毎分割したときを表しており、タイトル部に主成分の傾きを記してある。
図7は、0.5-1Hz:0.54 3.5-4.0Hz:0.84 4.0-4.5:0.84と大きなPowerを示している範囲で異なる値を示しており、複数信号の合成が観測されたと判断できる。
図8は、大きなPowerを示している範囲1−1.5Hz、2−2.5Hz、2.5−3Hzで同じ0.50値を示しており、単一信号と判断する。
【0046】
・酸素飽和度候補(吸光度比)算出
前記ノイズ混入の判定と同様に、脈波信号周波数帯域内を複数の範囲に分離する。分離した周波数範囲毎に独立成分分析を行う。
観測信号縦ベクトルをX,転置をTとすると、(11)式,(12)式より、
【0047】
【数14】

【0048】
【数15】

【0049】
観測信号ベクトルXの分散共分散行列Hは、
【0050】
【数16】

【0051】
その固有値対角行列をΛ,固有ベクトル行列をΓとする。
独立成分Yは、変換行列をUとすれば、
【0052】
【数17】

【0053】
として求められ、独立成分に分解される。
分離した周波数範囲に信号成分が存在すれば、図3(c)に示すような信号成分−ノイズ成分平面に変換できる。
固有ベクトル行列を変換行列Uの逆行列U-1で変換すると、IR−R平面にベクトルが投影され、信号成分を表すベクトルの傾きがΦs、ノイズ成分を表すベクトルの傾きがΦnとして得られる。
図2の観測信号に対して、図8の周波数範囲毎に傾きを求めた結果が図10であり、吸光度比1が各周波数で近い(0.5±0.02)ことが解る。
図7を処理した結果が図9であり、図6のfsを含む範囲にΦsを示す結果が得られている。
酸素飽和度SpO2はΦsの関数
SpO2 = f(Φs)
として得られる。
【0054】
次に、図1に示す装置ブロックの処理部の動作を以下詳述する。
図11は処理フローを示すフローチャートである。
S1:測定開始すると、赤色光・赤外光で観測されたデジタル信号を前処理する。ここでは、Lambert-Beerの法則に基づく対数演算や脈波帯域フィルタ処理などを行う。
S2:それぞれの信号をバンドパスフィルタを用いて所定の周波数範囲(例えば、0.5Hz刻み)に分割し、周波数範囲毎の吸光度比(IR-R平面上での主成分の傾き)を求める。
S3:周波数範囲毎に求めた吸光度比の同一性を判定し、脈波の吸光度比候補を求める。候補は複数あってもよい。
S4:S3の結果から、信号源が単一か複数かを判定する。
S5:単一信号の場合、その吸光度比から酸素飽和度を、また、S1の処理結果から基本周期を求め、脈拍数を算出する。
S6:S3で得られた吸光度比候補或いは、直前のSpO2値に対応した吸光度比の結果(脈拍数に比較して十分早い:例えば10msec前)或いはノイズの混入がないと判断された過去の吸光度比を用い、アフィン変換する。 変換行列は、(19)式を用い、φ(吸光度比に対応した値)にて回転させ、θはφ軸方向のノルム値が最小となる角度として求める。
S7:S6のφ方向で得られた信号の時間軸での周期或いは周波数解析により基本周期を求め、脈拍数を得る。また、周波数毎のS/Nを求め吸光度比の信頼性を評価する指標の1つとする。
S8:S2で分割された各周波数範囲の時間領域データを使い、独立成分分析を行う。
S9:S8で得られた固有ベクトルのIR-R平面での傾きを求め、各周波数範囲の間の同一性を判定し、吸光度比候補を求める。候補は複数あってもよい。
S10:S3,S5,S7,S9の出力と過去の吸光度比・帯域を比較し、その共通項、継続性、信頼性(S7出力)とから、現在の酸素飽和度を決定する。必要に応じて平均処理をした後、酸素飽和度及び脈拍数を出力する。
S11:測定を継続するときは、S1に戻り処理を繰り返し、継続しない場合は、測定を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のパルスオキシメータの構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、各測定波長での平均値をゼロとする処理もしくは低域除去フィルタ処理を行った波形である。(b)は、横軸に赤外光の振幅、縦軸に赤色光の振幅として表したグラフである。
【図3】(a)は、ノイズの重畳した観測(測定)波形である。(b)は、横軸に赤外光の振幅、縦軸に赤色光の振幅として表したグラフである。(c)は、(b)を変換行列Aの処理によって得られたグラフである。(d)は、この処理によってノイズが分離されて得られた波形である。
【図4】信号成分とノイズ成分の関係を示す図である。
【図5】処理前の図3(a)の波形の周波数解析によって得られた赤外光及び赤色光のスペクトル図である。
【図6】図3(d)の波形の周波数解析によって得られたスペクトル図である。
【図7】横軸に赤外光の成分、縦軸に赤色光の成分をとったグラフである。(ノイズ重畳)
【図8】横軸に赤外光の成分、縦軸に赤色光の成分をとったグラフである。(単一信号)
【図9】独立成分分析により図7の周波数範囲毎に傾きを求めた結果である。
【図10】独立成分分析により図8の周波数範囲毎に傾きを求めた結果である。
【図11】図1に示されたパルスオキシメータで行なわれた処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 プローブ
2 発光部(LEDs)
3 受光部(PD)
4 発光ダイオード駆動部
5 入力部
6 復調回路
7 AD変換
8 演算処理・制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる2つの波長の光を生体組織に照射して透過または反射した各波長の光を電気信号に変換して得られた各波長の測定脈波データに対して前処理を施すステップと、
前記各波長の前記前処理された脈波データを複数の交流周波数帯域に分割して、各周波数帯域毎に白色化処理をするステップとを含み、脈波信号とノイズ信号とを分離することを特徴とする信号処理方法。
【請求項2】
前記白色化処理に独立成分分析を用いることを特徴とする請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2の方法で、異なる2つの波長の光を生体組織に照射して透過または反射した各波長の光を電気信号に変換して得られた各波長の測定脈波データを処理して分離した脈波信号とノイズ信号とにより、各周波数成分のS/N比を得ることを特徴とする信号処理方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの方法で、異なる2つの波長の光を生体組織に照射して透過または反射した各波長の光を電気信号に変換して得られた各波長の測定脈波データ列を処理してノイズ成分と信号成分を分離することを特徴とするパルスフォトメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−188442(P2008−188442A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86627(P2008−86627)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【分割の表示】特願2004−191297(P2004−191297)の分割
【原出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】