説明

信号処理装置、信号処理システム、遊技機

【課題】インタラクティブな遊技機、ゲーム機などの画像展開と音声再生、役物の動作とのタイミング等を総合的に制御できる信号処理装置を提供する。
【解決手段】グラフィックス用ロジック6と音声用ロジック7とを同じ統合化LSI5に搭載して命令体系を連携する。前記グラフィックス用ロジック6は、上位CPU10の命令を解読する命令解読部20と、画像デコード部22とを備え、音声用ロジック7における音声デコード部21は命令解読部20を介した命令により動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にインタラクティブな遊技機、ゲーム機などにおいて画像展開、音声再生、役物の動作、及び発光素子の点灯などを効率よく総合的に制御を行うことができる信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの遊技機の分野においては、画像効果、音声効果を高めながら楽しめるように多くのLSIによってその制御部が構成されており、一般的には画像処理を行うLSIと音声処理を行うLSIとが別個用意されており、これらのLSIに対して上位CPUから所定の命令を送ることで連携動作を行うようなシステム構成となっている。特に、画像情報は情報量も多く、画像圧縮技術を元にその展開(伸長)技術に工夫する画像処理システムが、例えば特許文献1及び2に記載されている。
【0003】
他方、特許文献3では、画像と音声を連携して再生するために、画像用LSIと音声用LSIを別個に持ちながら、それらの連係動作により上位CPUの使用効率を高めるシステムが提案されている。更に、引用文献4においては、一のCPUが画像制御ユニットの制御を行いつつ音源回路に演出パターンの選択コマンドを送り、音源回路はこのコマンドに基づいて音源データを読み出してデコードし、出力する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3970291号公報
【特許文献2】特開2009−294990号公報
【特許文献3】特開2007−156519号公報
【特許文献4】特開2008−142102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近時の遊技機においては、その遊技効果を画像、音声にとどまらず、アタッカの開閉、キャラクタ物の動きを変化させるなどの、いわゆる役物モータ制御などでは、盤面上に既に存在する役物がその動き方を変化させるとか、突然現れるとかの制御がなされており、また盤面周囲に配置した多くのLEDの点灯状態を変化させ、その点灯するLEDの配色によって、遊技者になお一層の遊戯性への期待感を高めるようになされている。
【0006】
そのようなシステムにおいても、上位CPUからの命令を画像、音声、モータ、LEDの制御は、個別のLSIが用いられるのが通常で、上位CPUからの命令に依存して各LSIが個別制御されているので、それらの連携動作を行うためには上位CPUのプログラムへの負担が大きくなるという課題があった。更に、遊戯効果を高めるためには画像情報と音声情報とを同期させてそれぞれが適切なタイミングで出力されるようにしなければならないが、上記引用文献1〜4においては、そのような画像展開と音声再生、役物の動作とのタイミング等を総合的に制御するための構成は存在せず、また、そのような調整を図るには複雑な構成や処理手順が必要になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、上位CPUの命令によって動作制御されるLSIチップとして構成された信号処理装置であって、表示手段に表示される画像データの出力を制御するグラフィックス用ロジック及び音声出力手段から出力される音声データの出力を制御する音声用ロジックとを備え、前記グラフィックス用ロジックは、前記上位CPUの命令を解読する命令解読部と、画像デコード部とを備え、前記音声用ロジックにおける音声デコード部は前記命令解読部を介した命令により動作することを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、ディスプレイリスト発行手段が発行した、前記信号処理装置に実行させるべき一連の転送命令を略時系列状に記述したディスプレイリストが前記命令解読部に供給されることで、前記グラフィックス用ロジック、前記音声用ロジックがそれぞれ略時系列状に制御されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成に加え、前記ディスプレイリストには、複数のグラフィックス用リストと複数の音声用リストとが前記一連の転送命令として記述され、前記命令解読部は前記ディスプレイリストを解読し、前記画像デコード部は前記命令解読部におけるそれぞれの前記グラフィックス用リストの解読結果に基づいて各種画像処理を行い、前記音声デコード部は前記命令解読部におけるそれぞれの前記音声用リストの解読結果に基づいて各種音声処理を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、信号処理システムであって、請求項1乃至3の何れかに記載の信号処理装置と、前記画像デコード部に接続されてグラフィックス表示を行う表示手段と、前記音声デコード部に接続されて音声出力を行う音声出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構成に加え、前記信号処理装置に実行させるべき一連の転送命令を略時系列状に記述したディスプレイリストを発行するディスプレイリスト発行手段を備え、該ディスプレイリスト発行手段が発行した、前記信号処理装置に実行させるべき一連の転送命令を略時系列状に記述したディスプレイリストが前記命令解読部に供給されることで、前記グラフィックス用ロジック、前記音声用ロジックがそれぞれ略時系列状に制御されて、前記表示手段に画像が表示されると共に前記音声出力手段から音声が出力されることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の構成に加え、前記ディスプレイリストには、複数のグラフィックス用リストと複数の音声用リストとが前記一連の転送命令として記述され、前記命令解読部は前記ディスプレイリストを解読し、前記画像デコード部は前記命令解読部におけるそれぞれの前記グラフィックス用リストの解読結果に基づいて各種画像処理を行い、前記音声デコード部は前記命令解読部におけるそれぞれの前記音声用リストの解読結果に基づいて各種音声処理を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、遊技機であって、請求項1乃至3の何れか一つに記載の信号処理装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、遊技機であって、請求項4乃至6の何れか一つに記載の信号処理システムを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、請求項4に記載の発明によれば、音声用ロジックにおける音声デコード部はグラフィックス用ロジックの備える命令解読部を介した命令により動作することにより、画像デコード部と音声デコード部とは同一の命令解読部を介した命令で動作する。これにより、グラフィックス用ロジック及び音声用ロジックの動作を、画像展開と音声再生、役物の動作とのタイミングを簡易かつ正確に調整することができて、特にインタラクティブな遊技機、ゲーム機などにおいて画像展開、音声再生、役物の動作、及び発光素子の点灯などを効率よく総合的に制御を行うことができるようになる。
【0016】
請求項2、請求項5に記載の発明によれば、ディスプレイリストによってグラフィックス用ロジック、音声用ロジックをそれぞれ略時系列状に制御することにより、グラフィックス処理と音声処理との総合的な制御を容易に行うことができる。これにより、画像展開と音声再生、役物の動作とのタイミングを一層簡易かつ正確に調整することができる。
【0017】
請求項3、請求項6に記載の発明によれば、ディスプレイリスト中のグラフィックス用リストと音声用リストとの記述順序に依存してグラフィックス処理と音声処理とが行われることにより、グラフィックス処理と音声処理との総合的な制御を容易に行うことができる。これにより、画像展開と音声再生、役物の動作とのタイミングを一層簡易かつ正確に調整することができる。
【0018】
請求項7、請求項8に記載の発明によれば、インタラクティブな遊技機において画像展開と音声再生、役物の動作とを効率よく総合的に制御を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る信号処理装置を示す全体的なブロック図である。
【図2】本発明のグラフィックス用ロジックの内部構成を概略して示すとともに外部メモリとの関係を示すブロック図である。
【図3】本発明のグラフィックス用ロジックのデコーダ部分の詳細を説明するブロック図である。
【図4】本発明のデコード動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係るNANDメモリのセクタ構造と音声データの配置状態を従来例とで比較した図である。
【図6】従来のデコード動作を例示するフローチャートである。
【図7】従来のデコード動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1乃至図5に本発明の一実施形態を、図6及び図7に従来例を示す。以下、これらの図に基づいて本発明の一実施形態を説明する。
【0021】
図1は、この発明の実施形態に係る信号処理装置、及び信号処理システムを示す全体的なブロック図である。この信号処理システム1Aは、遊技機の盤面に配置されている「表示手段」としてのLCD1、「音声出力手段」としてのスピーカ2、モータ3、LED4などの出力デバイスに対して、視覚、聴覚に訴えて遊戯性を高めるための周辺装置の動作を制御する「信号処理装置」としての統合化LSI5によって構成されている。
【0022】
LCD1は後述するグラフィックス用ロジック6に接続されて各種グラフィックス表示を行う。スピーカ2は後述する音声用ロジック17に接続されて各種音声出力を行う。
【0023】
統合化LSI5は一つのLSIチップとして構成され、本実施形態ではグラフィックス用ロジック6、音声用ロジック7、モータ制御ロジック8、LED制御ロジック9を含んでいる。
【0024】
CPU10は、この統合化LSI5の上位CPUに相当するプロセッサであり、統合化LSI5に対して実行させるべき命令群11(コマンドリスト)を生成する。なお、本実施形態ではCPU10は統合化LSI5とは別に設けられているが、CPU10は統合化LSI5中に内蔵されていてもよい。
【0025】
特に、CPU10は、統合化LSI5に実行させるべき一連の転送命令を略時系列状に記述したディスプレイリスト12を発行する「ディスプレイリスト発行手段」としての機能を奏する。このディスプレイリスト12は、略時系列状に記述された一連の命令によって画像処理の手順が規定されており、画像単位でいうと1フレームの画像描画に必要な素材の転送手順が規定されている。ここで、素材とは、外部メモリであるCGROM(実際にはNOR、NANDのフラッシュメモリで構成されている)に格納された画像データの中で、予め定義される所定の大きさの単位をいう。さらに、本実施形態の信号処理装置は、モータ制御の転送手順及びLEDの点灯制御の手順も含んでいることが特徴である。ディスプレイリスト12で表示されるG00〜G05はグラフィックス用リスト、S00〜02は音声用リスト、M00〜02はモータ制御用リスト、L00〜02はLED制御用リストを示している。これらリストの要素はディスプレイリスト12の中に混在して格納されており、各出力装置を連携して制御できるような構成になっている。
【0026】
モータ3及びLED4は、遊技機の盤面上では多数配置されているが、それらの個々を動作させるための制御信号は、統合化LSI5からは同じ構成からなる2つの制御ドライバ13を「モータドライバ回路」及び「LEDドライバ回路」として用いることで、モータ制御とLED制御で外部回路を共通化することができる。これはシリアル/パラレル変換する機能としては同じだからであり、モータ3を実際に作動させるためには、この信号変換器の後段にモータ駆動に必要なモータドライバ14を配置すればいいからである。このように、制御ドライバ13でモータ制御用信号のシリアル/パラレル変換にも利用できるので、個別なドライブ回路の設計が不要となる。また、モータ3は通常ステッピングモータを利用され、その回動状態はセンサ15にて位置検出されて、パラレル/シリアルの逆変換器16を経由してモータ制御ロジックにフィードバックされ異常回転が生じないように安定した位置制御がされている。
【0027】
なお、図面上、CPU10用のクロック用OSC17と、統合化LSI5用のクロックOSC18は別個に記載しているが、勿論、前者からの分周により後者のクロックを作成することもできる。
【0028】
ここで、通常、LED制御やモータ制御は制御対象の応答速度が遅いため低速に動作させることが多く、一方、グラフィックスは微細で高速なロジックが使われる。
【0029】
本実施形態では、クロック周波数を高くしており、データの多重化が可能となっているので、多数のLED4とモータ3を同時に制御できる。さらに、グラフィック制御とモータ・LED制御は別々の環境で作られるが、このとき、動画の再生と同期させることは難しいため、結合した段階で細かい調整を行う必要があったが、統合に伴い、動画のディスプレイリストにLEDとモータの処理を入れることで、ディスプレイリストの生成段階で、動画(音声)とLED・モータの同期がとれるものを作ることが可能になった。
【0030】
図2は、グラフィックス用ロジック6の内部構成を概略して示すとともに外部メモリ19との関係を示すブロック図である。グラフィックス用ロジック6は、画像出力と音声再生の連携に係る命令解読部20及び音声デコード部21のほかに、グラフィックス用ロジック6には画像デコード部22、VRAM23、表示回路24を備えている。命令解読部20は、ディスプレイリスト12を解読し、解読結果のうち、グラフィック用リストG00〜G05の解読結果を画像デコード部22に送信し、音声用リストS00〜02の解読結果を音声デコード部21に送信する。画像デコード部22は、命令解読部20におけるグラフィック用リストG00〜G05の解読結果に基づいて、各種グラフィックス処理を行う。なお、この各種グラフィックス処理の結果はLCD1に供給され、LCD1がグラフィックス表示する。
【0031】
また、外部メモリ25としては、SRAMバスで接続される複数のNORメモリ26の他に、大量の情報量の一括アクセスが可能で画像情報の格納に適する複数のNANDメモリ27を前記SRAMロジック系統(SRAM+αバス)で接続できるようにインターフェース回路を構成した拡張RAMコントローラ28を介して、共通のメモリバス29に接続されている。NANDメモリ27とNORメモリ26に格納する情報としては、画像と音声をともに同じメモリ内に格納することも可能であるが、本実施形態では画像情報はNANDメモリ27に格納し、音声情報はNORメモリ26に格納している。これにより、メモリへのアクセス速度の相違により、音声再生を優先することができ、「大当たり」の音響前触れ機能として利用し、その後画像展開により遊戯性を高めたいという近時の要求にこたえることができる。なお、機能ブロック間にはデータ整合性などのために所定のインターフェース回路を含む場合があるが、図面ではそれらは省略している。
【0032】
なお、画像と音声をNANDメモリ27に格納する場合には、図5(a)に示すセクタ280構造のユニットに対して、音声データは画像データに比べてはるかに小さいために、素材単位でその小さい音声再生をする場合には、図5(b)に例示するように、ランダムアクセスが頻繁することになる。そして、NANDメモリ27では、頻繁なREADが起こるために、NANDメモリ27の全体またはブロック単位での消去、プログラムが頻繁となり、音声の再生制御が破綻することがあったが、本実施形態では図5(c)に示すように、音声のデータを生成する場合に、セクタの開始までの間は「空」の無データ状態290にしておくことで、このような問題を回避することが可能となる。
【0033】
描画に当たっては、複数のソース画像データを読み出して、画像合成を行い、画像合成の結果得られた合成画像のデータをVRAM23に書き込む。このとき、表示回路24は、表示領域からすでに合成された画像データの読み出しを行い、LCD1へ画素データ単位で出力する。
【0034】
しかし、ここで、遊技機において、表示回路24内での所定の画像処理(例えば、フリップ、スケーリング、ガンマ補正など)を行った結果、表示画面上の誤動作が起き、画面がフリーズしてしまっても、従来装置では、その原因が表示回路の出力にあるかどうかのチェックはできなかった。また、CPUもその原因がわかるようになっていなかったために、リブートすらかけられないので、誤動作したままの表示でステイすることがあった。通常のCPUにはそのシステムの状態をモニタして正常動作をチェックする機能として、例えばウォッチドッグ・タイマが用いられているが、それに対して、フリーズなどの明らかな誤動作が遊技者に確認できてもCPUはそのような状況を検出できないために、適当な処理を自動的にも行うことができなかった。しかし、本実施形態では表示回路24の出力をVRAM23へ戻すようにしているので、CPU10は描画回路(図示省略)、表示回路24が処理すべきプログラム手順を元の画像データからそのとおりに実行されているかをトレースすることができるようになる。その結果プログラム実行上での誤動作の検知をすることができる。検知したCPU10は例えば画面を再度描画するような制御を行う。
【0035】
さらに、本実施形態では、圧縮データの展開後のサイズ情報を、CPU10側で発行するとともに、外部メモリ25に格納されている圧縮データにもサイズ情報を内包させている。これによって、サイズ情報を外部メモリ25側にのみ内包している場合には、圧縮データそのものが壊れているとその有するサイズ情報も壊れているために、VRAM23に書き込んだときに、すでに転送済みのデータをも破壊してしまうことがあり、その結果画像上ではすでに表示されている画像が壊されてしまうという視覚上の課題があった。一方、CPU10側のみサイズ情報が発行されている場合には、壊れたデータを書き込むが、壊れていることが自動検出できなかったが、本実施形態では双方にサイズ情報を持っているので、データが壊れているのが自動検出できるようになる。
【0036】
すなわち、サイズ情報を転送命令にも、また圧縮データにも内包し、転送命令からのサイズを優先して、圧縮データが壊れていた場合にもデータを破壊しないようにする。また両者のサイズ情報が一致しないときには、圧縮データが壊れていることを自動検知する構成としている。
【0037】
また、図2に示す通り、音声用ロジック17は音声デコード部21を備える。音声デコード部21は、命令解読部20における音声用リストS00〜S02の解読結果に基づいて、各種音声処理を行う。なおこの各種音声処理の結果はスピーカ2に供給され、スピーカ2が音声出力を行う。
また本実施形態では、グラフィックス用ロジック6の命令解読部20を介して、音声用ロジック17の音声デコード部21を制御する構成にしている。これは、従来、音声処理を行う音声発生命令は、描画命令とは別異の命令体系であったり、別のLSIチップが利用されていたりで命令としては相互のリンケージが張られていなかった。そのため、音声と描画のそれぞれのプログラム単位でタイミングを計算しながらプログラム作成する必要があったのに対して、遊技機の分野では、近時ますます映像と音声のコラボレーション効果が図られるが、その際にひとつの命令体系のなかで描画と音声再生を一体として出力制御できるので、よりきめ細かく映像と音声のシナジー効果を発揮するより細かい制御を行うことができる。また、音響効果と映像効果を一体としたプログラムできるので、プログラム作成者にとっても使いやすいLSIチップとなる。
【0038】
すなわち、例えば、画像情報たる或る素材の画像発生と同時にある曲を出力することや、画像出力に先立つ一定時間前に音声を発声させて、遊技機での役物の登場効果を狙うことや、または画像出力の後から所定時間遅れて一の素材から音楽を再生することなどが容易になる。
【0039】
図3はグラフィックス用ロジック6のデコーダ部分の詳細を説明するブロック図、図4はそのデコード動作を示すフローチャートである。図6及び図7は本実施形態のデコーダ動作との対比で従来のデコード動作を例示するフローチャート及びデコード開始、完了のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0040】
画像デコード部22は、複数(本実施形態では2つ)の画素デコーダ30,30および複数(本実施形態では2つ)のαデコーダ31,31で構成される。バス制御部32は、画像デコード部22における空き状態のデコーダを検知しており、デコード処理を完了したデコーダ30,30,31,31があるとその伸長されたデータをバッファ部33に格納する。このとき、CPU10に依存しないでバス制御部32が独立して制御を行う。バッファ部33は、本実施形態では画像デコード部22のデコードの数と同じ数の区別される領域を有しており、画素伸長が完了した結果のデータA、B、C、Dは、それぞれが対応するバッファ部33のデータ領域に格納される。同時に当該デコーダが空き状態、すなわち動作状態から待機状態に以降したことになって、新たにデコードすべき圧縮データが外部メモリ25であるNANDメモリ27から取り込まれることになる。その間、描画命令を処理しているCPU10は、画像デコード部22とバッファ部33とのデータ転送動作には依存しない描画命令などのために確保できればよい。命令解読部20は、CPU10からの描画命令を受けて、展開(伸長)領域テーブルを参照しながら、NANDメモリ27内に格納されている圧縮データのアドレス、伸長したあとのデータサイズを規定する展開サイズを確認する。展開領域テーブルは、サイズの多きいファイルデータである場合などに読み書きが一括して行われることにより、ファイルデータの展開上不都合が生じないための指標となるものである。NANDメモリ27からのファイルデータの転送制御は、バス制御部32を介して行う。
【0041】
バス制御部32は、2つの画素デコーダ30,30および同じく2つのαデコーダ31,31のそれぞれが動作状態にあるか、待機状態にあるかを検知し、待機状態にあるデコーダその上でいずれのデコーダを作動させるかを決めるように決定し、各デコーダ30,30,31,31の動作制御を行うものである。ここで動作状態というのは、画像デコード部22の個々のデコーダ30,30,31,31が待機状態にあるか、伸長演算中であるかのステイタス情報である。CPU10は、CPUバス34に接続される本デコード装置以外の他の周辺装置を制御しており、その制御の空き時間に1フレーム分の展開情報を1回分読み込む。展開情報は、1フレーム当たりで展開すべき複数の圧縮データと、その圧縮データの属性を規定したヘッダ部とからなる。ヘッダ部の分析は、展開領域テーブルを参照しながら行われ、画素伸長動作を開始する画素スタート値およびα伸長動作を開始するαスタート値の情報が伸長されて、それらスタート値は空き状態の画素デコーダ30,30及び空き状態のαデコーダ31,31を作動させる信号になる。すなわち、CPU10から次のフレームの展開情報を確認するまでの間は、CPU10とは独立した動作を行い、描画命令の受理、プリ処理などの処理はデコーダと独立して先行して行い、デコード可能な状態でデコード処理を行う構成である。そして、空き状態の画素デコーダ30,30及び空き状態のαデコーダ31,31にての動作が可能となった時点でデコード処理を行うように構成されている。バッファ部33は、完了したデコード処理結果を一時保持するもので、これにより画像デコード部22の空き状態を確保することができる。
【0042】
なお、VRAM23に格納された素材に対してはそれぞれの素材が描画の準備ができているかどうかの状態を示す状態フラグが、例えば図示するように「1」「0」などに対応してひとつの管理テーブルのように保持されている。これにより、描画制御とデコード制御のタイミングを合わせることができる。すなわち、デコード可能な状態を確認してからデコード制御を開始し、または状態フラグが変化するまでデコード処理を待機するなどのタイミングをとることが可能となる。特に、デコーダが複数あるときには、このようなタイミング取りは、必須となる。
【0043】
図6及び図7に示す従来例においては、まず、従来の画素デコードとαデコードのブレンディング動作を確認する。ここで、αブレンディングとは、透明または半透明な画素を含む画像を表示するために、透明度を示す値としてα値を使用して2つの画像データをブレンドする方法である。画像データは、適宜の圧縮手法によって圧縮(エンコード)されているので、伸長処理(デコード)されるが、従来のαブレンディングでは、(1)デコードの完了を上位のCPUが常にチェックしており、CPUの負荷が大きくなるという問題があった。また、(2)画素デコーダの動作とαデコーダの動作が時系列に一体となっていたので、連続する画素デコーダとαデコーダの動作が完了して初めて、次のデコード処理が開始していた。
【0044】
これに対して、図3及び図4に示す本実施形態の画像デコード部22は、複数の画素伸長用の画素デコーダ30と、同じ複数のα伸長用のαデコーダ31とを備えている。図4で示す本実施形態のフローチャートでは、データ取得、デコーダ完了確認の判断は同じ機能であるが、従来は直列関係でしか制御することができず、画素およびαのデコードが完了し、さらにCPU10がその状態を確認する必要があって、CPU10の負担がかかるとともに、デコード処理のタイミングスパン35が長くなっていたが(図7参照)、本実施形態では並列的にかつ画素デコーダ30とαデコーダ31を個別に動作できる上にこれら制御はバス制御により行うので、CPUの負荷を低減することができる。また、本実施形態では、展開した結果の画素データとαデータは同一ピクセル内に連続して格納されて、同一のフレーム領域を有するようになされているので、効率よく画素単位での読み込み処理を行うことができる。
【0045】
なお、上記実施形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1A 信号処理システム
1 LCD
2 スピーカ
3 モータ
4 LED
5 統合化LSI(信号処理装置)
6 グラフィックス用ロジック
7 音声用ロジック
8 モータ制御ロジック
9 LED制御ロジック
10 CPU
11 命令群
12 ディスプレイリスト
13 制御ドライバ
22 画像デコード部
25 外部メモリ
26 NORメモリ
27 NANDメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位CPUの命令によって動作制御されるLSIチップとして構成された信号処理装置であって、
表示手段に表示される画像データの出力を制御するグラフィックス用ロジック及びと音声出力手段から出力される音声データの出力を制御する音声用ロジックとを備え、
前記グラフィックス用ロジックは、前記上位CPUの命令を解読する命令解読部と、画像デコード部とを備え、前記音声用ロジックにおける音声デコード部は前記命令解読部を介した命令により動作することを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
ディスプレイリスト発行手段が発行した、前記信号処理装置に実行させるべき一連の転送命令を略時系列状に記述したディスプレイリストが前記命令解読部に供給されることで、前記グラフィックス用ロジック、前記音声用ロジックがそれぞれ略時系列状に制御されることを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記ディスプレイリストには、複数のグラフィックス用リストと複数の音声用リストとが前記一連の転送命令として記述され、
前記命令解読部は前記ディスプレイリストを解読し、
前記画像デコード部は前記命令解読部におけるそれぞれの前記グラフィックス用リストの解読結果に基づいて各種グラフィックス処理を行い、
前記音声デコード部は前記命令解読部におけるそれぞれの前記音声用リストの解読結果に基づいて各種音声処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の信号処理装置と、
前記画像デコード部に接続されてグラフィックス表示を行う表示手段と、
前記音声デコード部に接続されて音声出力を行う音声出力手段とを備えたことを特徴とする信号処理システム。
【請求項5】
前記信号処理装置に実行させるべき一連の転送命令を略時系列状に記述したディスプレイリストを発行するディスプレイリスト発行手段を備え、
該ディスプレイリスト発行手段が発行した、前記信号処理装置に実行させるべき一連の転送命令を略時系列状に記述したディスプレイリストが前記命令解読部に供給されることで、前記グラフィックス用ロジック、前記音声用ロジックがそれぞれ略時系列状に制御されて、前記表示手段に画像が表示されると共に前記音声出力手段から音声が出力されることを特徴とする請求項4に記載の信号処理システム。
【請求項6】
前記ディスプレイリストには、複数のグラフィックス用リストと複数の音声用リストとが前記一連の転送命令として記述され、
前記命令解読部は前記ディスプレイリストを解読し、
前記画像デコード部は前記命令解読部におけるそれぞれの前記グラフィックス用リストの解読結果に基づいて各種グラフィックス処理を行い、
前記音声デコード部は前記命令解読部におけるそれぞれの前記音声用リストの解読結果に基づいて各種音声処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の信号処理システム。
【請求項7】
請求項1乃至3の何れか一つに記載の信号処理装置を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項8】
請求項4乃至6の何れか一つに記載の信号処理システムを備えたことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−152413(P2011−152413A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294262(P2010−294262)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(398034168)株式会社アクセル (80)
【Fターム(参考)】