説明

信号処理装置、及びそれを用いた受信システム、並びに信号処理方法

【課題】複数の処理対象信号を重要度に応じた圧縮レートでサンプリングを行う。
【解決手段】信号処理装置は、入力される複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じて、該複数の処理対象信号のうちいずれを選択するかを表す制御信号を生成する制御部と、前記制御部の生成した制御信号に応じて、前記複数の処理対象信号のうち1つの処理対象信号を選択する切替器と、前記切替器が選択した処理対象信号をサンプリングしたサンプリング値を出力するサンプリング器と、前記サンプリング器から入力されたサンプリング値を前記制御部の生成した前記制御信号に基づいて、前記複数の処理対象信号それぞれに対応する出力端子から出力する分配器と、前記分配器の異なる出力端子にそれぞれ接続され、該出力端子から出力されるサンプリング値に基づいて、サンプリング対象となった元の処理対象信号を復元する複数の復元器とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアナログ信号をサンプリングする信号処理装置、及びそれを用いた受信システム、並びに信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アナログ信号をアナログ・デジタル変換(サンプリング)する際に、変換対象のアナログ信号に応じたナイキスト周波数に基づいて得られるデータ(標本値)量より少ないデータ量を用いて変換対象のアナログ信号を復元する研究が行われている(非特許文献2〜5)。このような技術は、CS(Compressed sensing;圧縮センシング、Compressive Sampling;圧縮サンプリング)などといわれている。
また、この技術を用いて、広帯域に割り当てられている複数のアナログ信号を、当該複数のアナログ信号が割り当てられている周波数領域全体に対して圧縮センシングを行うことで、サンプリングの際に出力されるデジタル信号のデータ量を削減し、このデジタル信号を用いて元の複数のアナログ信号を復元(デジタル・アナログ変換)する研究も行われている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Moshe Mishali et al., "Blind Multiband Signal Reconstruction: Compressed Sensing for Analog Signals", IEEE Transaction on Signal Processing, pp. 993-1009, March. 2009.
【非特許文献2】David L. Donoho, "Compressed Sensing," IEEE Transaction on Information Theory, pp. 1289-1306, April, 2006.
【非特許文献3】Emmanuel J. Candes et al., "An Introduction to Compressive Sampling," IEEE Signal Processing Magazine, pp. 21-30, March, 2008.
【非特許文献4】Yonina C. Eldar et al., "Beyond Bandlimited Sampling," IEEE Signal Processing Magazine, pp.48-68, May. 2009.
【非特許文献5】Emmanuel J. Candes et al., "Near-Optimal Signal Recovery from Random Projections: Universal Encoding Strategies?" IEEE Transaction on Information Theory, pp. 5406-5425, December, 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1は、複数のアナログ信号を含む周波数領域全体に対して圧縮センシングを行うために、複数のアナログ信号を1つの信号として扱うのと同様であり、複数のアナログ信号それぞれの特徴や用途に応じて圧縮レートを変えることができなかった。
また、複数のアナログ信号それぞれを個別にサンプリングすれば、複数のアナログ信号それぞれの特徴や用途に応じて圧縮レートを変えられるが、そのために複数のサンプリング器を設ける必要があり、装置の大型化や製造コストの増加を招いてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、複数のサンプリング器を用いずとも、複数の処理対象信号(アナログ信号)をそれぞれの重要度に応じた圧縮レートでサンプリングを行うことのできる信号処理装置及びその信号処理装置を用いた受信システム、並びに信号処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記問題を解決するために、本発明は、入力される複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じて、該複数の処理対象信号のうちいずれを選択するかを表す制御信号を生成する制御部と、前記制御部の生成した制御信号に応じて、前記複数の処理対象信号のうち1つの処理対象信号を選択する切替器と、前記切替器が選択した処理対象信号をサンプリングしたサンプリング値を出力するサンプリング器と、前記サンプリング器から入力されたサンプリング値を前記制御部の生成した前記制御信号に基づいて、前記複数の処理対象信号それぞれに対応する出力端子から出力する分配器と、前記分配器の異なる出力端子にそれぞれ接続され、該出力端子から出力されるサンプリング値に基づいて、サンプリング対象となった元の処理対象信号を復元する複数の復元器とを備えることを特徴とする信号処理装置である。
【0007】
(2)また、本発明は、上記記載の発明において、前記サンプリング器が、サンプリング値の開始位置を示すヘッダ情報と、サンプリング値とを含むパケットを前記分配器に出力し、前記分配器は、前記サンプリング器から入力されたパケットに含まれるヘッダ情報を検出して得られたサンプリング値を前記出力端子それぞれから出力することを特徴とする。
【0008】
(3)また、本発明は、上記記載の発明において、前記制御部が、前記複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じて、該複数の処理対象信号それぞれに選択される確率を算出し、算出した確率と、発生させた乱数とを用いて前記複数の処理対象信号のうちいずれを選択するかを決定することを特徴とする。
【0009】
(4)また、本発明は、上記記載の信号処理装置と、受信した複数の無線信号それぞれをベースバンド帯域に周波数変換した複数のベースバンド信号を生成し、生成した複数のベースバンド信号を前記処理対象信号として前記信号処理装置に入力する無線受信部とを備えることを特徴とする受信システムである。
【0010】
(5)また、本発明は、リモート局装置と中央局装置とが伝送線で接続された受信システムであって、前記リモート局装置が、受信した複数の無線信号それぞれをベースバンド帯域に周波数変換した複数の処理対象信号を生成する無線受信部と、前記複数の処理対象信号のうちいずれかを制御信号に応じて選択する切替器と、前記切替器が選択した処理対象信号をサンプリングしたサンプリング値を出力するサンプリング器とを備え、前記中央局装置が、前記サンプリング器から出力されるサンプリング値を前記伝送線を介して受信し、受信したサンプリング値を前記制御信号に基づいて、前記複数の処理対象信号それぞれに対応する出力端子から出力する分配器と、前記分配器の異なる出力端子にそれぞれ接続され、該出力端子から出力されるサンプリング値に基づいて、サンプリング対象となった元の処理対象信号を復元する複数の復元器と前記複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じて、複数の処理対象信号のうちいずれを選択するかを表す制御信号を生成し、生成した制御信号を前記切替器及び前記分配器に出力する制御部と、を備えることを特徴とする受信システムである。
【0011】
(6)また、本発明は、上記記載の発明において、前記複数の処理対象信号それぞれの重要度が、前記複数の無線信号それぞれの受信状態を表す指標に基づいて決定されることを特徴とする。
【0012】
(7)また、本発明は、入力される複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じて、該複数の処理対象信号のうちいずれを選択するかを表す制御信号を生成する制御過程と、前記制御過程において生成した制御信号に応じて、前記複数の処理対象信号のうち1つの処理対象信号を選択する切替過程と、前記切替過程において選択した処理対象信号をサンプリングしたサンプリング値を出力するサンプリング過程と、前記サンプリング過程において出力されたサンプリング値を前記制御過程で生成した前記制御信号に基づいて、前記複数の処理対象信号それぞれに対応する出力端子から出力する分配過程と、前記分配過程において各出力端子から出力されるサンプリング値に基づいて、サンプリング対象となった元の処理対象信号を復元する復元過程とを備えることを特徴とする信号処理方法である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、信号処理の対象となる複数の処理対象信号それぞれをサンプリングする際に、複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じてサンプリング器に入力する処理対象信号を切り替えて、複数の処理対象信号それぞれに対する間引かれたサンプリング値の列を生成するようにした。これにより、複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じたサンプリングを1つのサンプリング器で行うことができるとともに、サンプリング器から出力されるサンプリング値を削減することができる。また、本発明を複数の処理対象信号の伝送に用いた場合、伝送するサンプリング値の数を削減できるので、伝送路の使用帯域を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の受信システム100の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本実施形態のサンプリング器25が出力するパケットの構成例を示す図である。
【図3】本実施形態における無線受信部10の一構成例を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施形態の制御部40が行うベースバンド信号の選択方法の一例を示す図である。
【図5】本実施形態における切替サンプリング部20の処理の例を示す模式図である。
【図6】本実施形態における分配器31及び復元部34の処理の例を示す模式図である。
【図7】第2実施形態の受信システム100aの構成を示す概略ブロック図である。
【図8】第3実施形態の受信システム500の構成を示した概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の信号処理装置、及びそれを用いた受信システム、並びに信号処理方法を図面を参照して説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の受信システム100の構成を示す概略ブロック図である。図示するように、受信システム100は、無線受信部10と、切替サンプリング部20と、信号処理ブロック30と、制御部40とを具備している。
【0017】
無線受信部10は、アンテナを介して受信した無線信号に含まれる複数の周波数帯域の信号をダウンコンバートし、ダウンコンバートにより得られる複数のベースバンド信号(処理対象信号)を切替サンプリング部20に出力する。無線受信部10がダウンコンバートの対象とする複数の周波数帯域は、制御部40より入力される周波数帯域を選択する帯域選択信号により決定される。以下、本実施形態の説明は、無線受信部10が、N(Nは、2以上の自然数)個の周波数帯域からダウンコンバートしたベースバンド信号を出力する場合について説明する。
【0018】
切替サンプリング部20は、切替器21と、サンプリング器25とを備えている。切替器21は、N個の入力端子と、1つ出力端子を有し、無線受信部10からN個の入力端子に入力されるN個のベースバンド信号のうちいずれか1つのベースバンド信号をサンプリング器25のサンプリング周期に同期して入力される入力切替信号に応じて選択し、選択したベースバンド信号を出力端子からサンプリング器25に出力する。サンプリング器25は、切替器21が選択したベースバンド信号を予め定められたサンプリング周期でサンプリング(アナログ・デジタル変換)し、サンプリングにより得られたサンプリング値を含むパケットを信号処理ブロック30に出力する。
図2は、本実施形態のサンプリング器25が出力するパケットの構成例を示す図である。図示するように、このパケットは、サンプリングにより得られたデータ(Sampled Data)であるサンプリング値と、ヘッダ情報(Header)とを含んでいる。ヘッダ情報は、データの開始位置を示す予め定められた既知の値、図示する例では8個の連続した「1」の直後に有効なサンプリング値が含まれていることを示している。
【0019】
換言すると、切替サンプリング部20は、N個のベースバンド信号のうちいずれかを入力切替信号に応じて選択してサンプリング器25に入力することで、N個のベースバンド信号それぞれに対して間引かれたサンプリングである圧縮センシングを行い、N個のベースバンド信号のサンプリング値を1つのデータ列として出力する。
【0020】
ここで、切替器21に入力される入力切替信号は、N個のベースバンド信号のうちいずれのベースバンド信号を選択するかを示す信号であり、制御部40から切替器21に入力される信号である。また、入力切替信号は、サンプリング器25がベースバンド信号をサンプリングするタイミングに合わせて入力される。すなわち、入力切替信号は、サンプリング器25のサンプリング周波数に同期して変更される。また、サンプリング器25のサンプリング周波数などは、制御部40からサンプリング器25に入力されるサンプリング制御信号により予め定められる。
【0021】
図1に戻り、信号処理ブロック30は、分配器31と、復元部34と、信号処理部37とを備えている。分配器31は、1つの入力端子と、N個の出力端子とを有している。このN個の出力端子は、切替器21の入力端子と1対1に対応している。また、分配器31は、サンプリング器25からサンプリング値を含むパケットが入力端子から入力され、入力されたパケットに含まれるサンプリング値をN個の出力端子のうちいずれかを出力切替信号に応じて選択し、選択した出力端子から出力する。
この出力切替信号は、制御部40から分配器31に入力される信号であり、分配器31に入力されるサンプリング値を元になったN個のベースバンド信号ごとに分配できるように、入力切替信号により選択された切替器21の入力端子に対応する出力端子を選択するための信号である。
すなわち、分配器31は、出力切替信号に基づいて、N個のベースバンド信号のサンプリング値を含む1つデータ列から、N個のベースバンド信号それぞれに対応する間引かれたサンプリング値のデータ列(圧縮センシングデータ列)を生成する。
【0022】
復元部34は、N個の復元器341、…、34Nを備える。以下、N個の復元器341、…、34Nのいずれか1つ、或いは全てを示すとき、復元器340という。復元器340は、分配器31のN個の出力端子のいずれか1つに1対1に対応して接続される。また、復元器340は、ベースバンド信号それぞれに対応するN個の間引かれたサンプリングデータ列のいずれかが分配器31から入力され、入力された間引かれたサンプリングデータ列を一般に公知のアルゴリズムに基づいて元のベースバンド信号を復元する。
【0023】
この際に用いられるアルゴリズムは、例えば、l1ノルム最小化法(l1-minimization 復元アルゴリズム、参考文献1:E. Candes et al., "l1-Magic:Recovery of Sparse Signals via Convex Programming," Octorber, 2005.)や、マッチング追跡法(mathcing pursuit 復元アルゴリズム、参考文献2:J. Tropp et al., "Signal Recovery from Random Measurement via Orthogonal Matching Pursuit," IEEE Transaction on Information Theory, pp.4655-4666, December, 2007.)である。
また、復元器340は、制御部40からサンプリング制御信号が入力され、サンプリング制御信号に含まれるサンプリング周期により、間引かれたサンプリングデータ列においていずれのタイミングのサンプリングデータが間引かれているかを検出する。
【0024】
信号処理部37は、N個の信号処理器371、…、37Nを備える。以下、N個の信号処理器371、…、37Nのいずれか1つ、或いは全てを示すとき、信号処理器370という。信号処理器370は、復元器341、…、34Nのそれぞれに1対1に対応して接続され、対応する復元器340が出力する復元したベースバンド信号に対して信号処理を行う。例えば、信号処理器370は、復元されたベースバンド信号の無線通信方式に対応した復調、復号及び復号したデータに対する処理を行う。また、信号処理器370は、復調、復号及び復号したデータに対する処理において得られる通信品質を示す信号を制御部40に出力する。
ここで、通信品質を示す情報は、例えば、復元されたベースバンド信号それぞれに対する、SNR(Singal Noise Ratio;信号雑音比)、BER(Bit Error Ratio;ビット誤り率)、ARQ(Automatic Repeat reQuest;誤り検出自動再送要求)レート、復調又は復号の有無である。また、無線通信方式とは、例えば、無線LAN、携帯電話の通信方式などである。
【0025】
制御部40は、信号処理器370から入力される通信品質を示す信号に基づいて各ベースバンド信号の重要度を決定し、決定した重要度に応じて単位時間当たりのサンプリング回数の重み付けを行う。例えば、制御部40は、SNRが予め定めた第1目標値より低いベースバンド信号に対してSNRを改善するために重要度を上げ、BERが予め定めた第2目標値を越えているベースバンド信号に対して重要度を下げる。また、制御部40は、復号が不要なベースバンド信号、例えば、有効な信号が含まれるか否かを判定したいとき重要度を下げ、更に、復調及び復号が不要なベースバンド信号に対してサンプリング回数が0になるように重要度を下げる。この重要度は、各ベースバンド信号間における相対的な順位付けにより行ってもよい。
【0026】
また、制御部40は、信号処理器370に割り当てられた通信方式に応じて無線受信部10がダウンコンバートする対象の周波数帯域を決定し、決定した周波数帯域を示す帯域選択信号を無線受信部10に出力する。この信号処理器370に対する通信方式の割り当ては、外部から入力する構成でもよいし、予め定められていてもよい。
また、制御部40は、無線受信部10が出力するベースバンド信号の周波数帯域に応じたサンプリング制御信号をサンプリング器25と復元器340とに出力する。このサンプリング制御信号は、ベースバンド信号の周波数帯域に応じて決定されるサンプリング周波数を表す情報が含まれる。
また、制御部40は、入力切替信号に応じた出力切替信号を分配器31に出力して、入力されたサンプリングデータが元になったベースバンド信号ごとに分けられて分配器31の出力端子から出力される制御を分配器31に対して行う。
【0027】
図3は、本実施形態における無線受信部10の一構成例を示す概略ブロック図である。図示するように、無線受信部10は、N個のバンドパスフィルタ111〜11Nと、N個のミキサ121〜12Nと、N個の局部発振器131〜13Nと、N個のローパスフィルタ141〜14Nとを備えている。
バンドパスフィルタ111は、アンテナから受信した信号のうち予め定められた特定の周波数帯域の信号をミキサ121に出力する。局部発振器131は、予め定められたベースバンド帯域の中心周波数に応じて定められた周波数を有する発振信号をミキサ121に出力する。ミキサ121は、バンドパスフィルタ111から入力される信号を、局部発振器131から入力される発振信号と合成することにより所望のベースバンド帯域へのダウンコンバートを行う。ローパスフィルタ141は、ミキサ121がダウンコンバートした信号のうち予め定められた周波数以下のベースバンド信号を切替器21に出力する。
【0028】
また、バンドパスフィルタ112〜11Nは、バンドパスフィルタ111と同様に、アンテナから受信した信号のうち予め定められた特定の周波数帯域の信号をミキサ122〜122Nに出力する。局部発振器132〜13Nは、予め定められたベースバンド帯域の中心周波数に応じて定められた周波数を有する発振信号をミキサ122〜12Nに出力する。ミキサ122〜12Nは、バンドパスフィルタ112〜11Nから入力される信号を、局部発振器132〜13Nから入力される発振信号と合成することにより所望のベースバンド帯域へのダウンコンバートを行う。ローパスフィルタ142〜14Nは、ミキサ122〜12Nがダウンコンバートした信号のうち予め定められた周波数以下のベースバンド信号を切替器21に出力する。
【0029】
切替器21は、ローパスフィルタ141〜14Nから出力されるベースバンド信号のうちいずれかを入力切替信号に応じて選択し、選択したベースバンド信号をサンプリング器25に出力する。このとき、選択されないベースバンド信号は、切替器21のN個の入力端子それぞれに設けられ一端が入力端子に接続され他端が接地された抵抗211〜21Nにおいて熱エネルギーに変換される。
【0030】
以下、本実施形態における各ベースバンド信号の復調の有無を考慮した重要度の決定手順と、選択パターンの決定手順との例を説明する。
制御部40は、上述したように、通信品質を示す情報に応じて各ベースバンド信号の重要度を決定する。ここでは、復調及び復号を行う信号と、強度の検出を行う信号との違いにより重要度を定め、定めた重要度に応じて各ベースバンド信号の重み付けを行う場合について説明する。
ここで、復調及び復号の対象となるベースバンド信号の数をMとし、強度の検出の対象となるベースバンド信号の数をLとし、復調及び復号の対象となるベースバンド信号と、強度の検出の対象となるベースバンド信号との単位時間当たりのサンプリング回数の比率をαとする。但し、M及びNを自然数とし、αは、正の数とする。このとき、復調及び復号の対象となるベースバンド信号の重みは、次式(1)で表される。
【0031】
【数1】

【0032】
一方、強度の検出の対象となるベースバンド信号の重みは、次式(2)で表される。
【0033】
【数2】

【0034】
ここで、i番目のベースバンド信号の重みをw(s)と表記する場合、各ベースバンド信号の重みの総和が次式(3)で表されるように、1となるように正規化する。
【0035】
【数3】

【0036】
例えば、3つのベースバンド信号1〜3があり、ベースバンド信号1に対して復調及び復号を行い、ベースバンド信号2及びベースバンド信号3に対して強度の検出を行う場合、ベースバンド信号1と、ベースバンド信号2及びベースバンド信号3とのサンプリング回数の比率をα=2とすると、各ベースバンド信号1〜3の重みは、次のようになる。ベースバンド信号1の重みは、0.5となり、ベースバンド信号2及びベースバンド信号3それぞれの重みは、0.25となる。
【0037】
また、異なるベースバンド信号の重み付けとして、BER(ビット誤り率)を用いて重要度を変化させて各ベースバンド信号の重み付けを行う場合を説明する。
ベースバンド信号がM個あり、各ベースバンド信号の重みがw(s)であり、各ベースバンド信号のBERがp(s)とする。但し、iは、1≦i≦Mを満たす自然数である。
i番目のベースバンド信号のp(s)が予め定められた基準値より大きい場合、そのベースバンド信号の重みw(s)を予め設定されている係数β(β≧0)倍する。一方、i番目のベースバンド信号のp(s)が予め定められた基準値より小さい場合、そのベースバンド信号の重みw(s)を(1/β)倍する。ここで、いずれかのベースバンド信号の重みが変更されたとき、次式(4)を満たすように各ベースバンド信号の重みを全ての信号の重みの総和で正規化する。
【0038】
【数4】

【0039】
このように、各ベースバンド信号のBERに応じてベースバンド信号の重要度を変更し重み付けを決定するようにしてもよい。これにより、BERに基づいて各ベースバンド信号の重み付けを動的に変更することができる。
なお、ここでは、復調及び復号と、強度の検出とに基づいて重要度を定める例と、BERに基づいて重要度を変更する例とを示したが、上述した通信品質を示す情報に基づいて重要度を定め、変更してもよい。
【0040】
続いて、重要度に基づいたベースバンド信号の選択方法について具体的な例を示して説明する。ここでは、3つのベースバンド信号(信号S1、信号S2、信号S3)が入力され、信号S1の重要度は、信号S2及び信号S3より高く、信号S2と信号S3の重要度は同じとする。
【0041】
図4は、本実施形態の制御部40が行うベースバンド信号の選択方法の一例を示す図である。
制御部40は、サンプリング対象のベースバンド信号の数、及びベースバンド信号間の重要度の関係に応じて、上述した一例のように、図4(a)に示すように3つのベースバンド信号S1〜S3それぞれの選択の重み付けw(s)(i=1,2,3)をw(s)=0.5,w(s)=0.25,w(s)=0.25と決定する。
また、各ベースバンド信号の重み付けの決定は、例えば、サンプリング対象の数、及び重要度の関係に対応付けられた割合が予め記憶されたテーブルなどを用いて行ってもよい。
【0042】
そして、制御部40は、0から1.0までの間の乱数を発生させて、得られた乱数に応じてベースバンド信号S1〜S3のいずれかを選択する。また、制御部40は、選択したベースバンド信号をサンプリング器25に入力するための入力切替信号を生成し、生成した入力切替信号を切替器21に出力する。この動作は、例えば、次式(5)により表されるアルゴリズムを用いて行い、ベースバンド信号S1〜S3を選択する選択パターンを決定する。
【0043】
【数5】

【0044】
例えば、図4(b)に示すように、「0.314,0.517,0.128,0.789,0.912,…」、と乱数が得られた場合、制御部40は、信号S1、信号S2、信号S1、信号S3、信号S3を選択する。そして、切替器21は、選択されたベースバンド信号をサンプリング器25に出力することで、重要度に応じたサンプリングが行われる。すなわち、制御部40は、各ベースバンド信号の重要度に応じて各ベースバンド信号の選択パターンを決定する。
【0045】
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態における受信システム100で行われる切替器21とサンプリング器25とを用いて行う圧縮センシングと、圧縮センシングで得られた間引かれたサンプリングデータ列から元のベースバンド信号に復元する処理とを具体例を用いて説明する。以下、切替器21に入力されるベースバンド信号が、信号S11、信号S12、信号S13の3つの場合について説明する。
【0046】
図5は、本実施形態における切替サンプリング部20の処理の例を示す模式図である。信号S11〜S13は、無線受信部10から出力されるベースバンド信号(アナログ信号)である。図5は、時刻T1から時刻T18における切替サンプリング部20の処理を示している。
図示するように、信号S11〜S13は、それぞれが切替器21の異なる入力端子に入力され、上述したように、入力切替信号は、制御部40が各信号の重要度に応じて決定する。切替器21は、時刻T2,T5,T8、T12,T15において信号S11を選択してサンプリング器25に出力し、時刻T3、T7、T10、T13、T14において信号S12を選択してサンプリング器25に出力し、時刻T1,T6、T9、T11,T17において信号S13を選択してサンプリング器25に出力する。
【0047】
サンプリング器25は、上述のように切替器21から入力された信号S11〜S13をサンプリングし、サンプリングデータである信号S20を出力する。すなわち、切替サンプリング部20は、切替器21が信号S11〜S13を選択した順序に応じて各信号のサンプリングデータが混在した1つのデータ列である信号S20を出力する。換言すれば、信号20は、信号S11〜S13を間引いてサンプリングした3つのデータ列を時間軸上で合成したものである。
【0048】
図6は、本実施形態における分配器31及び復元部34の処理の例を示す模式図である。分配器31は、サンプリング器25からサンプリングデータ列である信号S20が入力され、出力切替信号に応じて入力された信号S20を分配して3つの間引かれたサンプリングデータ列である信号S21〜S23(Compressed Data;圧縮サンプリングデータ)を復元部34(復元器341〜343)に出力する。
なお、このときの出力切替信号は、図5において切替器21に信号S11〜S13を選択させた入力切替信号に対応する信号であり、サンプリングデータ列の信号S20に含まれるサンプリング値をサンプリング対象の信号S11〜S13ごとに分配させる信号である。
【0049】
図示するように、分配器31が出力する信号S21は、信号S11を間引きサンプリングして得られた間引きサンプリングデータ列である。また、信号S22、S23は、信号S21と同様に、信号S12、S13を間引きサンプリングして得られた間引きサンプリングデータ列である。なお、間引きサンプリングとは、切替器21により重要度に応じた選択パターンでサンプリングすることをいう。
【0050】
復元器341は、切替サンプリング部20から信号S21が入力され、入力された信号S21に対して所定のアルゴリズムを用いて間引きサンプリングの対象となった信号S11を復元した信号S11’(アナログ信号)を出力する。復元器342、343は、復元器341と同様に、入力された信号S22、S23に対して所定のアルゴリズムを用いて信号S12、S13を復元した信号S12’、S13’を出力する。ここで、所定のアルゴリズムは、参考文献1及び参考文献2に記載されたアルゴリズムである。
【0051】
上述の構成により、同実施形態の受信システム100は、切替器21が無線受信部10から出力される複数のベースバンド信号のうちいずれか1つを選択してサンプリング器25に入力するようにした。これにより、複数のサンプリング器を設けずとも、1つのサンプリング器25を用いて複数のベースバンド信号をサンプリングすることができる。
また、制御部40がベースバンド信号の受信品質などに応じて重要度を定め、重要度とサンプリング対象の信号の数とに応じて複数のベースバンド信号の単位時間あたりのサンプリング回数であるサンプリング比率を決定するようにした。これにより、データの重要度に応じてサンプリングデータの間引く頻度を決定することができ、重要度の高いベースバンド信号がサンプリングされる頻度を高くし、重要度の低いベースバンド信号がサンプリングされる頻度を低くすることができる。すなわち、ベースバンド信号の重要度に応じて、ベースバンド信号に対する圧縮センシングにおける圧縮率を変更することができる。
【0052】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の受信システム100aの構成を示す概略ブロック図である。図示するように、受信システム100aは、無線受信部10と、検波器15と、切替サンプリング部20と、信号処理ブロック30と、制御部40aとを備えている。本実施形態の受信システム100aは、第1実施形態の受信システム100に加えて、検波器15を加えた点が異なる。なお、本実施形態において、第1実施形態と同じ構成については、該当箇所に同じ符号(10、20、21、25、30、31、34、37、341〜34N、371〜37N)を付して、その説明を省略する。
【0053】
検波器15は、無線受信部10が出力するN個のベースバンド信号それぞれの受信電力値を測定し、ベースバンド信号それぞれの受信電力値を制御部40aに出力する。
制御部40aは、第1実施形態の制御部40が信号処理器370から入力される通信品質を示す信号に基づいて各ベースバンド信号の重要度を決定することに替えて、検波器15から入力される受信電力値に応じて各ベースバンド信号の重要度を決定する。
例えば、制御部40aは、ベースバンド信号の受信電力値が予め決めた基準値より低い場合、当該ベースバンド信号の重要度を高くして、サンプリング回数を増加させる。これにより、受信電力値の低いベースバンド信号の受信品質の低下を防ぐことができる。なお、制御部40aが行う重み付けについては、第1実施形態の制御部40と同様に行う。
【0054】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の受信システム500の構成を示した概略ブロック図である。受信システム500は、第1実施形態の受信システム100をリモート局装置51と、中央局装置52との2つに分割するとともに、分割したそれぞれを有線の伝送路53を介して接続した構成である。
【0055】
リモート局装置51は、無線受信部10と、切替サンプリング部20と、リモート局制御部41とを備えている。切替サンプリング部20は、切替器21と、サンプリング器25とを有している。中央局装置52は、信号処理ブロック30と、中央局制御部42とを備えている。信号処理ブロック30は、分配器31と、復元部34と、信号処理部37とを有している。なお、本実施形態において、第1実施形態と同じ構成に対して同じ符号(10、21、25、31、34、37、341〜34N、371〜37N)を付してその説明を省略する。
【0056】
リモート局制御部41は、中央局制御部42から伝送路53を介して入力されるリモート局制御信号を受信し、リモート局制御信号に含まれる帯域選択信号、入力切替信号、及びサンプリング制御信号を、無線受信部10、切替器21、及びサンプリング器25に出力する。
中央局制御部42は、入力切替信号及びサンプリング制御信号を切替器21及びサンプリング器25に直接出力せずに、入力切替信号及びサンプリング制御信号を含むリモート局制御信号を伝送路53を介してリモート局装置51に送信する。また、中央局制御部42は、リモート局装置51にリモート局制御信号を送信する点が第1実施形態の制御部40と異なる以外、制御部40と同じ構成を有している。
【0057】
以上のように構成された、受信システム500において、リモート局装置51は、切替サンプリング部20が複数のベースバンド信号それぞれに対して間引かれたサンプリングを行い、N個のベースバンド信号のサンプリング値を含む1つのデータ列を中央局装置52に伝送する。また、中央局装置52は、分配器31がリモート局装置51から受信した1つのデータ列からN個のベースバンド信号それぞれに対応する間引かれたサンプリング値のデータ列を生成し、復元器340が間引かれたサンプリング値のデータ列から所定のアルゴリズム(l1minimaizationや、matching persuit)を用いて元の複数のベースバンド信号を復元する。これにより、伝送するサンプリング値のデータ量を削減しつつ、N個のベースバンド信号を直接伝送する場合に比べ少ない帯域幅で伝送することができる。そして、伝送路53に十分な帯域幅がない場合においても、N個のベースバンド信号を伝送することができる。
【0058】
また、受信システム500では、ベースバンド信号それぞれの重要度に応じてサンプリングする頻度(サンプリング比率)を変化させるようにしている。これにより、重要度の高いベースバンド信号のサンプリング値を増やし、重要度の低いベースバンド信号のサンプリング値を減らすことができ、伝送路53の帯域幅が限られている場合であっても、重要度の高いベースバンド信号の信号品質の低下を抑制した伝送を行うことができる。
【0059】
また、複数のベースバンド信号を切替器21により選択し、選択したベースバンド信号をサンプリングして、サンプリングにより得られたサンプリング値を元のアナログ信号ごとに間引かれたサンプリング値のデータ列として扱うことで、1つのサンプリング器を用いて複数のベースバンド信号のサンプリングを行うことができる。これにより、複数のベースバンド信号ごとにサンプリング器を設ける必要がなくなり、装置を小型化できるとともに、製造コストを削減することができる。
【0060】
なお、上述の各実施形態において、制御部40は、乱数を用いて重要度に応じたベースバンド信号の選択を行う構成を示したが、これに限らず、ベースバンド信号の数、及び各ベースバンド信号の重要度の関係に対応付けられたベースバンド信号の選択パターンを記憶するテーブルをリモート局装置51及び中央局装置52それぞれに設けるようにしてもよい。このとき、リモート局制御部41及び中央局制御部42は、当該テーブルから同じ選択パターンを読み出し、読み出した選択パターンに基づいて切替器21及び分配器31を切り替える。これにより、通信状態に応じて重要度を変更せずともテーブルから読み出す選択パターンを変更することで対応することができる。例えば、切替器21が重要度の低いベースバンド信号を選択しないようにして、当該ベースバンド信号をサンプリングの対象外とするなどの変更を行う。
【0061】
また、上述の各実施形態において、重要度を決定する指標としてベースバンド信号に含まれる信号の許容遅延を用いてもよい。この場合、許容遅延の小さい信号処理、例えば、VoIPなどの処理に対しては重要度を高くし、許容遅延の大きい信号処理、例えば、ファイル転送などの信号処理に対しては重要度を低くする。これにより、許容遅延に応じたベースバンド信号に対する信号処理を行うことができる。
【0062】
また、上記の各実施形態において、無線受信部10が受信する無線信号の周波数帯域ごとに予め定められた重要度に応じて、周波数帯域ごとに対応するベースバンド信号のサンプリング比率を定めるようにしてもよい。
また、上述の各実施形態において、1回のA/D変換ごとに切替器21及び分配器31の選択を切り替えるようにしたが、これに限らず、例えば、2回ごと、或いは3回ごとなどとしてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態において、分配器31が有する出力端子、復元器340、及び信号処理器370それぞれの個数と、切替器21に入力されるベースバンド信号の数とをN個として説明したが、これに限らず、ベースバンド信号の数が多くてもよい。その場合、制御部40は、複数のベースバンド信号のうち復元器及び信号処理器を割り当てないベースバンド信号を決定し、切替器21が、当該ベースバンド信号を選択しないように制御する。
【0064】
また、第3実施形態のリモート局装置51において、無線受信部10の出力するベースバンド信号の周波数帯域、当該ベースバンド信号に応じたサンプリング周波数、入力切替信号を設定し、リモート局制御部41は、伝送対象となるベースバンド信号の周波数帯域、サンプリング周波数、及び入力切替信号を表す信号を中央局装置52の中央局制御部42に伝送路53を介して送信する。この場合、リモート局装置51は、外部からベースバンドの周波数帯域、サンプリング周波数、及び入力切替信号を入力する入力手段を設け、入力されたこれらの情報を用いるようにする。これにより、リモート局装置51が設置された状況、例えば、信号の受信状況などに応じたベースバンド信号の重み付けをリモート局装置51において行うことができる。
【0065】
また、第3実施形態において、リモート局装置51が1つの場合を示して説明したが、これに限らず、中央局装置52に対して複数のリモート局装置51を接続してもよい。この場合、中央局装置52には、接続するリモート局装置51ごとに対応する分配器31、復号部34、及び信号処理部37が設けられ、各リモート局装置51から送信されるサンプリング値を含むパケットを処理する。
また、第3実施形態において、第2実施形態と同様に、検波器15を設けてベースバンド信号の受信電力に応じて重要度を変更するようにしてもよい。この場合、リモート局制御部41が、重要度を変更して中央局制御部42に通知するか、或いは、重要度の変更を要求する情報を中央局制御部42に送信する。これにより、受信電力値に応じて重要度を変更することができ、受信する無線信号の強さに基づいた伝送を行うことができる。
【0066】
なお、本発明に記載の処理対象信号は、上記の実施形態のベースバンド信号に対応する。
【0067】
上述の信号処理ブロック30は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。その場合、上述した分配器31、復元部34、及び信号処理部37の処理は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われることになる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本願発明は、複数のアナログ信号をデジタル化し、デジタル化した信号を伝送路を介して伝送する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
100、100a、500…受信システム
10…無線受信部
20…切替サンプリング部
21…切替器
25…サンプリング器
30…信号処理ブロック
31…分配器
34…復元部
37…信号処理部
40、40a…制御部
41…リモート局制御部
42…中央局制御部
51…リモート局装置
52…中央局装置
53…伝送路
111、112、11N…バンドパスフィルタ
121、122、12N…ミキサ
131、132、13N…局部発振器
141、142、14N…ローパスフィルタ
211、212、21N…抵抗
340、341、342、34N…復元器
370、371、372、37N…信号処理器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じて、該複数の処理対象信号のうちいずれを選択するかを表す制御信号を生成する制御部と、
前記制御部の生成した制御信号に応じて、前記複数の処理対象信号のうち1つの処理対象信号を選択する切替器と、
前記切替器が選択した処理対象信号をサンプリングしたサンプリング値を出力するサンプリング器と、
前記サンプリング器から入力されたサンプリング値を前記制御部の生成した前記制御信号に基づいて、前記複数の処理対象信号それぞれに対応する出力端子から出力する分配器と、
前記分配器の異なる出力端子にそれぞれ接続され、該出力端子から出力されるサンプリング値に基づいて、サンプリング対象となった元の処理対象信号を復元する複数の復元器と
を備えることを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
前記サンプリング器が、サンプリング値の開始位置を示すヘッダ情報と、サンプリング値とを含むパケットを前記分配器に出力し、
前記分配器は、前記サンプリング器から入力されたパケットに含まれるヘッダ情報を検出して得られたサンプリング値を前記出力端子それぞれから出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じて、該複数の処理対象信号それぞれに選択される確率を算出し、算出した確率と、発生させた乱数とを用いて前記複数の処理対象信号のうちいずれを選択するかを決定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の信号処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の信号処理装置と、
受信した複数の無線信号それぞれをベースバンド帯域に周波数変換した複数のベースバンド信号を生成し、生成した複数のベースバンド信号を前記処理対象信号として前記信号処理装置に入力する無線受信部と
を備えることを特徴とする受信システム。
【請求項5】
リモート局装置と中央局装置とが伝送線で接続された受信システムであって、
前記リモート局装置が、
受信した複数の無線信号それぞれをベースバンド帯域に周波数変換した複数の処理対象信号を生成する無線受信部と、
前記複数の処理対象信号のうちいずれかを制御信号に応じて選択する切替器と、
前記切替器が選択した処理対象信号をサンプリングしたサンプリング値を出力するサンプリング器と
を備え、
前記中央局装置が、
前記サンプリング器から出力されるサンプリング値を前記伝送線を介して受信し、受信したサンプリング値を前記制御信号に基づいて、前記複数の処理対象信号それぞれに対応する出力端子から出力する分配器と、
前記分配器の異なる出力端子にそれぞれ接続され、該出力端子から出力されるサンプリング値に基づいて、サンプリング対象となった元の処理対象信号を復元する複数の復元器と
前記複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じて、複数の処理対象信号のうちいずれを選択するかを表す制御信号を生成し、生成した制御信号を前記切替器及び前記分配器に出力する制御部と、
を備える
ことを特徴とする受信システム。
【請求項6】
前記複数の処理対象信号それぞれの重要度が、前記複数の無線信号それぞれの受信状態を表す指標に基づいて決定される
ことを特徴とする請求項4又は請求項5の受信システム。
【請求項7】
入力される複数の処理対象信号それぞれの重要度に応じて、該複数の処理対象信号のうちいずれを選択するかを表す制御信号を生成する制御過程と、
前記制御過程において生成した制御信号に応じて、前記複数の処理対象信号のうち1つの処理対象信号を選択する切替過程と、
前記切替過程において選択した処理対象信号をサンプリングしたサンプリング値を出力するサンプリング過程と、
前記サンプリング過程において出力されたサンプリング値を前記制御過程で生成した前記制御信号に基づいて、前記複数の処理対象信号それぞれに対応する出力端子から出力する分配過程と、
前記分配過程において各出力端子から出力されるサンプリング値に基づいて、サンプリング対象となった元の処理対象信号を復元する復元過程と
を備えることを特徴とする信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−146814(P2011−146814A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4330(P2010−4330)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】