説明

修飾されたエキセンディン(Exendins)及びその使用

【課題】GLP−1受容体のアゴニストとして修飾されたエキセンディン−4及びそのポリエチレングリコール誘導体を提供する。
【解決手段】エキセンディン−4のアミノ酸配列において、2番目、14番目、27番目、28番目の中の一つ又は複数位置が修飾された前記エキセンディン−4、並びに、そのポリエチレングリコール誘導体。これらの化合物は、インスリン分泌促進活性のあるGLP−1受容体のアゴニストとして、II型糖尿病の治療に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長効インスリン分泌促進ペプチド誘導体及び製剤的に許容される塩に関わり、具体的に言えば、ポリエチレングリコールによって修飾されたインスリン分泌促進ペプチド化合物及びその製剤的に許容される塩に関わる。本発明はまた、その調製方法、及び該当化合物がすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(Glucagon-like Peptide1, GLP−1)の受容体に作用することによって、β−細胞のインスリンの分泌を刺激し、血糖を調整して、II型糖尿病の予防、治療に応用することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年以来、生活レベルの向上、生活様式の現代化及び社会の老齢化に伴って、世界各地の糖尿病の病気にかかる比率が年年増えている。特にその貧乏から豊かになる発展途上国での上昇率が更に著しい。糖尿病は腫瘍、心脳血管病気に継ぎ、第三位のひどい慢性非伝染病で、致死、障害を起こす主な原因の一つになっている。1997年のWHOの報告によれば、全世界での糖尿病患者が既に1.35億人あり、2000年には、更に1.75億人に達すると予測された。中国の最新調査報告によれば、20歳以上の自然人群れの中に、糖尿病の病気にかかる比率が3.21%であり、初歩的に推定すると、中国の糖尿病患者は少なくとも2000万人以上あり、その中の95%以上がII型糖尿病患者であることを現している。統計によると、アメリカでは1987年から1992年まで、毎年直接或いは間接に糖尿病に使う経費支出は10億ドルから920億ドルに増えてきた。中国でも近年糖尿病の治療費用が顕著なスピードで増えている。1993年の関連資料に対する統計、分析によれば、当年、直接糖尿病に使われた治療費用が22.16億元に達する。なお、この費用は糖尿病による併発症の治療費用、病院以外での治療と保健支出、及び間接的社会経済損失を含まない。
【0003】
目下、II型糖尿病を抑える方法には飲食の制限、体の鍛錬、及び薬物による血糖濃度の調節などがある。最もよく使う薬物はインスリン、スルフリル尿素類、ダブルグアニジン類及び格列ケトン類の化合物である。これらの薬物は体の中の血糖の正常化に主な役割があるが、糖尿病による併発症を更正することができなく、特に腎臓、心血管系統、視学及び神経系統に損傷が生ずる。これらの併発症は糖尿病による致死亡率の増加に直接の関係がある。第一世代の糖尿病を治療する薬物の主要な副作用は、低血糖、体重増加及び水腫である。これらの薬物はその作用機構はそれぞれ違うが、いずれもインスリンの分泌機能を有するβ−細胞を保護する役割がないため、体の中の正常な血糖の代謝と内分泌の調節を維持することができない。ほとんどが単一の薬物では次第に役が立たなくなり、やむを得ず2つ以上の薬物による治療方法を使うことが多い。さらに患者が同時に血圧降下用薬、コレステロール降下用薬を使用する場合が多いため、こういう方案の長期的な効果が人によって違う。従って、血糖を抑える新薬を検討、開発し、目下現有の薬物と協同することで、及びβ−細胞機能の保護及び修復を強調し、内分泌系統が食物の摂取に対する反応を調節することは、糖尿病の治療に対して、革命的に推進である。
【0004】
すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体のアゴニストに対する研究は大したもので、この分野の研究と開発はII型糖尿病を治療する分野の新しい一章を開く可能性がある。すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1は1984年に発見され、腸内内分泌ホルモンである。II型糖尿病患者にこのホルモンを注射すると、その血糖濃度が正常レベルに調節できる(Nathan, DM, et al. Diabetes Care 1992; 15:270-6; Zander, M, et al.
Lancet 2002; 359:824-30)。研究結果によると、すい臓の高血糖素の類似ペプチド及びその受容体のアゴニストの作用は主にすい臓β−細胞表面のすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1の受容体をアクティベーションすることによって、インスリンを分泌するからである。こういう効果は体の中の血糖濃度の高低によって決まるから、こうすれば、伝統的な薬物のように、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1及びその受容体のアゴニストが存在する場合でも、ひどい低血糖のため、生命危険のある低血糖ショックを起こすことがない。具体的に言えば、体の中の血糖濃度が6mmol/Lより高い場合、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1が著しいインスリンの分泌を促進する役割があり、体の中の血糖が正常になる場合、その役割が継続しない。また、こういうアゴニストには、齧歯目動物(鼠)のインスリンβ−細胞の生長を刺激し、β−細胞組織を増加させる作用がある。このようなインスリンβ−細胞を修復する機能はII型糖尿病の全快に対して前景を描き、少なくともII型からI型への発展を遅らせることができる。また、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1及びその受容体のアゴニストが同時にすい臓の高血糖素の分泌を抑えるため、肝臓血糖の輸出を減らすことが可能である。さらに意義のあることは、こういうアゴニストは有効的に胃腸の能動性及び胃の完全吐き出しを抑えるため、食物の摂取を減らし、体重を減らすことができ、このようにしてII型糖尿病患者の体重を調節することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Nathan, DM, et al. Diabetes Care1992; 15:270-6; Zander, M, et al. Lancet 2002; 359:824-30
【発明の概要】
【発明の効果】
【0006】
本発明の目的は効果が長いポリエチレングリコールによって修飾されたインスリン分泌促進ペプチド化合物及びその製剤的に許容される塩を提出することにある。これらはすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体をアクティベーションして、インスリンの分泌を促進し、血糖を降下させる役割を有するので、II型糖尿病の治療或いはII型糖尿病の予防に適用できる。このような化合物が体の中で更に長い滞在時間を持ち、効果を発揮できる理由は、ポリエチレングリコールによって修飾された後、腎臓を経由して排出される時間を遅らせたばかりでなく、もっと重要な理由は、そのポリペプチド骨格が体の中でもっといい酵素と化学安定性があるため、ポリエチレングリコールの修飾による長効の役割を保証するので、患者の注射回数を減らすことができ、患者の便利を図り、治療の品質と効果を向上することができる。
【0007】
具体的に言えば、本発明は配列表に配列されたすべてのポリエチレングリコールの修飾に用いられるプレーカーソルポリペプチド、及び異なる分子量のポリエチレングリコールで修飾して生成された化合物及びその製剤的に許容される塩を含むが、またこれらに限られたものではない。
【0008】
本発明のもう1つの目的は、ポリエチレングリコールで修飾した長効のインスリン分泌促進ペプチド化合物及びその製剤的に許容される塩を調製する方法を提出することにある。
【0009】
本発明のまた1つの目的は、これらの長効のインスリン分泌促進ペプチド誘導体及び/或いはその製剤的に許容される塩がすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体アゴニストとして、II型糖尿病の予防、治療に応用することにある。
【0010】
本発明の目的は下記の技術案によって実現されたもので、本発明はインスリン分泌促進ペプチド及びその製剤的に許容される塩に関わり、そのポリペプチド骨格は最適化された体内酵素及び化学安定性を有する。特に、本発明はインスリン分泌促進ペプチドに関わり、それは(A)配列番号(SEQ
ID NO.)4〜141に示されたアミノ酸配列を含み、(B)は配列番号4〜141に示されたアミノ酸配列と実質的には同じアミノ酸配列を含む。 本発明は、また配列番号4〜141に示されたインスリン分泌促進ペプチドアミノ酸配列において、特に2番目、14番目、27番目、28番目に対して、一つまたは一つ以上のポリエチレングリコールで修飾して得られたインスリン分泌促進ペプチド及びその製剤的に許容される塩に関する。前記ポリエチレングリコールの分子量は5,000〜80,000であり、好ましくは20,000〜60,000である。本発明のこれらインスリン分泌促進ペプチドのアミノ酸化合物は肝心な修飾部分を持ち、それはインスリン分泌促進ペプチドアミノ酸配列の2番目、14番目、27番目、28番目を含む。 また、本発明は上記インスリン分泌促進ペプチド及びその製剤的に許容される塩を調製する方法に関わり、その中に、固体相と液相の合成方法、HPLC、イオン交換及びゲル濾過精製方法及び冷凍乾燥を含む。
【0011】
さらに、本発明はポリエチレングリコールで修飾する前或いは修飾した後のインスリン分泌促進ペプチド誘導体及びその製剤的に許容される塩がII型糖尿病の治療及び/或は予防の面での応用を提供する。
【0012】
臨床実験データによれば、血糖濃度のコントロールが割合に悪いII型糖尿病患者に対して、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)で治療する場合、その空腹血糖濃度が正常(Gutniak, et al, New Eng. J. Med. 326:1316-1322,1992)に快復できる。長期に亘ってすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)を使用すると、そのβ−細胞の機能が正常の人と同じレベル(Rachman, et al., Diabetes
45:1524-1530,1996)になることができる。すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)は、ブドウ糖へ耐える機能が不健全の患者のベータ−細胞に対して、ブドウ糖に回答する機能を改善することができる(Byrne, et al., Diabetes47:1259-1265,1998)。但し、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)が体内では非常に容易にジペプチジルペプチダーゼ(DPPIV)の破壊によって活性を失ってしまうとともに、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)にもその他のエンドペプチダーゼ(例えばNEP24.11)の切断位点が存在しているので、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の体内での役割は短期間なものであるため、連続的に薬を与える方法を採用しないと、本当の治療効果を奏することができない。そのため、大部分の実験室はもっと安定したすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体アゴニストの開発に力を入れている。これらの化合物は主にすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)本体を修飾することによって形成されたものである。非常に重要なのは、80年代末、90年代のはじめごろ、Engらはアメリカの西南部のトカゲ(Gila Monster, Heloderma Sespectrum)の唾液分泌器官からエキセンディン−4(Eng, J., et al., J.Biol. Chem.,265:20259-62, 1990, Eng, J., et al.,
J.Biol. Chem., 267:7402-05,1992)を分離した。エキセンディン−4は39のアミノ酸を有するポリペプチドであり、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)と53%の相同性を有する。エキセンディン−4はすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体と親和力があり、その能力もすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)本体より強い。体内におけるエキセンディン−4の体内血糖代謝調節能力はすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)よりもいいし、インスリンの分泌を促進する役割が生ずるに必要の濃度はすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)より低く、かつ、体内での半減期がすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)よりさらに長い(Kudsen, L.B.J.Med. Chem. 47:4128-4134,2004)。これは主にエキセンディン−4が独特の酵素安定性を有するからであり、これらの酵素安定性は主にポリペプチドの体内の酵素(例えばNEP24.11)の切断位点を削除したことから生まれる。
【0013】
目下、大量の文献の中で、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体アゴニスト機能を有する化合物、例えば、GLP−1(7−36)、GLP−1(7−37)、エキセンディン−4及びその他のGLP−1とエキセンディン−4の誘導体を報告した。これらの文献は、WO98/43658、WO00/15224、WO00/66629、WO01/98331、WO01/04156、USP
No.5,545,618、USP No.5,118、WO03/058203、US出願番号60/395,738、WO04/022004及びその中で引用した文献などを含む。
【0014】
次に天然存在するGLP−1の受容体アゴニストの比較を表す。
【0015】
【表1】



【0016】
式の中の英文頭文字はH(His)、A(Ala)、E(Glu)、G(Gly)、T(Thr)、F(Phe)、S(Ser)、D(Asp)、V(Val)、Y(Tyr)、L(Leu)、Q(Gln)、K(Lys)、I(Ile)、R(Arg)、M(Met)、N(Asn)、P(Pro)である。
【0017】
多くの実験室がもっと安定するすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体アゴニストを開発しているが、それの体内での作用効果はやはり短いので、長効であり、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体激動機構によるインスリン分泌促進ペプチド誘導体の開発が目の前に迫っている。このような化合物の治療作用と副作用(嘔吐と吐き気)を起こすウインドーが狭いので、緩釈製剤を貯蔵して解決する方法は成功する確率がやはり小さい。長い効果のすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体アゴニストの獲得を解決する方法は、体内で十分の滞留時間を有し、安定な化合物を生成することによって実現することしかない。
【0018】
ポリエチレングリコールを活性蛋白とポリペプチドの中に導入すると、活性蛋白とポリペプチドの滞留時間を延長できる。この技術はすでに多くの蛋白質を主とする生物薬物の応用に成功した、例えば、PEG−Intron,
PEGASYS, Neulasta, Somavertなど。ポリエチレングリコールをポリペプチド或いは蛋白骨格に導入する方法と化学は関連文献を参考する。例えば、Veroneseの要約(Veronese, FM, Biomaterial 2001 22:405-417)。すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)とエキセンディン−4はすべてすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体である事実に鑑み、アメリカ特許USP05424286およびWO98/05351は、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)とエキセンディン−4の体内インスリンの分泌を促進する作用の比較実験を報告した。当該実験によれば、エキセンディン−4の体内作用がすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)より強く、且つ、時間がすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)より長いが、その原因としては、エキセンディン−4が体内のポリペプチド水解酵素に対して、もっと安定的であるからである(DPP
IV, NEP24.11など)。WO2004/022004は、ポリエチレングリコールで修飾したすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体アゴニストを開示し、かつ、使用するポリエチレングリコールの分子量が30000(ダルトン)以上の場合、獲得した誘導体は頭脳内のすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体の活性化による吐気と嘔吐などの副作用がなくなる可能性があると示した。これはポリエチレングリコールで修飾したすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体アゴニストは、体内の作用時間を延長するばかりでなく、副作用を削減する可能性もあることを表した。しかし、これら公開された化合物は体内、体外の活性に制限があるほかに、そのポリペプチド骨格の体内酵素及び化学安定性が改善できていなく、これらの化合物が長効製剤になる可能性を制限した。その弱くなった体内、体外活性が生産コストを向上させる。それで、酵素の安定性がいいエキセンディン−4の骨格をポリエチレングリコールで修飾するプレーカーソルの起点とすると、成功の可能性がもっと大きくなる。WO00/66629には、直接エキセンディン−4をポリエチレングリコールの修飾プレーカーソルとして得られた化合物と方法を示したが、真の長効で、安定した、低コストの薬品の獲得とはかなり距離がある。その理由として、エキセンディン−4の体内滞留時間が従来の数時間から数十時間、さらにもっと長い時間に延長されたが、そのN端のHis−Glyはやはりディペプチドの制限性内切酵素(例えばDPP
IV)に切られる可能性があり、すい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体激動の活性機能を失活させることがある。同様に、長効のポリエチレングリコールで修飾したすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体アゴニストは、また優れる化学安定性を有しなければならない。特に体温が37℃の下で優れる化学安定性を有しなければならないが、エキセンディン−4の骨格の中の14位メチオニンは容易に酸化され、生物活性の変化を起こしやすいと同時に、製剤の生産にも影響を与え、28位のアスパラギンの加水分解は薬物が失活され、及び製剤困難の主要原因となる。その加水分解の機構は下記の通りである。
【0019】
【化1】



【0020】
加水分解の機構から、アスパラギンが存在により、発生した五員環加水分解は修飾されたすい臓の高血糖素の類似ペプチド−1(GLP−1)の受容体アゴニストの活性を降下させるばかりでなく、また、ポリエチレングリコールとポリペプチドの骨格の分離を引き起こし、長効化合物の体内での滞留時間に影響を与えることが分かる。そのため、2位のグリシンに対する修正はエキセンディン−4のポリペプチドを基にする酵素安定性と化学安定性をアップさせる。14位のメチオニンと28位のアスパラギンに対する修正はエキセンディン−4のポリペプチドを基にする化学安定性をアップさせる。WO00/66629は、ポリエチレングリコールによるエキセンディン−4の修飾で導入されたライシーン側鎖アミノ基によってアシル化反応を行い、ポリエチレングリコールの結合物を生成することを強調する。エキセンディン−4本体に同時にライシーンが存在するため、このように修飾した反応選択性は保護基を使用することで実現するしかなく、生産コストに自然的に影響を与える。ポリエチレングリコールを修飾、連結する切断位点と反応専一の基をポリペプチドのカルボキシル(基)側(C−側)に置くのは、ポリエチレングリコールのポリペプチドとその受容体に対する作用の影響を減らすことでなく、逆に反応が専一であるため、生産コストも明らかに低下する。
【0021】
本発明は、1シリーズの2位、14位、27位或いは28位がポリエチレングリコールにより修正されたエキセンディン−4の誘導体、及びこれらのポリペプチド骨格を用いてポリエチレングリコールの修飾を行って得られたインスリン分泌促進ペプチドを開示する。これらのポリエチレングリコールで修飾したインスリン分泌促進ペプチドは体内で長い効果を有し、長効注射剤に調製して使用することができる。
【0022】
本発明が公開したインスリン分泌促進ペプチド化合物は、体内と体外でβ−細胞表面にあるGLP−1の受容体を活性化してインスリンを分泌する機能を有するため、血糖濃度を低下させる。これらインスリン分泌促進ペプチドの例は表1に挙げたポリペプチドの配列とポリエチレングリコールで修飾して得られた化合物を含むが、またこれらに限定されたものではない。ポリエチレングリコールの修飾ポイントとして、39位のS(Ser)の代わりにシスティン或いはその他スルフヒドリルを含有する合成アミノ酸を使うことができる。同様に、ポイントの多いポリエチレングリコールの修飾は下記の方式によって完成でき、それはカルボキシル(基)側に2つ或いは複数のスルフヒドリルを含有するアミノ酸(例えば、システィン)を加えて、これらの延長されたポリペプチド誘導体をポリエチレングリコールの修飾用プレーカーソルとする。その2点修飾の通式はCys(39)−(Xaa)(n−1)−Cys(n+39)であり、そのうち、n=1−10であり、Xaaは任意のアミノ酸である。
【0023】
これらのポリペプチドは化学合成の方法で調製でき、その中に液体相セグメント合成、固体相合成(Merrifield. J. Am. Chem. Soc. 1963. 85:2149-2154を参照)或いは固体相、液体相結合の方法などを含む。ポリペプチド合成は手動と自動の方式があり、自動方式を採用する場合は、Applied Biosystems 431Aポリペプチド合成計器、Csbioポリペプチド合成用計器などを使ってもいい。また、ポリペプチド合成はユニット合成の方法を採用してもいい。
【0024】
化学合成によって調製されたポリペプチドは、HPLC調製方法で精製する必要があり、通常は逆相材料を柱充填物とする(例えば、C4、C8、C18)。得られたポリペプチドは分析・鑑定により(例えば、効率の高い液体相クラマトグラム(HPLC)、質量スペクトル(MS)、アミノ酸分析(AAA))証明した後に、初めて体外、体内の薬効研究を進めることができる。これらの化合物はHPLCの調製方法で精製してから、冷凍、乾して製品となる。
【0025】
ポリエチレングリコールは各メーカーから購入或いは周知の方式で合成できる。ポリエチレングリコールの分子量範囲は5000〜80,000ダルトンであり、好ましくは20,000〜60,000ダルトンであり、より好ましくは40,000ダルトンぐらいである。
【0026】
ポリエチレングリコールとポリペプチドは、ポリペプチドのカルボキシル(基)側で連結されるべきで、こうすれば、ポリエチレングリコール鎖のポリペプチド自身及びその受容体の間の作用に対する干渉を最低限度に減少できる。すなわち、ポリエチレングリコールは29から39までの残基の何れかの位置に連結することができる。これはスルフヒドリルを含むアミノ酸(例えば、システィン)で、任意の1つ或いは同時に数個のアミノ酸を置換することを要求する。もし単一位点でポリエチレングリコールの修飾をする場合、システィンでカルボキシル(基)側の39位にあるS(Ser)を置換したほうが一番好ましい。同様に、2点修飾の場合、システィンで39位にあるS(Ser)を置換してから、さらにシスティンを40位、或いは39+n位(n=1−10)に入れたほうが一番好ましい。
【0027】
システィン或いはスルフヒドリルを利用してポリエチレングリコールを連結する方法は、多くの文献において記述されている(Veronese, Biomaterials 2001, 22:405-417を参照)。化学訓練を受けた技術者ならば、誰でもポリエチレングリコールをスルフヒドリルを含有するインスリン分泌促進ペプチドに連結することができる。
【0028】
具体的に言えば、スルフヒドリルを利用して連結反応を実現するには下記の方式を用いる。
1)スルフヒドリルはポリペプチドチェーンからできて、下記の式で表されるアミノ酸を導入する。
【0029】
【化2】



【0030】
この時のポリエチレングリコールは、マイクル付加引受体、例えばマレーイミドの中の二本鎖、ハロゲン及びスルフォンエステルより置換された基を含み、ポリペプチドとポリエチレングリコールはスルフィド鎖を形成して連結される。
2)スルフヒドリルが改良されたポリペプチド中のアミノ酸の側鎖からできて、例えば、スルフヒドリルがライシーンの側鎖アミノ基に連結される。側鎖が修正されたアミノ酸は下記の式の通りである。
【0031】
【化3】



【0032】
この時のポリエチレングリコールは、マイクル付加引受体、例えばマレーイミドの中の二本鎖、ハロゲン及びスルフォンエステルより置換された基を含み、ポリペプチドとポリエチレングリコールはスルフィド鎖を形成して連結される。
3)スルフヒドリルはポリエチレングリコールからできて、この時のポリペプチドの連結ポイントは、マイクル付加引受体、例えばマレーイミドの中の二本鎖、ハロゲン及びスルフォンエステルより置換された基を含み、ポリペプチドとポリエチレングリコールはスルフィド鎖を形成して連結される。
4)ポリエチレングリコールとポリペプチドがいずれももにスルフヒドリルを含む場合、不対称の−S−S−を形成することによって連結される。
【0033】
ポリエチレングリコールと本発明で公開したポリペプチドは、スルフィドを形成することで共有原子価結合を形成することが好ましいが、ポリエチレングリコールとこれらのポリペプチドの結合は共有原子価結合に限らず、例えばアシル化反応、還元アミノ化反応、オキシーム形成反応などの結合方式も本発明に含まれる。
【0034】
本発明におけるポリエチレングリコールの修飾に適合するプレーカーソルポリペプチド誘導体としては表1に記載のものが挙げられるが、これはいずれも本発明で挙げられた例に過ぎなく、本発明はこの配列に限定されたものではない。当該配列表において、好ましいポリペプチドの配列はSEQ
ID NO80〜SEQ ID NO141から選択される。
【0035】
これらのポリエチレングリコールで修飾されたインスリン分泌促進ペプチド及びそのポリペプチドのプレーカーソル自体は両性の化合物で、酸性或いはアルカリ性物質と反応して塩を形成することができる。通常、塩の形成に用いられる酸としては、塩酸、アンモニウムブロム酸、水素ヨード酸、硫酸、燐酸、p−トルエンスルホン酸、メチルスルフォン、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、琥珀酸、クエン酸、安息香酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などから選択される。これらの塩の例としては、硫酸塩、ピロホスフェート、重硫酸塩、亜硫酸塩、サルファイト、燐酸塩、燐酸水素塩、燐酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロホスフェート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、アセテート、プロピオネート、カプリン酸塩、オクチル酸塩、アクリレート、蟻酸塩、イソブチレート、ヘキシル酸塩、へプチル酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロナート、琥珀酸塩、スベラート、セバケート、フマル酸塩、マレー酸塩、ブチンー1、4−ジカルボキシラート、ヘキシンー1、6−ジカルボキシラート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、p−メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フェニルアセテート、フェニルプロピオネート、フェニルブチレート、クエン酸塩、乳酸塩、r−ヒドロキシブチレート、グリセリン酸塩、タートレート、メタンスルホン酸塩、プロピルスルホン酸塩、ナフタレンー1−スルホン酸塩、ナフタレンー2−スルホン酸塩、マンデラートなどが挙げられる。好ましい酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩である。通常、塩に使用されるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸カリウムなどから選択される。
【0036】
本発明においてインスリン分泌促進ペプチド化合物、特にポリエチレングリコールで修飾したインスリン分泌促進ペプチド化合物は、βー細胞機能を修復する潜在力を有するため、II型糖尿病の予防、治療に用いることができ、特に体重が重すぎ、ひいては肥満による分泌の不正常の患者の治療に使うことができる。
【0037】
それで、本発明はまたII型糖尿病の治療及び/或は予防の方法に関わり、その中にで、II型糖尿病の治療及び/或は予防が必要の患者に、薬物の有効投与量の本発明のインスリン分泌促進ペプチドを使用する。
【0038】
本発明により公開されたインスリン分泌促進ペプチド化合物は、糖尿病の治療に用いる場合、単独に使用することができが、その他の糖尿病用薬と組み合わせて使用することがさらに好ましい(例えば、PPARアゴニスト、スルフリル尿素類薬、非スルフリル尿素類似物(Secretagogues)、α−グルコシダーゼ(a−ブドウ糖カンゾウ酵素)
抑制剤、インスリン敏感度増加剤、インスリン分泌促進物質、グリコーゲン釈放抑制剤、インスリンとその他抗肥満薬)。
【0039】
臨床使用量は具体的な化合物の薬効によって決めるべきであり、その範囲は0.0001mg/kg体重から約200mg/kg体重であり、好ましくは0.001mg/kg体重から20mg/kg体重であり、最も好ましくは0.01mg/kg体重から1mg/kg体重である。投与方式は注射方式(静脈注射、肌注射、皮下注射を含む)或いはその他の連続注射方式が採用できる。これらの化合物はまた色々な製剤に作ることができ、その他の常規ルートで投与することができる、例えば、内服、皮膚から投与、肺、鼻、口噴霧剤、座薬など。
【0040】
本発明をさらに詳しく説明するために、下記の実施例をあげるが、本発明の範囲はこれらに限定されたものではない。

【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、SEQ ID NO.95のLC−MS図である。
【図2】図2は、db/db小鼠のPEG−EX−4類似物を皮下注射した当日に糖耐量に対する影響を示す。
【図3】図3は、db/db小鼠のPEG−EX−4類似物を皮下注射した3日目に糖耐量に対する影響を示す。
【図4】図4は、db/db小鼠のPEG−EX−4類似物を皮下注射した6日目に糖耐量に対する影響を示す。
【図5】図5は、db/db小鼠のPEG−EX−4類似物を皮下注射した9日目に糖耐量に対する影響を示す。
【図6】図6は、小鼠のPEG−EX−4類似物を1100μg/kg皮下注射した後の血糖の降下作用を示す。
【図7】図7は、小鼠のPEG−EX−4類似物を3300μg/kg皮下注射した後の血糖の降下作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0042】
本発明で得られた化合物SEQ ID NO.95の固体相合成調製
(1)合成に用いられるアミノ酸単体
【0043】
【化4】



上記の略語はFmoc:9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基、Boc:t−ブトキシカルボニル基、Trt:トリベンジル基。OtBU:t−ブトキシ基。tBu:t−ブチル基である。
【0044】
(2)使用薬品:試薬はN,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、ヘキサヒドロピリジン、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、Rink
amide樹脂、ニンビドリン、メタノール、フェニルメチルエーテル、ジイソプロピルシラン、トリフルオロ醋酸である。
【0045】
(3)操作
A.合成:0.25mmolの規模を例として、0.5gのRinkのアミド樹脂を量って、リアクタの中に入れ、1mmolのアミノ酸を量って、DIC/HOBt方法で活性化し、ポリペプチドの配列に従って、C端からN端まで順次に合成を行う。反応は25℃の室温で行うべきであり、下記のステップに従って操作する。
【0046】
1.20%のヘキサヒドロピリジンのDMF溶液で保護基のFmocを除去し、10分/回にする。
2.10mlのDMFで3回洗浄し、完全に吸い込む。
3.保護用のアミノ酸(1mmol)、HOBt(1mmol)を量り取り、10
mlのDMFの中に溶かし、DIC(1mmol)を入れて、10分間活性化する。
【0047】
4.前記活性化されたアミノ酸溶液をリアクタの中に入れ、1時間揺れて反応させる。
5.DMFで樹脂を3回洗浄し、完全に吸い込む。
6.もしニンビドリンの反応が陰性を示す場合、次のサイクルを行い、1から5のステップを再度実行する。もしニンビドリンの反応が陽性と表示すれば、3から5までのステップを繰り返す。
【0048】
B.保護基の除去及びポリペプチドの切除
ポリペプチド付の樹脂1gをリアクタの中に入れ、断裂溶液を入れる。比例は下表の通りである。
【0049】
【表2】



【0050】
室温で2時間振とうしてから、濾過し、濾過液を収集し、少量の酢酸で樹脂を洗浄する。収集液を合併して濃縮した後、エーテルを入れて沈殿させ、沈殿を濾過し、少量のエーテルで洗浄して、粗製品を得る。
【0051】
C.HPLCの分離精製、冷凍乾燥
得られた粗製品を少量の10%酢酸溶液に溶かし、ポールをつけ、HPLCの分離精製、冷凍乾燥を行ってから製品を得る、得られたポリペプチドは、クロマトグラムと質量スペクトルとを連用して測定したところ、目的の化合物であることが確認できた。
クロマトグラムポール:lina C18 (2), 5μ,100Å
分離波長:λ=220nm、Waters調製システム
【0052】
【表3】



【実施例2】
【0053】
ポリエチレングリコールでインスリン分泌促進ペプチドを修飾する方法
ポリエチレングリコールによるポリペプチドの修飾は、通常の方法を採用することができる。本発明は、スルフヒドリルを修飾することでスルフィドを形成する方法によるポリエチレングリコールとポリペプチドとの結合を強調する。具体的に言えば、最適化されたエキセンディン−4誘導体のカルボニル(基)端に1個或いは複数のシスティンを加えた後、マレー酸イミド機能基を含有するポリエチレングリコールでポリエチレングリコールの修飾反応を行い、マイクル付加反応後、スルフィド鎖を形成して、ポリペプチドをポリエチレングリコールとを共有原子価の結合をさせる。通常、所要のポリペプチドを0.1Mの燐酸塩緩衝液に溶かし、酸素除去した状況で、ポリエチレングリコールを入れる。ポリエチレングリコールとポリペプチドのモル比は1:1である。反応のpHは6〜7.5であり、反応液の中にEDTAを入れるとスルフヒドリルの酸化を減少することができる。2時間反応した後、反応液をHPLCで分離、精製し、過剰、未反応のポリエチレングリコールはイオン交換の方法で除去することができる。得られた製品は質量スペクトルで分子量を実証し、RP−HPLC及びゲルクロマトグラムで純度を分析する。SEQ
ID NO.95の修飾を例として、1つの43KD PEGで修飾する場合、回収率は70〜90%(ポリエチレングリコールで計算)である。
【実施例3】
【0054】
ポリペプチドの安定性の測定
本発明により公開されたエキセンディン−4誘導体は最適化された酵素或いは化学安定性を有する。下記の方法は本発明により公開されたポリペプチドの化学安定性の検査に用いられる。
【0055】
1mgの各試料を150mMの塩化ナトリウム、20mMの燐酸ナトリウム塩の緩衝液に溶かし、濃度が4mg/mlの溶液に調製し、当該溶液のpHは8.0である。試料溶液を40℃のインキュベーターに入れ、液相のクロマトグラム−質量スペクトル連用方法でポリペプチドの純度を検査する。メインピーク面積が消える比例と時間の関係でポリペプチドの化学安定性を表す。
【0056】
【表4】



【0057】
表4はエキセンディン−4類化合物の安定性測定表である。
そのうち、試料1:エキセンディン−4と対照。配列は次の通りである。
【0058】
【化5】



【0059】
試料2:試料1の中の2#Glyをd−Alaにし、39#をCysにする。試料3:試料1の中の2#Glyをd−Alaにし、14#MetをNleにし、28#AsnをGlnにする。試料4:試料2とPEG40KをC末端のCysを通して共有原子価結合をさせる、その中、試料1〜4のC末端はすべてアミドである。
【0060】
結論:
試料1の配列は自然界で分離して得られたポリペプチド配列であるが、そのN末端のHis−Glyはジペプチダーゼの適切な基質であり、かつ、それが含有するMetは酸化し易く、Asnは自体反応し易いため、何れも試料1の不安定の原因となる。2位、14位及び28位の3つの点の交換を通じて、ペプチドの安定性は大きく向上され、かつ、3つとも交換する場合、その安定性の向上程度は、ただHis−GlyをHis−dAlaに交換した時の安定性の向上程度を遥かに超過した。試料2はあまり安定しないが、PEG40Kと結合してから(すなわち試料4)、非常に安定になる、これはPEGがポリペプチドの安定性の向上に非常に大きな役割を有することを表した。
【実施例4】
【0061】
【化6】




【0062】
[実験例1]
ポリペプチド内服ブドウ糖の耐量実験
配列番号がSEQ ID NO 25であるポリペプチドを分子量が40000ぐらいのポリエチレングリコールで修飾してから(番号:試料5)、正常の小鼠に対して内服ブドウ糖の耐量実験を行い、その結果は下表の通りである。
【0063】
表5及び表6. 薬の投与量が異なる試料5を皮下注射の方法で正常の小鼠に投与し、1日目と3日目の内服ブドウ糖耐量及び血糖カーブの下の面積の影響が観察できる。
【0064】
【表5】



【0065】
【表6】



【0066】
[実験例2]
PEG−エキセンディン−4(PEG−EX−4)の類似物がII型糖尿病db/db小鼠に対する影響
1、テストを受ける動物:
種属、品系:db/db小鼠、出所:南京大学モデル動物センターから提供する、小鼠の体重:35〜50g、オスメスが半分ずつ。動物数:45匹、組当たりに5〜6匹。飼養条件:SPFクラス動物ハウスで飼養する、温度:22〜24℃、湿度:45−80%、日差し:150〜300Lx、12時間昼夜交替。
【0067】
2、試験方法:
薬の投与量の設置:0.03、0.1、0.3、1と3mg/kgなど5つの薬の投与組を設置する。同時に空白対照組を設置する。薬の投与ルート:皮下注射。薬の投与容積:0.05ml/kg体重。
【0068】
(1)非禁食の状態でのdb/db小鼠の血糖に対する影響
db/db小鼠は非禁食血糖及び体重によって組を分け、1組には6匹で、オスメスを半分ずつにし、それぞれ空白対象組と5つのPEG−EX−4類似物薬投与組となっている。各組の動物にそれぞれ一回テストを受ける薬物と生理塩水を皮下注射し、薬を投与する前及び投与した後の1、2、4、8、24時間に血糖を測し、それから24時間置きにその非禁食血糖を測定して、テストを受ける動物の血糖降下作用の維持時間を観察するとともに、各組の動物の薬を投与した後の摂食量及び体重の変化を測定する。
【0069】
(2)禁食の状態でのdb/db小鼠の血糖に対する影響
db/db小鼠は非禁食、禁食の血糖及び体重によって組を分け、1組には6匹で、オスメスを半分ずつにし、それぞれ空白対象組と5つのPEG−EX−4類似物薬投与組となっている。禁食して5時間後の各組の動物にそれぞれ一回テストを受ける薬物と生理塩水を皮下注射し、薬を投与する前及び投与した後の1、2時間に血糖を測り、それから24時間置きにその非禁食と禁食の血糖を測定して、テストを受ける動物の血糖降下作用の維持時間を観察するとともに、各組の動物の薬を投与した後の摂食量及び体重の変化を測定する。
【0070】
(3)禁食の状態でのdb/db小鼠の糖耐量に対する影響
db/db小鼠は禁食の血糖及び体重によって組を分け、1組には6匹で、それぞれ空白対象組と5つのPEG−EX−4類似物薬投与組となっている。禁食して5時間後にそれぞれ一回テストを受ける薬物と生理塩水を皮下注射し、薬を投与して15分後にブドウ糖を2.5g/kgを内服させ、ブドウ糖を内服して0、30、60と120分の時に血糖値を測る。薬を投与して3、6及び9日目に、再度内服糖耐量の試験をそれぞれ行う。テストを受ける動物のdb/db糖耐量に対する影響及びその作用の維持時間を観察し、各組の動物の薬を投与した後の摂食量及び体重の変化を測定する。
【0071】
3、試験結果:図面2〜5及び表7〜表13を参照。PEG−EX−4類似物がdb/db小鼠の血糖に対する影響
(1)禁食と非禁食の状態でのdb/db小鼠の血糖に対する影響
【0072】
【表7】



【0073】
【表8】



【0074】
【表9】



【0075】
(2)禁食の状態でのdb/db小鼠の糖耐量に対する影響
【0076】
【表10】



【0077】
【表11】



【0078】
【表12】



【0079】
【表13】



【0080】
[実験例3]
PEG−エキセンディン−4(PEG−EX−4)の類似物のKKAy小鼠血糖に対する影響の試験結果
1、試験方法:
KKAy小鼠に投与量の異なるPEG−EX−4類似物を一回皮下注射した後、異なる時間帯にその血糖変化状況を測定する。
【0081】
2、試験結果:
(1)図6を参照。KKAy小鼠にPEG−EX−4類似物1100μg/kgを1回皮下注射した後、その血糖降下作用が3〜4日間ぐらい維持できる。
(2)図7を参照。KKAy小鼠にPEG−EX−4類似物3300μg/kgを1回皮下注射した後、その血糖降下作用が3〜4日間ぐらい維持できる。
【0082】
以下の表14〜表18に、本発明で述べた長効インスリン分泌促進ペプチドのアミノ酸の配列を記載する。
【0083】
【表14】



【0084】
【表15】



【0085】
【表16】



【0086】
【表17】



【0087】
【表18】



【0088】
表14〜表18で、C、hC、K*はポリエチレングリコールの修飾点である。そのCはシスティンであり、hCは高級システィン、K*は側鎖が修飾されたライシーンである、例えば、スルフヒドリルプロピオ酸がその側鎖のアミノ基に結合されている。もし、2つのCC、hChC、或いはK*K*が配列に現れる場合、2つのポリエチレングリコールの修飾点があることを意味する。Nleはノルロイシンであり、dAlaはD型アラニン、−NH2はC端アミドである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)配列番号(SEQ ID NO.)17〜141(配列番号95を除く)に示されたアミノ酸配列、あるいは、(B)配列番号17〜141(配列番号95を除く)に示されたアミノ酸配列と実質的に相同なアミノ酸配列を含有するインスリン分泌促進ペプチド。
【請求項2】
配列番号17〜141(配列番号95を除く)に示されたアミノ酸配列に対し、ポリエチレングリコールで修飾して得られたインスリン分泌促進ペプチド及びその製剤的に許容される塩を含んでいる請求項1に記載のインスリン分泌促進ペプチド。
【請求項3】
さらに配列番号17〜141(配列番号95を除く)に示されたインスリン分泌促進ペプチドのアミノ酸配列において、2番目、14番目及び又は28番目に対して、一つ又は一つ以上のポリエチレングリコールで修飾して得られたインスリン分泌促進ペプチド及びその製剤的に許容される塩を含んでいる請求項2に記載のインスリン分泌促進ペプチド。
【請求項4】
ポリエチレングリコールの分子量範囲が5,000〜80,000である、請求項2に記載のインスリン分泌促進ペプチド。
【請求項5】
ポリエチレングリコールの分子量範囲が20,000〜60,000である、請求項2に記載のインスリン分泌促進ペプチド。
【請求項6】
インスリン分泌促進ペプチドの製剤的に許容される塩を含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のインスリン分泌促進ペプチド。
【請求項7】
固体相と液相の合成、HPLC、イオン交換、ゲル濾過精製及び冷凍乾燥を含む、請求項1または2に記載のインスリン分泌促進ペプチド及びその製剤的に許容される塩の調製方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載のインスリン分泌促進ペプチド及び/またはその製剤的に許容される塩のII型糖尿病の治療及び/または予防における使用。
【請求項9】
II型糖尿病の治療及び/または予防を要する患者に、治療有効量の請求項1に記載のインスリン分泌促進ペプチドを投与するII型糖尿病の治療及び/または予防方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−173886(P2011−173886A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57388(P2011−57388)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【分割の表示】特願2007−550660(P2007−550660)の分割
【原出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【出願人】(507239802)ウクスィ・グランドチャンプ・ファーマシューティカル・テクノロジー・カンパニー・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】